JP2021138920A - ブロック共重合体、アスファルト組成物、及び改質アスファルト混合物 - Google Patents

ブロック共重合体、アスファルト組成物、及び改質アスファルト混合物 Download PDF

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Abstract

【課題】高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、伸長回復性、相容性、高膨潤率性に優れるアスファルト組成物に用いるブロック共重合体を提供する。【解決手段】ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)と、を含有し、(1)〜(6)であるブロック共重合体(P)。(1)ビニル芳香族単量体単位の質量割合TSが20〜45質量%、(2)前記(a)の質量割合BSが15〜35質量%、(3)5質量%トルエン溶液粘度が5〜40mPa・s、(4)窒素含有量が20〜1000ppm、(5)前記(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該(C)の質量割合が50〜100質量%、及び(6)下記式による重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)が3〜23質量%、RS=(TS−BS)/(100−BS)×100【選択図】なし

Description

本発明は、ブロック共重合体、アスファルト組成物、及び改質アスファルト混合物に関する。
ブロック共重合体は、アスファルト組成物に広く利用されている。
アスファルト組成物の技術分野においては、道路舗装、遮音シート、アスファルトルーフィング等の各種用途に応じた性能を付加するため、改質剤として種々のブロック共重合体を添加したアスファルト組成物が広く利用されている。
このような改質剤としてのブロック共重合体としては、例えば、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含有するブロック共重合体が利用されている。
具体的には、特定の構造を有するブロック共重合体を添加して、アスファルトの諸特性を改良する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平9−12898号公報 特開平9−302234号公報 特開2004−59781号公報 特開2006−160886号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているアスファルト組成物は、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性のバランスが未だ実用上不十分であり、更なる改善が望まれている。また、特許文献1〜3には、改質アスファルト混合物に関しての記載はない。
さらに、特許文献4に開示されているブロック共重合体の製造工程は、重合工程と水添工程とを含んでおり工程が複雑であり、また、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、低粘度性、及び経済性の特性バランスが未だ実用上不十分である、という問題点を有している。
そこで本発明においては、ブロック共重合体とアスファルトを含有するアスファスト組成物であって、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、伸長回復性、相容性、高膨潤率性に優れるアスファルト組成物、及び当該アスファルト組成物に用いるブロック共重合体を提供すること、さらには前記アスファルト組成物を用いた改質アスファルト混合物であって、動的安定性に優れる改質アスファルト混合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討をした結果、特定の分子構造を有するブロック共重合体を用いることにより、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、伸長回復性、相容性、高膨潤率性に優れるアスファルト組成物を得ることができることを見出し、また、前記のアスファルト組成物を用いることで、動的安定性に優れる改質アスファルト混合物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)と、を含有し、
次の特性(1)〜(6)を有する、ブロック共重合体(P)。
(1)ビニル芳香族単量体単位の質量割合(TS)が、20質量%以上45質量%以下である。
(2)下記式(I)により算出される重合体ブロック(a)の質量割合(BS)が15質量%以上35質量%以下である。
重合体ブロック(a)の質量割合(BS)(質量%)=(重合体ブロック(a)成分の質量/ブロック共重合体(P)の質量)×100 (I)
(3)5質量%トルエン溶液粘度が5mPa・s以上40mPa・s以下である。
(4)窒素含有量が20ppm以上1000ppm以下である。
(5)重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該ブロック共重合体(C)の質量割合が50質量%以上100質量%以下である。
(6)下記式(II)で計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)が、3質量%以上23質量%以下である。
RS=(TS−BS)/(100−BS)×100・・・(II)
〔2〕
5質量%トルエン溶液粘度が5mPa・s以上30mPa・s以下である、前記〔1〕に記載のブロック共重合体(P)
〔3〕
ケイ素含有量が50ppm以上300ppm以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のブロック共重合体(P)。
〔4〕
共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量が5質量%以上15質量%以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)。
〔5〕
重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該ブロック共重合体(C)の質量割合が50質量%以上90質量%以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)。
〔6〕
前記ブロック共重合体(P)のGPC測定により得られたピーク波形が2山以上有し、ポリスチレン換算ピーク分子量が13万以下に山を有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)。
〔7〕
損失正接(tanδ)ピーク温度が−85℃以上−60℃以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)。
〔8〕
アミノ基及び/又はアルコキシシリル基を有する、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)。
〔9〕
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のブロック共重合体(P)を0.5質量部以上30質量部以下と、
アスファルト100質量部と、
を、含有するアスファルト組成物。
〔10〕
下記式(III)により算出されるアスファルト組成物中のブロック共重合体(P)の膨潤率Sが4以上である、前記〔9〕に記載のアスファルト組成物。
ブロック共重合体の膨潤率(S)=F(%)/E(質量%)・・・(III)
(式(III)中、Eはブロック共重合体(P)の質量割合、Fはブロック共重合体(P)リッチ相の面積割合を示す。)
〔11〕
前記〔9〕又は〔10〕に記載のアスファルト組成物を3質量部以上15質量部以下と、
骨材を100質量部と、
を、含有する改質アスファルト混合物。
本発明によれば、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、伸長回復性、相容性、高膨潤率性に優れるアスファルト組成物及び当該アスファルト組成物に用いるブロック共重合体を提供することができる。また、前記アスファルト組成物を用いた、動的安定性に優れる改質アスファルト混合物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明する。
本発明は以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本明細書中、「単量体単位」とは、ブロック共重合体を構成する構成単位をいい、「単量体」とは、ブロック共重合体を構成する材料をいう。
また、本明細書中、「主体とする」とは、重合体ブロック(a)もしくは重合体ブロック(b)中、所定の単量体単位の含有量が70質量%以上であることをいう。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)は、ビニル芳香族単量体単位の含有量が70質量%以上であればよく、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
なお、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)は、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位の総含有量が、重合体ブロック(b)中において主体となるものであり、当該総含有量が、70質量%以上であればよく、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
また、本明細書中、「高軟化点性」とは、アスファルト組成物の軟化点が高い性質をいう。
「高伸度性」とは、アスファルト組成物の伸度が高い性質をいう。
「耐熱安定性」とは、例えば、アスファルト組成物を高温条件下で長期間(例えば、1週間程度)貯蔵した時の耐熱性が高い性質をいう。
「伸長回復性」とは、アスファルト組成物を伸長したあとに伸長する前の形状に戻ろうとする性質をいう。
「低溶融粘度性」とは、アスファルト組成物の溶融粘度が低い性質をいう。
「動的安定性」とは、アスファルト組成物を骨材と混合して得られる改質アスファルト混合物に応力を掛けた際に変形が起こりにくい性質をいう。
「耐曲げ疲労性」とはアスファルト組成物を骨材と混合して得られる改質アスファルト混合物に、一定のひずみを一定の周波数で繰り返しかけた際に破損が起こりにくい性質をいう。
「相容性」とは、アスファルトとブロック共重合体との相容性をいう。
「高膨潤率性」とはアスファルト組成物中のブロック共重合体の質量割合に対する、前記アスファルト組成物中のブロック共重合体リッチ相の面積割合の比として計算される膨潤率が大きいことをいう。
〔ブロック共重合体(P)〕
本実施形態のブロック共重合体(P)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)とを含有し、下記の特性(1)〜(6)を有する。
(1)ビニル芳香族単量体単位の質量割合(TS)が、20質量%以上45質量%以下である。
(2)下記式(I)により算出される重合体ブロック(a)の質量割合(BS)が15質量%以上35質量%以下である。
重合体ブロック(a)の質量割合BS(質量%)
=(重合体ブロック(a)成分の質量/ブロック共重合体(P)の質量)×100 (I)
(3)5質量%トルエン溶液粘度が5mPa・s以上40mPa・s以下である。
(4)窒素含有量が20ppm以上1000ppm以下である。
(5)重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該ブロック共重合体(C)の質量割合が50質量%以上100質量%以下である。
(6)下記式(II)で計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)が3質量%以上23質量%以下である。
RS=(TS−BS)/(100−BS)×100・・・(II)
上記構成のブロック共重合体(P)を用いることにより、高軟化点性、高伸度性、耐熱安定性、伸長回復性、相容性、高膨潤率性に優れるアスファルト組成物を提供することができる。
(重合体ブロック(a))
本実施形態のブロック共重合体(P)に含まれる重合体ブロック(a)は、ビニル芳香
族単量体を主体とするブロックである。
ビニル芳香族単量体単位としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンに由来するビニル芳香族単量体単位が挙げられる。これらの中でも製造が容易である観点から、スチレンに由来するビニル芳香族単量体単位が好ましい。ビニル芳香族単量体単位は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のブロック共重合体(P)における重合体ブロック(a)の質量割合(BS)は、ブロック共重合体(P)全体に対して15質量%以上35質量%以下である。高軟化点性がより一層優れる観点から、15質量%以上であり、18質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。一方、相容性がより一層優れる観点から、35質量%以下であり、33質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、28質量%以下がさらに好ましい。
重合体ブロック(a)の質量割合(BS)は、例えば、四酸化オスミウムを触媒として重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et.al,J.Polym.Sci.1,p.429(1946)に記載の方法)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の質量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体ブロック成分は除かれている)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
重合体ブロック(a)の質量割合(BS)(質量%)
=(重合体ブロック(a)成分の質量/ブロック共重合体(P)の質量)×100 (I)
(重合体ブロック(b))
