JP2854290B2 - 高強力ポリエステル糸 - Google Patents

高強力ポリエステル糸

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JP2854290B2 JP8281093A JP28109396A JP2854290B2 JP 2854290 B2 JP2854290 B2 JP 2854290B2 JP 8281093 A JP8281093 A JP 8281093A JP 28109396 A JP28109396 A JP 28109396A JP 2854290 B2 JP2854290 B2 JP 2854290B2
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    • DTEXTILES; PAPER
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、工業において使用
される、即ち特に幌生地、タイヤ、駆動用ベルト、コン
ベヤベルト等のような工業製品に強度担持材料として撚
糸、織物、編組物の形で使用するための高強力でかつ縮
みの少ないマルチフィラメント・ポリエステル糸に関す
る。 【0002】 【従来の技術】高強力の糸をポリエステルフィラメント
から造ることは公知である。ドイツ連邦共和国特許出願
公告公報第1,288,734 号によると、この目的に合わせて
紡糸条件を、固化する(solidifying )糸に作用する引
張応力が非常に小さく、従って分子配向度が極めて小さ
い優れたフィラメントが得られるように選択する必要が
ある。 【0003】0.003 よりも小さい複屈折率、なかんずく
0.002 よりも小さい複屈折率すら要求されている。この
ようなフィラメントを後に高率の延伸処理に付した場
合、得られる製品は高強度の糸である。繊度1100dtx の
タイヤコードを造るためのポリエチレンテレフタレート
糸の負荷(荷重)−伸度−曲線(KD-ダイヤグラム) の経
過を第1図において曲線aとして図示した。この材料の
テナシティ(tenacity)は11%の破断伸び率で約76cN/t
exである。しかし、このような糸は反面高い熱収縮率を
有している。この熱収縮率は例えば 200℃の熱風処理で
約18%である。 200℃での熱収縮率の値を測定するのが
一般的である。なぜなら、一般に 200℃と言う温度はこ
のような糸から成るシート様構造物の被覆部で生じ得る
最高温度であるからである。例えばなお18%の収縮率を
有している糸材料はこのような被覆工程の際に著しいか
つ制御しがたい寸法変動を生ずる。従って、熱収縮率S
200を上記した18%から低減させる必要がある。これは
一般的な方法により熱機械的な収縮方法によって行われ
るが、この収縮方法にあっては糸はコントロールされた
引張応力(extension) のもとで収縮させる。この方法で
は、 200℃における熱収縮率S200を例えば5%にまで低
減することができる。しかし、このやり方は必然的に例
えば最大引張力伸び率 (tensile force extention)を16
%に増し、同時にテナシティを例えば76cN/texから72cN
/texへと低下させてしまう。 【0004】最大引張力伸び率と最大引張力の値はこの
ような糸の性質を充分に特徴づけるには不適当である。
収縮処理工程後に物理的特性に生じる変化を、第1図の
KD-ダイヤグラム内の曲線bが示している。この曲線は
収縮率の低い市販の糸の測定結果を示している。第1図
の曲線bから、いわゆる "シュリンケージ・サドル(shr
inkage saddle)" の形成が明白に認められる。 【0005】即ち、高い初期モジュラス、低い伸び率、
高い弾性度および僅かな収縮率に対する要求を満足させ
ることは困難である。なぜなら熱収縮率を低減させるた
めに必要とされるすべての熱機械的処理は、同時にテナ
シティの低下および最大引張力伸び率、初期モジュラス
並びに弾性度のような機械的な性質の悪化をも招くから
である。従って、従来これらの妥協により問題の解決を
せざるを得なかった。即ち、十分に収縮処理された材料
が使用された。この材料により、弾性度および初期モジ
ュラスのような寸法安定性を決定する尺度となる所望の
値を達するためには、この材料を極めて過大な寸法とせ
ざるを得なかった。ドイツ連邦共和国特許出願公告公報
第1,288,734 号に記載の方法では必然的に紡糸速度も低
くならざるを得ない。なぜなら、そのような条件下にお
いてしか紡糸した直後の糸に必要とされる低い引張力を
加えることができないからである。しかし、紡糸速度が
低いと言うことは同時に紡糸ノズル当りの吐出量が少な
いことを意味する。紡糸ノズル当たりの吐出量の著しい
増加に伴い紡糸速度も増すことは公知である。これは例
えばドイツ連邦共和国公開特許公報第2,207,849 号の第
1図に記載されている。従来、高速紡糸だけで高強力な
