JP5436517B2 - グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、重合安定性に優れたゴム質重合体を用い、耐衝撃性、流動性に優れたグラフト共重合体及び該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物に関する。
ABS樹脂は、耐衝撃性及び流動性のバランスに優れた樹脂であり、自動車等の車両用内外装部品、各種の家電製品やOA機器のハウジング、その他雑貨分野等、幅広い分野に使用されている。アジア市場(特に中国)においては高成長しており、その利用分野はますます拡大している。一方、自動車分野に代表されるように、軽量化が求められており、部品の薄肉化が進展している。このため、さらなる薄肉化には、今以上に優れた耐衝撃性と流動性が求められている。
耐衝撃性、流動性を改良する方法として、異なるtanδのピークを有する2種類以上のゴム質重合体を併用することが提案されている(特許文献1)。しかし、2種類以上のゴム質重合体を調整しなければならなく、経済性に劣るという問題がある。
また、優れた着色性、光沢、剛性、耐衝撃強度に優れる樹脂組成物として、特定のミクロ構造を有するゴム質重合体を用いたゴム補強芳香族モノビニル樹脂組成物が提案されている。しかし、現在求められる物性としては不十分である。(特許文献2)
特開平11−130825号公報
特開昭60−233116号公報
本発明は、重合安定性に優れたゴム質重合体を用い、耐衝撃性、流動性に優れたグラフト共重合体及び該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、ゴム質重合体のミクロ構造及び膨潤度に着目し、ゴム質重合体のミクロ構造として、シス−1,4結合が21〜30%、トランス−1,4結合が47〜60%、1,2ビニル結合が16〜23%であり、ゴム質重合体の膨潤度が13〜35であるゴム質重合体を用いることにより、ゴム質重合体の重合安定性に優れるだけでなく、耐衝撃性、流動性に優れたグラフト共重合体を得られることを見出したものである。
すなわち、本発明は、ゴム質重合体5〜80重量部に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体20〜95重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、ゴム質重合体のミクロ構造として、シス−1,4結合が21〜30%、トランス−1,4結合が47〜60%、1,2ビニル結合が16〜23%であり、ゴム質重合体の膨潤度が13〜35であることを特徴とするグラフト共重合体及び該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明により、重合安定性に優れたゴム質重合体を用い、耐衝撃性、流動性に優れたグラフト共重合体及び該グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することが出来る。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のグラフト共重合体は、ミクロ構造としてシス−1,4結合が21〜30%重量%、トランス−1,4結合が47〜60重量%、1,2ビニル結合が16〜23重量%であり、膨潤度が13〜35であるゴム質重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られた、グラフト共重合体である。
本発明で使用されるゴム質重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロ二トリル−スチレン−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴムが挙げられる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明で使用されるゴム質重合体のミクロ構造は、シス−1,4結合が21〜30%、トランス−1,4結合が47〜60%、1,2ビニル結合が16〜23%であり、さらにゴム質重合体の膨潤度が13〜35であることが重要である。シス−1,4結合が21〜30%の範囲外である場合及び1,2ビニル結合が16〜23%の範囲外である場合は、重合安定性が著しく低下する。トランス−1,4結合が47〜60%の範囲外である場合は、耐衝撃性、及び流動性が低下する。膨潤度が13〜35の範囲外である場合は、ゴム質重合体の架橋密度が最適ではなくなり、耐衝撃性が低下する。ゴム質重合体の膨潤度が15〜30であることが好ましく、17〜25であることがより好ましい。
ゴム質重合体のミクロ構造は、赤外線吸収スペクトルからスチレン、及びシス−1,4結合、トランス−1,4結合、1,2ビニル結合の特性吸収の吸光度とHamptom法(参考文献:R.R.Hamptom;Anal.Chem.,21,923(1949))によって求められた各結合の吸光係数を用いる式より求めることが出来る。
ゴム質重合体の膨潤度の測定は、ゴム質重合体の固形物をトルエン100ml中に25℃、48時間浸漬し、300メッシュの金網でろ過した際のトルエン不溶部の重量(重量a)と、トルエン不溶部を真空乾燥した重量(重量b)を測定し、次式によって膨潤度を求めた。
膨潤度=トルエン不溶部の重量(重量a)/真空乾燥後の重量(重量b)
本発明で使用されるゴム質重合体の重量平均粒子径に特に制限は無いが、物性バランスの観点から、0.1〜0.9μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。また、ゴム質重合体の重量平均粒子径の調節は、公知の方法が使用できるが、比較的小粒子径のゴム質重合体ラテックスを予め製造し、凝集肥大化させることで目的とする重量平均粒子径とした、凝集肥大化ゴム質重合体を用いることも可能である。
ゴム質重合体のミクロ構造及び膨潤度を調節する方法としては、いかなる方法であっても構わないが、例えば重合開始剤の種類及び量、ラジカル触媒やアルカリ金属触媒使用、重合温度、連鎖移動剤の種類及び量等を変更する方法が挙げられる。特に重合温度の影響は大きく、重合温度によってシス−1,4結合の割合が大きく変動する。膨潤度はゴム質重合体成分の架橋密度により大きく変動する。
