JPH09302051A - 高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

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JPH09302051A
JPH09302051A JP8141161A JP14116196A JPH09302051A JP H09302051 A JPH09302051 A JP H09302051A JP 8141161 A JP8141161 A JP 8141161A JP 14116196 A JP14116196 A JP 14116196A JP H09302051 A JPH09302051 A JP H09302051A
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aromatic vinyl
compound
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styrene
conjugated diene
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JP8141161A
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Takaaki Matsuda
孝昭 松田
Hideki Yamazaki
英樹 山崎
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NIPPON ELASTOMER KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光沢および耐衝撃強度のバランスに優れた耐
衝撃性スチレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種類の共役ジエン系単量体
及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、ポ
リビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とのモル比
(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.1〜2.
0の範囲で調整された、多官能性有機リチウム化合物を
含有する有機リチウム基材触媒の存在化で溶液重合して
得られる、(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフ
(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分
子量が8〜65万、(B)共重合体中の全芳香族ビニル
化合物含量が3〜20重量%、(C)ブロックとなって
いる芳香族ビニル化合物含量が共重合体中の全芳香族ビ
ニル化合物含量の50重量%以上、である芳香族ビニル
−共役ジエン系ブロック共重合体を2〜25重量%含有
する耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光沢および耐衝撃
強度のバランスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレンは、剛性,透明性,光沢な
どに優れ、かつ良好な成形性を有していることから各種
用途に使用されている。しかしながら、このポリスチレ
ンは耐衝撃性に劣るという大きな欠点があり、この欠点
を改良するために各種の未加硫ゴムが強靭化剤として用
いられている。中でも、未加硫ゴムの存在下にスチレン
系単量体をラジカル重合させ、ゴム状重合体がグラフト
重合した耐衝撃性スチレン系樹脂組成物が工業的に広く
製造されている。
【0003】この目的に使用される未加硫ゴムとしては
ポリブタジエンゴムとスチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ムなどがあり、特にポリブタジエンゴムは優れた耐衝撃
性を付与するために広く使用されている。近年、耐衝撃
性スチレン系樹脂の用途が、家庭電気機器のハウジング
及びその他の部品、車軸部品、事務機器の部品、日用雑
貨品及び玩具などに広がるに伴い、より優れた各種特性
が要求されるようになり、外観特性と耐衝撃性のバラン
スに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂が強く要望されてい
る。
【0004】一般的に、耐衝撃性の向上はゴム状重合体
の含量を増加させることにより可能となるが、ゴム状重
合体を増加させたスチレン系樹脂組成物は、衝撃強度が
向上する反面、光沢が低下する。一方、光沢の向上は、
ゴム状重合体の含量を低下させるか、或いは樹脂中に分
散するゴム状重合体の粒子を微細化させることにより可
能となるが、反面耐衝撃性が著しくて低下する。
【0005】従来、耐衝撃性スチレン系樹脂を改良する
方法として、共役ジエン系重合体の溶液粘度の特定化
(特公昭58−4934号公報)、共役ジエン系重合体
の溶液粘度とムーニー粘度の関係の特定化(特公昭53
−44188号公報)、共役ジエン系重合体の溶液粘度
と有機過酸化物架橋体における引張り弾性率、膨潤度の
関係の特定化(特開昭60−25001号公報)などが
提案されている。しかしながら、これらの方法において
は、従来のポリブタジエンを用いた場合に比べて、耐衝
撃性と光沢のバランスは向上されているが、必ずしも満
足しうるものではなかった。
【0006】一方、特開昭61−143415号公報、
特開昭63−165413号公報、特開平2−1321
12号公報、特開平2−208312号公報等には、特
定の構造を有するスチレン−ブタジエンブロック共重合
体を用いて、耐衝撃性と外観特性を改良する方法が提案
されている。しかしながら、これらの方法をについて詳
細に検討してみると、耐衝撃性と外観特性のバランスに
ついて実用的に満足しうるものは得られていないのが現
状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、耐衝撃性
と光沢は相反する特性であるため、優れた耐衝撃性と優
れた光沢との相反するバランスを満足ゆく程度まで改良
することは困難であったが、本発明は、上述したような
課題を解決するものであり、耐衝撃性と光沢の物性バラ
ンスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得ること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐衝撃性
と光沢の物性バランスに優れた耐衝撃性スチレン系樹脂
を得るについて詳細に検討した結果、従来の強靭化剤と
