JP6611481B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体 Download PDF

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Description

本発明は、耐衝撃性、剛性、光沢、成形性、耐油性のバランスに優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体に関するものである。
耐衝撃性ポリスチレン〔ハイインパクトポリスチレン(HIPS)〕に代表されるゴム変性ポリスチレンは、耐衝撃性、成形性、寸法安定性に優れた樹脂であることから、家電製品、家庭製品、食品容器等の成形材料、包装材料として幅広く使用されている。これら製品の内、家電製品に関しては、家電製品のハウジング、特にテレビ、エアコン等の大型家電製品に広く用いられている。ところが、この様なテレビ、エアコン等の大型家電製品分野では軽量化、コスト削減等から、製品の薄肉化が求められている。この様な製品の薄肉化対策として、成形材料には剛性、耐衝撃性のバランスが求められている。また、成形体の表面外観や、形状の多様化による成形加工のし易さも重要であり、光沢と成形性も良好な樹脂が求められている。
更に、家電製品には一般生活に使用される油類に接触する可能性がある。しかしながら、周知の如く、通常のゴム変性ポリスチレン系樹脂は耐油性に劣るため、上記耐衝撃性、剛性、光沢、成形性に加え、耐油性に優れたゴム変性ポリスチレン系樹脂が求められている。
この様な要求に対し特許文献1〜4には耐衝撃性、剛性、光沢のバランスに優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物の記載がなされているが、耐油性については問題とされておらず、不十分であった。
耐油性を改良するためにポリオレフィン系樹脂をゴム変性ポリスチレン基材樹脂に添加する方法があるが、相溶解性が悪いため、剥離等の機械物性の低下が生じる他、加工コストが大幅に増加する等問題があった。
また、耐油性を改良する別の方法として、特許文献5〜8にはゴム変性スチレン系樹脂の分散粒子径を大きくする方法が開示されているが、剛性が著しく低下する他、光沢が悪化し、表面外観が良好な成形体が得られない問題があった。
特公平6−84461号公報 特公平5−25897号公報 特開平7−90158号公報 特開平9−124885号公報 特開平4−227914号公報 特表平8−504450号公報 特開2002−275210号公報 特開2010−37455号公報
本発明は耐衝撃性、剛性、光沢、成形性に加え、耐油性に優れるゴム変性樹脂組成物に関し、薄肉の家電製品に好適に使用することができるゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意研究を進めたところ、上記ゴム変性スチレン系樹脂中におけるゴム状分散粒子の体積中位粒子径、ゲル分、膨潤比、流動パラフィンの含有量を特定の範囲とすることによって上記課題が達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものであり、下記の要旨を有する。
(1)ポリブタジエンの存在下、スチレン系単量体をグラフト重合してなるゴム変性スチレン系樹脂であって、ゴム状分散粒子の体積中位粒子径が0.5〜1.6μmであり、ゲル分が18〜28質量%、膨潤比が8〜16であり、流動パラフィンを1.0〜3.0質量%含むこと特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。
(2)グラフト率が1.2〜2.2であること特徴とする(1)記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
(3)(1)または(2)に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は耐衝撃性、剛性、光沢、成形性、耐油性に優れるため、家電製品のハウジング、特にテレビ、エアコン等の大型家電製品に好適に使用することができ、さらに薄肉軽量化が可能となる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、ポリブタジエンの存在下、スチレン系単量体をグラフト重合して得られるものであり、重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または混合物をいい、特に好ましくはスチレンである。また、これらのスチレン系単量体に共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の単量体も本発明の効果を損なわない程度であれば共重合することができる。
またポリブタジエンとしては1,4−シス構造が90モル%以上のハイシスポリブタジエンと、1,4−シス構造が15〜40モル%のローシスポリブタジエンのいずれを用いてもよく、また混合物であっても良い。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物のゴム状分散粒子の体積中位粒子径は0.5〜1.6μmであり、好ましくは0.7〜1.4μmである。体積中位粒子径が0.5μm未満では耐衝撃性と耐油性が低下し、1.6μmを超えると成形品の光沢が悪化し、表面外観が良好な成形体が得られない。粒子径を調整する方法としては、重合工程においてゴム粒子の相転域での攪拌速度を調整する方法や、原料液中の連鎖移動開始剤の量を調整する方法などが挙げられる。なお、ゴム状分散粒子の体積中位粒子径は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物をジメチルホルムアミドに溶解させ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA−920:相対屈折率120A000I)により測定して求めた体積基準の粒径分布曲線の50体積%粒子径をもって本発明の体積中位粒子径とする。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物のゲル分は18〜28質量%であり、好ましくは20〜25質量%である。ゲル分はゴム変性スチレン系樹脂組成物の分散相を構成するゴム状分散粒子の含有量を表し、ゲル分が18質量%未満では得られる樹脂組成物の耐油性が低下し、28質量%を超えると得られる樹脂組成物の剛性が低下する。ゲル分は、原料として使用するゴム状重合体の濃度と後述するグラフト率によって調整することができる。
