JP6204685B2 - ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム及びビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム及びビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム及びそれを用いたビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法に関する。
スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂等のビニル芳香族化合物系樹脂は、成形性、外観性、機械特性に優れていることから各種用途に使用されている。特にブタジエン系ゴムで補強されたスチレン系樹脂は優れた耐衝撃性を有していることから家庭用電気製品に主に使用されている。しかし、ゴム変性ビニル芳香族化合物系樹脂はゴム状重合体を加えたことから耐衝撃性は改良されたものの、光沢や透明性等の外観性が低下し、光沢や透明性が要求される食品包装分野、医療分野、光学分野等への展開には問題があった。
優れた耐衝撃性を維持しながら、光沢や透明性等の外観性を改良する方法は、これまでに多く提案されている。例えば、ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体ゴムをスチレン系樹脂に加え、さらに分散ゴム粒子径を制御することにより耐衝撃性と外観性を改良する方法が提案されている(特許文献1、2、3)。
また、ブロック共重合体ゴム中のビニル芳香族化合物ブロック分子量及びその分子量分布を制御することにより、ベール成形性に優れ、ビニル芳香族化合物系樹脂の外観性を損なわず耐衝撃性を改良するビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムの提案が行われている(特許文献4,5,6,7)。
特公昭42−17492号公報 特公昭48−18594号公報 特公昭60−57443号公報 特開昭64−74209号公報 特開平1−74208号公報 特開平1−172413号公報 特開平11−35646号公報
特許文献1〜3に記載のブロック共重合体ゴムは、粒子径の比較的小さな領域でスチレン系樹脂を製造するときには、ある程度外観性は改良されるものの耐衝撃性は充分ではない。また、特許文献1〜3に記載のブロック共重合体ゴムは、汎用ゴムと比較して粉末状になり易く、ベール成形が困難でスチレン系樹脂を製造する時の操作性が著しく悪い。なお、用語「ベール」とは、合成ゴムをプレス成形した適当な大きさのブロック単位の直方体をいう。
また、特許文献4〜7に記載のブロック共重合体ゴムはベール成形性に優れる反面、ビニル芳香族化合物系樹脂の製造時に、ブロック共重合体ゴムがベール粉砕機で容易に粉砕されないという問題がある。また、これに加えて、ビニル芳香族化合物中に容易に溶解しない等の課題もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ビニル芳香族化合物系樹脂の外観性を改良することができ、加えてそれ自身は容易にベールに成形され(以下、「ベール成形性」という)、輸送時等にベールが破壊されにくく(以下、「ベール操作性」という)、ベール粉砕機では容易に粉砕され(以下、「ベール破砕性」という)、及びビニル芳香族化合物に溶解する(以下、「ベール溶解性」という)、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムを提供することを目的とする。また、本発明は、外観性に優れたビニル芳香族化合物系樹脂組成物を、生産性よく製造できるビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、そのブロック共重合体ゴムのベール状態での見かけ密度、曲げ弾性率が特定範囲内であり、かつ特定構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムであれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
(a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
(b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
(c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
(d)ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85となり、
(e)ベール状における10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm 2 となる、
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
〔2〕
前記ビニル芳香族化合物ブロックの含有量が、前記ビニル芳香族化合物単位全体の55〜85質量%である、前項〔1〕に記載のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
〔3〕
前記ビニル芳香族化合物ブロックの少なくとも1ブロックのピークトップ分子量が、30,000以上100,000以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
〔4〕
クラム形状における、篩の目開き2mmを通過しないクラムの比率が75質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニル芳香族化合物−共役ジェンブロック共重合体ゴム。
〔5〕
ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
(a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
(b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
(c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
