JP4029471B2 - 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベール成形性に優れ、かつ、耐衝撃性樹脂の弾性高分子成分として使用した場合に、樹脂成分の透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を与えることができる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及びその製造方法に関する。また、本発明は、該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤、該改質剤を含む樹脂組成物、及び該樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)やABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などの耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、一般に、ポリ芳香族ビニル系樹脂に、共役ジエン共重合体などの弾性高分子をブレンドまたはグラフトして、耐衝撃性を改善した高分子アロイである。この高分子アロイは、それ自体では硬質で脆いポリ芳香族ビニル系樹脂のマトリックス中に、弾性高分子が微細に分散した構造を有しており、硬質でかつ耐衝撃性に優れている。
従来より、弾性高分子として、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を用いた耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂が知られている。この耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、一般に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物を重合することにより製造されている。重合法としては、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合などが採用されている。
【0003】
近年、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、テレビジョンやエアコンディショナーなどの電気製品のハウジング材料としての用途が広がっている。これらのハウジング材料においては、大型化、軽量化の進展に伴って、薄肉成形性の要求が高まり、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂に対する耐衝撃性の一層の改善が望まれている。
従来、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂の耐衝撃性を改善するために、幾つかの提案がなされている。例えば、特開平2−185509号公報には、共役ジエン部のビニル結合割合の低い芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を弾性高分子成分として用いる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、耐衝撃性の改善効果は未だ充分ではない。
【0004】
また、この芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、生産時のベール成形性に劣るという問題点を有している。ベールとは、本来、生ゴムをシート状にして乾燥し、これを重ねてプレスして約50cm角の立方体にして、外側はお互いにくっつき合わないように粉付けがされているものを言い、天然ゴムでは古くから使用されている製品形態である。合成ゴムにおいても、重合工程の後、得られた合成ゴムを圧縮成形して加圧成形体とすることが多い。この加圧成形体は、堅固に成形されており、取り扱い時に容易に形状が崩れないことが必要である。ベール成形性に劣る合成ゴムの場合は、圧縮成形により加圧成形体を得ることができないか、あるいは加圧成形体の表面を手で触るとゴムがバラバラになってしまったり、手でほぐすと容易に形状が崩れてしまう。したがって、生産性、製品形態、取り扱い性などの観点から、ゴムには、ベール成形性に優れていることが要求されている。
【0005】
また、耐衝撃性を改善するために、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の分子量を高める方法が知られている。しかし、この方法で得られた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、生産時のベール成形性に劣るという問題点を有している。
特開昭64−74209号公報には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が30,000〜75,000で、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が25〜50モル%の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体が開示されている。該公報には、この芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体がベール成形性に優れることが記載されている。しかしながら、この芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂の弾性高分子成分として使用すると、樹脂成分の透明性が損なわれるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベール成形性に優れ、かつ、耐衝撃性樹脂の弾性高分子成分として使用した場合に、樹脂の透明性を損なわずに、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を与えることができる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐衝撃性樹脂の弾性高分子成分として使用した場合に、樹脂に対して透明性を損なわずに耐衝撃性を充分に改善できる樹脂用改質剤、耐衝撃性と透明性が高度にバランスされた樹脂組成物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、特定量の芳香族ビニル結合単位の含有量を有し、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線のピークトップ分子量(A−Mp)が大きく、かつ、ブロック芳香族ビニル部(A)のピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量部の含有割合が大きく、しかも、特定の範囲内の分子量を有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体により、前記目的を達成できることを見いだした。
【0007】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、ベール成形性に優れており、しかも、ポリビニル芳香族系樹脂などの熱可塑性樹脂に弾性高分子成分として含有させた場合に、耐衝撃性と透明性が高度にバランスした樹脂組成物を得ることができる。本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程と芳香族ビニル単量体を重合する工程を設けることにより、容易に製造することができる。また、前記の樹脂組成物は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合させることにより、容易に得ることができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、以下に示す各発明が提供される。
1. 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0009】
