JP4593027B2 - 自己支持型架空光ケーブルおよびその端末引留め構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己支持型架空光ケーブルおよびその端末引留め構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の自己支持型架空光ケーブルを示す断面図である。
この自己支持型架空光ケーブル(以下、「SSD型光ケーブル」と略す。)は、メッセンジャワイヤ部1と、メッセンジャワイヤ部1に懸吊された光ケーブル本体2と、メッセンジャワイヤ部1とケーブル本体2とをつなぐ連結部3とを備えている。
メッセンジャワイヤ部1は、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維を用いた繊維強化プラスチックからなるメッセンジャワイヤ4と、これを被覆するポリエチレンなどからなる被覆層5とから構成されている。
光ケーブル本体2は、光ケーブルコア6と、この光ケーブルコア6の周上に形成された押え巻き層10と、この押え巻き層10を被覆するポリエチレンなどからなるシース11とから概略構成されるスロット型光ケーブルである。また、光ケーブルコア6は、スロット7と、このスロット7の中心に埋設されたテンションメンバ8と、スロット7の外周に形成された複数条の螺旋状のスロット溝9、9、…に収容された光ファイバテープ心線21の積層体(以下、「光テープ心線積層体」と記す。)22とから構成されている。
また、メッセンジャワイヤ部1の被覆層5と連結部3と光ケーブル本体2のシース11とは連続した一体構造となっている。さらに、光ケーブル本体2は、メッセンジャワイヤ部1に対して弛んで蛇行した状態で連結部3によって懸吊されている。
【0003】
図4は、従来のSSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部の端末引留め構造を示す概略図である。
SSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部の端末引留め方法は、以下のように行われる。まず、メッセンジャワイヤ部1の端末において、被覆層5が除去されて露出したメッセンジャワイヤ4の露出部分上にエポキシパテ12が塗布される。次に、エポキシパテ12の一部の上から被覆層5の上にわたって熱収縮テープ13が巻き付けられ、加熱によりこの熱収縮テープ13が収縮されてエポキシパテ12の一部と被覆層5に密着される。次に、メッセンジャワイヤ4の先端に巻付グリップ14が装着され、被覆用テープ15が巻付グリップ14の上から熱収縮テープ13の上にわたって巻き付けられて、端末引留め構造が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、SSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部1の端末引留めの際、メッセンジャワイヤ4を形成する繊維強化プラスチックの表面に直接、巻付グリップ14を装着すると、繊維強化プラスチックの表面の繊維に損傷を与えることがある。そこで、図4に示したように、メッセンジャワイヤ4の表面に何らかの被覆層を形成し、この上に巻付グリップ14が装着されている。このメッセンジャワイヤ部1の端末引留め構造では、敷設時に工程が多いという問題があった。
また、メッセンジャワイヤ4の被覆層5を形成するポリエチレンは、メッセンジャワイヤ4を形成する繊維強化プラスチックの耐候性を向上させるために、カーボンブラックを含有している。しかしながら、カーボンブラックを添加したポリエチレンを繊維強化プラスチックに被覆すると、ポリエチレンと繊維強化プラスチックとの密着性が悪い。したがって、このままでは、メッセンジャワイヤ4の被覆層5の上に巻付グリップ14を巻き付けることができないという問題があった。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、メッセンジャワイヤの端末引留め工程を簡略化することができる自己支持型架空光ケーブルおよびその端末引留め構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、メッセンジャワイヤ部と、該メッセンジャワイヤ部に懸吊された光ケーブル本体と、前記メッセンジャワイヤ部と前記光ケーブル本体とをつなぐ連結部とを備えた自己支持型架空光ケーブルであって、前記メッセンジャワイヤ部は、繊維強化プラスチックからなるメッセンジャワイヤと、該メッセンジャワイヤを被覆する第1の被覆層と、該第1の被覆層を被覆する第2の被覆層とから構成され、前記第1の被覆層はカーボンブラックが添加されないポリエチレンからなり、前記第2の被覆層はカーボンブラックが添加されたポリエチレンからなる自己支持型架空光ケーブルによって解決できる。
また、前記自己支持型架空光ケーブルの第2の被覆層に、直接、巻付グリップを装着する自己支持型架空光ケーブルの端末引留め構造によって解決できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明のSSD型光ケーブルの一例を示す断面図である。
また、図2は、本発明のSSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部の端末引留め構造の一例を示す概略図である。
