JP2598264B2 - 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法 - Google Patents

耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法

Info

Publication number
JP2598264B2
JP2598264B2 JP11368487A JP11368487A JP2598264B2 JP 2598264 B2 JP2598264 B2 JP 2598264B2 JP 11368487 A JP11368487 A JP 11368487A JP 11368487 A JP11368487 A JP 11368487A JP 2598264 B2 JP2598264 B2 JP 2598264B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
weight
polymerization
impact
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP11368487A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63278920A (ja
Inventor
博史 白井
修 寺中
Original Assignee
日本エラストマ−株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本エラストマ−株式会社 filed Critical 日本エラストマ−株式会社
Priority to JP11368487A priority Critical patent/JP2598264B2/ja
Publication of JPS63278920A publication Critical patent/JPS63278920A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2598264B2 publication Critical patent/JP2598264B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、優れた耐衝撃性と優れた着色性をともに有
し、かつ無機系添加剤を添加した場合の衝撃強度保持率
にも優れた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物に関するもの
である。
[従来の技術] 従来よりポリスチレン等のスチレン系ホモポリマーの
脆さを改良するため、各種の未加硫ゴムが強靭化剤とし
て用いられている。中でも、未加硫ゴムの存在下にスチ
レン系単量体をラジカル重合させ、ゴム状重合体にスチ
レン系ポリマーがグラフト重合した耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物が工業的に広く製造されている。
この目的に使用される未加硫ゴムとしては、ポリブタ
ジエンゴムとスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが一般
的であり、特に有機リチウム化合物を用いて重合され
る、いわゆるローシスポリブタジエンゴムが好適に用い
られている。またコバルト等の遷移金属化合物を主成分
として用いて重合される、いわゆるハイシスポリブタジ
エンゴムが用いられる場合もある。
[発明が解決しようとする問題点] 一般に、強靭化剤を含有しないポリスチレンは、他の
樹脂に較べて着色性の良好な樹脂であるが、耐衝撃性を
改善する目的でゴム状の強靭化剤がこれに添加される
と、その着色性が著しく損なわれてしまう。
そのため、耐衝撃性を維持し、さらに着色性の優れた
耐衝撃性スチレン系樹脂組成物が要求されているが、こ
れらの問題は未だ解決されていない。
しかしながら、強靭化剤に従来の未加硫ゴムを用いて
いるかぎりにおいては、これらの要求を完全に満たすこ
とには未だ成功していない。
また、耐衝撃性スチレン系樹脂組成物には必要に応じ
て種々の添加剤が用いられる場合がある。なかでも無機
系難燃剤あるいは難燃助剤、無機系顔料、無機系充填剤
など、いわゆる無機系添加剤が添加された場合、該スチ
レン系樹脂組成物の衝撃強度は一般に低下する。無機系
添加剤が添加された場合の衝撃強度の低下の少ない、す
なわち衝撃強度保持率に優れた、耐衝撃性スチレン系樹
脂組成物の開発が待たれているというのも現状である。
[問題点を解決するための手段及び作用] 本発明者らは、以上の様な状況下において、耐衝撃性
および着色性がともに優れ、かつ無機系添加剤を添加し
た場合の衝撃強度保持率にも優れた耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物を得るため詳細に検討した結果、従来強靭化
剤として検討がなされていない極めて特殊な共役ジエン
系ゴムを用いることにより、上述の目的が達成されるこ
とが明らかとなり、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は分子末端に少なくとも1個の水酸
基を有し100℃でのムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜
90で25℃での5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)が20
〜300cpsである共役ジエン系ゴムを2〜25重量部と、ス
チレン系単量体またはスチレン系単量体と共重合可能な
