JP2588701B2 - ゴム変性されたスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性されたスチレン系樹脂組成物

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JP2588701B2 JP61216985A JP21698586A JP2588701B2 JP 2588701 B2 JP2588701 B2 JP 2588701B2 JP 61216985 A JP61216985 A JP 61216985A JP 21698586 A JP21698586 A JP 21698586A JP 2588701 B2 JP2588701 B2 JP 2588701B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高い光沢と優れた耐衝撃性を有し、かつ良
好な剛性をも有するゴム変性されたスチレン系樹脂組成
物に関するものである。
[従来の技術] 近年、ゴム変性されたスチレン系樹脂、即ち耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物は、その製法技術の進歩と共に増
々高性能化、特にABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジ
エン・スチレン樹脂)の用途分野への進出が注目されて
いる。
しかしながら、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物をABS
樹脂と代替して用いる場合の最大の問題点は、耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物の光沢が劣ることであり、また光
沢を通常の手法により満足のゆく程度まで改良すると剛
性は向上するが耐衝撃性が著しく悪化してしまうことに
ある。
かかる現象を生ずる理由は、一般的には耐衝撃性スチ
レン系樹脂組成物中に分散しているゴム粒子相の大きさ
に関連し、通常耐衝撃性スチレン系樹脂組成物として適
正なゴム粒子径は1.8〜4.0μであり、これではABS樹脂
代替時光沢不足が問題となる。そこで最近では光沢を改
良するためゴム粒子径を例えば1.7μ以下と小さくコン
トロールする方法が採用されているが、これでは落錘衝
撃強度及びアイゾット衝撃強度のいずれもが劣り実用に
耐え難いというのが現状である。従って、高い光沢と優
れた耐衝撃性を有し、かつ良好な剛性をも有するスチレ
ン系樹脂組成物の開発が待たれていた。
一方、本発明者等は、先に特公昭58−4934号にて、耐
衝撃性の優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を見い出
した。
上記発明はポリブタジエン含量が8〜25重量%の耐衝
撃性スチレン系樹脂組成物の製造方法で、特殊なポリブ
タジエンゴム即ち、1,2−ビニル15〜35%、1,4−シス20
〜85%であり、かつムーニー粘度(ML1+4)が25以上
100未満、25℃で測定した5重量%スチレン溶液粘度(S
V)が20cps以上50cps未満で、0.5ML1+4≦SV<1.5ML
1+4の範囲にあるポリブタジエンゴムを用いる方法で
ある。
さらに、特開昭59−217712号にて、上記発明のポリブ
タジエンゴムのうち、さらに限定化したものを用いるこ
とにより、高い光沢と優れた耐衝撃性を有する耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物を見い出した。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、この方法においては、光沢と耐衝撃性
と剛性の3者のバランスを向上させることについて必ず
しも満足しうるものではない。
そこで本発明者等は、光沢、耐衝撃性、剛性の3者の
バランスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得る
ためのポリブタジエンゴムについて鋭意研究したとこ
ろ、驚くべきことに特定のミクロ構造、溶液粘度を有
し、しかも溶液粘度とムーニー粘度の関係が特定の関係
にあるポリブタジエンゴムを用い、得られる耐衝撃性ス
チレン系樹脂組成物のゴム粒子相の平均粒径を特定の範
囲にコントロールすることにより、光沢、耐衝撃性、剛
性の3者のバランスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物が得られることを見出し、本発明に至った。
[問題点を解決するための手段] すなわち、本発明はポリブタジエンゴム4〜25重量%
を含有するスチレン系単量体またはスチレン系単量体と
これと共重合可能な単量体との混合物をラジカル重合し
て得られる、樹脂中に分散しているゴム粒子相の平均粒
