JP3345854B2 - 風騒音低減用スパイラルロッド及び低風騒音電線 - Google Patents
風騒音低減用スパイラルロッド及び低風騒音電線Info
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- JP3345854B2 JP3345854B2 JP08472699A JP8472699A JP3345854B2 JP 3345854 B2 JP3345854 B2 JP 3345854B2 JP 08472699 A JP08472699 A JP 08472699A JP 8472699 A JP8472699 A JP 8472699A JP 3345854 B2 JP3345854 B2 JP 3345854B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架空電線の風騒音
低減用スパイラルロッドと、それを用いた低風騒音電線
に関するものである。
低減用スパイラルロッドと、それを用いた低風騒音電線
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】架空電線に風が吹きつけると70〜200 H
z程度の低い耳障りな音がする。これが風騒音である。
風騒音は一般に風速が10〜20m/sの範囲で生じる。こ
の原因は断面円形の電線の背後に生じるカルマン渦の剥
離によるものである。風騒音を低減するためには、電線
外周にスパイラルロッドを巻き付けて、空気流を乱し、
安定したカルマン渦の発生を阻害することが有効であ
る。
z程度の低い耳障りな音がする。これが風騒音である。
風騒音は一般に風速が10〜20m/sの範囲で生じる。こ
の原因は断面円形の電線の背後に生じるカルマン渦の剥
離によるものである。風騒音を低減するためには、電線
外周にスパイラルロッドを巻き付けて、空気流を乱し、
安定したカルマン渦の発生を阻害することが有効であ
る。
【0003】しかし電線外周にスパイラルロッドを巻き
付けると、電線表面からスパイラルロッドが突出するた
め電線表面の電界分布が不均一になり、さらに降雨時に
はスパイラルロッドの電線の下側に位置する部分から水
滴が突出することから、コロナが発生しやすくなるとい
う問題がある。
付けると、電線表面からスパイラルロッドが突出するた
め電線表面の電界分布が不均一になり、さらに降雨時に
はスパイラルロッドの電線の下側に位置する部分から水
滴が突出することから、コロナが発生しやすくなるとい
う問題がある。
【0004】この点を改善したものとしては、金属線の
断面を略かまぼこ形にしたスパイラルロッド(特開昭5
8−17879号公報、特開昭59−143208号公
報)、断面略三角形のプラスチック製のスパイラルロッ
ド(実開昭58−166236号公報)、金属線に樹脂
被覆を施したスパイラルロッド(特開平3−27711
4号公報、特開平5−336640号公報)等が開発さ
れている。
断面を略かまぼこ形にしたスパイラルロッド(特開昭5
8−17879号公報、特開昭59−143208号公
報)、断面略三角形のプラスチック製のスパイラルロッ
ド(実開昭58−166236号公報)、金属線に樹脂
被覆を施したスパイラルロッド(特開平3−27711
4号公報、特開平5−336640号公報)等が開発さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらのスパイ
ラルロッドには次のような問題のあることが分かった。
すなわち、上記のスパイラルロッドはいずれも、電線に
巻き付く側の面が電線表面と面接触するように凹面にな
っているため、電線に巻き付けた場合、電線の下側では
前記凹面が上向きになって雨水受けの状態となる。その
結果、その部分に雨水が長い時間滞留して、スパイラル
ロッドの水切れ性が悪くなり、コロナ騒音の抑制効果が
必ずしも十分でない。
ラルロッドには次のような問題のあることが分かった。
