JP6278753B2 - ブロック共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、ブロック共重合体に関する。
二つのビニル芳香族重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの組み合わせからなる3型ブロック共重合体は、シール材料として用いられることが知られている。
例えば、特許文献1には、上記3型ブロック共重合体にビニル芳香族重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる2型ブロック共重合体を混合させる方法が開示されている。
特開2012−21078号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているブロック共重合体は、粘着性はいいものの、シール材料として用いた際の温度依存性が大きく、低温で用いるのに適さない。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、メルトフローレート、反発弾性、引張伸びのバランスに優れ、シートの粘着力の温度依存性(以下、単に「温度依存性」ともいう。)に優れたブロック共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ビニル芳香族重合体ブロック所定量と、共役ジエン重合体ブロック所定量と、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを含むランダム共重合体ブロック所定量とを含むブロック共重合体であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、
共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)と、
ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)と、を含み、
前記重合体ブロック(A)の含有率が、5質量%以上34質量%以下であり、
前記重合体ブロック(B)の含有率が、40質量%以上80質量%以下であり、
前記ランダム重合体ブロック(C)の含有率が、4質量%以上30質量%以下であり、
ビニル芳香族単量体単位の含有率が、10質量%以上35質量%以下であり、
前記重合体ブロック(B)において、ビニル結合量が8質量%以上、49質量%であり、
前記ランダム重合体ブロック(C)において、前記ビニル芳香族単量体単位の含有量100質量%に対して、1〜6個のビニル芳香族単量体単位からなる短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が70質量%以上である、
ブロック共重合体。
〔2〕
粘着力が、0.30MPa以上である、前記〔1〕に記載のブロック共重合体。
〔3〕
0℃での貯蔵弾性率が、2.1×10Pa以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のブロック共重合体。
〔4〕
60℃での貯蔵弾性率が、0.6×10Pa以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
〔5〕
重量平均分子量が、40,000以上300,000以下である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
本発明によれば、メルトフローレート、反発弾性、引張伸びのバランスに優れ、温度依存性に優れたブロック共重合体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔ブロック共重合体〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、
共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)と、
ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)と、を含み、
前記重合体ブロック(A)の含有率が、5質量%以上34質量%以下であり、
前記重合体ブロック(B)の含有率が、40質量%以上80質量%以下であり、
前記ランダム重合体ブロック(C)の含有率が、4質量%以上30質量%以下であり、
ビニル芳香族単量体単位の含有率が、10質量%以上35質量%以下であり、
前記重合体ブロック(B)において、ビニル結合量が8質量%以上、49質量%であり、
前記ランダム重合体ブロック(C)において、前記ビニル芳香族単量体単位の含有量100質量%に対して、1〜6個のビニル芳香族単量体単位からなる短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が70質量%以上である。
なお、本実施形態において、ブロック共重合体を構成する各単量体単位の命名は、当該単量体単位が由来する単量体の命名に従っているものとする。例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味する。その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味する。その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
〔ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)を含む。ここで、「主体とする」とは、重合体ブロック(A)がビニル芳香族単量体単位を89質量%以上含有することを意味する。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)は、89質量%以上のビニル芳香族単量体と10質量%以下の共役ジエン単量体との共重合体ブロック、又はビニル芳香族単量体単独の重合体ブロックである。
