JP4029470B2 - 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性樹脂の弾性高分子成分として使用した場合に、耐衝撃性に優れると共に、着色剤による着色性に優れ、かつ、白濁の問題が改善された耐衝撃性樹脂を与えることができる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体及びその製造方法に関する。
また、本発明は、耐衝撃性付与効果に優れると共に、着色性及び白濁感の改善効果に優れた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤、それを含む樹脂組成物、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)やABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などの耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、一般に、ポリ芳香族ビニル系樹脂に、共役ジエン共重合体などの弾性高分子をブレンドまたはグラフトして、耐衝撃性を改善した高分子アロイである。この高分子アロイは、硬質で脆いポリ芳香族ビニル系樹脂のマトリックスの中に、弾性高分子が分散した構造を有しており、硬質でかつ耐衝撃性に優れている。
従来より、弾性高分子として芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を用いた耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂が知られている。この耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、一般に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の存在下に、芳香族ビニル系単量体(以下、単に、芳香族ビニルという)または芳香族ビニルと共重合可能な他の単量体との混合モノマーを重合することにより製造されている。重合法としては、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合などが採用されている。
【0003】
ところが、弾性高分子成分として芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を用いて得られた耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、着色剤の均一分散性が不充分であることに起因すると推定される着色性に劣り、しかも、曇りがあって白濁の度合が大きいという問題があった。近年、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂は、テレビジョンやエアコンディショナーなどの電気製品のハウジング材料として用いられているが、これらの用途においては、外観上、特に着色性に優れ、かつ、白濁の度合の小さいことが求められている。
従来、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロックスチレン部(すなわち、スチレン重合体ブロック部)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量が30,000以上で、かつ、該ピークトップ分子量の1/3以下の分子量に相当する部分の含有割合がブロックスチレン部全体の25〜50モル%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体を、弾性高分子成分として用いた耐衝撃性ポリスチレン系樹脂が提案されている(特開昭64−74209号公報)。しかしながら、このブロック共重合体は、着色性や白濁性についての改善効果が充分ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐衝撃性付与効果に優れると共に、着色性及び白濁性の改善効果に優れる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐衝撃性、着色性、及び白濁性の改善効果に優れる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂改質剤、それを含む樹脂組成物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、GPCによって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線において、そのピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線において、そのピークトップ分子量(Mp)が10,000〜1,000,000である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体により、前記目的を達成できることを見出した。
【0005】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を弾性高分子成分として使用して得られた耐衝撃性樹脂組成物は、耐衝撃性に優れると共に、着色剤による着色性に優れ、しかも白濁感が軽減されている。本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、例えば、炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物を重合する工程を含む製造方法により、容易に得ることができる。
本発明の耐衝撃性樹脂組成物は、例えば、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合することにより得ることができる。本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、それ単独で、あるいは他のゴム成分などと組み合わせて、耐衝撃性付与剤などの樹脂用改質剤として使用することができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、以下に示す各発明が提供される。
1. 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
(3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0007】
2. 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物を重合する工程を含むことを特徴とする前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
3. 前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
4. 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