(d)ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85となり、
(e)ベール状における10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm 2 となる、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムと、ビニル芳香族化合物及び/又はビニル芳香族化合物と共重合可能な単量体と、の混合物を塊状重合、塊状懸濁重合又は溶液重合する、ビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
〔6〕
前記ビニル芳香族化合物ブロックの含有量が、前記ビニル芳香族化合物単位全体の55〜85質量%である、前項〔5〕に記載のビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
〔7〕
前記ビニル芳香族化合物ブロックの少なくとも1ブロックのピークトップ分子量が、30,000以上100,000以下である、前項〔5〕又は〔6〕に記載のビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、ビニル芳香族化合物系樹脂の外観性を改良することができ、ベール成形性、ベール操作性、ベール粉砕性、ベール溶解性に優れるビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムを実現することができる。また、本発明によれば、外観性に優れたビニル芳香族化合物系樹脂組成物を、生産性よく製造することができるビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法を実現することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム〕
本実施形態のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムは、
ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
(a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
(b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
(c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
(d)ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85となり、
(e)ベール状における10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2となる。
〔ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位〕
本実施形態におけるビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム(以下、「ブロック共重合体ゴム)ともいう。)は、ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有する。ビニル芳香族化合物単位としては、特に限定されないが、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。また、共役ジエン単位としては、特に限定されないが、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン等が挙げられる。ここで、「単位」とは、ブロック共重合体ゴムを構成する繰り返し単位をいい、例えばビニル芳香族化合物単位とはビニル芳香族化合物モノマー由来の繰り返し単位をいい、共役ジエン単位とはモノマー由来の繰り返し単位をいう。
〔(a)ビニル芳香族化合物単位の含有量〕
本実施形態のブロック共重合体ゴムのビニル芳香族化合物単位の含有量は、28〜45質量%であり、30〜43質量%であることがより好ましく、34〜41質量%であることがさらに好ましい。ビニル芳香族化合物単位の含有量が、28質量%以上であれば、ビニル芳香族化合物系樹脂の外観がより優れる傾向にある。また、45質量%以下であれば耐衝撃性をより改良できる傾向にある。
〔(b)ピークトップ分子量〕
本実施形態において、ブロック共重合体ゴムのピークトップ分子量は、100,000〜500,000であり、200,000〜450,000であることがより好ましく、250,000〜400,000であることがさらに好ましい。ブロック共重合体ゴムのピークトップ分子量が100,000以上であれば、ビニル芳香族化合物系樹脂の耐衝撃性をより改善することができる傾向にある。また、ピークトップ分子量が500,000以下であればベール溶解性により優れる傾向にある。具体的には工業的規模でビニル芳香族化合物系樹脂を製造する際に、ブロック共重合体ゴムの溶解工程の時間が短くなり、さらに溶液が低粘度となり、移送エネルギーが小さくなる傾向にある。ブロック共重合体ゴムのピークトップ分子量は、GPCによる測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線を使用して測定することができる。
本実施形態において、ビニル芳香族化合物ブロックの含有量はビニル芳香族化合物単位全体の55〜85質量%であることが好ましく、60〜83質量%であることがより好ましく、65〜81質量%であることがさらに好ましい。55質量%以上であれば、得られるビニル芳香族化合物系樹脂の表面光沢がより向上する傾向にある。85質量%以下であれば、クラムが粉状となりにくく、乾燥工程でのロスがより抑制される傾向にある。ブロック共重合体ゴムに組み込まれているビニル芳香族化合物ブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリブチルパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法により測定することができる(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)。