2. 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合する工程、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程、並びに芳香族ビニル単量体を重合する工程を順に含むことを特徴とする前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
3. 前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
4. 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するものであることを特徴とする樹脂組成物。
5. ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含むブロック共重合体である。当該ブロック共重合体は、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体を共重合することにより得ることができる。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(すなわちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも1,3−ブタジエンや2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、特に1,3−ブタジエンが好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の各成分の割合は、芳香族ビニル結合単位が5〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは25〜50重量%の範囲であり、共役ジエン結合単位が40〜95重量%、好ましくは45〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは50〜75重量%の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が過度に少ないと透明性に劣り、逆に、過度に多いとベール成形性や耐衝撃性に劣り、いずれも好ましくない。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(すなわち、芳香族ビニル重合体ブロック)(A)の割合は、全芳香族ビニル結合単位の含有量を基準にして、通常30重量%以上、好ましくは40〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の割合がこの範囲にあるときに、ベール成形性に優れ、さらには、耐衝撃性や透明性などの改質効果が高度にバランスされ好適である。
【0012】
本発明において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)含有量は、常法に従って測定することができる。具体的には、L.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.,1,429(1948)に記載されているオスミウム酸分解法に従って、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を触媒量のオスミウム酸を用い、tert−ブチルハイドロパーオキサイドで酸化分解した後、平均孔径5.0μmのガラスフィルターで濾別されるものとして測定される。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値で80,000〜300,000、好ましくは80,000〜200,000、より好ましくは85,000〜170,000の範囲である。ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が過度に小さいと透明性に劣り、逆に、過度に大きいと耐衝撃性の改善効果に劣り、いずれも好ましくない。
【0013】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)のGPC分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合は、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%、好ましくは50〜80モル%、より好ましくは55〜70モル%の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、過度に少ないとベール成形性のみならず、耐衝撃性や透明性の改質効果に劣り、逆に、過度に多いものは製造が困難である。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の共役ジエン部のミクロ構造は、特に限定されないが、ビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)量が、通常50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下である。共役ジエン部のビニル結合量がこの範囲にあるときに、耐衝撃性が高度に改善され好適である。
【0014】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のGPC分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)は、GPCにより測定されるポリスチレン換算の値で、100,000〜600,000の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)が過度に小さいと耐衝撃性の改善効果に劣り、逆に、過度に大きいとブロック共重合体の溶液粘度が上昇し、ブロック共重合体の製造プロセス上問題となる。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法は、例えば、炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合する工程、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる単量体混合物を重合する工程、並びに芳香族ビニル単量体を重合する工程を順に含む。
【0015】
炭化水素系溶媒としては、格別な制限はなく、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;などが用いられる。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機活性金属化合物としては、例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などのアニオン重合可能な有機活性金属化合物が挙げられる。これらの中でも、重合反応性、経済性などの観点から、有機アルカリ金属化合物が特に好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
【0016】
有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。
有機ランタノイド系列希土類金属化合物としては、例えば、特公昭63−64444号公報に記載されているようなバーサチック酸ネオジウム/トリエチルアルミニウムハイドライド/エチルアルミニウムセスキクロライドからなる複合触媒などが挙げられる。
これらの有機活性金属化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機活性金属化合物の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択され、全単量体100g当たり、通常0.01〜20ミリモル、好ましくは0.05〜15ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
【0017】