5. 着色剤を更に含有する第4項に記載の樹脂組成物。
6. ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
7. 前記の樹脂組成物の製造方法により得られた樹脂組成物と着色剤とを混練することを特徴とする着色樹脂組成物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含むブロック共重合体である。当該ブロック共重合体は、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体を共重合することにより得ることができる。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレンを挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0009】
共役ジエン単量体としては、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(すなわち、イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。これらの中でも1,3−ブタジエン及び2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の各成分の割合は、芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲であり、共役ジエン結合単位の含有量が40〜97重量%、好ましくは55〜95重量%、より好ましくは80〜95重量%の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量がこの範囲にあるときに、耐衝撃性、着色性、及び白濁性の改善効果が高く、さらには、樹脂に対して透明性や光沢性を殆ど低下させないので、これらの特性が特に要求される用途においても好適である。
【0010】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の共役ジエン部のミクロ構造は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されればよい。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中におけるブロック芳香族ビニル部(すなわち、芳香族ビニル重合体ブロック)(A)の割合は、全芳香族ビニル結合単位の含有量を基準として、通常40重量%以上、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の割合がこの範囲にあるときに、樹脂用改質剤として用いた場合、耐衝撃性が高度に改善された樹脂組成物を得ることができ、さらに、樹脂に対して透明性や光沢性を殆ど低下させないので、これらの特性が特に要求される用途においても好適である。
本発明において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)含有量は、常法に従って測定することができる。具体的には、L.M.Kolthoff et al.,J.Polym.Sci.,,429(1948)に記載されているオスミウム酸分解法に従って、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を触媒量のオスミウム酸を用い、tert−ブチルハイドロパーオキサイドで酸化分解した後、平均孔径5.0μmのガラスフィルターで濾別されるものとして測定される。
【0011】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の値で、好ましくは10,000〜75,000、より好ましくは10,000〜50,000の範囲である。ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線のピークトップ分子量(A−Mp)がこの範囲であるときに、耐衝撃性付与効果が大きく、また、光沢性や透明性を要求される分野でも好適に適用することができる。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)のGPC分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合は、ブロック芳香族ビニル部(A)全量を基準として、その55〜90モル%、好ましくは55〜80モル%、より好ましくは55〜70モル%の範囲である。ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が過度に少ないと耐衝撃性や白濁性に劣り、逆に、過度に多いものは製造が困難である。
【0012】
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のGPC分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)〔重量平均分子量(Mw)〕は、ポリスチレン換算の値で、好ましくは50,000〜800,000、より好ましくは100,000〜600,000の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)が過度に小さいと耐衝撃性の改善効果に劣り、逆に、過度に大きいとブロック共重合体の溶液粘度が上昇し、ブロック共重合体の製造プロセス上問題となる。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法は、格別限定されるものではないが、例えば、炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とからなる混合物を重合する工程を含有させる方法を挙げることができる。
【0013】
炭化水素系溶媒としては、特に限定されず、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;などを挙げることができる。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機活性金属化合物としては、例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などのアニオン重合可能な有機活性金属化合物が挙げられる。これらの中でも、重合反応性、経済性などの観点から、有機アルカリ金属化合物が特に好ましい。
【0014】
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウム、エチルバリウムが挙げられる。
【0015】
有機ランタノイド系列希土類金属化合物としては、例えば、特公昭63−64444号公報に記載されているようなバーサチック酸ネオジウム/トリエチルアルミニウムハイドライド/エチルアルミニウムセスキクロライドからなる複合触媒が挙げられる。