本実施形態のブロック共重合体(P)に含まれる重合体ブロック(b)は、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含み、これら共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位の総含有量を主体とする。
共役ジエン単量体単位としては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエンに由来する共役ジエン単量体単位が挙げられる。これらの中でも、機械強度が優れ、低コストである観点から、1,3−ブタジエン及びイソプレンに由来する共役ジエン単量体単位が好ましく、1,3−ブタジエンに由来する共役ジエン単量体単位がより好ましい。共役ジエン単量体単位は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のブロック共重合体(P)における共役ジエン単量体単位は、例えば、1,2−結合及び/又は3,4−結合に由来する共役ジエン単量体単位と、1,4−結合に由来する共役ジエン単量体単位とからなる。
本明細書でいう「1,2−結合及び/又は3,4−結合に由来する共役ジエン単量体単位」とは、共役ジエン化合物が1,2−結合及び/又は3,4−結合で重合した結果生じる共役ジエン化合物1個当たりの単位である。また「1,4−結合に由来する共役ジエン単量体単位」とは、共役ジエン化合物が1,4−結合で重合した結果生じる共役ジエン化合物1個当たりの単位である。
本実施形態において、ブロック共重合体(P)中の共役ジエン単量体単位の総含有量に対する、1,2−結合及び/又は3,4−結合に由来する共役ジエン単量体単位の含有量(以下、「ビニル結合量」ともいう)、すなわち共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量は、5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のブロック共重合体(P)のビニル結合量は、本実施形態のアスファルト組成物が、優れた耐熱安定性を有する観点から15質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましく、11質量%以下がさらにより好ましい。
一方、一般的な重合方法によれば、容易に製造できる観点から、ビニル結合量が好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上であり、さらに好ましくは9質量%以上である。
なお、ビニル結合量は、NMRにより測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定できる。
またビニル結合量は重合時の温度、極性添加剤の添加量を調整することにより制御できる。具体的には重合時の温度が高いとビニル結合量は低くなる傾向にあり、重合時の温度が低いとビニル結合量は高くなる傾向にあり、極性添加剤の添加量が多いとビニル結合量は高くなる傾向にあり、極性添加剤の添加量が少ない、もしくは添加しないとビニル結合量は低くなる傾向にある。
本実施形態において、重合体ブロック(b)とは、ビニル芳香族単量体及び共役ジエン
単量体を含むブロックである。
下記式(II)により計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)は、3質量%以上23質量%以下である。
本実施形態において、下記式(II)により計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)は、高軟化点性、伸長回復性がより一層優れる観点から、3質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。
また、伸長回復性、相容性、膨潤率がより一層優れる観点から23質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましい。
重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)は、下記式(II)により求めることができ、ブロック共重合体(P)全体に対するビニル芳香族単量体単位の質量割合(TS)から、重合体ブロック(a)の質量割合(BS)を減じて、この値を、ブロック共重合体(P)に対する重合体ブロック(b)の質量割合(100−BS)で除して求めることができる。
重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)(質量%)
=(TS−BS)/(100−BS)×100 (II)
本実施形態のブロック共重合体(P)とアスファルトとの相容性が向上することで、アスファルト組成物の各物性が向上する傾向にある。一般に、アスファルト中の成分は芳香族成分を多く含んでいるため、ビニル芳香族単量体成分を増やせば相容性を向上し得るが、単純に前記重合体ブロック(a)の質量割合(BS)を増やすと、軟化点は向上するが相容性は悪化する傾向にある。そこで、共役ジエン単量体ブロックの部分をビニル芳香族単量体との共重合体にすることで、相容性を確保しつつ、アスファルト組成物の各物性向上を達成できる。具体的には、本実施形態のブロック共重合体(P)が共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)を含有することにより、アスファルトとの相容性が向上する傾向にある。アスファルトに含まれる芳香族成分と、ブロック共重合体(P)のビニル芳香族単量体単位が相互作用することにより相容性の向上に寄与するものと考えられる。相容性が向上することにより、本実施形態のアスファルト組成物はゴム的な性能が発現しやすく、改質アスファルト混合物にした時の動的安定性が優れる傾向にある。
一方、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体の含有量が多いと高伸度性に劣るものとなる傾向にある。
よって、本実施形態のブロック共重合体(P)は、アスファルトとの相容性、アスファルト組成物の高伸度性のバランスの観点から、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)は、3質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。また、23質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましい。
重合体ブロック(b)は、ランダムブロックであることが好ましい。ここで「ランダム」とは、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の連続数が10個以下である状態をいう。
本実施形態のブロック共重合体(P)における重合体ブロック(b)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の下限値は、特に限定されないが、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位総含有量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、さらにより好ましくは90質量%以上である。また、重合体ブロック(b)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量の上限値は、特に限定されないが、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位総含有量100質量%に対して、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下である。重合体ブロック(b)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が上記範囲内であることにより、ブロック共重合体とアスファルトとの相容性、伸度及び耐熱安定性がより一層向上する傾向にある。
ここで、「短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分」とは、重合体ブロック(b)中の1〜6個のビニル芳香族単量体単位からなる成分である。そして、短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量は、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位総含有量を100質量%とし、その中で1〜6個繋がったビニル芳香族単量体単位からなる成分の含有量として求められる。
また、2個繋がったビニル芳香族単量体単位からなる成分の含有量は、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位総含有量100質量%に対して、好ましくは10質量%以上45質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上42質量%以下であり、さらに好ましくは19質量%以上36質量%以下である。2個繋がったビニル芳香族単量体単位からなる成分の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のブロック共重合体(P)とアスファルトとの相容性、伸度及び耐熱安定性がより一層向上する傾向にある。
さらに、3個繋がったビニル芳香族単量体単位からなる成分の含有量は、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位総含有量100質量%に対して、好ましくは45質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは45質量%以上75質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以上65質量%以下である。3個繋がったビニル芳香族単量体単位からなる成分の含有量が上記範囲内であることにより、本実施形態のブロック共重合体(P)とアスファルトとの相容性、伸度及び耐熱安定性がより一層向上する傾向にある。
共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)において、重合開始末端側から順に等質量となるよう第1領域〜第6領域とし、第1領域〜第6領域の水素添加前のビニル含有量(ビニル結合量)を、それぞれV1〜V6としたとき、ビニル含有量(ビニル結合量)の分布は、特に限定されず、一定でもよく、テーパー状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
なお、重合途中で極性化合物を添加したり、重合温度をコントロールしたりすることより、ビニル分布をテーパー状、凸状、凹状に制御することができる。
テーパー状の分布とは、V6>V5>V4>V3>V2>V1、もしくはV6<V5<V4<V3<V2<V1を満たす分布をいう。凸状の分布とは、V6及びV1がV5及びV2よりも小さく、V5及びV2がV4及びV3よりも小さくなる分布をいう。凹状の分布とは、V6及びV1がV5及びV2よりも大きく、V5及びV2がV4及びV3よりも大きくなる分布をいう。
(ブロック共重合体(P)中のビニル芳香族単量体単位の含有量)
本実施形態のブロック共重合体(P)において、ビニル芳香族単量体単位の質量割合(TS)は、ブロック共重合体(P)全体に対して20質量%以上45質量%以下である。高軟化点性がより一層優れる観点から20質量%以上であり、24質量%以上がより好ましく、28質量%以上がさらに好ましい。一方、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、アスファルト組成物がより一層高い針入度及び低溶融粘度性、相容性を有する観点から、45質量%以下であり、42質量%以下がより好ましく、38質量%以下がさらに好ましい。なお、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)中や、ビニル芳香族単量体単位を含有する場合の重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。
重合体ブロック(a)及び/又は(b)中に、結晶部が存在していてもよい。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)中には、ビニル芳香族単量体単位の含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、動的安定性が優れる観点から、窒素原子を含有する官能基を含有することが好ましい。前記官能基としては、以下に限定されないが、例えば、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)には、これらの官能基が付加されていることが好ましく、付加方法としては、以下に限定されないが、例えば、ブロック共重合体を構成する単量体に、これらの官能基を有する単量体を用いる方法、ブロック共重合体を構成する単量体単位と、これらの官能基を有する重合開始剤、カップリング剤、又は停止剤の残基とを結合する方法等が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、窒素含有量が20〜1000ppmであり、動的安定性がより優れる観点から20ppm以上であり、40ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましく、80ppm以上がさらに好ましく、100ppm以上がさらにより好ましい。一方で経済性の観点から1000ppm以下であり、800ppm以下が好ましく、700ppm以下がより好ましく、600ppm以下がさらに好ましい。
本実施形態のブロック共重合体(P)中の窒素含有量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のブロック共重合体(P)中の窒素含有量は、重合工程において、窒素含有基を有する重合開始剤、単量体、カップリング剤、重合停止剤の添加量を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。窒素含有基を有する重合開始剤、単量体、カップリング剤、重合停止剤としては、特に限定されないが、後述する重合開始剤、単量体、カップリング剤、重合停止剤が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)が、窒素含有基を有することにより、アスファルトとの相容性が向上し、また改質アスファルト混合物にした時の動的安定性が向上する傾向にある。