すなわち、上記のスパイラルロッドはいずれも、電線に
巻き付く側の面が電線表面と面接触するように凹面にな
っているため、電線に巻き付けた場合、電線の下側では
前記凹面が上向きになって雨水受けの状態となる。その
結果、その部分に雨水が長い時間滞留して、スパイラル
ロッドの水切れ性が悪くなり、コロナ騒音の抑制効果が
必ずしも十分でない。
【0006】こうした傾向は、送電線の点検作業などの
ため、スパイラルロッドを巻き付けた送電線上を宙乗器
等で走行した場合に顕著となっている。すなわち、宙乗
器等が走行すると、その走行抵抗や荷重で、スパイラル
ロッドが変形したり、巻きピッチがずれたりして、スパ
イラルロッドと電線の間に隙間ができ、この隙間にも雨
水が滞留するようになるため、滞留する雨水量が多くな
り、水切れ性がさらに悪化して、コロナ騒音レベルが高
くなる傾向がある。
ため、スパイラルロッドを巻き付けた送電線上を宙乗器
等で走行した場合に顕著となっている。すなわち、宙乗
器等が走行すると、その走行抵抗や荷重で、スパイラル
ロッドが変形したり、巻きピッチがずれたりして、スパ
イラルロッドと電線の間に隙間ができ、この隙間にも雨
水が滞留するようになるため、滞留する雨水量が多くな
り、水切れ性がさらに悪化して、コロナ騒音レベルが高
くなる傾向がある。
【0007】例えば図5は特開平3−277114号公
報に開示されているスパイラルロッドの拡大断面を示
す。このスパイラルロッド10は、金属線12に断面略三角
形状の樹脂被覆14を施した線材を、らせん状に成形した
ものである。樹脂被覆14の電線に巻き付く側の面は、電
線外周面と同じ曲率半径の凹面Uとなっている。このス
パイラルロッド10の断面寸法は、例えば幅Wが8mm程
度、高さHが7mm程度である。なおこの樹脂被覆14は電
線側の部分がカーボンブラック等を混入した導電性又は
半導電性樹脂14aで構成され、その反対側の部分が絶縁
性樹脂14bで構成されている。
報に開示されているスパイラルロッドの拡大断面を示
す。このスパイラルロッド10は、金属線12に断面略三角
形状の樹脂被覆14を施した線材を、らせん状に成形した
ものである。樹脂被覆14の電線に巻き付く側の面は、電
線外周面と同じ曲率半径の凹面Uとなっている。このス
パイラルロッド10の断面寸法は、例えば幅Wが8mm程
度、高さHが7mm程度である。なおこの樹脂被覆14は電
線側の部分がカーボンブラック等を混入した導電性又は
半導電性樹脂14aで構成され、その反対側の部分が絶縁
性樹脂14bで構成されている。
【0008】図6は上記のようなスパイラルロッド10を
電線16に巻き付けた場合の問題点を示す。スパイラルロ
ッド10は電線16側の面が凹面Uになっているため、電線
16の下側では降雨時に凹面Uに雨水18が滞留しやすく、
水切れ性がわるい。また宙乗器等の走行によりスパイラ
ルロッド10が変形して電線16とスパイラルロッド10の間
に図示のように隙間ができると、滞留する雨水18の量が
さらに多くなり、水切れ性が悪化する。このため水滴18
aに持続時間が長くなり、コロナが発生しやすい。
電線16に巻き付けた場合の問題点を示す。スパイラルロ
ッド10は電線16側の面が凹面Uになっているため、電線
16の下側では降雨時に凹面Uに雨水18が滞留しやすく、
水切れ性がわるい。また宙乗器等の走行によりスパイラ
ルロッド10が変形して電線16とスパイラルロッド10の間
に図示のように隙間ができると、滞留する雨水18の量が
さらに多くなり、水切れ性が悪化する。このため水滴18
aに持続時間が長くなり、コロナが発生しやすい。
【0009】また、スパイラルロッドとして、図5のよ
うな金属線12に樹脂被覆14を施したロッドを使用するこ
とは、軽量化には有効であるが、ロッドをらせん状に成
形するときに、樹脂被覆14内で金属線12が動いてしま
い、金属線12を正確にらせん成形することが難しく、こ
のため高い電線把持力を有するスパイラルロッドを得る
ことが困難であった。
