JP2017025144A - 水添ブロック共重合体、並びにこれを用いた粘接着組成物、改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物 - Google Patents

水添ブロック共重合体、並びにこれを用いた粘接着組成物、改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物 Download PDF

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Abstract

【課題】粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、高い粘着保持力といった各物性と溶解性とのバランスを改善することができ、また、改質アスファルト組成物の高い低温伸度、高い耐熱老化性、高い耐流動性といった各物性と相容性とのバランスを改善することができる水添ブロック共重合体、及びこれを用いた粘接着剤組成物及び改質アスファルト組成物を提供する。
【解決手段】ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、水添ブロック共重合体、並びにこれを用いた粘接着組成物、改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物に関する。
従来から、ブロック共重合体は、粘接着組成物、及びアスファルト組成物等に広く利用されている。
粘接着組成物においては、近年、環境汚染を低減し、労働環境を改善するという観点から、ホットメルト型粘接着組成物が広く使用されるようになってきている。一般に、ホットメルト型粘接着組成物は、ブロック共重合体を含有する。このようなブロック共重合体としては、例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有するブロック共重合体が挙げられる。
例えば、特許文献1及び2には、ブロック共重合体として、スチレンとブタジエンとのトリブロック共重合体とジブロック共重合体とを用いた粘接着組成物が記載されている。
また、特許文献3には、スチレンとブタジエンとの水素添加ブロック共重合体を用いた粘接着組成物が記載されている。当該特許文献3の実施例と比較例には、スチレンとブタジエンとの水添ブロック共重合体と、粘着付与樹脂と、オイルを含む種々の配合比率の粘接着組成物が記載されている。
さらに、特許文献4には、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体、及び粘着付与樹脂を含む粘接着組成物であって、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体として、部分水添ブロック共重合体と非水添ブロック共重合体とを併用した粘接着組成物、及び部分水添ブロック共重合体と完全水添ブロック共重合体とを併用した粘接着組成物が記載されている。
一方、アスファルト組成物においては、道路舗装、遮音シート、アスファルトルーフィング等のアスファルト組成物の用途に応じた性能を付加するため、アスファルト組成物に、改質剤として種々のブロック共重合体を添加した改質アスファルト組成物が広く利用されている。このような改質剤としてのブロック共重合体としては、例えば、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを有するブロック共重合体が利用されている。
例えば、特許文献5〜7には、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを共重合した水添ブロック重合体を含有する改質アスファルト組成物が記載されている。
特開昭64−81877号公報 特開昭61−278578号公報 国際公開第2001/85818号公報 特開平7−157738号公報 特開2005−126485号公報 米国特許出願公開第2003/0149140号公報 特開2012−246378号公報
粘接着組成物は、高い粘着力、高いタック性、高い粘着保持力が求められ、さらに、これらの各物性と、製造時の短い溶解時間(以下、「溶解性」ともいう)とのバランスが求められる。また、改質アスファルト組成物は、高い低温伸度、高い耐熱老化性、高い耐流動性が求められ、さらに、これらの各物性と、改質アスファルト組成物の相容性とのバランスが求められる。
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載の粘接着組成物、及び特許文献5〜7に記載の改質アスファルト組成物は、各物性と、溶解性又は相容性とのバランスに改善の余地がある、という問題を有している。
そこで本発明においては、粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、高い粘着保持力といった各物性と溶解性とのバランスを改善することができ、また、改質アスファルト組成物の高い低温伸度、高い耐熱老化性、高い耐流動性といった各物性と相容性とのバランスを改善することができる、水添ブロック共重合体を提供すること、並びにこれを用いた粘接着剤組成物及び改質アスファルト組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のビニル含有量を有する水添ブロック共重合体が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。
〔2〕
前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として95モル%以下である、前記〔1〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔3〕
前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として10モル%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔4〕
前記水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上60質量%以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔5〕
前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)を含有する、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔6〕
前記水添ブロック共重合体100質量%を基準として、前記水添ブロック共重合体(d1)を20質量%以上90質量%以下含有する、前記〔5〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔7〕
前記水添ブロック共重合体が、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)を含有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体100質量部と、
粘着付与樹脂20質量部以上400質量部以下と、
を、含有する、粘接着組成物。
〔9〕
前記〔8〕に記載の粘接着組成物を含有する、粘接着性テープ。
〔10〕
前記〔8〕に記載の粘接着組成物を含有する、ラベル。
〔11〕
前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)とを有する水添ブロック共重合体である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔12〕
前記水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万〜50万である、前記〔11〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔13〕
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、前記〔11〕又は〔12〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔14〕
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さの値が0.7を超えて1.6以下である、前記〔11〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔15〕
アスファルト100質量部に対し、
前記〔1〕乃至〔4〕、及び前記〔11〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体1質量部以上20重量部以下を含有する、改質アスファルト組成物。
〔16〕
前記〔15〕に記載の改質アスファルト組成物と、骨材とを含む、改質アスファルト混合物。
本発明によれば、粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、高い粘着保持力といった各物性と溶解性とのバランスを改善することができ、また、改質アスファルト組成物の高い低温伸度、高い耐熱老化性、高い耐流動性といった各物性と相容性とのバランスを改善することができる、水添ブロック共重合体を提供することができ、かつこれを用いた粘接着剤組成物及び改質アスファルト組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔水添ブロック共重合体〕
本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体である。
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に、各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する。
ここで、本願明細書において、重合体を構成する構成単位のことを「単量体単位」といい、重合体の材料として記載する場合は単に「単量体」と記載する。
また、本願明細書において、「主体とする」とは、重合体ブロック中、所定の単量体単位の含有量が70質量%以上であることをいう。所定の単量体単位を主体とする重合体ブロックは、所定の単量体単位の含有量が70質量%以上であればよく、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上である。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である。
H−VLは、共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(B)中の、水素添加前のビニル含有量の高低の差(以下、単に「Δビニル含有量」ともいう)を表す。
重合体ブロック(B)中のΔビニル含有量(VH−VL)が上記範囲であることにより、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、高い粘着保持力といった各物性と溶解性とのバランスを改善することができ、また、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の高い低温伸度、高い耐熱老化性、高い流動性といった各物性と相容性とのバランスを改善することができる。
本実施形態の水添ブロック共重合体に含まれる重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量を、それぞれV1〜V6としたとき、ビニル含有量の分布は、Δビニル含有量(VH−VL)が5モル%以上30モル%以下であれば特に限定されない。
ビニル含有量の分布は、テーパー状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
重合体ブロック(B)内の第1領域〜第6領域において、ビニル含有量が最も高い領域は、複数存在してもよい。
例えば、第1領域と第2領域のビニル含有量が等しく、かつ最大値である場合には、V1及びV2のビニル含有量が共にVHである。
同様に、ビニル含有量が最も小さい領域が、複数存在してもよい。
テーパー状の分布とは、ビニル含有量の分布がV6>V5>V4>V3>V2>V1、かつV6−V1=5モル%以上30モル%以下、又はビニル含有量の分布がV6<V5<V4<V3<V2<V1、かつV1−V6=5モル%以上30モル%以下を満たす分布をいう。
凸状の分布とは、V6及びV1がV5及びV2よりも小さく、V5及びV2がV4及びV3よりも小さくなる分布をいう。
凸状の分布としては、例えば、ビニル含有量の分布がV6<V5<V4、V3>V2>V1、V6=V1(=VL)、V4=V3(=VH)であり、かつ、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である分布が挙げられる。
凹状の分布とは、V6及びV1がV5及びV2よりも大きく、V5及びV2がV4及びV3よりも大きくなる分布をいう。
凹状の分布としては、例えば、ビニル含有量の分布がV6>V5>V4、V3<V2<V1、V6=V1(=VH)、V4=V3(=VL)であり、かつ、VH−VL=5モル%〜30モル%である分布が挙げられる。
重合体ブロック(B)のビニル含有量の分布は、粘接着組成物の上記各物性と溶解性とのバランス、及び改質アスファルト組成物の上記各物性と相容性とのバランスの観点から、テーパー状の分布であることが好ましく、V6<V5<V4<V3<V2<V1を満たす分布であることがより好ましい。
Δビニル含有量(VH−VL)の下限値は、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の粘着保持力及び溶解性、並びに本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の低温伸度及び相容性の観点から、5モル%以上であればよく、7モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましい。
Δビニル含有量(VH−VL)の上限値は、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の粘着保持力及び溶解性、並びに本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の低温伸度及び相容性の観点から、30モル%以下であればよく、25モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。
ビニル含有量の分布、及びΔビニル含有量(VH−VL)は、本実施形態の水添ブロック共重合体の製造において、極性化合物の添加方法や反応温度等を調整することにより制御できる。
なお、ビニル含有量はNMRにより測定することができ、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加(以下、「水添」ともいう)前の構造としては、以下に限定されないが、例えば、下記の式(1)〜(6)で表される構造が挙げられる。
(A−B)n ・・・(1)
B−(A−B)n ・・・(2)
A−(B−A)n ・・・(3)
A−(B−A)n−X ・・・(4)
[(A−B)km−X ・・・(5)
[(A−B)k−A]m−X ・・・(6)
上記式(1)〜(6)中、Aは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Bは、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロックを表し、Xは、カップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。
水素添加前のブロック共重合体中に、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)、及び共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)が複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(1)〜(6)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。
水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中や、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。さらに、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
共役ジエン単量体単位としては、以下限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンからなる群から選択される少なくとも一つの単量体に由来する共役ジエン単量体単位が挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエン、及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも一つの単量体に由来する共役ジエン単量体単位が好ましい。特に、1,3−ブタジエンに由来する共役ジエン単量体単位がより好ましい。共役ジエン単量体単位は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族単量体単位としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンからなる群から選択される少なくとも一つの単量体に由来するビニル芳香族単量体単位が挙げられる。これらのなかでも経済性の観点から、スチレンに由来するビニル芳香族単量体単位が好ましい。ビニル芳香族単量体単位は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の水添ブロック共重体は、上記共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位の他、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位と共重合可能な他の単量体単位を有してもよい。
本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加率は、共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として、0モル%より大きく100モル%以下であれば特に限定されない。
本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の各物性と溶解性とのバランス、及び本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の各物性と相容性とのバランス等の観点から、水添ブロック共重合体の水素添加率の上限値は、共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として97モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがより好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の各物性と溶解性とのバランス、及び本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の各物性と相容性とのバランス等の観点から、水添ブロック共重合体の水素添加率の下限値は、共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましい。
水添ブロック共重合体の水素添加率は、後述する水素添加工程における水素添加量や水添反応時間を調整することにより制御することができる。
また、水素添加率は後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の各物性と溶解性とのバランス、及び本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の各物性と相容性とのバランス等の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
なお、粘接着組成物の粘着保持力の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量の下限値は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がさらにより好ましい。また、当該含有量の上限値は、粘接着組成物の溶解性、粘度の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がさらにより好ましい。
さらに、後述する改質アスファルト組成物の軟化点の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量の下限値は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上がさらにより好ましい。さらにまた、当該含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の相容性、粘度の観点から、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下がさらにより好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添ブロック共重合体の重合工程において、ビニル芳香族単量体の添加量を調整することにより制御することができる。