径が0.5〜1.7μであるゴム変性されたスチレン系樹脂組
成物であって、用いるポリブタジエンゴムが1,2−ビニ
ル含量10〜35%、1,4−シス含量20〜85%で、かつムー
ニー粘度(ML1+4)25〜70、25℃で測定した5重量%
スチレン溶液粘度(SV)52〜90cpsで 0.5ML1+4≦SV<1.5ML1+4 の関係にあるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フ)の分子量分布曲線がポリモダールのポリブタジエン
ゴムであることを特徴とするゴム変性されたスチレン系
樹脂組成物である。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は特定のポリ
ブタジエンゴムを用いることにより、始めて達成出来る
ことを見出したことに特徴があるが、該ポリブタジエン
ゴムは、一般に市販されているものと比較して極めて特
殊なポリブタジエンゴムである。
即ち、本発明に用いるポリブタジエンゴムは通常その
ミクロ構造から考えて、有機リチウム系触媒によって重
合し得ることが一般的であるが、市販の有機リチウム系
触媒によるポリブタジエンはSV>3.0ML1+4が大部分
であるのに対し、本発明に用いられるポリブタジエンゴ
ムは0.5ML1+4≦SV<1.5ML1+4であり、ムーニー粘
度の割には、SVが低いタイプのものである。そのため、
該ポリブタジエンゴムの重合技術においても工夫が必要
であるが、ゴム製造時にゴム重合溶液の撹拌輸送に好都
合であり、かつゴム貯蔵時のコールドフローが小さいと
いう工業的に極めて有利な面を有している。又耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物製造時、スチレンに溶解した時の
溶液粘度が比較的低いため、ゴム粒子径のコントロール
性に優れているばかりでなく、撹拌・輸送にも好都合で
あるという工業的に有利な面も有している。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いられる特定のポリブタジエンゴムは、有
機リチウム化合物を触媒として溶液重合することにより
得ることが出来る。有機リチウムとしては、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム等の有機モノリチウム
が一般的であるが、さらに特開昭57−40513号に示され
る様に、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、14−
ジリチオ−2−エチルシクロヘキサンの如き多官能性有
機リチウムと有機モノリチウムとの混合物、或いは有機
モノリチウムとポリビニル芳香族化合物(例えばジビニ
ルベンゼン)の二者を含む反応生成物等がある。
本発明で用いる特定のポリブタジエンゴムは、1,2−
ビニル含量が10〜35%であり、1,4−シス含量が20〜85
%である。この範囲外であれば特に落錘衝撃強度が劣
る。
このような特定のミクロ構造を有するポリブタジエン
ゴムを製造する方法は、上記構造になるような方法であ
れば従来公知のいかなる方法であってもよいが、具体的
な方法として、たとえば重合系にジメチルエーテル、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、
ジメチルサルファイド、ジエチルサルファイド等のチオ
エーテル類、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリ−n−プロピルアミン等のアミン類などの極性
化合物を添加して重合を行なう方法が挙げられる。ビニ
ル結合は、分子鎖中に均一にあっても、特公昭48−875
号に示されるように分子鎖に沿って漸減的に変化するよ
うなものでも、あるいはブロック的に結合していてもよ
く、全体として10〜35重量%含まれていればよい。
1,2−ビニル結合を分子鎖中に均一になるように重合
するには、通常重合開始温度を30〜90℃とし、できるか
ぎり低温重合する方法がとられる。
また、1,2−ビニル結合を分子鎖に沿って漸減的に変
化するように重合するためには、重合を昇温下で実施す
る方法、すなわち、通常重合開始温度を30〜80℃とし、
重合終了温度を85〜120℃とする方法が用いられる。
本発明で用いるポリブタジエンゴムは、ムーニー粘度
(ML1+4)25〜70であり、25℃で測定した5重量%ス
チレン溶液粘度(SV)52〜90cps、好ましくは52〜70cp
s、さらに好ましくは52〜60cpsであり、かつML1+4
SVの関係が0.5ML1+4≦SV<1.5ML1+4、好ましくは
0.7ML1+4≦SV<1.5ML1+4、さらに好ましくは0.95
ML1+4≦SV<1.5ML1+4にある。ムーニー粘度25未
満では、得られる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の落錘