して検討がなされていなかった特定構造を有する芳香族
ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体を用いることに
より、上述の目的が達成されることが明らかとなり本発
明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、少なくとも1種類の共
役ジエン系単量体及び少なくとも1種類の芳香族ビニル
系単量体とを、ポリビニル芳香族化合物と有機リチウム
化合物とのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウ
ム)が0.1〜2.0の範囲で調整された、多官能性有
機リチウム化合物を含有する有機リチウム基材触媒の存
在化で溶液重合して得られる、(A)ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフ(GPC)で測定されるポリスチレ
ン換算の重量平均分子量が8〜65万、(B)共重合体
中の全芳香族ビニル化合物含量が3〜20重量%、
(C)ブロックとなっている芳香族ビニル化合物含量が
共重合体中の全芳香族ビニル化合物含量の50重量%以
上、である芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合
体を2〜25重量%強靭化剤として含有していることを
特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂組成物、及び少なく
とも1種類の共役ジエン系単量体及び少なくとも1種類
の芳香族ビニル系単量体とを、ポリビニル芳香族化合物
と有機リチウム化合物とのモル比(ポリビニル芳香族化
合物/リチウム)が0.1〜2.0の範囲で調整され
た、多官能性有機リチウム化合物を含有する有機リチウ
ム基材触媒の存在化で溶液重合し、(A)ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ(GPC)で測定されるポリス
チレン換算の重量平均分子量が8〜65万、(B)共重
合体中の全芳香族ビニル化合物含量が3〜20重量%、
(C)ブロックとなっている芳香族ビニル化合物含量が
共重合体中の全芳香族ビニル化合物含量の50重量%以
上、である芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合
体を2〜25重量%とスチレン系単量体またはスチレン
系単量体と共重合可能な単量体との混合物98〜75重
量%とを塊状重合法または塊状懸濁重合法または溶液重
合法でラジカル重合させることを特徴とする耐衝撃性ス
チレン系樹脂組成物の製造方法、を提供するものであ
る。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合
体は、少なくとも1種類の共役ジエン系単量体及び少な
くとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、ポリビニル
芳香族化合物と有機リチウム化合物とのモル比(ポリビ
ニル芳香族化合物/リチウム)が0.1〜2.0の範囲
で調整された有機リチウム基材触媒の存在化で溶液重合
させることにより製造することができる。本発明で用い
られる共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエ
ン等であり、一種又は二種以上用いられる。好ましい単
量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げ
られる。
【0011】また、本発明で用いる芳香族ビニル系単量
体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチ
ルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、ビニルエチル
ベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等であ
り、一種又は二種上用いられる。特にスチレンが好まし
い。本発明の溶液重合で用いる炭化水素溶媒としては、
ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シク
ロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが用
いられる。好ましい例としては、ヘキサン、シクロヘキ
サンが挙げられる。
【0012】本発明で用いられる有機リチウム基材触媒
の調整としては、ポリビニル芳香族化合物と有機リチウ
ム化合物との反応であればいかなる方法も用いることが
できる。例えば、有機リチウム化合物とポリビニル芳香
族化合物との反応,有機リチウム化合物と共役ジエン系
単量体と反応させた後にポリビニル芳香族化合物と反
応、又は有機リチウム化合物とモノビニル芳香族単量体
を反応させた後にポリビニル芳香族化合物と反応,或い
は、共役ジエン系単量体及び/又はモノビニル芳香族単
量体、及びポリビニル芳香族化合物の三者又は四者の存
在化で有機リチウム化合物と反応させる方法等で調整さ
れ、該調整された反応生成物が有機リチウム基材触媒と
して重合に使用される。
【0013】ここでいうポリビニル芳香族化合物とは、
複数のビニル基を有する芳香族化合物であり、例えば、
o,m及びp−ジビニルベンゼン、o,m及びp−ジイ
ソプロペニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼ
ン、1,2−ビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,
3−ジビニルナフタレン、1,3,5−トリビニルナフ
タレン、2,4−ジビニルビフェニル、3,5,4’−
トリビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジ
メチルベンゼン、1,5,6−トリビニル−3,7−ジ
エチルナフタレン等であり、一種または二種以上用いる
ことかできる。特にジビニルベンセン、ジイソプロペニ
ルベンゼンが好ましいが、ジビニルベンゼン、ジイソプ
ロペニルベンゼンには、o−,m−,p−の異性体があ
り、これら異性体の混合物であるジビニルベンゼン、ジ
イソプロペニルベンゼンでも事実上満足される。
【0014】また、共役ジエン系単量体としては、1,
3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−
1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3
−ヘキサジエン等であり、好ましい単量体としては、
