JP2008297460A - 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物および樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物および樹脂組成物 Download PDF

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和哉 伊東
Masao Nakamura
昌生 中村
Eitetsu Yamagishi
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Abstract

【課題】熱安定性が高く、耐衝撃性に優れ高い透明性を有する樹脂組成物を与える、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を提供すること。
【解決手段】共役ジエン単量体単位を主として含む共役ジエンブロックと、芳香族ビニル単量体単位を主として含む芳香族ビニルブロックと、を含んでなるブロック共重合体、および、特定の2種類の安定剤を所定量含有し、かつ、前記ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が20〜30重量%である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物およびこのブロック共重合体組成物を含んでなる樹脂組成物に係り、さらに詳しくは、熱安定性が高く、耐衝撃性に優れ高い透明性を有する樹脂組成物を与える、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、それを含んでなる樹脂組成物に関する。
スチレン系樹脂などの芳香族ビニル樹脂は、成形性や機械的特性に優れていることに加え、安価であることから種々の用途に使用されている。特にポリブタジエンで補強されたゴム変性スチレン系樹脂は、優れた耐衝撃性等の物性を有しており、家電分野などに幅広く利用されている。しかしながら、ゴム変性スチレン系樹脂は、ポリブタジエンで補強することにより、耐衝撃性は改良されるものの、透明性が著しく低下するという欠点を有している。
耐衝撃性を有し、透明性が改善されたスチレン系樹脂成形品を得るために、たとえば、特許文献1〜4では、n−ブチルリチウムなどのアルカリ金属触媒を用いて重合されたスチレン−ブタジエンブロック共重合体をスチレン系樹脂に配合する方法が提案されている。これらの文献記載の方法によると、分散ゴム粒子径を小さくすることができ、これにより、透明性に優れた樹脂を得ることができ、食品包装容器、OA機器の各種部品、医療器具類の部品、光学部材分野に利用することが可能となった。
さらに、透明性および耐衝撃性に優れたスチレン系樹脂として、たとえば、特許文献5〜7では、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の存在下でスチレンモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物とを含有する一種あるいはそれ以上の混合溶液を用い、グラフト共重合させる方法が開示されている。しかしながら、これらの文献記載の方法において用いられているブロック共重合体は、共役ジエンブロック中に不飽和二重結合を有するため、熱や酸素に対する安定性が低く、多大の熱エネルギーを受けた際にゲル分が多くなったり、色調が悪くなったりする。そのため、これらの文献記載の方法により得られるスチレン系樹脂を用いた成形品は、ブロック共重合体の影響により、フィッシュ・アイが多い成形品や透明性が劣る成形品となってしまうという問題を有している。
したがって、このような熱安定性を改良するために、通常は、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤等が添加されている。たとえば、特許文献8では、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体の存在下に、芳香族ビニル系化合物および(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を共重合させてゴム変性芳香族ビニル系共重合樹脂を得る際に、特定のフェノール系安定剤を数種類組み合わせて用いる方法が開示されている。しかしながら、この文献では、使用するブロック共重合体の溶液粘度が高いために、樹脂製造時の消費エネルギーが高いという問題や、得られる樹脂中のゴム粒子径が不均一になり易く、得られる樹脂の透明性が低下してしまうという問題があった。
特公昭48−18594号公報 特公昭60−57443号公報 特開昭64−74208号公報 特開昭64−74209号公報 特開昭52−124095号公報 特開昭62−169812号公報 特開昭62−151415号公報 特開2002−338776号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、熱安定性が高く、耐衝撃性に優れ高い透明性を有する樹脂組成物を与える、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物、およびこの芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を含んでなる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体に、特定の2種類のフェノール系安定剤を所定量含有させ、かつ、共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合を所定の範囲に制御することにより、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、共役ジエン単量体単位を主として含む共役ジエンブロック、および芳香族ビニル単量体単位を主として含む芳香族ビニルブロック、を含んでなるブロック共重合体と、下記式(1)で表される安定剤と、下記式(2)で表される安定剤と、を含有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物であって、
前記ブロック共重合体100重量部に対する、下記式(1)で表される安定剤の含有量が0.005重量部以上、0.05重量部未満であり、下記式(2)で表される安定剤の含有量が0.01重量部以上、0.1重量部未満であり、
前記ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が20〜30重量%である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物が提供される。
Figure 2008297460
(上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基であり、Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)