本発明で使用されるゴム質重合体は、公知の重合法により得ることができる。その際、通常の界面活性剤、開始剤、分子量調整剤、電解質などの重合助剤を用いることができる。界面活性剤としては、不均化ロジン酸カリウムやナトリウムなどの不均化ロジン酸のアルカリ金属塩や、オレイン酸カリウムやナトリウムなどの高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸のアルカリ金属塩、さらにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、t−ブチルヒドロキシペルオキシド、クメンヒドロキシペルオキシドなどの有機過酸化物と還元剤成分とを組み合わせたレドックス系などが挙げられ、分子量調整剤としては、メルカプタン類(t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなど)やターピノレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
電解質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質や塩化ナトリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、燐酸カリウム、ピロリン酸4カリウムなどが挙げられ、これらの重合助剤は単独もしくは二種以上を混合して使用することが可能である。
これらの重合助剤の使用量にも制限はないが、一般的には、ゴム質重合体を構成する単量体100重量部当たり、界面活性剤0.5〜5.0重量部、開始剤0.1〜3.0重量部、分子量調整剤0〜1重量部、電解質0.02〜1重量部用いられる。また、ゴム質重合体を構成する単量体や界面活性剤及び重合助剤の添加方法についても特に制限はなく、初期一括添加や単量体及び又は界面活性剤の連続もしくは逐次添加等いずれの方法も適用できる。重合温度についても特に制限はないが、シス−1,4結合の割合を制御する観点から50〜80℃の範囲が好ましい。
本発明のグラフト共重合体は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合することにより得られる。
グラフト共重合体を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等を例示でき、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等を例示できる。
ゴム質重合体にグラフト重合する上述の単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%と(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率であることが好ましい。
グラフト共重合体におけるゴム質重合体と単量体との比率は、物性バランスの面より、ゴム質重合体5〜80重量部、単量体20〜95重量部であることが必要であるが、好ましくはゴム質重合体30〜70重量部、単量体30〜70重量部である。グラフト共重合体のグラフト率については特に制限はないが、グラフト率が低すぎると、耐衝撃性が低下する傾向があり、高すぎると流動性が低下する傾向があるため、25〜85%であることが好ましく、30〜60%であるであることがより好ましい。
グラフト共重合体の膨潤度については特に制限はないが、耐衝撃性の観点から膨潤度が3〜9であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。グラフト共重合体の膨潤度を調整する方法としては、いかなる方法でもあっても構わないが、グラフト率とグラフト側鎖の分子量に大きく依存する傾向がある。
グラフト共重合体のグラフト率は、アセトンを溶媒として、グラフト共重合体を可溶分と不溶分に分離し、次式にて求める事が出来る。
グラフト率(%)=(アセトン不溶分重量−グラフト共重合体中のゴム状重合体重量)/グラフト共重合体中のゴム状重合体重量×100
グラフト共重合体の膨潤度の測定は、グラフト共重合体をアセトンに浸漬して、その不溶部を取り出し、一晩真空乾燥をした。真空乾燥したグラフト共重合体のアセトン不溶部をトルエン100ml中に25℃、48時間浸漬し、300メッシュの金網でろ過した際のトルエン不溶部の重量(重量a)と、トルエン不溶部を真空乾燥した重量(重量b)を測定し、次式によって膨潤度を求めた。
膨潤度=トルエン不溶部の重量(重量a)/真空乾燥後の重量(重量b)
本発明のグラフト共重合体を重合するための手法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を用いることが出来る。乳化重合法を用いた場合、上述のゴム質重合体に上述の単量体をグラフト重合することによって、グラフト共重合体のラテックスを得ることが出来る。グラフト共重合体のラテックスは、公知の方法により凝固され、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることでグラフト共重合体のパウダーを得ることができる。
また、得られたグラフト共重合体は単独で使用できるが、必要に応じて他の熱可塑性樹脂と混合して使用することもできる。このような他の熱可塑性樹脂として、例えば、スチレン−アクリロニトリル樹脂(AS樹脂)、αメチルスチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート樹脂(MAS樹脂)、N−フェニルマレイミド−スチレン樹脂、N−フェニルマレイミド−スチレン−アクリロニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム強化ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」及び「%」は重量に基づくものである。また、実施例及び比較例における諸物性の評価は次の方法で行なった。測定結果及び評価結果を表1及び表2に示す。
ゴム質重合体ラテックスの重量平均粒子径の測定
ゴム質重合体ラテックスをオスミウム染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子製:JEM−1400)を用いて写真を800個撮影し、画像解析装置(旭化成製:IP−1000C型)を用いて重量平均粒子径を求めた。
ミクロ構造測定のためのサンプル作成
グラフト共重合体又は、該グラフト共重合体から得られた熱可塑性樹脂組成物にアセトンを加え一晩放置して溶解させた。溶解したサンプルを遠心分離した(12000rpm×30min)。遠沈管に残ったアセトン不溶部にアセトンを加え、再度同一条件で遠心分離した。遠心分離後、アセトン可溶部を廃棄し、メタノールでよく洗浄しながらアセトン不溶部を吸引ろ過した。さらに不純物を除去するため上記アセトン不溶部にイソプロピルアルコールを添加しマントルヒーターで7時間以上リフラックスさせた。リフラックス終了後、アセトン不溶部をガラスろ過器にて吸引ろ過し、イソプロピルアルコールでよく洗浄した。リフラックス終了後、アセトン不溶部を一晩真空乾燥した。真空乾燥したアセトン不溶部にn−ヘキサンを入れ、マントルヒーターにて5時間以上リフラックスさせた。リフラックス終了後、抽出液をろ紙でろ過し、エバポレーターで濃縮乾固後、真空乾燥をした。この真空乾燥物をクロロホルムに溶解した。