(水添ブロック共重合体の製造方法)
本実施形態の水添ブロック共重合体は、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合させて、ブロック共重合体を得る重合工程を行いブロック共重合体を得、重合工程の後、得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素を添加する水素添加工程を行い、得られた水添ブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を行うことにより、製造することができる。
重合工程では、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを含む単量体を重合させて、ブロック共重合体を得る。
重合工程においては、ランダム化剤として極性化合物を添加してもよい。
ビニル含有量の分布、及びΔビニル含有量(VH−VL)は、極性化合物を添加する方法や、重合反応温度等を調整することにより制御することができる。
従来の重合方法においては、一般的に、重合反応の反応熱によって反応温度が上昇しないよう、重合開始から所定の温度調整手段によって反応温度を一定に制御するが、本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する場合には、例えば、重合反応中に反応温度を変化させることによって、ビニル含有量の分布、及びΔビニル含有量(VH−VL)を制御することができる。
例えば、反応熱により反応温度を上昇させながら重合を行うことで、重合開始時のビニル含有量に比べて重合終了時のビニル含有量が小さくなり、ビニル含有量がV6<V5<V4<V3<V2<V1を満たすテーパー状のビニル分布にすることができる。
重合開始時の反応温度を高く設定し、重合に伴い反応温度を下げることによって、重合開始時のビニル含有量に比べて重合終了時のビニル含有量が大きくなり、ビニル含有量がV6>V5>V4>V3>V2>V1を満たすテーパー状の分布にすることができる。
また、反応温度の変化幅を制御することにより、Δビニル含有量を制御することができる。
また、重合反応において、極性化合物を過剰量添加したり、重合反応の途中で追加添加したりすることにより、ビニル含有量を上述したような凹状の分布にすることができる。
また、重合反応において、冷却しながら重合を実施し、重合反応の途中から温度を上昇させることにより、ビニル含有量を上述したような凸状の分布にすることができる。
重合工程において用いる炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
重合工程において重合開始剤として用いるリチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等の分子中に一個以上のリチウム原子を結合した有機リチウム化合物が挙げられる。
このような有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合工程において用いる共役ジエン単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられる。
これらのなかでも、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
また、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合工程において用いるビニル芳香族単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらのなかでも、経済性の観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の水添ブロック共重合体の製造工程においては、前記共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
重合工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、及びビニルの比率)の調整、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との反応比率の調整等を目的として、極性化合物(「ランダム化剤」とも呼ばれる)を使用してもよい。
極性化合物(「ランダム化剤」とも呼ばれる)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう)等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
ブロック共重合体の重合工程で実施する重合方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用できる。
公知の方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
ブロック共重合体は、カップリング剤を用いてカップリングしてもよい。
カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。
2官能のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等の2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタン等の2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ等の2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2−クロロプロペン等が挙げられる。
3官能のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパン等の3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等の3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の3官能性アルコキシシラン;等が挙げられる。
4官能のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタン等の4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等の4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズ等の4官能性ハロゲン化スズ;等が挙げられる。
5官能以上のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等のポリハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。その他、エポキシ化大豆油、2〜6官能のエポキシ基含有化合物、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼンなどのポリビニル化合物を用いることもできる。
カップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合工程の後に、ブロック共重合体の活性末端を失活する失活工程を行うことが好ましい。
活性水素を有する化合物と活性末端とを反応させることで、重合体の活性末端を失活することができる。
活性水素を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、経済性の観点から、アルコール、水等が挙げられる。
水素添加工程では、重合工程で得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素を添加する。
水素添加工程に使用される水素添加触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた、担持型不均一系触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒;及びチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒等が挙げられる。
これらのなかでも、経済性、重合体の着色性あるいは接着力の観点から、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒系が好ましい。
水素添加工程の方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法や、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。
具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加工程を行い、水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
水素添加工程は、高い水添活性の観点から、失活工程の後に行うことが好ましい。水素添加工程は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも行うことができる。
水素添加工程において、ビニル芳香族単量体単位の共役結合が水素添加されてもよい。
全ビニル芳香族単量体単位中の共役結合の水素添加率の上限値は、ビニル芳香族中の不飽和基全量を基準として、例えば30モル%以下、10モル%以下、又は3モル%以下とすることができ、下限値は、例えば0.1モル%以上とすることができ、又は0モル%であってもよい。
本実施形態の水添ブロック共重合体の製造工程においては、重合開始剤、単量体、カップリング剤、及び停止剤として、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する化合物を用いて、得られる水添ブロック共重合体に、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を付加することが好ましい。
官能基を含む重合開始剤としては、窒素含有基を含有する重合開始剤が好ましい。
窒素含有基を含有する重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジオクチルアミノリチウム、ジ−2−エチルヘキシルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、ピペリジノリチウム等が挙げられる。
官能基を含む単量体としては、窒素含有基を含有する単量体が好ましい。
窒素含有基を含有する単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルビニルベンジルアミン、N,N−ジエチルビニルベンジルアミン、N,N−ジプロピルビニルベンジルアミン、N,N−ジブチルビニルベンジルアミン、N,N−ジフェニルビニルベンジルアミン、2−ジメチルアミノエチルスチレン、2−ジエチルアミノエチルスチレン、2−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、N,N−ジメチル−2−(4−ビニルベンジロキシ)エチルアミン、4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、4−(2−モルホリノエチル)スチレン、4−(2−チアジノエチル)スチレン、4−(2−N−メチルピペラジノエチル)スチレン、1−((4−ビニルフェノキシ)メチル)ピロリジン、及び1−(4−ビニルベンジロキシメチル)ピロリジン等が挙げられる。
官能基を含むカップリング剤及び停止剤としては、前述のカップリング剤及び停止剤の内、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を含むカップリング剤及び停止剤が挙げられる。
これらの中でも、窒素含有基又は酸素含有基を含有するカップリング剤及び停止剤が好ましい。
窒素含有基又は酸素含有基を含有するカップリング剤及び停止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、γ−カプロラクトン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
脱溶剤工程では、水添ブロック共重合体を含む重合体溶液の溶媒を脱溶剤する。
脱溶剤の方法としては、以下に限定されるものではないが、スチームストリッピング法、及び直接脱溶媒法が挙げられる。
脱溶剤工程により得られる水添ブロック共重合体中の残存溶媒量は、少なければ少ないほど好ましく、2質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以下であることがさらに好ましく、0.05質量%以下であることがさらにより好ましく、0.01質量%以下であることがよりさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
経済性の観点から、通常、水添ブロック共重合体中の残存溶媒量は、0.01質量%〜0.1質量%の範囲であることが好ましい。
水添ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、ブロック共重合体に酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
水添ブロック共重合体の着色防止や機械強度向上の観点から、脱溶剤工程の前に、ブロック共重合体を含む溶液中の金属を除去する脱灰工程、ブロック共重合体を含む溶液のpHを調整する中和工程を行ってもよく、例えば、酸の添加、及び/又は炭酸ガスの添加を行ってもよい。
〔粘接着組成物及びこれに用いる水添ブロック共重合体〕
本実施形態の水添ブロック共重合体は、その第一実施形態として、粘接着組成物に用いることができる。
本実施形態の粘接着組成物は、例えば、粘接着性テープ、ラベル、及びおむつ等の組み立てに用いられ、高い粘着力、高いタック性、及び高い粘着保持力を有しており、また、これらの各物性と製造時の短い溶解時間(以下、「溶融性」ともいう)とのバランスが良好である。
すなわち、第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体を、粘接着組成物に用いることにより、粘着力、タック性、及び粘着保持力に優れ、並びに粘接着組成物の製造時の溶解時間が短く、製造性に優れた粘接着組成物を提供することができる。
(水添ブロック共重合体)
第一実施形態において、粘接着組成物の粘着力、タック性、粘着保持力、及び製造時の溶解時間の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有し、共役ジエン単量体単位を有する重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%〜30モル%である。
ビニル含有量の分布、及びΔビニル含有量(VH−VL)については、上述したとおりである。
また、第一実施形態において、粘接着組成物の接着性、タック性、及び接着保持力、並びにこれら物性と溶解性とのバランスの観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体であることが好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加前の構造としては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記の式(7)〜(12)で表される構造の水添ブロック共重合体が挙げられる。
(A−B1)n ・・・(7)
B1−(A−B1)n ・・・(8)
A−(B1−A)n ・・・(9)
A−(B1−A)n−X ・・・(10)
[(A−B1)km−X ・・・(11)
[(A−B1)k−A]m−X ・・・(12)
上記式(7)〜(12)中、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、B1は共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Xはカップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。
第一実施形態において、水素添加前のブロック共重合体中に重合体ブロック(A)及び(B1)が複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(7)〜(12)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
第一実施形態において、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中や、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されるものではなく、均一に分布していてもよく、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
第一実施形態において、粘接着組成物の粘着力、タック性、及び粘着保持力、並びにこれらの物性と溶解性とのバランスの観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)を含有することが好ましい。
ここで、水添ブロック共重合体(d1)は、上記式(7)においてn=1の構造をいう。
第一実施形態において、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)の含有量の下限値は、粘接着組成物の高いタック性の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、65質量%以上であることがさらにより好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましい。
また、水添ブロック共重合体(d1)の含有量の上限値は、粘接着組成物の高い粘着力の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることがさらにより好ましい。
第一実施形態における本実施形態の水添ブロック共重合体は、粘接着組成物の低い粘度と高い粘着保持力の観点から、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)を含有することが好ましい。
ここで、本願明細書中、「ラジアル構造」とは、残基Xに対して重合体が3つ以上結合している構造をいい、例えば、A−(B1−A)n−X(n≧3)、[(A−B1)km−X(m≧3)、及び[(A−B1)k−A]m−X(m≧3)が挙げられる。
第一実施形態において、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)の構造としては、本実施形態の粘接着組成物の高い粘着力、低い粘度、及び高い粘着保持力の観点から、[(A−B1)km−X、及び[(A−B1)k−A]m−X(各式中、mは3〜6の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。より好ましくは、mは3〜4の整数を表す。)からなる群から選択される少なくとも一つの構造であることが好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加率は、共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として、10モル%〜97モル%であることが好ましく、10モル%〜80モル%であることがより好ましく、20モル%〜80モル%以下であることがさらに好ましく、31モル%〜70モル%であることがさらにより好ましく、33モル%〜63モル%であることがよりさらに好ましく、35モル%〜59モル%であることが特に好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加率に分布があってもよい。
ここで、水素添加率分布Hは、水添ブロック共重合体の水素添加率の分布を表す指標であり、以下のようにして求めることができる。
水添ブロック共重合体のオゾン分解法により得られる分子量分布(MD1)と、オスミウム酸分解法により得られる分子量分布(MD2)に基づいて、{(MD1)−(MD2)}を行い、分子量分布(MD3)を得る。得られた分子量分布(MD3)の分子量200以上〜1000000以下の領域における総面積を1としたときの、最大ピーク高さをHとする。Hの値は水素添加率分布の指標であり、Hの値が小さいほど水素添加率分布が広いことを示す。
本実施形態の粘接着組成物の接着力、タック性、及び粘着保持力、並びにこれらの物性と溶解性とのバランスの観点から、水素添加率分布Hの値は、0.001以上0.007以下であることが好ましく、0.001以上0.0055以下であることがより好ましく、0.001以上〜0.004以下であることがさらに好ましい。
水添ブロック共重合体の水素添加率は、後述する水添工程における水素添加量や水添反応時間を制御することにより調整することができる。
また、水素添加率は後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
第一実施形態において、水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位含有量(TS)は、粘接着組成物の粘着力、タック性、及び高い粘着保持力、並びにこれら物性と溶解性とのバランスの観点から、10質量%〜45質量%であることが好ましく、13質量%〜40質量%であることがより好ましく、15質量%〜35質量%であることがさらに好ましい。