〔(c)ビニル芳香族化合物ブロック〕
本実施形態のブロック共重合体ゴムはビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有する。ビニル芳香族化合物ブロックの少なくとも1ブロックのピークトップ分子量は30,000以上100,000以下であることが好ましく、40,000〜95,000であることがより好ましく、40,000〜90,000であることがさらに好ましい。30,000以上であれば、分散ゴム粒子径の制御がより容易となる傾向にあり、所望の耐衝撃性を有するビニル芳香族化合物系樹脂を得ることができる。100,000以下であれば、ベール成形体の曲げ弾性率が低くなる傾向にあり、ベール粉砕性がより向上する傾向にある。
ここで、「ビニル芳香族化合物ブロック」とは、ビニル芳香族化合物を90質量%以上含むブロックのことを示す。ビニル芳香族化合物ブロックは、ブロック共重合体ゴムの最後(重合体の端部)に配置されることが好ましい。これにより、よりビニル芳香族化合物系樹脂の外観(光沢)性が良好となる傾向にある。
本実施形態のブロック共重合体ゴムのビニル芳香族化合物ブロックの形状については、特に限定されないが、具体的には、ブロックの一つはテーパー型ブロックである場合や、全てのブロックが完全ブロックタイプである場合が挙げられる。このなかでもブロックの一つがテーパー型ブロックであることが好ましい。これにより、ベール成形体の表面を手で触ったときにゴムがバラバラになり、手でほぐすと容易に形状が壊れることが抑制され、操作性がより向上する傾向にある。
〔ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムの製造方法〕
本実施形態のブロック共重合体ゴムは、特に限定されないが、具体的には、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、炭化水素溶媒中において製造することができる。用いる有機リチウム化合物は、特に限定されないが、具体的には、分子中に一個以上のリチウム原子を結合した化合物が挙げられ、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。また、有機リチウム化合物は、ブロック共重合体ゴムの重合途中で一回以上分割添加してもよい。
本実施形態において、ブロック共重合体ゴムの製造に用いる溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;又はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本実施形態のブロック共重合体ゴムは、例えば特公昭38−2394号公報記載のように、有機リチウム化合物の存在する炭化水素溶媒中に、共役ジエンとビニル芳香族化合物のモノマー混合液を、設定された重合温度におけるモノマーの重合速度よりも遅い速度で供給して重合する方法を応用して製造できる。すなわち、所望の共役ジエンとビニル芳香族化合物の組成比を有するモノマー混合液を重合速度以下の速度で供給しながら重合し、次いで共役ジエンとビニル芳香族化合物の組成比の異なるモノマー混合液を重合速度以下の速度で供給し、この操作を一回以上繰り返すことによってブロック共重合体ゴムを製造することができる。
また、特公昭36−15386号公報に記載のように、重合開始剤として有機リチウム化合物を含む重合系に、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド等の極性物質を添加する方法を応用することもできる。すなわち、有機リチウム化合物と極性物質を含有する重合系に、所望の共役ジエンとビニル芳香族化合物の組成比を有するモノマー混合液を重合させ、その後に共役ジエンとビニル芳香族化合物の組成比の異なるモノマーを加えて重合し、この操作を一回以上繰り返すことにより本実施形態のブロック共重合体ゴムを得ることができる。またこれらの方法の組み合わせによる方法も可能である。
本実施形態において、ブロック共重合体ゴムの製造する際の重合温度は、一般的には−10〜150℃であり、好ましくは30〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、48時間以内であることが好ましく、0.5〜10時間であることがより好ましい。また、重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものでない。さらに、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないようにすることが好ましい。
上記のようにして得られたブロック共重合体ゴムは、必要に応じて触媒残渣を除去し、ブロック共重合体ゴムを溶液から分離することができる。溶媒の分離は、ブロック共重合体ゴムの溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングによる溶媒の除去で行うことができる。回収されたブロック共重合体ゴムには、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
〔ベール状のブロック共重合体ゴム〕
スチームストリッピング等の脱溶剤工程後に、押出機或いは熱風乾燥や真空乾燥されたクラム状のブロック共重合体ゴムを、ベール成形機で成形することでベール状(以下、「ベール成形体」ともいう)のブロック共重合体ゴムとすることができる。
〔(d)ベール状での見かけ密度〕
本実施形態のブロック共重合体ゴムは、ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85となり、0.65〜0.84であることが好ましく、0.68〜0.82であることがより好ましい。見かけ密度が0.60以上であればベールは壊れにくく、輸送時にも破壊しにくくなり操作性がより高くなる傾向にある。また、0.85以下であれば、ベール粉砕機で粉砕する時に負荷が小さくなりベール粉砕性により優れる傾向にあり、またビニル芳香族化合物への溶解時間が短くなりベール溶解性により優れる傾向にある。なお、見かけ密度は実施例に記載の方法により測定することができる。また、見かけ密度はベール成形時の圧力により制御することができ、ベール成形時の圧力を低くすることにより小さくなる傾向にあり、ベール成形時の圧力を高くすることにより大きくなる傾向にある。
