JP2802637B2 - 物性バランスの優れた耐衝撃性スチレン系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

物性バランスの優れた耐衝撃性スチレン系樹脂及びその製造方法

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JP2802637B2 JP1050134A JP5013489A JP2802637B2 JP 2802637 B2 JP2802637 B2 JP 2802637B2 JP 1050134 A JP1050134 A JP 1050134A JP 5013489 A JP5013489 A JP 5013489A JP 2802637 B2 JP2802637 B2 JP 2802637B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐衝撃性、光沢、剛性の夫々の特性に優れ
た耐衝撃性スチレン系樹脂、およびその製造方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
ゴム変性されたスチレン系樹脂、即ち耐衝撃性スチレ
ン系樹脂は、ラジオやテレビのハウジング、VTRカセッ
トハーフ等の弱電機器、調味料容器、乳酸菌飲料容器等
の食品容器類、その他玩具等幅広い分野で使われてい
る。
然しながら、上記耐衝撃性スチレン系樹脂は、ゴム状
重合体を加えることにより、剛性や光沢といった特性の
低下を余儀無くされている。
近年、市場の用途拡大や、ABS樹脂(アクリロニトリ
ル・ブタジエン・スチレン樹脂)の用途分野への進出が
進んでいる。
このような背景から、剛性や光沢のさらに優れた耐衝
撃性スチレン系樹脂が強く要望されている。
しかし、一般的に耐衝撃性スチレン系樹脂の各物性
は、樹脂中に分散しているゴム粒子相の大きさや分量に
関係し、剛性や光沢を通常の手法により満足のゆく程度
まで改良すると、耐衝撃性が著しく悪化してしまうこと
になる。
このように、耐衝撃性と光沢、さらに剛性は相反する
特性であるため、高い光沢と剛性を維持し、しかも優れ
た耐衝撃性を有するスチレン系樹脂を得ることは困難で
ある。
従来、耐衝撃性スチレン系樹脂を改良する方法とし
て、溶液粘度の特定化(特開昭58−4934号公報)、溶液
粘度とムーニー粘度の関係の特定化(特開昭53−44188
号公報)、分子量分布の特定化(特開昭54−15912号公
報)、溶液粘度と有機過酸化物架橋体における引張弾性
率、膨潤度の関係の特定化(特開昭60−250021号公報)
などの方法が提案されている。
〔発明が解決しようとしている課題〕
然しながら、これらの方法においては、光沢と耐衝撃
性と剛性の3者のバランスを向上させることについては
必ずしも満足しうるものではない。
また、特開昭60−250021号公報において、低引張弾性
率を有する特定のゴム状重合体を用いることにより、衝
撃強度と剛性がともに優れる耐衝撃性スチレン系樹脂が
得られることが述べられている。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、耐衝撃性と剛性、さらに光沢
のバランスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂を得るため
のゴム状重合体の開発をすべく、特に、ゴム状重合体の
弾性率の低いゴムについて研究を重ねた結果、ゴム状重
合体の弾性率が従来のゴムより大幅に低い領域におい
て、耐衝撃性と剛性に優れ、かつ光沢の良好な樹脂が得
られることを発見した。
即ち、本発明は: (a)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が30〜80、 (b)25℃での5重量%スチレン溶液粘度が20〜60セン
チポイズ、 (c)1,2−ビニル結合含量が10〜40重量%、 (d)その有機過酸化物架橋物における弾性率が10〜18
kg/cm2であり、 有機リチウム系触媒でブタジエン単量体を重合し、得
られる末端リチウム活性重合体を多官能性処理剤で結合
させているポリブタジエン重合体とスチレン系単量体及
び該スチレン系単量体と共重合可能な単量体との混合物
を塊状重合法、塊状懸濁重合法又は溶液重合法で重合さ
せて得られた、耐衝撃性スチレン系樹脂を提供する。ま
た、 (a)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が30〜80、 (b)25℃での5重量%スチレン溶液粘度が20〜60セン
チポイズ、 (c)1,2−ビニル結合含量が10〜40重量%、 (d)その有機過酸化物架橋物における弾性率が10〜18
kg/cm2であり、 有機リチウム系触媒でブタジエン単量体を重合し、得
られる末端リチウム活性重合体を多官能性処理剤で結合
させているポリブタジエン重合体とスチレン系単量体、
及び該スチレン系単量体と共重合可能な単量体との混合
物を塊状重合法、塊状懸濁重合法又は溶液重合法で重合