吸光度の測定
上記より得られたサンプルを臭沃化タリウム(KRS−5)製の板に塗り、クロロホルムを乾燥させ、フーリエ変換赤外分光装置(パーキンエルマー製 Spectrum One)を用いて吸光度を測定した。
ミクロ構造の計算
スチレンの特性吸収は699cm−1に、ブタジエンのシス−1,4結合、トランス−1,4結合、及び1,2ビニル結合の特性吸収はそれぞれ724、967、911cm−1に現れる。得られた吸光度からHamptomの式により各結合の含有率(%)を求めた。
S=0.374A699−0.260A724−0.014A911
C=−0.025A699+1.834A724−0.027A911−0.004A967
V=−0.007A699−0.015A724+0.314A911−0.007A967
T=−0.007A699−0.036A724−0.011A911+0.394A967
シス−1,4結合(%)=C/(C+V+T)×100
トランス−1,4結合(%)=T/(C+V+T)×100
1,2ビニル結合(%)=V/(C+V+T)×100
ここでAλはそれぞれの波数における吸光度である。
ゴム質重合体の膨潤度測定
ゴム質重合体の固形物をトルエン100ml中に25℃、48時間浸漬し、300メッシュの金網でろ過した際のトルエン不溶部の重量(重量a)と、トルエン不溶部を真空乾燥した重量(重量b)を測定し、次式によって膨潤度を求めた。
膨潤度=トルエン不溶部の重量(重量a)/真空乾燥後の重量(重量b)
グラフト共重合体の膨潤度測定
グラフト共重合体をアセトンに浸漬して、その不溶部を取り出し、一晩真空乾燥を行った。真空乾燥したグラフト共重合体のアセトン不溶部をトルエン100ml中に25℃、48時間浸漬し、300メッシュの金網でろ過した際のトルエン不溶部の重量(重量a)と、トルエン不溶部を真空乾燥した重量(重量b)を測定し、次式によって膨潤度を求めた。
膨潤度=トルエン不溶部の重量(重量a)/真空乾燥後の重量(重量b)
重合安定性の評価
ゴム質重合体の重合安定性の評価は、ゴム質重合体の重合後に得られたゴム質重合体ラテックスを300メッシュの金網でろ過をして、得られた凝集物の量で判断した。評価結果を表2に示す。
◎:0.01(%)未満
○:0.01以上0.05未満(%)
△:0.05以上0.10未満(%)
×:0.10以上
ゴム質重合体ラテックス(a−1)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン90重量部、スチレン10重量部、n−ドデシルメルカプタン0.3重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水163重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で41時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−1)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−1)のミクロ構造は、シス−1,4結合が25%、トランス−1,4結合が56%、1,2ビニル結合が19%であり、重量平均粒子径は420nmであった。また、膨潤度は15であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−2)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.3重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水163重量部を仕込み、攪拌しつつ65℃で45時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を75℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−2)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−2)のミクロ構造は、シス−1,4結合が27%、トランス−1,4結合が53%、1,2ビニル結合が20%であり、重量平均粒子径は389nmであった。また、膨潤度は28であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−3)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン98重量部、アクリロニトリル2重量部、n−ドデシルメルカプタン0.35重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、不均化ロジン酸ナトリウム2.1重量部、水酸化ナトリウム0.18重量部、脱イオン水200重量部を仕込み、攪拌しつつ55℃で48時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら5時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−3)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−3)のミクロ構造は、シス−1,4結合が23%、トランス−1,4結合が55%、1,2ビニル結合が22%であり、重量平均粒子径は390nmであった。また、膨潤度は23であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−4)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.3重量部、過硫酸カリウム2.5重量部、不均化ロジン酸ナトリウム2.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水188重量部を仕込み、攪拌しつつ38℃で51時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を52℃に維持しながら9時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−4)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−4)のミクロ構造は、シス−1,4結合が23%、トランス−1,4結合が48%、1,2ビニル結合が29%であり、重量平均粒子径は375nmであった。