糸を造ろうとする全ての試みは、米国特許公報第2,604,
667 号にはじめて記載されているように、造られた糸の
引張強さが低いこと並びに破断点伸び率が高いことによ
りすべて失敗した。 【0006】ドイツ連邦共和国特許出願公告公報第2,25
4,998 号には、高速紡糸糸を先ず合糸し、加撚し、次い
で得られたコード撚り糸を引続き延伸する方法が記載さ
れている。延伸する前にコード撚り糸を過度に撚らなけ
ればならないと言うことは手間がかかる。この方法は故
障を生じ易く、従って実用的な重要性を得るには至らな
かった。 【0007】ドイツ連邦共和国特許公開公報第2,747,69
0 号には紡糸延伸処理工程とこれに引続いて行われる別
個の多数の延伸処理段階から成る多段の処理方法が記載
されている。ノズルからの紡糸速度は、 500〜3000m/分
であるように示されてはいるが、実施例には 500〜最大
1300m/分の範囲しか記載されていない。従ってドイツ連
邦共和国特許出願公告公報第2,207,849 号に記載された
高い吐出量で紡糸速度が早いという期待は実現していな
い。この不経済な方法によって造られたフィラメントは
なるほどその熱安定性の点で従来公知の高強力なポリエ
ステルから成るフィラメントに比して改善が見られる
が、しかし熱水或いは化学薬品に対する安定性が比較的
低いという大きな欠点を有している。既にヨーロッパ特
許出願公開第0080906 号および特開昭58−23914 号に述
べられているこの欠点は同様にこの特許願で請求されて
いる低い結晶度に起因している。なぜなら、非晶質のポ
リエチレンフタレートに対する化学薬品の作用の方が結
晶質のポリエチレンテレフタレートに対する作用よりも
著しく大きいからである。この方法は、実施例から明瞭
であるように、小さい繊度の糸にのみ適しているに過ぎ
ず、かゝる糸は化学薬品に対して益々敏感となる。 【0008】ヨーロッパ特許出願公開第0089912 号の場
合にも1500m/分以上の高速の巻取速度で作業が行われ
る。このヨーロッパ特許出願には、従来適用されていた
紡糸条件を変えることにより、延伸後に高い引張強さを
持つフィラメントを得るために高い紡糸速度を用いる方
法が記載されている。該特許出願には延伸されたフィラ
メントの熱機械的性質については何等記載されていない
が、そこで用いられた延伸および撚糸の組合せから推量
して、収縮率が必然的に極めて高いように思われる。後
に詳しく述べるように、充分な固定を達するには、延伸
帯域での滞留時間が極めて短か過ぎる。 【0009】特開昭51−53019 号における記載から、0.
03或いはそれ以上の複屈折率を有する延伸されたポリエ
ステル−フィラメントを極めて高強力なフィラメントに
延伸でき、次いでこのフィラメントに更に収縮処理を施
す方法が知られている。このようにして得られた糸は 1
50℃の温度で 2.5%以下の熱収縮率を有してはいるが、
しかしその破断点伸び率は15%以上、大抵は16〜22%の
範囲内にある。これらのフィラメントもしくは糸が、第
1図の曲線bが示しているように『シュリンケージ・サ
ドル』を示すことは、その破断点伸び率が高いことだけ
から説明することができる。 【0010】特開昭58−46117 号によると、一定の最小
結晶度を有する予備配向された糸を同様に少なくとも85
℃で延伸処理に付している。この特開昭のすべての実施
例では二段階の延伸工程が使用されているにもかかわら
ず、このようにして得られたフィラメントもしくは糸の
物理的な値は相対的に悪い。これらの糸の意図されてい
る使用分野は、完成物品を造る以前に更に熱的な処理を
必要とするような分野でしかありえない。この特開昭に
あっては、レゾルシン/ホルムアルデヒド/ラテックス
- 仕上げ剤の熱固定と硬化を行うための、主にタイヤコ
ード用撚り糸について一般的な浸漬法(dip process) を
説明している。これに対して本発明の目的はすべての工
業上の使用分野を意図した高強力な、収縮および伸びの
少ないポリエステルフィラメントの製法の提供にある。 【0011】特開昭58−23914 号によっても同様に、 1
75℃において 7.0%〜10.0%の熱収縮率(200℃における
熱収縮率も相応して高い) を有する糸が得られるに過ぎ
ない。また同じ出願人のヨーロッパ特許出願公開第0080
906 号にも、フィラメント内の心部と鞘部との差(core-
sheath-difference)を無くすことを目的とした方法が記
載されている。その方法で得られたばかりの糸の熱収縮
率は同様に高過ぎる。従ってこのフィラメントも本願発
明のものと一致するものではない。なぜなら、収縮率を
低下させるためには、既に特開昭58−46117 号に記載さ
れた種類の後続の熱処理工程を行わなければならないか
らである。この熱処理工程もこれら両特許願に記載され
ているような浸漬法である。延伸した糸を1分間にわた