本発明の製造方法においては、芳香族ビニル単量体5〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは25〜50重量%と、共役ジエン単量体40〜95重量%、好ましくは45〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは50〜75重量%とを共重合する。本発明の製造方法においては、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との単量体混合物を重合する工程(a)を配置することにより、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を高めることができる。
単量体混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合は、[芳香族ビニル]:[共役ジエン]の重量比で、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲である。単量体混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合がこの範囲にあるときに、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を高度に高めることができ、その結果、ベール成形性に優れ、耐衝撃性や透明性の改善効果にも優れるブロック共重合体を得ることができる。
【0018】
全単量体中の単量体混合物の割合は、要求される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合に応じて適宜選択すればよいが、通常10〜90重量%、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲である。
本発明のブロック共重合体の製造方法においては、単量体混合物を重合する工程の前に共役ジエン単量体を重合する工程を設けることで、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合をより増加させることができる。単量体混合物の重合工程の前に重合する共役ジエン単量体と単量体混合物との割合は、格別な制限はないが、[共役ジエン]/[単量体混合物]の重量比で、20:80〜90:10、好ましくは40:60〜80:20、より好ましくは50:50〜70:30の範囲である。共役ジエン単量体と単量体混合物との割合がこの範囲にあるときに、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を高度に高めることができるので、好ましい。
【0019】
本発明の製造方法においては、芳香族ビニル単量体を重合する工程を必要とする。芳香族ビニル単量体の重合工程を配置しないと、充分なブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が得られず、その結果、透明性の改質効果に劣り好ましくない。
全単量体中の芳香族ビニル単量体の重合工程における芳香族ビニル単量体の量は、要求されるブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)に応じて適宜選択すればよいが、[単量体混合物中の芳香族ビニル量]:[芳香族ビニルの重合工程の芳香族ビニル量]の重量比が、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30の範囲であるときに、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)と、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が好適となり好ましい。本発明のブロック共重合体の製造方法は、共役ジエン単量体の重合工程、単量体混合物の重合工程、芳香族ビニル単量体の重合工程の順に行う方法である。
【0020】
本発明の製造方法においては、重合反応時に、必要に応じてルイス塩基等の極性化合物を添加することができる。ルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;等の化合物を挙げられる。これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれでもよく、通常は0〜150℃、好ましくは20〜120℃の重合温度範囲で行われる。重合反応終了後は、常法により、例えば、反応停止剤としてメタノール、イソプロパノールなどのアルコール類を添加して重合反応を停止し、酸化防止剤(安定剤)やクラム化剤を加えた後、直接乾燥や、スチームストリッピングなどの方法で溶媒を除去し乾燥して生成重合体を得ることができる。
【0021】
樹脂組成物
本発明の樹脂用改質剤は、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分として含有するものであって、特に、耐衝撃性の改質剤(強靭化剤)として有用である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分とゴム成分とを含有し、ゴム成分が前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するものである。
改質される樹脂成分の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂;アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、メチルメタクリレート−スチレン樹脂などの芳香族ビニル系熱可塑性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル等のエンジニアリングプラスチック等を挙げることができる。これらの中でも、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテルが好ましく、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
ゴム成分としては、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を単独で使用することができるが、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体とその他のゴムとの混合物を用いてもよい。ゴム成分中の本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の割合は、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。ゴム成分中の本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の含有量が少な過ぎると、耐衝撃性と透明性のバランスが悪くなり、好ましくない。
その他のゴムとしては、特に限定はなく、樹脂の強靭化剤として通常使用されるその他のゴム成分を添加することができる。具体的には、例えば、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体以外の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、低シス−ポリブタジエンゴム、高シス−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
【0023】
樹脂成分に対する上記ゴム成分の割合は、使用目的や芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の種類と含有量に応じて適宜選択されるが、樹脂成分100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部の範囲である。ゴム成分の割合がこの範囲であるときに、耐衝撃性と透明性が高度にバランスされ好適である。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、樹脂成分と前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を少なくとも含むゴム成分とを機械的に混合することによって行うことができるが、樹脂成分が芳香族ビニル系熱可塑性樹脂の場合には、前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する方法が好ましい。
