JP2017025144A - 水添ブロック共重合体、並びにこれを用いた粘接着組成物、改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物 - Google Patents
水添ブロック共重合体、並びにこれを用いた粘接着組成物、改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。
【選択図】なし
Description
粘接着組成物においては、近年、環境汚染を低減し、労働環境を改善するという観点から、ホットメルト型粘接着組成物が広く使用されるようになってきている。一般に、ホットメルト型粘接着組成物は、ブロック共重合体を含有する。このようなブロック共重合体としては、例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有するブロック共重合体が挙げられる。
また、特許文献3には、スチレンとブタジエンとの水素添加ブロック共重合体を用いた粘接着組成物が記載されている。当該特許文献3の実施例と比較例には、スチレンとブタジエンとの水添ブロック共重合体と、粘着付与樹脂と、オイルを含む種々の配合比率の粘接着組成物が記載されている。
さらに、特許文献4には、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体、及び粘着付与樹脂を含む粘接着組成物であって、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体として、部分水添ブロック共重合体と非水添ブロック共重合体とを併用した粘接着組成物、及び部分水添ブロック共重合体と完全水添ブロック共重合体とを併用した粘接着組成物が記載されている。
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載の粘接着組成物、及び特許文献5〜7に記載の改質アスファルト組成物は、各物性と、溶解性又は相容性とのバランスに改善の余地がある、という問題を有している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。
〔2〕
前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として95モル%以下である、前記〔1〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔3〕
前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として10モル%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔4〕
前記水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上60質量%以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔5〕
前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)を含有する、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔6〕
前記水添ブロック共重合体100質量%を基準として、前記水添ブロック共重合体(d1)を20質量%以上90質量%以下含有する、前記〔5〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔7〕
前記水添ブロック共重合体が、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)を含有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体100質量部と、
粘着付与樹脂20質量部以上400質量部以下と、
を、含有する、粘接着組成物。
〔9〕
前記〔8〕に記載の粘接着組成物を含有する、粘接着性テープ。
〔10〕
前記〔8〕に記載の粘接着組成物を含有する、ラベル。
〔11〕
前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)とを有する水添ブロック共重合体である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔12〕
前記水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万〜50万である、前記〔11〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔13〕
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、前記〔11〕又は〔12〕に記載の水添ブロック共重合体。
〔14〕
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さの値が0.7を超えて1.6以下である、前記〔11〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体。
〔15〕
アスファルト100質量部に対し、
前記〔1〕乃至〔4〕、及び前記〔11〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の水添ブロック共重合体1質量部以上20重量部以下を含有する、改質アスファルト組成物。
〔16〕
前記〔15〕に記載の改質アスファルト組成物と、骨材とを含む、改質アスファルト混合物。
本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体である。
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に、各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である。
また、本願明細書において、「主体とする」とは、重合体ブロック中、所定の単量体単位の含有量が70質量%以上であることをいう。所定の単量体単位を主体とする重合体ブロックは、所定の単量体単位の含有量が70質量%以上であればよく、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上である。
VH−VLは、共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロック(B)中の、水素添加前のビニル含有量の高低の差(以下、単に「Δビニル含有量」ともいう)を表す。
ビニル含有量の分布は、テーパー状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
例えば、第1領域と第2領域のビニル含有量が等しく、かつ最大値である場合には、V1及びV2のビニル含有量が共にVHである。
同様に、ビニル含有量が最も小さい領域が、複数存在してもよい。
凸状の分布としては、例えば、ビニル含有量の分布がV6<V5<V4、V3>V2>V1、V6=V1(=VL)、V4=V3(=VH)であり、かつ、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である分布が挙げられる。
凹状の分布としては、例えば、ビニル含有量の分布がV6>V5>V4、V3<V2<V1、V6=V1(=VH)、V4=V3(=VL)であり、かつ、VH−VL=5モル%〜30モル%である分布が挙げられる。
Δビニル含有量(VH−VL)の上限値は、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する粘接着組成物の粘着保持力及び溶解性、並びに本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する改質アスファルト組成物の低温伸度及び相容性の観点から、30モル%以下であればよく、25モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。
(A−B)n ・・・(1)
B−(A−B)n ・・・(2)
A−(B−A)n ・・・(3)
A−(B−A)n−X ・・・(4)
[(A−B)k]m−X ・・・(5)
[(A−B)k−A]m−X ・・・(6)
上記式(1)〜(6)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。
水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
また、水素添加率は後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
なお、粘接着組成物の粘着保持力の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量の下限値は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がさらにより好ましい。また、当該含有量の上限値は、粘接着組成物の溶解性、粘度の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がさらにより好ましい。
さらに、後述する改質アスファルト組成物の軟化点の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量の下限値は10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上がさらにより好ましい。さらにまた、当該含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の相容性、粘度の観点から、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下がさらにより好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添ブロック共重合体の重合工程において、ビニル芳香族単量体の添加量を調整することにより制御することができる。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合させて、ブロック共重合体を得る重合工程を行いブロック共重合体を得、重合工程の後、得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素を添加する水素添加工程を行い、得られた水添ブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を行うことにより、製造することができる。