ビニル芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらビニル芳香族単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るブロック共重合体中の重合体ブロック(A)の含有量は、5質量%以上であり、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。含有量が5質量%以上であることにより、引張伸び、温度依存性に優れる。また、含有量は、34質量%以下であり、33質量%以下であることが好ましく、32質量%以下であることがより好ましい。含有量が34質量%以下であることにより、反発弾性、温度依存性により優れる。
〔共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)を含む。ここで、「主体とする」とは、重合体ブロック(B)が共役ジエン単量体単位を89質量%以上含有することを意味する。共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)は、89質量%以上の共役ジエン単量体と10質量%以下のビニル芳香族単量体との共重合体ブロック、又は共役ジエン単量体単独の重合体ブロックである。
共役ジエン単量体としては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであれば、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等である。このなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これら共役ジエン単量体単位は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るブロック共重合体中の共重合体ブロック(B)の含有量は、40質量%以上であり、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。含有量が40質量%以上であることにより、温度依存性に優れる。また、含有量は、80質量%以下であり、78質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。含有量が80質量%以下であることにより、引張伸び、温度依存性により優れる。
(重合体ブロック(B)中のビニル結合量)
また、重合体ブロック(B)中のビニル結合量は、8質量%以上であり、9質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。含有量が8質量%以上であることにより、温度依存性に優れる。また、ビニル結合量は、49質量%以下であり、47質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。含有量が49質量%以下であることにより、温度依存性に優れる。
ここで、「ビニル結合量」とは、重合体ブロック(B)中の共役ジエン単量体単位全体のうち、ビニル結合を構成している共役ジエン単量体単位の質量割合をいう。
重合体ブロック(B)中のビニル結合量は、例えば、エーテル類や第三級アミン類等を使用して調整することができる。このような化合物としては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシテトラヒドロフラン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが挙げられる。これら化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。使用方法としては、共役ジエンモノマーの投入前に、重合槽中に投入することが挙げられる。
〔ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)を含む。ランダム重合体ブロック(C)において、ビニル芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらビニル芳香族単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、ランダム重合体ブロック(C)は、ビニル芳香族単量体単位を11質量%より多く、90質量%未満と、共役ジエン単量体単位を11質量%より多く、90質量%未満とを含むことが好ましい。
共役ジエン単量体としては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであれば、特に限定されず、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。このなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これら共役ジエン単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ここで、「ランダム」とはブロック共重合体中のビニル芳香族単量体の連続が10個以下である状態をいう。
本実施形態に係るブロック共重合体中のランダム重合体ブロック(C)の含有量は、4質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい。含有量が、4質量%以上であることにより、引張伸び、温度依存性により優れる。また、含有量は、30質量%以下であり、26質量%以下であることが好ましく、22質量%以下がより好ましい。含有量が、30質量%以下であることにより、温度依存性により優れる。
また、該ランダム重合体ブロック(C)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。これにより、反発弾性、温度依存性に優れる傾向にある。また、含有量は15質量%以下であることが好ましく、13質量%以下がより好ましく、11質量%以下がさらに好ましい。含有量が、15質量%以下であることにより、温度依存性の点により優れる傾向にある。