第一実施形態において、水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)は、本実施形態の粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、及び高い粘着保持力、並びにこれら物性と溶解性とのバランスの観点から、12質量%〜43質量%であることが好ましく、13質量%〜40質量%であることがより好ましく、14質量%〜34質量%であることがさらに好ましい。
なお、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)と、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(A)の分子量分布は、本実施形態の粘接着性組成物の粘着力、タック性、及び高い粘着保持力、並びにこれら物性と溶解性とのバランスの観点から、1.46以下が好ましく、1.44以下がより好ましく、1.42以下がさらに好ましく、1.40以下がさらにより好ましい。また、本実施形態の粘接着組成物の粘着力、タック性、及び高い粘着保持力、並びにこれら物性と溶解性とのバランスの観点から、1.1以上が好ましく、1.12以上がより好ましく、1.14以上がさらに好ましく、1.16以上がさらにより好ましい。ここで、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(A)の分子量分布は、以下の式により求めることができる。
分子量分布=(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の高分子量側の分子量)/(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の低分子量側の分子量)
第一実施形態における水添ブロック共重合体の水素添加前の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量は、15モル%〜75モル%であることが好ましく、25モル%〜55モル%であることがより好ましく、35モル%〜45モル%であることがさらに好ましい。
第一実施形態における水添ブロック共重合体の、水素添加前の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が15モル%以上であることにより、粘接着組成物のタック性、粘着力、及び粘着保持力がより向上する傾向にある。
また、第一実施形態における水添ブロック共重合体の、水素添加前の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が75モル%以下であることにより、粘接着組成物のタック性及び耐熱老化性がより向上する傾向にある。
ここで、本願明細書において、「平均ビニル含有量」とは、水素添加前の共役ジエン単量体の1,2−結合、3,4−結合、及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総モル量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の割合とする。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、高い粘着力や粘着保持力の観点から、10万以上が好ましく、18万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましい。
また、高い製造性の観点から、水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、35万以下が好ましく、30万以下がより好ましく、25万以下がさらに好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)の下限値は、高い製造性の観点から、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上がさらにより好ましい。また、高い値着力や粘着保持力の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の上限値は、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.7以下がさらに好ましい。
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
第一実施形態において、粘接着組成物の高い粘着力、高いタック、高い粘着保持力の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。
これらの中でも、水添ブロック共重合体が、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することがより好ましく、アミノ基を有することがさらに好ましい。
第一実施形態において、温水浸漬後の高い粘着力の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体は、その分子1モルに対して、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を2モル以上含有することがより好ましい。
第一実施形態における水添ブロック共重合体は、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)が、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、0.2g/10分〜20g/10分であることがより好ましく、0.3g/10分〜10g/10分であることがさらに好ましく、0.4g/10分〜5g/10分であることがさらにより好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体のMFRが0.1g/10分以上であることにより、粘接着組成物のタック性、粘着力、及び粘着保持力、並びにテープ積層時の端部からの耐染み出し性がより向上する傾向にある。
また、第一実施形態において、水添ブロック共重合体のMFRが50g/10分以下であることにより、粘接着組成物の塗工性、及び耐変色性がより向上する傾向にある。
(粘接着組成物)
第一実施形態である粘接着組成物は、上記で説明した水添ブロック共重合体100質量部に対し、粘着付与樹脂20質量部〜400質量部を含有する。
第一実施形態における粘接着組成物中の粘着付与樹脂の含有量は、水添ブロック共重合体100質量部に対して、20質量部以上400質量部以下であればよく、好ましくは70質量部以上350質量部以下であり、より好ましくは120質量部以上300質量部以下であり、さらに好ましくは140質量部以上250質量部以下である。
粘着付与樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、タック性、粘着力、粘着保持力、塗工性、耐変色性がより向上する傾向にある。
第一実施形態において、「粘着付与樹脂」としては、本実施形態の粘接着組成物に粘着性を付与することができる、数平均分子量100〜1万未満の樹脂(オリゴマー)であることが好ましい。
粘着付与樹脂の数平均分子量は、後述する実施例に記載する数平均分子量の測定方法と同様の方法で測定することができる。
粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族−芳香族炭化水素樹脂、クマリン−インデン樹脂、フェノール樹脂、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、芳香族炭化水素樹脂、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。
これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部、残してもよい。
粘着付与樹脂は、接着力、粘着保持力、及びテープ積層時の端部からの高い耐染み出し性の観点から、軟化点が80℃以上の粘着付与樹脂を含有することが好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点の下限値は、より好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは95℃以上であり、さらにより好ましくは100℃以上である。
また、粘着付与樹脂の軟化点の上限値は、特に限定されないが、145℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることがさらに好ましく、130℃以下であることがさらにより好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、JISK2207環球式で測定することができる。
第一実施形態において、粘接着組成物の高い接着性、接着強度の経時変化の低減、及びクリープ性能等の観点から、粘接着組成物中に、水添ブロック共重合体の非ガラス相のブロック(通常は重合体ブロック(B1))と親和性のある粘着付与樹脂を20〜75質量%と、水添ブロック共重合体のガラス相のブロック(通常は重合体ブロック(A))に親和性のある粘着付与樹脂を3〜30質量%とを含有することが好ましい。
上述した水添ブロック共重合体のガラス相のブロックと親和性のある粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、末端ブロックの粘着付与樹脂が好ましい。
このような粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、クマロン又はインデンを含有する、ホモポリマー又はコポリマー等の芳香族基を有する樹脂が挙げられる。
これらの中で、α−メチルスチレンを有するKristalexやPlastolyn(イーストマンケミカル社製、商品名)が好ましい。
部分視点ブロック共重合体のガラス相のブロックと親和性のある粘着付与樹脂の含有量は、粘接着組成物の総質量に対し、好ましくは3〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり、さらに好ましくは6〜12質量%である。
第一実施形態において、粘接着組成物の高い初期接着力、高い濡れ性、低い溶融粘度、及び高い塗工性等の観点から、前記粘着付与樹脂としては、アロマ含有量が3〜12質量%である石油樹脂が好ましく、アロマ含有量が3〜12質量%であり、かつ水素添加した石油樹脂がより好ましい。
粘着付与樹脂中のアロマ含有量は、好ましくは3〜12質量%であり、より好ましくは4〜10質量%である。
本明細書中「アロマ」とは、非水添の芳香族成分をいう。
第一実施形態において、粘接着組成物のより高い耐候性(UV照射後の低い粘着力変化)や低臭気の観点から、粘着付与樹脂としては、水添した粘着付与樹脂であることが好ましい。
「水添した粘着付与樹脂」とは、不飽和結合を含む脂肪族系粘着付与樹脂、又は不飽和結合を含む芳香族系粘着付与樹脂を、任意の水素添加率となるよう水素添加した粘着付与樹脂をいう。水添した粘着付与樹脂の水添率は、高い方が好ましい。
水添した粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルコンMやアスコンP(荒川化学工業株社製、商品名)、クリアロンP(ヤスハラケミカル株社製、商品名)、アイマーブP(出光興産株式会社製、商品名)等が挙げられる。
第一実施形態において、粘接着組成物は、本実施形態の水添ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂以外に、必要に応じて、オイル、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、ワックス類等の種々の添加剤を含んでもよい。
オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、パラフィン系炭化水素を主成分としたパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素を主成分としたナフテン系オイル、芳香族系炭化水素を主成分とした芳香族系オイルが挙げられる。
これらのなかでも、無色であり、かつ、実質的に無臭であるオイルが好ましい。
オイルは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
パラフィン系オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ダイアナプロセスオイルPW−32、PW−90、PW−150、PS−430(出光興産製)、シンタックPA−95、PA−100、PA−140(神戸油化学製)、JOMOプロセスP200、P300、P500、750(ジャパンエナジー製)、サンパー110、115、120、130、150、2100、2280(日本サン石油製)、フッコールプロセスP−100、P−200、P−300、P−400、P−500(富士興産製)等が挙げられる。
ナフテン系オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ダイアナプロセスオイルNP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NS−100、NM−280(出光興産製)、シンタックN−40、N−60、N−70、N−75、N−80(神戸油化学製)、シェルフレックス371JY(シェルジャパン製)、JOMOプロセスR25、R50、R200、R1000(ジャパンエナジー製)、サンセンオイル310、410、415、420、430、450、380、480、3125、4130、4240(日本サン石油製)、フッコールニューフレックス1060W、1060E、1150W、1150E、1400W、1400E、2040E、2050N(富士興産製)、ペトレックスプロセスオイルPN−3、PN−3M、PN−3N−H(山文油化製)等が挙げられる。
芳香族系オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ダイアナプロセスオイルAC−12、AC−640、AH−16、AH−24、AH−58(出光興産製)、シンタックHA−10、HA−15、HA−30、HA−35(神戸油化学製)、コスモプロセス40、40A、40C、200A、100、1000(コスモ石油ルブリカンツ製)、JOMOプロセスX50、X100E、X140(ジャパンエナジー製)、JSOアロマ790、ニトプレン720L(日本サン石油製)、フッコールアロマックス1、3、5、EXP1(富士興産製)、ペトレックスプロセスオイルLPO−R、LPO−V、PF−2(山文油化製)等が挙げられる。
粘接着組成物のより高い耐候性が必要な場合には、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物の高い粘着保持力、粘着力、耐糊残り性のバランスの観点から、オイルの含有量は、水添ブロック共重合体100質量部に対して、10質量部〜150質量部であることが好ましく、30質量部〜130質量部であることがより好ましく、50質量%〜100質量部であることがさらに好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
粘接着組成物の高い耐候性(UV照射後の低い粘着力変化)の観点から、耐候剤を添加することが好ましい。
耐候剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、微粒子酸化セリウム等の無機紫外線吸収剤等が挙げられる。
粘接着組成物のより高い耐候性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を併用することがより好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物中の耐候剤の含有量の下限値としては、粘接着組成物の高い耐候性の観点から、本実施形態の粘接着組成物の総質量に対し、0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上がさらに好ましい。
第一実施形態の粘接着組成物中の耐候剤の含有量の上限値としては、耐候剤のブリードの抑制や経済性の観点から、粘接着組成物の総質量に対し、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。
粘接着組成物のより高い耐候性の観点から、上記の耐候剤に、さらに上記の酸化防止剤を併用することが好ましい。
耐候剤と酸化防止剤とを併用する場合、酸化防止剤の中でも、より高い耐候性の観点から、上記耐候剤に、少なくともリン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
第一実施形態の粘接着組成物中の酸化防止剤の含有量の下限値としては、高い耐候性の観点から、粘接着組成物の総質量に対し、0.02質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.06質量%以上がさらに好ましい。
第一実施形態の粘接着組成物中の酸化防止剤の含有量の上限値としては、酸化防止剤のブリードの抑制や経済性の観点から、粘接着組成物の総質量に対し、1.5質量%以下が好ましく、1.25質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。
第一実施形態において、粘着付与樹脂の静電気の発生を防止する観点から、粘接着組成物は帯電防止剤を含むことが好ましい。
帯電防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、界面活性剤、導電性樹脂、及び導電性フィラー等が挙げられる。
第一実施形態において、プラスチックの成型加工時及び成型加工後の製品表面の滑り性を向上させる観点から、粘接着組成物は滑剤を含んでもよい。
滑剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
第一実施形態において、粘接着組成物は充填剤を含んでもよい。
充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、澱粉等が挙げられる。これら充填剤の形状は、球状であることが好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物の表面平滑性等の観点から、粘着付与組成物はワックス類を含んでもよい。
ワックス類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等が挙げられる。
第一実施形態において、粘接着組成物中のワックス類の含有量としては、粘接着組成物の総質量に対し、10質量%以下であることが好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の粘接着組成物の溶融粘度を130℃以下にする観点から、粘接着組成物は、50℃〜110℃の融点を有するワックス、例えば、パラフィンワックス、微晶質ワックス、及びフィッシャー−トロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも一種のワックスを2〜10質量%含有することが好ましい。
これらの50℃〜110℃の融点を有するワックスの含有量は、粘接着組成物の総質量に対し、好ましくは5〜10質量%である。
また、これらワックスの融点は、好ましくは65℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上である。
また、このときに併用する粘着付与樹脂の軟化点は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは80℃以上である。
このとき、得られる粘接着組成物の貯蔵弾性率G’(測定条件:25℃、10rad/s)が1Mpa以下であり、7℃以下の結晶化温度を有することが好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物は、本実施形態の水添ブロック共重合体以外のポリマーを含有してもよい(以下、単に「その他のポリマー」ともいう)。
その他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
これらは室温で液状であってもよく、固体状であってもよい。
第一実施形態において、粘接着組成物の高い粘着力、高いタック性、及び高い粘着保持力のバランスの観点から、その他のポリマーの含有量は、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることがさらにより好ましく、10質量部以下であることがよりさらに好ましい。
その他のポリマーとしては、本実施形態の水添ブロック共重合体以外のブロック共重合体(以下、単に「その他のブロック共重合体」ともいう)であってもよい。
その他のブロック共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体(SEBS)、水素化スチレン−イソプレン系ブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。
その他のブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位含有量が異なる2種以上の水添ブロック共重合体や、ビニル芳香族単量体単位を主体とする非水添あるいは完全水添のブロック共重合体であってもよい。
第一実施形態において、その他のブロック共重合体は、粘接着組成物の高いタック性と高い粘着力のバランスの観点から、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロックと、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロックとを有するブロック共重合体であることが好ましい。