って 240℃で処理するという試験を行うと浸積法と似た
結果が得られると思われ、そして上記処理を行うと糸の
本来の高過ぎる収縮率を低下し得ることが判る。 【0012】要するに、 200℃における熱収縮率が可能
な限り低く、かつその上その KD-ダイヤグラムにおいて
『シュリンケージ・サドル』を示さず、即ちその弾性特
性が可能な限り未収縮の糸の弾性特性に理想的に対応す
る高強力なポリエステル糸を提供することが依然として
未解決の課題である。 【0013】 【発明の構成】ところが意想外にも、ポリエステルから
成るこのように高強力なマルチフィラメント糸を使用に
供し得ることが見出された。これらの未加撚の糸は 200
℃にあって7%未満の熱収縮率、20cN/texの負荷にあっ
て少なくとも90%の弾性度、かつ少なくとも7.5 の安定
度商値 (stability quotient)SQ を有している。本発明
による糸を定義するのに用いられた安定度商値SQはジメ
ンションのない特性値である。この安定度商値は以下の
式で、即ち、 によって算出される。 【0014】ED20と言う概念は、既に上に定義したよう
に、20cN/texの負荷の際の弾性度を意味し、値S200は 2
00℃での百分率で表した熱収縮率であり、値 D54 は54
cN/texの負荷の際の参考伸び率である。本発明による糸
の KD-ダイヤグラムの経過は第1図において曲線cで示
した。個々のフィラメントの結晶度は56〜65%である。
有利にはこの糸はポリエチレンテレフタレートから成
り、この場合フィラメント形成物質は場合によっては2
重量%以下の割合で他のコモノマー単位を有していても
よい。3%未満、有利には2%未満の熱収縮率S200を有
している糸が優れている。従って、60%〜63%の結晶度
を有する糸が優れている。この場合、この結晶度はフィ
ラメントの密度から以下の式、即ち、 dK ・(d−da ) 結晶度(%)= ───────────── ×100 d・(dK −da ) によって算出される。 【0015】フィラメントの密度dは勾配管(gradient
column) で決定できる。非晶質の領域の密度daは1.335g
/ mlに、結晶性の物質の密度 dk は1.455g/ mlにそれぞ
れ設定された。このような糸の製造は本発明により、少
なくとも0.025 の複屈折率に相当する予備配向率と約
1.90 〜2.20の相対溶液粘度に相当する平均分子量を有
するポリエステル糸を延伸することによって行われる。
このようなフィラメントを熱延伸処理する。この場合適
用した延伸比は最大冷間延伸比の少なくとも90%であ
り、このように選択された条件下でのこの延伸処理の際
の延伸張力は19〜23cN/tex間の値である。この延伸張力
の好ましい範囲は20〜23cN/texである。 【0016】未加撚の糸は保護ねじり (protective tor
que)を全く有していないか、もしくは僅かに有してい
る。1100dtex- 糸に関してはこの糸は、通常、メーター
当たり60のねじり(turn)を有する。この糸はそのままで
強度支持体として、例えば被覆織物に使用できるか、或
いは例えばタイヤの構成材としての撚り糸のための原料
として役立つ。 【0017】高強力の糸は大抵65cN/tex以上のテナシテ
ィを有している。熱収縮率S200は、DIN 53866 に規定さ
れたように200 ℃の空気中で10分間自由に収縮させた際
の糸の相対的な長さ変化を示す。弾性度ED20は同様にDI
N53835の方法に従って決定した。すなわち、糸を引張試
験器内で定められた限界力まで負荷し、次いで再び完全
に除荷した。この場合得られた数値は、所定の限界負荷
値における全伸び率 (εges ) がどれほど高いか、また
糸を除荷した後に残る残留伸び率 (εRest) がどれほど
高いかを示す。弾性特性の尺度としては弾性伸び率(ED)
すなわち弾性度があげられる。これは以下の式、即ち、 によって算出される。 【0018】第2図は、市販の低収縮率の糸の場合の適
用した負荷に対する弾性度の依存度を示している(曲線
a)。この曲線において、約10cN/texから弾性度の急激
な降下が認められる。弾性特性を記述するため、本発明
の明細書では20cN/texの負荷下での弾性度を採用した。
この弾性度をED20として示した。他方本発明による糸に
あっては第2図に示す曲線bによる依存度で表される。 【0019】参考伸び率D54 も本発明による糸の機械的
な特性を示すのに役立つ。この参考伸び率は54cN/texの
負荷の際の伸びの値である。54cN/texの負荷の値は任意
に選択した。この値はこの糸のテナシティーの75%にほ
ぼ相当し、糸の弾性特性に係る満足な説明を与え、特に
試験した糸の KD-ダイヤグラム中の『シュリンケージ・
サドル』が生じているか、或いは生じていないかを表し
ている。もちろん、完全な負荷- 伸び- ダイヤグラムの
再現が試験する糸の機械的特性を最も良く示すはずだ