単量体との混合物98〜75重量部をラジカル重合して得ら
れる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物、および分子末端に
少なくとも1個の水酸基を有し100℃でムーニー粘度(M
L1+4,100℃)が20〜90で25℃での5重量%スチレン溶液
粘度(5%SV)が20〜300cpsである共役ジエン系ゴムを
2〜25重量部と、スチレン系単量体またはスチレン系単
量体と共重合可能な単量体との混合物98〜75重量部を塊
状重合または塊状懸濁重合もしくは溶液重合でラジカル
重合させることを特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物の製造方法を提供するものである。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、極めて特
殊な共役ジエン系ゴムを用いることにより達成された。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる共役ジエン系ゴムは、分子末端に
少なくとも1個の水酸基を有し100℃でのムーニー粘度
(ML1+4,100℃)が20〜90で25℃での5重量%スチレン
溶液粘度(5%SV)が20〜300cpsである。
分子末端に少なくとも1個の水酸基を有する共役ジエ
ン系ゴムは、従来公知の方法で得ることができるが、例
えば有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくと
も一種の共役ジエン単量体を重合させて得られた活性リ
チウムを有する重合体と、カルボニル化合物あるいは一
般式 (Rは水素原子あるいはC1〜C18のアルキル基あるいは
芳香族基を表わす)で表わされる化合物とを反応させる
ことによって得られる。
有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、
sec−ブチルリチウム等の有機モノリチウムが一般的で
あるが、さらに特開昭57−40513号公報に示される様
に、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジ
リチオ−2−エチルシクロヘキサンの如き多官能性有機
リチウムと有機モノリチウムとの混合物、或いは有機モ
ノリチウムとポリビニル芳香族化合物(例えばジビニル
ベンゼン)の二者を含む反応生成物等がある。
本発明で用いる共役ジエン系単量体は、1,3−ブタジ
エン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエ
ン、或いは、これら共役ジエンと共重合可能な単量体、
例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、ジビニルベンゼン、メチルアクリレート、メチル
メタクリレート、アクリロニトリル等であり、一種また
は二種以上用いられる。好ましい共役ジエン系単量体と
しては、1,3−ブタジエン、イソプレンである。また共
役ジエンと共重合可能な単量体の好ましい例としてスチ
レンが挙げられる。
本発明の活性リチウム末端を有する重合体が、上記の
様な共役ジエンとこれと共重合可能な単量体からなる共
重合体の場合、共重合可能な単量体の含量、あるいは共
重合体鎖中の共重合可能な単量体の連鎖分布については
特に限定はしない。また共重合体鎖中における共役ジエ
ンと共重合可能な単量体の組成分布についても、分子鎖
中に均一であっても、また分子鎖中に不均一に分布して
いても良く、またブロックとして存在していてもよい。
活性リチウム末端を有する重合体と反応させる、カルボ
ニル化合物あるいは一般式 (Rは水素原子あるいはC1〜C18のアルキル基あるいは
芳香族基を表わす)で表わされる化合物は、特に制限さ
れないが、前者の例としてアセトン、アセトフェノン、
ベンゾフェノン、2,4−ペンタンジオン、シクロヘキサ
ノン等を、また後者の例としてエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド等を挙げることができる。
本発明で使用する活性リチウム末端を有する重合体と
反応させる化合物の使用量は、活性リチウム末端を有す
る重合体を製造する際に使用する有機リチウム化合物触
媒1.0mol当り0.2mol以上が好ましく、より好ましくは0.
4mol以上である。1.0mol以上使用しても良いが、重合体
中に導入される該化合物の量には変化がないため、通常
は0.2mol〜1.0molの範囲で使用される。
活性リチウム末端を有する重合体と該化合物との反応
は、両者が接触すると直ちに起こるので、反応時間およ
び反応温度は広範囲にわたって調整できるが、通常は反
応時間が数秒〜数時間、反応温度は5〜115℃の範囲内
であり、好ましくは15〜90℃の範囲である。また該化合
物はそのまま用いてもよいし、溶媒に溶解されて用いて
もよいが、溶媒を用いる場合は活性リチウムに対して不
活性である炭化水素溶媒を用いる。炭化水素溶媒の例と
してベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、n−ヘキサ
ン等を挙げることができる。
これら該化合物の添加方法については特に制限はない
が、以下の様な方法が好ましい。例えば、共役ジエン系
単量体の重合終了後、該化合物を添加する方法、あるい
は該化合物を添加し、次いで四塩化ケイ素、四塩化ス
ズ、メチルトリクロルシラン、四塩化炭素、アジピン酸
ジエチル等の公知の多官能性カップリング剤を添加する