ゲル分は、1gのゴム変性スチレン系樹脂組成物を精秤し(質量W)、50%メチルエチルケトン/50%アセトン混合溶液35mLを加えて溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、14000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得て、セーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥し、更に真空乾燥機にて125℃で1時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量Gを測定して、次のように求めることができる。
ゲル分(質量%)=(G/W)×100
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物のグラフト率は1.2〜2.2であり、好ましくは1.4〜2.0である。グラフト率が1.2未満であると樹脂組成物の耐油性を保つために多くのゴム分が必要となり、グラフト率が2.2を超えると樹脂組成物の剛性が低下する。グラフト率はゴム状分散粒子中のポリスチレンとゴム分の比を表し、ゴム状分散粒子が単位ゴム分当たりにグラフトしたポリスチレン及び内包したポリスチレンの量を表す。グラフト率は、使用するゴム状重合体の1,2−ビニル結合の含有量、重合開始剤の種類及び添加量、ゴム粒子を形成させる反応器の形式などによって調整することができる。グラフト率はゲル分(質量%)とゴム分(質量%)から次のように求めることができる。
グラフト率=(ゲル分−ゴム分)/ゴム分
ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゴム分は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から求めることができる。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の膨潤比は8〜16であり、好ましくは9〜15である。膨潤比が8未満であると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、膨潤比が16を超えると成形加工時にゴム状分散粒子が流動方向に対して大きく変形し、流動方向に沿って割れやすくなるため好ましくない。膨潤比を調整する方法としては、脱揮工程における温度条件を調整する方法がある。
膨潤比は、質量1gのゴム変性スチレン系樹脂組成物を精秤し、トルエン30mLを加え溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、14000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去してトルエンで膨潤した不溶分の質量Sを測定し、続いてトルエンで膨潤した不溶分をセーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥した後、更に真空乾燥機にて125℃で1時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、不溶分の乾燥質量Dを測定して、次のように求めることができる。
膨潤比=S/D
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、流動パラフィンを1.0〜3.0質量%含むことが好ましい。流動パラフィンが1.0質量%未満では得られる樹脂組成物の成形流動性、金型離型性が低下し、流動パラフィンが3.0質量%以上では、耐油性が悪化する。なお、流動パラフィンは、沸点的には潤滑油留分に属する、きわめて純度の高い液状飽和炭化水素の混合物であると定義される公知のもの(ホワイトオイルと称される)であれば差し支えない。
流動パラフィンの含有量は、質量200mgのゴム変性スチレン系樹脂組成物を精秤し、1,2−ジクロロメタン2mLを加え完全に溶解し、次いでメタノール2mLを加えてゴム変性スチレン系樹脂組成物を析出・静置後、上澄み液をガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
ガスクロマトグラフ:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:DB−1(ht) 0.25mm×30m 膜厚0.1μm
インジェクション温度:250℃
カラム温度:100−300℃
検出器温度:300℃
スプリット比:50/1
内部標準物質:n−エイコサン