が、各々の数値を基準とした比較の方がより適してい
る。 【0020】従って、このダイヤグラムが個々の点の説
明に関してしばしば文献に記載されている。通常引用さ
れるのは最大引張力と最大引張力伸び率である。しか
し、既に上に充分に説明したように、これらの数値は高
強力のフィラメントについて、特にこのフィラメントが
収縮されている場合に関してはあまり意味がない。既に
知られているように、例えば破断点伸び率は延伸比が増
大するにつれ逓減するが、もし後で熱機械的な方法によ
り収縮を許容するとそれにつれて再び増大する。従って
最大引張力伸び率に関する記載は、これが引き続いて許
容される収縮を伴った高い延伸度によるものか、或いは
僅かな収縮が許容されたもしくはこの許容を伴わない低
い延伸度によるものかを判断することは不可能である。
その上、欠陥のあるフィラメントは低い破断強度を示
し、従って低い破断点伸び率を示す。従って、フィラメ
ントの伸び特性を特徴づけるには、このような影響によ
り不確実とならない領域内においてKD- ダイヤグラムの
一点を選択するのが良い。本発明にあっては特徴ずけの
ため参考伸び率D54 を選択した。主として英語の文献に
載っている初期モジュラス (ヤング弾性率とも称する)-
KD- 曲線においてその初期領域において曲線のスロープ
を示す- も高強力な繊維の特徴づけにはあまり適してい
ない。しかし、初期モジュラスからのフィラメントの全
作業領域に関する推論は、延伸処理されているフィラメ
ントのみに可能で、収縮したフィラメントには適用でき
ない。例えば第1図の曲線bから明らかなように、収縮
したフィラメントにあっては特徴的な様式でKD- ダイヤ
グラムが変化する。曲線aとbがまず互いに一致して上
昇してほぼ同一の初期モジュラスの値に達した後、曲線
bは約10cN/texから或る程度平坦になり、次いで高い負
荷値と高い伸び率で再び傾斜を増す。実際の使用にあっ
ては、シュリンケージ・サドルの上方にはあるが、しか
しまだ破断点伸び率の下方に明白に存在している KD-ダ
イヤグラムの点に関連する伸び率に基づく記載がもっと
も意義あるものとなる。 【0021】かくして、簡単かつ経済的な方法により高
強力の、熱的におよび寸法上安定していてかつ高弾性な
フィラメントを造ることが可能であることが見出され
た。この方法は、このフィラメントから造られた繊維材
料を更に後熱処理しなくても所望の諸特性を与え、多く
の使用分野にとって貴重である。特許請求の範囲に記載
されたフィラメント特性を得るのに必須なのは、以下に
詳細にのべるようなかつ比較的高い予配向率の紡糸物に
ついてのみ実施することのできる延伸処理工程にある。 【0022】延伸処理方法は通常延伸比と延伸温度に関
して定義される。この場合、本発明による延伸処理方法
は、広く用いられている『延伸温度』の概念によっては
特徴づけられない。なぜなら、このような記述は、たと
え延伸帯域内での滞留時間に関するデータが同時に提供
されたとしても、第三者にとって著しい過ちを犯すこと
なしにはそれを再現することは殆んど不可能であるから
である。加熱器内の有効な糸温度を指示することは実際
には不可能である。 【0023】本明細書においてはその代りに最低延伸比
および達せられるべき延伸張力のための範囲を規定し
た。加熱器でフィラメントの妥当な滞留時間を維持する
ことは、特に工業上での使用目的のための高繊度のフィ
ラメントにあっては特別な重要性を持っている。この場
合熱伝導がどのような効果を与えるかは、例えばアレク
サンドレイスキー氏が記述している(Sowjet. Beitraege
zu Faserforschung und Texitiltechnik(繊維研究と
織物技術に対するソビエトの寄与) 、1971, 521 頁) 。
もし例えば加熱されたロールのような加熱された金属表
面を介して熱の伝導が行われる場合にあっては、延伸処
理されたフィラメントの固定時に常に一定の収縮を得る
ためには、繊度1100dtexの場合少なくとも0.5 秒の滞留
時間が必要である。加熱された空気(対流)による熱伝
導の場合は、少なくとも3秒の滞留時間が必要である(P
akshver 著 Khimicheskie Volokna, 1983, 1,59〜61
頁) 。例えばヨーロッパ特許出願公開第80906 号に記載
されているような高速の紡糸及び延伸の組合せプロセス
の場合、例えば5000m/分の糸走行速度ではフィラメント
の加熱されたロールとの接触長は 0.5秒の滞留時間で7
1.7m である。工業的紡糸延伸装置において一般的であ
るように、直径20cmの加熱ゴデットローラに通常のよう
に10回捲回 (tenfold wrap) した場合、0.07秒未満の滞
留時間に相応して6m未満の接触長が算出される。これら
の数値から、高速の紡糸- 延伸の組合せプロセスよって
は得られたフィラメントの完全な固定は不可能であるこ
と、および低い伸び率と高い弾性の下での所望の低い収