ランダム重合体ブロック(C)中のビニル芳香族単量体単位の含有量に対する、短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は70質量%以上であり、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。含有量が75質量%以上であることに温度依存性に選りすぐれる。ここで、「短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分」とは、ランダム重合体ブロック(C)中でビニル芳香族単量体が1〜6個で連続して重合した部分をいう。ランダム重合体ブロック(C)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の制御は、ブロック共重合体の製造時におけるビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体が共重合する過程でのビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体の重量、重量比、重合反応性比等を変えることにより行なうことができる。具体的な方法としては、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体の混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は極性化合物あるいはランダム化剤を使用してビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体を共重合する等の方法が採用できる。
極性化合物であるランダム化剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−ジテトラヒドロフリルプロパン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類;ホスフィン類;ホスホルアミド類;アルキルベンゼンスルホン酸塩;カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。このなかでも、2,2’−ジテトラヒドロフリルプロパン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
〔ビニル芳香族単量体の含有率〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体の含有率が、10質量%以上であり、12質量%以上であることが好ましく、14質量%以上であることがより好ましい。含有量が10質量%以上であることにより、引張伸び、温度依存性により優れる傾向にある。また、含有量は35質量%以下であり、34質量%以下であることが好ましく、33質量%以下であることがより好ましい。含有量が35質量%以下であることにより、反発弾性、温度依存性により優れる傾向にある。
(粘着力)
本実施形態に係るブロック共重合体は、粘着力が、0.30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.32MPa以上であり、さらに好ましくは0.35MPa以上である。粘着力の上限値は特にないが、10MPa以下であることが好ましい。粘着力が上記範囲内であることにより、温度依存性により優れる傾向にある。
粘着力の制御は、該ブロック共重合体の重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)、ランダム重合体ブロック(C)、ビニル芳香族単量体の含有量、及びランダム重合体ブロック(C)中の短連鎖ビニル芳香族単量対重合部分の含有量、さらに該ブロック共重合体の重量平均分子量を調整することにより行なうことができる。それぞれの値は相関する。粘着力を0.3MPa以上制御するためにとり得る値の範囲としては、特に限定されないが、例えば、特に該ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有率を10質量%以上、35質量%以下の範囲にして、他の値を微調整することにより制御することができる。ビニル芳香族の含有率が10質量%に近づくと、粘着力は小さくなり、ビニル芳香族の含有率が35質量%に近づくと、粘着力は大きくなる傾向がある。本実施形態において、粘着力は実施例に記載の測定方法で求めることができる。
(0℃での貯蔵弾性率)
本実施形態に係るブロック共重合体は、0℃での貯蔵弾性率が2.1×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは2.0×10Pa以下であり、さらに好ましくは1.9×10Pa以下である。0℃での貯蔵弾性率の下限値は特にないが、1.5×10Pa以上であることが好ましい。0℃での貯蔵弾性率が上記範囲内であることにより、温度依存性により優れる傾向にある。
0℃での貯蔵弾性率の制御は、該ブロック共重合体の重合体ブロックA、重合体ブロックB、重合体ブロックC、ビニル芳香族単量体の含有量、及び重合体ブロックC中の短連鎖ビニル芳香族単量対重合部分の含有量、さらに該ブロック共重合体の重量平均分子量を調整することにより行なうことができる。それぞれの値は相関する。0℃での貯蔵弾性率を2.1×10Pa以下に制御するためにとり得る値の範囲としては、特に限定されないが、例えば、特に該ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有率を10質量%以上、35質量%以下の範囲にして、他の値を微調整することにより制御することができる。ビニル芳香族の含有率が10質量%に近づくと、0℃での貯蔵弾性率は小さくなり、ビニル芳香族の含有率が35質量%に近づくと、0℃での貯蔵弾性率は大きくなる傾向がある。本実施形態において、0℃での貯蔵弾性率は実施例に記載の測定方法で求めることができる。
(60℃での貯蔵弾性率)
本実施形態に係るブロック共重合体は、60℃での貯蔵弾性率が0.6×10Pa以上であることが好ましいく、より好ましくは0.7×10Pa以上であり、さらに好ましくは0.9×10Pa以上である。60℃での貯蔵弾性率の上限値は特にないが、1.2×10Pa以下であることが好ましい。60℃での貯蔵弾性率が上記範囲内であることにより、温度依存性により優れる傾向にある。
