JP2003113281A - 射出成形用組成物 - Google Patents

射出成形用組成物

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JP2003113281A JP2001308975A JP2001308975A JP2003113281A JP 2003113281 A JP2003113281 A JP 2003113281A JP 2001308975 A JP2001308975 A JP 2001308975A JP 2001308975 A JP2001308975 A JP 2001308975A JP 2003113281 A JP2003113281 A JP 2003113281A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温長時間滞留後の透明性を改良し、透明、
高剛性、高表面硬度で、5℃以下の耐衝撃性に優れた射
出成形品を提供すること。 【解決手段】 (I)ビニル芳香族炭化水素含有量が6
0〜95重量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合
わせた含有量が40〜5重量%で、イソプレンと1,3
−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/45未満
の範囲である特定のブロック共重合体、及び(II)ポ
リスチレン樹脂からなる特定配合組成の射出成形用組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の射出成形用組成物
は、高温長時間滞留後の透明性の悪化が小さく、得られ
る成形品は透明で剛性と表面硬度が高い上、成形品を5
℃以下で使用する際の耐衝撃性に優れた成形品を提供す
る。
【0002】
【従来の技術】ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高
い、ビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン及びイ
ソプレンに代表される共役ジエンからなるブロック共重
合体は、優れた透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射
出成形用途、シート、フィルム等の押出し成形用途等に
使用されている。とりわけ該ブロック共重合体、及びそ
れを用いたスチレン系重合体との組成物は、透明性、機
械特性に優れることから、いくつかの提案がなされてい
る。例えば特開昭52−58788号公報には透明性と
耐衝撃性を改良する目的で触媒を分割添加した分岐状ブ
ロック共重合物が、特開昭53−8688号公報には熱
に安定な樹脂状ブロックポリマーを得るため、イソプレ
ンと1,3−ブタジエンを逐次添加する製造方法が、特
開平2−113007号公報には耐衝撃性のブロック共
重合体を得るため、イソプレンを主体とする重合体ブロ
ックを有する特定構造のブロック共重合体が、特開昭5
8−141233号公報には透明性や表面光沢性などの
外観特性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性重合体組成物を
得るため、分子量の増加と共に変化する組成分布を有す
るブロック共重合体混合物と熱可塑性樹脂との組成物
が、特開平4−277509号公報には環境応力亀裂性
を改良するため、触媒を分割添加した漸変性ブロック共
重合体の製造方法が、特開平5−177777号公報に
は低温高速成形性、深絞り成形性の改良された剛性の高
い熱可塑性樹脂製の多層シートを得るため、表層に特定
の弾性率を有する樹脂と該樹脂とビカット軟化点の比が
特定の範囲にある樹脂層からなる多層シートが、特開昭
63−145314号公報には優れた透明性と機械的特
性を得るため、S1−B1−B/S−S2構造のブロッ
ク共重合体の製造方法が、特開平7−97418号公報
には透明性と耐衝撃性及びビニル芳香族炭化水素重合体
の補強性を改良するため、ブロック率、重合体ブロック
の配置、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダ
ム共重合した部分の共役ジエン量比率等に特徴を持たせ
たブロック共重合体、及びその組成物が夫々記載されて
いる。しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と
共役ジエンからなるブロック共重合体とポリスチレン樹
脂からなる組成物は、射出成形用途において、高温長時
間滞留した際の成形品の透明性、射出成形品の5℃以下
での高耐衝撃性、及び高剛性と高表面硬度の全てを満足
するものは無く、これらの文献にはそれらを改良する方
法が開示されておらず、依然として市場での問題点が指
摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温長時間
滞留後の透明性を改良し、透明、高剛性、高表面硬度を
有し、5℃以下の耐衝撃性に優れた射出成形品の提供を
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定のポリマ
ー構造を有するビニル芳香族炭化水素とイソプレン及び
1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体とポリス
チレン樹脂とからなる組成物、更には該ブロック共重合
体に特定の安定剤を組み合わせることによって、高温長
時間滞留後の透明性を改良し、透明、高剛性、高表面硬
度で、5℃以下の耐衝撃性に優れることを見出し完成さ
れたものである。
【0005】即ち、本発明は、(I)ビニル芳香族炭化
水素を主体とする少なくとも2つの重合体ブロックS
と、a)イソプレン、又はイソプレンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロック、b)
1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジエンとビニル
芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロッ
ク、c)イソプレンと1,3−ブタジエン、又はイソプ
レンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素から
なる少なくとも1つの重合体ブロックのa)〜c)の組
合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)とc)、(ハ)
a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、(ホ)c)であ
る(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいずれかの重合体ブ
ロックBとを含有するブロック共重合体で、該ブロック
共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重