重合工程においては、ランダム化剤として極性化合物を添加してもよい。
例えば、反応熱により反応温度を上昇させながら重合を行うことで、重合開始時のビニル含有量に比べて重合終了時のビニル含有量が小さくなり、ビニル含有量がV6<V5<V4<V3<V2<V1を満たすテーパー状のビニル分布にすることができる。
重合開始時の反応温度を高く設定し、重合に伴い反応温度を下げることによって、重合開始時のビニル含有量に比べて重合終了時のビニル含有量が大きくなり、ビニル含有量がV6>V5>V4>V3>V2>V1を満たすテーパー状の分布にすることができる。
また、反応温度の変化幅を制御することにより、Δビニル含有量を制御することができる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
このような有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
また、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、経済性の観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
公知の方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。
2官能のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等の2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタン等の2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ等の2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2−クロロプロペン等が挙げられる。
活性水素を有する化合物と活性末端とを反応させることで、重合体の活性末端を失活することができる。
活性水素を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、経済性の観点から、アルコール、水等が挙げられる。
水素添加工程に使用される水素添加触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた、担持型不均一系触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒;及びチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒等が挙げられる。
これらのなかでも、経済性、重合体の着色性あるいは接着力の観点から、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒系が好ましい。
具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加工程を行い、水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
水素添加工程は、高い水添活性の観点から、失活工程の後に行うことが好ましい。水素添加工程は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも行うことができる。
全ビニル芳香族単量体単位中の共役結合の水素添加率の上限値は、ビニル芳香族中の不飽和基全量を基準として、例えば30モル%以下、10モル%以下、又は3モル%以下とすることができ、下限値は、例えば0.1モル%以上とすることができ、又は0モル%であってもよい。
窒素含有基を含有する重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジオクチルアミノリチウム、ジ−2−エチルヘキシルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、ピペリジノリチウム等が挙げられる。
窒素含有基を含有する単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルビニルベンジルアミン、N,N−ジエチルビニルベンジルアミン、N,N−ジプロピルビニルベンジルアミン、N,N−ジブチルビニルベンジルアミン、N,N−ジフェニルビニルベンジルアミン、2−ジメチルアミノエチルスチレン、2−ジエチルアミノエチルスチレン、2−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、N,N−ジメチル−2−(4−ビニルベンジロキシ)エチルアミン、4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、4−(2−モルホリノエチル)スチレン、4−(2−チアジノエチル)スチレン、4−(2−N−メチルピペラジノエチル)スチレン、1−((4−ビニルフェノキシ)メチル)ピロリジン、及び1−(4−ビニルベンジロキシメチル)ピロリジン等が挙げられる。
これらの中でも、窒素含有基又は酸素含有基を含有するカップリング剤及び停止剤が好ましい。
窒素含有基又は酸素含有基を含有するカップリング剤及び停止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、γ−カプロラクトン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
脱溶剤の方法としては、以下に限定されるものではないが、スチームストリッピング法、及び直接脱溶媒法が挙げられる。
経済性の観点から、通常、水添ブロック共重合体中の残存溶媒量は、0.01質量%〜0.1質量%の範囲であることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、その第一実施形態として、粘接着組成物に用いることができる。
第一実施形態において、粘接着組成物の粘着力、タック性、粘着保持力、及び製造時の溶解時間の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有し、共役ジエン単量体単位を有する重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%〜30モル%である。
ビニル含有量の分布、及びΔビニル含有量(VH−VL)については、上述したとおりである。
(A−B1)n ・・・(7)
B1−(A−B1)n ・・・(8)
A−(B1−A)n ・・・(9)
A−(B1−A)n−X ・・・(10)
[(A−B1)k]m−X ・・・(11)
[(A−B1)k−A]m−X ・・・(12)
上記式(7)〜(12)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との共重合体ブロックが存在してもよい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
ここで、水添ブロック共重合体(d1)は、上記式(7)においてn=1の構造をいう。
また、水添ブロック共重合体(d1)の含有量の上限値は、粘接着組成物の高い粘着力の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることがさらにより好ましい。
ここで、本願明細書中、「ラジアル構造」とは、残基Xに対して重合体が3つ以上結合している構造をいい、例えば、A−(B1−A)n−X(n≧3)、[(A−B1)k]m−X(m≧3)、及び[(A−B1)k−A]m−X(m≧3)が挙げられる。
ここで、水素添加率分布Hは、水添ブロック共重合体の水素添加率の分布を表す指標であり、以下のようにして求めることができる。
水添ブロック共重合体のオゾン分解法により得られる分子量分布(MD1)と、オスミウム酸分解法により得られる分子量分布(MD2)に基づいて、{(MD1)−(MD2)}を行い、分子量分布(MD3)を得る。得られた分子量分布(MD3)の分子量200以上〜1000000以下の領域における総面積を1としたときの、最大ピーク高さをHとする。Hの値は水素添加率分布の指標であり、Hの値が小さいほど水素添加率分布が広いことを示す。
本実施形態の粘接着組成物の接着力、タック性、及び粘着保持力、並びにこれらの物性と溶解性とのバランスの観点から、水素添加率分布Hの値は、0.001以上0.007以下であることが好ましく、0.001以上0.0055以下であることがより好ましく、0.001以上〜0.004以下であることがさらに好ましい。
また、水素添加率は後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
分子量分布=(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の高分子量側の分子量)/(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の低分子量側の分子量)
第一実施形態における水添ブロック共重合体の、水素添加前の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が15モル%以上であることにより、粘接着組成物のタック性、粘着力、及び粘着保持力がより向上する傾向にある。
また、第一実施形態における水添ブロック共重合体の、水素添加前の共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が75モル%以下であることにより、粘接着組成物のタック性及び耐熱老化性がより向上する傾向にある。
ここで、本願明細書において、「平均ビニル含有量」とは、水素添加前の共役ジエン単量体の1,2−結合、3,4−結合、及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総モル量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の割合とする。
また、高い製造性の観点から、水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、35万以下が好ましく、30万以下がより好ましく、25万以下がさらに好ましい。
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例に記載する方法により求めることができる。
