JP2718638B2 - アモルファス金属積層シート - Google Patents
アモルファス金属積層シートInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアモルファス金属積層シ
ートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本
発明は強靱で防水性があり、防汚性、耐候性にすぐれ、
かつ、電界および磁界の両方に対しすぐれたシールド効
果を有するアモルファス金属積層シートに関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】近年エレクトロニクス機器の発達および
普及に伴い、これらの機器を、静電気および/又は電磁
波の悪影響から保護するためのシート材料が必要になっ
てきた。従来、エレクトロニクス機器を静電気から保護
するためには、カーボン粉末又は繊維、或は金属箔又は
粉を含有する導電性材料を含有する導電性シートが用い
られているが、このような従来の導電性シートは、電磁
波からエレクトロニクス機器を保護するためには十分に
効果的であるとは云えないものであった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、アモルファ
ス(非晶質)金属を利用して静電気および電磁波の両方
に対して十分な遮蔽および保護効果を有し、かつ防水
性、防汚性、耐候性のすぐれた積層シート材料を提供し
ようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明のアモルファス金
属積層シートは、互に並列に配置された複数個のアモル
ファス金属リボンを、それらの側縁部において接着剤又
は半田により互に接合して形成されたアモルファス金属
シート、およびその少なくとも一面を被覆し、かつ0.
1μm以上の厚さを有する導電性金属メッキ層とからな
るアモルファス金属含有芯層と、その少なくとも一面上
を被覆している可撓・防水性樹脂被覆基礎層と、および
この基礎層の上に形成され、かつ防汚・耐候性合成樹脂
からなる表面層とを含んでなるものである。 【0005】 【作用】最近アモルファス金属を、その特性に基いて種
種の用途に利用することが試みられている。一般にアモ
ルファス金属は幅2.54〜10.16cmのリボン状材
料として供給されており、近い将来、幅20.32cmの
ものが供給されることが期待されているが、このような
リボン状、又は小幅材料を、被覆用シート材料に利用す
ることは殆んど不可能と考えられていた。 【0006】本発明においては、上記のようなリボン
状、又は小幅アモルファス金属材料を所望の幅のシート
状体として使用するものである。本発明のアモルファス
金属積層シートにおいてアモルファス金属含有芯層は、
アモルファス金属シートと、その少なくとも一面を被覆
している導電性金属メッキ層とからなるものである。導
電性金属としては、例えば銅、ニッケル、コバルト、
鉄、アルミニウム、金、銀、錫、亜鉛およびこれらから
選ばれた2種以上の合金などを用いることができる。 【0007】本発明に用いられるアモルファス金属の種
類については、それが、静電気、電界および磁界から、
エレクトロニクス機器を保護する効果を有している限
り、格別の限定はなく、市販材料から選択することがで
きるが一般には鉄を主成分とし、これにホウ素、硅素、
炭素、ニッケル、コバルト、およびモリブデンなどから
選ばれた1種以上を添加して得られるアモルファス合金
から選ばれることが好ましい。例えば、アライド社の商
標、METGLAS No.2605SC(Fe:81
%,B:13.5%,Si:3.5%,C:2%のアモ
ルファス合金)、No.2605S−2(Fe:78%,
B:13%,Si:9%のアモルファス合金)、No.2
605−CO(Fe:87部、B:14部、Si:1
部、Co:18部のアモルファス合金)、No.2826
−MB(Fe:40%,Ni:38%,Mo:4%,
B:18%のアモルファス合金)などを用いることがで
きる。 【0008】図1(A)に示されているように、アモル
ファス金属リボン1は、アモルファス金属層2と、その
片面を被覆している導電性金属メッキ層3とからなるも
のであってもよく、又は図1(B)に示されているよう
に、アモルファス金属リボン1は、アモルファス金属層
2と、その両面を被覆している導電性金属メッキ層3と
からなるものであってもよい。 【0009】これらのアモルファス金属材料は、前述の
ようにリボン又は小幅シートの形状で供給されているの
で、本発明のアモルファス金属積層シートに、これらを
使用するためには、複数個のリボン状又は小幅シート状
アモルファス金属材料を互に並列に配置し、それらの対
向する側縁部を接着剤または半田接合して、所望の広幅
を有するシート状体とする。また、未メッキアモルファ
ス金属リボンは、アモルファス金属の粉末を利用して形