うな金属線12に樹脂被覆14を施したロッドを使用するこ
とは、軽量化には有効であるが、ロッドをらせん状に成
形するときに、樹脂被覆14内で金属線12が動いてしま
い、金属線12を正確にらせん成形することが難しく、こ
のため高い電線把持力を有するスパイラルロッドを得る
ことが困難であった。
【0010】本発明の目的は、以上のような問題点に鑑
み、水切れ性がよく、コロナが発生し難く、電線把持力
の高いスパイラルロッドと、それを用いた低風騒音電線
を提供することにある。
み、水切れ性がよく、コロナが発生し難く、電線把持力
の高いスパイラルロッドと、それを用いた低風騒音電線
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、金属線に樹脂被覆を施した線材をらせん状に
成形してなる風騒音低減用スパイラルロッドにおいて、
前記金属線の断面形状を非円形とし、樹脂被覆の断面形
状を幅より高さの小さい非円形(多角形等)とし、樹脂
被覆の電線に巻き付く側の面を電線の最外層素線の表面
より曲率半径の大きい凸面としたことを特徴とするもの
である。
本発明は、金属線に樹脂被覆を施した線材をらせん状に
成形してなる風騒音低減用スパイラルロッドにおいて、
前記金属線の断面形状を非円形とし、樹脂被覆の断面形
状を幅より高さの小さい非円形(多角形等)とし、樹脂
被覆の電線に巻き付く側の面を電線の最外層素線の表面
より曲率半径の大きい凸面としたことを特徴とするもの
である。
【0012】樹脂被覆の断面の高さは幅の80%以下とす
ることが好ましい。また金属線の断面形状は幅より高さ
の小さい略長方形又は楕円形とすることが好ましく、樹
脂被覆の断面形状は幅より高さの小さい略楕円形とする
ことが好ましい。
ることが好ましい。また金属線の断面形状は幅より高さ
の小さい略長方形又は楕円形とすることが好ましく、樹
脂被覆の断面形状は幅より高さの小さい略楕円形とする
ことが好ましい。
【0013】樹脂被覆の断面形状を上記のような形にす
ることにより、降雨時の水切れ性をよくし、コロナを発
生し難くすることが可能となる。また金属線の断面形状
を上記のような形にすることにより、らせん成形時に樹
脂被覆内で金属線が回転することがなくなるため、金属
線を正確にらせん成形することができ、電線把持力の高
いスパイラルロッドが得られる。
ることにより、降雨時の水切れ性をよくし、コロナを発
生し難くすることが可能となる。また金属線の断面形状
を上記のような形にすることにより、らせん成形時に樹
脂被覆内で金属線が回転することがなくなるため、金属
線を正確にらせん成形することができ、電線把持力の高
いスパイラルロッドが得られる。
【0014】上記のようなスパイラルロッドを電線に巻
き付けることにより、コロナ騒音の小さい低風騒音電線
を構成できる。
き付けることにより、コロナ騒音の小さい低風騒音電線
を構成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。図1(a)、(b)は本発明
の一実施形態を示す。(a)はACSR等の電線16にス
パイラルロッド10を巻き付けた低風騒音電線を示し、
(b)はスパイラルロッド10の拡大断面を示している。
参照して詳細に説明する。図1(a)、(b)は本発明
の一実施形態を示す。(a)はACSR等の電線16にス
パイラルロッド10を巻き付けた低風騒音電線を示し、
(b)はスパイラルロッド10の拡大断面を示している。
【0016】このスパイラルロッド10は、断面略長方形
の鋼線12に断面略楕円形の樹脂被覆14を施した線材を、
らせん状に成形したものである。スパイラルロッド10の
らせん内径は電線16の外径より若干小さく設定される。
樹脂被覆14は断面の幅方向(長軸方向)が鋼線12の幅方
向(長辺方向)と同じになるように形成され、スパイラ
ルロッド10のらせんは、鋼線12の幅面(長辺に相当する
面)の一方が常に電線16側を向くように形成されてい
る。樹脂被覆14の電線16に巻き付く側の面は凸面Tとな