方法、あるいは多官能性カップリング剤を添加し、次い
で該化合物を添加する方法である。他の方法は、共役ジ
エン系単量体の重合途中に、重合を完全に停止させない
様な量の該化合物を添加し、次いで重合反応終了後多官
能性カップリング剤を添加する方法である。
以上の様な方法で、分子末端に少なくとも1個の水酸
基を有する共役ジエン系ゴムが得られる。分子末端の水
酸基の確認方法は従来公知の方法を用いることができる
が、例えば次の様な方法を挙げることができる。
水酸基含有化合物(R2−OH)とイソシアネート化合物
(R3−N=C=O)がウレタン結合を形成することは公
知である〔T.L.Davis et al,J.Amer.Chem.Soc.,65,883
(1934)〕。
水酸基含有共役ジエン系ゴムとしてポリブタジエンゴ
ムを、イソシアネート化合物としてフェニルイソシアネ
ートあるいはナフチルイソシアネートを用いると(R2
Poly−Bd,Bdはブタジエン; (II)式あるいは(III)式で示す様に、ポリブタジ
エンとベンゼン環あるいはナフタレン環が、ウレタン結
合を介して結合することになる。
上記(II),(III)の反応は、ポリブタジエン及び
前述したイソシアネート化合物がともに溶解する溶媒中
で行なうことができるが、溶媒としては、例えばベンゼ
ン、トルエン、クロロホルム、THF(テトラヒドロフラ
ン)、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の有機溶媒を挙
げることができる。ベンゼン、トルエン等、いわゆる近
紫外領域(200〜380nm)にUV吸収を持つ溶媒を用いた場
合は、後述するUV吸収の測定を行なうにあたり、反応生
成物を単離し、新たに近紫外領域にほとんど吸収を持た
ないn−ヘキサン、シクロヘキサン、THF等の溶媒中で
測定する必要がある。
また上記(II),(III)の反応には、トリエチルア
ミン、ピリジン、テトラメチルブタンジアミン、テトラ
メチルエチレンジアミン、酢酸ナトリウム、三フッ化ホ
ウ素エーテラート、塩化水素、塩化アンモニウム等の塩
基あるいは酸を触媒として用いてもよい。
上記の反応は10〜100℃、好ましくは30〜60℃で、1
分〜10時間、好ましくは10分〜4時間行なえばよい。
ここでポリブタジエンは孤立したπ電子しか有してい
ないので、近紫外領域にはほとんどUV吸収を持たない。
一方、ベンゼン環あるいはナフタレン環は、近紫外領域
に非常に特徴的なUV吸収の極大値を有する。
従って、水酸基含有ポリブタジエンを、フェニルある
いはナフチルイソシアネートで処理したイソシアネート
処理ポリブタジエンは、近紫外領域にUV吸収を有する様
になる。
例えば、フェニルイソシアネートで処理した水酸基含
有ポリブタジエンは、256nmに吸収極大を示し、ナフチ
ルイソシアネートで処理した水酸基含有ポリブタジエン
は286nm及び312nmに吸収極大を示す。この新たに発現し
たUV吸収は、ポリブタジエンとフェニル基あるいはナフ
チル基がウレタン結合により結合した結果あらわれたも
のであり、従ってポリブタジエンの分子末端に水酸基が
含まれていたことが確認できる。
本発明における分子末端に少なくとも1個の水酸基を
有する共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100
℃)は20〜90、5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は
20〜300cpsに限定される。ムーニー粘度(ML1+4,100
℃)が20未満あるいは5重量%スチレン溶液粘度が20cp
s未満の共役ジエン系ゴムを用いた場合、得られる耐衝
撃性スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性が十分でない。ま
たムーニー粘度(ML1+4,100℃)が90を超えるか、ある
いは5重量%スチレン溶液粘度が300cpsを超える共役ジ
エン系ゴムを用いた場合には、工業的に製造する際、こ
の共役ジエン系ゴムのスチレン系単量体への溶解および
この溶液の移送に多くの時間をついやし、さらに重合溶
液の粘度の上昇は伝熱効率を低下させて、重合温度の制
御を困難とし、均質な組成物が得にくいため好ましくな
い。
本発明における共役ジエン系ゴムは、そのミクロ構造
によって、得られる耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の耐
衝撃性に若干の影響を与える。例えば、共役ジエン系ゴ
ムとしてポリブタジエンを用いる場合、1,2−ビニル含
量は、10〜80%、シス−1,4含量は、10〜85%の範囲に
あるのが好ましい。この範囲外のミクロ構造を有するポ
リブタジエンゴムを用いると、得られる耐衝撃性スチレ
ン系樹脂組成物は耐衝撃性が劣るものとなる。
前記の1,2−ビニル含量の調整法については特に制限
がなく、従来公知のいかなる方法も用いることができ
る。例えば、共役ジエン系ゴムの重合時、重合系にジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、THFなどのエーテル
類;ジメチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィ
ド、ジエチルスルフィドなどのチオエーテル類を添加し
て重合を行うことによって達成される。さらに、ヘキサ
メチルホスホルアミド(HMPA)を添加する方法(特公昭
43−5904号公報)、テトラメチルエチレンジアミン(TM
EDA)を添加する方法(特公昭42−17199号公報)及びジ
エチレングリコールジメチルエーテルを添加する方法な