また、膨潤度は19であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−5)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン90重量部、スチレン10重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム1.7重量部、不均化ロジン酸ナトリウム2.5重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、脱イオン水200重量部を仕込み、攪拌しつつ45℃で50時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を55℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−5)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−5)のミクロ構造は、シス−1,4結合が31%、トランス−1,4結合が53%、1,2ビニル結合が16%であり、重量平均粒子径は375nmであった。また、膨潤度は30であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−6)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン99重量部、スチレン1重量部、n−ドデシルメルカプタン0.3重量部、過硫酸カリウム0.5重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水163重量部を仕込み、攪拌しつつ89℃で42時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を90℃に維持しながら9時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−6)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−6)のミクロ構造は、シス−1,4結合が21%、トランス−1,4結合が63%、1,2ビニル結合が16%であり、重量平均粒子径は333nmであった。また、膨潤度は19であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−7)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン90重量部、スチレン10重量部、過硫酸カリウム0.7重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水163重量部を仕込み、攪拌しつつ65℃で43時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−7)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−7)のミクロ構造は、シス−1,4結合が23%、トランス−1,4結合が59%、1,2ビニル結合が18%であり、重量平均粒子径は333nmであった。また、膨潤度は10であった。
ゴム質重合体ラテックス(a−8)の製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン93重量部、スチレン7重量部、n−ドデシルメルカプタン0.8重量部、過硫酸カリウム0.8重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.9重量部、水酸化ナトリウム0.15重量部、脱イオン水170重量部を仕込み、攪拌しつつ80℃で42時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を82℃に維持しながら9時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去することでゴム質重合体ラテックス(a−8)を得た。このゴム質重合体ラテックス(a−8)のミクロ構造は、シス−1,4結合が20%、トランス−1,4結合が65%、1,2ビニル結合が15%であり、重量平均粒子径は360nmであった。また、膨潤度は40であった。
グラフト共重合体(A−1)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水148部、ゴム質重合体ラテックス(a−1)45重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し63℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.35重量部を脱イオン水11重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.20重量部の混合液と、脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.5重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−1)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は50%であった。また、グラフト共重合体(A−1)のアセトン不溶部の膨潤度は4.9であった。
グラフト共重合体(A−2)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水150部、ゴム質重合体ラテックス(a−2)50重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し65℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.30重量部を脱イオン水12重量部に溶解した水溶液を添加した。68℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.25重量部の混合液と、脱イオン水19重量部にオレイン酸カリウム1.35重量部を溶解した乳化剤水溶液を4.4時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−2)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−2)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は45%であった。また、グラフト共重合体(A−2)のアセトン不溶部の膨潤度は5.3であった。