これらの有機活性金属化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機活性金属化合物の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択され、全単量体100g当たり、通常0.01〜20ミリモル、好ましくは0.05〜15ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
全単量体中、芳香族ビニル単量体の使用割合は、3〜60重量%、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜20重量%であり、共役ジエン単量体の使用割合は、40〜97重量%、好ましくは55〜95重量%、より好ましくは80〜95重量%である。
【0016】
本発明の製造方法においては、共役ジエン単量体を重合し、次いで、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とからなる単量体混合物を重合する工程を配置することにより、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を増加させることができる。単量体混合物を重合してから共役ジエン単量体を重合したり、芳香族ビニル単量体を重合してから単量体混合物を重合しても、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が少なく、その結果、耐衝撃性や白濁性の改善効果が充分でなくなるので、好ましくない。
【0017】
単量体混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合は、[芳香族ビニル]:[共役ジエン]の重量比で、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは40:60〜70:30の範囲である。単量体混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合がこの範囲にあるときに、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を高度に高めることができるので好ましい。
芳香族ビニル単量体の全量に対する単量体混合物中の芳香族ビニル単量体の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常20〜100重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%の範囲である。芳香族ビニル単量体の全量に対する単量体混合物中の芳香族ビニル単量体の割合がこの範囲にあるときに、耐衝撃性に特に優れ好適である。
【0018】
単量体混合物を重合する前に重合する共役ジエン単量体と単量体混合物との割合は、格別な制限はないが、[共役ジエン]/[単量体混合物]の重量比で、通常、20:80〜95:5、好ましくは40:60〜90:10、より好ましくは50:50〜90:10の範囲である。共役ジエン単量体と単量体混合物との割合がこの範囲にあるときに、得られる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を高度に高めることができるので好ましい。
【0019】
本発明の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、単量体混合物を重合する工程以外の工程は、特に制限はされず、常法に従って行えばよく、例えば、共役ジエン単量体や単量体混合物を重合する工程をランダムに組み合わせてもよいし、また、芳香族ビニル単量体を重合する工程を含ませることもできる。好ましい製造方法としては、(1)共役ジエン単量体を重合し、次いで、単量体混合物を重合する工程のみの製造方法、(2)共役ジエン単量体を重合し、次いで、単量体混合物を重合する工程の後、芳香族ビニル単量体を重合する工程、(3)共役ジエン単量体を重合し、次いで、単量体混合物を重合する工程の後、芳香族ビニル単量体を重合する工程と共役ジエン単量体を重合する工程を含むものなどが挙げられる。
【0020】
本発明の製造方法の具体例としては、芳香族ビニル単量体を重合する工程を(a)、共役ジエン単量体を重合する工程を(b)、単量体混合物を重合する工程を(a/b)と略記した場合、例えば、
(b)→(a/b)、
(b)→(a/b)→(b)→(a/b)、
(b)→(a/b)→(a/b)、
(a/b)→(b)→(a/b)、
(a)→(b)→(a/b)、
(b)→(a/b)→(a)、
(b)→(a/b)→(a)→(b)、
(b)→(a/b)→(a)→(b)→(a)、
(b)→(a/b)→(b)→(a)、
(b)→(a/b)→(b)→(a)→(b)、
(b)→(a/b)→(b)→(a)→(b)→(a)、
(b)→(a/b)→(b)→(a)→(b)→(a)→(b)、
(b)→(a/b)→(a)→(b)→(a)→(b)→(a)、及び
(b)→(a/b)→(a/b)→(a)
の各工程を経る方法が挙げられる。これらの中でも、
(b)→(a/b)→(a)、
(b)→(a/b)→(a)→(b)→(a)、及び
(b)→(a/b)→(a)→(b)→(a)→(b)→(a)
の各工程を経る方法が好適であり、
(b)→(a/b)→(a)
の各工程を経る方法が特に好適である。
各工程での単量体の使用割合は、適宜選択されるが、例えば、(b)→(a/b)→(a)の各工程を経る方法において、単量体の全量中、
(b)が、通常20〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜90重量%、
(a/b)が、通常5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは9〜49重量%、
(a)が、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%の範囲である。
【0021】
本発明の製造方法においては、重合反応時に、必要に応じて、ルイス塩基等の極性化合物を添加することができる。ルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;等の化合物を挙げることができる。これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その本発明の目的を損ねない範囲の量で適宜使用される。
重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれでもよく、通常は0〜150℃、好ましくは20〜120℃の重合温度範囲で行われる。重合反応終了後は、常法により、例えば、停止剤としてメタノール、イソプロパノールなどのアルコール類を添加して重合反応を停止し、酸化防止剤(安定剤)やクラム化剤を加えた後、直接乾燥や、スチームストリッピングなどの方法で溶媒を除去し、乾燥して、生成重合体を得ることができる。
【0022】
樹脂組成物
本発明の樹脂用改質剤は、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とし、特に、耐衝撃性の改質剤(強靭化剤)として有用である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分とを含有する組成物である。