どがある。また、1,2−ビニル結合については分子鎖中
に均一になるように重合してもよく、あるいは、分子鎖
に沿って漸減的に変化するように重合してもよく(特公
昭48−875号公報)、さらにはブロック的に結合するよ
うに重合してもよい(米国特許第3301840号明細書)。
1,2−ビニル結合を分子鎖中に均一になるように重合す
るには、通常重合開始温度を30〜90℃とし、できるかぎ
り低温重合する方法がとられる。
また、1,2−ビニル結合を分子鎖に沿って漸減的に変
化するように重合するためには、重合を昇温下で実施す
る方法、すなわち、通常重合開始温度を30〜80℃とし、
重合終了温度を85〜120℃とする方法が用いられる。
このようにして得られた共役ジエン系ゴムの分子量分
布については、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)の分子量分布曲線がモノモーダルであっても
よいし、バイモーダル、トリモーダルなどのポリモーダ
ルであってもよい。さらに重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は通常1.1〜4.5の範囲で
あるのが好ましい。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を構成する特
殊な共役ジエン系ゴムの含有量は2〜25重量部である。
2重量部未満では、本発明が目的とする耐衝撃性の改良
効果が不十分であり、25重量部を超えると耐衝撃性は向
上するものの、本来の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の
持つ特性、例えば強度、剛性等が低下し好ましくない。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を得る方法に
ついては、ラジカル重合であるかぎり特に制限がなく、
公知の方法を用いることができるが、通常、本発明の共
役ジエン系ゴムを2〜25重量部とスチレン系単量体また
はスチレン系単量体と共重合可能な単量体との混合物98
〜75重量部を塊状重合または塊状懸濁重合もしくは溶液
重合によりラジカル重合させることにより得られる。
一般に塊状重合においては、特定の共役ジエン系ゴム
をスチレンに溶解し、無触媒の場合は、通常95〜200℃
の温度において加熱重合を行い、一方触媒重合において
は、通常より低温、例えば60〜180℃の温度でスチレン
の重合操作が継続される。
触媒重合の場合は、開始剤として、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキル
パーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、m−ト
ルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等
のジアシルパーオキサイド類;ジミリスチルパーオキシ
ジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート等のパーオキシジカーボテート類;t−ブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ
アセテート、ジ−t−チルジパーオキシイソフタレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシ
エステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド、メチル
エチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド
類;p−メンタハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等
のハイドロパーオキサイド類;アゾビスイソブチロニト
リル、アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル等のアゾ
化合物類などが用いられる。これらは一種あるいは二種
以上の組み合わせで用いられる。さらに必要に応じて、
連鎖移動剤、例えばメルカプタン類、α−メチルスチレ
ンリニアダイマー、テルピノーレンを用いることができ
る。
また、この塊状重合においては、所望に応じ公知の内
部潤滑剤、例えば流動パラフィンを重合体100重量部に
対し1〜5重量部程度添加してもよい。重合終了後、生
成ポリマー中に未反応スチレンが含有する場合は、この
スチレンを公知の方法、例えば減圧除去あるいは揮発分
除去の目的で設計された押出装置で除去する方法などに
よって除去することが望ましい。塊状重合中、必要に応
じて撹拌を行うことができるが、スチレンの重合体への
転化率、すなわち重合率が30%以上進んだあとは、撹拌
は停止するかまたは緩和することが望ましい。過度の撹
拌は得られる重合体の強度を低下させることがある。ま
た、必要ならば少量のトルエン、エチルベンゼンなどの
希釈剤の存在下で重合し、重合終了後に未反応スチレン
とともにこれら希釈剤を加熱除去してもよい。
また、塊状懸濁重合も本発明の耐衝撃性スチレン系樹
脂組成物の製造に有用である。この方法においては、ま
ず前半の反応を塊状重合で行い、後半の反応を懸濁重合
で行う。すなわち、特定の共役ジエン重合体ゴムのスチ
レン溶液を、前記の塊状重合の場合と同様に、無触媒下
での加熱重合または触媒添加重合を行って、通常スチレ
ンの50%以下、特に好ましくは10〜40%までを部分的に
重合させる。これが前半の塊状重合である。次いでこの