第一実施形態において、その他のブロック共重合体は、高い保持力や粘接着組成物の低い溶融粘度の観点から、ラジアル構造であることが好ましい。
第一実施形態において、その他のブロック共重合体の水素添加率は特に限定されない。
第一実施形態において、粘接着組成物がその他のポリマーとして完全水添ブロック共重合体を含有する場合、粘接着組成物の柔らかさの観点から、水素添加前のその他のポリマー中の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量は、35モル%〜80モル%であることが好ましく、40モル%〜75モル%であることがより好ましく、50モル%〜75モル%であることがさらに好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物は、その他のポリマーとして、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体(以下、「低分子量ビニル芳香族重合体」ともいう)を含んでもよい。
低分子量ビニル芳香族重合体としては、本実施形態の水添ブロック共重合体が含む重合体ブロック(A)に含まれているビニル芳香族単量体単位を主体とすることが好ましく、ポリスチレンに由来する単量体単位を主体とすることがより好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物中、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の下限値は、粘接着組成物の溶解性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることがさらに好ましく、3.0質量部以上であることがさらにより好ましい。
また、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の上限値は、粘接着組成物の接着性、タック性、接着保持力等の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましく、3.0質量部以下であることがさらに好ましく、2.0質量部以下であることがさらにより好ましい。
第一実施形態において、低分子量ビニル芳香族重合体は、本実施形態の水添ブロック共重合体と予め混合した後に、粘着付与樹脂と混合することが好ましい。
低分子量ビニル芳香族重合体は、単独で調製して、本実施形態の水添ブロック共重合体と混合してもよく、本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する際に同時に調製してもよい。
本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する際に同時に低分子量ビニル芳香族重合体を調製する方法としては、例えば、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(B)とを有するリビングブロック共重合体を製造する際、用いるビニル芳香族単量体の一部を、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000のビニル芳香族単量体単位を主体とするリビング重合体として残存させ、そして、リビングブロック共重合体、及び残存するリビング重合体を失活させることにより、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体、及び低分子量ビニル芳香族重合体を同時に調整する方法が挙げられる。
ビニル芳香族単量体の一部を、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000のビニル芳香族単量体単位を主体とするリビング重合体として残存させる方法としては、重合工程で添加する単量体の量、重合開始剤の量、反応温度、及び反応時間等を制御することが挙げられる。低分子量ビニル芳香族重合体の分子量及び含有量を制御する観点から、重合体ブロック(A)を重合する際の反応開始温度を55℃以上65℃以下とすることが好ましい。重合体ブロック(A)を重合する際の反応時間としては、重合反応により温度が上昇し、温度が最高値を示してから2分以上、5分30秒以下であることが好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する際に同時に低分子量ビニル芳香族重合体を調製する方法としては、例えば、ビニル芳香族単量体単位を重合させてビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)を調製する際に、リビング重合体ブロック(A)の一部をメタノール等の活性水素化合物を添加して失活せることにより、低分子量ビニル芳香族重合体を生成する方法が挙げられる。その後、失活せずに残ったリビング重合体ブロック(A)に、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)を重合し、本実施形態の水添ブロック共重合体を調製することができる。これによって、本実施形態の水添ブロック共重合体を調製する際に、同時に低分子量ビニル芳香族重合体を調製することができる。
上記のように本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する際に同時に調製した低分子量ビニル芳香族重合体は、本実施形態の水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する際に、低分子成分として検出されるので、その際に低分子量ビニル芳香族重合体の存在を確認することができ、また、その重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定することができる。
市販の低分子量ビニル芳香族重合体を、本実施形態の水添ブロック共重合体と混合してもよい。
第一実施形態において、高い低温塗工性(低粘度)、クリープ性能(値が小さい方が良好)、高強度あるいは高伸度等が必要な場合には、粘接着組成物中に、その他のポリマーとして、アイオノマーを5質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
第一実施形態において、湿潤状態の親水性多孔質基材に対して優れた接着強度を発現するためには、粘接着組成物中に、その他のポリマーとして、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を分子内に有する液状ゴム及び/又はカルボン酸無水物によって酸変性された酸変性ポリエチレンを0.5〜8質量%の範囲で添加することが好ましい。
第一実施形態において、高温貯蔵安定性、高伸度の観点、及び粘接着組成物中の粘着付与樹脂の含有量を低減する観点から、その他のポリマーとして、α−オレフィンを用いたコポリマー、あるいはプロピレンホモポリマーを、粘接着組成物中の20質量%以下の範囲で含有することが好ましい。
これらのその他のポリマーの融点(条件:DSC測定、5℃/分)は、110℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは60℃〜90℃である。
これらのその他のポリマーは樹脂であってもエラストマーであってもよい。
第一実施形態において、粘接着組成物の伸度等の観点から、粘接着組成物は、その他のポリマーとして、オレフィン系エラストマー含有することが好ましい。
オレフィン系エラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、少なくとも−10℃以下にTgを有するものが好ましい。また、クリープ性能の観点から、ブロックを有するオレフィン系エラストマーがより好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物を高温環境下で用いる場合には、特開2015−28130号公報、特開2007−56119号公報、特開2014−534303号公報、特開2015−30854号公報のように、粘接着組成物に、ラジカル架橋やエポキシ架橋やウレタン架橋が可能な添加剤を用い、耐熱性を向上させることが好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物は、以下に限定されないが、粘接着性テープ、及びラベルに用いることができる。
第一実施形態において、粘接着性テープは、上記で説明した粘接着組成物を有する。第一実施形態において、ラベルは、上記で説明した粘接着組成物を有する。
第一実施形態において、粘接着組成物は、任意の基材に積層して用いることが好ましい。基材としては、以下に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムや、紙、金属、織布、不織布等の非熱可塑性樹脂の基材を用いることもできる。
基材の材料には剥離剤を添加してもよい。剥離剤としては、長鎖アルキル系剥離剤、シリコン系剥離剤等が挙げられる。
また、より高い耐候性(UV照射後の粘着力変化が少ない)が必要な場合には、紫外線透過率が低い基材を用いることが好ましく、紫外線透過率は1%以下であることが好ましい。
(粘接着組成物の製造方法)
第一実施形態において、粘接着組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対し、粘着付与樹脂20質量部〜400質量部とを混合することにより製造することができる。
必要に応じて他のブロック共重合体、及びオイル等の各成分を混合してもよく、混合方法としては、公知の混合機、ニーダー、1軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー等を使用する方法が挙げられる。
混合条件としては、以下に限定されるものではないが、例えば、加熱しながら均一に混合する方法が好ましい。
(粘接着性テープ、及びラベルの製造方法)
第一実施形態において、粘接着性テープ及びラベルは、粘接着組成物を任意の基材上に塗工することにより製造することができる。
粘接着組成物を基材上に塗工する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Tダイ塗工法、ロール塗工法、マルチビード塗工法、及びスプレー塗工法等が挙げられる。また、第一実施形態の粘接着組成物の塗工方法としては、押出し塗工(熱溶融塗工)法、又は溶展塗工法のいずれでもよく、高い耐熱老化性、経済性観点から、押出し塗工法が好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物は、各種粘接着性テープ、ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤、シーリング剤、塗料の塗り替え作業時のマスキング剤、及び衛生用品等に好適に用いることができる。特に、粘接着性テープが好ましい。
〔改質アスファルト組成物及びこれに用いる水添ブロック共重合体〕
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体は、改質アスファルト組成物に用いることができる。
本実施形態の水添ブロック共重合体を、改質アスファルト組成物に用いることにより、低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、及び耐流動性に優れ、これら物性と相溶性とのバランスに優れた改質アスファルト組成物を提供することができる。
(水添ブロック共重合体)
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、耐流動性、並びにアスファルトとの高い相容性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、共役ジエン単量体単位を有する共重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%〜30モル%である。
Δビニル含有量(VH−VL)については、上記において説明した通りであり、その説明を省略する。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、耐流動性、並びにアスファルトとの高い相容性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含む共重合体ブロック(B2)とを有する水添ブロック共重合体であることが好ましい。
第二実施形態において用いる、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加(以下、「水添」ともいう)前の構造としては、以下に限定されないが、例えば、下記の式(13)〜(18)で表される構造が挙げられる。
(A−B2)n ・・・(13)
B2−(A−B2)n ・・・(14)
A−(B2−A)n ・・・(15)
A−(B2−A)n−X ・・・(16)
[(A−B2)km−X ・・・(17)
[(A−B2)k−A]m−X ・・・(18)
上記式(13)〜(18)中、Aは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、B2は、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を含む共重合体ブロックを表し、Xは、カップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。
第二実施形態において、水素添加前のブロック共重合体中に重合体ブロック(A)及び(B2)が複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(13)〜(18)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。
水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
第二実施形態において、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中や、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低い粘度の観点から、水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体単位を含む一つの水添重合体ブロック(B2)を有する水添ブロック共重合体(d2)を含有することが好ましい。なお、水添ブロック共重合体(d2)は、上記式(13)においてn=1の構造をいう。
第二実施形態において、水添ブロック共重合体(d2)の含有量の下限値は、改質アスファルト組成物の低い粘度の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、65質量%以上であることがさらにより好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましい。
また、第二実施形態において、水添ブロック共重合体(d2)の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の高い軟化点、高い伸度の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることがさらにより好ましく、70質量%以下であることがよりさらに好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低い粘度の観点から、水添ブロック共重合体が、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r2)を含有することが好ましい。ここで、本願明細書中、「ラジアル構造」とは、残基Xに対して重合体が3つ以上結合している構造をいい、例えばA−(B2−A)n−X(n≧3)、[(A−B2)km−X(m≧3)、及び[(A−B2)k−A]m−X(m≧3)が挙げられる。
ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r2)の構造としては、低い粘度、高い接着力の観点から、[(A−B2)k]m−X、及び[(A−B2)k−A]m−X(各式中、mは3〜6の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。より好ましくは、mは3〜4の整数を表す。)からなる群から選択される少なくとも一つの構造であることが好ましい。
第二実施形態において、アスファルトとの相容性の観点から、水添ブロック共重合体の水素添加率の上限値は、共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として、97モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがより好ましく、90モル%以下であることがさらに好ましく、85モル%以下であることがさらにより好ましく、80モル%以下であることがよりさらに好ましい。
また、改質アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱老化性、改質アスファルト混合物の耐流動性の観点から、水添ブロック共重合体の水素添加率の下限値は、1モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましく、40モル%以上であることがさらにより好ましく、50モル%以上であることがよりさらに好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加率に分布があってもよい。
水素添加率分布の指標としては、上記第一実施形態において示したHを用いることができ、当該水素添加率分布の指標Hの求め方は第一実施形態において記載した方法と同様の方法を適用できる。
改質アスファルト組成物の低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、耐流動性、及びこれら物性と相溶性とのバランスの観点から、水素添加率分布の指標Hの値は、0.001以上0.007以下であることが好ましく、0.001以上0.0055以下であることがより好ましく、0.001以上〜0.004以下であることがさらに好ましい。
水添ブロック共重合体の水素添加率は、後述する水添工程における水素添加量や水添反応時間を制御することにより調整することができる。また、水素添加率は後述する実施例記載の方法で求めることができる。
第二実施形態において、水添ブロック共重合体中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)は、30〜60質量%であることが好ましい。改質アスファルト組成物の優れた相容性や、高い軟化点、改質アスファルト組成物の高温貯蔵安定性、改質アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の高い耐骨材剥離性の観点から、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)の下限値は、30質量%以上であることが好ましく、33質量%以上がより好ましく、36質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がさらにより好ましい。
また、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)の上限値は、改質アスファルト組成物の相容性、低い粘度、及び柔軟性の観点から、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)の下限値は、改質アスファルト組成物の高い軟化点の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、19質量%以上がさらにより好ましい。
また、第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)の上限値は、アスファルトとの高い相容性、改質アスファルト組成物の柔軟性の点で、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、28質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらにより好ましい。
なお、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)と、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)は、後述する実施例記載の方法で測定することができる。
第二実施形態において、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(A)の分子量分布は、改質アスファルト組成物の耐流動性の観点から、1.46以下が好ましく、1.44以下がより好ましく、1.42以下がさらに好ましく、1.40以下がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の観点から、1.1以上が好ましく、1.12以上がより好ましく、1.14以上がさらに好ましく、1.16以上がさらにより好ましい。
ここで、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(A)の分子量分布は、以下の式により求めることができる。
分子量分布=(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の高分子量側の分子量)/(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の低分子量側の分子量)
