JP2005272643A - スズ含有重合体及びその製造方法並びに加工助剤としての使用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のスズ含有重合体の製造方法は、共役ジオレフィン化合物を含む単量体をリチウム系多官能重合開始剤の存在下に重合し、重量平均分子量が1,000〜45,000である(共)重合体とする工程〔I〕と、上記(共)重合体と、特定構造を有するスズ化合物とを反応させる工程〔II〕と、を順次備え、スズ元素の含有量が3,000〜30,000ppmであり且つ重量平均分子量が50,000以上であるスズ含有重合体を得るものである。
【選択図】 なし
Description
しかし、これらの軟化剤や、可塑剤を添加する場合には、使用するゴム成分との相容性を考慮する必要があり、相容性が悪いと、多量に配合したときに成形品よりブリードを生じる。また、軟化剤は加硫ゴムに対して着色性・汚染性があるため、白色及び明色製品には使用できない、軟化剤の添加により力学特性はもちろん、耐疲労性や耐老化性が悪化するという製品に対しての悪影響があった。
更に、軟化剤を用いる際には、予め補強剤と混合しておく必要があり、この軟化剤がオイル状であるために容易に規定量を添加することが難しい等、配合操作が煩雑で且つ操作時間がかかるという問題がある。
そこで、植物系軟化剤及び鉱物系軟化剤に代えて、用いられるゴム成分に適した構造の液状(低分子量)ゴムを軟化剤として使用する方法がある。この液状ゴムは、低分子量であるがゆえ加工助剤としての性能を有するほか、ベースとなるゴム成分と同等のものを用いることにより着色、汚染の発生がなく、加硫物は、ベースとなるゴム成分と共加硫したものであるため、成形品からのブリードの発生、力学特性等の低下をある程度抑制することができる。しかし、液状ゴムを軟化剤として使用した場合であっても、配合操作が煩雑で且つ操作時間がかかるという問題があり、また、成形品の形状保持性が十分ではなかった。
1.共役ジオレフィン化合物を含む単量体をリチウム系多官能重合開始剤の存在下に重合し、重量平均分子量が1,000〜45,000である(共)重合体とする工程〔I〕と、
上記(共)重合体と、下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるスズ化合物とを反応させる工程〔II〕と、
を順次備え、スズ元素の含有量が3,000〜30,000ppmであり且つ重量平均分子量が50,000以上であるスズ含有重合体を得ることを特徴とするスズ含有重合体の製造方法。
R1 nSnX4−n (1)
(式中、nは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、複数あるXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
R1 mX3−mSn−R2−SnX3−lR1 l (2)
(式中、mは、0、1又は2であり、lは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、R2は、炭素数が1〜20のアルキレン基であり、Xが複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
2.上記工程〔I〕で用いる単量体は、芳香族ビニル化合物を含む請求項1に記載のスズ含有重合体の製造方法。
3.上記工程〔II〕で用いるスズ化合物は、ハロゲン化スズ化合物である請求項1又は2に記載のスズ含有重合体の製造方法。
4.請求項1乃至3のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とするスズ含有重合体。
5.請求項4記載のスズ含有重合体の加工助剤としての使用。
本発明のスズ含有重合体の製造方法は、共役ジオレフィン化合物を含む単量体をリチウム系多官能重合開始剤の存在下に重合し、重量平均分子量が1,000〜45,000である(共)重合体とする工程〔I〕と、上記(共)重合体と、下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるスズ化合物とを反応させる工程〔II〕と、を順次備え、スズ元素の含有量が3,000〜30,000ppmであり且つ重量平均分子量が50,000以上であるスズ含有重合体を得ることを特徴とするスズ含有重合体の製造方法。
R1 nSnX4−n (1)
(式中、nは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、複数あるXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
R1 mX3−mSn−R2−SnX3−lR1 l (2)