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物の200℃、49N荷重の条件にて測定したメルトマスフローレイト(MFR)は、2.0〜6.0g/10分であることが好ましく、2.5〜5.0g/10分であることがより好ましい。2.0g/10分未満であると流動性が不足し、成形に支障をきたし、6.0g/10分を超えると実用的に十分な強度が発揮できない等の問題がある。MFRは、JIS K−7210に基づき測定することができる。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は、90℃以上であることが好ましい。90℃未満であると、テレビ、エアコン等の大型家電製品に使用するにあたり、耐熱性が不足し、熱変形が生じる懸念がある。ビカット軟化温度は、射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7206に基づき49N荷重の条件により求めた。
本発明で用いるゴム変性スチレン系樹脂組成物は、その物性を損なわない範囲で1種類以上のゴム変性スチレン系樹脂、あるいはゴム変性していないスチレン系樹脂をブレンドすることができる。また、そのブレンド方法には特に制限はなく、ゴム変性スチレン系樹脂とゴム変性していないスチレン系樹脂を混合し、押出機により再造粒する方法、あるいは、ゴム変性スチレン系樹脂とゴム変性していないスチレン系樹脂を混合したものを、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、及びVブレンダー等でドライブレンドする方法がある。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、シリコンオイル、難燃剤、着色剤、顔料等の添加剤を添加することができる。
本発明の成形体は、上記した本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体であって、いかなる形状及び用途の成形体であっても良いが、耐衝撃性、剛性、光沢、成形性に加え、耐油性に優れる為、テレビやエアコン等の大型家電製品、冷蔵庫の内装等の家庭電気器具類、複写機、プリンター、ファクシミリ、パソコンなどのOA機器、事務機器用の成形体が好適である。大型家電に用いられる成形品であって、質量が200g以上のハウジング用成形品がさらに好適である。また、成形体を得る方法としては特に限定されないが、押出成形、射出成形、射出中空成形、発泡成形等の公知の成形法が適用でき、各種成形技術と組み合わせた成形法でも良い。更にTダイシート押出機、二軸延伸加工装置、インフレーション加工装置を用いて、シートやフィルムに成形する方法も適用できるが、成形品を得る方法として、射出成形が好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例に使用したポリブタジエン、重合開始剤、連鎖移動剤は次の通り。
ポリブタジエン−1 :日本エラストマー株式会社製「アサプレン730AX」
ポリブタジエン−2 :宇部興産株式会社製「BR−15HB」
重合開始剤−1 :1,1ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油株式会社製パーヘキサC)
重合開始剤−2 :t−ブチルクミルパーオキサイド(日油株式会社製パーブチルC)
連鎖移動剤 :t−ドデシルメルカプタン
また、実施例で使用したゴム変性スチレン系樹脂は以下の様に製造した。
(1)HIPS−1の製造
下記第1〜第4反応器を直列に接続して重合工程を構成した。
第1反応器:容積25Lの攪拌翼付完全混合型反応器
第2反応器:容積40Lの攪拌翼付プラグフロー型反応器
第3反応器:容積50Lの攪拌翼付プラグフロー型反応器
第4反応器:容積50Lの静止型混合器付プラグフロー反応器
スチレン単量体79.4質量%、エチルベンゼン14.0質量%、ポリブタジエン−1 6.6質量%を溶解させた溶液に対して、連鎖移動剤0.010質量%添加した原料液を、20kg/h供給速度で反応器に連続的に供給し、第1反応器の温度を125℃、撹拌数を100rpm、第2反応器の温度を128〜130℃、撹拌数を90rpmで重合を行った後、第2反応器の出口からの重合液に対し、重合開始剤−2を0.016質量%添加し、第3反応器の温度を128℃、撹拌数を30rpm、第4反応器の温度を流れ方向に135〜160℃の温度勾配がつくように調整し重合を行った。得られた重合液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、ストランド状に押し出しして冷却した後、切断してペレットとした。なお、1段目の脱揮槽内の樹脂温度は190℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は60kPaとし、2段目の脱揮槽内の樹脂温度は230℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は0.6kPaとした。
(2)HIPS−2の製造
スチレン単量体79.4質量%、エチルベンゼン14.0質量%、ポリブタジエン−2 6.6質量%を溶解させた溶液に対して、重合開始剤−1を0.008質量%添加した原料液を用い、第1反応器の温度を113℃、第2反応器の温度を121〜123℃、撹拌数を60rpmで重合を行った後、第2反応器の出口からの重合液に対し、重合開始剤−2を0.024質量%、連鎖移動剤0.020質量%添加し、第3反応器の温度を126℃、第4反応器の温度を流れ方向に130〜145℃の温度勾配がつくように調整した以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−2を製造した。
(3)HIPS−3の製造
第2反応器の撹拌数を130rpmとした以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−3を製造した。
(4)HIPS−4の製造
