JP3688069B2 - 樹脂シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明で青白さが少なく、剛性と耐衝撃性に優れた樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体樹脂は押出成形、射出成形、中空成形、真空成形等の成形が容易に実施できることから食品成形容器、家庭用品、電気部品、工業用品等の素材として幅広い用途に使用されている。しかしながら、これらのブロック共重合体樹脂は透明ではあっても剛性と耐衝撃性のバランスの点では必ずしも満足できるものではなかった。そこで、これらの改良を目的として種々の方法が試みられている。特公昭52−16496号公報、特公昭59−37299号公報ではゴム変性ポリスチレンとスチレン−ブタジエンブロック共重合体からなる組成物が衝撃強度、伸び、折曲白化、ひんじ特性及び表面光沢に優れることを報告している。特開昭54ー62251号公報、特開昭52ー136253号公報では剛性を改良する手段としてブロック共重合体樹脂とポリスチレンの組成物が報告されており、特開昭57ー21442号公報、特開昭59ー187048号公報では耐衝撃性を改良する手段としてブロック共重合体樹脂とスチレン含量の少ないエラストマーの組成物が報告されている。また、本出願人は、特願平7−17419号(特開平8−193116号公報)でこれらを改良した耐衝撃性透明樹脂組成物を提案したが、シートとしてはなお十分なものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の技術の組成物では、成形品の青白さ、透明性と耐衝撃性及び剛性のバランスが十分ではなく、これらの特性を改良した樹脂シートを得ることが望まれており、これが本発明の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(a)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が70〜85重量%、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50〜85重量%あるブロック共重合体95〜99.4重量部、(b)ブタジエン系ゴム状重合体にスチレンをグラフト重合して得られるゴム変性ポリスチレンの分散粒子で、該ゴム変性ポリスチレンの分散粒子はその内部にポリスチレンを包含し、平均粒子径が1〜10μm、分散粒子中のポリスチレンの含有量が75重量%〜90重量%である該ゴム変性ポリスチレンの分散粒子0.6〜5重量部からなる、(a)と(b)を主体とする組成物を成形してなる樹脂シートを提案し、上記課題を解決したものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
本発明で用いるブロック共重合体は、少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとを有するブロック共重合体である。ここでビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示す。ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックは少なくとも2個、好ましくは2〜8個で各々のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックの重量及び数平均分子量は同一でも異なっていても良く、その重量比(最大重量ブロック/最小重量ブロック)及び数平均分子量の比(最大分子量ブロック/最小分子量ブロック)は1〜10の範囲が好ましい。共役ジエンを主体とする重合体ブロックとは共役ジエンを50重量%を超える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示す。共役ジエンを主体とする重合体ブロックは共役ジエンの含有量の異なるブロックを少なくとも1個、好ましくは1〜4個で、2個以上の重合体ブロック中の共役ジエンの含有量の比(最大含有量ブロック/最小含有量ブロック)は1.1〜10の範囲が好ましい。又、ブロック共重合体の共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックが複数個ある場合は共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の組成比に関わらず、重合体ブロック中の共役ジエンの含有量の比(最大含有量ブロック/最小含有量ブロック)は1.1〜20の範囲が好ましい。
【0006】
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック或は共役ジエンを主体とする重合体ブロック中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存してもよい。
【0007】
本発明で用いるブロック共重合体は基本的には従来公知の手法で製造でき、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報などに記載された手法があげられるが、各構成ポリマーは後述する要件を満足するように製造条件を設定しなければならない。上記の公知の手法はすべて、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブロック共重合する手法である。
【0008】
本発明で用いるブロック共重合体のポリマー構造は、一般式、
A−(B−A)n ,A−(B−A)n −B
B−(A−B)n+1 ,
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状ブロック共重合体、あるいは一般式、
[(A−B)k]m+2−X , [(A−B)k−A]m+2−X
[(B−A)k]m+2−X , [(B−A)k−B]m+2−X
(上式において、A、Bは前記と同じであり、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどのカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるラジアルブロック共重合体、あるいはこれらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