(式中、mは、0、1又は2であり、lは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、R2は、炭素数が1〜20のアルキレン基であり、Xが複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(a)金属リチウムと、ジハロゲン化物との反応により得られるジリチウム開始剤
(b)金属リチウムと、ジオレフィン化合物との反応により得られるジリチウム開始剤
(c)有機リチウム化合物と、二置換ビニル基を有する化合物又はアルケニル基を有する化合物との反応により得られるジリチウム開始剤。
これらのうち、反応の簡便さ、ジリチウム率(2官能性)の高さ等から、ジリチウム開始剤(c)が好ましい。
上記工程〔I〕において得られる(共)重合体は、リチウム系多官能重合開始剤を用いたことにより、活性リビング末端を有する重合体である。
このカリウム化合物としては、カリウムアルコキシド、カリウムフェノキシド、カリウムベンジルオキシド、脂肪酸のカリウム塩、芳香族カルボン酸のカリウム塩、有機スルホン酸のカリウム塩、有機亜リン酸のカリウム塩等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪酸のカリウム塩としては、2−エチルヘキサン酸、イソバレリアン酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸等のカリウム塩が挙げられる。
芳香族カルボン酸のカリウム塩としては、安息香酸、フタル酸等のカリウム塩が挙げられる。
また、有機亜リン酸のカリウム塩としては、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸ジフェニル等のカリウム塩が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙げられる。
これらのうち、シクロヘキサンが好ましい。
上記エーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタン、2,2−ビステトラヒドロフルフリルプロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記アミン化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、このMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算によるものである。以下も同様である。
上記(共)重合体のMwを上記範囲とするためには、工程〔I〕の重合条件でリチウム系多官能重合開始剤の使用量を調節すればよい。
R1 nSnX4−n (1)
(式中、nは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、複数あるXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
R1 mX3−mSn−R2−SnX3−lR1 l (2)
(式中、mは、0、1又は2であり、lは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、R2は、炭素数が1〜20のアルキレン基であり、Xが複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
また、R1は、n=2の場合、複数あることになるが、この場合の各R1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
尚、上記一般式(2)の両側のXの数は同じであっても、異なっていてもよく、種類も同一であっても異なっていてもよい。
また、R1は、m=2、及び/又は、l=2の場合、複数あることになるが、この場合の各R1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
尚、上記一般式(2)の両側のR1の数は同じであっても、異なっていてもよく、種類も同一であっても異なっていてもよい。
尚、この工程〔II〕においては、上記一般式(1)で表されるスズ化合物と、上記一般式(2)で表されるスズ化合物とを併用してもよい。
上記工程〔II〕で用いるスズ化合物としては、ハロゲン化スズ化合物が好ましく、特に、トリクロロブチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジクロロジブチルスズ及びジクロロジオクチルスズが好ましい。
また、上記工程〔II〕における反応温度は、通常、0〜120℃の範囲であり、一定温度で行ってもよいし、昇温させながら行ってもよい。
上記カップリング効率は、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%である。
ここで、クロマトグラムから求められた本発明のスズ含有重合体及び未反応の(共)重合体の各ピークの面積を、それぞれ、A1及びA2とすると、カップリング効率C/Eは、下記式で算出される。