【0024】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1−4−ジクロルスチレン、2−4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどの不飽和ニトリル単量体;メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸単量体;フェニルマレイミド等が挙げられる。これらの中でも、不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、不飽和脂肪酸単量体が好ましく、不飽和ニトリル単量体が特に好ましい。これらの芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との使用割合は、用途に応じて適宜選択されるが、[芳香族ビニル]:[他の単量体]の重量比で、通常20:80〜100:0、好ましくは40:60〜100:0、より好ましくは60:40〜100:0の範囲である。
使用するゴム成分の量は、使用目的に応じて適宜選択できるが、樹脂成分を形成する単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部となるように調節される。ゴム成分の使用量がこの範囲であるときに、耐衝撃性や透明性が高度にバランスされ好適である。
ラジカル重合法としては、格別の限定はなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状−懸濁二段重合法などの多段重合法などが挙げられる。これらの中でも、塊状重合法及び塊状−懸濁二段重合法が特に好ましい。塊状重合法は、塊状連続重合法が好ましい。
【0026】
塊状連続重合法により本発明の樹脂組成物を製造する場合には、例えば、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体とそれと共重合可能な他の単量体との混合物に溶解させ、必要に応じて、希釈溶剤、流動パラフィン、ミネラルオイルなどの内部潤滑剤、酸化防止剤、連鎖移動剤などを加えた後、無重合触媒重合の場合は、通常80〜200℃において加熱重合し、触媒重合の場合は、重合触媒存在下、通常20〜200℃において重合し、単量体(芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体とそれと共重合可能な他の単量体との混合物)の重合転化率が60%から90%になるまで重合する。この場合、重合触媒を用いることがより好ましい。
重合触媒としては、通常、有機過酸化物やアゾ系触媒が用いられ、好ましくは有機過酸化物である。有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ベンゾイルペルオキシド、m−トルオイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;ジメチルスチリルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシカーボネート類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシエステル類;シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類;p−メンタハイドロペルオキシドなどのハイドロペルオキシド類などが挙げられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合触媒の使用量は、単量体100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
【0027】
希釈溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類;n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メチルイソプロピルケトンなどのケトン類;などが挙げられ、中でも芳香族炭化水素類が好ましい。これらの希釈溶剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は、全単量体の通常0〜25重量%である。
連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー;n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;1−フェニルブテン−2−フルオレン、ジペンテンなどのテルペン類;クロロホルムなどのハロゲン化合物などが挙げられる。
【0028】
重合操作終了後、生成した樹脂組成物は、常法に従って、例えば、加熱減圧による溶媒除去、あるいは揮発物除去設計された押出し装置を用いて押出すことにより、未反応モノマーや希釈溶剤などを除去し回収することができる。得られた樹脂組成物は、必要により、ペレット化または粉末化して実用に供される。
塊状−懸濁重合法においては、通常、前記の塊状重合法と同様にして単量体の重合転化率が30〜50%に達するまで部分的に重合を行い、次いで、この部分的に重合した重合体を含有する溶液をポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの懸濁安定剤、及び/またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤の存在下で、水中に懸濁して反応を完結させる。生成した耐衝撃性樹脂組成物は、濾過分離、遠心分離などの方法により単離し、水洗、乾燥を行い、必要に応じてペレット化または粉末化する。
本発明の樹脂組成物において、樹脂マトリックス中の本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の平均粒子径は、格別制限されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmの範囲内にあるときに、耐衝撃性の向上が著しく好適である。
【0029】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、樹脂工業で通常使用される配合剤を添加することができる。使用できる配合剤の具体例としては、例えば、ミネラルオイル、流動パラフィン、有機ポリシロキサン、有機または無機の充填剤、安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。
有機または無機の充填剤としては、各種の粉粒状または繊維状充填剤があり、より具体的には、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを挙げる事が出来る。
【0030】
安定剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系安定剤などを挙げることができる。
【0031】
難燃剤としては、特に制約はなく、通常、ハロゲン系難燃剤が用いられる。ハロゲン系難燃剤としては、塩素系または臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、臭素系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン等が挙げられる。
【0032】
難燃剤の難燃化効果をより効果的にに発揮させるために、難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン等のアンチモン系難燃助剤を用いることができる。
これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。これらの配合剤の混合は、樹脂成分及びゴム成分とともに機械的に行ってもよいし、また、前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合して得られる樹脂組成物と機械的に混合してもよい。機械的な混合方法は、常法に従えばよく、1軸もしくは2軸などの押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練装置を用いて行うことができ、混合温度は、通常100〜250℃の範囲である。
【0033】
本願各発明と好ましい実施の形態は、以下のとおりである。
1. 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0034】
2. ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が25〜50重量%の範囲である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
3. ブロック芳香族ビニル部(A)の割合が、全芳香族ビニル結合単位の含有量を基準として、40〜95重量%の範囲である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
4. GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、80,000〜200,000の範囲である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
5. GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の50〜80モル%の範囲である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
6. 共役ジエン部のビニル結合量が、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量で、30%以下である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0035】
7. 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合する工程、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程、並びに芳香族ビニル単量体を重合する工程を順に含むことを特徴とする第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
8. 芳香族ビニル単量体5〜60重量%と共役ジエン単量体40〜95重量%とを共重合する第7項に記載の製造方法。
9. 芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合が、重量比で10:90〜90:10の範囲である第7項に記載の製造方法。
【0036】
10. 芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物の全単量体中での割合が、10〜90重量%の範囲である第7項に記載の製造方法。
11. 共役ジエン単量体を重合する工程での共役ジエン単量体と、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程での該混合物との割合が、重量比で20:80〜90:10の範囲である第7項に記載の製造方法。
12. 芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程での該混合物中の芳香族ビニル単量体と、芳香族ビニル単量体を重合する工程での芳香族ビニル単量体との割合が、10:90〜90:10の範囲である第7項に記載の製造方法。
13. 第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
【0037】
14. 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
15. 樹脂成分が、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂である第14項に記載の樹脂組成物。
16. 樹脂成分100重量部に対して、ゴム成分0.1〜30重量部を含有する第14項に記載の樹脂組成物。
【0038】
17. ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
18. ゴム成分0.1〜30重量部の存在下に、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物100重量部をラジカル重合する第17項に記載の製造方法。
【0039】
【実施例】
以下に、製造例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下の例中の部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。各種の物性の測定法は下記の通りである。
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量は、約700cm-1の波数におけるフェニル基による赤外線吸収ピークの強度を測定し、予め求めておいた検量線と対比して求めた。
(2)ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)は、テトラヒドロンフラン(THF)を溶媒にしたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値で示した。
(3)ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量は、L.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.,1,429(1948)に記載されるオスミウム酸分解法に従って測定した。より具体的には、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体0.05gを四塩化炭素10mlに溶解し、tert−ブチルハイドロパーオキサイドの70%水溶液16mlと四塩化オスミウムの0.05%クロロホルム溶液4mlを加え、90℃バス中にて15分間還流を行い酸化分解反応を行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、該反応溶液中にメタノール200mlを攪拌下に加えてブロック芳香族ビニル成分を沈殿させ、これを5μmのガラスフィルターにて濾別し、得られたものの重量を芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の全芳香族ビニル結合単位の含有量に対する割合で示した。
(4)ブロック芳香族ビニル部(A)のピークトップ分子量(A−Mp)は、上記(3)で分離されたブロック芳香族ビニル成分をTHFに溶解し、GPCで測定されるポリスチレン換算の値で示した。
【0040】
(5)ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合は、特開昭64−74209号公報に記載されている保持容量(以下、VRと略記)単位の面積割合を求める方法に従って算出し、モル%で示した。すなわち、本発明の場合は、VRが5.835μl毎の重量割合(W1)を計算し、相関曲線(検量線)により、各VRの分子量(M1)を求め、これから各VRのモル数比(W1/M1)を求め、さらに、(W1/M1)/Σ(W1/M1)より、各VRのモル数割合を求め、このデータよりピークトップ分子量の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を計算した。
(6)アイゾッド衝撃強度は、JIS K7110に従って測定して、比較例を100とする指数(数値が大きい程好ましい。)で表示した。
(7)透明性は、JIS K7105に従って光線透過率を測定して、比較例を100とする指数(値は大きい程好ましい)で表示した。