これらの中でも、水添ブロック共重合体が、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することがより好ましく、アミノ基を有することがさらに好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体は、その分子1モルに対して、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を2モル以上含有することがより好ましい。
第一実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体のMFRが0.1g/10分以上であることにより、粘接着組成物のタック性、粘着力、及び粘着保持力、並びにテープ積層時の端部からの耐染み出し性がより向上する傾向にある。
また、第一実施形態において、水添ブロック共重合体のMFRが50g/10分以下であることにより、粘接着組成物の塗工性、及び耐変色性がより向上する傾向にある。
第一実施形態である粘接着組成物は、上記で説明した水添ブロック共重合体100質量部に対し、粘着付与樹脂20質量部〜400質量部を含有する。
粘着付与樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、タック性、粘着力、粘着保持力、塗工性、耐変色性がより向上する傾向にある。
粘着付与樹脂の数平均分子量は、後述する実施例に記載する数平均分子量の測定方法と同様の方法で測定することができる。
これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部、残してもよい。
粘着付与樹脂の軟化点の下限値は、より好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは95℃以上であり、さらにより好ましくは100℃以上である。
また、粘着付与樹脂の軟化点の上限値は、特に限定されないが、145℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、135℃以下であることがさらに好ましく、130℃以下であることがさらにより好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、JISK2207環球式で測定することができる。
このような粘着付与樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、クマロン又はインデンを含有する、ホモポリマー又はコポリマー等の芳香族基を有する樹脂が挙げられる。
これらの中で、α−メチルスチレンを有するKristalexやPlastolyn(イーストマンケミカル社製、商品名)が好ましい。
部分視点ブロック共重合体のガラス相のブロックと親和性のある粘着付与樹脂の含有量は、粘接着組成物の総質量に対し、好ましくは3〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり、さらに好ましくは6〜12質量%である。
粘着付与樹脂中のアロマ含有量は、好ましくは3〜12質量%であり、より好ましくは4〜10質量%である。
本明細書中「アロマ」とは、非水添の芳香族成分をいう。
「水添した粘着付与樹脂」とは、不飽和結合を含む脂肪族系粘着付与樹脂、又は不飽和結合を含む芳香族系粘着付与樹脂を、任意の水素添加率となるよう水素添加した粘着付与樹脂をいう。水添した粘着付与樹脂の水添率は、高い方が好ましい。
これらのなかでも、無色であり、かつ、実質的に無臭であるオイルが好ましい。
オイルは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粘接着組成物のより高い耐候性が必要な場合には、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
粘接着組成物のより高い耐候性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を併用することがより好ましい。
第一実施形態の粘接着組成物中の耐候剤の含有量の上限値としては、耐候剤のブリードの抑制や経済性の観点から、粘接着組成物の総質量に対し、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。
耐候剤と酸化防止剤とを併用する場合、酸化防止剤の中でも、より高い耐候性の観点から、上記耐候剤に、少なくともリン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
第一実施形態の粘接着組成物中の酸化防止剤の含有量の上限値としては、酸化防止剤のブリードの抑制や経済性の観点から、粘接着組成物の総質量に対し、1.5質量%以下が好ましく、1.25質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。
充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、澱粉等が挙げられる。これら充填剤の形状は、球状であることが好ましい。
ワックス類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等が挙げられる。
これらの50℃〜110℃の融点を有するワックスの含有量は、粘接着組成物の総質量に対し、好ましくは5〜10質量%である。
また、これらワックスの融点は、好ましくは65℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上である。
また、このときに併用する粘着付与樹脂の軟化点は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは80℃以上である。
このとき、得られる粘接着組成物の貯蔵弾性率G’(測定条件:25℃、10rad/s)が1Mpa以下であり、7℃以下の結晶化温度を有することが好ましい。
その他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
これらは室温で液状であってもよく、固体状であってもよい。
その他のブロック共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体(SEBS)、水素化スチレン−イソプレン系ブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。
その他のブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位含有量が異なる2種以上の水添ブロック共重合体や、ビニル芳香族単量体単位を主体とする非水添あるいは完全水添のブロック共重合体であってもよい。
低分子量ビニル芳香族重合体としては、本実施形態の水添ブロック共重合体が含む重合体ブロック(A)に含まれているビニル芳香族単量体単位を主体とすることが好ましく、ポリスチレンに由来する単量体単位を主体とすることがより好ましい。
また、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の上限値は、粘接着組成物の接着性、タック性、接着保持力等の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましく、3.0質量部以下であることがさらに好ましく、2.0質量部以下であることがさらにより好ましい。
低分子量ビニル芳香族重合体は、単独で調製して、本実施形態の水添ブロック共重合体と混合してもよく、本実施形態の水添ブロック共重合体を製造する際に同時に調製してもよい。
これらのその他のポリマーの融点(条件:DSC測定、5℃/分)は、110℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは60℃〜90℃である。
これらのその他のポリマーは樹脂であってもエラストマーであってもよい。
オレフィン系エラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、少なくとも−10℃以下にTgを有するものが好ましい。また、クリープ性能の観点から、ブロックを有するオレフィン系エラストマーがより好ましい。
基材の材料には剥離剤を添加してもよい。剥離剤としては、長鎖アルキル系剥離剤、シリコン系剥離剤等が挙げられる。
また、より高い耐候性(UV照射後の粘着力変化が少ない)が必要な場合には、紫外線透過率が低い基材を用いることが好ましく、紫外線透過率は1%以下であることが好ましい。
第一実施形態において、粘接着組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、本実施形態の水添ブロック共重合体100質量部に対し、粘着付与樹脂20質量部〜400質量部とを混合することにより製造することができる。
必要に応じて他のブロック共重合体、及びオイル等の各成分を混合してもよく、混合方法としては、公知の混合機、ニーダー、1軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー等を使用する方法が挙げられる。
混合条件としては、以下に限定されるものではないが、例えば、加熱しながら均一に混合する方法が好ましい。
第一実施形態において、粘接着性テープ及びラベルは、粘接着組成物を任意の基材上に塗工することにより製造することができる。
粘接着組成物を基材上に塗工する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、Tダイ塗工法、ロール塗工法、マルチビード塗工法、及びスプレー塗工法等が挙げられる。また、第一実施形態の粘接着組成物の塗工方法としては、押出し塗工(熱溶融塗工)法、又は溶展塗工法のいずれでもよく、高い耐熱老化性、経済性観点から、押出し塗工法が好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体は、改質アスファルト組成物に用いることができる。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物の低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、耐流動性、並びにアスファルトとの高い相容性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、共役ジエン単量体単位を有する共重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%〜30モル%である。
Δビニル含有量(VH−VL)については、上記において説明した通りであり、その説明を省略する。
(A−B2)n ・・・(13)
B2−(A−B2)n ・・・(14)
A−(B2−A)n ・・・(15)