縮性を同時には得られないことが明白である。 【0024】妥当な固定に必要な滞留時間は工業的に
は、処理すべき糸或いはトウ (tow)の速度を数100m/分
に逓減することによってのみ達成できる。個々のフィラ
メント或いは糸の延伸のためのこれらの条件の下で操作
される延伸機構によって充分に固定 (set)されかつ熱安
定されたフィラメントが得られる。しかし、経済的な理
由から特に収縮率の少ない工業用のフィラメントは、大
多数のフィラメントが相並んでシートの形で多数のロー
ル機構間で延伸されかつ収縮処理される所謂トウ延伸ラ
イン(tow drawing line)で製造される。本発明によるフ
ィラメントもこのような延伸装置によって有利に造られ
る。このようなトウ延伸ラインの基本的な構成を第3図
に示した。 【0025】既に上に詳しく述べたように、高強力のフ
ィラメントを造るための延伸比は、フィラメント固有の
強度に可能な限り完全に到達するのに可能である程に高
くなければならない。本発明によりこの延伸比は最大冷
間延伸比(max. VV) の少なくとも90%であり、以下のよ
うにして決定される。即ち、紡糸フィラメントを室温で
引張試験器内で100mm のクランピング長さおよび400m/
分のクランピング速度で引き裂く。これから が得られる。 【0026】延伸方法を決定する他の要素は延伸張力で
ある。この延伸張力は延伸比、延伸温度および延伸域に
おける滞留時間から決まる独特な関数である。延伸張力
は例えば張力計によって測定された引張力と、定められ
た延伸比によって低減された供給糸の繊度との商であ
る。ところが、延伸し終わったフィラメントの本発明に
おいて望まれている収縮特性を充足するのに延伸張力が
極めて重要であることがこの度見出された。延伸張力か
らフィラメントに与えられる内部張力は、第4図から認
められるように熱収縮によって影響される。この第4図
には1100dtexの最終繊度と0.0025の複屈折率を備えてい
る糸の延伸張力に対する200 ℃での収縮(S200 )の依
存性を図示した(曲線a)。同様なことを0.033 の複屈
折率と90%のmax. VV を備えていて、かつ3000m/分の巻
取り速度で紡糸された紡糸フィラメントを使用して実施
した。測定値は第4図に曲線bで表示した。 【0027】一定の延伸比から得られる一定の伸び特性
と極めて低い熱収縮率を備えているフィラメントを得る
ため、延伸張力を可能な限り低く維持することが望まし
い。高い延伸張力はまた個々のフィラメントの破断を容
易に招き、フィラメントを後で撚り糸および織物へ加工
することを非常に困難にする。これが可能な限り低い延
伸張力で作業を行わなければならないことの更に他の理
由である。工業的実施においては、延伸域の終端領域に
おけるフィラメントの繊度(カウント)に対して19〜23
cN/tex、有利には20〜23cN/texの範囲内の延伸張力が最
適な結果を与えることが判った。もし温度を低減するこ
とにより或いは滞留時間を短縮することにより延伸張力
を高めると、比較的高い収縮率しか得られないのみなら
ず、フィラメントの破断の数を増加する。延伸張力の低
下は、更に温度を高めるか、もっとゆっくりとした作業
速度或いは延伸比を低減することによってのみ達せられ
ると考えられる。しかし、延伸比の低減はこれに伴って
強度の値を悪化させることから回避しなければならな
い。ゆっくりとした作業速度とこれに伴って長くなる延
伸域での滞留時間は、比較的高速な作業様式にあって完
全な固定を達するための時間があまりに短い場合にのみ
有効となる。この時間が適当である場合は、作業速度を
更に緩慢にすることは延伸張力のより以上の低減をもた
らさないばかりか、フィラメントの強度の悪化すら招
く。温度の上昇は、フィラメント或いは糸の最大引張力
がそのような高温でもまだ超過されない温度まで可能で
あるに過ぎない。即ち、延伸を最も良好に行い得る比較
的狭い領域が得られるに過ぎない。この領域は19〜23、
もしくは20〜23cN/tex間の上記の領域内に存在してい
る。 【0028】低い予備配向率を有する紡糸フィラメント
について得られた延伸張力、延伸比、延伸温度および滞
留時間の依存性に関する経験をもとに高度に予備配向さ
れた紡糸フィラメントに適用しようとする場合、種々の
困難に突き当たる。高度に予備配向された紡糸フィラメ
ントを、低度に配向された紡糸フィラメントにとって最
適な温度条件および滞留時間条件下で延伸した場合、最
大延伸比(max. VV) の90%の延伸比で極めて高い延伸張
力が生じるが、この張力もまた上記の種々の困難を招
く。それ故、満足なフィラメントを得ようとする場合、
延伸比を低減せざるを得ない。しかしこの低減は結果と
して、フィラメントの強度を著しく低減させ、それにも
係わらずフィラメントはなお高い収縮値を有する。この
ような効果は以下に記載する比較例5に対する例4か
ら、および比較例13に対する例12から明白に認めること