グラフト共重合体(A−3)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水152部、ゴム質重合体ラテックス(a−1)45重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し58℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.55重量部を脱イオン水15重量部に溶解した水溶液を添加した。60℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.05重量部の混合液と、脱イオン水15重量部にオレイン酸カリウム1.32重量部を溶解した乳化剤水溶液を4.5時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が97%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−3)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−3)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は79%であった。また、グラフト共重合体(A−3)のアセトン不溶部の膨潤度は2.4であった。
グラフト共重合体(A−4)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水155部、ゴム質重合体ラテックス(a−3)50重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し63℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.35重量部を脱イオン水13重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.20重量部の混合液と、脱イオン水16重量部にオレイン酸カリウム1.21重量部を溶解した乳化剤水溶液を6.0時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が97%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−4)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−4)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は60%であった。また、グラフト共重合体(A−4)のアセトン不溶部の膨潤度は5.0であった。
グラフト共重合体(A−5)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水167部、ゴム質重合体ラテックス(a−4)45重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し54℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.35重量部を脱イオン水14重量部に溶解した水溶液を添加した。56℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.21重量部の混合液と、脱イオン水17重量部にオレイン酸カリウム1.51重量部を溶解した乳化剤水溶液を5.5時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が97%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−5)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−5)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は35%であった。また、グラフト共重合体(A−5)のアセトン不溶部の膨潤度は5.2であった。
グラフト共重合体(A−6)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水170部、ゴム質重合体ラテックス(a−5)50重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し54℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.25重量部を脱イオン水14重量部に溶解した水溶液を添加した。56℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.45重量部の混合液と、脱イオン水17重量部にオレイン酸カリウム1.51重量部を溶解した乳化剤水溶液を5.5時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が97%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−6)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−6)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は29%であった。また、グラフト共重合体(A−6)のアセトン不溶部の膨潤度は6.7であった。
グラフト共重合体(A−7)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水168部、ゴム質重合体ラテックス(a−6)45重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し70℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.60重量部を脱イオン水18重量部に溶解した水溶液を添加した。72℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.25重量部の混合液と、脱イオン水17重量部にオレイン酸カリウム1.50重量部を溶解した乳化剤水溶液を4.0時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−7)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−7)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は86%であった。また、グラフト共重合体(A−7)のアセトン不溶部の膨潤度は3.1であった。