本実施形態のブロック共重合体(P)に含まれる窒素含有基と、アスファルトに含まれる成分中の極性基との水素結合等の相互作用が、相容性向上に寄与していると考えられる。また、ブロック共重合体(P)に含まれる窒素含有基と、改質アスファルト混合物に含まれる骨材の表面のシラノール基との水素結合等の相互作用により、動的安定性が向上すると考えられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、動的安定性が優れる観点から、ケイ素原子を含有する官能基を含有することが好ましい。前記官能基としては、以下に限定されないが、例えば、シラノール基、アルコキシシリル基、カルビルシリル基、シロキサン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)には、これらの官能基が付加されていることが好ましく、付加方法としては、以下に限定されないが、例えば、ブロック共重合体を構成する単量体に、これらの官能基を有する単量体を用いる方法、ブロック共重合体を構成する単量体単位と、これらの官能基を有する重合開始剤、カップリング剤、又は停止剤の残基とを結合する方法等が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、ケイ素含有量が50〜300ppmであることが好ましい。動的安定性がより優れる観点から、50ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましく、80ppm以上がさらに好ましく、100ppm以上がさらにより好ましい。一方で経済性の観点から300ppm以下が好ましく、270ppm以下がより好ましく、240ppm以下がさらに好ましく、200ppm以下がさらにより好ましい。ブロック共重合体(P)中のケイ素含有量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる
本実施形態のブロック共重合体(P)中のケイ素含有量は、重合工程において、ケイ素含有基を有するカップリング剤の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。ケイ素含有基を有するカップリング剤としては、特に限定されないが、後述するカップリング剤が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、ケイ素原子を含有する官能基を含有することがより好ましい。本実施形態のブロック共重合体(P)が窒素含有基とケイ素含有基を有することにより、改質アスファルト混合物にした時の動的安定性が更に向上する傾向にある。改質アスファルト混合物に含まれる骨材の表面のシラノール基とケイ素原子を含有する官能基が共有結合を形成することにより、動的安定性が向上すると考えられる。
(ブロック共重合体(P)の構造)
本実施形態のブロック共重合体(P)は、下記の式(i)〜(vii)からなる群より選ばれる少なくとも一つのブロック共重合体を含有することが好ましい。
a−b ・・・(i)
(a−b)n+1 ・・・(ii)
b−(a−b)n ・・・(iii)
a−(b−a)n ・・・(iv)
a−(b−a)n−X ・・・(v)
[(a−b)km−X ・・・(vi)
[(a−b)k−a]m−X ・・・(vii)
上記式(i)〜(vii)中、aは、前記重合体ブロック(a)を示し、bは、前記重合体ブロック(b)を示し、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、mは2〜6の整数であり、n及びkはそれぞれ独立して1〜4の整数である。式(i)〜(vii)中のm、n及びkの値は同じであっても異なっていてもよい。
ブロック共重合体(P)中にa及びbが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(v)〜(vii)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。ブロックの分子量制御の観点から、Xはカップリング剤の残基であることが好ましい。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を、質量割合で50質量%以上100質量%以下含有する。
高軟化点性、伸長回復性、及び高伸度性がより一層優れる観点から50質量%以上であり、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がさらにより好ましい。
また、低溶融粘度性の観点から、100質量%以下であり、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)の質量割合は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)の含有量は、ブロック共重合体(P)の構造、具体的には、前記(i)〜(vii)に示す構造に応じて、ブロック共重合体(P)の重合工程における単量体の添加方法を調整することや、これに加えて、カップリング剤の添加量を調整すること、及び多官能有機リチウム等の重合開始剤を適宜選択的に使用したり、これらの添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
カップリング剤としては、後述するブロック共重合体の製造方法において例示するカップリング剤が挙げられる。
なお、各重合体ブロック(a)、(b)の境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
重合開始剤及び重合停止剤としては、後述するブロック共重合体の製造方法において例示するカップリング剤が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)は、高軟化点性と低溶融粘度性のバランスの観点から、カップリング反応による分岐成分を含むことが好ましい。
分岐成分とは、多官能カップリング剤によりカップリング反応して得られるブロック共重合体成分をいう。
カップリング反応前のブロック共重合体を1分岐とし、カップリング反応前のブロック共重合体が2分子含まれる場合を2分岐、3分子含まれる場合を3分岐、以下同様と定義する。
ただしカップリング反応を行わずに得られるブロック共重合体は2分岐と定義する。
軟化点、低溶融粘度性、及び製造性の観点より、本実施形態のブロック共重合体(P)は、2分岐以上8分岐以下の分岐成分を含むことが好ましく、2分岐以上6分岐以下の分岐成分を含むことがより好ましく、2分岐以上4分岐以下の分岐成分を含むことがさらに好ましい。
カップリング反応前のブロック共重合体を(S)とした時、(S)/(2分岐以上4分岐以下の分岐成分)の比率は、高軟化点性と低溶融粘度性のバランスの観点から、10〜50/90〜50が好ましく、10〜45/90〜55がより好ましく、10〜40/90〜60がさらに好ましく、10〜35/90〜65がさらにより好ましい。
さらに、2分岐成分、3分岐成分、4分岐成分の質量割合は、高軟化点性に優れる観点から4分岐成分の質量割合を大きくすることが好ましい。一方、低溶融粘度性に優れる観点から2分岐成分の質量割合を大きくすることが好ましい。さらにまた、高軟化点性と低溶融粘度性のバランスに優れる観点から3分岐成分の質量割合を大きくすることが好ましい。
(ブロック共重合体(P)の物性)
<損失正接ピークトップ、ピーク温度>
ブロック共重合体(P)は、動的粘弾性のスペクトルにおいて、−85℃以上−60℃以下の範囲に損失正接(tanδ)のピークトップ(ピーク高さ)を有し、前記ピークトップ(ピーク高さ)の値が0.6以上2.0以下であることが好ましい。ピークトップ(ピーク高さ)が上記範囲内にあると、高軟化点性、高伸度性に優れる傾向にある。
アスファルト組成物の高軟化点性及び伸度がより一層バランスよく向上する観点から、ピークトップ(ピーク高さ)の値は、0.65以上1.6以下がより好ましく、0.7以上1.5以下がさらに好ましく、0.75以上1.4以下がさらにより好ましい。
ピークトップ(ピーク高さ)の値は、本実施形態のブロック共重合体(P)における重合体ブロック(b)中のビニル結合量の分布及び重合体ブロック(b)中の短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量を調整することにより上記範囲に制御できる。
例えば、重合体ブロック(b)中のビニル結合量の分布が一定であるとピークトップ(ピーク高さ)は高くなる傾向にあり、テーパー状、凸状、あるいは凹状であるとピークトップ(ピーク高さ)は低くなる傾向にあり、短連鎖ビニル芳香族単量体重合部分の含有量が多いとピークトップ(ピーク高さ)は高くなる傾向にあり、低いとピークトップ(ピーク高さ)は低くなる傾向にある。
また、アスファルト組成物の高軟化点性、高伸度性の観点から、本実施形態のブロック共重合体(P)は、損失正接(tanδ)のピーク温度の範囲が、−85℃以上−60℃以下であることが好ましく、より好ましくは−82℃以上−65℃以下であり、さらに好ましくは−80℃以上−70℃以下である。
上記、損失正接(tanδ)のピーク高さ及びピーク温度は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
損失正接(tanδ)のピーク温度は、例えば、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位との含有量の比率、共役ジエン単量体単位のミクロ構造等を調整することにより、−85℃以上−60℃以下の範囲に損失正接(tanδ)のピークトップ(ピーク高さ)を有するように制御できる。
例えば、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の比率を上げると損失正接(tanδ)のピークトップは高温側に有するものとなる傾向にあり、ビニル芳香族単量体単位の比率を下げると損失正接(tanδ)のピークトップは低温側に有するものとなる傾向にあり、重合体ブロック(b)中のビニル結合量を上げると損失正接(tanδ)のピークトップは高温側に有するものとなる傾向にあり、ビニル結合量を下げると損失正接(tanδ)のピークトップは低温側に有するものとなる傾向にある。
<5質量%トルエン溶液粘度>
本実施形態のブロック共重合体(P)は、5質量%トルエン溶液粘度が、5mPa・s以上40mPa・s以下である。
高軟化点性・伸長回復性がより一層優れる観点から5mPa・s以上であり、6mPa・s以上が好ましく、7mPa・s以上がより好ましく、8mPa・s以上がさらに好ましい。
一方で相溶性が優れる観点から40mPa・s以下であり、38mPa・s以下が好ましく、35mPa・s以下がより好ましく、33mPa・s以下がさらに好ましい。
また、相溶性と軟化点のバランスに優れる観点から、30mPa・s以下が好ましく、27mPa・s以下がより好ましく、24mPa・s以下がさらに好ましく、20mPa・s以下がさらにより好ましい。
5質量%トルエン溶液粘度は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のブロック共重合体(P)の5質量%トルエン溶液粘度は、ブロック共重合体(P)の分子量、分子量分布を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。なお、ブロック共重合体(P)の分子量は、重合工程における単量体と重合開始剤の添加量を調整することで制御でき、ブロック共重合体(P)の分子量分布は、カップリング剤や、多官能有機リチウム等の重合開始剤を適宜選択的に使用したり、これらの添加量を調整したりすることで制御できる。
例えば、5質量%トルエン溶液粘度を上げることは、ブロック共重合体(P)の重量平均分子量を上げることにより達成できる。より具体的には、単量体に対する重合開始剤の量を減らしたり、より多価の多官能開始剤を用いたり、より多価のカップリング剤を用いることにより達成できる。
一方、5質量%トルエン溶液粘度を下げることは、ブロック共重合体(P)の重量平均分子量を下げることにより達成できる。より具体的には、単量体に対する重合開始剤の量を増やしたり、単官能開始剤や、価数の低い多官能開始剤を用いたり、単官能の変性剤や、価数の低いカップリング剤を用いることにより達成できる。
<分子量分布>
本実施形態において、ブロック共重合体(P)の分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)の下限値は、アスファルトに添加するブロック共重合体(P)の添加量を低減するとともに、低溶融粘度性をより一層優れたものとする観点から、1.03以上が好ましく、1.05以上がより好ましく、1.11以上がさらに好ましく、1.20以上がよりさらに好ましい。
また、アスファルト組成物が製造性に優れたものとし、アスファルトに添加するブロック共重合体(P)の添加量を低減し、さらには低溶融粘度性により一層優れたものとする観点から、ブロック共重合体(P)の分子量分布(Mw/Mn)の上限値は、2.0以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましく、1.3以下が特に好ましい。重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
<ブロック共重合体(P)のGPC測定により得られるピーク波形>
本実施形態のブロック共重合体(P)は、低溶融粘度性と高軟化点性のバランスに優れる観点から、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により得られるピーク波形が2山以上有し、ポリスチレン換算ピーク分子量が13万以下に山を有するものであることが好ましい。
より好ましくは、前記ピーク波形が2山以上有し、ピーク分子量が12万以下に山を有するものであるものであり、さらに好ましくは、前記ピーク波形が3山以上有し、ピーク分子量が12万以下に山を有するものである。
GPC測定は、後述する実施例に記載する方法により実施することができる。