ができる。 【0029】ところが、驚くべきことに、高い予備配向
度を有する紡糸フィラメントを、予備配向度の僅かな紡
糸フィラメントでは引き裂きが生じて、もはや延伸不可
能な程高い温度で延伸することが可能であることがこの
たび見出された。しかも延伸の際温度を高めることによ
って、19〜23cN/texもしくは有利には20〜23cN/texの延
伸張力を得ることが可能である。高い予備配向度を有す
る紡糸フィラメントにあってこの著しく高い延伸温度は
フィラメントに特別好都合な収縮特性を与え、かつまた
最大冷間延伸率(msx. VV) の少なくとも90%にもなる延
伸比を使用することを可能にする。 【0030】本発明においても延伸温度について記述す
ることはそれほど意味はないであろう。なぜならこのよ
うな記述にあっては、この温度は例えば、唯一重要な温
度、つまりフィラメントの温度に関する記述ではなく、
その代りに加熱媒体の温度に関するものであるからであ
る。加熱炉内のフィラメントの温度の測定は実際には不
可能である。加熱炉を去った後、直ちにフィラメントの
極めて急速な冷却が始まる。フィラメント温度を炉の加
熱帯域の出口から様々な距離で測定し、そしてカウフマ
ン氏が"Faserforschung und Textiltechnik"( 繊維の研
究と繊維に関する技術) 、28巻(5) 、 297〜301 頁(197
7)に記載している近似値式を適用することによっての
み、炉の端部における本来のフィラメントの温度を外挿
的に推論することができる。加熱された空気が横方向で
流れる式の炉にあっては、炉内での充分に長い滞留時間
があった場合にのみ、フィラメントが炉を去る直前に流
れる空気の温度を有していると推論できる。加熱が赤外
線によって行われる炉にあっては、測定はもはや不可能
である。なぜなら、炉内においてフィラメント近傍に設
置されている温度感知器さえも赤外線によってフィラメ
ントとは異なる温度をとるからである。しかし、赤外線
の強度や、炉内の加熱された空気の温度もこのような感
知器を介して同様に良好に調節することができる。実施
例には相当する効果を達成するには温度調節をどのよう
に行わなければならないかを、そして延伸を特徴づける
ためには延伸張力並びに達せられた最大の延伸比に対す
る割合を記載することだけで充分であろうことが記載さ
れている。 【0031】本発明の糸を製造するための好ましい装置
は第3図に概略的に示されている。紡糸フィラメントは
ボビンクリールに装着された複数のボビン1から引き出
され、一緒にフィラメント束群としてロール機構2に供
給される。このロール機構は5〜7個の加熱可能なロー
ルから成り、これらのロールの表面温度はフィラメント
速度に応じて75〜100 ℃である。次いでフィラメント束
群はこれを完全に囲繞する加熱された炉3を通過し、次
いで同様に5個から7個のロールを備えたロール機構4
に達する。ロール機構4の速度は延伸比に応じた率だけ
ロール機構2の速度よりも速い。次いでこのロール機構
からフィラメントは直接巻取り部6に達するか或いはフ
ィラメントはまず通常3個のロールを備えているロール
機構5を経て巻取り部6に案内される。 【0032】炉の加熱は、炉の壁を電気的に或いは液状
の熱伝達体を使用して加熱して行われる。同時に加熱さ
れた空気をフィラメントの走行方向に対向する方向で流
して加熱することも可能である。他の実施例の態様とし
ては炉内に設けられた赤外線照射装置でフィラメント群
を加熱することである。他の可能な方法はフィラメント
群をその走行方向に対して横方向に流れる加熱空気で加
熱することである。この後もし延伸に引き続いて緩和工
程を付す場合、ロール機構4を適切な高い温度に加熱
し、次いで収縮処理をロール機構4とロール機構5との
間で、或いはロール機構4と巻取り部6との間で行う。
後者の場合収縮処理はこれらの両ユニット間で正確に調
節することが可能でなければならない。 【0033】高度に予備配向されたポリエステル糸を本
発明により延伸することにより緩和処理を行うことなく
約6%の熱収縮率S200を達することが可能である。この
糸は、これを複合材料に組み入れる以前に更に加熱処理
されるコード状または布状構造体、例えば自動車タイ
ヤ、駆動ベルトおよびベルトコンベヤベルトのために使
用するのに適している。 【0034】この熱処理のための温度条件、時間条件お
よび張力条件は、収縮と伸びの点で製品構造体の性質を
決定する。この再熱処理を行った後でも本発明により得
られた材料が従来の材料よりも優れていることが実証さ
れた。仕上げ処理された製品構造体も同様に従来の公知
のものよりもより有利な収縮特性、伸び特性および弾性
特性を有しており、かつ熱安定性と寸法安定性に優れて
いる。更に、仕上げ処理された材料の最終的な特性を得
るのに、従来公知の材料に比して熱作用に付す時間を短
縮することが可能であることが明らかになった。即ち、