A−(B2−A)n−X ・・・(16)
[(A−B2)k]m−X ・・・(17)
[(A−B2)k−A]m−X ・・・(18)
上記式(13)〜(18)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。
水添ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
また、第二実施形態において、水添ブロック共重合体(d2)の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の高い軟化点、高い伸度の観点から、水添ブロック共重合体100質量%を基準として、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることがさらにより好ましく、70質量%以下であることがよりさらに好ましい。
また、改質アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱老化性、改質アスファルト混合物の耐流動性の観点から、水添ブロック共重合体の水素添加率の下限値は、1モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがさらに好ましく、40モル%以上であることがさらにより好ましく、50モル%以上であることがよりさらに好ましい。
水素添加率分布の指標としては、上記第一実施形態において示したHを用いることができ、当該水素添加率分布の指標Hの求め方は第一実施形態において記載した方法と同様の方法を適用できる。
改質アスファルト組成物の低温伸度、貯蔵時の耐熱老化性、耐流動性、及びこれら物性と相溶性とのバランスの観点から、水素添加率分布の指標Hの値は、0.001以上0.007以下であることが好ましく、0.001以上0.0055以下であることがより好ましく、0.001以上〜0.004以下であることがさらに好ましい。
また、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量(TS)の上限値は、改質アスファルト組成物の相容性、低い粘度、及び柔軟性の観点から、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下がさらにより好ましい。
また、第二実施形態において、本実施形態の水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)の含有量(BS)の上限値は、アスファルトとの高い相容性、改質アスファルト組成物の柔軟性の点で、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、28質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の観点から、1.1以上が好ましく、1.12以上がより好ましく、1.14以上がさらに好ましく、1.16以上がさらにより好ましい。
ここで、ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック(A)の分子量分布は、以下の式により求めることができる。
分子量分布=(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の高分子量側の分子量)/(重合体ブロック(A)のピーク分子量の半値全幅時の低分子量側の分子量)
共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)は、以下の式により求めることができる。
RS(質量%)=(TS−BS)/(100−BS)×100
なお、共重合体ブロック(B2)の「重合開始時」とは、共重合体ブロック(B2)の原料モノマーを反応器に投入した時とし、共重合体ブロック(B2)の「重合終了時」とは、共重合体ブロック(A)の原料モノマーを反応器に投入する直前とする。ビニル芳香族単量体単位含有量S1〜S3は、前段終了時、中段終了時、及び後段終了時の各時点における重合体溶液をサンプリングして測定することができる。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態の水添ブロック共重合体とアスファルトとの相容性が高くなり、改質アスファルト組成物の引張後の回復性、耐熱老化性、耐骨材剥性が向上する傾向にある。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の下限値は、70質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは80質量%以上であり、さらにより好ましくは90質量%以上である。
共重合体ブロック(B2)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の上限値は、特に制限はないが、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることがさらにより好ましい。
短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は、共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量(RS)を100質量%とし、その中で2〜6個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量(質量%)として求められる。
2〜6個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、下記に記載する方法により測定することができる。
<短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量(短連鎖スチレン含有量)>
重合体のジクロロメタン溶液に(O3)濃度1.5%の酸素を150mL/分で通過させて酸化分解し、得られたオゾニドを、水素化アルミニウムリチウムを混合したジエチルエーテル中に滴下して還元する。
次に、純水を滴下して加水分解し、炭酸カリウムを添加し塩析、濾過を行うことによりビニル芳香族炭化水素成分を得る。
このビニル芳香族炭化水素成分をGPCにより測定する。
ここで得られたピークの面積比(短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分に相当するピーク面積/ピークの総面積)を算出することにより重合体中の2〜6個連続した短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が得られる。
このとき、得られるピークの分子量から、2個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量、及び3個連続したビニル芳香族単量体単位の含有量を測定することができる。
なお、オゾン発生機は日本オゾン(株)製OT−31R−2型を用い、GPC測定は、ウォーターズ製の2487を用い、クロロホルムを溶媒とし、流量1.0mL/分、カラムオーブン35℃で、カラムはShodexカラム−K803Lを2本接続して測定できる。
2個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、上記方法により測定することができる。
3個連続したビニル芳香族単量体単位含有量は、上記方法により測定することができる。
第二実施形態において、水素添加前のブロック共重合体における共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が15モル%以上であることにより、アスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量が低くなる傾向にある。
また、水素添加前のブロック共重合体における、共役ジエン単量体単位中の平均ビニル含有量が50モル%未満であることにより、改質アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱老化性や耐候性が高くなる傾向にある。
ここで、「平均ビニル含有量」とは、水素添加前の共役ジエン単量体単位の1,2−結合、3,4−結合、及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総モル量に対し、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の割合とする。
なお、平均ビニル含有量は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。
また、改質アスファルト組成物の製造性の観点から、水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50万以下が好ましく、40万以下がより好ましく、30万以下がさらに好ましく、27万以下がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物の製造性やアスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量を低減する観点から、水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の上限値は、2.0以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましく、1.3以下がさらにより好ましい。
重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例記載の方法により求めることができる。
また、改質アスファルト組成物の相溶性、及び柔軟性の観点から、本実施形態の水添ブロック共重合体の損失正接(tanδ)のピーク温度の上限値は、−5℃以下であることが好ましく、−10℃以下がより好ましく、−15℃以下がさらに好ましく、−25℃以下がさらにより好ましい。
これらの中でも、水添ブロック共重合体が、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することがより好ましく、アミノ基を有することがさらに好ましい。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、その分子1モルに対して、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を2モル以上含有することがより好ましい。