部分的に重合した混合物を懸濁安定剤またはこれと界面
活性剤との組合せの存在下に水性媒体中にかきまぜなが
ら分散させ、反応の後半を懸濁重合によって完結させ
る。生成したポリマーは洗浄、乾燥し、必要に応じてペ
レットまたは粉末にする。
以上の他に、これらの方法の改質や改良を行った従来
公知の方法によっても、有用な耐衝撃性スチレン系樹脂
組成物が得られる。また、特定の共役ジエン系ゴムとと
もに耐衝撃性スチレン系樹脂組成物を形成するスチレン
の一部を、スチレン以外のスチレンとラジカル重合可能
な単量体で置換してもよい。このような単量体は、スチ
レンを含む全単量体中の50重量%以下の範囲で用いられ
る。スチレン以外の共重合可能な単量体としては、例え
ばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチル
ベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンなどのモ
ノビニル芳香族炭化水素;ブタジエン、イソプレンなど
の共役ジエン類;アクリロニトリル、メタクリル酸メチ
ル、無水マレイン酸などが挙げられ、好ましくはアクリ
ロニトリル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸を挙
げることができる。これら単量体は一種でも、二種以上
用いてもよい。
以上の様にして得られた耐衝撃性スチレン系樹脂組成
物においては、ゲル含有量(トルエン不溶分の含有量)
は10〜40重量%の範囲が好ましく、また樹脂組成物中の
ゲルのトルエン中での膨潤指数は7〜13の範囲が好まし
い。さらに、樹脂部の分子量は通常重量平均分子量で10
万〜40万が好ましく、より好ましくは18万〜28万の範囲
である。樹脂中に残存するスチレンオリゴマーの量は耐
熱性に影響を与えるので、通常は1重量%以下が好まし
く、特に耐熱性が要求されるものでは0.5重量%以下で
あることが望ましい。
また本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、無機
系の添加剤を添加した場合の衝撃強度保持率にも優れる
が、使用できる無機系の添加剤の例として、酸化アンチ
モン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、メタホウ
酸バリウム、ホウ砂、アルミン酸化カルシウム、カオリ
ンクレー、ドーソナイト等の無機系の難燃剤あるいは難
燃助剤、酸化チタン、カーボンブラック等の無機系顔
料、炭酸カルシウム、シリカ、クレーなどの無機系充填
剤等を挙げることができる。
本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、一般的な
射出成形、押出成形などの加工法で製品化できる。
[発明の効果] 以上の様にして得られた本発明の耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物は、従来の水酸基を有しないゴムを用いた耐
衝撃性スチレン系樹脂組成物に比べて、後述の実施例に
示す様にアイゾット衝撃強度及び落錘衝撃強度といった
耐衝撃性に優れ、かつ、着色性にも優れている。
また、本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は無機
系添加剤を加えても、従来の耐衝撃性スチレン系樹脂組
成物に較べて、その衝撃強度の低下は1/2以下である。
この様に本発明の耐衝撃性スチレン系樹脂組成物は、
耐衝撃性、着色性、及び無機系添加剤添加時の衝撃強度
保持率に優れているため、電器製品のキャビネットや食
品容器、玩具など多種多様な製品に使用しうる。
[実施例] 以下に若干の実施例を示し、本発明の具体的な実施態
様を示すが、これは本発明の趣旨をより具体的に説明す
るためのものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1,2及び比較例1〜4 次に示す方法により、第1表に示す仕込み量で共役ジ
エン系ゴムを重合した。
内容積10の撹拌装置、ジャケット付のオートクレー
ブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製、乾燥した1,3
−ブタジエンとn−ヘキサンを加え、場合によっては、
予め精製、乾燥したスチレンも加えた。次いで1,2−ビ
ニル調整剤としてTHFを加え、さらにn−ブチルリチウ
ムの5重量%n−ヘキサン溶液を加えて、70℃にて重合
を開始した。重合温度は約100℃まで上昇した。重合開
始から30分後、得られたポリマーに各々第1表に示す末
端処理剤を加えて30分間反応させた。末端処理剤は全て
溶媒に溶解させず、そのままの状態で加えた。またその
時の反応温度は約80℃であった。
得られたポリマー溶液にBHT(t−ブチルヒドロキシ
トルエン)をゴム100重量部当り0.5重量部加え、溶媒を
日本ロールにて加熱除去し第1表の共役ジエン系ゴムA
〜Fを得た。5重量%スチレン溶液粘度はキャノンフェ
ンスケ型粘度計を用いて25℃にて測定した。共役ジエン
系ゴムA〜FをTHFに溶解し、次いで等molのナフチルイ
ソシアネートを加え、さらにテトラメチルエチレンジア
ミンを少量加えて50℃で30分間撹拌下で反応させた。反
応溶液中の共役ジエン系ゴム成分をGPCで分別回収し、
この共役ジエン成分の近紫外領域のUV吸収を測定した。
A,B,C及びDには312nmの吸収極大が認められ、E及びF
には認められなかった。従って、A,B,C及びDの共役ジ
エン系ゴムには分子末端に水酸基が付加していることが
