JP2830319B2 - 送受信切り換え装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は送受信切り換え装置に関する。

〔発明の概要〕

この発明は、送受信切り換え装置において、信号の1/
4波長の特性インピーダンスラインと、半導体スイッチ
とを組み合わせることにより、信号が半導体スイッチを
通過することなくスイッチングができるようにしたもの
である。

〔従来の技術〕

例えばコードレステレホンは双方向通話であり、自分
の音声信号の送信と、相手からの音声信号の受信とが、
常に同時に行われている。

このため、コードレステレホンにおいては、第５図に
示すように、送信回路（１）及び受信回路（２）は、デ
ュプレクサと呼ばれる分離回路（３）を通じてアンテナ
（４）に接続されている。

このデュプレクサ（３）は、一般に、送信信号を通過
帯域とするバンドパスフィルタと、受信信号を通過帯域
とするバンドパスフィルタとにより構成されている。こ
の方法は、送信周波数と、受信信周波数とが大きく離れ
ている場合には、有効な方法である。

しかし、デジタル移動電話、例えばデジタル自動車電
話の場合、その送信周波数及び受信周波数は800〜900MH
zであり、送信周波数と受信周波数との差は、どのチャ
ンネルでも45MHzである。

したがって、送信回路（１）及び受信回路（２）を、
デュプレクサ（３）を通じてアンテナ（４）に接続しよ
うとすると、送信周波数及び受信周波数が高く、しか
も、両者が近接しているので、デュプレクサ（３）のバ
ンドパスフィルタのカットオフ特性をきわめて急峻にし
なければならない。ところが、そのような特性のバンド
パスフィルタは技術的に困難であり、信号のロスの増
加、大きさ及び重さの増加、価格の上昇などを招いてし
まう。

しかし、デジタル移動電話の場合、双方向通話ではあ
るが、自分の音声信号の送信と、相手からの音声信号の
受信とが、TDMA方式と呼ばれる時分割方式である。した
がって、第６図に示すように、送信回路（１）と、受信
回路（２）とを切り換え回路（スイッチ回路）（５）に
より切り換えてアンテナ（４）に接続することができ
る。

そして、この切り換え回路（５）は、一般には、例え
ば第７図に示すように、構成されている。すなわち、こ
の図において、（11）〜（13）はPINダイオード、（2
1）〜（24）は1/4波長の同軸ラインである。そして、送
信時には、ダイオード（11）がオフ、ダイオード（1
2）、（13）がオン、受信時には、ダイオード（11）は
オン、ダイオード（12）、（13）はオフとされる。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところが、第７図に示す切り換え回路（５）において
は、ダイオード（11）〜（13）が比較的大きな抵抗分を
持ち、Ｑを低下させてしまうので、アイソレーションを
高くとることができない。

さらに、送信信号が、抵抗分の大きいダイオード（1
2）を通過するので、送信信号にロスを生じてしまい、
アンテナ出力が低下してしまう。また、アイソレーショ
ンが低いので、送信信号が受信回路（２）側にも流れ、
さらに、ロスが増加してしまう。

あるいは規定のアンテナ出力を得るには、送信回路
（１）により大きな送信出力を必要とし、電源用の電池
にとって不利である。また、ダイオード（12）における
ロスが大きいので、ダイオード（12）として耐電力の大
きなものを必要とし、コストアップとなってしまう。

さらに、受信信号もダイオード（13）によりロスを生
じるので、受信感度が低下してしまう。

この発明は、以上のような問題点を一掃しようとする
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

この発明の送受信切り換え装置は、送信信号と受信信
号とを選択的に切り換えてアンテナにアクセスする送受
信切り換え装置において、上記送信信号の供給端子とア
ンテナ端子との間に、第１群の伝送ラインが少なくとも
３本複数直列接続され、上記第１群の各伝送ラインの接
続点と接地との間に、第２群の伝送ラインと、第１群の
スイッチング素子とが各列において各々直列接続され、
上記アンテナ端子と上記受信信号の供給端子との間に、
第３群の伝送ラインが少なくとも３本複数直列接続さ
れ、上記第３群の各伝送ラインの接続点と上記接地との
間に、第４群の伝送ラインと第２群のスイッチング素子
とが各列において各々直列接続され、上記第１群および
上記第３群の両端の伝送ラインと、上記第２群および上
記第４群の伝送ラインの長さは、上記送信信号及び上記
受信信号の波長の1/4に選定され、上記第１群および上
記第３群の両端を除く伝送ラインの長さは、上記送信信
号及び上記受信信号の波長の1/2に選定され、上記送信
信号の送信時には、上記第１群のスイッチング素子がオ
ンとされるとともに、上記第２群のスイッチング素子が
オフとされ、上記受信信号の受信時には、上記第１群の
スイッチング素子がオフとされるとともに、上記第２群
のスイッチング素子がオンとされるようにしたものであ
る。