本発明で使用する樹脂成分、すなわち改質される樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂;アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS)、メチルメタクリレート−スチレン樹脂などの芳香族ビニル系熱可塑性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル等のエンジニアリングプラスチック等を挙げることができる。これらの中でも、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテルなどが好ましく、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明で使用するゴム成分としては、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体単独、あるいは該芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体とその他のゴムとの混合物が用いられる。ゴム成分中の本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の含有量は、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。ゴム成分中に本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有しないと、着色性及び白濁性に劣り好ましくない。
その他のゴムとしては、特に限定はなく、樹脂の強靭化剤として通常使用されるその他のゴム成分を添加することができる。具体的には、例えば、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体以外の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、低シス−ポリブタジエンゴム、高シス−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴムが挙げられる。
【0024】
樹脂成分に対する上記ゴム成分の割合は、使用目的や芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の種類と含有量に応じて適宜選択されるが、樹脂成分100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部の範囲である。ゴム成分の割合が、この範囲であるときに、耐衝撃性、着色性、及び白濁性の改善効果が高度にバランスされ、しかも光沢や透明等の外観特性や引張強度・剛性などの樹脂本来の物性の低下も少なく好適である。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、樹脂成分と前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分とを機械的に混合する方法を挙げることができるが、樹脂成分が芳香族ビニル系熱可塑性樹脂の場合には、前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物をラジカル重合する方法が好ましい。
【0025】
樹脂組成物の製造において用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1,4−ジクロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどの不飽和ニトリル単量体;メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸単量体;フェニルマレイミドが挙げられる。
【0026】
これらの中でも、不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、不飽和脂肪酸単量体が好ましく、不飽和ニトリル単量体が特に好ましい。これらの芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体との使用割合は、用途に応じて適宜選択されるが、[芳香族ビニル単量体]:[芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体]の重量比で、通常20:80〜100:0、好ましくは40:60〜100:0、より好ましくは60:40〜100:0の範囲である。
使用するゴム成分の割合は、使用目的に応じて適宜選択できるが、上記単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部である。ゴム成分の使用割合がこの範囲であるときに、耐衝撃性、着色性、及び白濁性の改善効果が高く、しかも光沢や透明等の外観特性や引張強度・剛性などの樹脂本来の物性の低下も少なく好適である。
【0027】
ラジカル重合法としては、格別の限定はなく、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状−懸濁二段重合法などの多段重合法などが挙げられる。これらの中でも、塊状重合法及び塊状−懸濁二段重合法が特に好ましい。塊状重合法は、塊状連続重合法が好ましい。
塊状連続重合法により本発明の樹脂組成物を製造する場合には、例えば、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体とそれと共重合可能な単量体との混合物に溶解させ、必要に応じて、希釈溶剤、流動パラフィン、ミネラルオイルなどの内部潤滑剤、酸化防止剤、連鎖移動剤などを加えた後、無重合触媒重合の場合は、通常80〜200℃において加熱重合し、触媒重合の場合は、重合触媒の存在下、通常20〜200℃において重合し、単量体(芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物)の重合転化率が60%から90%になるまで重合する。この場合、重合触媒を用いることが、より好ましい。
【0028】
重合触媒としては、通常、有機過酸化物やアゾ系触媒が用いられ、好ましくは有機過酸化物である。有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ベンゾイルペルオキシド、m−トルオイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;ジメチルスチリルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシカーボネート類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシエステル類;シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類;p−メンタハイドロペルオキシドなどのハイドロペルオキシド類などが挙げられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合触媒の使用割合は、単量体100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