1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。また、
モノビニル芳香族単量体としては、スチレン、pーメチ
ルスチレン、αーメチルスチレン、ビニルエチルベンゼ
ン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等であるが、特
にスチレンが好ましい。
【0015】有機リチウム化合物としては、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチル
リチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリ
チウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合
物、1,4ージリチオブタン、1,5−ジリチオペンタ
ン、1,6−ジリチオヘキサン、1,10−ジリチオデ
カン、1,1−ジリチオジフェニレン、ジリチオポリブ
タジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオ
ベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタ
ン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、
1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリ
チオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能性有
機リチウム化合物があるが、好ましくは、n−ブチルリ
チウム、sec−ブチルリチウムのモノ有機リチウム化
合物が用いられる。
【0016】これら有機リチウム基材触媒の反応調整に
用いる炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられる。本発
明の有機リチウム基材触媒としては、モノ有機リチウム
化合物を使用した反応生成物が好ましく、モノ有機リチ
ウム化合物と共役ジエン系単量体と反応させた後にポリ
ビニル芳香族化合物と反応させた反応生成物、共役ジエ
ン系単量体及びポリビニル芳香族化合物の存在化でモノ
有機リチウム化合物と反応させた反応生成物がより好ま
しい。本発明の方法により調整された有機リチウム基材
触媒のゲルパーミエーションクロマトグラフで測定され
るポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、50
0〜20,000の範囲が好ましく、更に好ましくは、
1000〜10,000の範囲である。
【0017】本発明の有機リチウム基材触媒の調整に使
用するポリビニル芳香族化合物の使用量は、有機リチウ
ム化合物のリチウム当たりのモルに対して(ポリビニル
芳香族化合物/リチウム)0.1〜2.0モルの範囲で
ある。好ましくは、0.15〜1.5、更に好ましく
は、0.2〜1.0の範囲である。ポリビニル芳香族化
合物/リチウムのモル比が0.1未満で調整された触媒
を使用して得られた芳香族ビニル−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体では、本発明の効果に顕著な差はみられず、
耐衝撃性と光沢が劣り好ましくない。また、このモル比
が2.0を越える場合には、有機リチウム基材触媒中の
多官能性有機リチウム触媒の割合が増え、この触媒を用
いて重合した場合には、共重合体中の高分子量成分の生
成が多くなり、樹脂中のゴム粒子径が不揃いとなり得ら
れる樹脂中の光沢が劣り好ましくない。
【0018】本発明で使用される芳香族ビニル−共役ジ
エン系ブロック共重合体は、本重合体の末端に、本発明
の触媒調整で使用されるポリビニル芳香族化合物の残基
が付加されていることが重要である。すなわち、本発明
は、ポリビニル芳香族化合物の残基が本発明の効果を発
現するのに大きく寄与していることを見いだしたことに
特徴がある。
【0019】例えば、下記一般式などで表される構造の
ものが主となる重合体であり、cーA−B型、c−B−
A型、c−B−A−B型、c−A−B−A型のブロック
共重合体が好ましく、更にcーA−B型、c−B−A型
が好適に使用される。 (1)c−A−B (2)c−B−A (3)c−B−A−B (4)c−A−B−A (5)c−B−A−B−A (6)c−A−B−A−B (式中、Bは共役ジエン系重合体、或いは共役ジエンと
芳香族ビニル化合物のランダム共重合体あり、芳香族ビ
ニル化合物の割合が漸増するテーパーブロックを有して
いても良い。Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合
体ブロックを表す。cは有機リチウム基材触媒の残基を
表す。)
【0020】また、これら各種構造の1種又は2種以上
の混合物である芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共
重合体を耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の強靱化剤とし
て使用しても良い。更に、有機リチウム基材触媒中の多
官能性リチウム触媒によって生成する下記一般式などで
表される構造のものが混合されていても良い。
【0021】
【化1】 (式中、Bは共役ジエン系重合体、或いは共役ジエンと
芳香族ビニル化合物のランダム共重合体であり、芳香族
ビニル化合物の割合が漸増するテーパーブロックを有し
ていても良い。Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重
合体ブロックを表す。cは有機リチウム基材触媒の残基
を表す。ここで、nは2〜6の整数である。)
【0022】本発明の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロ
ック共重合体は、一般的に使用される多官能処理剤によ
りカップリングさせてはならない。本発明で使用される
ポリビニル芳香族化合物/リチウムのモル比が特定の範
囲で調整された有機リチウム基材触媒の触媒残基を芳香
族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体に付与させる
ことで本発明の目的が達成される。カップリング反応さ
せた後でも、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重
合体中に有機リチウム基材触媒の触媒残基が付与される
が、分子量の増加、高分岐成分の増加等によって本発明
の目的を達成することは困難である。また、芳香族ビニ
ル−共役ジエン系ブロック共重合体を製造する際、カッ
プリング工程が必要となり、場合によっては、重合体の