確認された。
またミクロ構造は赤外分光光度計を用いて、ポリブタ
ジエンはモレロ法〔La chimica EL'industria 41,758
(1959)による〕、スチレン−ブタジエンコポリマーに
ついてはハンプトン法〔Analytical Chemistry,21,923
(1949)による〕にて測定した。
次いで、以上A〜F、6種の共役ジエン系ゴムを用い
て、以下に述べる塊状重合法により耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物を得た。
すなわち、撹拌装置、ジャケット付反応器に、第2表
に示す様な種類,割合で溶媒,単量体等を加え、次いで
第1表の共役ジエン系ゴムを添加し、撹拌して溶解し
た。これに、ジ−tert−ブチルパーオキサイドをモノマ
ー1molに対し1×10-4mol添加し110℃で3時間、140℃
で5時間、160℃で2時間重合を行なった。次いで230℃
に昇温して未反応物を減圧除去したのち、BHTを重合体1
00重量部あたり0.5重量部添加し、得られた重合体を押
出機にてペレット状にした。
得られた組成物を圧縮成形して厚さ3.2mmの試験片を
作製しJIS−K−7110に従って、アイゾット衝撃強度を
測定した。
落錘衝撃強度は、射出成形して厚さ2mmの試験片を作
製し、JIS−K−7211に従って測定した。
次いで、この組成物100重量部にルチル型酸化チタン
5重量部を添加混合し、酸化チタン含有組成物を得た。
この酸化チタン含有組成物のアイゾット衝撃強度及び落
錘衝撃強度を前記と同様の方法で測定した。
ゴムを用いた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の着色性
は樹脂100部に対しミクロカーボンブラックを0.3部添加
し、150mm×150mm、厚さ2mmの片ピンゲート付金型で射
出成形を行ない、これら組成物中で着色性が最も優れる
ものを4、着色性が最も劣るものを1とし、その中間を
3および2とした。得られた結果を第2表に示す。
第2表から、実施例1,2が耐衝撃性および着色性が優
れ、比較例1では耐衝撃性は優れるものの着色性が劣
り、比較例2,3では着色性は優れるものの耐衝撃性に劣
り、比較例4では耐衝撃性および着色性が劣ることがわ
かる。
また実施例は比較例に比べて、酸化チタンを添加した
場合でも衝撃強度の低下が少なく、衝撃強度保持率に優
れることがわかる。
実施例3〜7及び比較例5 実施例1と同様にして、第3表に示す仕込み量で共役
ジエン系ゴムを重合し、共役ジエン系ゴムG〜Lを得
た。実施例1と同様にしてH〜Lには分子末端に水酸基
が付加していることが確認された。
次いで、上記の様にして得られた共役ジエン系ゴムG
〜Lを用いて実施例1と同じ方法で耐衝撃性スチレン系
樹脂組成物を得、物性を測定した。
第4表から明らかな様に、実施例3〜7が耐衝撃性お
よび着色性が優れ、比較例5では耐衝撃性および着色性
が劣ることがわかる。
また実施例1と同様にして酸化チタン含有組成物を
得、物性を測定した。実施例は比較例に比べて酸化チタ
ンを添加した場合でも衝撃強度の低下が少なく、衝撃強
度保持率に優れることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/04 LDW C08L 25/04 LDW

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子末端に少なくとも1個の水酸基を有し
    100℃でムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜90で25℃で
    の5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)が20〜300cpsで
    ある共役ジエン系ゴムを2〜25重量部と、スチレン系単
    量体またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体との
    混合物98〜75重量部をラジカル重合して得られる耐衝撃
    性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】分子末端に少なくとも1個の水酸基を有し
    100℃でのムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜90で25℃
    での5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)が20〜300cps
    である共役ジエン系ゴムを2〜25重量部と、スチレン系
    単量体またはスチレン系単量体と共重合可能な単量体と
    の混合物98〜75重量部を塊状重合または塊状懸濁重合も
    しくは溶液重合でラジカル重合させることを特徴とする
    耐衝撃性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
JP11368487A 1987-05-12 1987-05-12 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法 Expired - Lifetime JP2598264B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11368487A JP2598264B2 (ja) 1987-05-12 1987-05-12 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11368487A JP2598264B2 (ja) 1987-05-12 1987-05-12 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63278920A JPS63278920A (ja) 1988-11-16