【0029】
希釈溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類;n−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;メチルイソプロピルケトンなどのケトン類;が挙げられ、芳香族炭化水素類が好ましい。これらの希釈溶剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その使用割合は、全単量体を基準に、通常、その0〜25重量%である。
連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー;n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;1−フェニルブテン−2−フルオレン、ジペンテンなどのテルペン類;クロロホルムなどのハロゲン化合物などが挙げられる。
重合操作終了後、生成した樹脂組成物は、常法に従って、例えば、加熱減圧による溶媒除去、あるいは揮発物除去設計された押出し装置を用いて押出すことにより、未反応モノマーや希釈溶剤などを除去し回収することができる。得られた樹脂組成物は、必要により、ペレット化または粉末化して実用に供される。
【0030】
また、塊状−懸濁重合法においては、通常、前記の塊状重合法と同様にして単量体の重合転化率が30〜50%に達するまで部分的に重合を行い、次いで、この部分的に重合した重合体を含む重合溶液を、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの懸濁安定剤、及び/またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤の存在下で、水中に懸濁して反応を完結させる。生成した耐衝撃性樹脂組成物は、濾過分離、遠心分離などの方法により単離し、水洗、乾燥を行い、必要に応じてペレット化または粉末化する。
本発明の樹脂組成物において、樹脂成分のマトリックス中における本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の平均粒子径は、格別制限されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmの範囲内にあるときに、耐衝撃性の向上効果が著しく好適である。
本発明の樹脂組成物は、着色性に優れており、着色剤を均一に分散することができる。着色剤としては、格別な制限はなく、通常のゴム、プラスチック等の樹脂工業において使用されるものを用いることができる。着色剤としては、通常、顔料が用いられる。
【0031】
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれでもよい。顔料の具体例としては、キナクリドンレッド、パラレッド、ファイヤーレッド、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、リソールレッド、ピグメントスカーレット3B、アリザリンレーキ、アリザリンマルーン、ヘリオボルドー、チオインジゴ、トルイジンマルーン、ジオキサジンバイオレット、レーキレッドC、ピラゾロンレッド、ナフトールレッド、アンスラキノンレッド、イソインドリノンレッド、アンスラキノンイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、パーマネントイエローHR、ベンジジンオレンジ、イソインドリノンイエロー、グリーンゴールド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、PTAブルー、PMAブルー、ピグメントグリーンB、インダスレンブルー、カーボンブラック、ボーンブラック、アニリンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、亜鉛華、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリーレッド、ベンガラ、マンガン紫、カドミウムイエロー、クロムイエロー、クロムバーミリオン、亜鉛黄、チタンイエロー、黄色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄、コバルトブルー、紺青、群青、クロムグリーン、酸化クロム、ビリジアンなどが挙げられる。
【0032】
これらの中でも、キナクリドンレッド、パラレッド、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、アリザリンレーキ、アリザリンマルーン、ヘリオボルドー、チオインジゴ、ジオキサジンバイオレット、レーキレッドC、ピラゾロンレッド、アンスラキノンレッド、イソインドリノンレッド、アンスラキノンイエロー、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ、イソインドリノンイエロー、グリーンゴールド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、インダスレンブルー、カーボンブラック、ボーンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリーレッド、ベンガラ、マンガン紫、カドミウムイエロー、クロムイエロー、クロムバーミリオン、亜鉛黄、チタンイエロー、黄色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄、コバルトブルー、紺青、群青、クロムグリーン、酸化クロム、ビリジアンが好ましい。
【0033】
また、これらの中でも、パラレッド、ファイヤーレッド、ピグメントスカーレット3B、アンスラキノンレッド、イソインドリノンレッド、ベンジジンオレンジ、グリーンゴールド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック、酸化チタン、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリーレッド、ベンガラ、カドミウムイエロー、チタンイエロー、黄色酸化鉄、褐色酸化鉄、コバルトブルー、群青、クロムグリーンが特に好ましい。
これらの着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。着色剤の配合量は、着色剤の種類や使用目的などに応じて適宜選択することができるが、樹脂組成物100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。