量%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有
量が40〜5重量%であって、該ブロック共重合体中の
イソプレンと1,3−ブタジエンの重量比が5/95以
上、55/45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含
有されるビニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル
芳香族炭化水素のブロック率が60〜100重量%であ
ることを特徴とするブロック共重合体と、(II)ポリ
スチレン樹脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と
該(II)ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を10
0重量%として、(I)は5重量%以上、30重量%未
満、(II)は70重量%を超え、95重量%未満であ
ることを特徴とする射出成形用組成物、
【0006】2.安定剤として、2−〔1−(2−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕
−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2
−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ
−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ
ート、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕
−o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1
種の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して
0.05〜3重量部添加してなる上記1に記載の射出成
形用組成物、および3.ブロック共重合体中のイソプレ
ンと1,3−ブタジエンの重量比が10/90以上、5
5/45未満の範囲であることを特徴とする上記1また
は2に記載の射出成形用組成物、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するブロック共重合体は、炭化水素溶媒
中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭
化水素とイソプレン及び1,3−ブタジエンを重合する
ことにより得るものである。ブロック共重合体の製造に
用いる炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エ
チルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、或いはベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭
化水素等が挙げられ、これらは1種のみならず2種以上
混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いる有機リ
チウム化合物は、分子中に一個以上のリチウム原子を結
合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合
物、有機ポリリチウム化合物である。これらの具体例と
しては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソ
プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチ
ルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレ
ンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニル
ジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみならず2
種以上混合使用してもよい。ブロック共重合体に用いる
ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1
−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なもの
としてはスチレンが挙げられる。これらは1種のみなら
ず2種以上混合使用してもよい。
【0008】ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素
含有量は60〜95重量%、好ましくは65〜90重量
%、イソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量
は40〜5重量%、好ましくは35〜10重量%であ
る。ビニル芳香族炭化水素含有量が60重量%未満、イ
ソプレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40
重量%を超えると射出成形品の透明性の悪化と剛性と表
面硬度が低下し、逆にビニル芳香族炭化水素含有量が9
5重量%を超え、イソプレンと1,3−ブタジエンを合
わせた含有量が5重量%未満では、5℃以下の耐衝撃性
が低下するため、好ましくない。
【0009】ブロック共重合体中のイソプレンと1,3
−ブタジエンの重量比は5/95以上、55/45未
満、好ましくは10/90以上、55/45未満、更に
好ましくは20/80以上、55/45未満である。ブ
ロック共重合体のイソプレンと1,3−ブタジエンの重
量比が55/45以上の場合には、成形品の5℃以下の
耐衝撃性が劣り、逆にイソプレンと1,3−ブタジエン
の重量比が5/95未満では、高温長時間滞留後の透明
性が悪化するため好ましくない。
【0010】ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水
素の総重量に対するビニル芳香族炭化水素のブロック率
は60〜100重量%、好ましくは70〜98重量%、
更に好ましくは75〜95重量%である。ブロック率が
60重量%未満では、剛性の低下、及び5℃以下での耐
衝撃性が低下するため好ましくない。ブロック率は、ブ
ロック共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンか
らなる共重合ブロックのビニル芳香族炭化水素と共役ジ
エンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによ
りコントロールすることができる。具体的な方法として
は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連
続的に重合系に供給して重合する方法、又は極性化合