ゲル化が起こることも予想され製造工程上好ましくな
い。
【0023】本発明で用いられる芳香族ビニル−共役ジ
エン系ブロック共重合体の全芳香族ビニル化合物含量は
3〜20重量%である。3%未満では、芳香族ビニル−
共役ジエン系ブロック共重合体自身のコールドフローが
著しく大きくなり、ゴムとしての取り扱いが困難とな
り、ゴムの貯蔵、輸送に問題が生じる。また、得られる
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃強度が劣り好ま
しくない。
【0024】一方、20%を超える場合は、耐衝撃性ス
チレン系樹脂組成物の光沢は良好であるが耐衝撃強度が
劣り好ましくない。本発明の芳香族ビニル−共役ジエン
系ブロック共重合体中のブロックとなっている芳香族ビ
ニル化合物含量は、全芳香族ビニル化合物含量に対して
50%以上である。50%未満の場合には、得られる耐
衝撃性スチレン系樹脂組成物の光沢が劣り好ましくな
い。
【0025】本発明における芳香族ビニル−共役ジエン
系ブロック共重合体は、そのミクロ構造によって、得ら
れる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性に若干の
影響を与え、例えば、共役ジエン単量体としてブタジエ
ンを用いる場合には、1,2−ビニル含量は、10〜8
0%、シス−1,4−含量は10〜85%の範囲にある
ことが好ましいが、特に1,2−ビニル含量が12〜4
0%のものが好ましい。この範囲外の1,2−ビニル含
量を有するブロック共重合体を用いると、得られる耐衝
撃性スチレン系樹脂は衝撃強度が劣るものとなる。
【0026】これらの1,2−ビニル含量の調整法につ
いては特に制限がなく、従来のいかなる方法も用いるこ
とができ、例えば、共役ジエン系重合体の重合時、重合
系にジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン(THF)、ビス(2−オキソラニル)エタ
ン、2,2−ビス(オキソラニル)プロパン、1,1−
ビス(オキソラニル)エタン等のエーテル類;ジメチル
アミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチル
スルフィドなどのチオエーテル類などを添加して重合を
行うことによって達成される。
【0027】更に、ヘキサメチルホスホルアミド(HM
PA)を添加する方法(特公昭43−5904号公
報)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を
添加する方法(特公昭42−17199号公報)及びジ
エチレングリコールジメチルエーテルを添加する方法な
どがある。また、1,2−ビニル結合については分子鎖
に均一になるように重合してもよく、あるいは、分子鎖
に沿って漸減的に変化するように重合してもよく(特公
昭47−875号公報)、さらにはブロック的に結合す
るように重合してもよい(米国特許第3301840号
明細書)。
【0028】1,2−ビニル結合を分子鎖中に均一にな
るように重合するには、通常重合開始温度を30〜90
℃とし、できる限り定温重合する方法が採用され、ま
た、1,2−ビニル結合を分子鎖に沿って漸減的に変化
するように重合するためには、重合を昇温下で実施する
方法、すなわち、通常重合開始温度を30〜80℃と
し、重合終了温度を85〜120℃とする方法、又は重
合中に上記1,2−ビニル含量調整剤を漸増的に添加す
る方法等が採用される。
【0029】次に、本発明における芳香族ビニル−共役
ジエン系ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロ
マトグラフで測定されるポリスチレン換算の重量平均分
子量(Mw)は8〜65万の範囲に限定される。好まし
くは、10〜45万の範囲である。更に好ましくは、1
5〜40万の範囲である。また、重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnは1.0
〜3.0の範囲が好ましい。
【0030】使用する芳香族ビニル−共役ジエン系ブロ
ック共重合体の重量平均分子量が8万より小さいと、得
られる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の衝撃強度が劣
る。また、重量平均分子量が65万を超える芳香族ビニ
ル−共役ジエン系ブロック共重合体を用いた場合には、
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造時に、スチレン系
単量体への溶解およびこの溶液の移送に多くの時間を費
やす等、製造工程上大きな問題となる。さらに、ブロッ
ク共重合体は粉末状になり易く、しかも成形性が悪くベ
ール状になりにくいという問題が発生し好ましくない。
【0031】本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
は、上述した芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重
合体を2〜25重量%含有するスチレン系樹脂組成物で
あり、2重量%未満のゴムの使用量では本発明が目的と
する衝撃強度の改良効果が不十分であり、本発明の目的
を達成するのが困難である。一方、25重量%を超える
使用量では衝撃強度は向上するものの本来のポリスチレ
ン系樹脂の持つ特性、例えば、引張り強度、剛性、更に
光沢等の外観特性を損なうものとなり好ましくない。ま
た、グラフト重合溶液の粘度が非常に高くなり、本発明
の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造が困難となる。
【0032】本発明において得られる耐衝撃性スチレン
系樹脂組成物中に分散した芳香族ビニル−共役ジエン系
ブロック共重合体粒子の平均粒子径は0.2〜2.0μ
mの範囲に調整することが好ましい。さらに好ましく
は、0.2〜1.4μmの範囲である。平均粒子径が
0.2μm未満では、耐衝撃強度が劣り、2.0μmを
超える場合には、光沢が劣り好ましくない。共役ジエン
系重合体粒子のゴム粒子径の調整は、重合槽の攪拌装置
の形状、攪拌機の回転数、攪拌時間、重合温度などの種
々の要因によって影響されるが、一般的に、耐衝撃性ス
チレン系樹脂組成物の製造時に、ゴム溶液に剪断応力が
かかるような条件、例えば攪拌機の回転数を変えること
によってゴム粒子径を調整することができる。
【0033】本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を
得る方法については、本発明の構成用件を満足しうるよ
うに配慮されている限り特に制限はなく、公知の方法を