Figure 2008297460
(上記式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜22のアルキル基である。)
好ましくは、前記ブロック共重合体が実質的に直鎖状の構造であり、
前記ブロック共重合体は、炭化水素系溶媒中、ルイス塩基の存在下に有機金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合することによって得られる共重合体である。
好ましくは、前記共役ジエン単量体単位が1,3−ブタジエン単位であり、前記芳香族ビニル単量体単位がスチレン単位である。
好ましくは、前記ブロック共重合体における、前記芳香族ビニル単量体単位の含有量が、全単量体単位100重量%に対して、30〜55重量%である。
好ましくは、5重量%スチレン溶液とした場合における、温度25℃での溶液粘度が7〜20mPa・sである。
また、本発明によれば、上記いずれかの芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を含んでなる樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、熱安定性が高く、耐衝撃性に優れ高い透明性を有する樹脂組成物を与える、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物、およびこの芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を含んでなり、上記特性を有する樹脂組成物を提供することができる。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、
共役ジエン単量体単位を主として含む共役ジエンブロック、および芳香族ビニル単量体単位を主として含む芳香族ビニルブロック、を含んでなるブロック共重合体と、上記式(1)で表される安定剤と、上記式(2)で表される安定剤と、を含有し、
ブロック共重合体100重量部に対する、上記式(1)で表される安定剤の含有量が0.005重量部以上、0.05重量部未満であり、上記式(2)で表される安定剤の含有量が0.01重量部以上、0.1重量部未満であり、
ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が20〜30重量%である。
このような本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、主に基材樹脂と組み合わせて用いられ、基材樹脂の特性を改質する改質剤として作用するものである。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体
本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、共役ジエン単量体単位を主として含む共役ジエンブロック、および芳香族ビニル単量体単位を主として含む芳香族ビニルブロックを含み、共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が20〜30重量%の範囲にあるブロック共重合体である。このような本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合することにより製造される。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、たとえば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも1,3−ブタジエンや2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましく、特に1,3−ブタジエンが好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中における、芳香族ビニル単量体単位の含有量は、全単量体単位100重量%に対して、好ましくは30〜55重量%、より好ましくは35〜50重量%である。芳香族ビニル単量体単位の含有量が少なすぎると、高温での溶融安定性(熱安定性)に劣る傾向にある。一方、多すぎると、基材樹脂と組み合わせて樹脂組成物とした際に、低温での耐衝撃性に劣る傾向にある。また、共役ジエン単量体単位の含有量は、全単量体単位100重量%に対して、好ましくは45〜70重量%、より好ましくは50〜65重量%である。
本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体における、ブロック芳香族ビニル量(芳香族ビニルブロックを形成する芳香族ビニル単量体単位の量)は、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、芳香族ビニル単量体単位の全含有量に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。ブロック芳香族ビニル量を、上記範囲とすることにより、特に高温での溶融安定性(熱安定性)を向上させることができる。なお、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体における、ブロック芳香族ビニル量は、常法に従って測定することができる。具体的には、たとえば、L.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.,1,429(1948)に記載されているオスミウム酸分解法に従って、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を、触媒量のオスミウム酸を用いて、tert−ブチルハイドロパーオキサイドで酸化分解した後に、平均孔径5.0μmのガラスフィルターで濾別されるものの割合を測定することにより、ブロック芳香族ビニル量を求めることができる。
本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が、20〜30重量%であり、好ましくは21〜28重量%である。ビニル結合量を上記範囲とすることにより、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とした場合に、均一かつ十分に基材樹脂と反応させることができ、その結果、得られる樹脂組成物の耐衝撃性および透明性を向上させることができる。特に、本発明においては、ビニル結合量を上記範囲とすることにより、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の分子量を比較的に低くした場合においても、耐衝撃性および透明性を十分に向上させることができる。ビニル結合量が少なすぎると、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とした際に、耐衝撃性および透明性が低下する傾向にある。