させる、耐衝撃性スチレン系樹脂の製造方法を提供する
ものである。
ここで、本発明のいう弾性率とは、後述の特定の条件
で架橋させたポリブタジエンの有機過酸化物架橋物にお
ける、後述の特定の条件下で測定する動的弾性率とい
う。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリブタジエンは、特定された構
造を有するポリブタジエンであって以下の特徴を有する
ことが必要である。
すなわち、ムーニー粘度(ML1+4)は30〜80の範囲
にある。ムーニー粘度が30未満では、得られる樹脂の耐
衝撃性が劣り、また80より高い場合では外観特性が劣
る。
さらに、25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度
(SV)は、20〜60センチポイズ(cps)である。溶液粘
度が20cps未満では得られる樹脂の衝撃強度が劣り、60c
psより高い場合には外観特性と剛性が低下する。
次に、本発明で用いられるポリブタジエンの1,2−
ビニル結合含量は、10〜40重量%、好ましくは10〜25重
量%の範囲である。この範囲以外では、得られる樹脂の
衝撃強度が劣る。
本発明のポリブタジエンは1,2−ビニル結合含量が10
〜40重量%であるが、これに伴い、シス−1,4結合含量
は20〜40重量%、トランス−1,4結合含量は30〜60重量
%となる。
さらに、本発明で用いるポリブタジエンの有機過酸
化物架橋体における弾性率は、10〜18kg/cm2である。弾
性率が10kg/cm2未満あるいは、18kg/cm2より高い場合に
は、得られる樹脂の衝撃強度が劣る。
次に、本発明で用いるポリブタジエンの特性の測定方
法について述べる。
ムーニー粘度は、ML1+4(100℃)である。
5重量%スチレン溶液粘度はキャノンフェンスケ型粘
度計を用いて25℃で測定した。
1,2−ビニル結合含量は、赤外分光光度計を用いてモ
レロ法〔La chimica EL'industria,41,758(1959)に
よる〕にて測定した。
本発明でいう弾性率とは、特定の条件で架橋、調製し
た有機過酸化物架橋物を粘弾性測定装置を用いて、特定
の条件で測定した動的弾性率をいうが、以下にその具体
的な条件を述べる。
ポリブタジエンゴム55gと有機過酸化物のジクミルバ
ーオキサイド0.055g(ゴム100重量部に対して0.1重量部
を下記装置に混練する。
混練装置:(株)東洋精機製作所製、 ラボプラストミル(型式LPM−2500−200)、 混練条件:予備混合(サンプル投入); 50℃、10回転、30秒、 ;50℃、50回転、2分間、 この混練物を160℃の温度で200kg/cm2の圧力下、18分
間圧縮成形して、有機過酸化物架橋物のシートを得る。
次いで、この有機過酸化物架橋物のシート成形品より試
験片をカットして、粘弾性測定装置により動的弾性率を
測定する。
(測定条件) 測定機種:(株)岩本製作所VESF−III型、 測定法 :伸長変形(初期荷重一定)、 測定周波数:100Hz、 初期荷重:200g、 加振振幅:300μ、 測定温度:25℃、 サンプル寸法:(幅)5mm×(厚さ)2mm×(長さ)30
mm、 本発明で用いるポリブタジエンゴムは、前述したよう
に、従来の一般的なゴムに比べて有機過酸化物架橋物の
弾性率が低い。このようなポリブタジエンを製造するた
めには、 具体的な方法として、例えば少なくとも有機リチウム
化合物とポリビニル芳香族化合物とを含む反応生成物を
触媒として、ブタジエン単量体を重合し、しかも、ブタ
ジエン単量体を重合させる場合に、バッジ式でしかも触
媒とブタジエンをそれぞれ分割して添加し、反応させ重
合が実質的に完了した後、生成した末端リチウム活性重
合体に多官能性処理剤を結合させる製造方法で、目的と
するポリブタジエンを得るべく製造条件を設定して製造
することである。
ここでいうポリビニル芳香族化合物とは、例えばジビ
ニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3−ジビ
ニルナフタレン、1,3,5−トリビニルナフタレン、2,4−
ジビニルビフェニル、3,5,4−トリビニルビフェニルな
どであり、とくにジビニルベンゼンが好ましい。このジ
ビニルベンゼンには、o−、m−、p−の異性体がある
が、これらの異性体混合物のジビニルベンゼンを用いて
も十分に効果が発揮される。
一方、多官能性処理剤としては、例えばトリクロロメ
チルシラン、ジメチルジクロロシラン、シリコンテトラ
クロライドなどのシラン化合物〔J.polym.sci,A−1,3,9
3(1965)〕,炭酸ジエチルなどの炭酸ジエステル類
(特開昭54−8716号公報)、ジビニルベンゼンなどのジ
ビニル芳香族化合物(特開昭51−34290号公報)、四塩
化炭素などのハロゲン化合物、テトラクロロスズのよう
なスズ化合物など公知のものを使用することができる。
これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上組み