本発明の樹脂組成物は、着色剤以外にも、必要に応じて、樹脂工業で通常使用されるその他の配合剤を添加することができる。使用できる配合剤の具体例としては、例えば、ミネラルオイル、流動パラフィン、有機ポリシロキサン、有機または無機の充填剤、安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。
【0034】
有機または無機の充填剤としては、各種の粉粒状または繊維状充填剤があり、より具体的には、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。
安定剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系安定剤を挙げることができる。
【0035】
難燃剤としては、特に制約はなく、通常、ハロゲン系難燃剤が用いられる。ハロゲン系難燃剤としては、塩素系または臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、臭素系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ヘキサブロモシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミンが挙げられる。
難燃剤の難燃化効果をより効果的に発揮させるために、難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン等のアンチモン系難燃助剤を併用することができる。
【0036】
これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
これらの着色剤やその他の配合剤の混合は、▲1▼樹脂成分及びゴム成分と共に機械的に行ってもよいし、▲2▼前記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含むゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物をラジカル重合して得られる樹脂組成物と機械的に混合してもよい。後者の▲2▼の方法が、着色剤の均一分散性に優れ、より着色性に優れるので好適である。機械的な混合方法は、常法に従えばよく、1軸もしくは2軸などの押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練装置を用いて行うことができ、混合温度は、通常100〜250℃の範囲である。
【0037】
本願各発明及び好ましい実施の形態は、以下のとおりである。
1. 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
(3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
2. ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が5〜20重量%である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0038】
3. ブロック芳香族ビニル部(A)の割合が、全芳香族ビニル結合単位の含有量を基準として、50〜95重量%である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
4. ブロック芳香族ビニル部(A)のGPC分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜80モル%である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
5. GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が100,000〜600,000である第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
【0039】
6. 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物を重合する工程を含むことを特徴とする第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
7. 共役ジエン単量体40〜97重量%と芳香族ビニル単量体3〜60重量%とを共重合する第項に記載の製造方法。
8. 共役ジエン単量体20〜95重量%を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物5〜80重量%を重合する工程を含む第項に記載の製造方法。
9. 共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物中の芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との割合が、重量比で10:90〜90:10の範囲である第項に記載の製造方法。
【0040】
10. 芳香族ビニル単量体の全量に対する混合物中の芳香族ビニル単量体の割合が、20〜100重量%の範囲である第項に記載の製造方法。
11. 共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物を重合し、さらに、残余の芳香族ビニル単量体を重合する第項に記載の製造方法。
12. 共役ジエン単量体50〜90重量%を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物9〜49重量%を重合し、さらに、残余の芳香族ビニル単量体1〜15重量%を重合する第11項に記載の製造方法。
13. 第1項に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
【0041】
14. 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
(3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
15. 樹脂成分が、芳香族ビニル系熱可塑性樹脂である第14項に記載の樹脂組成物。
16. 樹脂成分100重量部に対して、ゴム成分0.1〜30重量部を含有する第14項に記載の樹脂組成物。
17. 着色剤を更に含有する第14項に記載の樹脂組成物。
【0042】
18. ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
(3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
19.18項に記載の製造方法によりラジカル重合して樹脂組成物を得た後、得られた樹脂組成物と着色剤とを混練する着色樹脂組成物の製造方法。
【0043】
【実施例】
以下に、製造例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下の例中の部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。各種の物性の測定法は、下記の通りである。