〔作用〕

送信信号及び受信信号は、同軸ラインによりオン・オ
フされる。

〔実施例〕

第１図において、送信回路（１）の出力端が同軸ライ
ン（31）を通じてアンテナ（４）に接続されるととも
に、送信回路（１）の出力端と、接地との間に、同軸ラ
イン（32）と、スイッチングダイオード（41）と、バイ
パスコンデンサ（51）とが直列接続される。

また、アンテナ（４）と受信回路（２）の入力端との
間に、同軸ライン（33）が接続されるとともに、受信回
路（２）の入力端と、接地との間に、同軸ライン（34）
と、スイッチングダイオード（42）と、バイパスコンデ
ンサ（52）とが直列接続される。

さらに、アンテナ（４）と接地との間に、直流ライン
用の高周波チョークコイル（61）が接続されるととも
に、ダイオード（41）とコンデンサ（51）との接続点
と、電源ラインとの間に、スイッチングトランジスタ
（71）のエミッタ・コレクタ間が接続され、ダイオード
（42）とコンデンサ（52）との接続点と、電源ラインと
の間に、トランジスタ（72）のエミッタ・コレクタ間が
接続される。

なお、同軸ライン（31）〜（34）の特性インピーダン
スは、送信回路（１）の出力インピーダンス、アンテナ
（４）のインピーダンス、受信回路（２）の入力インピ
ーダンスに等しくされるとともに、同軸ライン（31）〜
（34）の長さ（実効長）は、送信波長及び受信波長の平
均波長の1/4とされる。また、ダイオード（41）、（4
2）はPINダイオードである。

そして、制御回路（６）からTDMA方式における送信期
間に“1"となり、受信期間に“0"となるスイッチングパ
ルスPsが取り出され、このパルスPsが、トランジスタ
（71）のベースに供給されるとともに、インバータ（7
3）を通じてトランジスタ（72）のベースに供給され
る。

このような構成によれば、送信期間でPs＝“1"のとき
には、トランジスタ（71）がオンとなるので、ダイオー
ド（41）もオンとなり、第２図Ａにその等価回路を示す
ように、同軸ライン（32）のダイオード（41）側の端部
は、ダイオード（41）及びコンデンサ（51）を通じて高
周波的に接地されたことになる。また、このとき、Ps＝
“1"であることにより、トランジスタ（72）がオフとな
るので、ダイオード（42）もオフとなり、同軸ライン
（34）のダイオード（42）側の端部は、開放されたこと
になる。

したがって、この第２図Ａの等価回路は、第４図の説
明に基づいて等価的に同図Ｂのように書き換えることが
でき、さらに、同図Ｃのように書き換えることができ
る。

したがって、送信回路（１）の出力端はアンテナ
（４）に接続され、受信回路（２）の入力端は接地され
たことになるので、送信が行われる。

また、受信期間でPs＝“0"のときには、トランジスタ
（71）がオフとなるので、ダイオード（41）もオフとな
るとともに、トランジスタ（72）がオンとなるので、ダ
イオード（42）もオンとなる。

したがって、この場合には、送信期間とは逆に、送信
回路（１）の出力端が接地され、アンテナ（４）が受信
回路（２）の入力端に接続される。

こうして、この発明によれば、送信回路（１）及び受
信回路（２）は、アンテナ（４）に選択的に接続される
が、この場合、特にこの発明によれば、同軸ライン（3
1）〜（34）にスイッチの機能を与えて送受信の切り換
えを行ってるので、Ｑを低下させることがなく、一般の
切り換え装置では不利になる、送信周波数と受信周波数
とが近くなるほどアイソレーションを高くとることがで
きる。

さらに、送信信号が、抵抗分の大きいスイッチングダ
イオード（41）、（42）を通過することがないので、送
信信号にロスを生じることがなく、アンテナ出力の低下
がない。また、アイソレーションが高いので、送信信号
が受信信号（２）側にも流れることもなく、やはりロス
がない。

あるいは規定のアンテナ出力を得るために、送信回路
（１）の送信出力をむやみに大きくする必要がなく、電
源用の電池にとって有利である。また、スイッチングダ
イオード（41）、（42）に送信信号や受信信号が流れな
いので、ダイオード（41）、（42）は耐電力の小さなも
のでよく、コストダウンができる。