合わせて用いても良い。
さらに、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、
ヘキサメチルホスホルアミド、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフランなどの極性物質を重合系に添加しても良
い。
本発明のポリブタジエンは有機リチウム系触媒でブタ
ジエン単量体を重合し、得られる末端リチウム活性重合
体を多官能性処理剤で結合させているが、結合されて生
成した重合体成分の含量は、全重合体中の20重量%以上
であることが好ましく、50〜95重量%であることがより
好ましい。この結合重合体成分量は、多官能性処理剤と
有機リチウム系触媒の量比によって調整される。
本発明で用いるポリブタジエンの製造例としては、オ
ートクレーブ中にシクロヘキサンを仕込み、テトラヒド
ロフランをシクロヘキサンに対し50ppm〜4000ppm添加す
る。次に、ブタジエンモノマー総使用量の30〜70%を加
えて60〜80℃に昇温後、別にn−ブチルリチウムとブタ
ジエンモノマーとジビニルベンゼンとから調製した反応
生成触媒の総使用量の10〜50%を添加して、反応を開始
する。モノマーの反応が終了後、さらに残りのモノマー
(ブタジエンモノマー総使用量の70〜30%)と残りの触
媒(総使用触媒の90〜50%)を添加して反応を続行す
る。
反応終了後、多官能性処理剤として、四塩化ケイ素を
0.05〜0.15部添加、カップリング処理したうえで、安定
剤を添加し、溶剤を分離し、目的のポリブタジエンを得
る。
このようにして得られたポリブタジエンの分子量分布
については、GPC(ゲル・パーミエーションクロマトグ
ラフィー)で測定した重量平均分子量(w)と数平均
分子量(n)の比(w/n)は通常2.2〜4.2の範囲
にあり、ポリモーダルな形状である。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂を得るために、本発
明で示す特定のポリブタジエン以外の共役ジエン系重合
体を本発明の特定のポリブタジエンと併用することも可
能である。この場合に、その使用量は、全使用ゴム量の
70重量%以下、好ましくは50重量%以下であることが望
ましい。該共役ジエン重合体の例としては、公知のロー
シスBR、ハイシスBR、イソプレンゴム、ランダムSBR、
ブロックSBR等が挙げられる。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂に含まれるゴムの粒
子径は0.5〜5μ、通常は1.5〜3μの範囲である。特に
光沢グレード用としては0.7〜1.5μの範囲のものが好ま
しい。本発明の条件を満足したものであれば、ゴム粒子
径を小さくすると、より高光沢な樹脂が得られる。
このゴム粒子径の分布はコールターカウンターを用い
て測定することができ、その分布については、得られる
分布図において単一でシャープな分布であることが好ま
しいが、ブロードであってもよいし、バイモーダルな分
布であってもよい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂においては、ゲル含
有量(トルエン不溶分の含有量)は7〜40重量%の範囲
であり、また樹脂中のゲル膨潤指数は7〜13の範囲にあ
る。
さらに、樹脂部の分子量は、通常重量平均分子量で15
万〜30万の範囲である。樹脂中に残存するスチレンオリ
ゴマーの量は耐熱性に影響を与えるので、通常は1重量
%以下、特に耐熱性が要求されるものでは0.5重量%以
下であることが望ましい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂を得る方法は、本発
明が満足される様に配慮されている限り、公知の方法を
用いてもよいが、特に塊状重合法、塊状・懸濁重合法が
好ましい。この場合に、強靭化剤としてポリブタジエン
を通常2〜30重量%スチレン系単量体に溶解し、該溶液
を重合して、耐衝撃性スチレン系樹脂を製造する。
以下、塊状重合法と塊状・懸濁重合法の例を述べる。
一般に塊状重合法においては、ゴム状重合体をスチレ
ン単量体に溶解し、必要に応じてトルエンやエチルベン
ゼン等の希釈剤、流動パラフィンやミネラルオイルや有
機ポリシロキサン等の内部潤滑剤、酸化防止剤、メルカ
プタン類やα−メチルスチレン二量体等の連鎖移動剤等
を加える。また、無触媒の場合は、通常95〜200℃にお
いて加熱重合し、触媒重合においては、一般に、より低
い温度において、すなわち60〜150℃において、実質的
にスチレンの重合が完了するまで重合操作が継続され
る。
上記触媒重合の場合は、開始剤として、1,1−ビス(t
ert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス
(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジ−tert−ブチ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等
のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサ
イド、m−トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−ミリス
チルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネイト等のパーオキシジカーボネート類;t
ert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ter
t−ブチルパーオキシアセテート、ジ−tert−ブチルパ
ーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシベン
ゾエート等のパーオキシエステル類;シクロヘキサノン
パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等
のケトンパーオキサイド類;p−メンタハイドロパーオキ
サイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキ
サンカーボニトリル等のアゾ化合物類などが用いられ
る。これらは1種あるいは2種以上の組合せで用いられ
る。
さらに必要に応じて、連鎖移動剤、例えばメルカプタ
ン類、α−メチルスチレンリニアダイマー、テルピノー
レンを用いることができる。
この塊状重合に際しては、しばしば公知の内部潤滑
剤、たとえば流動パラフィンが、重合体100重量部に対
して1〜5重量部添加される。
重合終了後、生成ポリマー中に少量(1〜20%)の未
反応スチレンを含有する場合は、かかるスチレンを公知
の方法、たとえば減圧除去あるいは揮発分除去の目的に
設計された押出装置で除去するなどの方法によって除去
することが望ましい。
かかる塊状重合中の撹拌は、必要に応じて行われる
が、スチレンの、重合体への転化率、すなわちスチレン
の重合率が60%以上まで進んだ後、撹拌を停止するか緩
和するのが望ましい。過度の撹拌は得られる重合体の強
度を低下させることがある。
また、必要ならば、少量のトルエン、エチルベンゼン
等の希釈剤の存在下で重合し、重合終了後に未反応スチ
レンとともにこれら希釈剤は加熱除去してもよい。
また塊状・懸濁重合法においては、まず前半の反応を
塊状で行い、後半の反応を懸濁状態で行うものである。
すなわち、ゴム状重合体のスチレン溶液を先の塊状重合
の場合と同様に無触媒下で加熱重合または触媒添加重合
し、スチレンの通常50%以下、好ましくは10〜40%まで
を部分的に重合させる。これが前半の塊状重合である。
次いで、この部分的に重合した混合物を懸濁安定剤ま
たはこれと界面活性剤の両者の存在下に水性触媒中に撹
拌下に分散させ、反応の後半を懸濁重合で完結させ、最
終的に洗浄、乾燥し、必要によりペレットまたは粉末化
し、実用に供するものである。
以上の他、これらの方法は改変、改良を行った従来公
知の方法により、有用な耐衝撃性スチレン系樹脂が得ら
れる。
また、本発明における特定のポリブタジエンとともに
耐衝撃性スチレン系樹脂を形成するスチレンの一部をス
チレン以外のスチレンとラジカル共重合可能な単量体で
置換してもよい。かかるスチレン以外の共重合可能な単
量体は、スチレンを含む全単量体中の50重量%以下の範
囲で用いられる。
このようなスチレン以外の共重合可能な単量体として
は、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチ
ルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等のモ
ノビニル芳香族炭化水素;ブタジエン、イソプレン等の
共役ジエン類;またはアクリロニトリル、メタクリル酸
メチル、無水マレイン酸などから選ばれた一種または二
種以上のモノマーが用いられる。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂は、照射成形、押出
成形等の加工法で多種多様に実用上有用な製品として使
用できる。さらに加工に際し、必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤、難撚剤、滑剤、離型剤、充填剤、有
機ポリシロキサン等の各種添加剤、さらに他の熱可塑性
樹脂たとえば一般用ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポ
リフェニレンエーテル、ポリカーボネート、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体樹脂、メチルメタクリレー
ト−スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸−スチレン
共重合体樹脂などと混合して用いてもよい。
〔実施例〕
以下に若干の実施例を示し、本発明の具体的実施態様