第二実施形態において、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)の下限値は、改質アスファルト組成物の分離安定性、貯蔵時の耐熱老化性、引張後の回復性の観点から、共重合体ブロック(B2)の全質量を基準として5質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。
第二実施形態において、アスファルトに添加する本実施形態の水添ブロック共重合体の添加量の低減、改質アスファルト組成物の分離安定性、改質アスファルト組成物や水添ブロック共重合体の柔軟性、耐候性、及び改質アスファルト組成物の耐骨材剥離性の観点から、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)の上限値は、共重合体ブロック(B2)の全質量を基準として50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)は、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)から、上記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)を減じた値(TS−BS)の、共重合体ブロック(B2)中の割合(質量%)である。
共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)は、以下の式により求めることができる。
RS(質量%)=(TS−BS)/(100−BS)×100
第二実施形態において、共重合体ブロック(B2)の重合開始時から重合終了時までの反応時間を三等分して、順に前段、中段、及び後段とし、前段終了時の共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位含有量をS1(質量%)、中段終了時の共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位含有量をS2(質量%)、後段終了時の共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位含有量をS3(質量%)としたとき、アスファルトとの相容性の観点から、S2/S1>1、かつS3/S2>1の関係が成り立つ構造がより好ましい。
なお、共重合体ブロック(B2)の「重合開始時」とは、共重合体ブロック(B2)の原料モノマーを反応器に投入した時とし、共重合体ブロック(B2)の「重合終了時」とは、共重合体ブロック(A)の原料モノマーを反応器に投入する直前とする。ビニル芳香族単量体単位含有量S1〜S3は、前段終了時、中段終了時、及び後段終了時の各時点における重合体溶液をサンプリングして測定することができる。
第二実施形態において、共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態の水添ブロック共重合体とアスファルトとの相容性が高くなり、改質アスファルト組成物の引張後の回復性、耐熱老化性、耐骨材剥性が向上する傾向にある。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の下限値は、70質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは80質量%以上であり、さらにより好ましくは90質量%以上である。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の上限値は、特に制限はないが、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることがさらにより好ましい。
本願明細書中、「短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分」とは、共重合体ブロック(B2)中、ビニル芳香族単量体単位が2〜6個連続する部分をいう。
短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は、共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)を100質量%とし、その中で2〜6個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量(質量%)として求められる。
2〜6個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、下記に記載する方法により測定することができる。
<短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量(短連鎖スチレン含有量)>
重合体のジクロロメタン溶液に(O3)濃度1.5%の酸素を150mL/分で通過させて酸化分解し、得られたオゾニドを、水素化アルミニウムリチウムを混合したジエチルエーテル中に滴下して還元する。
次に、純水を滴下して加水分解し、炭酸カリウムを添加し塩析、濾過を行うことによりビニル芳香族炭化水素成分を得る。
このビニル芳香族炭化水素成分をGPCにより測定する。
ここで得られたピークの面積比(短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分に相当するピーク面積/ピークの総面積)を算出することにより重合体中の2〜6個連続した短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が得られる。
このとき、得られるピークの分子量から、2個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量、及び3個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量を測定することができる。
なお、オゾン発生機は日本オゾン(株)製OT−31R−2型を用い、GPC測定は、ウォーターズ製の2487を用い、クロロホルムを溶媒とし、流量1.0mL/分、カラムオーブン35℃で、カラムはShodexカラム−K803Lを2本接続して測定できる。
第二実施形態における本実施形態の水添ブロック共重合体に含まれる共重合体ブロック(B2)中、ビニル芳香族単量体単位が2個連続した短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は、10質量%以上45質量%以下であることが好ましく、13質量%以上42質量%以下であることがより好ましく、19質量%以上36質量%以下であることがさらに好ましい。
2個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、上記方法により測定することができる。
第二実施形態における共重合体ブロック(B2)中、ビニル芳香族単量体単位が3個連続した短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が、45質量%以上80質量%以下であることが好ましく、45質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上65質量%以下であることがさらに好ましい。
3個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、上記方法により測定することができる。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の水素添加前のブロック共重合体における、共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量は、好ましくは15モル%以上50モル%未満であり、より好ましくは18モル%以上40モル%以下であり、さらに好ましくは21モル%以上35モル%以下であり、さらにより好ましくは24モル%以上32モル%以下である。
第二実施形態において、水素添加前のブロック共重合体における共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が15モル%以上であることにより、アスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量が低くなる傾向にある。
また、水素添加前のブロック共重合体における、共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が50モル%未満であることにより、改質アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱老化性や耐候性が高くなる傾向にある。
ここで、「平均ビニル含有量」とは、水素添加前の共役ジエン単量体単位の1,2−結合、3,4−結合、及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総モル量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の割合とする。
なお、平均ビニル含有量は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。
第二実施形態において、水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、改質アスファルト組成物の引張後の回復性、及び耐骨材剥離性の観点から、10万以上が好ましく、15万以上がより好ましく、17万以上がさらに好ましい。
また、改質アスファルト組成物の製造性の観点から、水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50万以下が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下がさらに好ましく、27万以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)の下限値は、アスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量を低減する観点から、1.03以上が好ましく、1.05以上がより好ましく、1.11以上がさらに好ましく、1.20以上がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物の製造性やアスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量を低減する観点から、水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の上限値は、2.0以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましく、1.3以下がさらにより好ましい。
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例記載の方法により求めることができる。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度の下限値は、アスファルトとの高い相容性、改質アスファルト組成物の短い製造時間の観点から、−50℃以上であることが好ましく、−47℃以上がより好ましく、−44℃以上がさらに好ましく、−42℃以上がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物の相溶性、及び柔軟性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体の損失正接(tanδ)のピーク温度の上限値は、−5℃以下であることが好ましく、−10℃以下がより好ましく、−15℃以下がさらに好ましく、−25℃以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さは、改質アスファルト組成物の相溶性、高い引張後の回復性、及び貯蔵時の耐熱老化性の観点から、0.7を超えて1.6以下であることが好ましく、0.8以上1.8以下がより好ましく、0.9以上1.7以下がさらに好ましく、1.0以上1.5以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体は、改質アスファルト組成物の相容性、貯蔵時の耐熱老化性、改質アスファルト混合物の機械物性の観点から、水添ブロック共重合体が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。
これらの中でも、水添ブロック共重合体が、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することがより好ましく、アミノ基を有することがさらに好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、その分子1モルに対して、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を2モル以上含有することがより好ましい。
第二実施形態において、水添ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)の下限値は、改質アスファルト組成物の短い製造時間の観点から、0.1g/10分以上が好ましく、1g/10分以上がより好ましく、2g/10分以上がさらに好ましい。
また、水添ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)の上限値は、アスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量が少なくなることや、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の観点から、50g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましく、8g/10分以下がさらに好ましい。
(改質アスファルト組成物)
第二実施形態において、本実施形態の改質アスファルト組成物は、アスファルト100質量部に対し、上記で説明した水添ブロック共重合体1質量部以上20質量部以下を含有する。
アスファルトとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、又は天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、もしくはこれらと石油類を混合したもの等が挙げられる。
アスファルトの主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものが一般的である。
アスファルトとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤等が挙げられる。
入手性の観点から、アスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましい。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルあるいはエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
アスファルトは、針入度(JIS−K2207によって測定)が30以上300以下であることが好ましく、より好ましくは50以上250以下、さらに好ましくは60以上200以下である。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の相容性や、耐骨材剥離性を改良する観点から、改質アスファルト組成物は粘着付与樹脂を含むことが好ましい。
第二実施形態において、「粘着付与樹脂」とは、改質アスファルト組成物に粘着性を付与することができる、数平均分子量100〜1万未満の樹脂(オリゴマー)をいう。
粘着付与樹脂の数平均分子量は、後述する実施例に記載の数平均分子量の測定方法と同様の方法で測定することができる。
第二実施形態において、粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、及び脂肪族炭化水素樹脂等が挙げられる。
粘着付与樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
第二実施形態において、粘着付与樹脂としては、例えば、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)に記載されたものが挙げられる。
改質アスファルト組成物の高い相容性や、耐骨材剥離性改良の観点から、粘着付与樹脂としては、芳香族炭化水素樹脂が好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中における粘着付与樹脂の含有量は、本実施形態の水添ブロック共重合体を100質量部としたとき、0質量部より多く200質量部以下であることが好ましく、3質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
上記範囲の含有量とすることにより、相容性と耐骨材剥離性の改良効果をより確実に得ることができる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低い粘度や、高い相容性を得る観点から、改質アスファルト組成物はオイルを含むことが好ましい。
オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、鉱物油系軟化剤、又は合成樹脂系軟化剤のいずれも使用できる。
鉱物油系軟化剤としては、一般に、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられる。
なお、一般的に、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が、オイルに含まれる全炭素原子中の50%以上を占めるものが「パラフィン系オイル」と呼ばれ、ナフテン系炭化水素の炭素原子数が30%以上〜45%以下のものが「ナフテン系オイル」と呼ばれ、また、芳香族系炭化水素の炭素原子数が35%以上を占めるものが「芳香族系オイル」と呼ばれている。
鉱物油系軟化剤を含有させることにより、改質アスファルト組成物の施工性の改良が図られる。
鉱物油系軟化剤としては、改質アスファルト組成物の低い粘度や、低温性能の観点から、パラフィン系オイルが好ましく、改質アスファルト組成物の低い粘度や、高い相容性の観点からは、ナフテン系オイルが好ましい。
また、合成樹脂系軟化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中のオイルの含有量は、オイルのブリード抑制や、改質アスファルト組成物の実用上十分な機械強度を確保する観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体を100質量部としたとき、0質量部を超え100質量部以下であることが好ましく、0質量部を超え50質量部以下の範囲がより好ましく、2質量部以上30質量部以下の範囲がさらに好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の高い軟化点、相容性、高温貯蔵安定性を改良する観点から、改質アスファルト組成物は架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硫黄、硫黄化合物、硫黄以外の無機加硫剤、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、有機過酸化物、樹脂架橋剤、イソシアネート化合物、ポリリン酸、及び架橋助剤が挙げられる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の高い軟化点、相容性、貯蔵時の耐熱老化性の観点から、架橋剤としては、硫黄、硫黄化合物、ポリリン酸が好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中の架橋剤の添加量の下限値は、共役ジエン共重合体とアスファルトとの高い相容性、及び改質アスファルト混合物の油付着時の高い耐質量損失や高い耐強度低下の観点から、改質アスファルト組成物の全質量を基準として0.02質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましく、0.06質量%以上がさらに好ましい。
また、改質アスファルト組成物中の架橋剤の添加量は、高い針入度の改質アスファルト組成物を得るという観点から、特表2013−520543号公報に記載されているように、改質アスファルト組成物の全質量を基準として約20質量%以上60質量%以下の範囲で用いてもよい。
改質アスファルト組成物中の架橋剤の添加量の上限値は、高い針入度の改質アスファルト組成物を得る観点や経済性の観点から、改質アスファルト組成物の全質量を基準として1.0質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
第二実施形態において、共役ジエン共重合体と架橋剤とを十分反応させる観点から、改質アスファルト組成物に架橋剤を添加した後の混合時間を20分以上にすることが好ましく、40分以上がより好ましく、60分以上がさらに好ましく、90分以上がさらにより好ましい。
また、共役ジエン共重合体の熱劣化抑制の観点から、改質アスファルト組成物に架橋剤を添加した後の混合時間は、5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、2.5時間以下がさらに好ましく、2時間以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の粘度を低下させる観点、及び改質アスファルト組成物の製造時間をより短縮する観点から、改質アスファルト製造時に発泡剤を配合してもよい。