っている。凸面Tの曲率半径は、電線16の最外層素線の
表面の曲率半径より大きく設定されている。樹脂被覆14
の電線16と反対側の面の頂部には溝20が形成されてい
る。この溝20は水滴の突出を小さくするためのものであ
る。
の鋼線12に断面略楕円形の樹脂被覆14を施した線材を、
らせん状に成形したものである。スパイラルロッド10の
らせん内径は電線16の外径より若干小さく設定される。
樹脂被覆14は断面の幅方向(長軸方向)が鋼線12の幅方
向(長辺方向)と同じになるように形成され、スパイラ
ルロッド10のらせんは、鋼線12の幅面(長辺に相当する
面)の一方が常に電線16側を向くように形成されてい
る。樹脂被覆14の電線16に巻き付く側の面は凸面Tとな
っている。凸面Tの曲率半径は、電線16の最外層素線の
表面の曲率半径より大きく設定されている。樹脂被覆14
の電線16と反対側の面の頂部には溝20が形成されてい
る。この溝20は水滴の突出を小さくするためのものであ
る。
【0017】樹脂被覆14は単一の樹脂で形成してもよい
が、この実施形態では、電線16側の部分がカーボンブラ
ック等を混入した導電性又は半導電性樹脂14aで構成さ
れ、その反対側の部分が絶縁性樹脂14bで構成されてい
る。これは鋼線12と電線16を電気的に導通させるためで
ある。電線16表面の電位傾度が15kV/cm を越すような場
合はこのような形態にすることが好ましい。
が、この実施形態では、電線16側の部分がカーボンブラ
ック等を混入した導電性又は半導電性樹脂14aで構成さ
れ、その反対側の部分が絶縁性樹脂14bで構成されてい
る。これは鋼線12と電線16を電気的に導通させるためで
ある。電線16表面の電位傾度が15kV/cm を越すような場
合はこのような形態にすることが好ましい。
【0018】鋼線12としては、亜鉛めっき鋼線、アルミ
めっき鋼線、アルミ被覆鋼線又はステンレス鋼線等が用
いられる。樹脂被覆14の材料としては、ポリアミド樹
脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、エチレ
ンプロピレンゴムなどを使用することができる。樹脂被
覆14の材料は耐熱、耐寒、耐候性にすぐれていることが
好ましい。また樹脂被覆14の表面の親水性を高めて表面
の濡れ性を改善し、コロナ騒音特性を向上させるため、
樹脂に界面活性剤を0.5 〜1.5 %程度混入する場合もあ
る。
めっき鋼線、アルミ被覆鋼線又はステンレス鋼線等が用
いられる。樹脂被覆14の材料としては、ポリアミド樹
脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、エチレ
ンプロピレンゴムなどを使用することができる。樹脂被
覆14の材料は耐熱、耐寒、耐候性にすぐれていることが
好ましい。また樹脂被覆14の表面の親水性を高めて表面
の濡れ性を改善し、コロナ騒音特性を向上させるため、
樹脂に界面活性剤を0.5 〜1.5 %程度混入する場合もあ
る。
【0019】図1(a)のような低風騒音電線が降雨に
さらされた場合、雨水が電線16の撚り溝22に沿って下方
に流れ、電線16およびスパイラルロッド10の下側に多数
の水滴18aができる。図2は図1(a)のA−A線にお
ける断面図である。この低風騒音電線は、スパイラルロ
ッド10の電線16側の面が凸面Tとなっているため、電線
16の撚り溝22に沿って流れてきた雨水18はそこに滞留す
ることができず、流出しやすい。また凸面Tは電線16の
最外層素線16aの表面より曲率半径が大きくなっている
ため、スパイラルロッド10側の雨水を引き寄せる表面張
力が、最外層素線16a間の「くぼみ」(撚り溝22)側の
表面張力に打ち勝ち、スパイラルロッド10が雨水を電線
16の外方に導く働きをし、速やかに雨水を流出させるこ
とができる。このように、この低風騒音電線はスパイラ
ルロッド10の水切れ性がよいことから、図6の場合より
水滴18aの持続時間が短く、コロナが発生したとしても