用いることができる。通常、本発明の芳香族ビニル−共
役ジエン系ブロック共重合体を2〜25重量%とスチレ
ン系単量体またはスチレン系単量体と共重合可能な単量
体との混合物98〜75重量%を塊状重合法または塊状
懸濁重合法または溶液重合法によりラジカル重合させる
方法により耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を製造するこ
とができる。
【0034】本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を
得る好ましい方法の一つである塊状重合法は、一般的に
は、まず本発明の芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック
共重合体をスチレンに溶解し、酸化防止剤、必要に応じ
て分子量調整剤である連鎖移動剤加え、無触媒の場合
は、通常95〜200℃の温度において加熱重合し、ま
たラジカル開始剤を触媒として用いる触媒重合において
は、通常より低温、例えば60〜180℃の温度でスチ
レンの重合操作が継続される。
【0035】触媒重合の場合は、開始剤として、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジ−t
−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオ
キサイド等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイル
パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサオド、ラウ
ロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネ
ート類;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシアセテート、ジ−t−ブチル
ジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエート等のパーオキシエステル類;シクロヘキサノ
ンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド
等のケトンパーオキサイド類;p−メンタハイドロパー
オキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキ
サンカーボニトリル等のアゾ化合物類などが用いられ
る。これらは一種又は二種以上の組み合わせで用いられ
る。
【0036】酸化防止剤としては、例えば、オクタデシ
ル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシ
ル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2’−メチレ
ンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェ
ノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−
o−クレゾール、トリエチレングリコール−ビス[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、トリス(ジノニルフェニル)ホ
スファイト、トリス −(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ホスファイト等が挙げられ、その添加量は樹脂1
00重量部当たり、0.01〜5重量部、好ましくは
0.1〜2重量部である。
【0037】連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシ
ルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、α
−メチルスチレンダイマー、1−フェニルブテン−2−
フルオレン、ジペンテン、クロロホルム等のメルカプタ
ン類、テルペン類、ハロゲン化合物等を用いることがで
きる。また、この塊状重合法においては、必要に応じて
通常用いられる流動パラフィン、ミネラルオイル、有機
ポリシロキサン等の内部潤滑剤を添加することも可能で
ある。例えば、有機ポリシロキサンであるポリジメチル
シロキサンを重合体100重量部に対して0.005〜
10重量部添加してもよい。
【0038】重合終了後、生成ポリマー中に未反応スチ
レンを含有する場合は、このスチレンを公知の方法、例
えば、減圧除去あるいは揮発分除去の目的で設計された
押出装置で除去する方法などによって除去することが望
ましい。塊状重合中、必要に応じて撹拌を行うことがで
きるが、スチレンの重合体への転化率、すなわち重合率
が60%以上進んだ後は、撹拌は停止するか又は緩和す
ることが望ましく、過度の撹拌は得られる重合体の強度
を低下させることがある。また、必要ならば、少量のト
ルエン、エチルベンゼンなどの希釈剤の存在下で重合
し、重合終了後に未反応スチレンとともにこれらの希釈
剤を加熱除去してもよい。
【0039】また、塊状懸濁重合法も本発明の耐衝撃性
スチレン系樹脂組成物の製造に有用であり、この方法に
おいては、まず前半の重合を塊状重合で行い、後半の反
応を懸濁重合で行う。すなわち、本発明の共役ジエン系
重合体のスチレン溶液を前記の塊状重合法の場合と同様
に無触媒下での加熱重合または触媒添加重合を行って、
通常、スチレンの50%以下特に好ましくは10〜40
%までを部分的に塊状重合法で重合させ、次いでこの部
分的に重合した混合物を懸濁安定剤、またはこれと界面
活性剤との組み合わせの存在下に、水性媒体中にかき混
ぜながら分散させ、反応の後半を懸濁重合法によって完
結させる。
【0040】生成したポリマーは洗浄、乾燥し、必要に
応じてペレットまたは粉末にして使用に供する。以上の
ほかに、これらの方法を改善、改良した従来公知の方法
によっても、有用な耐衝撃性スチレン系樹脂組成物が得
られる。また、本発明の芳香族ビニル−共役ジエン系ブ
ロック共重合体とともに耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
を形成するスチレンの一部を、スチレン以外のスチレン
とラジカル重合可能な単量体と置換してもよく、このよ
うな単量体は、スチレンを含む全単量体中の50重量%
以下の範囲で用いられる。
【0041】スチレン以外の共重合可能な単量体として
は、ビニル芳香族化合物、シアン化ビニル化合物、(メ
タ)アクリル酸エステル及びその他共重合可能な単量体
の群から選ばれたものなどが挙げられる。ビニル芳香族
化合物の例としては、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビ
ニルナフタレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレ
ン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、テトラブ
ロムスチレン、フルオロスチレン、1,1−ジフェニル
エチレン、ジビニルベンゼン、p−ヒドロキシスチレ
ン、o−メトキシスチレン、ビニルピリジン等が挙げら
れ、α−メチルスチレンが好ましい。
【0042】シアン化ビニル化合物の例としては、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、ア
クリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステ
ルの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ア
ミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルア
クリレート、ドデシルアクリレート、シクロヘキシルア
クリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、プロピルメタクリレートメタクリレート、ブチル
メタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタ
クリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げら
れ、メチルメタクリレートが好ましい。
【0043】その他の共重合可能な単量体としては、ブ
タジエン、イソプレン等の共役ジエン類が挙げられる。
これらの単量体は一種又は二種以上使用してもよい。以
上のようにして得られた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
におけるゲル含有量(トルエン不溶分の含有量)は10
〜40重量%の範囲が好ましく、また樹脂組成物中のゲ
ルのトルエン中での膨潤指数は7〜13の範囲が好まし
く、さらに、樹脂部分の分子量は通常重量平均分子量で
10〜40万が好ましく、より好ましくは、15〜30
万の範囲である。樹脂中に残存するスチレンオリゴマー
の量は耐熱性に影響を与えるので、通常は1重量%以下
が好ましく、特に耐熱性が要求されるものでは0.5重
量%以下であることが望ましい。
【0044】更に加工に際し、必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、離型剤、充填剤、有
機ポリシロキサン等の各種添加剤、更に他の熱可塑性樹
脂、例えば一般用ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹
脂、AES樹脂、MBS樹脂、スチレン−ブタジエンメ
タクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネ
ート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリ
レート・スチレン共重合体樹脂、無水マレイン酸・スチ
レン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂
などと混合してもよい。これらの樹脂を加えることによ
って、耐熱性、剛性、耐衝撃性、外観性、塗装性などが
付与され、その用途によって使用される。
【0045】本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
は、射出成形、押出成形等の加工方法で成型され、多種
多様に実用上有用な製品となしうることができる。その
用途は、電気製品、OA機器のキャビネット、ハウジン
グなどや、自動車の内外装部品、住宅・家具などの部
品、放送・通信用アンテナ部品、その他多岐にわたって
使用される。
【0046】
【実施例】以下に若干の実施例を示し、本発明の具体的
な実施態様を示すが、これは本発明の技術内容をより具
体的に説明するためのものであり、本発明を何ら限定す
るものではない。また、各種測定は下記の方法によっ
た。 [重合体の重量平均分子量]GPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)によって測定、計算されたポ
リスチレン換算の分子量である。
【0047】 (GPC測定条件) 測定機種 Waters社製 LC Module1 溶媒 THF(テトラヒドロフラン) カラム デュポン社製 ZORBAX PSM1000S×2本 PSM60S×1本 (計3本) カラム温度 35℃ 送液流量 0.7ml/min 試料濃度 0.1重量% 試料注入量 0.1ml 検出器 昭和電工社製 Shodex RI SE−61
【0048】[ミクロ構造]赤外分光光度計を用いて、
ハンプトン法[Analytical Chemistry,21,923(1949)によ
る]にて測定した。 [結合スチレン含量]紫外分光光度計を用い、定法によ
り測定した。 [ブロックスチレン含量]ブロック共重合体を四酸化オ
スミウムを触媒にしてtーブチルハイドロパーオキサイ
ドにより酸化分解する方法[I.M.Kolthoff,et.al.,J.Po
ym.Sci. 1,429(1946)]により分解して得られるポリス
チレン成分量を紫外分光光度計を用いて測定し、分解前
のブロック共重合体に対する重量%と表した。
【0049】[アイゾット衝撃強度]得られた組成物を
圧縮成形して、厚さ3.2mmの試験片を作成し、JI
S−K−7110に従って測定した。 [光沢]ASTM D−638に従ってゲート部とエン
ドゲート部の光沢度(入射角60°)を測定し平均し
た。 [ゴム粒子径]コールターカウンター法を用いて測定
し、測定した値を50%メジアン径として表現した。
【0050】(実施例1〜15、比較例1〜7) (I)触媒の調整 内容積10lの撹拌装置及びジャケット付きのオートク
レーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、第1表に示した条件
で、乾燥した1,3−ブタジエン、シクロヘキサンとジ
ビニルベンゼンを加え、次いでn−ブチルリチウムを加
えて75℃で1時間反応し調整した。第1表の条件で調
整した有機リチウム基材触媒は、シクロヘキサンに可溶
でありゲルは全くなかった。
【0051】触媒の調整に用いたジビニルベンゼンは、
異性体混合物56重量%(m−ジビニルベンゼン=40
重量%、p−ジビニルベンゼン=16重量%)を含有
し、残部がエチルビニルベンゼン及びジエチルベンゼン
からなる市販のジビニルベンゼンを用いた。また、触媒