第二実施形態において、発泡剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ジアゾアミノベンゼン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。改質アスファルトとの相容性の観点から、発泡剤としては、ジアゾアミノベンゼン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)が好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中の発泡剤の添加量は、改質アスファルト組成物の低い粘度や短い製造時間の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。
また、改質アスファルト組成物中の発泡剤の添加量は、経済性の観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられる他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無機充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、顔料、粘度調整剤、剥離防止剤、及び顔料分散剤等が挙げられる。
他の添加剤の含有量は特に限定されず、アスファルト100質量部に対して、通常、50質量部以下である。
第二実施形態において、無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、及びガラス繊維等が挙げられる。
第二実施形態において、滑剤・離型剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びエチレンビスステアロアミド等が挙げられる。
第二実施形態において、安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、及び光安定剤等の各種安定剤が挙げられる。
第二実施形態において、酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
第二実施形態において、光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
第二実施形態において、剥離防止剤は、改質アスファルト組成物を骨材と混合したときの改質アスファルト組成物と骨材との剥離を防止することができる。
剥離防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、樹脂酸が好適であり、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンが挙げられる。
また、脂肪酸又は脂肪酸アミドは、剥離防止剤及び滑剤として機能することができる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、水添ブロック共重合体以外のゴム成分(以下、単に「その他のゴム成分」ともいう。)を含有してもよい。
その他のゴム成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、及び合成ゴムが挙げられる。
合成ゴムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
その他のゴム成分としては、改質アスファルト組成物の高い相容性や、耐骨材剥離性を改良する観点から、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジン−スチレンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体がより好ましい。
その他のゴム成分は官能基を有していてもよい。
耐流動性を改良する観点から、その他のゴム成分としては、オレフィン系エラストマー、又は官能基を有するオレフィン系エラストマーを使用することが好ましい。
その他のゴム成分が官能基を有する場合、官能基としては、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。
その他のゴム成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中における、水添ブロック共重合体以外のゴム成分の含有量は、上述した水添ブロック共重合体を100質量部としたとき、0.5〜400質量部であることが好ましく、0.5〜300質量部であることがより好ましく、1〜200質量部であることがさらに好ましく、5〜150質量部であることがさらにより好ましい。
水添ブロック共重合体以外のゴム成分の含有量を上記範囲とすることにより、改質アスファルト組成物の相容性と耐骨材剥離性の改良効果がより確実に得られる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、水添ブロック共重合体以外の樹脂成分(以下、単に「その他の樹脂成分」ともいう)を含有してもよい。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テフロン(登録商標)(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分としては、改質アスファルト組成物の高い相容性や、耐骨材剥離性を改良する観点から、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)がより好ましい。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分は官能基を有していてもよい。樹脂成分が官能基を有する場合、官能基としては、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物中における、水添ブロック共重合体以外の樹脂成分の含有量は、上述した水添ブロック共重合体を100質量部としたとき、0.5〜400質量部であることが好ましく、0.5〜300質量部であることがより好ましく、1〜200質量部であることがさらに好ましく、5〜150質量部であることがさらにより好ましい。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分の含有量を上記範囲とすることにより、改質アスファルト組成物の相容性と耐骨材剥離性の改良効果がより確実に得られる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、その他の樹脂成分として、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体(以下、「低分子量ビニル芳香族重合体」ともいう)を含んでもよい。
低分子量ビニル芳香族重合体としては、本実施形態の水添ブロック共重合体が有する重合体ブロック(A)に含まれるビニル芳香族単量体単位を主体とすることが好ましく、ポリスチレンに由来する単量体単位を主体とすることがより好ましい。
第二実施形態において、前記低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の下限値は、改質アスファルト組成物の低粘度化の観点から、水添ブロック共重合体100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましく、3.0質量部以上がさらにより好ましい。
また、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の低い軟化点の観点から、水添ブロック共重合体100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.0質量部以下がさらにより好ましい。
低分子量ビニル芳香族重合体の調製方法は、第一実施形態において説明したので、ここでは記載を省略する。
(改質アスファルト組成物の製造方法)
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、アスファルト100質量部に対し、上記で説明した水添ブロック共重合体1質量部以上20質量部以下を混合することにより製造することができる。
混合方法は特に限定されず、任意の混合機を用いて行うことができる。
混合機としては、以下に限定されるものではないが、例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練機、垂直インペラ、サイドアーム型インペラ等の攪拌機、乳化機を含めたホモジナイザー、及びポンプが挙げられる。
改質アスファルト組成物の製造工程においては、アスファルト、本実施形態の水添ブロック共重合体、及び任意に添加剤を、140℃から220℃の範囲で、撹拌タンク等を用いて混合することが好ましい。
〔改質アスファルト混合物〕
本実施形態の改質アスファルト混合物は、上記で説明した、第二実施形態における改質アスファルト組成物と骨材とを含む。
骨材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材を使用できる。
骨材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等が挙げられる。また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材、及び再生骨材等も使用できる。
その他、これに類似する粒状材料、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用することができる。
骨材は、一般に、粗骨材、細骨材、及びフィラーに大別される。
粗骨材とは、2.36mmふるいに留まる骨材であって、一般には粒径範囲2.5〜5mmの7号砕石、粒径範囲5〜13mmの6号砕石、粒径範囲13〜20mmの5号砕石、更には、粒径範囲20〜30mmの4号砕石等の種類がある。
本実施形態の改質アスファルト混合物においては、これら種々の粒径範囲の粗骨材の1種または2種以上を混合した骨材、あるいは、合成された骨材等を使用することができる。これらの粗骨材には、骨材に対して0.3〜1質量%程度のストレートアスファルトを被覆しておいてもよい。
細骨材とは、2.36mmふるいを通過し、かつ、0.075mmふるいに止まる骨材をいい、以下に限定されるものではないが、例えば、川砂、丘砂、山砂、海砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
フィラーとは、0.075mmふるいを通過する骨材であって、以下に限定されるものではないが、例えば、スクリーニングスのフィラー分、石粉、消石灰、セメント、焼却炉灰、クレー、タルク、フライアッシュ、カーボンブラック等が挙げられる。
これらの他、フィラーとしては、ゴム粉粒、コルク粉粒、木質粉粒、樹脂粉粒、繊維粉粒、パルプ、人工骨材等であっても、0.075mmふるいを通過するものであれば使用することができる。
粗骨材、細骨材、又はフィラーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態の改質アスファルト混合物は、少なくとも、本実施形態の改質アスファルト組成物と骨材とを混合することにより製造することができる。
混合方法は特に限定されず、従来公知の混合方法を適用することができる。
改質アスファルト組成物と骨材との混合温度は、120℃以上200℃以下の範囲とすることが好ましい。
改質アスファルト混合物中の骨材の含有量は、油付着時の高い耐質量損失や高い耐強度低下を有するアスファルト混合物を得るという観点から、85質量%以上98質量%以下の範囲が好ましく、90質量%以上97質量%以下がより好ましい。
また、改質アスファルト混合物を製造する方法としては、アスファルトと骨材とを混合する際に、直接本実施形態における水添ブロック共重合体を混合してアスファルトを改質する、いわゆるプラントミックス方式を使用することもできる。
(改質アスファルト組成物および改質アスファルト混合物の利用方法)
本実施形態の改質アスファルト混合物は、D.Whiteoakによって編集され、Shell Bitumen U.K.によって英国で1990年に発行されたThe Shell Bitumen Handbookに記載されている様々な用途に使用できる。
また、他の用途としては、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート(cold prepared asphaltic concrete)用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプライン及び鉄製部品のクラックの封着等が含まれる。
本実施形態の改質アスファルト混合物を用いる舗装形態としては、以下に限定されないが、密粒度舗装、排水性舗装、透水性舗装、密粒度ギャップアスファルト舗装、砕石マスチックアスファルト舗装、カラー舗装、半たわみ性舗装、保水性舗装、薄層舗装が挙げられる。
また、各舗装形態を得るための改質アスファルト混合物の製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、熱工法、中温化工法、常温工法等が挙げられる。
耐流動性、滑り抵抗性の改善の観点から、密粒度舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材40〜55質量%、細骨材40〜55質量%、フィラー3〜10質量%を含有することが好ましい。
密粒度舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が5〜7質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が3〜5.5質量部であることが好ましい。
排水性、視認性、騒音性の改善の観点から、排水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材合計量を100質量%として、粗骨材60〜85質量%、細骨材5〜20質量%、フィラー3〜20質量%を含有することが好ましい。
排水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が5〜10質量部であることが好ましい。
透水性の改善の観点から、透水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材60〜85質量%、細骨材5〜20質量%、フィラー3〜20質量%を含有することが好ましい。
透水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が0超〜6質量部であることが好ましい。
摩耗性、耐流動、耐久性、滑り抵抗性の改善の観点から、密粒度ギャップ舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材50〜60質量%、細骨材30〜40質量%、フィラー3〜10質量%を含有することが好ましい。
密粒度ギャップ舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4.5〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が5〜12質量部であることが好ましい。
摩耗性、不透水性、応力緩和性、耐流動、騒音性の観点から、砕石マスチックアスファルト舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材55〜70質量%、細骨材15〜30質量%、フィラー5〜15質量%を含有することが好ましい。
砕石マスチックアスファルト舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が5.5〜8質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態の水添ブロック共重合体の含有量が4〜10質量部であることが好ましい。
景観、視認性の改善の観点から、カラー舗装に用いられるアスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材(有色骨材)40〜55質量%、細骨材(有色骨材)40〜50質量%、フィラー(顔料)3〜10質量%を含有することが好ましい。
カラー舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、石油樹脂5〜7質量部、本実施形態における水添ブロック共重合体を4〜20質量部であることが好ましい。
視認性、耐油性、耐流動の観点から、半たわみ性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材60〜85質量%、細骨材5〜20質量%、フィラー3〜20質量%を含有することが好ましい。半たわみ性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が4〜10質量部であることが好ましい。
また、半たわみ性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、空隙率が15〜20%程度であることが好ましく、空隙にセメント系モルタルが充填されていることが好ましい。
舗装温度上昇の抑制、保水性の改善の観点から、保水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材60〜85質量%、細骨材5〜20質量%、フィラー3〜20質量%を含有することが好ましい。
保水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が4〜10質量部であることが好ましい。
保水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、空隙率が15〜20%程度であることが好ましく、空隙にセメント系や石膏系等の保水材が充填されていることが好ましい。
経済性、工期短縮、施工性の観点から、薄層舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量を100質量%として、粗骨材60〜85質量%、細骨材5〜20質量%、フィラー3〜20質量%を含有することが好ましい。
薄層舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6.5質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が4〜8質量部であることが好ましい。
薄層舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、粗骨材が粒径範囲2.5〜5mmの7号砕石であることが好ましい。
以下、実施例と比較例を挙げて本実施形態について具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔測定方法〕
(水添ブロック共重合体の平均ビニル含有量、及び共役ジエン単量体単位の水素添加率の測定)
水添ブロック共重合体中の平均ビニル含有量、及び共役ジエン単量体単位の水素添加率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
なお、水添ブロック共重合体における等質量である第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量の最大値をVH、最小値をVLとしたとき、Δビニル含有量=VH−VLとし、平均ビニル含有量は、上記第1〜第6領域のビニル含有量の平均値とした。
水素添加前のビニル含有量は赤外分光光度計(FT/IR−230:日本分光社製)を用いて測定した。
水素添加反応前のブロック共重合体を含む反応液に、大量のメタノールを添加することで、ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、このブロック共重合体をアセトンで抽出し、ブロック共重合体を真空乾燥した。これを、1H−NMR測定のサンプルとして用いて、平均ビニル含有量を測定した。
水素添加反応後の水添ブロック共重合体を含む反応液に、大量のメタノールを添加することで、水添ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、水添ブロック共重合体をアセトンで抽出し、水添ブロック共重合体を真空乾燥した。これを、1H−NMR測定のサンプルとして用いて、水素添加率を測定した。
1H−NMR測定の条件を以下に記す。
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(MFR)
水添ブロック共重合体を使用し、メルトインデクサー(L247:TECHNOL SEVENCO.,LTD社製)を用い、JIS K7210に準じた方法により算出した。
なお、条件は試験温度が200℃、試験荷重が5.00kgfであり、測定値の単位はg/10分間とした。
(水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位の含有量の測定)
一定量の水添ブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、溶解液中のビニル芳香族化合物成分(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度を測定した。得られたピーク強度から、検量線を用いてビニル芳香族単量体単位(スチレン)の含有量を算出した。
(水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量の測定)