物、或はランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素
と共役ジエンを共重合する方法、更にはこれらを組み合
わせた方法等が採用できる。極性化合物やランダム化剤
としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエー
テル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチル
エチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホス
フィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げ
られる。尚、本発明のビニル芳香族炭化水素重合体ブロ
ックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒として
ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロ
ック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTH
OFF,etal.,J.Polym.Sci.1,4
29(1946)に記載の方法)より得たビニル芳香族
炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30
以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれてい
る)を、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の
総重量で除した値であり、その値を重量%で表したもの
である。
【0011】本発明で使用するブロック共重合体は、ビ
ニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも2つの重合
体ブロックSと、a)イソプレン、又はイソプレンとビ
ニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブ
ロック、b)1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジ
エンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの
重合体ブロック、c)イソプレンと1,3−ブタジエン
又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックのa)
〜c)の組合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)と
c)、(ハ)a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、
(ホ)c)である(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいず
れかの重合体ブロックBを少なくとも1つ含有するブロ
ック共重合体で、例えば下記の一般式のものが挙げられ
る。
【0012】 (イ)A−(B−A)n (ロ)A−(B−A)n −B (ハ)B−(A−B)n+1 で表される直鎖状ブロック共重合体、或いは一般式 (ニ)[(A−B)km+2−X (ホ)[(A−B)k−A]m+2−X (ヘ)[(B−A)km+2−X (ト)[(B−A)k−B]m+2−X で表されるラジアルブロック共重合体(上式において、
Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック
Sを示す。Bはa)イソプレン、又はイソプレンとビニ
ル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロ
ック、b)1,3−ブタジエン、又は1,3−ブタジエ
ンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1つの重
合体ブロック、c)イソプレンと1,3−ブタジエン、
又はイソプレンと1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭
化水素からなる少なくとも1つの重合体ブロックのa)
〜c)の組合せが、(イ)a)とb)、(ロ)a)と
c)、(ハ)a)とb)とc)、(ニ)b)とc)、
(ホ)c)である(イ)〜(ホ)の群から選ばれるいず
れかの重合体ブロックBを示す。Xは例えば四塩化ケイ
素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル
-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ポリハロゲ
ン化炭化水素、カルボン酸エステル、ポリビニル化合物
等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合
物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整
数、一般的には1〜5である。)であるが、好ましくは
直鎖状ブロック共重合体である。上記において、Bの重
合体ブロックのビニル芳香族炭化水素含有量は70重量
%未満、好ましくは60重量%未満、更に好ましくは5
0重量%未満であり、Aのビニル芳香族炭化水素を主体
とする重合体ブロックは、ビニル芳香族炭化水素を70
重量%以上含有するビニル芳香族炭化水素単独重合体、
及び/又はビニル芳香族炭化水素と1,3−ブタジエン
及び/又はイソプレンの共重合体ブロックである。
【0013】本発明のブロック共重合体を製造する際の
重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは4
0℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によっ
て異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には
0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガ
スなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望まし
い。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒
を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特
に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及び
リビングポリマーを不活性化させるような不純物、例え
ば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要
がある。ブロック共重合体の好ましいMFR(G条件で
温度200℃、荷重5Kg)は、成形加工の点から0.