このようなGPC測定によるピーク波形のブロック共重合体(P)は、重合工程における単量体と重合開始剤の添加量を調整したり、単官能カップリング剤、多官能カップリング剤、多官能有機リチウム等の重合開始剤を適宜選択的に使用したり、これらの添加量を調整したりすることにより得ることができる。
〔アスファルト組成物〕
本実施形態のアスファルト組成物は、上述した本実施形態のブロック共重合体(P)を0.5質量部以上30質量部以下と、アスファルトを100質量部含有する。
(アスファルト)
本実施形態のアスファルト組成物は、アスファルトを含有する。
アスファルトとしては、以下に限定されないが、例えば、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、又は天然の産出物(天然アスファルト)として得られるアスファルト、又はこれらのアスファルトと石油類とを混合した混合物等が挙げられる。
アスファルトは、通常、瀝青(ビチューメン)を主成分に含むことが多い。
アスファルトとしては、以下に限定されないが、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤等が挙げられる。
これらの中でも、入手性の観点から、アスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましい。
これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルあるいはエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
アスファルトは、針入度(JIS−K2207によって測定)が30以上300以下であることが好ましく、より好ましくは50以上250以下、さらに好ましくは60以上200以下である。アスファルトの針入度が上記範囲内であることにより、本実施形態のアスファルト組成物は、高軟化点性、高伸度性、低溶融粘度性、動的安定性、及び貯蔵時の耐熱安定性のバランスが優れる傾向にある。
本実施形態のアスファルト組成物において、ブロック共重合体(P)の含有割合は、アスファルト100質量部に対し、0.5質量部以上30質量部以下であり、アスファルト組成物がより一層高軟化点性を有する観点から、好ましくは2質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは3.5質量部以上である。一方で、アスファルト組成物がより一層低溶融粘度性を有する観点から、好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
(粘着付与樹脂)
本実施形態において、アスファルト組成物の製造時間を短縮し、アスファルト組成物の相容性及び耐骨材剥離性能をより一層優れたものとする観点から、アスファルト組成物は、粘着付与樹脂を含むことが好ましい。
粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、及び脂肪族炭化水素樹脂等が挙げられる。
これらの粘着付与樹脂は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。より具体的な粘着付与樹脂としては、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)に記載された粘着付与樹脂が使用できる。相容性及び耐骨材剥離性能がより一層優れたものとなる観点から、芳香族炭化水素樹脂が好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物中における粘着付与樹脂の含有量は、ブロック共重合体(P)100質量部に対し、0質量部超200質量部以下であることが好ましく、3質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。上記範囲の含有量とすることにより、相容性及び耐骨材剥離性能がより一層優れたものとなる傾向にある。
(オイル)
本実施形態のアスファルト組成物において、低溶融粘度性及び相容性をより一層優れたものとする観点から、アスファルト組成物は、オイルを含むことが好ましい。
オイルとしては、以下に限定されないが、例えば、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤のいずれも使用できる。
鉱物油系軟化剤としては、以下に限定されないが、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられる。なお、一般的に、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が、オイルに含まれる全炭素原子中の50%以上を占めるものが「パラフィン系オイル」と呼ばれ、ナフテン系炭化水素の炭素原子数が30%以上45%以下のものが「ナフテン系オイル」と呼ばれ、また、芳香族系炭化水素の炭素原子数が35%以上を占めるものが「芳香族系オイル」と呼ばれている。
アスファルト組成物が鉱物油系軟化剤を含有すると、アスファルト組成物の施工性がより一層向上する。鉱物油系軟化剤としては、アスファルト組成物の低溶融粘度性及び低温性能がより一層優れたものとなる観点から、パラフィン系オイルが好ましく、アスファルト組成物の低溶融粘度性及び相容性がより一層優れたものとなる観点から、ナフテン系オイルが好ましい。
また、合成樹脂系軟化剤としては、以下に限定されないが、例えば、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が挙げられ、ポリブテン、低分子量ポリブタジエンが好ましい。
アスファルト組成物中のオイルの含有量は、オイルのブリード抑制、アスファルト組成物が実用上十分に機械強度を確保できる観点から、ブロック共重合体(P)100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、15質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。
(発泡剤)
本実施形態のアスファルト組成物は、低溶融粘度性をより一層優れたものとし、アスファルト組成物の製造時間をより短縮できる観点から、発泡剤を含んでもよい。
発泡剤としては、以下に限定されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ジアゾアミノベンゼン、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。
これらの発泡剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、相容性が一層優れる観点から、ジアゾアミノベンゼン、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)が好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物全体に対する発泡剤の割合は、低溶融粘度性がより一層優れたものとなり、アスファルト組成物の製造時間をより短縮できる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。また、アスファルト組成物全体に対する発泡剤の割合は、経済性に優れる観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
(添加剤)
本実施形態のアスファルト組成物は、熱可塑性樹脂又はゴム状重合体の配合材料として一般的に用いられている他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無機充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、顔料、粘度調製剤、剥離防止剤、及び顔料分散剤等が挙げられる。
他の添加剤の含有量は、特に限定されず、アスファルト100質量部に対して、通常、50質量部以下である。
無機充填剤としては、以下に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、及びガラス繊維等が挙げられる。
滑剤・離型剤としては、以下に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びエチレンビスステアロアミド等が挙げられる。
安定剤としては、以下に限定されないが、酸化防止剤、及び光安定剤等の各種安定剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらの酸化防止剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ブロック共重合体の耐熱安定性(耐熱老化性)がより一層優れ、さらにはゲル化を抑制できる観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物は、剥離防止剤を含むことにより、アスファルト組成物と骨材とを混合した際、アスファルト組成物と骨材との剥離をより一層防止できる傾向にある。
剥離防止剤としては、例えば樹脂酸が挙げられ、具体的には、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、及びパラストリン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有するロジンが好適なものとして挙げられる。また、脂肪酸又は脂肪酸アミドは、剥離防止剤及び滑剤として機能するため、剥離防止剤として、脂肪酸又は脂肪酸アミドを適用できる。
(ゴム成分)
本実施形態のアスファルト組成物は、上述した本実施形態のブロック共重合体(P)以外のゴム成分(以下、単に「ゴム成分」ともいう。)を含有してもよい。
ブロック共重合体(P)以外のゴム成分としては、以下に限定されないが、例えば、天然ゴム、及び合成ゴムが挙げられる。
合成ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBBS)、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
ブロック共重合体(P)以外のゴム成分としては、相容性及び耐骨材剥離性能がより一層優れたものとなる観点から、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体がより好ましい。
ブロック共重合体(P)以外のゴム成分は官能基を有していてもよい。ブロック共重合体(P)以外のゴム成分としては、本実施形態のアスファルト組成物の耐流動性がより一層優れたものとなる観点から、オレフィン系エラストマー、官能基を有するオレフィン系エラストマーが好ましい。
ブロック共重合体(P)以外のゴム成分が官能基を有する場合、官能基としては、例えば、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基、シラノール基、及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基が好ましいものとして挙げられる。ブロック共重合体(P)以外のゴム成分は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のアスファルト組成物における、ブロック共重合体(P)以外のゴム成分の含有量は、上述したブロック共重合体(P)を100質量部としたとき、0.5質量部以上400質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上300質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上200質量部以下であることがさらに好ましく、5質量部以上150質量部以下であることがさらにより好ましい。ブロック共重合体(P)以外のゴム成分の含有量が上記範囲であると、相容性及び耐骨材剥離性能がより一層優れたものとなる傾向にある。
(ブロック共重合体(P)以外の樹脂成分)
本実施形態のアスファルト組成物は、本実施形態のブロック共重合体(P)以外の樹脂成分を含有してもよい。
本実施形態のブロック共重合体(P)以外の樹脂成分としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テフロン(登録商標)(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)以外の樹脂成分としては、相容性及び耐骨材剥離性能がより一層優れたものとなる観点から、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(低密度PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)がより好ましい。
本実施形態のブロック共重合体(P)以外の樹脂成分は、官能基を有していてもよい。
本実施形態のブロック共重合体(P)以外の樹脂成分が官能基を有する場合、官能基としては、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基、シラノール基、及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基が好ましいものとして挙げられる。
ブロック共重合体(P)以外の樹脂成分は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のアスファルト組成物中における、ブロック共重合体(P)以外の樹脂成分の含有量は、ブロック共重合体(P)100質量部に対し、0.5質量部以上400質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上300質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上200質量部以下であることがさらに好ましく、5質量部以上150質量部以下であることがさらにより好ましい。ブロック共重合体(P)以外の樹脂成分の含有量が上記範囲であると、本実施形態のアスファルト組成物の相容性及び耐骨材剥離性能がより一層向上する傾向にある。
本実施形態のアスファルト組成物は、ブロック共重合体(P)以外の樹脂成分として、重量平均分子量(Mw)が5,000以上30,000以下であるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体(以下、「低分子量ビニル芳香族重合体」ともいう)を含んでもよい。