60℃での貯蔵弾性率の制御は、該ブロック共重合体の重合体ブロックA、重合体ブロックB、重合体ブロックC、ビニル芳香族単量体の含有量、及び重合体ブロックC中の短連鎖ビニル芳香族単量対重合部分の含有量、さらに該ブロック共重合体の重量平均分子量を調整することにより行なうことができる。それぞれの値は相関する。60℃での貯蔵弾性率を0.6×10Pa以上に制御するためにとり得る値の範囲は異なるが、特に該ブロック共重合体中のブロック共重合体(A)の比率が5質量%以上、34質量%以下の範囲にして、他の値を微調整することにより制御する。ブロック共重合体(A)の比率が5質量%に近づくと、60℃での貯蔵弾性率は小さくなり、ビニル芳香族の含有率が34質量%に近づくと、60℃での貯蔵弾性率は大きくなる傾向がある。本実施形態において、60℃での貯蔵弾性率は実施例に記載の測定方法で求めることができる。
(重量平均分子量)
本実施形態に係るブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、40,000〜300,000であることが好ましく、より好ましくは50,000〜200,000であり、さらに好ましくは70,000〜170,000である。重量平均分子量が上記範囲内であることにより、温度依存性により優れる傾向にある。該ブロック共重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
(ガラス転移温度)
本実施形態に係るブロック共重合体の、ガラス転移温度は、重合体ブロック(B)のビニル結合量を、上記好適な範囲とする観点から、−92℃以上−75℃以下であることが好ましい。より好ましくは−90℃以上−77℃以下であり、さらに好ましくは−88℃以上−79℃以下である。本実施形態に係るブロック共重合体のガラス転移温度は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態に係るブロック共重合体には、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、スズから選ばれる極性基含有官能基が重合体に結合した変性重合体や、ブロック共重合体成分を無水マレイン酸等の変性剤で変性した変性ブロック共重合体も含まれていてもよい。
本実施形態に係るブロック共重合体は、ポリマー構造が、下記の一般式により表されることが好ましい。
A−B−C、A−C−B、C−A−B、(A−B−C)X、(A−C−B)X、(C−A−B)X、(C−B−A)X、(B−C−A)X、(B−A−C)
より好ましくは下記の一般式で表されることが好ましい。
A−B−C、C−B−A、(A−B−C)X、(C−B−A)
上式において、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)であり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)であり、Cはビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)である。異なるブロック同士の境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。また、nは1以上の整数である。Xは、各カップリング剤の残基又は各官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
また、本実施形態に係るブロック共重合体が、上述したポリマー構造が(A−B−C)X、(A−C−B)X、(C−A−B)X、(C−B−A)X、(B−C−A)X、(B−A−C)Xの共重合体である場合、重合工程においてカップリング率を制御することにより、任意の割合の混合物を得ることができる。
〔ブロック共重合体の重合方法〕
本実施形態に係るブロック共重合体の重合方法としては、特に限定されないが、例えば、配位重合、アニオン重合またはカチオン重合等の重合方法が挙げられる。このなかでも、構造の制御の容易さの点で、アニオン重合が好ましい。
アニオン重合によるブロック共重合体の製造方法としては、公知の方法を適用でき、以下に限定されるものではないが、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36975号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。上記方法により、上記構造のブロック共重合体が合成可能である。
上記カップリング剤は、特に限定されないが、例えば、目的とするブロック共重合体のポリマー構造:(A−B−C)X、(C−B−A)X、(C−A−B)X、(B−C−A)X、(B−A−C)Xの、nの値により選択することができる。
上記カップリング剤のうち、2官能カップリング剤としては、特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、エポキシ化合物;ジクロルジメチルシラン、フェニルメチルジクロロシランのようなハロゲン化ケイ素化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランのようなアルコキシケイ素化合物;ジクロルジメチルスズのようなスズ化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類のようなエステル化合物;ジビニルベンゼン等のようなビニルアレン類等が挙げられる。
3官能カップリング剤としては、特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、メチル三塩化スズ、トリブチルクロロスズのようなスズ化合物;トリメトキシシラン、トリエトキシシランのようなシラン化合物;メチル三塩化ケイ素、トリメチルクロロケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられる。
4官能カップリング剤としては、特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、四塩化スズのようなハロゲン化スズ化合物;テトラアリルスズ、テトラ(2−オクテニル)スズのようなアリルスズ化合物;テトラフェニルスズ、テトラベンジルスズのようなスズ化合物;四塩化ケイ素、四臭化ケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物;テトラフェノキシケイ素、テトラエトキシケイ素のようなアルコキシケイ素化合物等が挙げられる。