第2反応器の撹拌数を200rpmとした以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−4を製造した。
(5)HIPS−5の製造
スチレン単量体79.4質量%、エチルベンゼン14.0質量%、ポリブタジエン−2 6.6質量%を溶解させた溶液に対して、重合開始剤−1を0.008質量%、連鎖移動剤0.008質量%添加した原料液を用い、第1反応器の温度を113℃、第2反応器の温度を121〜123℃、撹拌数を60rpmで重合を行った後、第2反応器の出口からの重合液に対し、重合開始剤−2を0.024質量%添加し、第3反応器の温度を126℃、第4反応器の温度を流れ方向に130〜145℃の温度勾配がつくように調整した以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−5を製造した。
(6)HIPS−6の製造
第2反応器の出口からの重合液に対し、重合開始剤−2を0.032質量%添加し、第3反応器の温度を125℃、第4反応器の温度を流れ方向に128〜140℃の温度勾配がつくように調整した以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−6を製造した。
(7)HIPS−7の製造
スチレン単量体79.4質量%、エチルベンゼン14.0質量%、ポリブタジエン−2 6.6質量%を溶解させた溶液に対して、重合開始剤−1を0.008質量%添加した原料液を用い、第2反応器の撹拌数を75rpm、第2反応器の出口からの重合液に対し、重合開始剤及び連鎖移動剤を無添加とし、第3反応器の温度を135℃、第4反応器の温度を流れ方向に150〜165℃の温度勾配がつくように調整した以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−7を製造した。
(8)HIPS−8の製造
2段目の脱揮槽内の樹脂温度を260℃に設定した以外は、HIPS−1の製造と同様にして、HIPS−8を製造した。
(実施例1〜5、比較例1〜7)
ゴム変性スチレン系樹脂に対して、流動パラフィンを表1の割合で加え、二軸押出機を用いてブレンドしペレット化した。得られたゴム変性スチレン系樹脂組成物について、下記条件にて物性測定を行った。その結果を表1に示す。
(1)シャルピー衝撃強度(耐衝撃性)
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7111により求めた。
(2)曲げ弾性率(剛性)
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7171により求めた。
(3)光沢
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7105に基づき60度鏡面光沢度を求めた。
(4)離型性(成形性)
エジェクターピンにロードセルを装着した離型抵抗金型(箱型成形品寸法:縦60mm、横130mm、深さ45mm、厚み2mm)を日本製鋼社製の射出成形機100t(J100E−P)に取り付け、各サンプルのセットアップ条件を探索、同条件で連続成型を実施し、型開きの際に成形品が離型する時のエジェクターピンの突き出し力を測定した。離型性は最大離型抵抗値(N)で評価、数値が小さい方が離型性が優れている。
(5)耐油性
射出成形機を用いてダンベル状試験片(長さ215mm、平行部幅10mm、厚み4mm)を作成し、試験片の中央部にガーゼを巻き、日清サラダ油(日清オイリオグループ株式会社製)を0.5mL塗布し、試験片を固定した後、方端より長手方向に60kgの荷重を掛け、試験片が破断するまでの時間を測定した。
Figure 0006611481
実施例のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、比較例に比べて耐衝撃性、剛性、光沢、成形性、耐油性のバランスに優れる。
比較例1では、ゴム状分散粒子の体積中位粒子径が小さすぎた為に、耐衝撃性、耐油性が低下した。
比較例2では、ゴム状分散粒子の体積中位粒子径が大きすぎた為に、光沢が低下した。
比較例3では、ゲル分が高すぎた為に、剛性が低下した。
比較例4では、ゲル分が低すぎた為に、耐油性が低下した。
比較例5では、膨潤比が低すぎた為に、耐衝撃性が低下した。
比較例6では、流動パラフィンを含有していない為、成形性が悪化した。
比較例7では、流動パラフィンが多すぎた為、耐油性が低下した。
以上の結果から、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のゴム状分散粒子の体積中位粒子径、ゲル分、膨潤比、流動パラフィンを特定の範囲としたときにおいてのみ、耐衝撃性、剛性、光沢、成形性、耐油性が優れることが分かった。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性、光沢、成形性に加え、耐油性に優れる為、家電製品のハウジング、特にテレビ、エアコン等の大型家電製品に好適に使用することができ、さらに薄肉軽量化が可能となる。

Claims (3)

  1. ポリブタジエンの存在下、スチレン系単量体をグラフト重合してなるゴム変性スチレン系樹脂であって、ゴム状分散粒子の体積中位粒子径が0.5〜1.1μmであり、ゲル分が18〜28質量%、膨潤比が8〜16であり、流動パラフィンを1.0〜3.0質量%含むこと特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  2. グラフト率が1.2〜2.2であること特徴とする請求項1記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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