一方、多すぎると、後述するブロック共重合体の存在下で基材樹脂を構成することとなる単量体をラジカル重合させて樹脂組成物を得る場合において、基材樹脂との架橋反応が進行しすぎてしまい、ブロック共重合体の有するゴム弾性が低下して、結果として、耐衝撃性が低下する傾向にある。また、基材樹脂との架橋反応の進行が速すぎてしまうため、分散性が不十分となり、結果として、透明性も低下してしまう傾向にある。なお、共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合以外の不飽和結合は、通常、1,4−結合を形成している。この1,4−結合は、シス型、トランス型のいずれでもよい。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPCで測定されるポリスチレン換算の値で、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは80,000〜400,000、さらに好ましくは100,000〜350,000の範囲である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が低すぎると、基材樹脂と組み合わせて樹脂組成物とした際に耐衝撃性が低下するおそれがある。一方、高すぎると、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とした際に、透明性が低下する場合がある。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の分子量分布は、GPCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.15以下、さらに好ましくは1.10以下である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の分子量分布が広すぎると、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とした際に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の分散が不均一になり、耐衝撃性および透明性が低下する場合がある。
また、本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体は、実質的に直鎖状の構造を有することが好ましい。すなわち、ブロック共重合体中に、分岐構造がほとんど存在しないものが好ましい。実質的に直鎖状の構造とすることにより、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とする際に、充分な耐衝撃性を得るためのブロック共重合体の配合量を少なくできるという利点がある。
本発明に係る芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、炭化水素系溶媒中、ルイス塩基の存在下に、有機金属化合物を開始剤として用いて、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合する方法が挙げられる。
本発明においては、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合するに当り、少なくとも共役ジエン単量体のみを重合する独立の工程を設けることが好ましい。この際には、共役ジエン単量体のみを重合する工程(i)と、芳香族ビニル単量体のみを重合する工程(ii)と、の組み合わせ、および/または、共役ジエン単量体のみを重合する工程(i)と、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との混合物を重合する工程(iii)と、の組み合わせで重合を行う。
また、炭化水素系溶媒としては、特に限定されないが、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;などが用いられる。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機金属化合物としては、たとえば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、有機ランタノイド系列希土類金属化合物などのアニオン重合可能な有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、重合反応性、経済性などの観点から、有機アルカリ金属化合物が特に好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン;などが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
これらの有機金属化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機金属化合物の使用量は、得られるブロック共重合体の分子量に応じて適宜選択すれば良いが、全単量体100g当り、通常0.01〜20ミリモル、好ましくは0.05〜15ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
ルイス塩基としては、たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの第三級アミン類;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;等の化合物が挙げられる。これらのなかでも、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。ルイス塩基を添加することにより、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体のビニル結合量を調整することができる。これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ルイス塩基の使用量は、用いるルイス塩基の種類によって異なるが、用いる有機金属化合物1モルに対して通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.25モルである。
重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれでもよく、通常は0〜150℃、好ましくは20〜120℃の温度範囲で行われる。重合反応終了後は、常法により、停止剤として水、あるいはメタノール、イソプロパノールなどのアルコール類を添加して重合反応を停止することにより、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を得ることができる。
安定剤
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体に加えて、上記式(1)で表される安定剤と、上記式(2)で表される安定剤と、を含有する。