この例のSSD型光ケーブルは、メッセンジャワイヤ部31と、メッセンジャワイヤ部31に懸吊された光ケーブル本体32と、メッセンジャワイヤ部31と光ケーブル本体32とをつなぐ連結部33とを備えている。
メッセンジャワイヤ部31は、メッセンジャワイヤ34と、これを被覆する被覆層35とから構成されている。
光ケーブル本体32は、ケーブルコア36と、このケーブルコア36の周上に形成された押え巻き層40と、押え巻き層40の外周に接するように配されたリップコード42と、これらを被覆するポリエチレンなどからなるシース41とから概略構成されるSZスロット型光ケーブルである。また、光ケーブルコア36は、SZスロット37と、このSZスロット37の中心に埋設されたテンションメンバ38と、SZスロット37の外周に形成された複数条の螺旋状のスロット溝39、39、…に収容された光ファイバテープ心線51の積層体、光テープ心線積層体52とから構成されている。
また、メッセンジャワイヤ部31の被覆層35と連結部33と光ケーブル本体32のシース41とは連続した一体構造となっている。さらに、光ケーブル本体32は、メッセンジャワイヤ部31に対して弛んで蛇行した状態で連結部33によって懸吊されている。
【0008】
メッセンジャワイヤ34は外径6.5mm程度で、アラミド繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどのFRPで形成されており、SSD型光ケーブル敷設時に光ケーブル本体32を懸吊する支持線である。また、メッセンジャワイヤ34を形成するFRPは、軽量、高弾性率、高強度を有する絶縁材料である。本発明で用いられるFRPは、縦弾性率(ヤング率)が大きいものが好ましい。
FRPは、金属と比較して比重が小さいため、SSD型光ケーブルの軽量化を図ることができるので、SSD型光ケーブルの弛度を許容範囲内とすることができる。また、FRPは絶縁体(無誘導な材料)であるから、電力ケーブルやメタル通信ケーブルとSSD型光ケーブルを併設しても、メッセンジャワイヤ34に誘導電流が生じることがない。また、SSD型光ケーブルが敷設される際、または架線されている状態では、SSD型光ケーブルには、風圧による張力がその軸方向に加わえられるため、メッセンジャワイヤ34としては、縦弾性率の大きい材料を用いることが好ましい。縦弾性率の大きい材料を用いることにより、SSD型光ケーブルの破断、またはSSD型光ケーブル内に収容されている光ケーブルなどが破断することを防止することができる。
【0009】
また、メッセンジャワイヤ34を被覆する被覆層35は、第1の被覆層35aと第2の被覆層35bで構成されている。第1の被覆層35aは外径8mm程度で、カーボンブラックを含有しない無色のポリエチレンで形成されており、第2の被覆層35bは外径10mm程度で、カーボンブラックを含有する黒色のポリエチレンで形成されている。本発明のSSD型光ケーブルにあっては、ポリエチレンは直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
このように、メッセンジャワイヤ34を無色の直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1の被覆層35aで被覆することにより、メッセンジャワイヤ34と第1の被覆層35aとが強固に密着する。さらに、第1の被覆層35aをカーボンブラックを含有する黒色の直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2の被覆層35bで被覆することにより、第2の被覆層35bに直接、後述する巻付グリップを巻き付けることができる。また、カーボンブラックを含有する黒色の直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2の被覆層35bでメッセンジャワイヤ34を被覆することにより、メッセンジャワイヤ34が紫外線に曝されるのを防止し、結果として、メッセンジャワイヤ部31の耐候性を向上することができる。
【0010】
SZスロット37は、ポリエチレンなどで形成されており、そのスロット溝39が金属素線を撚り合せて撚線とする際に周知のSZ撚りをするのと同様に、捩じる方向がS方向とZ方向とに交互に繰り返されて形成されている。SZスロット37のSZ反転ピッチは、125〜300mmが好ましい。
また、SZスロット37は、SZスロット37全体に収納する光ファイバの心数に応じて、1つのスロット溝39内に収納する光ファイバテープ心線51の枚数およびスロット溝39の数が決められる。SSD型光ケーブルの高密度化を達成するためには、スロット溝39の数は多い方が望ましい。好ましくは、スロット溝39の数は5〜10であり、特に好ましくは3〜6である。
光ケーブル本体32をSZスロット型光ケーブルとすることにより、SSD型光ケーブルの後分岐性を向上することができる。
【0011】
テンションメンバ38は外径3.5mm程度で、アラミド繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどのFRPで形成されている。また、テンションメンバ38を形成するFRPは、軽量、高弾性率、高強度を有する絶縁材料である。本発明で用いられるFRPは、横弾性率が大きいものが好ましい。