本実施形態に係るブロック共重合体は、一例として、溶液重合法により製造することができ、具体的には、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてビニル芳香族単量体を重合させ、次いで、共役ジエン単量体を重合させ、さらに場合によりこれらの操作を繰り返す方法や、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体を重合しておき、上記カップリング剤を用いてカップリング反応する方法等により製造できる。その際、ブロック共重合体の分子量は、前記有機リチウム化合物の量を制御することにより調整できる。
ブロック共重合体は、重合反応を終了するために、水、アルコール、酸等を添加して活性種を失活し、溶液を例えばスチームストリッピング等を行って重合溶媒を分離した後、乾燥することにより得られる。
上記不活性炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒が挙げられる。これら不活性炭化水素溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機リチウム化合物としては、特に限定されず、公知のものが使用でき、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、プロペニルリチウム、ヘキシルリチウム等が挙げられる。このなかでも、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。これら有機リチウム化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、必要に応じ、重合開始剤等に由来する金属類を脱灰する工程を採用することができる。また、必要に応じ、反応停止剤、酸化防止剤、中和剤、界面活性剤等を用いてもよい。
〔その他の成分〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、及びその他の添加剤をさらに添加した組成物とすることができる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−0−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロビオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトールーテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;又はヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
〔本実施形態に係るブロック共重合体の用途〕
本実施形態に係るブロック共重合体は、温度依存性が小さい為、以下の種々の用途に好適に用いられる。メカニカルシール、ガスケット、パッキン、カーエアコンの気密材、トナーシール材、車軸関係各種吸音材、精密機器の吸音材、コンプレッサー等の防音材、コンデンサー周辺の気密材、カーエアコンのダンパー材等である。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
〔ブロック共重合体の特性及び物性の測定方法〕
ポリマーの特性や物性の測定は、次のようにして行った。
1)ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位(スチレン)の含有量
一定量のブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)にて測定し、ビニル芳香族単量体(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度から検量線を用いてビニル芳香族単量体単位(スチレン)含有量を算出した。
2)重量平均分子量
重量平均分子量はゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC:装置は、ウォーターズ製 HLC−8200)で測定した。具体的には、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、流量0.6mL/分、測定条件は、カラムオーブン35℃で、カラムはTOSOHカラム−SuperH−4000を2本、TOSOHカラム−SuperH−5000を1本、TOSOHカラム−SuperH−RCを2本、TOSOHカラム−SuperH−Hを1本使用し、流れる方向でSuperH−RC、SuperH−RC、SuperH−H、SuperH−5000、SuperH−4000、SuperH−4000の順に連結して用いた。
重量平均分子量は、得られたクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。なお、クロマトグラム中に重量平均分子量のピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量を重量平均分子量とした。
3)短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量
ブロック共重合体中の短連鎖スチレン重合部分の含有量は、以下のように測定した。ブロック共重合体のジクロロメタン溶液に(O)濃度1.5%の酸素を150mL/分で通過させて酸化分解し、得られたオゾニドを、水素化アルミニウムリチウムを混合したジエチルエーテル中に滴下して還元した。つぎに、純水を滴下して加水分解し、炭酸カリウムを添加し塩析、濾過を行うことによりビニル芳香族炭化水素成分を得た。このビニル芳香族炭化水素成分をGPCにより測定した。ここで得られたピークの面積比(短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分に相当するピーク面積/ピークの総面積)を算出することによりブロック共重合体中の短連鎖スチレン重合部分の含有量が得られた。なお、オゾン発生機は日本オゾン(株)製OT−31R−2型を用い、GPC測定は、ウォーターズ製の2487を用い、クロロホルムを溶媒とし、流量1.0mL/分、カラムオーブン35℃で、カラムはShodexカラム−K803Lを2本接続して測定を行った。
4)重合体ブロック(B)(ブタジエン部)のビニル結合含有量