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基であり、好ましくはn−オクチル基またはn−ドデシル基である。Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは、水素原子またはメチル基である。Rは、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基またはシクロオキシル基であり、より好ましくは、メチル基、tert−ブチル基またはシクロヘキシル基である。
上記式(1)で表される安定剤の具体例としては、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、2,4−ビス(n−ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール、2,4−ビス(フェニルチオメチル)−3−メチル−6−tert−ブチルフェノールなどが挙げられ、本発明では、特に、RおよびRがn−オクチル基、Rが水素原子、およびRがメチル基であり、下記式(3)で表される2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノールが好ましい。
Figure 2008297460
上記式(1)で表される安定剤の含有量は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体100重量部に対して、0.005重量部以上、0.05重量部未満であり、好ましくは0.008〜0.045重量部、より好ましくは0.010〜0.040重量部である。上記式(1)で表される安定剤の含有量が少なすぎると、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の熱や酸素に対する安定性が低くなり、多大の熱エネルギーを受けた際にゲル分が多くなったり、色調が悪くなったりする。一方、多すぎると、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の色調が悪化したり、得られる樹脂組成物の耐衝撃性および透明性が低下する傾向にある。
また、上記式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくはtert−ブチル基である。Rは、炭素数2〜22のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基またはオクタデシル基である。
本発明では、上記式(2)で表される安定剤としては、RおよびRがtert−ブチル基、およびRがオクタデシル基であり、下記式(4)で表されるn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
Figure 2008297460
上記式(2)で表される安定剤の含有量は、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体100重量部に対して、0.01重量部以上、0.1重量部未満であり、好ましくは0.02〜0.095重量部、より好ましくは0.03〜0.090重量部である。上記式(2)で表される安定剤の含有量が少なすぎると、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の熱や酸素に対する安定性が低くなり、多大の熱エネルギーを受けた際にゲル分が多くなったり、色調が悪くなったりする。一方、多すぎると、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の色調が悪化したり、得られる樹脂組成物の耐衝撃性および透明性が低下する傾向にある。
本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体に、上記式(1)で表される安定剤および上記式(2)で表される安定剤を添加することにより製造される。各安定剤の添加時期としては、特に限定されないが、たとえば、重合反応により、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を得て、その後、水やアルコール類を添加することにより重合を停止した後とすれば良い。そして、各安定剤を添加した後、直接乾燥やスチームストリッピングなどの方法で、重合反応に用いた溶媒を除去し、乾燥することにより、本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を得ることができる。
このようにして得られる本発明の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、5重量%スチレン溶液とした場合における、温度25℃での溶液粘度が、好ましくは7〜20mPa・s、より好ましくは8〜18mPa・s、さらに好ましくは9〜16mPa・sである。5重量%スチレン溶液とした場合における粘度を、上記範囲とすることにより、基材樹脂と組み合わせて、樹脂組成物とする際に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を均一に分散させることができ、その結果、得られる樹脂組成物の耐衝撃性および透明性の向上が可能となる。また、粘度を、上記範囲とすることにより(すなわち、比較的に低粘度とすることにより)、撹拌や移送に要する消費エネルギーの低減を図ることができ、これにより製造コストの削減が可能となる。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上記芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を含有してなるものである。本発明の樹脂組成物中において、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物は、主として、基材樹脂の特性を改質する改質剤として、作用する。
本発明の樹脂組成物に用いられる基材樹脂としては、特に限定されないが、芳香族ビニル単量体単位を含有する芳香族ビニル系樹脂や、オレフィン系樹脂などが挙げられる。
芳香族ビニル系樹脂の具体例としては、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、メチルメタクリレート−スチレン樹脂などが挙げられる。
また、オレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
さらに、基材樹脂は、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル等の樹脂であってもよい。
