JP2003113281A - 射出成形用組成物 - Google Patents
射出成形用組成物Info
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Abstract
高剛性、高表面硬度で、5℃以下の耐衝撃性に優れた射
出成形品を提供すること。 【解決手段】 (I)ビニル芳香族炭化水素含有量が6
0〜95重量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合
わせた含有量が40〜5重量%で、イソプレンと1,3
−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/45未満
の範囲である特定のブロック共重合体、及び(II)ポ
リスチレン樹脂からなる特定配合組成の射出成形用組成
物。
Description
は、高温長時間滞留後の透明性の悪化が小さく、得られ
る成形品は透明で剛性と表面硬度が高い上、成形品を5
℃以下で使用する際の耐衝撃性に優れた成形品を提供す
る。
い、ビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン及びイ
ソプレンに代表される共役ジエンからなるブロック共重
合体は、優れた透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射
出成形用途、シート、フィルム等の押出し成形用途等に
使用されている。とりわけ該ブロック共重合体、及びそ
れを用いたスチレン系重合体との組成物は、透明性、機
械特性に優れることから、いくつかの提案がなされてい
る。例えば特開昭52−58788号公報には透明性と
耐衝撃性を改良する目的で触媒を分割添加した分岐状ブ
ロック共重合物が、特開昭53−8688号公報には熱
に安定な樹脂状ブロックポリマーを得るため、イソプレ
ンと1,3−ブタジエンを逐次添加する製造方法が、特
開平2−113007号公報には耐衝撃性のブロック共
重合体を得るため、イソプレンを主体とする重合体ブロ
ックを有する特定構造のブロック共重合体が、特開昭5
8−141233号公報には透明性や表面光沢性などの
外観特性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性重合体組成物を
得るため、分子量の増加と共に変化する組成分布を有す
るブロック共重合体混合物と熱可塑性樹脂との組成物
が、特開平4−277509号公報には環境応力亀裂性
を改良するため、触媒を分割添加した漸変性ブロック共
重合体の製造方法が、特開平5−177777号公報に
は低温高速成形性、深絞り成形性の改良された剛性の高
い熱可塑性樹脂製の多層シートを得るため、表層に特定
の弾性率を有する樹脂と該樹脂とビカット軟化点の比が
特定の範囲にある樹脂層からなる多層シートが、特開昭
63−145314号公報には優れた透明性と機械的特
性を得るため、S1−B1−B/S−S2構造のブロッ
ク共重合体の製造方法が、特開平7−97418号公報
には透明性と耐衝撃性及びビニル芳香族炭化水素重合体
の補強性を改良するため、ブロック率、重合体ブロック
の配置、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダ
ム共重合した部分の共役ジエン量比率等に特徴を持たせ
たブロック共重合体、及びその組成物が夫々記載されて
いる。しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と
共役ジエンからなるブロック共重合体とポリスチレン樹
脂からなる組成物は、射出成形用途において、高温長時
間滞留した際の成形品の透明性、射出成形品の5℃以下
での高耐衝撃性、及び高剛性と高表面硬度の全てを満足
するものは無く、これらの文献にはそれらを改良する方
法が開示されておらず、依然として市場での問題点が指
摘されている。
滞留後の透明性を改良し、透明、高剛性、高表面硬度を
有し、5℃以下の耐衝撃性に優れた射出成形品の提供を
目的とする。
ー構造を有するビニル芳香族炭化水素とイソプレン及び
1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体とポリス
チレン樹脂とからなる組成物、更には該ブロック共重合
体に特定の安定剤を組み合わせることによって、高温長
時間滞留後の透明性を改良し、透明、高剛性、高表面硬
度で、5℃以下の耐衝撃性に優れることを見出し完成さ
れたものである。
水素を主体とする少なくとも2つの重合体ブロックS
と、a)イソプレン、又はイソプレンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロック、b)
1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジエンとビニル
芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロッ
ク、c)イソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプ
レンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素から
なる少なくとも1つの重合体ブロックのa)〜c)の組
合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)とc)、(ハ)
a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、(ホ)c)であ
る(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいずれかの重合体ブ
ロックBとを含有するブロック共重合体で、該ブロック
共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重
量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有
量が40〜5重量%であって、該ブロック共重合体中の
イソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が5/95以
上、55/45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含
有されるビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル
芳香族炭化水素のブロック率が60〜100重量%であ
ることを特徴とするブロック共重合体と、(II)ポリ
スチレン樹脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と
該(II)ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を10
0重量%として、(I)は5重量%以上、30重量%未
満、(II)は70重量%を超え、95重量%未満であ
ることを特徴とする射出成形用組成物、
ロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕
−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2
−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ
ート、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕
−o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1
種の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して
0.05〜3重量部添加してなる上記1に記載の射出成
形用組成物、および3.ブロック共重合体中のイソプレ
ンと1,3−ブタジエンの重量比が10/90以上、5
5/45未満の範囲であることを特徴とする上記1また
は2に記載の射出成形用組成物、に関する。
本発明に使用するブロック共重合体は、炭化水素溶媒
中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭
化水素とイソプレン及び1,3−ブタジエンを重合する
ことにより得るものである。ブロック共重合体の製造に
用いる炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エ
チルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或いはベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭
化水素等が挙げられ、これらは1種のみならず2種以上
混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いる有機リ
チウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結
合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合
物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例と
しては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソ
プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチ
ルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレ
ンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニル
ジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2
種以上混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いる
ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1
−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なもの
としてはスチレンが挙げられる。これらは1種のみなら
ず2種以上混合使用してもよい。
含有量は60〜95重量%、好ましくは65〜90重量
%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量
は40〜5重量%、好ましくは35〜10重量%であ
る。ビニル芳香族炭化水素含有量が60重量%未満、イ
ソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40
重量%を超えると射出成形品の透明性の悪化と剛性と表
面硬度が低下し、逆にビニル芳香族炭化水素含有量が9
5重量%を超え、イソプレンと1,3−ブタジエンを合
わせた含有量が5重量%未満では、5℃以下の耐衝撃性
が低下するため、好ましくない。
−ブタジエンの重量比は5/95以上、55/45未
満、好ましくは10/90以上、55/45未満、更に
好ましくは20/80以上、55/45未満である。ブ
ロック共重合体のイソプレンと1,3−ブタジエンの重
量比が55/45以上の場合には、成形品の5℃以下の
耐衝撃性が劣り、逆にイソプレンと1,3−ブタジエン
の重量比が5/95未満では、高温長時間滞留後の透明
性が悪化するため好ましくない。
素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率
は60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、
更に好ましくは75〜95重量%である。ブロック率が
60重量%未満では、剛性の低下、及び5℃以下での耐
衝撃性が低下するため好ましくない。ブロック率は、ブ
ロック共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンか
らなる共重合ブロックのビニル芳香族炭化水素と共役ジ
エンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによ
りコントロールすることができる。具体的な方法として
は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連
続的に重合系に供給して重合する方法、又は極性化合
物、或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素
と共役ジエンを共重合する方法、更にはこれらを組み合
わせた方法等が採用できる。極性化合物やランダム化剤
としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエー
テル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチル
エチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホス
フィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げ
られる。尚、本発明のビニル芳香族炭化水素重合体ブロ
ックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒として
ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロ
ック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTH
OFF,etal.,J.Polym.Sci.1,4
29(1946)に記載の方法)より得たビニル芳香族
炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30
以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれてい
る)を、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の
総重量で除した値であり、その値を重量%で表したもの
である。
ニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも2つの重合
体ブロックSと、a)イソプレン、又はイソプレンとビ
ニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブ
ロック、b)1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジ
エンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの
重合体ブロック、c)イソプレンと1,3−ブタジエン
又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックのa)
〜c)の組合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)と
c)、(ハ)a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、
(ホ)c)である(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいず
れかの重合体ブロックBを少なくとも1つ含有するブロ
ック共重合体で、例えば下記の一般式のものが挙げられ
る。
Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック
Sを示す。Bはa)イソプレン、又はイソプレンとビニ
ル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロ
ック、b)1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジエ
ンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重
合体ブロック、c)イソプレンと1,3−ブタジエン、
又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックのa)
〜c)の組合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)と
c)、(ハ)a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、
(ホ)c)である(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいず
れかの重合体ブロックBを示す。Xは例えば四塩化ケイ
素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル
-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ポリハロゲ
ン化炭化水素、カルボン酸エステル、ポリビニル化合物
等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合
物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整
数、一般的には1〜5である。)であるが、好ましくは
直鎖状ブロック共重合体である。上記において、Bの重
合体ブロックのビニル芳香族炭化水素含有量は70重量
%未満、好ましくは60重量%未満、更に好ましくは5
0重量%未満であり、Aのビニル芳香族炭化水素を主体
とする重合体ブロックは、ビニル芳香族炭化水素を70
重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素単独重合体、
及び/又はビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン
及び/又はイソプレンの共重合体ブロックである。
重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは4
0℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によっ
て異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には
0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガ
スなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望まし
い。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒
を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特
に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及び
リビングポリマーを不活性化させるような不純物、例え
ば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要
がある。ブロック共重合体の好ましいMFR(G条件で
温度200℃、荷重5Kg)は、成形加工の点から0.