1〜50g/10min、好ましくは1〜20g/10
minである。
【0014】本発明のブロック共重合体には、安定剤と
して、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチ
ルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−
t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−
4−メチルフェニルアクリレート、および2,4−ビス
〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾールから選ば
れる少なくとも1種の安定剤をブロック共重合体100
重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1
〜2重量部添加することによって、より一層の高温長時
間滞留後の透明性の悪化の抑制効果を得ることができ
る。安定剤が0.05重量部未満では高温長時間滞留後
の透明性悪化の抑止効果が小さく、3重量部を超えて添
加しても本発明以上の抑止効果に寄与しない。本発明の
ブロック共重合体には、n−オクタデシル3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)
−1,3,5−トリアジン等のフェノール系安定剤の少
なくとも1種をブロック共重合体100重量部に対して
0.05〜3重量部、トリス−(ノニルフェニル)フォ
スファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−
ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,
4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)
ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェ
フィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−
〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチル
エチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフ
ォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタ
ンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスファイト等の有機ホスフェート系、有機ホスファ
イト系安定剤の少なくとも1種をブロック共重合体10
0重量部に対して0.05〜3重量部添加することがで
きる。
【0015】本発明で使用するポリスチレン樹脂は、マ
ス重合、或いはマス−サスペンジョン重合等の従来公知
の方法で製造でき、添加剤としてミネラルオイル、有機
酸、有機酸エステル等の種々の添加剤を添加することが
できる。本発明の射出成形用組成物中のブロック共重合
体とポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量
%として、(I)を5重量%以上、30重量%未満、
(II)を70重量%を超え、95重量%未満、好まし
くは(I)を10重量%以上、30重量%未満、(I
I)を70重量%を超え、90重量%未満である。射出
成形用組成物中の(I)ブロック共重合体含有量が5重
量%未満では5℃以下の耐衝撃性が低下し、30重量%
以上では剛性と表面硬度が低下するため好ましくない。
【0016】本発明の射出成形用組成物を成形する際の
成形条件に制約はないが、好ましい溶融樹脂温度は18
0〜260℃、好ましい射出圧力は50〜1500Kg
f/cm2、好ましい射出速度は5〜200cm3/se
cである。成形条件は成形品の配向、ヒケ、残留応力、
成形サイクル等を勘案し、成形品の形状に応じて最適な
成形条件を設定することが必要である。本発明の射出成
形用組成物は、射出成形機内に高温長時間滞留した後で
成形しても、材料の劣化が少ないため成形品の透明性悪
化を小さくすることが可能である。このことは、生産時
のトラブル、或いは待機等でやむを得ず射出成形機内に
材料が滞留する場合であっても、良好な成形品を直ぐに
生産することができ、生産性向上に寄与することができ
る。
【0017】本発明の射出成形用組成物には、必要に応
じてポリスチレン樹脂以外の、非ゴム変性スチレン系重
合体及び/又はゴム変性スチレン系重合体を用いること
ができる。非ゴム変性スチレン系重合体は、スチレン、
α−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン、核
アルキル置換スチレン、核ハロゲン置換スチレン等より
選ばれる少なくとも2種のスチレン系単量体よりなる重
合体、該スチレン系単量体より選ばれる少なくとも1種
を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含むこれ
らの単量体と共重合可能な後述する少なくとも1種の他
の単量体との共重合体である。具体的に、該スチレン系
単量体と共重合可能な単量体としては、アクリル酸及び
そのエステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等の
アルコール成分のアルキル炭素数が1〜12のエステ
ル)、メタアクリル酸及びそのエステル類(例えばメタ
アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリ
ル酸ブチル等のアルコール成分が上記と同様のエステ