また、水添ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)の上限値は、アスファルトに添加する水添ブロック共重合体の添加量が少なくなることや、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の観点から、50g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましく、8g/10分以下がさらに好ましい。
第二実施形態において、本実施形態の改質アスファルト組成物は、アスファルト100質量部に対し、上記で説明した水添ブロック共重合体1質量部以上20質量部以下を含有する。
アスファルトの主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものが一般的である。
入手性の観点から、アスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましい。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルあるいはエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
第二実施形態において、「粘着付与樹脂」とは、改質アスファルト組成物に粘着性を付与することができる、数平均分子量100〜1万未満の樹脂(オリゴマー)をいう。
粘着付与樹脂の数平均分子量は、後述する実施例に記載の数平均分子量の測定方法と同様の方法で測定することができる。
第二実施形態において、粘着付与樹脂としては、例えば、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)に記載されたものが挙げられる。
改質アスファルト組成物の高い相容性や、耐骨材剥離性改良の観点から、粘着付与樹脂としては、芳香族炭化水素樹脂が好ましい。
上記範囲の含有量とすることにより、相容性と耐骨材剥離性の改良効果をより確実に得ることができる。
オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、鉱物油系軟化剤、又は合成樹脂系軟化剤のいずれも使用できる。
鉱物油系軟化剤としては、一般に、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられる。
鉱物油系軟化剤としては、改質アスファルト組成物の低い粘度や、低温性能の観点から、パラフィン系オイルが好ましく、改質アスファルト組成物の低い粘度や、高い相容性の観点からは、ナフテン系オイルが好ましい。
架橋剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硫黄、硫黄化合物、硫黄以外の無機加硫剤、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、有機過酸化物、樹脂架橋剤、イソシアネート化合物、ポリリン酸、及び架橋助剤が挙げられる。
また、改質アスファルト組成物中の架橋剤の添加量は、高い針入度の改質アスファルト組成物を得るという観点から、特表2013−520543号公報に記載されているように、改質アスファルト組成物の全質量を基準として約20質量%以上60質量%以下の範囲で用いてもよい。
改質アスファルト組成物中の架橋剤の添加量の上限値は、高い針入度の改質アスファルト組成物を得る観点や経済性の観点から、改質アスファルト組成物の全質量を基準として1.0質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
また、共役ジエン共重合体の熱劣化抑制の観点から、改質アスファルト組成物に架橋剤を添加した後の混合時間は、5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、2.5時間以下がさらに好ましく、2時間以下がさらにより好ましい。
また、改質アスファルト組成物中の発泡剤の添加量は、経済性の観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無機充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、顔料、粘度調整剤、剥離防止剤、及び顔料分散剤等が挙げられる。
他の添加剤の含有量は特に限定されず、アスファルト100質量部に対して、通常、50質量部以下である。
また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
剥離防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、樹脂酸が好適であり、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンが挙げられる。
また、脂肪酸又は脂肪酸アミドは、剥離防止剤及び滑剤として機能することができる。
その他のゴム成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、及び合成ゴムが挙げられる。
合成ゴムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
耐流動性を改良する観点から、その他のゴム成分としては、オレフィン系エラストマー、又は官能基を有するオレフィン系エラストマーを使用することが好ましい。
その他のゴム成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水添ブロック共重合体以外のゴム成分の含有量を上記範囲とすることにより、改質アスファルト組成物の相容性と耐骨材剥離性の改良効果がより確実に得られる。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テフロン(登録商標)(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水添ブロック共重合体以外の樹脂成分の含有量を上記範囲とすることにより、改質アスファルト組成物の相容性と耐骨材剥離性の改良効果がより確実に得られる。
低分子量ビニル芳香族重合体としては、本実施形態の水添ブロック共重合体が有する重合体ブロック(A)に含まれるビニル芳香族単量体単位を主体とすることが好ましく、ポリスチレンに由来する単量体単位を主体とすることがより好ましい。
また、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の低い軟化点の観点から、水添ブロック共重合体100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.0質量部以下がさらにより好ましい。
第二実施形態において、改質アスファルト組成物は、アスファルト100質量部に対し、上記で説明した水添ブロック共重合体1質量部以上20質量部以下を混合することにより製造することができる。
混合機としては、以下に限定されるものではないが、例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練機、垂直インペラ、サイドアーム型インペラ等の攪拌機、乳化機を含めたホモジナイザー、及びポンプが挙げられる。
本実施形態の改質アスファルト混合物は、上記で説明した、第二実施形態における改質アスファルト組成物と骨材とを含む。
骨材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等が挙げられる。また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材、及び再生骨材等も使用できる。
その他、これに類似する粒状材料、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用することができる。
本実施形態の改質アスファルト混合物においては、これら種々の粒径範囲の粗骨材の1種または2種以上を混合した骨材、あるいは、合成された骨材等を使用することができる。これらの粗骨材には、骨材に対して0.3〜1質量%程度のストレートアスファルトを被覆しておいてもよい。
これらの他、フィラーとしては、ゴム粉粒、コルク粉粒、木質粉粒、樹脂粉粒、繊維粉粒、パルプ、人工骨材等であっても、0.075mmふるいを通過するものであれば使用することができる。
混合方法は特に限定されず、従来公知の混合方法を適用することができる。
本実施形態の改質アスファルト混合物は、D.Whiteoakによって編集され、Shell Bitumen U.K.によって英国で1990年に発行されたThe Shell Bitumen Handbookに記載されている様々な用途に使用できる。
また、他の用途としては、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート(cold prepared asphaltic concrete)用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプライン及び鉄製部品のクラックの封着等が含まれる。
密粒度舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が5〜7質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が3〜5.5質量部であることが好ましい。
排水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が5〜10質量部であることが好ましい。
透水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が0超〜6質量部であることが好ましい。
密粒度ギャップ舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4.5〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が5〜12質量部であることが好ましい。
砕石マスチックアスファルト舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が5.5〜8質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態の水添ブロック共重合体の含有量が4〜10質量部であることが好ましい。
カラー舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、石油樹脂5〜7質量部、本実施形態における水添ブロック共重合体を4〜20質量部であることが好ましい。