SSD型光ケーブルが敷設される際、または架線されている状態では、光ケーブル本体32には捩り方向の力が加わえられるため、テンションメンバ38としては、横弾性率の大きいFRPを用いることが好ましい。横弾性率の大きいFRPを用いることにより、捩れなどによるSSD型光ケーブルの破断、またはSSD型光ケーブル内に収容されている光ケーブルなどが破断することを防止することができる。また、FRPは、金属と比較して比重が小さいため、SSD型光ケーブルの軽量化を図ることができる。また、FRPは絶縁体(無誘導な材料)であるから、電力ケーブルやメタル通信ケーブルとSSD型光ケーブルを併設しても、テンションメンバ38に誘導電流が生じることがない。また、テンションメンバ38は、その外周に押出被覆された樹脂の熱を逃がして、樹脂を押出成形後に冷却する役割を果たすから、テンションメンバ38は熱容量の大きいFRPが好ましく、FRPは金属線よりも熱容量が大きいので、冷却効果は大きい。
【0012】
ところで、この例のSSD型光ケーブルの後分岐は、リップコード42を取り出して引っ張り出すことにより行う。このようにすれば、シース41に裂け目が生じ、かつ押え巻き層40が露出するため、SSD型光ケーブルの後分岐を効率よく行うことができる。
【0013】
このようなSSD型光ケーブルは、伝送性能、温度特性に優れ、軽量で、電磁誘導が発生しないため信頼性に優れている。また、軽量であるため、敷設性に優れている。さらに、押出成形により、メッセンジャワイヤ部、連結部および光ケーブル本体を一体に成形することができるので、製造コストを低減することができる。
【0014】
また、本発明のSSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部31の端末引留め構造は、以下のように形成される。まず、メッセンジャワイヤ部31の端末において、被覆層35が除去されて露出したメッセンジャワイヤ34を覆い、被覆層35の上に直接、巻付グリップ44が巻き付けられる。次に、巻付グリップ44の上から被覆層35にわたって、被覆用テープ45が巻き付けられて、端末引留め構造が形成される。
また、巻付グリップ44は亜鉛めっき鋼撚線やアルミ覆鋼撚線などで形成されており、メッセンジャワイヤ34の端末を把持するものである。
このように被覆層35の上に巻付グリップ44を巻き付けることにより、SSD型光ケーブルの敷設時に、メッセンジャワイヤの端末引留め工程を簡略化することができるため、コストを削減することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自己支持型架空光ケーブルは、メッセンジャワイヤ部と、該メッセンジャワイヤ部に懸吊された光ケーブル本体と、前記メッセンジャワイヤ部と前記光ケーブル本体とをつなぐ連結部とを備えた自己支持型架空光ケーブルであって、前記メッセンジャワイヤ部は、繊維強化プラスチックからなるメッセンジャワイヤと、該メッセンジャワイヤを被覆する第1の被覆層と、該第1の被覆層を被覆する第2の被覆層とから構成され、前記第1の被覆層はカーボンブラックが添加されないポリエチレンからなり、前記第2の被覆層はカーボンブラックが添加されたポリエチレンからなるから、メッセンジャワイヤと第1の被覆層とが強固に密着し、第2の被覆層に直接、巻付グリップを巻き付けることができる。また、メッセンジャワイヤ部の耐候性を向上することができる。
また、自己支持型架空光ケーブルの端末引留め構造は、前記自己支持型架空光ケーブルの第2の被覆層に、直接、巻付グリップを装着するから、メッセンジャワイヤの端末引留め工程を簡略化することができるため、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自己支持型架空光ケーブルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のSSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部の端末引留め構造を示す概略図である。
【図3】従来の自己支持型架空光ケーブルを示す断面図である。
【図4】従来のSSD型光ケーブルのメッセンジャワイヤ部の端末引留め構造を示す概略図である。
【符号の説明】
31・・・メッセンジャワイヤ部、32・・・ケーブル本体、33・・・連結部、34・・・メッセンジャワイヤ、35・・・被覆層、35a・・・第1の被覆層、35b・・・第2の被覆層、36・・・ケーブルコア、37・・・SZスロット、38・・・テンションメンバ、39・・・スロット溝、40・・・押え巻き層、41・・・シース、42・・・テンションメンバ、44・・・巻き付けグリップ、45・・・被覆用テープ
Claims (2)
- メッセンジャワイヤ部と、該メッセンジャワイヤ部に懸吊された光ケーブル本体と、前記メッセンジャワイヤ部と前記光ケーブル本体とをつなぐ連結部とを備えた自己支持型架空光ケーブルであって、
前記メッセンジャワイヤ部は、繊維強化プラスチックからなるメッセンジャワイヤと、該メッセンジャワイヤを被覆する第1の被覆層と、該第1の被覆層を被覆する第2の被覆層とから構成され、
前記第1の被覆層はカーボンブラックが添加されないポリエチレンからなり、
前記第2の被覆層はカーボンブラックが添加されたポリエチレンからなることを特徴とする自己支持型架空光ケーブル。 - 請求項1記載の自己支持型架空光ケーブルの第2の被覆層に、直接、巻付グリップを装着することを特徴とする自己支持型架空光ケーブルの端末引留め構造。
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