Fはジビニルベンゼンの代わりにm−ジイソプロペニル
ベンゼンを用いた以外は、上記と同様な方法によって調
整した。
【0052】(II)スチレンーブタジエンブロック共
重合体の製造 (1)内容積10lの撹拌装置及びジャケット付きのオ
ートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、第2表、第3
表に示した条件で、予め精製、乾燥した1,3−ブタジ
エンとシクロヘキサンを加え、次いで1,2−ビニル調
整剤としてテトラヒドロフランを添加し、更に第1表に
示した有機リチウム基材触媒を加えて、60℃にて重合
を開始した。反応終了後、引き続いてスチレンを添加
し、更に重合を継続した。重合終了後、メタノールを添
加してリビングポリマーを完全に失活させた。こうして
得られたポリマー溶液に安定剤として、2,6−ジ−t
ert−ブチル−4−メチルフェノールをポリマー10
0重量部当たり、0.5重量部添加し、スチームストリ
ッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続
き熱ロール(110℃)により乾燥させ、第2、3表に
示すスチレン−ブタジエンブロック共重合体を得た。
【0053】(2)内容積10lの撹拌装置及びジャケ
ット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、
第2表、第3表に示した条件で、予め精製、乾燥した
1,3−ブタジエン、スチレンとシクロヘキサンを加
え、次いで1,2−ビニル調整剤としてテトラヒドロフ
ランを添加し、更に第1表に示した有機リチウム基材触
媒を加えて、60℃にて重合を開始した。重合終了後、
メタノールを添加してリビングポリマーを完全に失活さ
せた。こうして得られたポリマー溶液に安定剤として、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
をポリマー100重量部当たり、0.5重量部添加し、
スチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、
脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥さ
せ、第2表、第3表に示すゴム試料No.5、9、1
3、16のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を得
た。
【0054】(III)耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
の製造 次に第2表、第3表に示した各種スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体を用いて、以下に述べる塊状重合法に
より耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得た。攪拌装置、
ジャケット付き反応器に第4表、第5表、第6表に示す
ような種類、割合でエチルベンゼン、スチレンを加え、
次いで第2表、第3表に示すゴム試料No.のゴムおよ
び安定剤として、n−オクタデシル−3−(3’,5’
−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート0.3重量部、t−ドデシルメルカプタ
ン0.05重量部を添加し、攪拌して溶解した。
【0055】これに、ジ−tert−ブチルパーオキサ
イドをモノマー1モルに対して1×10-4モル添加し、
110℃で3時間、140℃で5時間、180℃で2時
間重合を行った。更に、230℃で30分間加熱した
後、未反応生成物を減圧除去し、得られた重合体を粉砕
し、場合によってはミネラルオイル及び25℃で500
センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサ
ンを加え、押出機にてペレット状にした。反応中、ゴム
粒子相の平均粒子径が約1.0μmになるように攪拌数
をコントロールした。
【0056】得られた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の
物性を第4表、第5表、第6表に示す。実施例1〜15
の結果からも明らかなように、本発明のスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体を用いて製造した耐衝撃性スチ
レン系樹脂組成物は、光沢と衝撃強度のバランスに優れ
ていることがわかる。これに対して、比較例1〜7に示
した通り本発明の範囲外のブロック共重合体を用いた場
合には、衝撃強度、又は光沢が劣り、両方に優れた耐衝
撃性スチレン系樹脂組成物は得られなかった。
【0057】(実施例16〜18)実施例1と同様な反
応器を用い、第5表に示すような種類、割合でエチルベ
ンゼン、スチレン、アクリロニトリルを加え、次いで第
2表に示すゴム試料No.のゴムおよび安定剤として、
n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−
ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量
部を添加し、攪拌して溶解した。
【0058】これに、ジ−tert−ブチルパーオキサ
イドをモノマー1モルに対して1×10-4モル添加し、
110℃で3時間、140℃で5時間、180℃で2時
間重合を行った。更に、230℃で30分間加熱した
後、未反応生成物を減圧除去し、得られた重合体を粉砕
し押出機にてペレット状にしてABS樹脂を得た。反応
中、ゴム粒子相の平均粒子径が約1.0μmになるよう
に攪拌数をコントロールした。得られたABS樹脂組成
物の物性を第5表に示す。
【0059】(実施例19、20)実施例1と同様な反
応器を用い、第5表に示すような種類、割合でエチルベ
ンゼン、スチレン、メチルメタクリレートを加え、次い
で第2表に示すゴム試料No.のゴムおよび安定剤とし
て、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−ter
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重
量部を添加し、攪拌して溶解した。
【0060】これに、ジ−tert−ブチルパーオキサ
イドをモノマー1モルに対して1×10-4モル添加し、
110℃で3時間、140℃で5時間、180℃で2時
間重合を行った。更に、230℃で30分間加熱した
後、未反応生成物を減圧除去し、得られた重合体を粉砕
し押出機にてペレット状にしてMBS樹脂を得た。反応
中、ゴム粒子相の平均粒子径が約1.0μmになるよう
に攪拌数をコントロールした。得られたMBS樹脂組成
物の物性を第5表に示す。