また、半たわみ性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、空隙率が15〜20%程度であることが好ましく、空隙にセメント系モルタルが充填されていることが好ましい。
保水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が4〜10質量部であることが好ましい。
保水性舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、空隙率が15〜20%程度であることが好ましく、空隙にセメント系や石膏系等の保水材が充填されていることが好ましい。
薄層舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の合計量100質量部に対して、改質アスファルト組成物が4〜6.5質量部であることが好ましい。また、アスファルト100質量部に対して、本実施形態における水添ブロック共重合体の含有量が4〜8質量部であることが好ましい。
薄層舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、粗骨材が粒径範囲2.5〜5mmの7号砕石であることが好ましい。
(水添ブロック共重合体の平均ビニル含有量、及び共役ジエン単量体単位の水素添加率の測定)
水添ブロック共重合体中の平均ビニル含有量、及び共役ジエン単量体単位の水素添加率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
なお、水添ブロック共重合体における等質量である第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量の最大値をVH、最小値をVLとしたとき、Δビニル含有量=VH−VLとし、平均ビニル含有量は、上記第1〜第6領域のビニル含有量の平均値とした。
水素添加前のビニル含有量は赤外分光光度計(FT/IR−230:日本分光社製)を用いて測定した。
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
水添ブロック共重合体を使用し、メルトインデクサー(L247:TECHNOL SEVENCO.,LTD社製)を用い、JIS K7210に準じた方法により算出した。
なお、条件は試験温度が200℃、試験荷重が5.00kgfであり、測定値の単位はg/10分間とした。
一定量の水添ブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、溶解液中のビニル芳香族化合物成分(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度を測定した。得られたピーク強度から、検量線を用いてビニル芳香族単量体単位(スチレン)の含有量を算出した。
I.M.Kolthoff,et al., J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸法で、下記ポリマー分解用溶液を用いて、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量を測定した。
なおここで、「水添ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック」とは、水添ブロック共重合体に含まれている「共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)」中のビニル芳香族単量体単位のブロックは含まないものとし、「ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)」のことのみを意味する。
測定サンプル :水添ブロック共重合体を水素添加する前のブロック共重合体を含む反応液からの抜き取り品
ポリマー分解用溶液:四酸化オスミウム0.1gを第3級ブタノ−ル125mLに溶解した溶液
水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)は、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して、クロマトグラムのピークの分子量に基づいて求めた。測定ソフトは、HLC−8320EcoSEC収集を用い、解析ソフトは、HLC−8320解析を用いた。分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)として求めた。
測定条件を下記に示す。
GPC ;HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
検出器 ;RI
検出感度 ;3mV/分
サンプリングピッチ;600msec
カラム ;TSKgel superHZM−N(6mmI.D×15cm)4本(東ソー株式会社製)
溶媒 ;THF
流量 ;0.6mm/分
濃度 ;0.5mg/mL
カラム温度 ;40℃
注入量 ;20μL
水添ブロック共重合体の動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さを求めた。
装置としてはARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)のトーションタイプのジオメトリーを使用した。
測定用サンプル形状は、厚み2mm、幅10mm、長さ20mmとした。
測定条件は、ひずみ(初期歪み)0.5%、周波数1Hz、測定範囲−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件とした。
粘接着組成物及び粘接着性テープ製造用の水素添加ブロック共重合体(P1)〜(P4)を下記のようにして製造した。
(水素添加触媒の製造)
まず、水素添加触媒を下記のようにして製造した。
窒素置換した反応容器内に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させることにより、水素添加触媒を製造した。
ジャケット付き槽型反応器内に、所定量のシクロヘキサンを入れ、反応器内の温度を50℃に調整した。
その後、全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)100質量部に対して、n−ブチルリチウムが0.14質量部となるように、n−ブチルリチウムを反応器の底部から添加した。
さらに、n−ブチルリチウム1モルに対して、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが0.27モルとなるように、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液を添加した。
スチレンモノマーの供給を停止後、15分間反応を継続させた。
第1ステップ終了時の反応器の内温は55℃であった。
温度調整は実施せず反応熱により内温を上昇させた。
ブタジエンモノマーの供給を停止した後、10分間、反応器内の温度を50℃に調整しながら反応を継続させて、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体を得た。
第2ステップ終了時の反応器の内温は84℃であった。
重合の間、温度調整は実施せず反応熱により内温を上昇させた。
反応終了後に、水添ブロック共重合体(P1)100質量部に対して、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
水添ブロック共重合体(P1)の水素添加率は40モル%であり、MFR(200℃、5kgf)は2.0g/10分、ブタジエンブロック内におけるΔビニル含有量:(VH−VL)は5.0モル%であった。
(S−B):65質量%、Mw90000
(S−B)2−X:4質量%、Mw180000
(S−B)3−X:8質量%、Mw270000
(S−B)4−X:23質量%、Mw360000
(式中、Sは、スチレンブロックを示し、Bはブタジエンブロックを示し、Xは、カップリング剤の残基を示す。以下、同様とする。)であった。
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して、0.35モルとなるようにしたこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P2)を製造した。
(S−B):64質量%、Mw90000
(S−B)2−X:6質量%、Mw180000
(S−B)3−X:15質量%、Mw270000
(S−B)4−X:15質量%、Mw360000
であった。
全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)100質量部に対してn−ブチルリチウムを0.16質量部とし、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して0.40モルとなるようにし、1ステップ目〜3ステップ目の重合工程全体にわたって反応器内温が75℃になるように温度調整を実施したこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P3)を製造した。
(S−B):65質量%、Mw75000
(S−B)2−X:5質量%、Mw150000
(S−B)3−X:18質量%、Mw225000
(S−B)4−X:12質量%、Mw300000
であった。
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンがn−ブチルリチウム1モルに対して0.80モルとなるようにし、重合開始時の反応器の内温を45℃に設定したこと以外は、ブロック共重合体(P1)と同様の方法により、水添ブロック共重合体(P4)を製造した。
(S−B):64質量%、Mw90000
(S−B)2−X:7質量%、Mw180000
(S−B)3−X:21質量%、Mw270000
(S−B)4−X:8質量%、Mw360000
であった。
上述のようにして製造した水添ブロック共重合体(P1)〜(P4)を用いて、粘接着組成物を下記のようにして製造した。
上記水添ブロック共重合体(P1)〜(P4)のほか、下記材料を用いた。
ブロック重合体(SIS):Quintac3433N(日本ゼオン社製、ポリスチレンブロックの含有量16質量%、ジブロック含有量56質量%)
粘着付与樹脂(b1):Quintone R100(日本ゼオン株式会社製、C4〜C5の炭化水素留分の重合物99%以上、軟化点96℃、脂肪族系粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂(b2):アルコンM100(荒川化学工業社製、軟化点100℃、水添芳香族系粘着付与樹脂)