低分子量ビニル芳香族重合体は、本実施形態のブロック共重合体(P)を構成する重合体ブロック(a)に含まれるビニル芳香族単量体単位を主体とすることが好ましく、ポリスチレンに由来する単量体単位を主体とすることがより好ましい。
低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の下限値は、低溶融粘度性がより一層優れたものとなる観点から、ブロック共重合体(P)100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましく、3.0質量部以上がさらにより好ましい。また、低分子量ビニル芳香族重合体の含有量の上限値は、高軟化点性がより一層優れたものとなる観点から、ブロック共重合体(P)100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましく、2.0質量部以下がさらにより好ましい。
市販の低分子量ビニル芳香族重合体を、本実施形態のブロック共重合体(P)と混合してもよい。
〔ブロック共重合体(P)の製造方法〕
ブロック共重合体(P)の製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合させて、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)とを含有するブロック共重合体を得る重合工程を行い、得られたブロック共重合体を含む溶液を脱溶剤する脱溶剤工程を行う製造方法が挙げられる。
重合工程では、例えば、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを含む単量体を重合させることにより、ブロック共重合体を得ることができる。
重合工程において用いる炭化水素溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらの炭化水素溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合工程において重合開始剤として用いるリチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等の分子中に一個以上のリチウム原子を結合した化合物が挙げられる。具体的な有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらのリチウム化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン単量体としては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の一対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられる。
これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、機械強度を一層向上する観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル芳香族単量体としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。これらの中でも、経済性に優れる観点から、スチレンが好ましい。これらのビニル芳香族単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合工程においては、上記共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体以外の単量体も用いることができ、このような単量体としては、共役ジエン単量体及び/又はビニル芳香族単量体と共重合可能な単量体を所定の添加量で用いることができる。
重合工程においては、例えば、重合速度を調整したり、重合した共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、及びビニル結合量の比率)を調整したり、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との反応比率を調整したりするために、極性化合物及び/又はランダム化剤が使用できる。
極性化合物又はランダム化剤としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう)等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
ブロック共重合体の重合工程で実施する重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用でき、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
ブロック共重合体は、カップリング剤を用いてカップリングしてもよい。
カップリング剤としては、特に限定されないが、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。
2官能のカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等の2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタン等の2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ等の2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペン等が挙げられる。
3官能のカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパン等の3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン等の3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の3官能性アルコキシシラン;等が挙げられる。
4官能のカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタン等の4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等の4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズ等の4官能性ハロゲン化スズ;等が挙げられる。
5官能以上のカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等のポリハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。その他、エポキシ化大豆油、2〜6官能のエポキシ基含有化合物、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼン等のポリビニル化合物を用いることもできる。
これらのカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のブロック共重合体(P)の製造工程においては、重合工程の後に、ブロック共重合体(P)の活性末端を失活する失活工程を行うことが好ましい。
活性水素を有する化合物と活性末端とを反応させることにより、ブロック共重合体の活性末端を失活することができる。活性水素を有する化合物としては、特に限定されないが、経済性が優れる観点から、アルコール及び水を挙げることができる。
重合開始剤、単量体、カップリング剤又は重合停止剤として、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基、シラノール基、及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する化合物を用いることにより、得られるブロック共重合体(部分水添ブロック共重合体を含む)に、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基、シラノール基、及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を付加することが好ましい。
官能基を有する重合開始剤としては、窒素含有基を含有する重合開始剤が好ましい。
窒素含有基を含有する重合開始剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジオクチルアミノリチウム、ジ−2−エチルヘキシルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、ピペリジノリチウム等が挙げられる。
官能基を有する単量体としては、窒素含有基を有する単量体がより好ましい。窒素含有基を有する単量体としては、以下に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルビニルベンジルアミン、N,N−ジエチルビニルベンジルアミン、N,N−ジプロピルビニルベンジルアミン、N,N−ジブチルビニルベンジルアミン、N,N−ジフェニルビニルベンジルアミン、2−ジメチルアミノエチルスチレン、2−ジエチルアミノエチルスチレン、2−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、N,N−ジメチル−2−(4−ビニルベンジロキシ)エチルアミン、4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、4−(2−モルホリノエチル)スチレン、4−(2−チアジノエチル)スチレン、4−(2−N−メチルピペラジノエチル)スチレン、1−((4−ビニルフェノキシ)メチル)ピロリジン、及び1−(4−ビニルベンジロキシメチル)ピロリジン等が挙げられる。
官能基を含むカップリング剤及び重合停止剤としては、前述のカップリング剤及び重合停止剤の内、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、ウレア基、ウレタン基、イソシアネート基、アミジン基、グアニジン基、カルボジイミド基、シラノール基、及びアルコキシシリル基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有するカップリング剤及び停止剤が挙げられる。
これらの官能基を有するカップリング剤及び重合停止剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、窒素含有基又は酸素含有基を有するカップリング剤及び重合停止剤がさらに好ましい。
窒素含有基又は酸素含有基を有するカップリング剤及び重合停止剤としては、以下に限定されないが、例えば、N,N,N',N'−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、γ−カプロラクトン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N'−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン、2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン及び3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
脱溶剤工程では、ブロック共重合体(P)を含む重合体溶液の溶媒を脱溶剤する。脱溶剤の方法としては、特に限定されないが、スチームストリッピング法及び直接脱溶媒法が挙げられる。
脱溶剤工程により得られるブロック共重合体(P)中の残存溶媒量は、少なければよく、好ましく2質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.05質量%以下、よりさらに好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0質量%である。通常、ブロック共重合体(P)中の残存溶媒量は、経済性に優れる観点から、0.01質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体(P)の耐熱安定性をより一層優れたものとし、ゲル化を抑制する観点から、ブロック共重合体(P)に、アスファルト組成物の項で例示した酸化防止剤を添加することが好ましい。
ブロック共重合体(P)の着色を防止し、機械強度の向上を図る観点から、脱溶剤工程の前に、ブロック共重合体(P)を含む溶液中の金属を除去する脱灰工程、ブロック共重合体(P)を含む溶液のpHを調整する中和工程を行ってもよく、例えば、酸の添加及び/又は炭酸ガスの添加を行ってもよい。
〔アスファルト組成物の製造方法〕
本実施形態のアスファルト組成物は、アスファルトと、アスファルト100質量部に対し、0.5質量部以上30質量部以下のブロック共重合体(P)とを混合することにより製造することができる。
本実施形態のアスファルト組成物の製造方法においては、架橋剤を添加することが好ましい。
ブロック共重合体(P)と架橋剤とを十分反応させる観点から、架橋剤を除くアスファルト組成物に架橋剤を添加した後の混合時間は、好ましくは20分以上、より好ましくは40分以上、さらに好ましくは60分以上、さらにより90分以上である。また、ブロック共重合体(P)の熱劣化を抑制する観点から、架橋剤を除くアスファルト組成物に架橋剤を添加した後の混合時間は、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下である。
混合方法は、特に限定されず、任意の混合機を用いて行うことができる。
混合機としては、例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の溶融混練機、垂直インペラ、サイドアーム型インペラ等の攪拌機、乳化機を含むホモジナイザー、及びポンプが挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物の製造方法において、アスファルト、ブロック共重合体(P)、架橋剤、及び任意の添加剤を、140℃から220℃の範囲で、撹拌タンク等を用いて混合することが好ましい。