さらに、ダイオード（41）、（42）により受信信号に
ロスを生じることがないので、受信感度が低下すること
がない。

第３図に示す例においては、切り換え回路を多段構成
にした場合である。

すなわち、この例においては、同軸ライン（31A）〜
（34B）、スイッチングダイオード（41A）〜（42B）、
バイパスコンデンサ（51A）〜（52B）、スイッチングト
ランジスタ（71A）〜（72B）が、同軸ライン（31）〜
（34）、スイッチングダイオード（41）、（42）、バン
ドパスコンデンサ（51）、（52）、スイッチングトラン
ジスタ（71）、（72）と同様に多段接続される。ただ
し、同軸ライン（31A）、（31C）、（33A）、（33C）の
長さは、送信波長及び受信波長の平均波長の1/4とされ
るが、同軸ライン（31B）、（33B）の長さは、送信波長
及び受信波長の平均波長の1/2とされる。

このような構成によれば、同軸ライン（31B）、（33
B）は、1/2波長なので、出力端のインピーダンス（開放
あるいはショート）がそのまま入力端に反映されること
になり、上述と同様にして送信回路（１）と、受信回路
（２）とがアンテナ（４）に選択的に接続される。

そして、この例によれば、多段構成とされているの
で、アイソレーションがより高くなる。しかも、送信信
号や受信信号は、同軸ライン（31A）〜（31C）、（33
A）〜（33C）を流れるだけなので、ロスがほとんどな
い。

なお、第３図の例において、同軸ライン（31B）、（3
3B）をPINダイオードとすることもできる。

〔発明の効果〕

この発明によれば、同軸ライン（31）〜（34）にスイ
ッチの機能を与えて送受信の切り換えを行ってるので、
Ｑを低下させることがなく、一般の切り換え装置では不
利になる、送信周波数と受信周波数とが近くなるほどア
イソレーションを高くとることができる。

さらに、送信信号が、抵抗分の大きいスイッチングダ
イオード（41）、（42）を通過することがないので、送
信信号にロスを生じることがなく、アンテナ出力の低下
がない。また、アイソレーションが高いので、送信信号
が受信回路（２）側にも流れることもなく、やはりロス
がない。

あるいは規定のアンテナ出力を得るために、送信回路
（１）の送信出力をむやみに大きくする必要がなく、電
源用の電池にとって有利である。また、スイッチングダ
イオード（41）、（42）に送信信号や受信信号が流れな
いので、ダイオード（41）、（42）は耐電力の小さなも
のでよく、コストダウンができる。

さらに、ダイオード（41）、（42）により受信信号に
ロスを生じることがないので、受信感度が低下すること
がない。

【図面の簡単な説明】

第１図、第３図はこの発明の一例の接続図、第２図はそ
の等価回路図、第４図〜第７図はその説明のための図で
ある。 （31）〜（34）は同軸ライン、（41）、（42）はスイッ
チングダイオード、（51）、（52）はバイパスコンデン
サ、（61）は高周波チョークコイル、（71）、（72）は
スイッチングトランジスタである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】送信信号と受信信号とを選択的に切り換え
   てアンテナにアクセスする送受信切り換え装置におい
   て、 上記送信信号の供給端子とアンテナ端子との間に、第１
   群の伝送ラインが少なくとも３本複数直列接続され、 上記第１群の各伝送ラインの接続点と接地との間に、第
   ２群の伝送ラインと、第１群のスイッチング素子とが各
   列において各々直列接続され、 上記アンテナ端子と上記受信信号の供給端子との間に、
   第３群の伝送ラインが少なくとも３本複数直列接続さ
   れ、 上記第３群の各伝送ラインの接続点と上記接地との間
   に、第４群の伝送ラインと第２群のスイッチング素子と
   が各列において各々直列接続され、 上記第１群および上記第３の両端の伝送ラインと、上記
   第２群および上記第４群の伝送ラインの長さは、上記送
   信信号及び上記受信信号の波長の1/4に選定され、 上記第１群および上記第３群の両端を除く伝送ラインの
   長さは、上記送信信号及び上記受信信号の波長の1/2に
   選定され、 上記送信信号の送信時には、上記第１群のスイッチング
   素子がオンとされるとともに、上記第２群のスイッチン
   グ素子がオフとされ、 上記受信信号の受信時には、上記第１群のスイッチング
   素子がオフとされるとともに、上記第２群のスイッチン
   グ素子がオンとされる ようにした送受信切り換え装置。