(8)ブロック共重合体のベール成形性は、圧縮成形用の金型形状20cm×10cm×5cmを用いて、圧縮圧力;160kg/cm2、圧縮時間;30秒間、圧縮温度;60℃、使用サンプル量;1500gの条件で成形し、得られた加圧成形体の表面状態を下記基準で評価した。
◎;極めて堅固に成形され、表面を手で触ってもゴムがバラバラにならない、
○;堅固に成形されるが、表面を手で触るとゴムが粉末状に僅かに削れる、
△;成形されるが、手でほぐすと容易に形状が壊れる、
×;成形できない。
【0041】
[実施例1](ブロック共重合体の製造例)
攪拌器、リフラックスコンデンサー、及びジャケット付きの2キロリットルの反応器を洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製し、乾燥したシクロヘキサン700kg、及びブタジエン40kgをいれて、50℃に昇温してから、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mmol/ml)390mlを添加して重合を開始した(重合1段目)。反応転化率が約100%になったところで、引き続きブタジエン20kgとスチレン21kgとの混合物を添加して重合した(重合2段目)。この単量体混合物の反応転化率が約100%となったところで、引き続きスチレン19kgを添加して重合した(重合3段目)。3段目の反応転化率が約100%になったところでイソプロピルアルコールを10mmol添加して重合を停止し、次いで、フェノール系老化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1076)200gを添加してから、スチームストリッピング法により脱溶媒した後、真空乾燥してブロック共重合体Aを得た。
得られたブロック共重合体Aの芳香族ビニル結合単位の含有量、ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合、及びベール成形性を評価し、その結果を表1に示した。
【0042】
[実施例2〜5]
表1に記載の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりブロック共重合体B〜Eを製造し、同様に評価した。その結果を表1に示した。
【0043】
[比較例1]
攪拌器、リフラックスコンデンサー及びジャケット付きの2キロリットルの反応器を洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製し、乾燥したシクロヘキサン700kg、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)15mmol、ブタジエン61kg、及びスチレン19kgを入れて、50℃に昇温してから、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mmol/ml)390mlを添加して重合を開始した(重合1段目)。反応転化率が約100%になったところで、引き続きスチレン20kgを添加し、反応転化率が約100%になるまで重合を行った。その後、イソプロピルアルコールを10mmol添加して重合を停止し、次いでフェノール系老化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1076)200gを添加してから、スチームストリッピング法により脱溶媒した後、真空乾燥してブロック共重合体Fを得た。得られたブロック共重合体Fの芳香族ビニル結合単位の含有量、ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合、及びベール成形性を評価し、その結果を表1に示した。
【0044】
[比較例2〜4]
表1に記載の条件に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法によりブロック共重合体G〜Iを製造し、同様に評価した。その結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
(*1)テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)
【0046】
[実施例6]
攪拌装置付きステンレス製反応機で、実施例1で得られたブロック共重合体A180gをスチレンモノマー1820gに溶解させた後、連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)をスチレンモノマーに対し250ppmの割合で添加し、次いで、130℃で1時間20分攪拌し塊状重合を行った。次に、内容物を取り出し、この内容物1250gとポリビニルアルコール2%水溶液3750gを8リットルの攪拌装置付きステンレス製反応機に入れ、70℃に昇温した。さらに、ベンゾイルペルオキシド2.5gとジクミルペルオキシド1.26gを添加した後、70℃で1時間、90℃で1時間、110℃で1時間、及び130℃で4時間、重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、得られたポリスチレン樹脂組成物を濾過、回収し、水洗い洗浄後、60℃で6時間減圧乾燥した。
得られたポリスチレン樹脂組成物を、180℃のロールで練ってシート状に成形し、シートペレタイザーでペレット状にした。試験サンプルは、得られたペレットを射出成形機SAV−30/30(山城精機社製;金型温度50℃、ノズル先端温度240℃)にて射出成形して試験片を作成し、そのアイゾッド衝撃強度及び透明性を評価した。その結果を表2に示した。
【0047】
[実施例7〜10、比較例5〜8]
ブロック共重合体Aの代わりに、実施例2〜5及び比較例1〜4で製造したブロック共重合体B〜Iをそれぞれ用いたこと以外は、実施例6と同様にしてポリスチレン樹脂組成物を製造し、同様に評価した。その結果を表2に示した。
【0048】
【表2】
(*1)比較例5を100とする指数
(*2)比較例5を100とする指数
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ベール成形性に優れ、かつ、耐衝撃性樹脂の弾性高分子成分として使用した場合に、樹脂成分の透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を与えることができる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤、該改質剤を含む樹脂組成物、及び該樹脂組成物の製造方法が提供される。本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂の弾性高分子成分(耐衝撃性改質剤)として特に有用である。
Claims (5)
- 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。 - 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合する工程、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる混合物を重合する工程、並びに芳香族ビニル単量体を重合する工程を順に含むことを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
- 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物。 - ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が80,000〜300,000であり、
(3)GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の30〜90モル%であり、かつ、
(4)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
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