ブロック共重合体を赤外線分光光度計(パーキンエルマー製モデル1710)を用いて測定し、ハンプトン法(「Analytical Chem.,21、943(’43)」に記載)により求めた。
5)ガラス転移点
ブロック共重合体を示差走査熱量測定器(DSC:マックサイエンス製)で測定し、測定条件は温度200℃〜−100℃、昇温条件は20℃/分で行った。共役ジエン部位に起因するピークからガラス転移点を読み取った。
6)粘着力(引張強度)
23℃の環境下、引張圧縮試験機(引張強度:ミネベア製)により測定した。測定サンプルは、溶融したポリマーを2mm厚みにプレス成型し、1cm×5cmのサンプルを切り出して作製した。サンプルを2枚重ねし、サンプルの表面積の半分を覆うように5kgの荷重を24時間かけた。その後、引張試験により引張強度を測定した。
7)0℃貯蔵弾性率
ブロック共重合体をプレス成型し2mm厚みのシート状にした。それを1cm×4cmの大きさにサンプルを切り出した試験片を0℃下でARES−G2粘弾性測定機(貯蔵弾性率:ティーエイ・インスツルメント・ジャパン製)により測定した。測定条件は周波数1Hz、ひずみ0.5%で行った。
8)60℃貯蔵弾性率
ブロック共重合体をプレス成型し2mm厚みのシート状にした。それを1cm×4cmの大きさにサンプルを切り出した試験片を60℃下でARES−G2粘弾性測定機(貯蔵弾性率:ティーエイ・インスツルメント・ジャパン製)により測定した。測定条件は周波数1Hz,ひずみ0.5%で行った。
9)メルトフローレート
ブロック共重合体をJIS−K7210に準拠して測定を行った。10分間に流出した樹脂の量で比較した。測定条件は温度200℃、荷重重量5.00kgで行った。得られたメルトフローレートの測定値(g/10min)に応じて下記評価基準により評価した。
◎:測定値が9より大きい(実用上優れた性能)
○:測定値が1より大きく9以下(実用上十分な性能)
×:測定値が1以下を(実用上不十分な性能)
10)反発弾性
ブロック共重合体をプレス成型し2mm厚みのシート状にした。それを8mm×8mmの大きさにサンプルを切り出した試験片をダンロップ反発試験器を用いて測定した。円盤状に固定した振り子の先端にあるハンマが回転降下し、サンプルに当たった後の跳ね返りした角度を読み取り、下記換算式を用いて測定した。得られた反発弾性の測定値(%)に応じて下記評価基準により評価した。
◎:測定値(%)が、50以下(実用上優れた性能)
○:測定値(%)が、50より大きく55以下(実用上十分な性能)
×:測定値(%)が、55より上を(実用上不十分な性能)
反発弾性(%)=(1−cosθ)×342
θ=跳ね返りした角度
11)引張伸び
ASTM−D412に準拠して測定した。サンプルは厚さ2mmのブロック共重合体をダンベルカッターで切断したものを用いた。得られた引張伸びの測定値(%)に応じて下記評価基準により評価した。
◎:測定値(%)が、120以上(実用上優れた性能)
○:測定値(%)が、100以上120未満(実用上十分な性能)
×:測定値(%)が、100未満(実用上不十分な性能)
12)温度依存性(0℃)
23℃の環境下圧着させた2つのサンプルを0℃で2時間静置した後、引き剥がす際の剥がれ具合を目視で判定した。サンプルは、溶融したポリマーを2mm厚みにプレス成型し、1cm×5cmのサンプルを切り出して作製した。サンプルを2枚重ねし、サンプルの表面積の半分を覆うように5kgの荷重を23℃の環境下24時間かけた。続いて0℃で2時間静置した後、それぞれのサンプルの非圧着部分を手で持ちゆっくりと引き剥がした。このときの剥がれ方に基づいて温度依存性(0℃)を下記評価基準により評価した。
◎:剥がれる際に、サンプルが伸びる場合(実用上優れた性能)、
○:剥がれる際に、サンプルが少し伸びる場合(実用上十分な性能)
×:剥がれる際に、サンプルがまったく伸びない場合(実用上不十分な性能)
13)温度依存性(60℃)
23℃の環境下圧着させた2つのサンプルを60℃で2時間静置した後、引き剥がす際の剥がれ具合を目視で判定した。サンプルは、溶融したポリマーを2mm厚みにプレス成型し、1cm×5cmのサンプルを切り出して作製した。サンプルを2枚重ねし、サンプルの表面積の半分を覆うように5kgの荷重を23℃の環境下24時間かけた。続いて60℃で2時間静置した後、それぞれのサンプルの非圧着部分を手で持ちゆっくりと引き剥がした。このときの剥がれ方に基づいて温度依存性(60℃)を下記評価基準により評価した。
◎:剥がれる際に、サンプルがまったく伸びない場合(実用上優れた性能)
○:剥がれる際に、サンプルが少し伸びる場合(実用上十分な性能)
×:剥がれる際に、サンプルが伸びる場合(実用上不十分な性能)
〔ブロック共重合体の調製〕
〔ポリマー1〕
(1段目)
表1に従って、内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン、予め精製したスチレン、必要に応じてN,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約61℃に設定した。次いで、n−ブチルリチウム(n−BuLi)シクロヘキサン溶液を添加しスチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(72℃)に達してから5分間その温度を維持し、反応させた。
(2段目)
1段目の重合溶液に1,3−ブタジエンを含むシクロヘキサン溶液を添加し重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(89℃)に達してから5分間その温度を維持し、反応させた。
(3段目)
2段目の重合溶液に、2,2’−ジテトラヒドロフリルプロパン(BOP)又はTMEDAを添加し、1分後、スチレンと1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液を一定速度で連続的に反応器に供給し、その間の反応器内の温度を75〜85℃になる様に調整した。供給停止後、10分間反応器内温度を80℃に維持し反応させた。
反応終了後、エタノールを加えて失活させた。得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加し、充分混合した。その後溶媒を加熱除去しポリマー1を得た。