1〜50g/10min、好ましくは1〜20g/10
minである。
して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチ
ルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−
t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−
4−メチルフェニルアクリレート、および2,4−ビス
〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールから選ば
れる少なくとも1種の安定剤をブロック共重合体100
重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1
〜2重量部添加することによって、より一層の高温長時
間滞留後の透明性の悪化の抑制効果を得ることができ
る。安定剤が0.05重量部未満では高温長時間滞留後
の透明性悪化の抑止効果が小さく、3重量部を超えて添
加しても本発明以上の抑止効果に寄与しない。本発明の
ブロック共重合体には、n−オクタデシル3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)
−1,3,5−トリアジン等のフェノール系安定剤の少
なくとも1種をブロック共重合体100重量部に対して
0.05〜3重量部、トリス−(ノニルフェニル)フォ
スファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−
ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,
4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)
ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェ
フィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−
〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチル
エチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフ
ォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタ
ンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスファイト等の有機ホスフェート系、有機ホスファ
イト系安定剤の少なくとも1種をブロック共重合体10
0重量部に対して0.05〜3重量部添加することがで
きる。
ス重合、或いはマス−サスペンジョン重合等の従来公知
の方法で製造でき、添加剤としてミネラルオイル、有機
酸、有機酸エステル等の種々の添加剤を添加することが
できる。本発明の射出成形用組成物中のブロック共重合
体とポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量
%として、(I)を5重量%以上、30重量%未満、
(II)を70重量%を超え、95重量%未満、好まし
くは(I)を10重量%以上、30重量%未満、(I
I)を70重量%を超え、90重量%未満である。射出
成形用組成物中の(I)ブロック共重合体含有量が5重
量%未満では5℃以下の耐衝撃性が低下し、30重量%
以上では剛性と表面硬度が低下するため好ましくない。
成形条件に制約はないが、好ましい溶融樹脂温度は18
0〜260℃、好ましい射出圧力は50〜1500Kg
f/cm2、好ましい射出速度は5〜200cm3/se
cである。成形条件は成形品の配向、ヒケ、残留応力、
成形サイクル等を勘案し、成形品の形状に応じて最適な
成形条件を設定することが必要である。本発明の射出成
形用組成物は、射出成形機内に高温長時間滞留した後で
成形しても、材料の劣化が少ないため成形品の透明性悪
化を小さくすることが可能である。このことは、生産時
のトラブル、或いは待機等でやむを得ず射出成形機内に
材料が滞留する場合であっても、良好な成形品を直ぐに
生産することができ、生産性向上に寄与することができ
る。
じてポリスチレン樹脂以外の、非ゴム変性スチレン系重
合体及び/又はゴム変性スチレン系重合体を用いること
ができる。非ゴム変性スチレン系重合体は、スチレン、
α−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、核
アルキル置換スチレン、核ハロゲン置換スチレン等より
選ばれる少なくとも2種のスチレン系単量体よりなる重
合体、該スチレン系単量体より選ばれる少なくとも1種
を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むこれ
らの単量体と共重合可能な後述する少なくとも1種の他
の単量体との共重合体である。具体的に、該スチレン系
単量体と共重合可能な単量体としては、アクリル酸及び
そのエステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等の
アルコール成分のアルキル炭素数が1〜12のエステ
ル)、メタアクリル酸及びそのエステル類(例えばメタ
アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリ
ル酸ブチル等のアルコール成分が上記と同様のエステ
ル)、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα、β−
不飽和ジカルボン酸及びこれらのモノエステル、ジエス
テル類、無水物及びイミド化物(例えば無水マレイン
酸、マレイミド等)等が挙げられる。好適な非ゴム変性
スチレン系重合体は、スチレン−アクリル酸n−ブチル
共重合体、及びスチレン−メチルメタアクリレート共重
合体等である。これらは単独で、又は2種以上の混合物
として使用できる。一方、ゴム変性スチレン系重合体
は、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合ゴム、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムなどのゴムの
存在下で、前記のスチレン系単量体、或いはスチレン系
単量体と共重合可能な単量体を重合させたものである。
好適なゴム変性スチレン系重合体は、ゴム変性ポリスチ
レンである。
て種々の添加剤を配合することができる。これらの添加
剤には、ビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以下
のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合
体エラストマー、或いはその水添物、ポリエチレンテレ
フタレート等の他に、プラスチックの配合に一般的に用
いられる添加剤、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、
シリカ、炭カル、タルク等の無機補強剤、有機繊維、ク
マロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイ
ド、無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白、カーボ
ンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、難燃剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、その他
の増量剤あるいはこれらの混合物があげられる。本発明
の射出成形用組成物はそのままであるいは着色して通常
の熱可塑性樹脂と同様、射出成形によるOA機器部品、
日用品、食品、雑貨、弱電部品等に使用することができ
る。
らは本発明の範囲を制限するものではない。表1に実施
例、比較例に使用したブロック共重合体を示した。ブロ
ック共重合体は、シクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリ
チウムを開始剤に用い、表1のポリマー構造欄に記載さ
れている順序、量のモノマーを添加して重合した。例え
ば、ブロック共重合体A−1は以下のように製造した。
ジャケット付き30L密閉反応器にイソプレン3重量部
と1,3−ブタジエン4重量部を20重量%の濃度で含
むシクロヘキサン溶液を仕込み、それにn−ブチルリチ
ウム0.086重量部を添加し、反応器内を窒素ガスで
置換して圧力を3〜5Kg/cm2Gに維持しながら8
0℃で20分間重合した。その後スチレン22重量部を
20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に添
加して80℃で20分間重合し、その後イソプレン1重
量部と1,3−ブタジエン3重量部を20重量%の濃度
で含むシクロヘキサン溶液を一度に添加して80℃で1
0分間重合し、次にイソプレン6重量部と1,3−ブタ
ジエン12重量部とスチレン5重量部を20重量%の濃
度で含むシクロヘキサン溶液を30分間かけて連続的に
添加しながら80℃で重合し、次にスチレン44重量部
を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に
添加して80℃で35分間重合した。その後、 反応器
中にメタノールをn−ブチルリチウムに対して等モル添
加して5分間攪拌した後、安定剤を添加し、溶媒を除去
することによって安定剤を含むブロック共重合体A−1
を回収した。ブロック共重合体A−2〜10の製造につ
いても、A−1と同様の方法で製造した(但し、ブロッ
ク共重合体A−5の製造においては、メタノールを添加
する前に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウムに対して
0.25倍モル添加した)。ブロック共重合体A−1〜
10のMFRは全て5〜10の範囲であった。MFR
は、JISK−6870に基づき、G条件で温度200
℃、荷重5Kgで測定した。ブロック共重合体のブロッ
ク率は、ブロック共重合体をクロロホルム溶媒中で、四
酸化オスミウムとターシャリブチルハイドロパーオキサ
イドを添加して約100℃で20分間煮沸した後、メタ
ノールを添加して分解物を沈殿させ、沈殿物をガラスフ
ィルター(11G4:最大細孔の大きさが5〜10μ
m)で濾過して、濾過残差物(ブロックスチレン)の重
量を求め、次式から算出するものである。 ブロック率(重量%)=(濾過残差物(ブロックスチレ
ン)の重量/ブロック共重合体中の全スチレン量)×1
00
従って、ポリスチレン樹脂として使用したA&Mポリス
チレンHF77(エー・アンド・エム スチレン株式会
社製)と表1に示したブロック共重合体を40mm単軸
押出機を用いて押出樹脂温度200℃で混練、ペレタイ