比較的に穏やかな条件下で、より短い滞留時間で繊維材
料の再加熱処理を行うことが可能である。このことは強
度の点でも有利である。 【0035】例えば暖房用ホース、PVC-で積層した織物
などのある種の工業製品にあっては、この収縮率でもな
お高過ぎる場合がある。なぜならこれらの補強材料は更
に加熱前処理することなく直接加硫処理されるかもしく
は積層処理されるからで、この場合収縮率がより低いフ
ィラメント糸を使用する必要がある。このフィラメント
は、延伸ラインのロール機構4の表面を 200℃より高い
温度に加熱し、このロール機構が、ロール機構4とロー
ル機構5との間で或いはロール機構4と巻取り部6との
間でフィラメントに規制された収縮を与えることによっ
て得られる。 【0036】このようにして予備配向率を有する紡糸物
質から造られたフィラメント或いは高い予備配向率を有
しているが、しかし本発明による延伸処理が施されてい
ないフィラメントをこの様に収縮させる場合、 200℃で
約2〜3%という低い熱収縮率を得るため、これらのフ
ィラメントをより高い程度に緩和させる必要がある。こ
の処理は前記したような結果、即ち伸びが著しく上昇
し、弾性が低下するという結果を招く。 【0037】これに反して本発明により造られた糸にあ
っては緩和処理後にあってもなお高い弾性が得られる。
このことは、高い安定度の商値SQにも反映している。本
発明による糸は、例えばラテックス加工の際もう一度熱
処理されるタイヤ等を製造するための撚り糸として使用
するために、また延伸段階の後方の段階で緩和処理を行
ってPVC-被覆した織物等に使用するのに適している。 【0038】 【実施例】以下に実施例により本発明を詳説する。これ
らの実施例から本発明により得られるフィラメントが、
本発明で要件とされるすべての条件を維持した際にのみ
得られることが了解されよう。特に記さない限り百分率
および部の記載は重量単位に関する。例以下に記載の延
伸試験に使用した紡糸材料は公知の技術により以下に記
載のようにして造られた。 【0039】例1〜7および12〜14において使用したポ
リエチレンテレフタレートの顆粒はジクロル酢酸中にお
いて2.120 の相対溶液粘度を示した。例8と9において
は1.990 の相対溶液粘度を有する材料を、例10において
は2.308 の相対溶液粘度を有する材料が使用された。相
対溶液粘度は、通常のように25℃で100ml のジクロル酢
酸中の重合体1.0gの溶液に関して、この溶液が細管粘度
計を通過する時間を測定し、一方同一条件下で純粋な溶
剤の通過時間を測定することによって決定した。使用さ
れるポリエチレンテレフタレートの顆粒は押出機を経て
融出され、紡糸ポンプに供給され、紡糸パックを介して
紡糸された。紡糸パック中に存在しているノズルプレー
トはそれぞれ0.45mmの直径を有する100 個の孔を有して
いる。紡糸ノズルから紡出されるフィラメントは2.120
及び2.308 の相対溶液粘度を有する原料の場合、紡糸口
金プレートの下方に存在しているドイツ連邦共和国特許
公報第2115312 号に記載されているような装置により再
加熱され、引き続き温度26℃の空気が0.5m/秒の速度で
横方向で吹きかけられる。二本のこのようなフィラメン
トは一緒に塗布装置に供給され、紡糸仕上げ液(spin f
inish)を塗布され、各実施例中に記載した速度で引き出
され、巻取られる。次いでフィラメントは紡糸材料の予
備配向率に応じてそれぞれ異なる条件下で、かつ異なる
延伸装置で延伸され、部分的に収縮される。延伸装置は
延伸炉の様式に応じて異なる。 【0040】例において "IR" は加熱ダクトを意味し、
フィラメントはこの中においてセラミック材から成る赤
外線照射器で加熱される。 "空気" とは、糸が横方向に
流れる熱風で加温される炉を意味し、これら両方の場合
において、記載した温度は感知器の温度に関する。炉 "
IR" 内にあって感知器はフィラメントシートの約15mm上
方に存在しており、一方、炉 "空気" 内においてはこれ
らの感知器はフィラメントシートの下方に存在してお
り、空気がフィラメントシートに接触する前の加熱され
た空気の温度を表示する。 【0041】例1には低い予備配向率を有する紡糸フィ
ラメントに関する延伸作業様式が記載されている。記載
された温度はそれ以上高めることはできなかった。なぜ
なら、もしそれ以上高めた場合フィラメントが切れてし
まうからである。例5にあっては滞留時間および温度に
関して例1におけると同様な延伸条件が適用されている
が、供給糸は高い予備配向率を有している。後記の表に
まとめて表示した値を比較した場合、高い予備配向率の
ために収縮率が例1におけるよりもほんの僅か低く、か
つ安定度の商の値もそれほど高くはなく、例1の同様に
良好に固定された糸に比して進歩がそれほど大きくない
ことが見受けられる。しかし例4の値は、感知器により
感知された温度が20℃だけ上昇することによって、著し