C/E(%)=〔A1/(A1+A2)〕×100
また、本スズ含有重合体に結合したスズ元素の含有量は、3,000〜30,000ppmであり、好ましくは5,000〜30,000ppm、更に好ましくは10,000〜30,000ppmである。この含有量が3,000ppm未満では、得られる加硫物の形状保持性が悪化する場合がある。一方、スズ元素の含有量が多すぎると、カーボンブラック等の補強剤を含むゴム組成物とした場合に、補強剤の効果を低下させることがあり、その結果、機械的強度、耐摩耗性等も低下することがある。
上記Mwが小さすぎると、粘稠な状態となり、加工助剤成分として用いる場合に、取り扱いが容易でないことがある。例えば、所定量の添加が容易でない、操作時間がかかる等の問題がある。また、得られる加硫物の力学特性、耐疲労性、耐老化性等が低下する場合がある。
即ち、本スズ含有重合体は、混練工程、更にはこれに続く成形工程を経て、ゴム組成物を製造する際、加工助剤として使用することができる。
尚、本スズ含有重合体は、単独で加工助剤として用いてもよいし、他の成分と混合することによって加工助剤として用いることができる。他の成分としては、例えば、高級脂肪酸、高芳香族系オイル等の酸性物質等が挙げられるが、公知の加工助剤等を用いることもできる。これら他の成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸等が挙げられる。
また、高芳香族系オイルとしては、例えば、クレーゲル法による芳香族成分含量が50質量%以上のものが好ましい。
本スズ含有重合体を上記酸性物質と併用してなる加工助剤を用いる場合には、上記スズ含有重合体の炭素−スズ結合がより容易に開裂するために、補強剤等の分散性が更に向上したゴム組成物を得ることができる。
ゴム成分としては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム組成物を製造する際の本スズ含有重合体の使用量は、ゴム成分の合計100質量部に対して、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは5〜70質量部、更に好ましくは5〜50質量部である。
シリカは、カーボンブラックと併用することにより、良好な摩耗耗性及び破壊強度を発揮し、低ヒステリシス性能及びウエットグリップ性能のバランスをより優れたものとすることができる。
各成分の投入の手段は特に限定されない。特に、本スズ含有重合体を含む加工助剤は、ゴム成分、配合剤等と同時に系内に一括投入してもよいし、分割投入又は連続投入してもよい。また、予め、本スズ含有重合体を含む加工助剤をゴム成分と混合した後、配合剤を添加してもよい。
本スズ含有重合体を加工助剤として用いてなるゴム組成物成形品は、補強剤等の分散性が良好であり、スズ含有重合体がブリードすることなく、また、良好な形状保持性を有する。
1.各種測定方法
各種評価の測定方法は下記の通りである。
(1)ミクロ構造(ビニル結合含量)
赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
(2)結合スチレン含有量
赤外吸収スペクトル法により、検量線を作成し求めた。
(3)重量平均分子量(Mw)、及び、Mwと数平均分子量(Mn)との比による分散度(Mw/Mn)
示差屈折計及び紫外可視検出器を検出器としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)装置(型式「HLC−8120GPC」、東ソー社製)を用い、ポリスチレン換算で求めた。カラムは東ソー社製「TSKgel GMHXL」であり、移動相はテトラヒドロフランである。
スズ含有重合体は、カップリングしていない重合体と比べると、分子量が大きいため、GPCによるクロマトグラムは、両者が分離した形で得られる。従って、カップリング効率は、得られたクロマトグラムを用い、両者の面積の合計に対するスズ含有重合体の面積比率とした。
(5)スズ含有重合体を構成するスズ元素の含有量
一定質量の試料(スズ含有重合体)をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させて濾別した。濾液は、重合体に結合していないスズ化合物を含んでいる。沈殿したスズ含有重合体を乾燥した後、原子吸光分析により、スズ元素の含有量を求めた。
(6)ムーニー粘度(ML1+4)
JIS K6300に準じ、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で測定した。
表3に示す配合処方に従って、各原料成分を250ccラボプラストミル(東洋精機社製)に投入して混練した後、145℃で35分間、プレス加硫を行った。尚、性状が液状であるスズ含有重合体、又は、プロセスオイルを使用する場合は、予めカーボンブラックに一定量を含浸させてから使用した。表4はスズ含有重合体とプロセスオイルの添加量の和を37.5phrとした。得られた加硫物の評価を下記について行った。