衝撃強度及びアイゾット衝撃強度が劣り、ムーニー粘度
70を越えると、ゴムをスチレンに溶解する時に時間がか
かり、さらにゴム製造時の乾燥が困難であり、工業的に
不利である。
また、SV52cps未満では、得られる耐衝撃性スチレン
系樹脂組成物の剛性が劣り、SV90cpsを越えると、分散
ゴム粒子相を0.5〜1.7μに調整することが難しく、従っ
て光沢が劣るばかりでなく剛性も劣る。
驚くべきことは、用いるポリブタジエンゴムが0.95ML
1+4≦SV<1.5ML1+4であり、かつ分散ゴム粒子相
が0.5〜1.7μの場合、SV52〜70cps、さらに好ましくは5
2〜60cpsのポリブタジエンを用いた場合、光沢性と耐衝
撃性と剛性のバランスが特に優れていることを見い出し
たことである。
また、0.5ML1.4>SVでは、分散ゴム粒子相を0.5〜1.7
μに安定にコントロールすることが難しくなり、落錘衝
撃強度、剛性が劣る。SV≧1.5ML1+4では、剛性と光
沢が劣る。
本発明を構成する特定のポリブタジエンゴムの含量は
4〜25重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。
上記範囲が好ましい理由は、用いるポリブタジエンゴ
ムが、0.5ML1+4≦SV<1.5ML1+4という特定のゴム
であること及び分散ゴム粒子相が0.5〜1.7μであること
と深く関係している。即ち、ゴムの含量が4重量%未満
では、光沢及び落錘衝撃強度、アイゾット衝撃強度、剛
性が特長を失い、ゴム含量が25重量%を越えると、剛性
が劣ると共に溶液粘度が高くゴム粒子径の調整が困難に
なる。
本発明に用いられるポリブタジエンゴムは、前述した
ようにそのML1+4とSVの関係が極めて特殊な上にSVが
低いため、このようなポリブタジエンゴムを得るには若
干の工夫が必要である。具体的な方法は、たとえば、重
合系中に若干量のジビニルベンゼンを添加して重合する
方法(特公昭39−17074号参照)、またはリビングポリ
マーを四塩化ケイ素、メチルトリクロルシラン、四塩化
スズ、四塩化炭素等のハロゲン化物類、アジピン酸ジエ
チル等のジエステル類等の多官能性カップリング剤でカ
ップリング反応させること〔たとえば、Journal of Pol
ymer Science Part A,Vol 3,93〜103(65)、英国特許
第1223079号等〕によって行なう方法も有用である。こ
の場合、多官能性カップリング剤は、それぞれ単独で用
いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記リビングポリマーを、多官能性カップリング剤で
カップリングする場合、そのリビングポリマーの重合法
として単にn−ブチルリチウムの如き有機モノリチウム
で重合する方法、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタ
ンの如き有機ジリチウムを有機モノリチウムとの混合物
で重合する方法、有機モノリチウムとポリビニル芳香族
化合物(例えばジビニルベンゼン)の二者を含む反応生
成物で重合する方法等がある。
かかる方法によって本発明に用いる特定のポリブタジ
エンゴムが製造可能であるが、前記範囲を満足するなら
ば、これ以外の従来公知の方法を用いてもよい。
このようにして得られたポリブタジエンゴムの分子量
分布については、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)の分子量分布曲線がバイモダール、トリモ
ダールなどのポリモダールであり、バイモダールが好ま
しい。バイモーダルの場合、高分子量側ピークの全重合
体ピークに対する面積比は65〜95重量%であることが好
ましい。さらに重量平均分子量()と数平均分子量
)の比(W/)は通常1.2〜4.5の範囲である
のが好ましい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物中に分散して
いるゴム粒子相の平均粒径は0.5〜1.7μの範囲になけれ
ばならない。ゴム粒子径が0.5μ未満では、得られる該
樹脂組成物の落錘衝撃強度、アイゾット衝撃強度が共に
劣り、ゴム粒子径が1.7μを越えると、光沢、剛性が劣
る。
粒子径分布については、得られる分布図において単一
でシャープな分布であることが好ましいが、ブロードで
あってもよいし、バイモーダルな分布であってもよい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物においては、
ゲル含有量(トルエン不溶分の含有量)は12〜40重量
%、樹脂組成物中のゲルの膨潤指数は7〜13の範囲にあ
るのが好ましい。さらに、樹脂部の分子量は通常重量平
均分子量で10万〜40万が好ましく、より好ましくは18万
〜28万の範囲である。樹脂中に残存するスチレンオリゴ
マーの量は耐熱性に影響を与えるので、通常は1重量%