く低い収縮率を有する、特許請求の範囲に記載のすべて
の要件を確実に充たす糸を得ることが可能であることを
示している。例6においても加熱機の温度は例4と同じ
温度に高められているが、作業速度を倍の速度に早める
ことにより滞留時間が半分になっている。この差異によ
り延伸張力が著しく上昇し、収縮率と安定度の商の値は
明白に特許請求された範囲外の値を示す。この例は本発
明の要件である延伸条件を維持することが如何に重要で
あるかを示している。なぜなら、この条件を維持しなか
った場合、収縮率を低下させる高い予備配向率が紡糸材
料に与えられているにもかかわらず、熱安定性の点で従
来のフィラメントもしくは糸に劣りさえする糸が得られ
るに過ぎないからである。例8と10にあっては高い予備
配向率を有する紡糸フィラメントに本発明による延伸条
件が適用されている。しかし、使用したフィラメント形
成物質は異なった相対溶液粘度に相応して異なった平均
分子量を有している。 【0042】例7と9においては、延伸工程に引き続い
て収縮工程を行う方法が適用されている。両例の場合糸
材料の達せられた熱収縮率が極めて僅かであるにもかか
わらず弾性はなお実質的に 100%維持されており、特許
請求された安定度の商値も越えている。これに対して、
例2および3に示されているように、この方法を低予備
配向率を有する紡糸フィラメントに適用した場合、例2
におけると同じ弾性度にあっても糸材料の熱収縮率は例
7におけるよりも極めて高い。例3に示したように、確
かに、さらに緩和を行うと熱収縮率の値を更に幾分低下
させるが、それでもこの収縮値は決して例7および9に
示すような低い値には至らない。他方、極めて高い値に
上昇した54cN/texにおける参考伸び率と著しく低下した
弾性度ED20は、 KD-ダイヤグラムにおいてはっきりとし
た "シュリンケージ・サドル" の形成を示している。例
14は、更に特許請求された0.025 の値以下の複屈折率に
まで引き取り速度を増速させることにより予備配向率を
増大させた場合、熱安定性の改善が達せられることを示
している。なぜなら延伸温度も既に幾分高まるからであ
る。しかし、特許請求されている範囲の糸の物理的な値
に達することはできない。例11から13においては横方向
に流れる空気によって作動する延伸炉が使用されてい
る。これら例にあっても延伸温度- この例では延伸域の
終端におけるフィラメントの温度でもあると考えられる
- を上昇させることによって始めて本発明によるフィラ
メントが得られることが再び示されている。例11におい
ては延伸温度を 250℃に高めることによってフィラメン
トの破断が常に伴った。 245℃にあっても幾つかのフィ
ラメントは破断し、しかも他のフィラメントは極めて著
しい毛細破断(capillary break) を示した。例11にあっ
ては0.0033の複屈折率を有しているに過ぎない予配向率
の僅かな供給糸が使用されている。 【0043】 【表1】 【0044】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【図1】第1図は繊度引張強さcN/texと伸び率との関係
曲線図、 【図2】第2図は弾性度ED45と繊度引張強さcN/texとの
関係曲線図、 【図3】第3図は本発明の糸を製造するための好ましい
紡糸装置、 【図4】第4図は繊度引張強さcN/texと熱収縮率S200
との関係曲線図。 図中符号は、 1.....ボビン 2.....ロール機構 3.....炉 4,5.....ロール機構 6.....巻取り部

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.工業分野において使用される未加撚で、高強力のポ
    リエステル・マルチフィラメント糸であって、フィラメ
    ントを形成する物質が約1.90〜約2.20の相対溶
    液粘度(25℃において100mlのジクロル酢酸中の
    1.0gの重合体)に相当する高い平均分子量を有して
    おり、個々のフィラメントが約57%〜約65%の結晶
    化度を有し、かつ糸が、7%未満の200℃での熱収縮
    率S200、少なくとも90%の20cN/texの負
    荷の際の弾性度ED20並びに少なくとも7.5の安定
    度の商値SQを有していることを特徴とするポリエステ
    ル糸。 2.フィラメントを形成する物質が、2重量%以下の他
    のコモノマー単位を有していてもよいポリエチレンテレ
    フタレートから成る請求項1のポリエステル糸。 3.糸が3%未満、有利には2%未満の熱収縮率S200
    有している請求項1または2のポリエステル糸。 4.個々のフィラメントが約60〜約63%の結晶化度を有
    している請求項1〜3のいずれか一つのポリエステル
    糸。
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