【0009】
本発明で用いるブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0010】
炭化水素溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0011】
有機リチウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0012】
本発明で用いるブロック共重合体の重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整などの目的で極性化合物やランダム化剤を使用することができる。極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いるブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
【0014】
本発明で用いるブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量の範囲は70〜85重量%であり、好ましくは75〜83重量%の範囲である。ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が70重量%未満では、シートの剛性と透明性が劣り、逆に85重量%を超えると耐面衝撃性が低下するため好ましくない。本発明で用いるブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は50〜85重量%である。ブロック率が50重量%未満の場合はシートの剛性が劣り、85重量%を超えるとシートの耐衝撃性が低下するため好ましくない。ビニル芳香族炭化水素ブロックのブロック率は、ブロック共重合体の製造時において少なくとも一部のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンが共重合する工程におけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。具体的な方法としては、(イ)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する。
及び/又は
(ロ)極性化合物或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する等の方法が採用できる。
【0015】
極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。尚、本発明においてブロック共重合体中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を定量し、下記の式から求めた値を云う。
ブロック率(重量%)=A/B×100
Aはブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量%、
Bはブロック共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量%である。
【0016】
本発明で用いるブロック共重合体の分子量は、重合に使用する触媒量により任意に調整できるが成形加工性の点から、メルトフローインデックス(JISK−6870により測定。条件はG条件で温度200℃、加重5Kg)が0.1〜100g/10min、好ましくは1〜50g/10minである。
本発明で用いるブロック共重合体は所望により不活性溶剤中で水素添加触媒の存在化に水素添加して水添物として使用することもできる。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法、特に好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法である。
【0017】
本発明で用いるブロック共重合体の量は95〜99.4重量部、好ましくは97〜99.0重量部である。ブロック共重合体が95重量部未満ではシートの透明性が低下し、99.4重量部を超える量ではシートの耐面衝撃性が低下するため好ましくない。
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子は、下記のゴム変性ポリスチレンの分散粒子であり、分散粒子はゴム変性ポリスチレンとして、又は製造したゴム変性ポリスチレンから分散粒子を分離或いは濃縮した形態で配合しても良い。
【0018】
このようなゴム変性ポリスチレンはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、P−メチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等の単独、又は混合物とブタジエン系ゴム状重合体を重合したもので、該ゴム変性ポリスチレンのブタジエン系ゴム状重合体は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が用いられる。又、ブタジエン系重合体の分子量や分岐度は限定されるものではない。
【0019】
また、このゴム変性ポリスチレンのブタジエン系ゴム状重合体の量は特に限定するものではないが1〜15重量%であることが好ましい。
このようなゴム変性ポリスチレンは従来公知のゴム変性ポリスチレン(HIPS樹脂)の製造で多用されている方法、即ち塊状重合、塊状−懸濁重合、乳化重合等で製造される。ブタジエン系ゴム状重合体からなる分散粒子の粒子径は公知の方法、例えば撹拌強度、生成したスチレン系重合体の分子量、分子量調整剤の量、溶剤の量、用いるブタジエン系ゴム状重合体の分子量、重合開始剤の種類量等を変更することにより調整される。分散粒子量(ゲル量)、膨潤指数の調整はゴム変性ポリスチレンの製法で一般的に用いられている方法の回収系の温度を制御することにより行われる。
【0020】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子は、ポリスチレンを内部に包含している構造のものであり、その形態はサラミ構造であってもコア・シェル構造であってもよい。