〔(e)ベール状での10℃での曲げ弾性率〕
本実施形態のブロック共重合体ゴムは、ベール状での10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2であり、6〜18kgf/cm2であることが好ましく、7〜16kgf/cm2であることがより好ましい。10℃での曲げ弾性率が5kgf/cm2以上であればベールは壊れにくく、輸送時に破壊しにくくなり操作性により優れる傾向にある。20kgf/cm2以下であれば、ベール粉砕機で粉砕する時に食い込みがよく、負荷が小さくなり、ベール粉砕性により優れる傾向にあり、またビニル芳香族化合物への溶解時間が短くなりベール溶解性により優れる傾向にある。なお、曲げ弾性率は実施例に記載の方法により測定することができる。また、曲げ弾性率は、ベール成形時の圧力とその成形時間により制御することができ、ベール成形時の圧力を低くするか成形時間を短くすることにより小さくなる傾向にあり、ベール成形時の圧力を高くするか成形時間を長くすることにより大きくなる傾向にある。
上記のブロック共重合体ゴムのベール成形体は、スチームストリッピング等の脱溶剤工程後に、押出機或いは熱風乾燥や真空乾燥されたクラム形状が、篩の目開き2mmを通過しないクラムの比率が75質量%以上、好ましくは90質量%以上であるクラムをベール成形機等で成形して得られ得る。クラム形状が、篩の目開き2mmを通過しないクラムの比率が75質量%以上であることにより、乾燥工程でのロス率が低くなり、さらに成形後のベールの10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2となりやすく、壊れ難く、強固に成形しなくてもよい傾向にある。強固に成形しなくてもよいため、ベール成形後の見かけ密度が0.85より小さくなる傾向にあり好ましい。
〔ビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法は、
ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
(a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
(b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
(c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
(d)ベール状での見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85であり、
(e)ベール状での10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2である、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムと、ビニル芳香族化合物及び/又はビニル芳香族化合物と共重合可能な単量体と、の混合物を塊状重合、塊状懸濁重合又は溶液重合する。
上記ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムとしては、上記ブロック共重合体ゴムと同様のものを用いることができる。上記製造方法により、ビニル芳香族化合物へのベール溶解性が良好で、ベール操作性に優れ、生産性が向上した、耐衝撃性と外観性に優れたビニル芳香族化合物系樹脂組成物を得ることができる。
ビニル芳香族化合物としては、特に限定されないが、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、p−クロルスチレン、m−クロルスチレン、2−メチル−1,4−ジクロルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。これらのビニル芳香族化合物は、それぞれ単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ビニル芳香族化合物と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のニトリル系単量体、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のα、β―不飽和酸系単量体、フェニルマレイミド等が挙げられる。
本実施形態の製造方法では、塊状重合、塊状懸濁重合又は溶液重合を行なうが、このなかでも、塊状重合、塊状懸濁重合が好ましい。これらの重合方法について以下実施態様を述べる。
塊状重合においては、上記ブロック共重合体ゴムを、スチレンのようなビニル芳香族化合物及び/又はこれと共重合可能な単量体に溶解し、必要に応じてトルエンやエチルベンゼン等の希釈剤、流動パラフィンやミネラルオイル等の内部潤滑剤、酸化防止剤、メルカプタン類やα−メチルスチレン二量体の連鎖移動剤等を加え、無触媒の場合は通常95〜200℃において加熱重合し、触媒重合の場合は、一般に60〜150℃のより低い温度において重合させる。
塊状懸濁重合においては、まず前半の反応を塊状重合で行い、後半の反応を懸濁重合で行う。
すなわち、上記ブロック共重合体ゴムをビニル芳香族系単量体、例えばスチレン単量体に溶解し、先の塊状重合の場合と同様に無触媒下で加熱重合又は触媒添加重合し、ビニル芳香族系単量体、例えばスチレンの好ましくは50質量%以下、より好ましくは10〜40質量%までを部分的に重合させる。これが前半の塊状重合である。
次いで、この部分的に重合した混合物を、懸濁安定剤又はこれと界面活性剤の両者の存在下で、水性媒体中に撹拌下に分散させ、反応の後半を懸濁重合することで完結させ、洗浄、乾燥し、必要によりペレット又は粉末化する。
溶液重合においては、トルエンやエチルベンゼン等の溶剤に、スチレンのようなビニル芳香族化合物及び/又はこれと共重合可能な単量体を添加し、さらに上記ブロック共重合体ゴムを添加し溶解させた後、無触媒下で加熱重合又は触媒添加重合をさせる。
以上のようにして製造されたビニル芳香族化合物系樹脂組成物は、光沢や透明性等の外観性に優れ、光沢や透明性が要求される食品包装分野、医療分野、光学分野等へも使用可能なものとなる。なお、光沢や透明性等の外観は目視等により評価することができる。