ル)、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα、β−
不飽和ジカルボン酸及びこれらのモノエステル、ジエス
テル類、無水物及びイミド化物(例えば無水マレイン
酸、マレイミド等)等が挙げられる。好適な非ゴム変性
スチレン系重合体は、スチレン−アクリル酸n−ブチル
共重合体、及びスチレン−メチルメタアクリレート共重
合体等である。これらは単独で、又は2種以上の混合物
として使用できる。一方、ゴム変性スチレン系重合体
は、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合ゴム、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムなどのゴムの
存在下で、前記のスチレン系単量体、或いはスチレン系
単量体と共重合可能な単量体を重合させたものである。
好適なゴム変性スチレン系重合体は、ゴム変性ポリスチ
レンである。
【0018】本発明の射出成形用組成物には必要に応じ
て種々の添加剤を配合することができる。これらの添加
剤には、ビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以下
のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合
体エラストマー、或いはその水添物、ポリエチレンテレ
フタレート等の他に、プラスチックの配合に一般的に用
いられる添加剤、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、
シリカ、炭カル、タルク等の無機補強剤、有機繊維、ク
マロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイ
ド、無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白、カーボ
ンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、難燃剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、その他
の増量剤あるいはこれらの混合物があげられる。本発明
の射出成形用組成物はそのままであるいは着色して通常
の熱可塑性樹脂と同様、射出成形によるOA機器部品、
日用品、食品、雑貨、弱電部品等に使用することができ
る。
【0019】以下に本発明の実施例を説明するが、これ
らは本発明の範囲を制限するものではない。表1に実施
例、比較例に使用したブロック共重合体を示した。ブロ
ック共重合体は、シクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリ
チウムを開始剤に用い、表1のポリマー構造欄に記載さ
れている順序、量のモノマーを添加して重合した。例え
ば、ブロック共重合体A−1は以下のように製造した。
ジャケット付き30L密閉反応器にイソプレン3重量部
と1,3−ブタジエン4重量部を20重量%の濃度で含
むシクロヘキサン溶液を仕込み、それにn−ブチルリチ
ウム0.086重量部を添加し、反応器内を窒素ガスで
置換して圧力を3〜5Kg/cm2Gに維持しながら8
0℃で20分間重合した。その後スチレン22重量部を
20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に添
加して80℃で20分間重合し、その後イソプレン1重
量部と1,3−ブタジエン3重量部を20重量%の濃度
で含むシクロヘキサン溶液を一度に添加して80℃で1
0分間重合し、次にイソプレン6重量部と1,3−ブタ
ジエン12重量部とスチレン5重量部を20重量%の濃
度で含むシクロヘキサン溶液を30分間かけて連続的に
添加しながら80℃で重合し、次にスチレン44重量部
を20重量%の濃度で含むシクロヘキサン溶液を一度に
添加して80℃で35分間重合した。その後、 反応器
中にメタノールをn−ブチルリチウムに対して等モル添
加して5分間攪拌した後、安定剤を添加し、溶媒を除去
することによって安定剤を含むブロック共重合体A−1
を回収した。ブロック共重合体A−2〜10の製造につ
いても、A−1と同様の方法で製造した(但し、ブロッ
ク共重合体A−5の製造においては、メタノールを添加
する前に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウムに対して
0.25倍モル添加した)。ブロック共重合体A−1〜
10のMFRは全て5〜10の範囲であった。MFR
は、JISK−6870に基づき、G条件で温度200
℃、荷重5Kgで測定した。ブロック共重合体のブロッ
ク率は、ブロック共重合体をクロロホルム溶媒中で、四
酸化オスミウムとターシャリブチルハイドロパーオキサ
イドを添加して約100℃で20分間煮沸した後、メタ
ノールを添加して分解物を沈殿させ、沈殿物をガラスフ
ィルター(11G4:最大細孔の大きさが5〜10μ
m)で濾過して、濾過残差物(ブロックスチレン)の重
量を求め、次式から算出するものである。 ブロック率(重量%)=(濾過残差物(ブロックスチレ
ン)の重量/ブロック共重合体中の全スチレン量)×1
00
【0020】
【実施例1〜6、及び比較例1〜6】表2の配合組成に
従って、ポリスチレン樹脂として使用したA&Mポリス
チレンHF77(エー・アンド・エム スチレン株式会
社製)と表1に示したブロック共重合体を40mm単軸
押出機を用いて押出樹脂温度200℃で混練、ペレタイ
ズした。得られた組成物を型締力120tの射出成形機
を用い成形樹脂温度210℃で、曲げ試験片、アイゾッ
ト試験用試験片及び透明性評価用のプレートを作成し