I.M.Kolthoff,et al., J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸法で、下記ポリマー分解用溶液を用いて、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量を測定した。
なおここで、「水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック」とは、水添ブロック共重合体に含まれている「共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)」中のビニル芳香族単量体単位のブロックは含まないものとし、「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)」のことのみを意味する。
測定サンプル :水添ブロック共重合体を水素添加する前のブロック共重合体を含む反応液からの抜き取り品
ポリマー分解用溶液:四酸化オスミウム0.1gを第3級ブタノ−ル125mLに溶解した溶液
(水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定)
水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)は、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して、クロマトグラムのピークの分子量に基づいて求めた。測定ソフトは、HLC−8320EcoSEC収集を用い、解析ソフトは、HLC−8320解析を用いた。分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)として求めた。
測定条件を下記に示す。
GPC ;HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
検出器 ;RI
検出感度 ;3mV/分
サンプリングピッチ;600msec
カラム ;TSKgel superHZM−N(6mmI.D×15cm)4本(東ソー株式会社製)
溶媒 ;THF
流量 ;0.6mm/分
濃度 ;0.5mg/mL
カラム温度 ;40℃
注入量 ;20μL
(損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さ)
水添ブロック共重合体の動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さを求めた。
装置としてはARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)のトーションタイプのジオメトリーを使用した。
測定用サンプル形状は、厚み2mm、幅10mm、長さ20mmとした。
測定条件は、ひずみ(初期歪み)0.5%、周波数1Hz、測定範囲−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件とした。
〔水添ブロック共重合体の製造例1〕
粘接着組成物及び粘接着性テープ製造用の水素添加ブロック共重合体(P1)〜(P4)を下記のようにして製造した。
(水素添加触媒の製造)
まず、水素添加触媒を下記のようにして製造した。
窒素置換した反応容器内に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させることにより、水素添加触媒を製造した。
(水添ブロック共重合体(P1)の製造)
ジャケット付き槽型反応器内に、所定量のシクロヘキサンを入れ、反応器内の温度を50℃に調整した。
その後、全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)100質量部に対して、n−ブチルリチウムが0.14質量部となるように、n−ブチルリチウムを反応器の底部から添加した。
さらに、n−ブチルリチウム1モルに対して、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが0.27モルとなるように、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を添加した。
その後、1ステップ目の重合反応として、スチレンモノマー15質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度15質量%)を約10分間かけて供給した。
スチレンモノマーの供給を停止後、15分間反応を継続させた。
第1ステップ終了時の反応器の内温は55℃であった。
温度調整は実施せず反応熱により内温を上昇させた。
次に、2ステップ目の重合反応として、ブタジエンモノマー85質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度15質量%)を50分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。
ブタジエンモノマーの供給を停止した後、10分間、反応器内の温度を50℃に調整しながら反応を継続させて、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体を得た。
第2ステップ終了時の反応器の内温は84℃であった。
重合の間、温度調整は実施せず反応熱により内温を上昇させた。
得られたポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位の含有量及びビニル芳香族単量体単位を主体とするブロック(ポリスチレンブロック)の含有量が、共に15質量%であり、共役ジエン単量体単位のビニル含有量(ブタジエン中のビニル含有量)は34モル%であり、重量平均分子量(以下、単に「Mw」ともいう。)が90000であった。
得られたポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体を一部抜出し、カップリング剤としてテトラエトキシシランをn−ブチルリチウムの総モル数に対するモル比が0.1となるように添加し、10分間カップリング反応させ、カップリング重合体を得た。
その後、上記水素添加触媒を用いて、得られたカップリング重合体を80℃で水素添加し、水添ブロック共重合体(P1)を得た。
反応終了後に、水添ブロック共重合体(P1)100質量部に対して、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
水添ブロック共重合体(P1)の水素添加率は40モル%であり、MFR(200℃、5kgf)は2.0g/10分、ブタジエンブロック内におけるΔビニル含有量:(VH−VL)は5.0モル%であった。
水添ブロック共重合体(P1)の構造及び組成は、
(S−B):65質量%、Mw90000
(S−B)2−X:4質量%、Mw180000
(S−B)3−X:8質量%、Mw270000
(S−B)4−X:23質量%、Mw360000
(式中、Sは、スチレンブロックを示し、Bはブタジエンブロックを示し、Xは、カップリング剤の残基を示す。以下、同様とする。)であった。
(水添ブロック共重合体(P2)の製造)
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して、0.35モルとなるようにしたこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P2)を製造した。
水添ブロック共重合体(P2)の水素添加率は38モル%、MFR(200℃、5kgf)は5.0g/10分、ブタジエンブロック内におけるΔビニル含有量:(VH−VL)は6.0モル%であった。
水添ブロック共重合体(P2)の構造及び組成は、
(S−B):64質量%、Mw90000
(S−B)2−X:6質量%、Mw180000
(S−B)3−X:15質量%、Mw270000
(S−B)4−X:15質量%、Mw360000
であった。
(水添ブロック共重合体(P3)の製造)
全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)100質量部に対してn−ブチルリチウムを0.16質量部とし、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して0.40モルとなるようにし、1ステップ目〜3ステップ目の重合工程全体にわたって反応器内温が75℃になるように温度調整を実施したこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P3)を製造した。
水添ブロック共重合体(P3)の水素添加率は51モル%、MFR(200℃、5kgf)は1.0g/10分、ブタジエンブロック内におけるΔビニル含有量:(VH−VL)は0モル%であった。
水添ブロック共重合体(P3)の構造及び組成は、
(S−B):65質量%、Mw75000
(S−B)2−X:5質量%、Mw150000
(S−B)3−X:18質量%、Mw225000
(S−B)4−X:12質量%、Mw300000
であった。
(水添ブロック共重合体(P4)の製造)
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して0.80モルとなるようにし、重合開始時の反応器の内温を45℃に設定したこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P4)を製造した。
水添ブロック共重合体(P4)の水素添加率は61モル%、MFR(200℃、5kgf)は1.0g/10分、ブタジエンブロック内におけるΔビニル含有量は(VH−VL)は31.0モル%であった。
水添ブロック共重合体(P4)の構造及び組成は、
(S−B):64質量%、Mw90000
(S−B)2−X:7質量%、Mw180000
(S−B)3−X:21質量%、Mw270000
(S−B)4−X:8質量%、Mw360000
であった。
水添ブロック共重合体(P1)〜(P4)の分析結果を表1に示す。
Figure 2017025144
〔粘接着組成物の製造例〕
上述のようにして製造した水添ブロック共重合体(P1)〜(P4)を用いて、粘接着組成物を下記のようにして製造した。
上記水添ブロック共重合体(P1)〜(P4)のほか、下記材料を用いた。
ブロック重合体(SBS):D1102(Kraton社製、ポリスチレンブロックの含有量29質量%、ジブロック含有量17質量%)
ブロック重合体(SIS):Quintac3433N(日本ゼオン社製、ポリスチレンブロックの含有量16質量%、ジブロック含有量56質量%)
粘着付与樹脂(b1):Quintone R100(日本ゼオン株式会社製、C4〜C5の炭化水素留分の重合物99%以上、軟化点96℃、脂肪族系粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂(b2):アルコンM100(荒川化学工業社製、軟化点100℃、水添芳香族系粘着付与樹脂)
オイル(c1):ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産株式会社製、パラフィン系オイル)
オイル(c2):ダイアナプロセスオイルNS−90S(出光興産株式会社製、ナフテン系オイル)
酸化防止剤:Irganox1010(BASF社製、フェノール系酸化防止剤)
表2に示す組成で、水添ブロック共重合体と、粘着付与樹脂と、オイルと、酸化防止剤とを、ホモジナイザー(LART(SILVERSON社製、商品名))を用いて、回転速度500rpmで撹拌しながら、170℃に加熱しつつプロペラで混合して、実施例1〜5、並びに比較例1及び2の粘接着組成物を製造した。
〔粘接着性テープの製造例〕
溶融させた粘接着組成物を室温まで冷却し、これをトルエンに溶かし、アプリケーターで、基材としての厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングした。
その後、室温で30分間、70℃のオーブンで7分間、トルエンを完全に蒸発させ、基材として厚さ50μmの透明PETフィルムに厚さ30μmの粘接着組成物のコーティングを有する、粘接着性テープを作製した。
〔粘接着組成物の評価方法〕
実施例1〜5、並びに比較例1及び2の粘接着組成物の評価方法を以下に示す。
(粘接着組成物の溶解時間)
上記の「〔粘接着組成物の製造例〕」に記載の方法で、各材料を撹拌したとき、撹拌開始から全ての材料が均一に溶解した時間を目視で測定した。
撹拌時間が短い方が、粘接着組成物の製造性に優れることを示す。
良い方から順に◎、○、△、×とした。
溶解までの時間80分未満 :◎
80分以上90分未満 :○
90分以上110分未満 :△
110分以上 :×
(粘接着組成物のタック性)
J.Dow[Proc.Inst.Rub.Ind.,1.105(1954)]に準じ、傾斜30度のガラス板上の斜面に、上記「〔粘接着性テープの製造例〕」に記載の方法で製造し、長さ10cmにカットした粘接着性テープを、粘接着層面を上側にして貼り付けた。
粘接着性テープの上端から斜面に沿って上方10cmの位置より直径1/32インチから1インチまでの32種類の大きさのステンレス製ボールを初速度0で転がして、粘接着性テープ上で停止する最大径の球の大きさを測定した。
球の大きさに基づいて下記評価基準によりボールタック性を評価した。
評価は、粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが7/32インチより大きければ、粘接着組成物として実用上問題なく使用できると判断し、○とした。
粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが4/32インチより大きく7/32インチ未満の場合、△とした。
粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが4/32インチ以下の場合、×とした。
7/32インチ<ボールサイズ :○
4/32インチ<ボールサイズ≦7/32インチ :△
ボールサイズ≦4/32インチ :×
(粘接着組成物の粘着力の評価)
JIS Z0237の引きはがし粘着力の測定の方法1:試験板に対する180°引きはがし粘着力の測定方法に準じて測定した。
まず、上記「〔粘接着性テープの製造例〕」のようにして製造した粘接着性テープを25mm幅にカットして、25mm幅の粘接着性テープ試料を作製した。
粘接着性テープ試料をステンレス板に貼り付け、引き剥がし速度300mm/minで180°剥離力を測定した。
得られた剥離力に基づいて下記の基準により粘接着組成物の粘着力を評価した。
評価は、良い順から◎、○、△、×とした。
△以上であれば粘接着組成物として実用上問題なく使用できると評価した。
剥離力(N/10mm)9以上:◎
8以上9未満:○
6以上8未満:△
6未満:×
(粘接着組成物の粘着保持力の評価)
上記「〔粘接着性テープの製造例〕」のようにして製造した粘接着性テープをカットして、25mm長×15mm幅の粘接着性テープ試料を作製した。
ステンレス板に粘着テープサンプルを貼り付け、ステンレス板を垂直にし、50℃において、垂直下方向に1kgの荷重を与えて粘着テープがずれ落ちるまでの時間を測定した。
下記の基準により粘接着剤組成物の粘着性保持力を評価した。
評価は、良い順から○、△、×とした。
△以上であれば粘接着剤組成物として実用上問題なく使用できる。
粘着性保持力(分)10分以上 :○
5分以上10分未満 :△
5分未満 :×
Figure 2017025144
〔水添ブロック共重合体の製造例2〕
改質アスファルト組成物製造用の水添ブロック共重合体(P5)〜(P18)、水添ブロック共重合体(I)を下記のようにして製造した。
(水素添加触媒の製造)
まず、水素添加触媒を下記のようにして製造した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水素添加触媒を得た。
(水添ブロック共重合体(P5))
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を55℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.070質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、20分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン47質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン38質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、それぞれ20分間及び10分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。反応器の内温は80℃であった。
第3ステップとして、モノマーとしてスチレン7質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、20分間反応させ、ブロック共重合体を得た。
第3ステップで得られたブロック共重合体に、上記水添触媒を用いて水添反応を行い、水添ブロック共重合体(P5)を得た。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添ブロック共重合体(P5)の質量に対して0.3質量%添加した。
水添ブロック共重合体(P5)のスチレン含有量は53質量%、ポリスチレンブロック含有量は15質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は99モル%、重量平均分子量は14万、tanδピーク温度は−14℃、そのtanδピーク高さは1.7、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は8.5モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P6))
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部とし、水素添加率を変更した以外は、水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P6)を製造した。
水添ブロック共重合体(P6)のスチレン含有量は40質量%、ポリスチレンブロック含有量は19質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は90モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−31℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は13.6モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P7))
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を11質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を58質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部とし、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P7)を製造した。
水添ブロック共重合体(P7)のスチレン含有量は42質量%、ポリスチレンブロック含有量は21質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は86モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−33℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は9.9モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P8))
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を20質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P8)を製造した。
水添ブロック共重合体(P8)のスチレン含有量は40質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は66モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−33℃、そのtanδピーク高さは1.2、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は9.3モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P9))
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を20質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P9)を製造した。
水添ブロック共重合体(P9)のスチレン含有量は40質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は32モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−35℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は17.6モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P10))