(1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量は、約700cm-1の波数におけるフェニル基による赤外線吸収ピークの強度を測定し、予め求めておいた検量線と対比して求めた。
(2)ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)は、テトラヒドロンフラン(THF)を溶媒にしたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値で示した。
(3)ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量は、L.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.,,429(1948)に記載されているオスミウム酸分解法に従って測定した。より具体的には、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体0.05gを四塩化炭素10mlに溶解し、tert−ブチルハイドロパーオキサイドの70%水溶液16mlと四塩化オスミウムの0.05%クロロホルム溶液4mlを加え、90℃バス中にて15分間還流を行い酸化分解反応を行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、該反応溶液中にメタノール200mlを攪拌下に加えてブロック芳香族ビニル成分を沈殿させ、これを5μmのガラスフィルターにて濾別し、得られたものの重量を芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の全芳香族ビニル結合単位の含有量に対する割合で示した。
【0044】
(4)ブロック芳香族ビニル部(A)のピークトップ分子量(A−Mp)は、上記(3)で分離されたブロック芳香族ビニル成分をTHFに溶解し、GPCで測定されるポリスチレン換算の値で示した。
(5)ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線において、そのピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合は、特開昭64−74209号公報に記載されている保持容量(以下、VRと略記)単位の面積割合を求める方法に従って算出し、モル%で示した。
すなわち、本発明の場合には、VRが5.835μl毎の重量割合(W1)を計算し、相関曲線(検量線)により、各VRの分子量(M1)を求め、これから各VRのモル数比(W1/M1)を求め、さらに、(W1/M1)/Σ(W1/M1)より、各VRのモル数割合を求め、このデータよりピークトップ分子量の1/3以下に相当する分子量の部分の割合を計算した。
(6)アイゾッド衝撃強度は、JIS K7110に従って測定し、比較例を100とする指数(数値が大きい程好ましい)で表示した。
(7)白濁性すなわち白濁感の評価(曇価)は、樹脂組成物を100mm×50mm、厚さ2mmの片ピンゲート付き金型で射出成形して試験片を作成し、この試験片を用いて、JIS K6714に準じて測定し、比較例を100とする指数(数値の小さい方が好ましい)で表示した。
(8)着色性は、黄色顔料を混練した樹脂組成物を射出成形して試験片(100mm×60mm×2mm)を作成し、この試験片を用いて、JIS K7103に準じて黄色度を測定し、比較例を100とする指数(値が大きい程好ましい)で表示した。
【0045】
[実施例1](ブロック共重合体の製造例)
攪拌器、リフラックスコンデンサー及びジャケット付きの2キロリットルの反応器を洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製し、乾燥したシクロヘキサン600kg、及びブタジエン75.5kgをいれて、50℃に昇温してから、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mmol/ml)320mlを添加して重合を開始した(重合1段目)。反応転化率が約100%になったところで、引き続き、ブタジエン9.5kgとスチレン10kgの混合物を添加して重合した(重合2段目)。この単量体混合物の反応転化率が約100%となったところで、引き続きスチレン5kgを添加して重合した(重合3段目)。3段目の反応転化率が約100%になったところで、イソプロピルアルコールを10mmol添加して重合を停止し、次いで、フェノール系老化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1076)200gを添加してから、スチームストリッピング法により脱溶媒した後、真空乾燥してブロック共重合体Aを得た。
得られたブロック共重合体Aの芳香族ビニル結合単位の含有量、ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を測定し、その結果を表1に示した。
【0046】
[実施例2〜3]
表1に記載の条件に変えたこと以外は、実施例1の方法に準じてブロック共重合体B〜Cを製造し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0047】
[比較例1]
攪拌器、リフラックスコンデンサー及びジャケット付きの2キロリットルの反応器を洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製し、乾燥したシクロヘキサン600kg、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)15mmol、及びブタジエン90kg、スチレン7kgをいれて、60℃に昇温してから、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65mmol/ml)330mlを添加して重合を開始した(重合1段目)。反応転化率が約100%になったところで、引き続きスチレン3kgを添加して反応転化率が約100%になるまで重合を行った。その後、イソプロピルアルコールを10mmol添加して重合を停止し、フェノール系老化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス1076)200gを添加してからスチームストリッピング法により脱溶媒した後、真空乾燥してブロック共重合体Dを得た。
得られたブロック共重合体Dの芳香族ビニル結合単位の含有量、ブロック共重合体のピークトップ分子量(Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の含有量、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)、ブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)の1/3以下の分子量に相当する部分の割合を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0048】
[比較例2〜3]
表1に記載の条件に変えたこと以外は、比較例1の方法に準じてブロック共重合体E〜Fを製造し、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 0004029470