短時間で消失するため、コロナ騒音を効果的に低減でき
る。
さらされた場合、雨水が電線16の撚り溝22に沿って下方
に流れ、電線16およびスパイラルロッド10の下側に多数
の水滴18aができる。図2は図1(a)のA−A線にお
ける断面図である。この低風騒音電線は、スパイラルロ
ッド10の電線16側の面が凸面Tとなっているため、電線
16の撚り溝22に沿って流れてきた雨水18はそこに滞留す
ることができず、流出しやすい。また凸面Tは電線16の
最外層素線16aの表面より曲率半径が大きくなっている
ため、スパイラルロッド10側の雨水を引き寄せる表面張
力が、最外層素線16a間の「くぼみ」(撚り溝22)側の
表面張力に打ち勝ち、スパイラルロッド10が雨水を電線
16の外方に導く働きをし、速やかに雨水を流出させるこ
とができる。このように、この低風騒音電線はスパイラ
ルロッド10の水切れ性がよいことから、図6の場合より
水滴18aの持続時間が短く、コロナが発生したとしても
短時間で消失するため、コロナ騒音を効果的に低減でき
る。
【0020】またスパイラルロッド10は幅Wより高さH
を小さくしてあるので、表面の電位傾度を緩和すること
ができ、この面からもコロナが発生しにくくなり、コロ
ナ騒音を低減する効果が高い。なお凸面Tの曲率半径を
電線16の最外層素線16aの曲率半径より大きくすること
は、スパイラルロッド10の幅Wに対する高さHを小さく
するのにも有利である。
を小さくしてあるので、表面の電位傾度を緩和すること
ができ、この面からもコロナが発生しにくくなり、コロ
ナ騒音を低減する効果が高い。なお凸面Tの曲率半径を
電線16の最外層素線16aの曲率半径より大きくすること
は、スパイラルロッド10の幅Wに対する高さHを小さく
するのにも有利である。
【0021】さらにこのスパイラルロッド10は、鋼線12
の断面が略長方形になっているため、らせん状に成形す
るときに、樹脂被覆14内で鋼線12が回転することがな
く、鋼線12を正確にらせん成形することができるため、
電線16に巻き付けたときに高い電線把持力を得ることが
できる。
の断面が略長方形になっているため、らせん状に成形す
るときに、樹脂被覆14内で鋼線12が回転することがな
く、鋼線12を正確にらせん成形することができるため、
電線16に巻き付けたときに高い電線把持力を得ることが
できる。
【0022】図3は、図1に示すスパイラルロッドを巻
いた低風騒音電線(本発明品)と、図5に示す従来のス
パイラルロッドを巻いた低風騒音電線(従来品)とのコ
ロナ騒音特性の比較を示す。電線は両方ともACSR81
0mm2(外径38.4mm)×4導体である。従来品のスパイラ
ルロッドは幅8mm、高さ7mmであるのに対し、本発明品
のスパイラルロッドは幅8mm、高さ4.4 mmと、高さが低
くなっている。
いた低風騒音電線(本発明品)と、図5に示す従来のス
パイラルロッドを巻いた低風騒音電線(従来品)とのコ
ロナ騒音特性の比較を示す。電線は両方ともACSR81
0mm2(外径38.4mm)×4導体である。従来品のスパイラ
ルロッドは幅8mm、高さ7mmであるのに対し、本発明品
のスパイラルロッドは幅8mm、高さ4.4 mmと、高さが低
くなっている。
【0023】図3から明らかなように、本発明品ではコ
ロナハム音レベルが従来品に比べて大幅に改善されてい
る。例えば電位傾度(Gmax )が12kV/cm で比較する
と、従来品のコロナハム音レベルは降雨時(=注水時)
で45.7dBA 、軽雨時で42dBA であるのに対し、本発明品
ではそれぞれ42.5dBA 、35.8dBA である。すなわち降雨
時には、本発明品は従来品よりコロナハム音レベルが約
3dBA 低く、電線のみ(スパイラルロッドなし)の場合
とほぼ同レベルである。また軽雨時には、本発明品は従
来品より6dBA 以上低く、大幅に改善されていることが
分かる。
ロナハム音レベルが従来品に比べて大幅に改善されてい