JP2598264B2 true JP2598264B2 (ja) 1997-04-09

Family

ID=14618556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11368487A Expired - Lifetime JP2598264B2 (ja) 1987-05-12 1987-05-12 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2598264B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190060499A (ko) * 2017-11-24 2019-06-03 주식회사 엘지화학 무광 열가소성 수지의 제조방법 및 이로부터 제조된 무광 열가소성 수지

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190060499A (ko) * 2017-11-24 2019-06-03 주식회사 엘지화학 무광 열가소성 수지의 제조방법 및 이로부터 제조된 무광 열가소성 수지
KR102302036B1 (ko) 2017-11-24 2021-09-15 주식회사 엘지화학 무광 열가소성 수지의 제조방법 및 이로부터 제조된 무광 열가소성 수지

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63278920A (ja) 1988-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0475461B1 (en) Impact resistant styrenic resin containing a selectively, partially hydrogenated polymer
JPH093111A (ja) リチウムアミノマグネシエート重合開始剤および低下したヒステリシスを示すエラストマー類
JPS5919577B2 (ja) 耐衝撃性ポリスチレンの製造方法
US4639494A (en) Process for producing polystyrene
JP2598264B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物とその製造方法
JPH0414689B2 (ja)
JP3985293B2 (ja) ブロック共重合体及びその製造方法
JP3336686B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP2588701B2 (ja) ゴム変性されたスチレン系樹脂組成物
JP2584211B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
JP3336685B2 (ja) ゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP3629872B2 (ja) 芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体およびその製造方法
JP3414429B2 (ja) ゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP2802637B2 (ja) 物性バランスの優れた耐衝撃性スチレン系樹脂及びその製造方法
JP3152709B2 (ja) ゴム変性耐衝撃性樹脂組成物及びその製造方法
JP2001139765A (ja) ポリカーボネート樹脂/abs系樹脂組成物
JP2727236B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂
JP2547988B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂組成物
EP0879835B1 (en) Aromatic vinyl-conjugated diene block copolymer and production process thereof
JPS63278921A (ja) ゴムで変性されたスチレン系樹脂とその製造方法
US20070260017A1 (en) Impact-Resistant Vinyl Aromatic Hydrocarbon Resin
JP2000001516A (ja) 樹脂改質剤、それを含む樹脂組成物、およびポリ芳香族ビニル系樹脂組成物
JPH09302051A (ja) 高光沢耐衝撃性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法
JP3876940B2 (ja) 芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、その製造方法、及び樹脂組成物
JPS584934B2 (ja) 高ゴム含有耐衝撃性ポリスチレンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080109

Year of fee payment: 11