を示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明する
ためのものであって、本発明を限定するものではない。
(1)ポリブタジエン試料の製造 次に示す方法により、表−1の仕込み量及び条件で、
ポリブタジエンを得た。
内容積10のオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換
後、予め精製、乾燥したシクロヘキサンとテトラヒドロ
フランを加え、次に、乾燥した初期ブタジエンモノマー
を加えた。次いで、この溶液を反応開始温度まで昇温
し、初期触媒を加え、反応を開始した。反応終了後、引
き続いて、添加触媒と添加ブタジエンモノマーを加え、
反応を続け、反応終了後、四塩化ケイ素を加え、20分間
反応した。反応終了後、得られたポリマー溶液に安定剤
として2,6−ジ−t−4−メチルフェノール(BHT)をポ
リマー100重量部に対し0.5重量部加えて、溶媒を2本ロ
ールにて加熱除去した。
このポリブタジエンの製造に用いた有機リチウム基質
触媒の調製方法を表−Aに示す。
有機リチウム基質触媒A,B,Cは、夫々表−Aの調製
比、条件で反応調製した。
ジビニルベンゼンは、商業的に手に入るジビニルベン
ゼンを用いた。この製品は、57%のジビニルベンゼン異
性体を含有する混合物で、その残部はエチルビニルベン
ゼン、ジエチルベンゼンであった。
(II)耐衝撃性スチレン系樹脂の製造 表−1の各ポリブタジエンを用いて、以下に述べる塊
状重合法により耐衝撃性スチレン系樹脂を得た。
すなわち、ポリブタジエン、スチレン、ミネラルオイ
ル、安定剤(イルガノックス1076)を表−2の割合に混
合し、均一に溶解させる。
これを撹拌装置付1セパラブルフラスコに移し、12
0℃で3時間、135℃で2時間、150℃で2時間、170℃で
2時間重合させた。さらに230℃で30分間加熱後、未反
応物を減圧除去した後、得られた重合体を押出機でペレ
ット化した。
アイゾット衝撃強度は、圧縮成形によって作成した厚
さ3.2mmの試験片を用い、JIS K−7100に従って測定し
た。
光沢は、ダンベル試験片を用いてASTM D−523に従
って、ゲート部とエンドゲート部の光沢度(入射角60
゜)を測定し、平均した。
曲げ弾性率は、圧縮成形によって作成した厚さ3.2mm
の試験片を用い、ASTM D−790に従って測定した。
得られた結果を表−2に示す。表−2の実施例、比較
例の結果から明らかなように、本発明の耐衝撃性ポリス
チレン樹脂は、光沢、剛性が優れ、同時に耐衝撃性の改
良された樹脂であることが分かる。
これに対して、比較例の結果から明らかなように、本
発明以外の耐衝撃性ポリスチレン樹脂は、光沢、耐衝撃
性のいずれかの特性が劣る。
〔発明の効果〕 本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、十分な耐衝
撃性を有し、しかも剛性と光沢が優れているため、電気
製品や高級玩具等の従来ABS樹脂が用いられていた分野
への使用が可能となるなど、特に光沢と耐衝撃性が共に
要求される分野に広範囲に使用できる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 279/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が
    30〜80、 (b)25℃での5重量%スチレン溶液粘度が20〜60セン
    チポイズ、 (c)1,2−ビニル結合含量が10〜40重量%、 (d)その有機過酸化物架橋物における弾性率が10〜18
    kg/cm2であり、 有機リチウム系触媒でブタジエン単量体を重合し、得ら
    れる末端リチウム活性重合体を多官能性処理剤で結合さ
    せているポリブタジエン重合体とスチレン系単量体及び
    該スチレン系単量体と共重合可能な単量体との混合物を
    塊状重合法、塊状懸濁重合法又は溶液重合法で重合させ
    て得られたことを特徴とする、耐衝撃性スチレン系樹
    脂。
  2. 【請求項2】(a)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が
    30〜80、 (b)25℃での5重量%スチレン溶液粘度が20〜60セン
    チポイズ、 (c)1,2−ビニル結合含量が10〜40重量%、 (d)その有機過酸化物架橋物における弾性率が10〜18
    kg/cm2であり、 有機リチウム系触媒でブタジエン単量体を重合し、得ら
    れる末端リチウム活性重合体を多官能性処理剤で結合さ
    せているポリブタジエン重合体とスチレン系単量体、及
    び該スチレン系単量体と共重合可能な単量体との混合物
    を塊状重合法、塊状懸濁重合法又は溶液重合法で重合さ
    せることを特徴とする、耐衝撃性スチレン系樹脂の製造
    方法。
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