(*1)テトラメチルエチレンジアミン
【0050】
[実施例4]
攪拌装置つきステンレス製反応機で、実施例1で得られたブロック共重合体A180gをスチレンモノマー1820gに溶解させた後、連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)をスチレンモノマーに対し250ppmの割合で添加し、130℃で1時間20分攪拌し塊状重合を行った。次いで、内容物を取り出し、この内容物1250gとポリビニルアルコール2%水溶液3750gを8リットルの攪拌装置付きステンレス製反応機に入れ、70℃に昇温した。次に、ベンゾイルペルオキシド2.5gとジクミルペルオキシド1.26gを添加し、70℃で1時間、90℃で1時間、110℃で1時間、及び130℃で4時間、懸濁重合を行った。重合終了後、室温にまで冷却し、得られたポリスチレン樹脂組成物を濾過、回収し、水洗い洗浄後、60℃で6時間減圧乾燥した。
得られたポリスチレン樹脂組成物を180℃のロールで練り、シート状に成形し、シートペレタイザーでペレット状にした。得られたペレットを射出成形機SAV−30/30(山城精機社製;金型温度50℃、ノズル先端温度240℃)にて射出成形して試験片を作成し、そのアイゾッド衝撃強度及び白濁性を評価した。その結果を表2に示した。
また、得られたポリスチレン樹脂組成物600部と黄色顔料(東洋インキ製造(株)社製;チタンイエローTVP−22,イエロー)3部を180℃のロールで5分間混練し、次いで、角切りペレタイザーにて細断しペレットとした。得られたペレットを射出成形機SAV−30/30(山城精機社製;金型温度50℃、ノズル先端温度240℃)にて射出成形して、試験片(100mm×60mm×2mm)を作成し、着色性を評価した。その結果を表2に示した。
【0051】
[実施例5〜6、比較例4〜6]
ブロック共重合体Aの代わりに、実施例2〜3及び比較例1〜3で製造した各ブロック共重合体B〜Fを用いたこと以外は、実施例4と同様に行い、アイゾッド衝撃強度、白濁性、及び着色性を評価した。その結果を表2に示した。
【0052】
【表2】
Figure 0004029470
(*1)比較例6を100とする指数
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、耐衝撃性付与効果に優れると共に、着色性及び白濁性の改善効果に優れる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、耐衝撃性、着色性、及び白濁性の改善効果に優れる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂改質剤、それを含む樹脂組成物、及びその製造方法が提供される。本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、耐衝撃性ポリ芳香族ビニル系樹脂の弾性高分子成分(耐衝撃性改質剤)として特に有用である。

Claims (7)

  1. 芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体において、
    (1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
    (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
    (3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
    ことを特徴とする芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体。
  2. 炭化水素系溶媒中、有機活性金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体を重合し、次いで、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との混合物を重合する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法。
  3. 請求項1記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を有効成分とする樹脂用改質剤。
  4. 樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂組成物において、ゴム成分が、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
    (1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
    (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
    (3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
    芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  5. 着色剤を更に含有する請求項4記載の樹脂組成物。
  6. ゴム成分の存在下で、芳香族ビニル単量体または芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との混合物をラジカル重合する樹脂組成物の製造方法において、ゴム成分として、芳香族ビニル結合単位と共役ジエン結合単位とからなり、少なくともブロック芳香族ビニル部を含む芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であって、
    (1)ブロック共重合体中の芳香族ビニル結合単位の含有量が3〜60重量%であり、
    (2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したブロック芳香族ビニル部(A)の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(A−Mp)が、10,000〜75,000であって、その1/3以下の分子量に相当する部分の割合が、ブロック芳香族ビニル部(A)全量の55〜90モル%であり、かつ、
    (3)GPCによって測定したブロック共重合体の分子量分布曲線におけるピークトップ分子量(Mp)が50,000〜800,000である
    芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を含有するゴム成分を使用することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法により、ラジカル重合して樹脂組成物を得た後、得られた樹脂組成物と着色剤とを混練する着色樹脂組成物の製造方法。
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