(アスファルト組成物中のブロック共重合体(P)の膨潤率S)
本実施形態のアスファルト組成物において、当該アスファルト組成物中のブロック共重合体(P)の膨潤率Sは、4以上であることが好ましい。
上記式(II)で計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)が3質量%以上23質量%以下であることにより、アスファルト成分との相容性が向上し、ブロック共重合体(P)は、4以上の膨潤率Sを達成できる傾向にある。
高軟化点性・伸長回復性がより一層優れる観点から4以上であることが好ましく、4.5以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。
ブロック共重合体(P)の膨潤率Sは、ブロック共重合体(P)の質量割合E、ブロック共重合体(P)リッチ相の面積割合Fに対し、下記式(III)で算出できる。
ブロック共重合体(P)リッチ層の面積割合は後述する実施例に記載の方法により測定できる。
ブロック共重合体の膨潤率S=F(%)/E(質量%) (III)
〔改質アスファルト混合物〕
改質アスファルト混合物は、上述した本実施形態のアスファルト組成物を3質量部以上15質量部以下と、骨材100質量部とを含む。
骨材としては、特に限定されず、例えば、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装材用の骨材であればいかなるものでも使用できる。
骨材としては、具体的には、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等である。
また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材及び再生骨材なども使用できる。
この他、骨材として、これに類似する粒状材料、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用できる。
なお、骨材は、一般に、粗骨材、細骨材、及びフィラーに大別されるが、本実施形態の改質アスファルト混合物に用いる骨材としては、粗骨材、細骨剤、及びフィラーのいずれであっても用いることができる。
粗骨材とは、2.36mmふるいに留まる骨材をいい、粗骨剤の種類には、一般に、粒径範囲2.5mm以上5mm以下の7号砕石、粒径範囲5mm以上13mm以下の6号砕石、粒径範囲13mm以上20mm以下の5号砕石、さらには粒径範囲20mm以上30mm以下の4号砕石等が挙げられる。
本実施形態の改質アスファルト混合物においては、これら種々の粒径範囲の粗骨材の1又は2種以上を混合した骨材、或いは、合成された骨材等を使用できる。
これらの粗骨材には、骨材に対して0.3質量%以上1質量%以下程度のストレートアスファルトを被覆しておいてもよい。
細骨材とは、2.36mmふるいを通過(パス)し、かつ、0.075mmふるいに止まる(オンする)骨材をいい、細骨材としては、例えば、川砂、丘砂、山砂、海砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
フィラーとは、0.075mmふるいを通過(パス)する骨材であって、フィラーとしては、例えば、スクリーニングスのフィラー分、石粉、消石灰、セメント、焼却炉灰、クレー、タルク、フライアッシュ、カーボンブラック等が挙げられる。これらのほか、フィラーとしては、0.075mmふるいを通過(パス)するゴム粉粒、コルク粉粒、木質粉粒、樹脂粉粒、繊維粉粒、パルプ、人工骨材等を使用できる。
これらの骨材は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
改質アスファルト混合物は、本実施形態のアスファルト組成物と骨材とを少なくとも混合することにより製造でき、混合方法は特に限定されない。
アスファルト組成物と骨材との混合温度は、通常、120℃以上200℃以下の範囲とすることができる。
改質アスファルト混合物全体に対するアスファルト組成物の含有量は、油付着時の優れた耐質量損失性及び優れた耐強度低下性を有する改質アスファルト混合物を得る観点から、骨材100質量部に対して、好ましくは3質量部以上15質量部以下であり、より好ましくは4質量部以上12質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上10質量部以下である。
改質アスファルト混合物の製造方法としては、例えば、アスファルトと骨材とを混合する際に、直接、本実施形態のブロック共重合体とを混合してアスファルトを改質する、いわゆるプラントミックス方式を使用できる。
〔アスファルト組成物及び改質アスファルト混合物の用途〕
本実施形態のアスファルト組成物及び改質アスファルト混合物は、D.Whiteoakによって編集され、Shell Bitumen U.K.によって英国で1990年に発行されたThe Shell Bitumen Handbookに記載されている様々な用途に使用できる。
また、他の用途としては、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート(cold prepared asphaltic concrete)用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプライン及び鉄製部品のクラックの封着等が含まれる。
本実施形態の改質アスファルト混合物を用いる舗装形態としては、以下に限定されないが、密粒度舗装形態、排水性舗装形態、透水性舗装形態、密粒度ギャップアスファルト舗装形態、砕石マスチックアスファルト舗装形態、カラー舗装形態、半たわみ性舗装形態、保水性舗装形態、薄層舗装形態が挙げられる。
また、各舗装形態を得るための製造方法としては、特に限定されないが、例えば、熱工法、中温化工法、常温工法などが挙げられる。
密粒度舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、耐流動性及び滑り抵抗性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材40質量%以上55質量%以下、細骨材40質量%以上55質量%以下、及びフィラー3質量%以上10質量%以下を含有することが好ましい。密粒度舗装に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が5質量部以上7質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が3質量部以上5.5質量部以下であることが好ましい。
排水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、排水性、視認性、及び騒音性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材60質量%以上85質量%以下、細骨材5質量%以上20質量%以下、及びフィラー3質量%以上20質量%以下を含有することが好ましい。
排水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が4質量部以上6質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が5質量部以上10質量部であることが好ましい。
透水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、透水性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材60質量%以上85質量%以下、細骨材5質量%以上20質量%以下、及びフィラー3質量%以上20質量%以下を含有することが好ましい。
透水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が4質量部以上6質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が0質量部を超え6質量部以下であることが好ましい。
密粒度ギャップ舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、摩耗性、耐流動性、耐久性及び滑り抵抗性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材50質量%以上60質量%以下、細骨材30質量%以上40質量%以下、及びフィラー3質量%以上10質量%以下を含有することが好ましい。
密粒度ギャップ舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が4.5質量部以上6質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が5質量部以上12質量部以下であることが好ましい。
砕石マスチックアスファルト舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、耐摩耗性、不透水性、応力緩和性、耐流動性、及び騒音性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材55質量%以上70質量%以下、細骨材15質量%以上30質量%以下、及びフィラー5質量%以上15質量%以下を含有することが好ましい。
砕石マスチックアスファルト舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が5.5質量部以上8質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が4質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
保水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、舗装温度上昇をより一層抑制し、保水性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材60質量%以上85質量%以下、細骨材5質量%以上20質量%以下、及びフィラー3質量%以上20質量%以下を含有することが好ましい。
保水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が4質量部以上6質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が4質量部以上10質量部以下であることが好ましい。保水性舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、空隙率が15%以上20%以下程度で、空隙にセメント系や石膏系などの保水材が充填されていることが好ましい。
薄層舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、経済性、工期短縮性、及び施工性がより一層向上する観点から、骨材の総量を100質量%としたとき、粗骨材60質量%以上85質量%以下、細骨材5質量%以上20質量%以下、及びフィラー3質量%以上20質量%以下を含有することが好ましい。
薄層舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、骨材の総量100質量部に対して、アスファルト組成物が4質量部以上6.5質量部以下であり、アスファルト100質量部に対して、本実施形態のブロック共重合体(P)が4質量部以上8質量部以下であることが好ましい。薄層舗装形態に用いられる改質アスファルト混合物は、粗骨材が粒径範囲2.5mm以上5mm以下の7号砕石であることが好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物は、アスファルト防水シート用としても好適に使用できる。本実施形態のアスファルト組成物を用いると、アスファルト防水シートの軟化点を高くでき、低温折り曲げ特性を改善することができる。
また、各舗装形態を得る為の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、熱工法、中温化工法、常温工法等が挙げられる。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。
〔ブロック共重合体の物性の測定方法〕
ブロック共重合体の物性測定方法を以下に示す。
(ブロック共重合体の、共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量の測定)
ブロック共重合体中の、共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
ブロック共重合体を含む反応液に、大量のメタノールを添加することで、ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、このブロック共重合体をアセトンで抽出し、ブロック共重合体を真空乾燥した。これを、1H−NMR測定のサンプルとして用いて、ブロック共重合体の、共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量を測定した。
1H−NMR測定の条件を以下に記す。
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :上記記載の乾燥させたブロック共重合体
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位(スチレン)の質量割合(TS)の測定)
一定量のブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、溶解液中のビニル芳香族化合物成分(スチレン)に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度を測定した。
得られたピーク強度から、検量線を用いて、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位(スチレン)の質量割合(TS)を算出した。
(ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の質量割合(BS)の測定)