る。例えば電位傾度(Gmax )が12kV/cm で比較する
と、従来品のコロナハム音レベルは降雨時(=注水時)
で45.7dBA 、軽雨時で42dBA であるのに対し、本発明品
ではそれぞれ42.5dBA 、35.8dBA である。すなわち降雨
時には、本発明品は従来品よりコロナハム音レベルが約
3dBA 低く、電線のみ(スパイラルロッドなし)の場合
とほぼ同レベルである。また軽雨時には、本発明品は従
来品より6dBA 以上低く、大幅に改善されていることが
分かる。
【0024】コロナハム音が環境騒音として問題となる
のは、小雨あるいは雨が止んだ直後の時(軽雨時)であ
る。これは、軽雨時には降雨時に比べ暗騒音レベルが低
くなり、比較的小さな音でも人の耳に聞き取られやすく
なり、騒音と感じられるようになるからである。したが
って軽雨時のコロナハム音レベルの低減は、コロナ騒音
問題の解決にきわめて有効である。なお電位傾度が9kV
/cm 以下では、本発明品の軽雨時のコロナハム音レベル
はバックノイズレベル(暗騒音レベル=BN)に近くな
り、実際には問題とならないレベルである。
のは、小雨あるいは雨が止んだ直後の時(軽雨時)であ
る。これは、軽雨時には降雨時に比べ暗騒音レベルが低
くなり、比較的小さな音でも人の耳に聞き取られやすく
なり、騒音と感じられるようになるからである。したが
って軽雨時のコロナハム音レベルの低減は、コロナ騒音
問題の解決にきわめて有効である。なお電位傾度が9kV
/cm 以下では、本発明品の軽雨時のコロナハム音レベル
はバックノイズレベル(暗騒音レベル=BN)に近くな
り、実際には問題とならないレベルである。
【0025】図4は、ACSR810mm2の水平2導体(導
体間隔P=500 mm)に、図1に示すスパイラルロッドを
巻いた場合(本発明品)と、図5に示すスパイラルロッ
ドを巻いた場合(従来品)の風騒音特性を風洞実験で比
較測定した結果を示す。スパイラルロッドの寸法は前記
と同じである。
体間隔P=500 mm)に、図1に示すスパイラルロッドを
巻いた場合(本発明品)と、図5に示すスパイラルロッ
ドを巻いた場合(従来品)の風騒音特性を風洞実験で比
較測定した結果を示す。スパイラルロッドの寸法は前記
と同じである。
【0026】図4によると、スパイラルロッドを巻き付
けない場合(黒丸)は、風速20m/sで、120 Hz付近に
62dBA という高いレベルの卓越周波数が発生するが、ス
パイラルロッドを巻き付けた本発明品、従来品は、最大
騒音レベルが約14dBA 低減され、卓越周波数も消滅して
いることが分かる。また本発明品は、スパイラルロッド
の高さHが4.4 mmと、従来品の7mmより格段に低いにも
かかわらず、風騒音の低減効果は従来品とほとんど同等
である。風速が10m/s程度の低風速になると、本発明
品の風騒音低減効果は従来品より若干低下するが、コロ
ナ騒音低減効果とのバランスを考慮すると、この差は十
分相殺できるものである。
けない場合(黒丸)は、風速20m/sで、120 Hz付近に
62dBA という高いレベルの卓越周波数が発生するが、ス
パイラルロッドを巻き付けた本発明品、従来品は、最大
騒音レベルが約14dBA 低減され、卓越周波数も消滅して
いることが分かる。また本発明品は、スパイラルロッド
の高さHが4.4 mmと、従来品の7mmより格段に低いにも
かかわらず、風騒音の低減効果は従来品とほとんど同等
である。風速が10m/s程度の低風速になると、本発明
品の風騒音低減効果は従来品より若干低下するが、コロ
ナ騒音低減効果とのバランスを考慮すると、この差は十
分相殺できるものである。
【0027】次に、本発明のスパイラルロッドの幅Wに
対する高さHの効果について試験した結果は、表1のと
おりである。
対する高さHの効果について試験した結果は、表1のと
おりである。
【0028】
【表1】
【0029】試験条件は、電位傾度(Gmax ):12kV/c
m 、電線:ACSR810mm2×4導体、スパイラルロッド