ズした。得られた組成物を型締力120tの射出成形機
を用い成形樹脂温度210℃で、曲げ試験片、アイゾッ
ト試験用試験片及び透明性評価用のプレートを作成し
た。また、高温長時間滞留後の透明性の評価は、成形樹
脂温度240℃で所定時間成形機内に滞留させた後、成
形開始7ショット目で透明性評価用のプレートを作成し
た。これら試験片及びプレートを用いて5℃における耐
衝撃性の尺度としてノッチなしアイゾット衝撃強度、剛
性の尺度として曲げ弾性率、表面硬度の尺度として鉛筆
硬さ、透明性の尺度としてヘイズを下記の方法で測定し
た。 (1)ノッチなしアイゾット衝撃強度:試験片を5℃に
保たれた低温槽内に24時間保持し、取り出したあと直
ちに測定した。試験片は幅12.5mm、厚さ3mm
で、JIS−K7110に準拠し、試験機容量は30k
gで測定した。 (2)曲げ弾性率:ASTM−D790に準拠し、試験
片は幅12.5mm、厚さ3mm、支点間距離50m
m、試験速度1mm/分で測定した。 (3)鉛筆硬さ:JIS−K5400に準拠し、荷重1
kgで測定した。 (4)ヘイズ:JIS−K6714に準拠し、プレート
厚さ2mmで試験した。得られた組成物性能を表2に示
した。
ン樹脂からなる射出成形用組成物は、高温長時間滞留後
の透明性の悪化が小さく、得られる成形品は透明で剛性
と表面硬度が高い上、成形品を5℃以下で使用する際の
耐衝撃性に優れる。これらの特徴を生かして、透明性と
剛性、及び表面硬度が要求されるような用途、例えば透
明ハンガー、スケルトン玩具部品、化粧品キャップ、或
いは低温特性が要求される食品容器用途等に好適に利用
できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 (I)ビニル芳香族炭化水素を主体とす
る少なくとも2つの重合体ブロックSと、a)イソプレ
ン、又はイソプレンとビニル芳香族炭化水素からなる少
なくとも1つの重合体ブロック、b)1,3−ブタジエ
ン、又は1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素か
らなる少なくとも1つの重合体ブロック、c)イソプレ
ンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブ
タジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1
つの重合体ブロックのa)〜c)の組合せが、(イ)
a)とb)、(ロ)a)とc)、(ハ)a)とb)と
c)、(ニ)b)とc)、(ホ)c)である(イ)〜
(ホ)の群から選ばれるいずれかの重合体ブロックBと
を含有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体の
ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重量%、イソ
プレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40〜
5重量%であって、該ブロック共重合体中のイソプレン
と1,3−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/
45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含有されるビ
ニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化
水素のブロック率が60〜100重量%であることを特
徴とするブロック共重合体と、(II)ポリスチレン樹
脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と該(II)
ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量%と
して、(I)は5重量%以上、30重量%未満、(I
I)は70重量%を超え、95重量%未満であることを
特徴とする射出成形用組成物。 - 【請求項2】 安定剤として、2−〔1−(2−ヒドロ
キシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−
4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−
t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−
5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
ト、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−
o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種
の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して0.
05〜3重量部添加してなる請求項1に記載の射出成形
用組成物。 - 【請求項3】 ブロック共重合体中のイソプレンと1,
3−ブタジエンの重量比が10/90以上、55/45
未満の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項
2に記載の射出成形用組成物。
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