・引張強度(TB)及び反発弾性
JIS K6301に準じて測定した。
・耐摩耗性
DIN型摩耗試験機(東洋精機社製)を用い、室温下、荷重10Nで測定した。
・押出加工性
フローテスタ(島津製作所社製)を用い、荷重50kg/g、押出温度100℃の条件で加硫前のゴム組成物を直径1mm、高さ2mmの円柱状のダイから押し出し、流出速度を測定した。流出速度が大きいほど押出加工性が良好である。
・ロール収縮試験
加硫前のゴム組成物100gを、50℃に加温された、間隙が1.5mmの4インチロールに3分間巻き付けることにより、未加硫ロールを得た。その後、この未加硫ロールの表面に、10cm間隔で刻印を打ち、次いで、シーティングを行った。室温下、12時間放置した後、刻印間の長さを測定し、下記式から収縮率(%)を求めた。収縮率100に近いほど加硫前のゴム配合物の形状安定性が良好である。
収縮率(%)=〔(12時間放置後の刻印間の長さ)/10〕×100
・ブリード
縦5cm、横5cm及び高さ3mmに成形した加硫シートを、直径10cmの濾紙上に載置し、50℃の恒温槽に7日間静置した。その後、加硫シートを取り除き、濾紙表面上の濡れの程度を目視で観察し、下記基準で判定した。
「○」・・・濾紙表面に濡れが見られない。
「△」・・・濾紙表面の一部に濡れが見られる。
「×」・・・加硫シートと同面積の濡れが見られる。
実施例1(重合体Aの製造)
窒素ガスで十分置換した内容積5リットルのオートクレーブ反応容器に、脱気したシクロヘキサン2,500g、テトラヒドロフラン(THF)2.5g、1,3−ブタジエン190g及びスチレン10gを仕込んだ後、重合開始剤として、ジリチウム開始剤である1,4−ジリチオブタン(Li−C4−Li)30mmolと、n−ブチルリチウム(n−BuLi)9mmolとを同時に添加した。20℃から断熱下で重合を行い、最高到達温度は65℃であった。重合転化率が100%になったことを確認してから、重合溶液を一部サンプリングした後、カップリング剤(スズ化合物)としてジクロロジオクチルスズ(Oct2SnCl2)15mmolを加えてカップリング反応を行った。
次いで、重合溶液に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.9gを添加し、スチームストリッピングにより脱溶剤を行った。その後、115℃の熱ロールで乾燥することにより、重合体Aを得た(表1参照)。
(1)重合開始剤の調製
Teyssieらによる方法(「Macromolecules」第29巻、2,438〜2,745ページ(1996年))に従い、1,3−ジイソプロペニルベンゼン(DIB)とブチルリチウムとの反応からジリチウム開始剤を得た。尚、この反応は、ブチルリチウム種としてsec−ブチルリチウムを用い、極性化合物としてトリ−n−オクチルアミンをsec−ブチルリチウムと同じモル量を添加して、室温で60分間行った。以下、このジリチウム開始剤を「DIB−ジリチウム(又はDIB−DiLi)」と称する。
重合開始剤としてDIB−ジリチウムを用いた以外は、上記重合体Aの場合と同様にして単量体成分の重合、カップリング反応、脱溶剤及び乾燥を行い、重合体Bを得た(表1参照)。
この重合体Bを分析したところ、ブタジエン部のビニル結合含量は30%、結合スチレン含有量は5%、重量平均分子量は294,000、分散度(Mw/Mn)は3.8、スズ化合物によるカップリング効率(C/E)は80%、ML1+4(100℃)は28、スズ含有量は8,300ppmであった。尚、ジクロロジオクチルスズによるカップリング前の重合体の重量平均分子量は32,000であった(表2参照)。
製造原料の種類及びその使用量を表1のようにした以外は、実施例2と同様にして重合体C〜Gを得た。その後、上記と同様の評価を行い、その結果を表2に併記した。
製造原料の種類及びその使用量を表1のようにした以外は、実施例2と同様にして重合体H〜Kを得た。その後、上記と同様の評価を行い、その結果を表2に併記した。
重合開始剤としてDIB−ジリチウムを用いず、n−ブチルリチウム13mmolのみを添加して重合を行い、重合転化率が100%になってから添加するジクロロジオクチルスズ量を4mmolにした以外は、実施例2と同様にして重合体Lを得た。その後、上記と同様の評価を行い、その結果を表2に併記した。
カップリング剤としてのジクロロジオクチルスズを用いなかった以外は、実施例2と同様にして重合体Lを得た(表1参照)。その後、上記と同様の評価を行い、その結果を表2に併記した。
ジクロロジオクチルスズに代えてジメチルジクロルシラン((CH3)2SiCl2)をカップリング剤として用いた以外は、実施例2と同様にして重合体Mを得た(表1参照)。その後、上記と同様の評価を行い、その結果を表2に併記した。