以下が好ましく、特に耐熱性が要求されるものでは0.5
重量%以下であることが望ましい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得る方法に
ついては、本発明の要件を満足しうるように配慮されて
いるかぎり、特に制限がなく公知の方法を用いることが
できるが、通常塊状重合又は塊状懸濁重合が工業的に有
利に用いられる。
一般に塊状重合においては、特定の共役ジエン重合体
ゴムをスチレンに溶解し、無触媒の場合は、通常95〜20
0℃の温度において加熱重合を行い、一方触媒重合にお
いては、通常より低温、例えば60〜180℃の温度でスチ
レンの重合操作が継続される。
触媒重合の場合は、開始剤として、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキル
パーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−ト
ルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等
のジアシルパーオキサイド類、ジ−ミリスチルパーオキ
シジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオ
キシアセテート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタ
レート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオ
キシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド、メ
チルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサ
イド類、p−メンタハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド等のハイドロパーオキサイド類、アゾビスイソブチ
ロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル等
のアゾ化合物類などが用いられる。これらは1種あるい
は2種以上の組み合わせで用いられる。さらに必要に応
じて、連鎖移動剤例えばメルカプタン類、α−メチルス
チレンリニアダイマー、テルピノーレンを用いることが
できる。
また、この塊状重合においては、所望に応じ、公知の
内部潤滑剤、例えば流動パラフィンを重合体100重量部
に対し1〜5重量部程度添加してもよい。重合終了後、
生成ポリマー中に未反応スチレンが含有する場合は、こ
のスチレンを公知の方法、例えば減圧除去あるいは揮発
分除去の目的で設計された押出装置で除去する方法など
によって除去することが望ましい。塊状重合中、必要に
応じて撹拌を行うことができるが、スチレンの重合体へ
の転化率、すなわち重合率が30%以上進んだあとは、撹
拌は停止するか又は緩和することが望ましい。過度のか
きまぜは得られる重合体の強度を低下させることがあ
る。また、必要ならば少量のトルエン、エチルベンゼン
などの希釈剤の存在下で重合し、重合終了後に未反応ス
チレンとともにこれら希釈剤を加熱除去してもよい。
また、塊状懸濁重合も本発明の耐衝撃性スチレン系樹
脂組成物の製造に有用である。この方法においては、ま
ず前半の反応を塊状で行い、後半の反応を懸濁重合で行
う。すなわち、特定の共役ジエン重合体ゴムのスチレン
溶液を、前記の塊状重合の場合と同様に、無触媒下での
加熱重合又は触媒添加重合を行って、通常スチレンの50
%以下、特に好ましくは10〜40%までを部分的に重合さ
せる。これが前半の塊状重合である。次いでこの部分的
に重合した混合物を懸濁安定剤又はこれと界面活性剤と
の組合せの存在下に、水性媒体中にかきまぜながら分散
させ、反応の後半を懸濁重合によって完結させる。生成
したポリマーは洗浄、乾燥し、必要に応じてペレット又
は粉末にする。
以上の他に、これらの方法の改質や改良を行った従来
公知の方法によっても、有用な耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物が得られる。また、特定の共役ジエン重合体ゴム
とともに耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を形成するスチ
レンの一部を、スチレン以外のスチレンとラジカル重合
可能な単量体で置換してもよい。このような単量体は、
スチレンを含む全単量体中の50重量%以下の範囲で用い
られる。スチレン以外の共重合可能な単量体としては、
例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエ
チルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンなど
のモノビニル芳香族炭化水素、ブタジエン、イソプレン
などの共役ジエン類、アクリロニトリル、メタクリル酸
メチルなどが挙げられる。これらの単量体は1種用いて
もよいし、2種以上用いてもよい。
[発明の効果] 本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、射出成
形、押出成形などの加工法で多種多様に実用上有用な製
品として使用しうる。さらに加工に際し、必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、離型剤、充
填剤など、また他の熱可塑性樹脂、例えば一般用ポリス
チレン、メタクリル樹脂、ポリフェニルエーテル、ポリ
カーボネート、スチレン・ブタジエンブロック共重合体
樹脂、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂、無
水マレイン酸・スチレン共重合体樹脂などと混合して用
いてもよい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、従来の耐
衝撃性スチレン系樹脂組成物と比較して、光沢、耐衝撃
性、剛性の3者のバランスに優れるものであり、従来AB
S樹脂が使われていた用途にも使用可能であり、その応
用範囲は広く、本発明の工業的意義は極めて大きい。
[実施例] 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではな
い。
実施例1 次に示す方法により、第1表に示す仕込み量でポリブ
タジエンゴムを重合した。
内容積10の撹拌装置、ジャケット付のオートクレー
プを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製、乾燥した1,3
−ブタジエンとn−ヘキサンを加え、次いで1,2−ビニ
ル調整剤としてテトラヒドロフランを加え、さらにn−
ブチルリチウムの5重量%n−ヘキサン溶液を加えて、
70℃にて重合を開始した。重合温度は約100℃まで上昇
した。重合開始から30分後、得られたポリマーに多官能
性カップリング剤として四塩化ケイ素を加えて30分間反
応させた。
得られたポリマー溶液にBHT(ブチルヒドロキシトル
エン)をゴム100重量部当り0.5重量部加え、溶媒を二本
ロールにて加熱除去し、第1表の試料1〜7のポリブタ
ジエンゴムを得た。5重量%スチレン溶液粘度は、キヤ
ノンフェンスケ型粘度計を用いて25℃にて測定した。
ミクロ構造は、赤外分光々度計を用いてモレロ法〔L
a.chimica E Lindustria,41,758(1959)による〕にて
測定した。
第1表の各ゴムを用いて、以下に述べる塊状重合法に
より耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得た。
即ち、第1表の各種ゴムをそれぞれ7.5重量部をスチ
レン92.5重量部トルエン10重量部に均一に溶解させた。
これを撹拌装置、ジャケット付反応器に移し、スチレン
1モルに付き、1×10-4モルのジ−tert−ブチルパーオ
キサイドを加えて110℃で3時間、140℃で5時間160℃
で2時間反応させた。
反応中、ゴム粒子相の平均粒径が約1〜1.8μになる
様撹拌数をコントロールした。
得られた重合体を230℃にて未反応物を減圧除去後、B
HTを重合体100重量部当り0.5重量部添加し、押出機にて
ペレット化した。ゴム粒子径はコールターカウンターを
用いて測定し50%メジアン径として表現した。アイゾッ
ト衝撃強度は圧縮成形によって作製した厚さ3.2mmの試
験片を用い、JIS K−7110に従って測定した。
落錘衝撃強度は以下に示す光沢測定用の射出成形板を
用いて測定した。剛性の判定として曲げ弾性率をASTM D
790に従って測定した。光沢は150mm×150mm、厚さ2mmの
片ピンゲート付金型で射出成形を行ない、ゲート部とゲ
ート反対側部の光沢の平均値をJIS K 8741に従って測定
した。得られた結果を第2表に示す。
第2表から実施例Bが光沢と耐衝撃性と剛性のバラン
スが最も優れ、比較例Aでは剛性が劣り、比較例Gでは
剛性と光沢が劣っていることがわかる。
実施例2 第3表に示す様な5重量%スチレン溶液粘度(SV)と
ムーニー粘度(ML1+4)との比SV/ML1+4の異なる
6種のポリブタジエンゴムを重合した。
用いた触媒はn−ブチルリチウムであり、多官能性カ
ップリング剤としては四塩化ケイ素であり、両者の使用
量を変えること以外は実施例1と同様の要領にて重合し
た。
上記6種のポリブタジエンゴムを用いて、それぞれゴ
ム含量約7重量%、ゴム粒子径約1μの耐衝撃性スチレ
ン系樹脂組成物を塊状懸濁重合法によって得た。
即ち、第3表の各種ゴムをそれぞれ7重量部をスチレ
ン93重量部に均一に溶解させた。これを撹拌装置、ジャ
ケット付反応器に移し、tert−ドデシルメルカプタン0.