〔ポリマー2〜23〕
表1に従って、溶媒、モノマー、添加剤の種類、使用量を変更した以外はポリマー1と同様に重合を行った。各ポリマーの重合におけるモノマーや添加剤の使用量について、表1に示す。また、各ポリマーの物性、組成や各重合体ブロックの含有量の測定値については、表2に示す。なお、ポリマー20について、ブロック共重合体中における(C)ランダム共重合体中のビニル芳香族の分布は不均一でテーパ状の構造を有している。
Figure 0006278753
特に記載がない場合、単位はポリマー100質量%に対しての質量%である
Figure 0006278753
〔実施例、比較例〕
〔実施例1〜10、比較例1〜13〕
実施例1〜10、比較例1〜13のブロック共重合体についての評価結果を表3に示す。実施例1〜4、7〜10と、比較例1〜7との対比より、ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)、(B)、(C)それぞれの含有量が本発明の範囲から外れるとき、反発弾性、引張伸び、温度依存性(0℃、60℃)の物性の内、いずれか一つ、またはそれ以上が判定において×が付くことが分かった。
実施例1,5と、比較例8〜9との対比より、共役ジエン重合体ブロック(B)中のビニル含有量が8質量%以上、49質量%以下のポリマーを使用することにより、温度依存性(0℃、60℃)の判定において○が付くことが分かった。
実施例1,6と、比較例10〜13との対比より、ランダム重合体ブロック(C)を含んでいること、所定の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分を有することにより反発弾性、引張伸び、温度依存性(0℃、60℃)の物性のうち、いずれか一つ、またはそれ以上が判定において○が付くことが分かった。また、ランダム重合体ブロック(C)中のビニル芳香族の分布が均一である場合、反発弾性、温度依存性の判定において○が付くことが分かった。さらに、実施例について、該ポリマー調製時に(3段目)のBOPではなく、TMEDAを代わりに使用することで、反発弾性において○が付くことが分かる。このことからBOPを使用することがより好ましいことが分かった。
Figure 0006278753
実施例1〜10のブロック共重合体は、メルトフローレート、反発弾性、引張伸び、温度依存性(0℃、60℃)に優れ、かつこれらの性能バランスに優れていることが分かった。
本発明のブロック共重合体は、メカニカルシール、ガスケット、パッキン、カーエアコンの気密材、トナーシール材、車軸関係各種吸音材、精密機器の吸音材、コンプレッサー等の防音材、コンデンサー周辺の気密材、カーエアコンのダンパー材等の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、
    共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)と、
    ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含むランダム重合体ブロック(C)と、を含み、
    前記重合体ブロック(A)の含有率が、5質量%以上34質量%以下であり、
    前記重合体ブロック(B)の含有率が、40質量%以上80質量%以下であり、
    前記ランダム重合体ブロック(C)の含有率が、4質量%以上30質量%以下であり、
    ビニル芳香族単量体単位の含有率が、10質量%以上35質量%以下であり、
    前記重合体ブロック(B)において、ビニル結合量が8質量%以上、49質量%であり、
    前記ランダム重合体ブロック(C)において、前記ビニル芳香族単量体単位の含有量100質量%に対して、1〜6個のビニル芳香族単量体単位からなる短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が70質量%以上である、
    ブロック共重合体。
  2. 下記測定方法により測定される引張強度が、0.30MPa以上である、請求項1に記載のブロック共重合体。
    (引張強度の測定方法)
    前記ブロック共重合体をプレス成型して2mmの厚さの成形体を作製し、作製した成形体を2枚に重ねた状態で、前記成形体の表面積の半分を覆うように5kgの荷重を24時間かけ、その後、引張圧縮試験機を用いて23℃の条件下にて引張強度を測定する。
  3. 0℃での貯蔵弾性率が、2.1×107Pa以下である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
  4. 60℃での貯蔵弾性率が、0.6×107Pa以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
  5. 重量平均分子量が、40,000以上300,000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
  6. 前記ブロック共重合体のポリマー構造が、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
    A−B−C…(1)
    C−B−A…(2)
    (A−B−C) n X…(3)
    (C−B−A) n X…(4)
    (上記一般式(1)〜(4)中、Aは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Bは、共役ジエン共重合体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Cは、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン共重合体単位を含むランダム重合体ブロックを表し、nは、1以上の整数を表し、Xは、カップリング剤の残基又は開始剤の残基を表す。)
  7. 前記短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が75質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
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