の幅W:8.0 mm一定、降雨条件:3 mm/h(軽雨)であ
る。
m 、電線:ACSR810mm2×4導体、スパイラルロッド
の幅W:8.0 mm一定、降雨条件:3 mm/h(軽雨)であ
る。
【0030】表1によれば、本発明のスパイラルロッド
の形状でも、幅に対して高さが高くなると、コロナハム
音特性が悪化することが分かる。しかし高さが従来品と
同じ(7mm)になってもコロナハム音レベルは従来品の
レベル(42dBA )より2.5dBAも低くなっており、この差
はスパイラルロッドの電線側の面を凸面にして、水切れ
性を高めたことによるものと考えられる。以上の結果か
ら、Gmax =12kV/cmにおける許容コロナハム音レベル
を38dBA とすれば、これを満足するスパイラルロッドの
高さの限界は6.5 mm程度となる。このときのスパイラル
ロッドの幅Wに対する高さHの比は 6.5/8≒0.8 であ
るから、スパイラルロッドの高さHは幅Wの80%以下に
することが好ましい。
の形状でも、幅に対して高さが高くなると、コロナハム
音特性が悪化することが分かる。しかし高さが従来品と
同じ(7mm)になってもコロナハム音レベルは従来品の
レベル(42dBA )より2.5dBAも低くなっており、この差
はスパイラルロッドの電線側の面を凸面にして、水切れ
性を高めたことによるものと考えられる。以上の結果か
ら、Gmax =12kV/cmにおける許容コロナハム音レベル
を38dBA とすれば、これを満足するスパイラルロッドの
高さの限界は6.5 mm程度となる。このときのスパイラル
ロッドの幅Wに対する高さHの比は 6.5/8≒0.8 であ
るから、スパイラルロッドの高さHは幅Wの80%以下に
することが好ましい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
パイラルロッドの電線側の面を電線の最外層素線の表面
より曲率半径の大きい凸面としたことにより水切れ性が
よくなり、かつスパイラルロッドの幅より高さを小さく
したことにより電位傾度が緩和されるので、コロナ騒音
特性を大幅に改善することができる。その上で風騒音低
減効果は従来と同等に保つことができる。また金属線の
断面形状を非円形としたことにより、らせん成形時に樹
脂被覆内で金属線が回転することがなくなるため、金属
線を正確にらせん成形することができ、電線把持力の高
いスパイラルロッドを得ることができる。
パイラルロッドの電線側の面を電線の最外層素線の表面
より曲率半径の大きい凸面としたことにより水切れ性が
よくなり、かつスパイラルロッドの幅より高さを小さく
したことにより電位傾度が緩和されるので、コロナ騒音
特性を大幅に改善することができる。その上で風騒音低
減効果は従来と同等に保つことができる。また金属線の
断面形状を非円形としたことにより、らせん成形時に樹
脂被覆内で金属線が回転することがなくなるため、金属
線を正確にらせん成形することができ、電線把持力の高
いスパイラルロッドを得ることができる。
【図1】 (a)は本発明に係る低風騒音電線の一実施
形態を示す側面図、(b)はそれに使用したスパイラル
ロッドの拡大断面図。
形態を示す側面図、(b)はそれに使用したスパイラル
ロッドの拡大断面図。
【図2】 図1(a)のA−A線における断面図。
【図3】 本発明の低風騒音電線と従来の低風騒音電線
のコロナハム音特性の測定結果を示すグラフ。
のコロナハム音特性の測定結果を示すグラフ。
【図4】 本発明の低風騒音電線と従来の低風騒音電線
の風騒音特性の測定結果を示すグラフ。
の風騒音特性の測定結果を示すグラフ。
【図5】 従来のスパイラルロッドの一例を示す拡大断
面図。
面図。
【図6】 図5のスパイラルロッドを使用した低風騒音
電線の問題点を示す断面図。
電線の問題点を示す断面図。
10:スパイラルロッド 12:鋼線 14:樹脂被覆 16:電線 18:雨水 18a:水滴 20:溝 22:撚り溝