これらのなかでも、芳香族ビニル単量体単位を含んでなる芳香族ビニル系樹脂が特に好ましい。これらの基材樹脂は、一種類を単独で使用しても、二種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中における、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物/基材樹脂の配合比率は、好ましくは2/98〜50/50、より好ましくは3/97〜40/60、さらに好ましくは5/95〜30/70である。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の比率が高すぎると、樹脂組成物の光沢、剛性、耐候性、硬度等が低下するおそれがある。一方、基材樹脂の比率が高すぎると、耐衝撃性が低下する可能性がある。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を機械的に混合する方法でも良いが、本発明においては、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の存在下で、基材樹脂を構成することとなる単量体をラジカル重合させる方法が好ましい。このようにして樹脂組成物を得ることにより、ブロック共重合体中の二重結合の一部が基材樹脂との間に架橋反応を起こし、その結果、耐衝撃性により優れた樹脂組成物を得ることができる。
たとえば、基材樹脂を芳香族ビニル系樹脂とする場合には、このような基材樹脂を構成することとなる単量体としては、芳香族ビニル単量体、および芳香族ビニル単量体と共重合可能なその他の共重合可能な単量体が挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1−4−ジクロルスチレン、2−4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのニトリル系単量体;メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和酸系単量体;フェニルマレイミド;等が挙げられる。これらの中でも、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、α,β−不飽和酸系単量体が好ましく、ニトリル系単量体が特に好ましい。これらの芳香族ビニルと共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。芳香族ビニル単量体とその他の共重合可能な単量体との使用割合は、「芳香族ビニル単量体:共重合可能な単量体」の重量比で、通常50〜100:50〜0、好ましくは55〜95:45〜5、より好ましくは60〜90:40〜10の範囲である。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の存在下で、基材樹脂を構成することとなる単量体を重合する際には、通常、重合反応器中で芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を、基材樹脂を構成することとなる単量体に、溶解または分散させて重合を行う。重合方法としては、特に限定されないが、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法等が挙げられる。
塊状重合法では、基材樹脂の単量体中に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を溶解または分散させ、開始剤、および、必要に応じて添加される分子量調節剤、滑剤等の重合副資材を添加し、不活性ガス雰囲気下で攪拌しながら重合すればよい。塊状重合法で重合する場合は、重合温度は60〜200℃が好ましい。
懸濁重合法では、塊状重合法と同様に、基材樹脂の単量体中に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を溶解または分散させ、開始剤、および、必要に応じて添加される分子量調節剤、滑剤等の重合副資材を添加した溶液を、懸濁安定剤を溶解した水溶液中に分散させ、撹拌することにより懸濁状態を保持しつつ重合し、重合反応終了後に十分に水洗することにより懸濁安定剤を除去して、目的の樹脂組成物を回収すればよい。懸濁重合法で重合する場合は、重合温度は60〜150℃が好ましい。
溶液重合法では、トルエンなどを溶媒とした単量体溶液中に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を溶解または分散させ、開始剤、および、必要に応じて添加される分子量調節剤、滑剤等の重合副資材を添加し、不活性ガス雰囲気下で攪拌しながら重合すればよい。溶液重合法で重合する場合は、重合温度は60〜200℃が好ましい。
また、基材樹脂を構成することとなる単量体の10〜50重量%程度が重合するまで塊状重合し、次いで、懸濁重合したり、溶液重合したりする二段階重合法で重合してもよい。そして、重合終了後、常法により凝固・乾燥等の処理を行うことにより、樹脂組成物を得ることができる。
なお、塊状重合や懸濁重合に際しては、必要に応じて、少量のベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の希釈溶剤を用いても良い。
また、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を機械的に混合することにより、樹脂組成物を製造する場合には、たとえば、一軸押出機または二軸等の多軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等の各種混練装置を用いて混合を行えば良い。混合温度は、好ましくは100〜250℃の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K7210に準拠して、220℃、10kgの荷重で測定したメルトフローレートの下限が、好ましくは5、より好ましくは10のものであり、上限が好ましくは80のものである。メルトフローレートが上記範囲内にあることにより、樹脂組成物の成形加工性と、得られる成形品の耐衝撃性と、を高度にバランスさせることができる。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、樹脂工業において通常使用される各種配合剤を添加することができる。このような配合剤としては、たとえば、熱安定剤、ミネラルオイル、流動パラフィン、有機または無機の充填剤、耐候安定剤、耐光安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、離型剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、高い透明性を有するものである。そのため、本発明の樹脂組成物は、このような特性を生かし、広範な用途に使用可能であるが、特に、優れた耐衝撃性が要求される用途に好適に用いられ、たとえば、洗濯機、エアコン、冷蔵庫、AV機器、パソコン、OA機器等の家電製品;玩具、食品用トレー、包装容器、化粧品容器、シート等の雑貨;自動車内外装、住宅資材等の構造材料;電話、携帯電話;楽器;等に好適に用いることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物および樹脂組成物は、以下の方法により評価した。
各単量体単位の含有量、ビニル結合量