以下に実施例を示し、本発明の具体的な実施態様を示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
(1)ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムの特性の評価
実施列及び比較例における測定は次のようにして行った。
1.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムの結合スチレン含有量の測定
結合スチレン含有量は、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムを検体として、試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン含有量(wt%)を測定した。(JASCO製:V−550)
2.ブロックスチレン量の測定
ビニル芳香族化合物ブロックの含有量は、L.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.,1,429(1948)に記載されるオスミウム酸分解法に従って測定した。より具体的には、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体0.05gをクロロホルム10mlに溶解し、tert−ブチルハイドロパーオキサイドの69%水溶液16mlと四酸化オスミウムの0.05%クロロホルム溶液4mlを加え、90℃バス中にて12分間還流させて酸化分解反応を行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、該反応溶液中にメタノール200mlを攪拌下に加えてビニル芳香族化合物ブロック成分を沈殿させ、これを5μmのガラスフィルターにて濾別し、得られたものの重量をビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体中の全ビニル芳香族単位の含有量に対する割合で示した。
3.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム及びブロックスチレン部のピークトップ分子量の測定
GPC(装置は東ソー社製HLC−8320GPC EcoSECであり、カラムはTSKgel SuperMultipore2本、溶媒はテトラヒドロフランを使用し、測定条件は、温度35℃、流速0.4mL/分、試料濃度0.1質量%、注入量50μLである。)のクロマトグラフを測定した。分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、得られたGPCクロマトグラムから、ピークトップ分子量を求めた。
4.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムの5%スチレン溶液粘度の測定
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム5gをスチレン95gに溶解し、測定温度25℃にて、キャノンフェンスケタイプの粘度計(草野科学器械製作所製、製品名:キャノンフェンスケ No.300)で測定した。
5.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのクラム形状比率の測定
JIS Z8801のふるいの目の開きが5.6mm、3.35mm、2.00mmを使用して、ふるいの目の開きが2.00mmを通過した重量比率を測定した。
6.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベール成形性
ベール成形用金型(長さ70cm、幅35cm)にビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのクラムを30kg投入し、圧縮圧力;140〜250kg/cm2、圧縮時間;15〜60秒間、圧縮温度;60℃、の条件で成形し、得られた加圧成形体の表面状態を下記基準で評価した。
◎;表面を手で触ってもゴムがバラバラにならない、
○;表面を手で触るとゴムが粉末状に僅かに削れる、
×;表面を触るとゴムがバラバラと欠けやすく、ベールが割れやすい。
7.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベール成形後の見かけ密度
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムをベール成形機で成形したベール成形体の重量とベール成形体寸法から体積を算出し、見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)を求めた。
8.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベールの曲げ弾性率
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムをベール成形機で成形したベール成形体を包丁で、長さ150mm、幅20mm、厚み10mmに切り出し、曲げ弾性試験片とした。
サンプル試験片は5点切り出し、その5点の曲げ弾性率を測定し5点の平均値を求めた。
試験機器:NMB TG−5kN(恒温槽使用)
試験温度:10℃
試験条件:恒温槽(10℃)内に、サンプル試験片を20分間放置後、測定実施。
(1)試験速度:5mm/min
(2)支点間距離:51mm
9.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベールの粉砕性
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムをベール成形機で成形したベール成形体(35kg)をリーツカッターに投入し粉砕させた。その粉砕時のリーツカッターの平均電流値から粉砕性を評価した。
◎;平均電流値20A以上40A未満 リーツカッターでのベール粉砕時の負荷が小さい。
○;平均電流値40A以上60A未満 リーツカッターでのベール粉砕時の負荷が問題ない。
×;平均電流値60A以上 リーツカッターでのベール粉砕時の負荷が大きい。
10.ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベールの溶解性の測定