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を50質量部、スチレンモノマーの添加量を30質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P10)を製造した。
水添ブロック共重合体(P10)のスチレン含有量は50質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は86モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−21℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は9.4モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P11))
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.065質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P11)を製造した。
水添ブロック共重合体(P11)のスチレン含有量は40質量%、ポリスチレンブロック含有量は19質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は87モル%、重量平均分子量は16万、tanδピーク温度は−33℃、そのtanδピーク高さは1.2、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は14.3モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P12))
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を58質量部、スチレンモノマーの添加量を23質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P12)を製造した。
水添ブロック共重合体(P12)のスチレン含有量は42質量%、ポリスチレンブロック含有量は19質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は99モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−30℃、そのtanδピーク高さは1.2、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は9.0モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P13))
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を61質量部、スチレンモノマーの添加量を19質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第3ステップ後に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.95モルとなるように添加し、25分間反応させ、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P13)を製造した。
水添ブロック共重合体(P13)のスチレン含有量は39質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は68モル%、重量平均分子量は19万、tanδピーク温度は−32℃、そのtanδピーク高さは1.2、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は12.7モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P14))
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10.5質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を29質量部、スチレンモノマーの添加量を10.5質量部、第2ステップの重合後、カップリング剤として、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して1モルを添加した。水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P14)を製造した。
水添ブロック共重合体(P14)のスチレン含有量は42質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は73モル%、重量平均分子量は22万、tanδピーク温度は−28℃、そのtanδピーク高さは1.2、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は10.2モル%であった。
また、水添ブロック共重合体(a)/(d)の含有量の質量比は、80/20であった。
なお、水添ブロック共重合体(a)とは、カップリング後の2分岐以上の構造を有する水添ブロック共重合体を意味する。
(d)とは、スチレンブロック(A)とスチレン/ブタジエン共重合体ブロック(B)からなる構造(カップリングする前の構造)のことを意味する。
(水添ブロック共重合体(P15))
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を13質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を57質量部、スチレンモノマーの添加量を17質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を13質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P15)を製造した。
水添ブロック共重合体(P15)のスチレン含有量は43質量%、ポリスチレンブロック含有量は26質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は83モル%、重量平均分子量は19万、tanδピーク温度は−37℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は9.0モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P16))
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を59質量部、スチレンモノマーの添加量を22質量部、モノマーの供給の終了10分後に、反応器の内温が60℃になる様に温度を調整し、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P16)を製造した。
水添ブロック共重合体(P16)のスチレン含有量は41質量%、ポリスチレンブロック含有量は19質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は99モル%、重量平均分子量は19万、tanδピーク温度は−29℃、そのtanδピーク高さは0.7、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は7.0モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P17))
温度を45℃に、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.55モルを添加した。第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を61質量部、スチレンモノマーの添加量を19質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P17)を製造した。
水添ブロック共重合体(P17)のスチレン含有量は39質量%、ポリスチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は89モル%、重量平均分子量は20万、tanδピーク温度は−32℃、そのtanδピーク高さは1.1、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は30.1モル%であった。
(水添ブロック共重合体(P18))
温度を第一ステップから第3ステップまで70℃一定に、n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を59質量部、スチレンモノマーの添加量を22質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P18)を製造した。
水添ブロック共重合体(P18)のスチレン含有量は41質量%、ポリスチレンブロック含有量は19質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は86モル%、重量平均分子量は19万、tanδピーク温度は−30℃、そのtanδピーク高さは1.0、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は2.4モル%であった。
(ブロック共重合体(I))
ブロック共重合体(I)として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(Kraton社製D1101)を使用した。ブロック共重合体(I)のスチレン含有量は30質量%、ポリスチレンブロック含有量は29質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は0モル%、重量平均分子量は16万、tanδピーク温度は−75℃、そのtanδピーク高さは1.0、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は6.5モル%であった。
ブロック共重合体(P5)〜(P18)、及びブロック共重合体(I)の分析結果を、下記表3に示す。
Figure 2017025144
〔改質アスファルト組成物の製造例〕
(アスファルト)
アスファルトとしては、下記2種のアスファルト(a1)、及び(a2)を用いた。
各アスファルトの組成は、石油学会の石油類試験関係規格のJPI−5S−70−10に準拠した測定法で分析した。
アスファルト(a1):針入度が80〜100であり、アスファルト組成が飽和分8.5質量%、芳香族分47.4質量%、レジン分20.8質量%、アスファルテン分23.3質量%である、ストレートアスファルト。
アスファルト(a2):針入度が60〜80であり、アスファルト組成が飽和分7.6質量%、芳香族分53.6質量%、レジン分20.0質量%、アスファルテン分18.8質量%である、ストレートアスファルト。
〔実施例5〜20、24、及び比較例3〜5、7、8〕
表5及び表6に示す種類のアスファルト400gを750mLの容器に入れ、容器を180℃のオイルバスに浸漬し、アスファルトを完全に溶融させた。
次に、アスファルトをホモジナイザー(LART(SILVERSON社製、商品名))を用いて、回転速度3000rpmで撹拌しながら、上述のようにして得られた水添ブロック共重合体(P5)〜(P18)、又はブロック共重合体(I)を、下記表5及び表6に示す組成で順次添加した。
添加が終了したら、回転速度を3500rpmに上げ、1時間混練して、実施例5〜20、24、及び比較例3〜5、7、8の改質アスファルト組成物を得た。
得られた各改質アスファルト組成物の物性を表5及び表6に示す。
〔実施例21〜23、及び比較例6〕
表5及び表6に示す種類のアスファルト400gを750mLの容器に入れ、容器を180℃のオイルバスに浸漬し、アスファルトを完全に溶融させた。
次に、アスファルトをホモジナイザー(LART(SILVERSON社製、商品名))を用いて、回転速度3000rpmで撹拌しながら、上述のようにして得られた水添ブロック共重合体を、表5及び表6に示す組成で順次添加した。
添加が終了したら、回転速度を3500rpmに上げ、1時間混練し、その後、硫黄を添加し、さらに1時間混練を実施して、実施例21〜23、及び比較例6の改質アスファルト組成物を得た。
得られた各改質アスファルト組成物の物性を表5及び表6に示す。
〔改質アスファルト混合物の製造例〕
〔実施例5〜24、比較例3〜8〕
加熱装置を備える容量27リットルの混合機に、下表4に示す粒度の密粒度型の骨材94.5質量部を投入し、25秒間空練りを行った。
次いで、上記方法により製造した改質アスファルト組成物5.5質量部を上記混合機に投入し、50秒間本練りを行い、実施例5〜24及び比較例3〜8の改質アスファルト混合物を得た。
得られた改質アスファルト混合物は、密粒度型の改質アスファルト混合物であった。
なお、改質アスファルト混合物の総量は10kgとなるようにし、空練り、本練りとも混合温度は177℃に調整した。
使用した骨材は、栃木県下都賀郡岩舟町から産出された砕石及び砕砂、千葉県印旛郡栄町から産出された細砂、並びに栃木県佐野市山菅町から産出された石粉の混合物であった。
改質アスファルト混合物に使用した骨材の粒度分布を下記表4に示す。
Figure 2017025144
〔改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の評価方法〕
改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物に関する評価方法は、以下のとおりである。
(相容性)
上記の「〔改質アスファルト組成物の製造例〕」に基づいて改質アスファルト組成物を製造する際の、水添ブロック共重合体の平均粒子径を測定することにより、アスファルトと水添ブロック共重合体の相容性を評価した。平均粒子径は、デジタルマイクロスコープによる透過光を用いて、以下のように観察した。なお、測定装置、測定条件は以下の通りとした。
・測定装置:KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHX−2000
・測定条件
測定温度: 25℃
倍率: 1000倍
測定モード: 透過光
サンプル調整方法:撹拌中の改質アスファルト組成物から、15分おきに、改質アスファルト組成物10mgをスライドガラス上に採取し、180℃に熱したホットプレート上で20秒静置させ、溶融させた。その後、溶融した改質アスファルト組成物上にカバーガラスを載せて薄く延ばした。室温で30分間放置した後、デジタルマイクロスコープで観察を実施した。撹拌開始から、分散粒子径が10μmになった時点での製造時間を測定した。製造時間が短いほど相容性に優れることを示す。良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
0.5時間以内 :◎
0.5時間を超え1.0時間以内 :○
1.0時間を超え2.0時間以内 :△
2.0時間を超える :×
(改質アスファルト組成物の低温伸度)
JIS−K2207に準じて、上記の改質アスファルト組成物の製造例により製造した改質アスファルト組成物の伸度を測定した。定型の改質アスファルト組成物試料を、5℃の水中で、5℃/minの速度で引っ張り、試料が破断するまでの長さ(cm)を測定した。破断するまでの長さ(cm)が長い方が、低温性能が高いことを示す。良い順から◎、○、△、×とした。
30cm以上 :◎
20cm以上 :○
15cm以上 :△
15cm未満 :×
(改質アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱老化性)
上記の改質アスファルト組成物の製造例により製造した改質アスファルト組成物を試験体とし、180℃に設定したギアオーブン内に7日間静置した。
ギアオーブン内で静置する前後における140℃でのブルックフィールド型溶融粘度を測定し、その変化割合(ギアオーブンで静置後の140℃溶融粘度/ギアオーブンで静置前の140℃溶融粘度)を求めた。
ブルックフィールド型溶融粘度の変化幅が小さいほど、熱劣化による分子の切断(粘度低下)及びゲル化(粘度上昇)が少なく、耐熱性に優れることを示す。
良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
0.9以上1.3以下 : ◎
0.8以上0.9未満、又は1.3より大きく1.4以下 : ○
0.7以上0.8未満、又は1.4より大きく1.5以下 : △
0.7未満、又は1.5より大きい : ×
(改質アスファルト混合物の耐流動性)
上記の改質アスファルト混合物の製造例により製造した改質アスファルト混合物を試験体とし、試験法便覧B003に準じて実施した。
所定の寸法の試験体上に、載荷した小型のゴム車輪を規定温度、規定時間、規定速度で繰り返し往復走行させ、単位時間あたりの変形量から動的安定度(回/mm)を求めた。
動的安定度が高いほど耐流動性に優れることを示す。
良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
20000回/mm以上 : ◎
20000回/mm未満15000回/mm以上 : ○
15000回/mm未満8000回/mm以上 : △
8000回/mm未満 : ×
実施例5〜24、及び比較例3〜8の評価結果を下表5及び表6にまとめる。
Figure 2017025144
Figure 2017025144
本発明の水添ブロック共重合体は、粘接着組成物、改質アスファルト組成物、及び改質アスファルト混合物の材料として産業上の利用可能性がある。
本発明の粘接着組成物は、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤、シーリング剤、塗料の塗り替え作業時のマスキング剤、及び衛生用品の材料として産業上の利用可能性がある。
本発明の改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物は、道路、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプライン及び鉄製部品のクラックの封着の分野における材料として産業上の利用可能性がある。

Claims (16)

  1. ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
    前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。
  2. 前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として95モル%以下である、請求項1に記載の水添ブロック共重合体。
  3. 前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として10モル%以上である、請求項1又は2に記載の水添ブロック共重合体。
  4. 前記水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上60質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
  5. 前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)を含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
  6. 前記水添ブロック共重合体100質量%を基準として、前記水添ブロック共重合体(d1)を20質量%以上90質量%以下含有する、請求項5に記載の水添ブロック共重合体。
  7. 前記水添ブロック共重合体が、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)を含有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体100質量部と、
    粘着付与樹脂20質量部以上400質量部以下と、
    を、含有する、粘接着組成物。
  9. 請求項8に記載の粘接着組成物を含有する、粘接着性テープ。
  10. 請求項8に記載の粘接着組成物を含有する、ラベル。
  11. 前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)とを有する水添ブロック共重合体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
  12. 前記水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万〜50万である、請求項11に記載の水添ブロック共重合体。
  13. 前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、請求項11又は12に記載の水添ブロック共重合体。
  14. 前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
    前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さの値が0.7を超えて1.6以下である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
  15. アスファルト100質量部に対し、
    請求項1乃至4、及び請求項11乃至14のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体1質量部以上20重量部以下を含有する、改質アスファルト組成物。
  16. 請求項15に記載の改質アスファルト組成物と、骨材とを含む、改質アスファルト混合物。
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