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物を構成するブロック共重合体中の各単量体単位の含有量、および共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量は、NMR装置(JEOL社製 400MHz)を用いて、プロトンNMR測定を行うことにより求めた。
5重量%スチレン溶液粘度
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物をポリマー濃度が5%となるようにスチレン中に2時間以上かけて溶解させ、得られた溶液の粘度を、25℃において、オストワルド粘度計を用いて測定した。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の初期色調
まず、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物の5.43%トルエン溶液を調製し、得られた溶液について、色測定器(日本電色工業社製、商品名「OME−2000」)を用いて、色調測定を行い、トルエン溶剤のみの場合の色調値を0とする相対評価により、初期色調(APHA)を評価した。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物の加熱後の色調
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物を、80℃、2週間の条件にて加熱し、加熱後の組成物を目視にて観察することにより、加熱試験後の色調を評価した。なお、色調の評価は以下の基準で行った。
○:透明〜淡黄色
×:黄色〜茶色
加熱後のトルエン不溶解分
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物を、80℃、2週間の条件にて加熱し、加熱後の組成物0.75gをトルエン50gに溶解し、次いで、150メッシュの金網でろ過することによりトルエン可溶分を取り除いた。そして、ろ過後の残存物を真空乾燥機を用いて、60℃、2時間乾燥して得られた乾燥後の残存物をトルエン不溶解分と判断し、加熱後の組成物のトルエン不溶解分を測定した。なお、本実施例においては、加熱後の組成物の重量に対するトルエン不溶解分の重量の割合を算出することにより、トルエン不溶解分の多少を評価した。加熱後の組成物におけるトルエン不溶解分が少ない程、熱安定性に優れていると判断できる。
樹脂組成物の色調
樹脂組成物を目視にて観察することにより、樹脂組成物の色調を評価した。なお、色調の評価は以下の基準で行った。
○:透明〜淡黄色
×:黄色〜茶色
樹脂組成物の曇価(透明性)
樹脂組成物の曇価は、JIS K7105に準拠して測定した。
樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(耐衝撃性)
樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(ノッチ付き、23℃)を、JIS K7111に準拠して測定することにより、樹脂組成物の耐衝撃性の評価を行った。
実施例1
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物の製造
コンデンサーおよび攪拌器を備えたジャケット付オートクレーブ(2000L)に、溶媒(n−ブタン/シクロヘキサン=30/70)600kg、および1,3−ブタジエン90.0kgを添加し、次いで、テトラメチルエチレンジアミンを0.38モル添加し、系の温度を50℃に調整した。そして、0.9モル/Lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を、少量ずつ慎重に滴下しながら、圧力上昇と温度上昇を確認して、重合反応が進行する直前まで、滴下を継続した。その後、0.9モル/Lのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液を、リチウム原子換算で、2.0モルとなるように添加し、重合を開始させた。
次いで、重合反応開始15分後から1,3−ブタジエン35.0kgを20分にわたって添加した。反応系の温度は、反応開始後30分で80℃に達し、その後はコンデンサーを制御することにより、系の温度を80℃に維持した。そして、1,3−ブタジエンの添加を終了した30分後に、重合転化率は実質的に100%となり、反応系中に未反応の単量体が実質的に存在していないことを確認した。次いで、系の温度を80℃に維持したまま、この反応系に、スチレン75.0kgを50分にわたって添加し、スチレンの添加を終了した30分後に、重合転化率は実質的に100%となり、反応系中に未反応の単量体が実質的に存在していないことを確認した後に、イソプロピルアルコール2.00モルを添加して、重合反応を停止した。
そして、反応停止後、この反応系に、上記式(3)で表される安定剤(2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名イルガノックス1520L)80g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.04部に相当する量)、および上記式(4)で表される安定剤(n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名イルガノックス1076)180g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.09部に相当する量)を添加して、均一に分散させ、そして、スチームストリッピング法により脱溶媒して、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物のスラリーを得た。
その後、得られた芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物のスラリーを、水絞り器を用いて脱水して、約10〜15%の含水率のクラムとした。そして、得られたクラムを135℃に加熱された一軸押し出し機に入れ、押し出しして水分を揮発させ、70℃の温風でさらに乾燥することで、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物を得た。得られた芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物について、上記方法により、各単量体単位の含有量、ビニル結合量、5重量%スチレン溶液粘度、初期色調、加熱後の色調、および加熱後のトルエン不溶解分の各測定、評価を行った。結果を表1に示す。
樹脂組成物の製造