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−89714(JP,A) 特開 平11−41767(JP,A) 特開 平9−70128(JP,A) 特開 平11−41769(JP,A) 特開 昭58−170312(JP,A) 特開 昭59−143208(JP,A) 特開 平3−277114(JP,A) 特開 平5−336640(JP,A) 実開 昭57−159326(JP,U) 実開 昭55−59526(JP,U) 実開 昭61−96723(JP,U) 実開 平7−36538(JP,U) 実開 昭59−164438(JP,U) 実開 昭58−166236(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 7/14 H01B 5/08
Claims (4)
- 【請求項1】金属線に樹脂被覆を施した線材をらせん状
に成形してなる風騒音低減用スパイラルロッドにおい
て、前記金属線の断面形状を非円形とし、樹脂被覆の断
面形状を幅より高さの小さい非円形とし、樹脂被覆の電
線に巻き付く側の面を電線の最外層素線の表面より曲率
半径の大きい凸面としたことを特徴とする風騒音低減用
スパイラルロッド。 - 【請求項2】樹脂被覆の断面の高さを幅の80%以下とし
たことを特徴とする請求項1記載の風騒音低減用スパイ
ラルロッド。 - 【請求項3】金属線の断面形状を幅より高さの小さい略
長方形又は略楕円形とし、樹脂被覆の断面形状を幅より
高さの小さい略楕円形としたことを特徴とする請求項1
又は2記載の風騒音低減用スパイラルロッド。 - 【請求項4】請求項1、2又は3記載のスパイラルロッ
ドを電線に巻き付けたことを特徴とする低風騒音電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08472699A JP3345854B2 (ja) | 1999-03-26 | 1999-03-26 | 風騒音低減用スパイラルロッド及び低風騒音電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08472699A JP3345854B2 (ja) | 1999-03-26 | 1999-03-26 | 風騒音低減用スパイラルロッド及び低風騒音電線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000278850A JP2000278850A (ja) | 2000-10-06 |
JP3345854B2 true JP3345854B2 (ja) | 2002-11-18 |
Family
ID=13838704
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08472699A Expired - Fee Related JP3345854B2 (ja) | 1999-03-26 | 1999-03-26 | 風騒音低減用スパイラルロッド及び低風騒音電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3345854B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102315614A (zh) * | 2010-07-02 | 2012-01-11 | 沈阳电业局电缆厂 | 一种颤抖抑制器 |
-
1999
- 1999-03-26 JP JP08472699A patent/JP3345854B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000278850A (ja) | 2000-10-06 |
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Legal Events
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