ベール成形体をサイコロ状にカットし、重量を2.5gにしたものをスチレンモノマー17.5gに(100mlサンプル管瓶)にて溶解させたときの溶解時間を溶解性の評価に用いた。25℃で縦式往復振とう機(200rpm)にて振とうさせ、サイコロ状にカットされたビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムのベール片が完全に溶解するまでの時間を測定時間とした。
◎;溶解時間10時間未満
○;溶解時間10以上15時間未満
×;溶解時間15時間以上
(2)ゴム補強ビニル芳香族化合物系樹脂の評価
1.アイゾット衝撃強度(Izod)
射出成型した厚さ3.2mmの試験片(ノッチあり)を用いて、JIS−K−7110に従って測定した。
2.光沢
射出成型した試験片を用いて、ASTMD−523に従ってゲート部とエンドゲート部の光沢度(入射角60°)を測定し平均した。
[実施例1]
(ブロック共重合体の製造例)
内容積が100Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、表1に記載の各成分を添加して共重合を行なった。精製シクロヘキサン45,000g、テトラヒドロフラン(THF)6.6g、スチレン1,600gと1,3−ブタジエン6100gを仕込み、100rpmで混合攪拌し重合開始温度を45℃に調整した。20質量%のn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(n−ブチルリチウム4.5g)を添加し、重合を開始した。初期仕込みのスチレンと1,3−ブタジエンの重合後(重合温度上昇ピーク後)に、スチレン2,300gを添加し、完全に重合させた。重合後にメタノール2.0gを添加し重合終了させた。この重合体を反応器より抜き出し、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3質量%と2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを重合体の重量に対して0.1質量%添加した。同様に重合を4回行い、安定剤を添加し、4回分の重合体ゴム溶液をブレンドした。さらに、得られた重合体ゴム溶液を攪拌下熱湯中に投下して、純水を用いてスチームストリッピング法により溶媒を除去した後、真空乾燥処理して、クラム状のスチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴムを得た。約38kgであった。
実施例1のブロック共重合体ゴムの特性及びベール成形後の特性を表2に示す。
[実施例2、4、5及び比較例1、2]
実施例1と同様の手法にて、表1に記載した重合条件により、実施例2、4、5及び比較例1、2のクラム状のスチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム各38kgを得た。
実施例2、4、5及び比較例1、2のブロック共重合体ゴムの特性及びベール成形後の特性を表2に示す。
[実施例3]
内容積が100Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、表1に記載の重合操作工程順にて、共重合を行なった。精製シクロヘキサン45,000g、テトラヒドロフラン(THF)6.6g、スチレン3,100gと1,3−ブタジエン6,900gを仕込み、100rpmで混合攪拌し重合開始温度を45℃に調整した。20質量%のn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(n−ブチルリチウム5.6g)を添加し、重合を開始した。
重合後にメタノール2.6gを添加し重合終了させた。重合体を反応器より抜き出し、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3質量%と2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを重合体の重量に対して0.1質量%添加した。同様に重合を4回行い、安定剤を添加し、4回分の重合体ゴム溶液をブレンドした。さらに、得られた重合体ゴム溶液を攪拌下熱湯中に投下して、スチームストリッピング法により溶媒を除去した後、真空乾燥処理して、クラム状のスチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム38kgを得た。
実施例3のブロック共重合体ゴムの特性及びベール成形後の特性を表2に示す。
[比較例3〜5]
スチームストリッピング時に熱湯中にアニオン型界面活性剤としてスチレン・無水マレイン酸共重合体物ナトリウム塩(ポリスターSMX−1H)を熱水に対して、30ppm添加し、篩いの目開き2mm以下のクラム形状比率を高めた以外は、実施例1と同様の手法にて、表1に記載した重合条件により、比較例3〜5のクラム状のスチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム各38kgを得た。
比較例3〜5のブロック共重合体ゴムの特性及びベール成形後の特性を表2に示す。なお、比較例3,4はベールが割れてしまい曲げ弾性率の測定はすることができなかった。
Figure 0006204685
THF:テトラヒドロフラン
TMEDA:テトラメチルエチレンジアミン
n−BuLi:n−ブチルリチウム
Figure 0006204685
[実施例6]
(塊状重合法によるゴム補強ビニル芳香族化合物系樹脂の製造例)
実施例1のブロック共重合体6.57質量部及び「ジエン55AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が170mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が55であるポリブタジエンゴム)4.0質量部をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(ノズル先端温度=220℃、射出圧力=SSP+5kg/cm2、金型温度=60℃)して試験片を作製し、物性を測定した。その結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例1のブロック共重合体8.22質量部及び「ジエン55AE」3.0質量部をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形ノズル先端温度=220℃、射出圧力=SSP+5kg/cm2、金型温度=60℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表3に示す。