【0061】(比較例8)重合触媒としてn−ブチルリ
チウムを用いた以外は、実施例1と同様な方法によって
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得た。得られたABS
樹脂組成物の物性を第6表に示す。通常の重合触媒であ
るn−ブチルリチウムによって得たスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体を使用して製造された耐衝撃性スチ
レン系樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度、光沢のバラ
ンスに劣っていることがわかる。
【0062】(比較例9) (1)共役ジエン系重合体の製造 内容積10lの撹拌装置及びジャケット付きのオートク
レーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製、乾燥した
1,3−ブタジエン700gとシクロヘキサン5000
gを加え、次いで1,2−ビニル調整剤としてテトラヒ
ドロフランを1.2g添加し、更に有機リチウム基材触
媒Aを加えて、65℃にて重合を開始した。反応終了
後、引き続いてスチレンを添加し、更に重合を継続し
た。重合終了後、、得られたポリマーに多官能性カップ
リング剤として、四塩化ケイ素を加えて、30分間反応
させた。
【0063】こうして得られたポリマー溶液に安定剤と
して、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェ
ノールをポリマー100重量部当たり、0.5重量部添
加し、スチームストリッピングすることにより溶媒を除
去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾
燥させ、第3表に示すゴム試料No.22の共役ジエン
系重合体を得た。
【0064】(2)耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製
造 実施例1と同様な方法によって、ゴム試料No.22の
ゴムを用いて耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得た。得
られたABS樹脂組成物の物性を第6表に示す。衝撃強
度と光沢の両方に優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
は得られなかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【発明の効果】本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
は、従来の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物に比較して、
耐衝撃性と光沢との物性バランスに優れ、TV、VTR
等の電子機器、エアコン、冷蔵庫等の家庭電気製品、O
A事務機器等の一般機器、文具、玩具、レジャースポー
ツ用品、家庭用品、建材・住宅部品、食品容器など広範
囲に多種多様な用途に使用し得る、という工業的にも優
れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 236/04 MPB 9062−4J C08F 236/04 MPB C08L 25/10 LDX C08L 25/10 LDX 53/02 LLY 53/02 LLY //(C08F 236/04 212:08)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種類の共役ジエン系単量体
    及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、ポ
    リビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とのモル比
    (ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.1〜2.
    0の範囲で調整された、多官能性有機リチウム化合物を
    含有する有機リチウム基材触媒の存在化で溶液重合して
    得られる、(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    (GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分
    子量が8〜65万、(B)共重合体中の全芳香族ビニル
    化合物含量が3〜20重量%、(C)ブロックとなって
    いる芳香族ビニル化合物含量が共重合体中の全芳香族ビ
    ニル化合物含量の50重量%以上、である芳香族ビニル
    −共役ジエン系ブロック共重合体を2〜25重量%含有
    していることを特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 少なくとも1種類の共役ジエン系単量体
    及び少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体とを、ポ
    リビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とのモル比
    (ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.1〜2.
    0の範囲で調整された、多官能性有機リチウム化合物を
    含有する有機リチウム基材触媒の存在化で溶液重合して
    得られる、(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    (GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分
    子量が8〜65万、(B)共重合体中の全芳香族ビニル
    化合物含量が3〜20重量%、(C)ブロックとなって
    いる芳香族ビニル化合物含量が共重合体中の全芳香族ビ
    ニル化合物含量の50重量%以上、である芳香族ビニル
    −共役ジエン系ブロック共重合体を2〜25重量%とス
    チレン系単量体またはスチレン系単量体と共重合可能な
    単量体との混合物98〜75重量%とを塊状重合法また
    は塊状懸濁重合法または溶液重合法でラジカル重合させ
    ることを特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製
    造方法。
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