06重量部を添加して、該溶液を無触媒下に120℃で5時
間撹拌しつつ加熱し、スチレンの約35%が重合した溶液
に、該溶液100重量部当り、トリスノニルフェニルフォ
スファイト0.3重量部とジ−tert−ブチルパーオキサイ
ド0.1重量部を添加した。
一方、0.2重量部の懸濁安定剤ポリビニルアルコー
ル、及び0.75重量部の界面活性剤ドデシルベンゼンスル
フォン酸ナトリウムを150重量部の水に溶解し、上述の
部分重合体100重量部を懸濁させ、この懸濁混合物を撹
拌しつつ120℃で6時間、次いで130℃で3時間加熱して
スチレンの重合を実質的に完了させ、懸濁粒子状の耐衝
撃性スチレン系樹脂組成物を得た。これを遠心分離によ
り、反応混合物より分離し、温水で洗浄し空気乾燥し
た。ゴム粒子径は、反応器の撹拌装置の回転数を調整す
ることにより、約1μに調整した。
得られた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の物性を実施
例1と同じ方法にて測定した。その結果を第4表に示
す。
第4表から実施例KとLでは光沢と耐衝撃性と剛性の
バランスに優れ、比較例MとNではこれらのバランスが
やや劣り、比較例Jでは剛性と光沢が劣り、比較例Oで
は落錘衝撃強度と剛性が劣ることがわかる。
実施例3 第5表に示す2種のポリブタジエンゴムを重合した。
但し、実施例1では触媒としてn−ブチルリチウムを用
いたが、実施例3では以下に示す方法にて調整したn−
ブチルリチウムとジビニルベンゼンの二者を含む反応生
成物を触媒として用いた。
即ち、n−ブチルリチウム13.5重量部、ジビニルベン
ゼン4.11重量部、ブタジエンモノマー100重量部をn−
ヘキサン700重量部に加えて、70℃で40分反応させたも
のを触媒として用いた。この調整触媒を重合系に添加す
る場合はn−ブチルリチウムに換算した量で表現した。
ジビニルベンゼンは、市販のものを用いた。この製品は
ジビニルベンゼン異性体を含有する混合物で、その残部
はエチルビニルベンゼン、ジエチルベンゼンである。
又、多官能性カップリング剤として四塩化ケイ素を用
い、上記調整触媒と四塩化ケイ素の使用量を変えること
以外は実施例1と同様の要領にて重合した。
第5表のポリブタジエンゴムを用いて、実施例1と同
様の要領にて塊状重合法にて耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物を得た。ゴム含量は第6表に示す様に、それぞれ約
11%と約3.5%のものを調整した。またゴム粒子径は、
反応器の撹拌装置の回転数を調整して約1.5μに調整し
た。
得られた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の物性を実施
例1と同じ方法にて測定した。その結果を第6表に示
す。
第6表から、比較例Qと同Sを比較するとほぼ同等の
光沢と耐衝撃性を示すが、実施例Pと比較例Rを比較す
ると、前者は光沢と剛性が優れていることがわかる。
実施例4 本発明のゴム変性されたスチレン系樹脂組成物をポリ
フェニレンエーテル(PPE)にブレンドした例を第7表
に示す。
2,6−ジメチルフェノール、臭化第二銅、ジ−n−ブ
チルアミン及びトルエンの混合溶液中に酸素を吹き込み
ながら[η]0.42(クロロホルム、30℃測定)のポリフ
ェニレンエーテルを得た。
ポリフェニレンエーテルにブレンドした重合にブレン
ド物のアイゾット衝撃強度が優れる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリブタジエンゴム4〜25重量%を含有す
    るスチレン系単量体またはスチレン系単量体とこれと共
    重合可能な単量体との混合物をラジカル重合して得られ
    る、樹脂中に分散しているゴム粒子相の平均粒径が0.5
    〜1.7μであるゴム変性されたスチレン系樹脂組成物で
    あって、用いるポリブタジエンゴムが1,2−ビニル含量1
    0〜35%、1,4−シス含量20〜85%で、かつムーニー粘度
    (ML1+4)25〜70、25℃で測定した5重量%スチレン
    溶液粘度(SV)52〜90cpsで 0.5ML1+4≦SV<1.5ML1+4 の関係にあるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
    フ)の分子量分布曲線がポリモダールのポリブタジエン
    ゴムであることを特徴とするゴム変性されたスチレン系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリブタジエンゴムが、GPC(ゲルパーミ
    エーションクロマトグラフ)の分子量分布曲線がバイモ
    ダールのポリブタジエンゴムであることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項に記載のゴム変性されたスチレン系
    樹脂組成物。
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