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子量は、本発明で規定した(a)成分のブロック共重合体との和を100重量部として0.6〜5重量部である。ゴム変性ポリスチレンの分散粒子量が0.6重量部未満では成形品の耐面衝撃性が低下し、逆に5重量部を超えると成形品の透明性及び青白さが劣るため好ましくない。本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子量は樹脂組成物をトルエン又はMEKに溶解し、遠心分離機で分散粒子を濾別、乾燥して求めた重量部である。
【0021】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子のポリスチレンの含有量は、ゴム変性ポリスチレンの製造に用いられるブタジエン系ゴム状重合体のスチレン量、分散粒子に包含及びグラフトされたスチレン量によって調整されるが、それ以外にも前述した方法で得たゴム変性ポリスチレンをスチレンモノマーに溶解し、かかる溶液に過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパ−オキシド等の有機過酸化物等の存在下に、この溶液を撹拌下に加熱してラジカル重合させ、分散粒子のポリスチレングラフト量を増量させる方法を用いてもよい。
【0022】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子のポリスチレンの含有量(重量%)は下記の式から求めた値を云う。
ポリスチレンの含有量(重量%)=C/D×100
Cは分散粒子(乾燥ゲル)中のポリスチレン量、
Dは分散粒子量(乾燥ゲル)である。
【0023】
分散粒子中のポリスチレン量は熱分解ガスクロマトグラフィー、赤外分光分析、本発明に記載のブロック率の測定等から求めることができる。
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子のポリスチレンの含有量は75重量%〜90重量%、好ましくは80重量%を超え、90重量%である。75重量%未満ではシートの透明性が劣り、90重量%を超えると耐面衝撃性が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレンの分散粒子の平均粒子径は、1〜10μm、好ましくは1.5〜5μmである。1μm未満ではシートの耐面衝撃性が低く、10μmを越えるとシートの透明性が劣るため好ましくない。分散粒子の平均粒子径は透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率:10000倍)を撮影し、写真中の分散粒子約100〜200個の分散粒子数を測定して求めたものである。平均粒子径は次式より求めた。
【0025】
平均粒子径=ΣNiDi4/ΣNiDi3
Niは粒子直径Diを有する分散粒子の個数を示す。
本発明の樹脂シートで用いるスチレン系重合体はゴム変性スチレン系重合体、ゴム状弾性体を分散粒子として有するスチレン−アクリル酸エステル共重合体、非ゴム変性スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等である。ゴム変性スチレン系重合体としては、前述のゴム変性ポリスチレンが挙げられる。アクリル酸エステル共重合体は、メチルメタアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアクリレート等の1種以上が挙げられる。スチレン−ブタジエンブロック共重合体としては、スチレンとブタジエンの重量比が10/90〜60/40のものが挙げられる。非ゴム変性スチレン系重合体は、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられるが、特に好ましいものはポリスチレンである。これらは単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。本発明で用いるスチレン系重合体の量は成分(a)の100重量部として5〜400重量部、好ましくは25〜300重量部の範囲である。スチレン系重合体の量が400重量部を超えるとシートの耐面衝撃性が低下するため好ましくない。本発明で用いるシートのスチレン系重合体は、樹脂シートをエーテル等の有機溶媒で分別、定量することによって求めることができる。
【0026】
本発明の樹脂シートは、従来公知のあらゆる配合方法によって製造することができる。例えば、オープンロール、インテンシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶剤に溶解又は分散混合後溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
【0027】
本発明の樹脂シートは必要に応じて任意の添加剤を含むことができる。添加剤の種類はプラスチックの配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、例えば、ガラス繊維,ガラスビーズ,シリカ,炭カル,タルク等の無機補強剤、有機繊維,クマロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイド,無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白,カーボンブラック,酸化鉄等の顔料,染料,難燃剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,帯電防止剤,滑剤,可塑剤,その他の増量剤或はこれらの混合物があげられる。
【0028】
本発明の樹脂シートは、例えば通常のTダイ又は環状ダイからフラット状又はチューブ状に150〜250℃、好ましくは170〜220℃で厚み約0.05〜2mmに押出成形することによって得ることができる。これらのシートは真空成形、圧空成形等の方法によって熱成形した食品容器類、青果物容器類、菓子類容器等の広範囲な用途に使用することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
(a)成分のブロック共重合体
シクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリチウムを開始剤に用い、表1に示したスチレン含有量、ポリスチレンブロックのブロック率及びMIを有するA−1〜A−7のブロック共重合体を製造した。スチレン含有量はスチレンとブタジエンの添加量によって、ポリスチレンブロックのブロック率はブタジエンとスチレンの共重合体ブロック中のスチレン添加量によって、MIはn−ブチルリチウムの添加量によって調整した。例えば表1のA−4のブロック共重合体は次の様に重合した。窒素ガス雰囲気下において、A1としてスチレン35重量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.08重量部添加し、80℃で25分間重合した後、Bとして1,3−ブタジエン21重量部とスチレン10重量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加して80℃で45分間重合した。次にA’として1,3−ブタジエン3重量部とスチレン9重量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加して80℃で15分間重合し、次にA2としてスチレン23重量部を含むシクロヘキサン溶液を連続的に添加して80℃で30分間重合した。その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して0.9倍モル添加し、安定剤を加えた後、脱溶媒してブロック共重合体を得た。
【0030】
(b)成分のゴム変性ポリスチレンの分散粒子
表2に実施例で用いた(b)成分のゴム変性ポリスチレンの分散粒子を示した。B−5、6はポリブタジエンゴムを溶解させたスチレンを塊状重合させて得られたゴム変性ポリスチレンの分散粒子である。B−5、6を除く他のゴム変性ポリスチレンの分散粒子は、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエンゴムを溶解させたスチレンを塊状重合して得たゴム変性ポリスチレンを再度スチレンに溶解し、スチレンに対して1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを600ppm、t−ドデシルメルカプタンを600ppm添加した後、この溶液を撹拌下で120℃で2時間加熱して分散粒子のポリスチレングラフト量を増量させることによって得たゴム変性ポリスチレンの分散粒子である。ゴム変性ポリスチレン中の分散粒子量は、ゴム変性ポリスチレンをトルエンに溶解し、遠心分離機で分散粒子を濾別、乾燥して求めた重量%である。分散粒子のポリスチレンの含有量は、分散粒子の熱分解ガスクロマトグラフィーを測定してポリスチレン含有量を求めた。測定条件はカラム充填剤がアピーゾングリースL、分解温度が600℃、インジェクション温度が250℃、カラム温度が140℃で測定した。
【0031】
【実施例1〜5、比較例1〜7】
表1に示した配合量(単位は重量部)の(a)成分のブロック共重合体、(b)成分のゴム変性ポリスチレンの分散粒子及びGPPS(旭化成(株)製 旭化成ポリスチレン685)を40mmシート押出機で厚さ約0.6mmのシートを作成し、引張弾性率(JISK−6872に準拠:単位はKgf/cm2)、面衝撃強さ(重錘形状が1/2インチを用いた以外はASTMD1709に準拠:単位はKgf・cm)、透明性(ヘーズ値(JISK6714に準拠:単位は%))、青白さを測定した。
表1の(b)成分のゴム変性ポリスチレンの分散粒子の配合量は、ゴム変性ポリスチレンをそのまま配合し、表2の分散粒子量から算出した値である。本発明で規定した範囲内のシート成形品は、青白さが少なく透明で優れた剛性と耐面衝撃性を有していることが分かる。
[青白さの判定基準]
0:青白さが全くない。1:僅かに青白さがある。2:やや青白さがある。
【0032】
3:青白さがある。4:青白さがやや大きい。5:青白さが著しく大きい。
【0033】
【実施例6】
表1のブロック共重合体のA−3を(a)成分として97.5重量部、表2のゴム変性ポリスチレンの分散粒子のB−7を(b)成分として2.5重量部、GPPSを300重量部とスチレン含有量が40重量%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を20重量部の組成で実施例1と同様の方法で0.6mmのシートを作成した。その結果、押出方向の引張弾性率が19600Kgf/cm2、垂直方向の引張弾性率が18800Kgf/cm2、面衝撃強さが26Kg・cm、透明性が2.1%、シートの青白さは2であった。
【0034】
【実施例7】
表1のブロック共重合体のA−3を(a)成分として99.0重量部、表2のゴム変性ポリスチレンの分散粒子のB−5を(b)成分として1.0重量部、アクリル酸n−ブチルの含有量が12重量%のスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を100重量部の組成で実施例1と同様の方法で0.6mmのシートを作成した。その結果、押出方向の引張弾性率が16700Kgf/cm2、垂直方向の引張弾性率が15300Kgf/cm2、面衝撃強さが35Kg・cm、透明性が1.3%、シートの青白さは1であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明は透明で青白さが少なく、剛性と耐衝撃性に優れた樹脂シートを提供することができる。
Claims (4)
- 下記(a)と(b)を主体とする組成物を成形してなる樹脂シート。
(a)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックからなり、ビニル芳香族炭化水素含有量が70〜85重量%、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50〜85重量%あるブロック共重合体95〜99.4重量部、
(b)ブタジエン系ゴム状重合体にスチレンをグラフト重合して得られるゴム変性ポリスチレンの分散粒子で、該ゴム変性ポリスチレンの分散粒子はその内部にポリスチレンを包含し、平均粒子径が1〜10μm、分散粒子中のポリスチレンの含有量が75重量%〜90重量%である該ゴム変性ポリスチレンの分散粒子0.6〜5重量部。 - (b)の分散粒子中のポリスチレンの含有量が80重量%を超え、90重量%以下である請求項1記載の樹脂シート。
- (a)の100重量部に対してスチレン系重合体5〜400重量部含有する請求項1記載の樹脂シート。
- スチレン系重合体が非ゴム変性スチレン系重合体を含有する請求項3記載の樹脂シート。
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