I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.,1946,Vol.1,p.429に記載の四酸化オスミウム酸分解法で、下記ポリマー分解用溶液を用いて、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の質量割合(BS)を測定した。
測定サンプル:上記記載の乾燥させたブロック共重合体
ポリマー分解用溶液:四酸化オスミウム0.1gを第3級ブタノ−ル125mLに溶解した溶液
(重合体ブロック(a)のピーク分子量(BSPMw)の測定方法)
上記重合体ブロック(a)の質量割合(BS)測定用サンプルをGPCで分析した。
分析条件は下記(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定)と同様に測定した。
得られた分子量分布から重合体ブロック(a)のピーク分子量(BSPMw)を求めた。分子量分布が多峰形の場合はピーク分子量の代わりに数平均分子量をBSPMwとする。
(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ポリスチレン換
算ピーク分子量(PMwA)、及び分子量分布(Mw/Mn)の測定)
ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ポリスチレン換算ピーク分子量(PMwA)は、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して、クロマトグラムのピークの分子量に基づいて求めた。ポリスチレン換算ピーク分子量(PMwA)はピークトップの分子量の値である。
測定ソフトは、HLC−8320EcoSEC収集を用い、解析ソフトは、HLC−8320解析を用いた。また、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比から、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定条件を下記に示す。
GPC ;HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
検出器 ;RI
検出感度 ;3mV/分
サンプリングピッチ;600msec
カラム ;TSKgel superHZM−N(6mmI.D×15cm
)4本(東ソー株式会社製)
溶媒 ;THF
流量 ;0.6mm/分
濃度 ;0.5mg/mL
カラム温度 ;40℃
注入量 ;20μL
(ブロック共重合体に含まれる異なる分岐構造を有するブロック共重合体の質量割合の測定)
上記GPCから得られた各ピーク間曲線の変曲点を垂直分割し、総面積に対する各分割面積の比を、異なる分岐構造を有するブロック共重合体成分の面積比とし、各々のブロック共重合体の質量比率を求めた。
各ピーク間変曲点については、HLC−8320波形分離ソフトを用いてガウシアン近似によるフィッティング処理によりピーク分割を行い、各ピークの交差する点を変曲点とした。
(ミクロ換算ピーク分子量(PMwB)の計算)
前記方法で測定されたGPCのクロマトグラムのピーク分子量(PMwA)はポリスチレン換算である。
ミクロ換算ピーク分子量(PMwB)は、共役ジエン単量体単位の分子量補正値(DMw)を用いて下記式(IV)により求めた。
共役ジエン単量体単位がブタジエンの場合はDMw=0.6として計算した。
GPCのクロマトグラムが複数のピークを有する場合、それぞれのピークに対してミクロ換算ピーク分子量(PMwB)を計算した。
ミクロ換算分子量ピーク分子量(PMwB)
=PMwA×(TS+(1−TS)×DMw)・・・(IV)
(重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)の質量割合の計算)
ブロック共重合体が含有する、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の数Nを、前記(ブロック共重合体に含まれる異なる分岐構造を有するブロック共重合体の質量割合の測定)に記載された、GPCのクロマトグラムのピーク分割された各々のピークに対して、下記式(V)に基づいて計算した。
ブロック共重合体が含有する重合体ブロック(a)の数N
=PMwB×BS÷BSPMw ・・・(V)
この数Nの値が1.6以上であるピークは重合体ブロック(a)を2つ以上含有するものとし、この数Nの値が1.6以上であるピーク面積の割合の和を、重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)の質量割合とした。
(5質量%トルエン溶液粘度の測定)
5質量%トルエン溶液粘度は、キャノン−フェンスケ粘度管を用いて、25℃の温度に管理された恒温槽中で測定した。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、ブロック共重合体の質量に対する窒素原子の質量割合である。
窒素含有量は、三菱化学アナリテック社製のTN−2100Hを用い、JIS K 2609:1998、原油及び石油製品窒素分試験方法の、4.化学発光法に記載の方法に準拠し算出した。
(ケイ素含有量の測定)
ケイ素含有量はブロック共重合体の質量に対するケイ素原子の質量割合である。
ケイ素含有量は、Rigaku社製のSupermini200を用い、測定して得られたピーク強度から、検量線を用いて算出した。
(ブロック共重合体の損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さ)
動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さを求めた。
装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)のトーションタイプのジオメトリーで、サンプル厚み2mm、幅10mm、長さ20mmで、ひずみ(初期歪み)0.5%、周波数1Hz、測定範囲−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
〔実施例1〜22、45〜62〕、〔比較例1〜10、21〜25〕
(ブロック共重合体1の製造)
内容積が100Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。
(1段目)
シクロヘキサン44.8kgを反応器に仕込んで温度50℃に調製した後、モノマーとしてスチレン800gを約3分間かけて添加し、その後n−ブチルリチウム(以下nBLと称する)シクロヘキサン溶液を純分として6.9g添加し、反応を開始させた。
(2段目)
次に、反応器内の温度が最高値を示してから5分間後に、スチレン320gとブタジエン6080gを70分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、反応させた。
(3段目)
その後、反応器内の温度が最高値を示してから5分間後に、スチレン800gを約3分間かけて添加し、反応させた。
(停止反応)
その後、反応器内の温度が最高値を示してから5分間後に、アミド含有停止剤(1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)(変性剤K)を5.3g添加し、10分間反応させた。次に、反応終了後にメタノールを2.4g添加し、ブロック共重合体を得た。
重合工程終了後に、ブロック共重合体1を100質量部に対して、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
ブロック共重合体1の構造及び組成は表7の通りであった。
(ブロック共重合体2〜20、23〜31、34〜39、41、44、46〜51、55の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のブタジエン添加量、2段目
のスチレン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目の
メタノール添加量を、表1、表2、表3、表4、表5、表6の通りに変更した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。
ブロック共重合体2〜20、23〜31、34〜39、41、44、46〜51、55の構造及び組成は表7、表8、表9、表10、表11、表12の通りであった。
(ブロック共重合体21、22の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のブタジエン添加量、2段目のスチレン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表2の通りに変更し、1段目で、スチレン添加後、nBL添加前にピペリジンを9.0g添加した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。
ブロック共重合体21、22の構造及び組成は表8の通りであった。
(ブロック共重合体32の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のスチレン添加量、2段目のブタジエン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表4の通りに変更し、1段目で、スチレン添加後、nBL添加前にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDAと称する)を4.1g添加した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。
ブロック共重合体32の構造及び組成は表10の通りであった。
(ブロック共重合体33の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のスチレン添加量、2段目のブタジエン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表4の通りに変更し、停止反応で、メタノール添加後にTMEDAを8.2g添加した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。ブロック共重合体33の構造及び組成は表10の通りであった。
(ブロック共重合体40の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のブタジエン添加量、2段目のスチレン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表5の通りに変更し、1段目で、スチレン添加後、nBL添加前にピペリジンを11.8g添加した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。
ブロック共重合体40の構造及び組成は表11の通りであった。
(ブロック共重合体42の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のブタジエン添加量、2段目のスチレン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表5の通りに変更し、1段目の反応開始温度を70℃に変更し、2段目のスチレンとブタジエンを100分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。
ブロック共重合体42の構造及び組成は表11の通りであった。
(ブロック共重合体43、45の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のスチレン添加量、2段目のブタジエン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を、表5、表6の通りに変更し、1段目で、スチレン添加後、nBL添加前にTMEDAを1.6g添加した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。ブロック共重合体43、45の構造及び組成は、表11、表12の通りであった。
(ブロック共重合体52、53の製造)
1段目のスチレン添加量、1段目のnBL添加量、2段目のスチレン添加量、2段目のブタジエン添加量、3段目のスチレン添加量、4段目の停止剤の種類、添加量、4段目のメタノール添加量を表4の通りに変更し、1段目で、スチレン添加後、nBL添加前にテトラヒドロフランを2.0g添加し、2段目のスチレンとブタジエンを100分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した以外はブロック共重合体1の製造と同様にして、ブロック共重合体を得た。ブロック共重合体52、53の構造及び組成は、表10の通りであった。
(ブロック共重合体54の製造)
内容積が100Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。
(1段目)
シクロヘキサン44.8kgを反応器に仕込んで温度70℃に調製した後、モノマーとしてスチレン1600g、ブタジエン1200gを約3分間かけて添加し、その後n−ブチルリチウム(nBL)シクロヘキサン溶液を純分として8.8g添加し、反応を開始させた後、70℃を維持したまま2時間攪拌した。
(2段目)
次に、スチレン1600gとブタジエン3600gを約3分かけて添加し、70℃を維持したまま2時間攪拌した。
(停止反応)
その後、アミド含有停止剤(1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)(変性剤K)を5.1g添加し、10分間反応させた。次に、反応終了後にメタノールを3.1g添加し、ブロック共重合体を得た。
重合工程終了後に、ブロック共重合体54を100質量部に対して、安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.25質量部を添加した。
ブロック共重合体54の構造及び組成は表12の通りであった。
なお、表1、表2、表3、表4、表5、表6に記載の1段目のブタジエン添加量が−とは、1段目でブタジエンを添加しなかったことを意味し、2段目のスチレン添加量が−とは、2段目でスチレンを添加しなかったことを意味し、3段目のスチレン添加量が−とは、3段目の反応を行わなかったことを意味する。