オイル(c1):ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産株式会社製、パラフィン系オイル)
オイル(c2):ダイアナプロセスオイルNS−90S(出光興産株式会社製、ナフテン系オイル)
酸化防止剤:Irganox1010(BASF社製、フェノール系酸化防止剤)
溶融させた粘接着組成物を室温まで冷却し、これをトルエンに溶かし、アプリケーターで、基材としての厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングした。
その後、室温で30分間、70℃のオーブンで7分間、トルエンを完全に蒸発させ、基材として厚さ50μmの透明PETフィルムに厚さ30μmの粘接着組成物のコーティングを有する、粘接着性テープを作製した。
実施例1〜5、並びに比較例1及び2の粘接着組成物の評価方法を以下に示す。
上記の「〔粘接着組成物の製造例〕」に記載の方法で、各材料を撹拌したとき、撹拌開始から全ての材料が均一に溶解した時間を目視で測定した。
撹拌時間が短い方が、粘接着組成物の製造性に優れることを示す。
良い方から順に◎、○、△、×とした。
溶解までの時間80分未満 :◎
80分以上90分未満 :○
90分以上110分未満 :△
110分以上 :×
J.Dow[Proc.Inst.Rub.Ind.,1.105(1954)]に準じ、傾斜30度のガラス板上の斜面に、上記「〔粘接着性テープの製造例〕」に記載の方法で製造し、長さ10cmにカットした粘接着性テープを、粘接着層面を上側にして貼り付けた。
粘接着性テープの上端から斜面に沿って上方10cmの位置より直径1/32インチから1インチまでの32種類の大きさのステンレス製ボールを初速度0で転がして、粘接着性テープ上で停止する最大径の球の大きさを測定した。
球の大きさに基づいて下記評価基準によりボールタック性を評価した。
評価は、粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが7/32インチより大きければ、粘接着組成物として実用上問題なく使用できると判断し、○とした。
粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが4/32インチより大きく7/32インチ未満の場合、△とした。
粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさが4/32インチ以下の場合、×とした。
7/32インチ<ボールサイズ :○
4/32インチ<ボールサイズ≦7/32インチ :△
ボールサイズ≦4/32インチ :×
JIS Z0237の引きはがし粘着力の測定の方法1:試験板に対する180°引きはがし粘着力の測定方法に準じて測定した。
まず、上記「〔粘接着性テープの製造例〕」のようにして製造した粘接着性テープを25mm幅にカットして、25mm幅の粘接着性テープ試料を作製した。
粘接着性テープ試料をステンレス板に貼り付け、引き剥がし速度300mm/minで180°剥離力を測定した。
得られた剥離力に基づいて下記の基準により粘接着組成物の粘着力を評価した。
評価は、良い順から◎、○、△、×とした。
△以上であれば粘接着組成物として実用上問題なく使用できると評価した。
剥離力(N/10mm)9以上:◎
8以上9未満:○
6以上8未満:△
6未満:×
上記「〔粘接着性テープの製造例〕」のようにして製造した粘接着性テープをカットして、25mm長×15mm幅の粘接着性テープ試料を作製した。
ステンレス板に粘着テープサンプルを貼り付け、ステンレス板を垂直にし、50℃において、垂直下方向に1kgの荷重を与えて粘着テープがずれ落ちるまでの時間を測定した。
下記の基準により粘接着剤組成物の粘着性保持力を評価した。
評価は、良い順から○、△、×とした。
△以上であれば粘接着剤組成物として実用上問題なく使用できる。
粘着性保持力(分)10分以上 :○
5分以上10分未満 :△
5分未満 :×
改質アスファルト組成物製造用の水添ブロック共重合体(P5)〜(P18)、水添ブロック共重合体(I)を下記のようにして製造した。
(水素添加触媒の製造)
まず、水素添加触媒を下記のようにして製造した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水素添加触媒を得た。
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を55℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.070質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部とし、水素添加率を変更した以外は、水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P6)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を11質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を58質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部とし、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P7)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を20質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P8)を製造した。
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を20質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P9)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を50質量部、スチレンモノマーの添加量を30質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P10)を製造した。
温度を50℃、n−ブチルリチウムの添加量を0.065質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を60質量部、スチレンモノマーの添加量を21質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P11)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を58質量部、スチレンモノマーの添加量を23質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P12)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を61質量部、スチレンモノマーの添加量を19質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第3ステップ後に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.95モルとなるように添加し、25分間反応させ、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P13)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10.5質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を29質量部、スチレンモノマーの添加量を10.5質量部、第2ステップの重合後、カップリング剤として、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して1モルを添加した。水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P14)を製造した。
また、水添ブロック共重合体(a)/(d)の含有量の質量比は、80/20であった。
なお、水添ブロック共重合体(a)とは、カップリング後の2分岐以上の構造を有する水添ブロック共重合体を意味する。
(d)とは、スチレンブロック(A)とスチレン/ブタジエン共重合体ブロック(B)からなる構造(カップリングする前の構造)のことを意味する。
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を13質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を57質量部、スチレンモノマーの添加量を17質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を13質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P15)を製造した。
n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を59質量部、スチレンモノマーの添加量を22質量部、モノマーの供給の終了10分後に、反応器の内温が60℃になる様に温度を調整し、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P16)を製造した。
温度を45℃に、n−ブチルリチウムの添加量を0.055質量部、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.55モルを添加した。第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を61質量部、スチレンモノマーの添加量を19質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P17)を製造した。
温度を第一ステップから第3ステップまで70℃一定に、n−ブチルリチウムの添加量を0.058質量部、第1ステップのスチレンモノマーの添加量を10質量部、第2ステップのブタジエンモノマーの添加量を59質量部、スチレンモノマーの添加量を22質量部、第3ステップのスチレンモノマーの添加量を9質量部、第3ステップ後に、水素添加率を変更する以外は水添ブロック共重合体(P5)と同様に重合し、水添ブロック共重合体(P18)を製造した。