グラフト共重合体(A−8)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水165部、ゴム質重合体ラテックス(a−7)45重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し65℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.40重量部を脱イオン水16重量部に溶解した水溶液を添加した。68℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.27重量部の混合液と、脱イオン水16重量部にオレイン酸カリウム1.35重量部を溶解した乳化剤水溶液を4.0時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−8)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−8)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は59%であった。また、グラフト共重合体(A−8)のアセトン不溶部の膨潤度は4.8であった。
グラフト共重合体(A−9)の製造
耐圧製の重合反応器に、重合水167部、ゴム質重合体ラテックス(a−8)50重量部(固形分)を仕込み、窒素置換を行い、槽内を昇温し62℃に到達したところで、過硫酸カリウム0.35重量部を脱イオン水14重量部に溶解した水溶液を添加した。64℃に到達後、表1に示した単量体とn−ドデシルメルカプタン0.35重量部の混合液と、脱イオン水16重量部にオレイン酸カリウム1.25重量部を溶解した乳化剤水溶液を4.0時間かけて連続添加した。その後、重合転化率が98%を超えた時点で重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト共重合体(A−9)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−9)のグラフト率を測定したところ、グラフト率は47%であった。また、グラフト共重合体(A−9)のアセトン不溶部の膨潤度は7.3であった。
共重合体の製造
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水155部、スチレン7.1部、アクリロニトリル2.9部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25部(固形分換算)及び過硫酸カリウム0.75部を仕込み、65℃で1時間重合した。その後、スチレン63.9部、アクリロニトリル26.1部からなる混合溶液と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部(固形分換算)を含む乳化剤水溶液30部を各々3時間かけて連続的に滴下した。滴下後3時間保持して、共重合体ラテックスを得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、共重合体のパウダーを得た。
<実施例1〜5及び比較例1〜6>
表2に示すグラフト共重合体(A−1)〜(A−9)及び共重合体を混合した後、40mm二軸押出機を用いて240℃にて溶融混練してペレットを得た。得られたペレットより、250℃に設定した射出成形機にて種々の成形品を成形し、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO−294に準拠して試験片を成形した後、ISO−179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
流動性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO−1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm/10分
表2に示すように、実施例1〜5は本願発明に関わる熱可塑性樹脂組成物の例であり、重合安定性、耐衝撃性、流動性に優れていた。また、グラフト共重合体の膨潤度が3〜9の範囲である場合は耐衝撃性により優れる結果であった。
表2に示すように、比較例1はゴム質重合体のミクロ構造の1,2ビニル結合が範囲外であり、比較例2及び3はシス−1,4結合が範囲外であるため重合安定性に劣る結果となった。比較例4はゴム質重合体のミクロ構造のトランス−1,4結合が範囲外であるため、耐衝撃性に劣る結果となった。比較例5はゴム質重合体の膨潤度が範囲外であるため、耐衝撃性に劣る結果となった。比較例6はゴム質重合体のミクロ構造及び膨潤度が範囲外であるため、重合安定性や耐衝撃性に劣る結果となった。
本発明はグラフト共重合体に用いられるゴム質重合体の重合安定性に優れるだけでなく、グラフト共重合体としての耐衝撃性及び流動性に優れるものであるため、グラフト共重合体を用いた熱可塑性樹脂組成物は軽量化に伴い耐衝撃性及び優れた流動性が求められている製品等への適用として好適である。

Claims (3)

  1. ゴム質重合体5〜80重量部に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体20〜95重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、ゴム質重合体のミクロ構造として、シス−1,4結合が21〜30%、トランス−1,4結合が47〜60%、1,2ビニル結合が16〜23%であり、ゴム質重合体の膨潤度が13〜35であることを特徴とするグラフト共重合体。
  2. グラフト共重合体の膨潤度が3〜9であることを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 請求項1又は2に記載されたグラフト共重合体と他の熱可塑性樹脂から得られた熱可塑性樹脂組成物。
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