なお、表1、表2、表3、表4、表5、表6に記載の変性剤K、L、M、N、O、P、Q、R、Sは、それぞれ、Kが1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、Lが2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、Mが3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルトリエトキシシラン、Nがテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、Oがテトラエトキシシラン、Pが3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルジメチルエトキシシラン、Qがジグリシジルアニリン、Rが日鉄ケミカル&マテリアル社製ZX−1059、Sが四塩化スズを意味し、−と記載されている例は停止反応時に変性剤を添加しなかったことを示す。
Figure 2021138920
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Figure 2021138920
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〔実施例23〜44、63〜80〕、〔比較例11〜20、26〜30〕
<アスファルト組成物の調製>
750mLの金属缶にアスファルト(ストレートアスファルト80−100(Petronas社製)〕を350g投入し、180℃のオイルバスに金属缶を充分に浸した。
次に、溶融状態のアスファルトに、表13、表14、表15、表16、表17、表18
に示す割合で、各ブロック共重合体又を攪拌しながら少量ずつ投入した。
各材料を完全に投入した後、3000rpmの回転速度で60分間攪拌し、アスファルト組成物を調製した。
これらの各配合組成、及び後述する測定方法により測定した各アスファルト組成物の評
価結果を、表13、表14、表15、表16、表17、表18に示す。
Figure 2021138920
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<改質アスファルト混合物の調製>
加熱装置を備える容量27リットルの混合機に、下記表19に示す粒度の砕石マスチックアスファルト型の骨材94.3質量部を投入し、25秒間空練りを行った。
次いで、上記方法により製造した各実施例1〜22、45〜62及び比較例1〜10、21〜25のブロック共重合体を用いて表13〜18に示す組成で調製したアスファルト組成物5.7質量部を上記混合機に投入し、50秒間本練りを行い、改質アスファルト混合物を得た。
得られた改質アスファルト混合物は、砕石マスチックアスファルト型のアスファルト混
合物であった。
なお、改質アスファルト混合物の総量は10kgとなるようにし、空練り、本練りとも
混合温度は177℃に調整した。
使用した骨材は、東京都八王子市美山町から産出された6号及び7号砕石、神奈川県相模原市緑区小倉から産出された砕砂、千葉県成田市大栄町から産出された細砂、並びに埼玉県飯能市大字上名栗から産出された石粉の混合物であった。
改質アスファルト混合物に使用した骨材の粒度分布を下記表19に示す。
得られた改質アスファルト混合物を後述の測定方法により評価した。
評価結果を前記表13、表14、表15、表16、表17、表18に示す。
Figure 2021138920
〔評価方法〕
アスファルト組成物の評価は、以下のようにして行った。
(アスファルト組成物の相容性)
ASTM−D5976に準じて、アスファルト組成物の相容性(貯蔵安定性ともいう)を測定した。
直径2cm×長さ15cmのテフロン(登録商標)製チューブに試料を充填し、アルミホイルで蓋をした後、163℃のオーブン下で、48時間静置させた。その後、冷凍庫で一晩静置し、試料をテフロン(登録商標)製チューブから抜き取り、3等分し、上部と下部の軟化点を測定した。
測定値の差が小さい程、相容性が良いことを示す。
軟化点の測定方法については、後述する。
評価基準は以下のとおりである。
なお、測定値の差が5℃以下(△以上)であれば、アスファルト組成物として実用上問題なく使用できる。
◎:測定値の差が1℃以下
○:測定値の差が1℃を超え3℃以下
△:測定値の差が3℃を超え5℃以下
×:測定値の差が5℃を超える
(アスファルト組成物の軟化点維持率)
上記製造したアスファルト組成物を試験体として、180℃に設定したギアオーブン内に2日間静置した。
ギアオーブン内で静置する前後における軟化点を測定し、その変化割合(ギアオーブン静置後の軟化点/ギアオーブン静置前の軟化点)を求めた。
軟化点の変化幅が小さいほど、アスファルトとブロック共重合体の分散性の維持、熱劣化による分子の切断(軟化点低下)が少なく、耐熱性に優れることを示す。なお、測定値(変化割合)が0.70以上0.85未満、又は1.15を超え1.25以下(△以上)であれば、アスファルト組成物として実用上問題なく使用できる。
◎:変化割合が0.95以上1.05以下
〇:変化割合が0.85以上0.95未満、又は1.05を超え1.15以下
△:変化割合が0.70以上0.85未満、又は1.15を超え1.25以下
×:変化割合が0.7未満、又は1.25を超える
(アスファルト組成物の軟化点(リング&ボール法))
JIS−K2207に準じて、アスファルト組成物の軟化点を測定した。
規定の環に試料を充填し、グリセリン液中に水平に支え、試料の中央に3.5gの球を置き、液温を5℃/minの速度で上昇させたとき、球の重さで試料が環台の底板に触れた時の温度を測定した。
評価基準は以下のとおりである。
なお、測定値が70℃以上(〇以上)であれば、アスファルト組成物として実用上問題なく使用できる。
◎:温度が80℃以上
○:温度が70℃以上80℃未満
△:温度が60℃以上70℃未満
×:温度が60℃未満
(アスファルト組成物の貯蔵時の耐熱安定性(耐熱老化性))
上記製造したアスファルト組成物を試験体とし、180℃に設定したギアオーブン内に7日間静置した。
ギアオーブン内で静置する前後における160℃でのブルックフィールド型溶融粘度を測定し、その変化割合(ギアオーブンで静置後の160℃溶融粘度/ギアオーブンで静置前の160℃溶融粘度)を求めた。
ブルックフィールド型溶融粘度の変化幅が小さいほど、熱劣化による分子の切断(粘度低下)及びゲル化(粘度上昇)が少なく、耐熱性に優れることを示す。
なお、測定値(変化割合)が0.7以上0.8未満、又は1.4を超え、1.5以下(△以上)であれば、アスファルト組成物として実用上問題なく使用できる。
◎:変化割合が0.9以上1.3以下
○:変化割合が0.8以上0.9未満、又は1.3を超え、1.4以下
△:変化割合が0.7以上0.8未満、又は1.4を超え、1.5以下
×:変化割合が0.7未満、又は1.5を超える
(アスファルト組成物の伸長回復性(エラスティックリカバリ―))
英国規格(British Standards)、BS EN 13398:2010/BS 2000−516:2010に記載の方法に準じて測定した。
上述の方法にて作製した改質アスファルト組成物を治具に流し込んで、両端に把持部を有するダンベル状の供試体を作製した。両端の把持部を除く供試体の寸法は、厚み1cm、幅1cm、長さ3cmであった。供試体の把持部を引張試験機のチャックにセットし、25℃の水槽の中で、チャック間距離3cmの状態から5cm/分の速度で引っ張り、初期の長さから20cm伸ばした時点で停止させた。供試体をチャックに挟持したまま、25℃の水槽中に10秒間静置した後に、供試体を中央で切断した。その後、30分間25℃の水槽の中で放置し、両方の供試体の把持部を除く部分の長さの和α(cm)を測定し、下記式(VI)で計算される割合を伸長回復性(%)とした。
伸長回復性(%)
={3(cm)+20(cm)−α(cm)/20(cm)}×100・・・(VI)
伸長回復性が高い方が耐ひび割れ性に優れることを示す。
◎:伸長回復性が90%以上
○:伸長回復性が80%以上90%未満
△:伸長回復性が70%以上80%未満
×:伸長回復性が70%未満
(アスファルト組成物の伸度)
JIS−K2207に準じて、試料を形枠に流し込み、規定の形状にした後、恒温水浴内で15℃に保ち、次に試料を5cm/minの速度で引っ張ったとき、試料が切れるまでに伸びた距離(伸度)を測定した。アスファルト組成物は伸度が高い方が、耐低温ひび割れ性が良いものとして評価した。
◎:伸度が20cm以上
○:伸度が15cm以上20cm未満
△:伸度が10cm以上15cm未満
×:伸度が10cm未満以上
(ブロック共重合体リッチ相の面積割合の測定、膨潤率Sの計算)
1mm角で切り出したアスファルト組成物を載せたスライドガラスを180℃のホットプレート上に設置し、10秒後、カバーガラスをアスファルト組成物上部から被せて、アスファルト組成物を薄膜化し、観察用サンプルとした。
前記観察用サンプルを、光学顕微鏡(ライカ社製DM4000)・対物レンズ×100を用いて透過型で観察し、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX2000)を用いてデジタル画像を得た。
前記デジタル画像に対して抽出方法を輝度にして二値化処理を実施し、明色の部分をブロック共重合体リッチ相の面積、暗色の部分をアスファルトリッチ相の面積として測定した。
ブロック共重合体の膨潤率Sはブロック共重合体の質量割合E、ブロック共重合体リッチ相の面積割合Fに対し、下記式(III)で計算した。
ブロック共重合体の膨潤率S=F(%)/E(質量%) (III)
膨潤率Sを下記の基準により評価した。
◎:膨潤率が6以上
○:膨潤率が5以上6未満
△:膨潤率が4以上5未満
×:膨潤率が4未満
(改質アスファルト混合物の動的安定度(DS))
動的安定度(DS)は、上記調製した改質アスファルト混合物を用いてホイールトラッキング試験により測定した。
ホイールトラッキング試験は、試験法便覧B003に準じて実施した。
所定の寸法の試験体上に、載荷した小型のゴム車輪を規定温度、規定時間、及び規定速度で繰り返し往復走行させ、単位時間あたりの変形量から動的安定度(DS)(回/mm)を求めた。
動的安定度が高いほど、優れた耐轍掘れ性を付与できることを示している。評価基準は
以下のとおりである。
◎◎:1500回/mm以上
◎:1200回/mm以上1500回/mm未満
○:1000回/mm以上1200回/mm未満
△:800回/mm以上1000回/mm未満
×:800回/mm未満
本発明のブロック共重合体は、アスファルト組成物用改質剤として、道路舗装、防水シート、ルーフィング等の用途に産業上の利用可能性があり、特に道路舗装用の分野で好適に利用可能である。

Claims (11)

  1. ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、共役ジエン単量体単位及びビニル芳香族単量体単位を含む重合体ブロック(b)と、を含有し、
    次の特性(1)〜(6)を有する、ブロック共重合体(P)。
    (1)ビニル芳香族単量体単位の質量割合(TS)が、20質量%以上45質量%以下である。
    (2)下記式(I)により算出される重合体ブロック(a)の質量割合(BS)が15質量%以上35質量%以下である。
    重合体ブロック(a)の質量割合(BS)(質量%)=(重合体ブロック(a)成分の質量/ブロック共重合体(P)の質量)×100 (I)
    (3)5質量%トルエン溶液粘度が5mPa・s以上40mPa・s以下である。
    (4)窒素含有量が20ppm以上1000ppm以下である。
    (5)重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該ブロック共重合体(C)の質量割合が50質量%以上100質量%以下である。
    (6)下記式(II)で計算される、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の質量割合(RS)が、3質量%以上23質量%以下である。
    RS=(TS−BS)/(100−BS)×100・・・(II)
  2. 5質量%トルエン溶液粘度が5mPa・s以上30mPa・s以下である、請求項1に記載のブロック共重合体(P)
  3. ケイ素含有量が50ppm以上300ppm以下である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体(P)。
  4. 共役ジエン系単量体に由来するビニル結合量が5質量%以上15質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)。
  5. 重合体ブロック(a)を2つ以上含有する構造のブロック共重合体(C)を含み、当該ブロック共重合体(C)の質量割合が50質量%以上90質量%以下である、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)。
  6. 前記ブロック共重合体(P)のGPC測定により得られたピーク波形が2山以上有し、ポリスチレン換算ピーク分子量が13万以下に山を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)。
  7. 損失正接(tanδ)ピーク温度が−85℃以上−60℃以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)。
  8. アミノ基及び/又はアルコキシシリル基を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブロック共重合体(P)を0.5質量部以上30質量部以下と、
    アスファルト100質量部と、
    を、含有するアスファルト組成物。
  10. 下記式(III)により算出されるアスファルト組成物中のブロック共重合体(P)の膨潤率Sが4以上である、
    請求項9に記載のアスファルト組成物。
    ブロック共重合体の膨潤率(S)=F(%)/E(質量%)・・・(III)
    (式(III)中、Eはブロック共重合体(P)の質量割合、Fはブロック共重合体(P)リッチ相の面積割合を示す。)
  11. 請求項9又は10に記載のアスファルト組成物を3質量部以上15質量部以下と、
    骨材を100質量部と、
    を、含有する改質アスファルト混合物。
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