まず、上記にて得られた芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物10.0部、スチレン46.0部、メタクリル酸メチル54.0部およびエチルベンゼン10.0部よりなる原料溶液を調合した。そして、3段の攪拌式重合槽列反応器を用いて、重合反応を行った。具体的には、第2段目の攪拌式重合槽に第1段目の槽から上記にて調合した原料溶液を連続的に供給すると同時に、第2段目の攪拌式重合槽にスチレンおよびメタクリル酸メチルの合計100部に対して、開始剤としての1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02部を、連鎖移動剤としてのt−ドデシルメルカプタン0.1重量部をそれぞれ連続的に供給した。さらに、第3段目の攪拌式重合槽に第2段目の槽から重合反応液を連続的に供給するとともに、第3段目の槽より重合反応液を予熱器と真空室より成る脱揮発分槽に導いた。最終的に、単量体および溶剤を実質的完全に除去し、更に造粒工程を経ることにより樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、上記方法により、色調、曇価(透明性)、シャルピー衝撃強度(耐衝撃性)の各測定、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
上記式(4)で表される安定剤の添加量を180gから80g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.04部に相当する量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
上記式(3)で表される安定剤の添加量を80gから40g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.02部に相当する量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
0.9モル/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液のリチウム原子換算での使用量を2.0モルから、1.2モルに変更し、テトラメチルエチレンジアミンの使用量を0.38モルから、0.23モルに変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
上記式(3)で表される安定剤の添加量を80gから400g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.2部に相当する量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
上記式(4)で表される安定剤の添加量を180gから400g(芳香族ビニル−共役ジエン共重合体100部に対して、0.2部に相当する量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3,4
テトラメチルエチレンジアミンの使用量を0.38モルから、それぞれ、0.01モル(比較例3)、0.85モル(比較例4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
テトラメチルエチレンジアミンの使用量を0.38モルから、0.01モルに変更するとともに、0.9モル/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液のリチウム原子換算での使用量を2.0モルから、1.2モルに変更した以外は、実施例1と同様にして、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物および樹脂組成物を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008297460
表1に示すように、本発明の芳香族ビニル−共役ジエン共重合体組成物は、色調が良好で(色調値が低く)、熱安定性に優れる。また、本発明の樹脂組成物は、色調が良好で、透明性および耐衝撃性に優れる(実施例1〜4)。
一方で、上記式(3)および(4)で表される安定剤を使用したにも拘わらず、その配合量が多すぎる場合には、ブロック共重合体組成物の色調や、樹脂組成物の透明性および耐衝撃性などに劣る結果となった(比較例1,2)。
また、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量が多すぎる場合および少なすぎる場合のいずれも樹脂組成物の透明性および耐衝撃性に劣る結果となった(比較例3〜5)。

Claims (6)

  1. 共役ジエン単量体単位を主として含む共役ジエンブロック、および芳香族ビニル単量体単位を主として含む芳香族ビニルブロック、を含んでなるブロック共重合体と、下記式(1)で表される安定剤と、下記式(2)で表される安定剤と、を含有する芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物であって、
    前記ブロック共重合体100重量部に対する、下記式(1)で表される安定剤の含有量が0.005重量部以上、0.05重量部未満であり、下記式(2)で表される安定剤の含有量が0.01重量部以上、0.1重量部未満であり、
    前記ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合量の割合が20〜30重量%である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
    Figure 2008297460
    (上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基であり、Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)
    Figure 2008297460
    (上記式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数2〜22のアルキル基である。)
  2. 前記ブロック共重合体が実質的に直鎖状の構造であり、
    前記ブロック共重合体は、炭化水素系溶媒中、ルイス塩基の存在下に有機金属化合物を開始剤として、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とを共重合することによって得られる共重合体である請求項1に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
  3. 前記共役ジエン単量体単位が1,3−ブタジエン単位であり、前記芳香族ビニル単量体単位がスチレン単位である請求項1または2に記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
  4. 前記ブロック共重合体における、前記芳香族ビニル単量体単位の含有量が、全単量体単位100重量%に対して、30〜55重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
  5. 5重量%スチレン溶液とした場合における、温度25℃での溶液粘度が7〜20mPa・sである請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体組成物と、基材樹脂と、を含んでなる樹脂組成物。
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