[実施例8]
実施例1のブロック共重合体11.84質量部及び「ジエン55AE」0.8質量部をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形ノズル先端温度=220℃、射出圧力=SSP+5kg/cm2、金型温度=60℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表3に示す。
[比較例6]
「ジエン55AE」8.0質量部をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形ノズル先端温度=220℃、射出圧力=SSP+5kg/cm2、金型温度=60℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表3に示す。
実施例1のブロック共重合体を使用した実施例6〜8のゴム補強ビニル芳香族化合物系樹脂は、比較例6のゴム補強ビニル芳香族化合物系樹脂と比較して、ビニル芳香族化合物系樹脂の光沢が改良されていた。
Figure 0006204685
なお、上記実施例において、ベール操作性は、ベール曲げ弾性率により検証されている。これは、ベールを持ち運ぶあるいは、ロボット等で掴んだりしてベールを移動させる場合に、ベールが割れたりして落下したりと取り扱い操作性に問題があるため、その検証方法としてベールの弾性率測定により、割れやすいかどうかを判断した。また、曲げ弾性率が高いものは、見かけのベール密度が高いため、しっかりと押し固められているために、粉砕がしにくいことにもつながっていると考えられる。
また、上記実施例のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムは、ビニル芳香族化合物系樹脂の外観(光沢)性が改良されたものであった。
本発明に係わるビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムは、それ自身は容易にベールに成形され、優れたベール操作性を発現し、そのビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムをスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂やメチルメタクリレート−スチレン系樹脂等のビニル芳香族化合物系樹脂に加えた場合、外観に優れた耐衝撃性樹脂が得られる。その特性を活用し、家電製品及びその部品、食品包装材料、医療用器具材料、光学分野等の用途展開が可能である。

Claims (7)

  1. ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
    (a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
    (b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
    (c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
    (d)ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.85となり、
    (e)ベール状における10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2となる、
    ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
  2. 前記ビニル芳香族化合物ブロックの含有量が、前記ビニル芳香族化合物単位全体の55〜85質量%である、請求項1に記載のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
  3. 前記ビニル芳香族化合物ブロックの少なくとも1ブロックのピークトップ分子量が、30,000以上100,000以下である、請求項1又は2に記載のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
  4. クラム形状における、篩の目開き2mmを通過しないクラムの比率が75質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴム。
  5. ビニル芳香族化合物単位と共役ジエン単位とを有し、
    (a)前記ビニル芳香族化合物単位の含有量が28〜45質量%であり、
    (b)ピークトップ分子量が100,000〜500,000であり、
    (c)ビニル芳香族化合物ブロックを少なくとも1ブロック有するものであり、
    (d)ベール状における見かけ密度(ベールの重量/ベールの体積)が0.6〜0.8
    5となり、
    (e)ベール状における10℃での曲げ弾性率が5〜20kgf/cm2となる、ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体ゴムと、ビニル芳香族化合物及び/又はビニル芳香族化合物と共重合可能な単量体と、の混合物を塊状重合、塊状懸濁重合又は溶液重合する、ビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記ビニル芳香族化合物ブロックの含有量が、前記ビニル芳香族化合物単位全体の55〜85質量%である、請求項に記載のビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記ビニル芳香族化合物ブロックの少なくとも1ブロックのピークトップ分子量が、30,000以上100,000以下である、請求項5又は6に記載のビニル芳香族化合物系樹脂組成物の製造方法。
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