た。また、高温長時間滞留後の透明性の評価は、成形樹
脂温度240℃で所定時間成形機内に滞留させた後、成
形開始7ショット目で透明性評価用のプレートを作成し
た。これら試験片及びプレートを用いて5℃における耐
衝撃性の尺度としてノッチなしアイゾット衝撃強度、剛
性の尺度として曲げ弾性率、表面硬度の尺度として鉛筆
硬さ、透明性の尺度としてヘイズを下記の方法で測定し
た。 (1)ノッチなしアイゾット衝撃強度:試験片を5℃に
保たれた低温槽内に24時間保持し、取り出したあと直
ちに測定した。試験片は幅12.5mm、厚さ3mm
で、JIS−K7110に準拠し、試験機容量は30k
gで測定した。 (2)曲げ弾性率:ASTM−D790に準拠し、試験
片は幅12.5mm、厚さ3mm、支点間距離50m
m、試験速度1mm/分で測定した。 (3)鉛筆硬さ:JIS−K5400に準拠し、荷重1
kgで測定した。 (4)ヘイズ:JIS−K6714に準拠し、プレート
厚さ2mmで試験した。得られた組成物性能を表2に示
した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体とポリスチレ
ン樹脂からなる射出成形用組成物は、高温長時間滞留後
の透明性の悪化が小さく、得られる成形品は透明で剛性
と表面硬度が高い上、成形品を5℃以下で使用する際の
耐衝撃性に優れる。これらの特徴を生かして、透明性と
剛性、及び表面硬度が要求されるような用途、例えば透
明ハンガー、スケルトン玩具部品、化粧品キャップ、或
いは低温特性が要求される食品容器用途等に好適に利用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 25/04 C08L 53:02 53:02) B29K 25:00 B29K 25:00 Fターム(参考) 4F206 AA13 AA14 AB06 JA07 JQ81 4J002 BC021 BP012 EJ066 EV076 FD010 FD030 FD036 FD090 FD140 GC00 GQ00 4J026 HA05 HA06 HA26 HA32 HA39 HB05 HB06 HB15 HB16 HB26 HB32 HB39 HB45 HB48 HB50 HC05 HC06 HC15 HC16 HC26 HC32 HC39 HC45 HC47 HC50 HE01 HE02 HE04 HE05 HE06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)ビニル芳香族炭化水素を主体とす
    る少なくとも2つの重合体ブロックSと、a)イソプレ
    ン、又はイソプレンとビニル芳香族炭化水素からなる少
    なくとも1つの重合体ブロック、b)1,3−ブタジエ
    ン、又は1,3−ブタジエンとビニル芳香族炭化水素か
    らなる少なくとも1つの重合体ブロック、c)イソプレ
    ンと1,3−ブタジエン、又はイソプレンと1,3−ブ
    タジエンとビニル芳香族炭化水素からなる少なくとも1
    つの重合体ブロックのa)〜c)の組合せが、(イ)
    a)とb)、(ロ)a)とc)、(ハ)a)とb)と
    c)、(ニ)b)とc)、(ホ)c)である(イ)〜
    (ホ)の群から選ばれるいずれかの重合体ブロックBと
    を含有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体の
    ビニル芳香族炭化水素含有量が60〜95重量%、イソ
    プレンと1,3−ブタジエンを合わせた含有量が40〜
    5重量%であって、該ブロック共重合体中のイソプレン
    と1,3−ブタジエンの重量比が5/95以上、55/
    45未満の範囲で、該ブロック共重合体に含有されるビ
    ニル芳香族炭化水素の総重量に対するビニル芳香族炭化
    水素のブロック率が60〜100重量%であることを特
    徴とするブロック共重合体と、(II)ポリスチレン樹
    脂とからなり、該(I)ブロック共重合体と該(II)
    ポリスチレン樹脂の重量比は、合計量を100重量%と
    して、(I)は5重量%以上、30重量%未満、(I
    I)は70重量%を超え、95重量%未満であることを
    特徴とする射出成形用組成物。
  2. 【請求項2】 安定剤として、2−〔1−(2−ヒドロ
    キシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−
    4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−
    t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−
    5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレー
    ト、および2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−
    o−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種
    の安定剤をブロック共重合体100重量部に対して0.
    05〜3重量部添加してなる請求項1に記載の射出成形
    用組成物。
  3. 【請求項3】 ブロック共重合体中のイソプレンと1,
    3−ブタジエンの重量比が10/90以上、55/45
    未満の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の射出成形用組成物。
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