ブロック共重合体(I)として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(Kraton社製D1101)を使用した。ブロック共重合体(I)のスチレン含有量は30質量%、ポリスチレンブロック含有量は29質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は0モル%、重量平均分子量は16万、tanδピーク温度は−75℃、そのtanδピーク高さは1.0、スチレン−ブタジエン共重合ブロック内におけるΔビニル含有量(VH−VL)は6.5モル%であった。
(アスファルト)
アスファルトとしては、下記2種のアスファルト(a1)、及び(a2)を用いた。
各アスファルトの組成は、石油学会の石油類試験関係規格のJPI−5S−70−10に準拠した測定法で分析した。
アスファルト(a1):針入度が80〜100であり、アスファルト組成が飽和分8.5質量%、芳香族分47.4質量%、レジン分20.8質量%、アスファルテン分23.3質量%である、ストレートアスファルト。
アスファルト(a2):針入度が60〜80であり、アスファルト組成が飽和分7.6質量%、芳香族分53.6質量%、レジン分20.0質量%、アスファルテン分18.8質量%である、ストレートアスファルト。
表5及び表6に示す種類のアスファルト400gを750mLの容器に入れ、容器を180℃のオイルバスに浸漬し、アスファルトを完全に溶融させた。
添加が終了したら、回転速度を3500rpmに上げ、1時間混練して、実施例5〜20、24、及び比較例3〜5、7、8の改質アスファルト組成物を得た。
得られた各改質アスファルト組成物の物性を表5及び表6に示す。
表5及び表6に示す種類のアスファルト400gを750mLの容器に入れ、容器を180℃のオイルバスに浸漬し、アスファルトを完全に溶融させた。
添加が終了したら、回転速度を3500rpmに上げ、1時間混練し、その後、硫黄を添加し、さらに1時間混練を実施して、実施例21〜23、及び比較例6の改質アスファルト組成物を得た。
得られた各改質アスファルト組成物の物性を表5及び表6に示す。
〔実施例5〜24、比較例3〜8〕
加熱装置を備える容量27リットルの混合機に、下表4に示す粒度の密粒度型の骨材94.5質量部を投入し、25秒間空練りを行った。
次いで、上記方法により製造した改質アスファルト組成物5.5質量部を上記混合機に投入し、50秒間本練りを行い、実施例5〜24及び比較例3〜8の改質アスファルト混合物を得た。
得られた改質アスファルト混合物は、密粒度型の改質アスファルト混合物であった。
なお、改質アスファルト混合物の総量は10kgとなるようにし、空練り、本練りとも混合温度は177℃に調整した。
使用した骨材は、栃木県下都賀郡岩舟町から産出された砕石及び砕砂、千葉県印旛郡栄町から産出された細砂、並びに栃木県佐野市山菅町から産出された石粉の混合物であった。
改質アスファルト混合物に使用した骨材の粒度分布を下記表4に示す。
改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物に関する評価方法は、以下のとおりである。
上記の「〔改質アスファルト組成物の製造例〕」に基づいて改質アスファルト組成物を製造する際の、水添ブロック共重合体の平均粒子径を測定することにより、アスファルトと水添ブロック共重合体の相容性を評価した。平均粒子径は、デジタルマイクロスコープによる透過光を用いて、以下のように観察した。なお、測定装置、測定条件は以下の通りとした。
・測定装置:KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHX−2000
・測定条件
測定温度: 25℃
倍率: 1000倍
測定モード: 透過光
サンプル調整方法:撹拌中の改質アスファルト組成物から、15分おきに、改質アスファルト組成物10mgをスライドガラス上に採取し、180℃に熱したホットプレート上で20秒静置させ、溶融させた。その後、溶融した改質アスファルト組成物上にカバーガラスを載せて薄く延ばした。室温で30分間放置した後、デジタルマイクロスコープで観察を実施した。撹拌開始から、分散粒子径が10μmになった時点での製造時間を測定した。製造時間が短いほど相容性に優れることを示す。良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
0.5時間以内 :◎
0.5時間を超え1.0時間以内 :○
1.0時間を超え2.0時間以内 :△
2.0時間を超える :×
JIS−K2207に準じて、上記の改質アスファルト組成物の製造例により製造した改質アスファルト組成物の伸度を測定した。定型の改質アスファルト組成物試料を、5℃の水中で、5℃/minの速度で引っ張り、試料が破断するまでの長さ(cm)を測定した。破断するまでの長さ(cm)が長い方が、低温性能が高いことを示す。良い順から◎、○、△、×とした。
30cm以上 :◎
20cm以上 :○
15cm以上 :△
15cm未満 :×
上記の改質アスファルト組成物の製造例により製造した改質アスファルト組成物を試験体とし、180℃に設定したギアオーブン内に7日間静置した。
ギアオーブン内で静置する前後における140℃でのブルックフィールド型溶融粘度を測定し、その変化割合(ギアオーブンで静置後の140℃溶融粘度/ギアオーブンで静置前の140℃溶融粘度)を求めた。
ブルックフィールド型溶融粘度の変化幅が小さいほど、熱劣化による分子の切断(粘度低下)及びゲル化(粘度上昇)が少なく、耐熱性に優れることを示す。
良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
0.9以上1.3以下 : ◎
0.8以上0.9未満、又は1.3より大きく1.4以下 : ○
0.7以上0.8未満、又は1.4より大きく1.5以下 : △
0.7未満、又は1.5より大きい : ×
上記の改質アスファルト混合物の製造例により製造した改質アスファルト混合物を試験体とし、試験法便覧B003に準じて実施した。
所定の寸法の試験体上に、載荷した小型のゴム車輪を規定温度、規定時間、規定速度で繰り返し往復走行させ、単位時間あたりの変形量から動的安定度(回/mm)を求めた。
動的安定度が高いほど耐流動性に優れることを示す。
良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
20000回/mm以上 : ◎
20000回/mm未満15000回/mm以上 : ○
15000回/mm未満8000回/mm以上 : △
8000回/mm未満 : ×
本発明の粘接着組成物は、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤、シーリング剤、塗料の塗り替え作業時のマスキング剤、及び衛生用品の材料として産業上の利用可能性がある。
本発明の改質アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物は、道路、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプライン及び鉄製部品のクラックの封着の分野における材料として産業上の利用可能性がある。
Claims (16)
- ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを有する水添ブロック共重合体であって、
前記重合体ブロック(B)内において、重合開始末端側から順に各々等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、当該第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量のうち最大値をVH、最小値をVLとしたとき、VH−VL=5モル%以上30モル%以下である、水添ブロック共重合体。 - 前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として95モル%以下である、請求項1に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体の水素添加率が、前記共役ジエン単量体単位の全モル数を基準として10モル%以上である、請求項1又は2に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以上60質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする一つの重合体ブロック(B1)とを有する水添ブロック共重合体(d1)を含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体100質量%を基準として、前記水添ブロック共重合体(d1)を20質量%以上90質量%以下含有する、請求項5に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体が、ラジアル構造を有する水添ブロック共重合体(r1)を含有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体100質量部と、
粘着付与樹脂20質量部以上400質量部以下と、
を、含有する、粘接着組成物。 - 請求項8に記載の粘接着組成物を含有する、粘接着性テープ。
- 請求項8に記載の粘接着組成物を含有する、ラベル。
- 前記水添ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む共重合体ブロック(B2)とを有する水添ブロック共重合体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が10万〜50万である、請求項11に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、請求項11又は12に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
前記水添ブロック共重合体の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さの値が0.7を超えて1.6以下である、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体。 - アスファルト100質量部に対し、
請求項1乃至4、及び請求項11乃至14のいずれか一項に記載の水添ブロック共重合体1質量部以上20重量部以下を含有する、改質アスファルト組成物。 - 請求項15に記載の改質アスファルト組成物と、骨材とを含む、改質アスファルト混合物。
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