一方、実施例1〜7は、ジリチウム開始剤で重合した後、ジクロロジオクチルスズで変性した例であり、カップリング効率が高く、重量平均分子量(Mw)がカップリング前の重合体のMwの5倍以上を示し、ゴム状となった。実施例1〜7等の結果から、カップリング前の重合体のMwが小さく、液状の重合体であっても、ジリチウム開始剤で重合した後にカップリング反応を行うとMwが大幅に上昇し性状がゴム状に変化することが分かる。
実施例8〜14及び比較例8〜14
上記で得た重合体A〜Nを加工助剤として用い、下記成分とともに、表3に示す配合処方で混練し、加硫物を作製し、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
(1)ゴム成分(乳化重合SBR)
商品名「#1500」、JSR社製
(2)カーボンブラック
商品名「ダイヤブラックN330」、三菱化学社製
(3)老化防止剤(N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン)
商品名「ノクラック810NA」、大内新興化学工業社製
(4)加硫促進剤(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド)
商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業社製。
加工助剤として、芳香族系プロセスオイル(商品名「フッコールAROMAX#3」、富士興産社製)を用いた以外は、実施例10と同様にして加硫物を作製し、物性評価を行った。その結果を表4に併記した。
加工助剤を用いなかった以外は、実施例10と同様にして加硫物を作製し、物性評価を行った。その結果を表4に併記した。
一方、実施例8〜14は、加工助剤がゴム状であるために配合操作が容易であり、流出速度が比較例11(0.0056ml/sec)よりも大幅に改良され(0.018〜0.030ml/sec)、得られた加硫物の特性も良好であった。また、加硫シートからのブリードが全く見られなかった。
実施例1で得た重合体Aと、上記プロセスオイルとを表5に示す質量割合で併用したものを加工助剤として実施例8と同様にして加硫物を作製し、物性評価を行った。その結果を表5に併記した。
Claims (5)
- 共役ジオレフィン化合物を含む単量体をリチウム系多官能重合開始剤の存在下に重合し、重量平均分子量が1,000〜45,000である(共)重合体とする工程〔I〕と、
上記(共)重合体と、下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるスズ化合物とを反応させる工程〔II〕と、
を順次備え、スズ元素の含有量が3,000〜30,000ppmであり且つ重量平均分子量が50,000以上であるスズ含有重合体を得ることを特徴とするスズ含有重合体の製造方法。
R1 nSnX4−n (1)
(式中、nは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、複数あるXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
R1 mX3−mSn−R2−SnX3−lR1 l (2)
(式中、mは、0、1又は2であり、lは、0、1又は2であり、Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基、エステル基及びカルボキシル基から選ばれる官能基であり、R1は、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基及び炭素数が6〜20の芳香族炭化水素基から選ばれる官能基であり、R2は、炭素数が1〜20のアルキレン基であり、Xが複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよく、R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。) - 上記工程〔I〕で用いる単量体は、芳香族ビニル化合物を含む請求項1に記載のスズ含有重合体の製造方法。
- 上記工程〔II〕で用いるスズ化合物は、ハロゲン化スズ化合物である請求項1又は2に記載のスズ含有重合体の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とするスズ含有重合体。
- 請求項4記載のスズ含有重合体の加工助剤としての使用。
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JP2004088109A JP2005272643A (ja) | 2004-03-24 | 2004-03-24 | スズ含有重合体及びその製造方法並びに加工助剤としての使用 |
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