成してもよく、或は、アモルファス金属からなる細線か
ら編織物状、又は不織布状シートとして、これをアモル
ファス金属リボンとして用いてもよい。前述のようなア
モルファス金属は磁性体であって、磁界に対しすぐれた
シールド効果を有している。 【0010】図2(A)および(B)において、広幅シ
ート状アモルファス金属含有芯層4の形成に際し、複数
個のアモルファス金属リボン1は、図2(A)に示され
ているようにアモルファス金属含有芯層4の長手方向A
に平行に配列されてもよく、或は、図2(B)に示され
ているように、アモルファス金属含有芯層4の幅方向B
に平行に配列されていてもよい。これら複数個のアモル
ファス金属リボン1は、その側縁部において接着剤又は
半田5により互に接合されている。 【0011】本発明のアモルファス金属含有芯層におい
て、アモルファス金属層の少なくとも一面上に導電性金
属がメッキされているため、得られる芯層は、前記磁界
シールド性に、導電性金属メッキ層による電界シールド
性が加算されたものであって、芯層全体として、低周波
から高周波までの広範囲の電磁波に対して、すぐれたシ
ールド効果を示すことができる。また、導電性金属メッ
キ層は、アモルファス金属シートの接着剤又は半田によ
る接合性を向上させる効果も有している。導電性金属メ
ッキ層の形成は、前記接合前にアモルファス金属リボン
に施されてもよく、或は、複数個のアモルファス金属リ
ボンを接合して広幅シート状体に形成した後に施されて
もよい。 【0012】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、アモルファス金属含有芯層は、100μm以下の
厚さを有することが好ましく、1〜50μmの厚さを有
することがより好ましく、5〜30μmの厚さを有する
ことが更に好ましい。 【0013】また、アモルファス金属含有芯層中に含ま
れる導電性金属メッキ層は0.1μm以上の厚さを有す
るものであり、0.1〜5μm程度の厚さを有すること
が好ましい。 【0014】アモルファス金属含有芯層の厚さが100
μmより大きくなると、芯層の剛性が過大となり、変形
しにくく、ドレープ性が不十分となり、鋭利な切断面を
形成して作業上危険を生ずることがある。また、導電性
金属メッキされたアモルファス金属の少なくとも一表面
に防錆その他の目的で薄い重合体保護膜が形成されてい
てもよい。 【0015】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、アモルファス金属含有芯層の片面、または、両面
上に可撓・防水性樹脂からなる被覆基礎層が形成され
る。このような可撓・防水性樹脂としては、天然ゴム、
ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、
ハイパロンその他の合成ゴム、またはPVC樹脂、エチ
レン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)樹脂、アクリル
樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン
(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエス
テル樹脂、フッ素含有樹脂その他の合成樹脂を用いるこ
とができる。このような材料からなる防水層は、得られ
るアモルファス金属積層シートに所望の防水性並びに難
燃性や機械的強度を与えるのに十分な厚さ、例えば、
0.05mm以上の、好ましくは0.05〜1.0mmの厚
さを有する。 【0016】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、図3(A)に示されているように、アモルファス
金属含有芯層4の片面に、可撓・防水性樹脂被覆基礎層
6が形成され、その上に防汚・耐候性合成樹脂表面層7
が形成されてアモルファス金属積層シート8を構成して
いてもよく、また図3(B)に示されているように、ア
モルファス金属積層シート8は、アモルファス金属含有
芯層4と、その両面を被覆している可撓・防水性樹脂被
覆基礎層6と、それらを被覆している防汚・耐候性合成
樹脂表面層7とから形成されていてもよい。 【0017】これらの可撓・防水性樹脂被覆基礎層は、
上記の如きゴム又は樹脂のフィルム、溶液、ペースト又
はストレートなどを用い、公知の方法、例えば、トッピ
ング、カレンダリング、コーティング、ディッピングな
どの方法によって、アモルファス金属含有芯層の表面上
に形成することができる。これらのゴム又は樹脂中に
は、可塑剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤などや他の
機能付与剤、例えば防炎剤、難燃化剤などが含まれてい
てもよい。 【0018】従来、金属箔の表面に対し、防錆、および
腐食防止の目的で1〜10μm程度の厚さの樹脂層を形
成することが知られているが、本発明のアモルファス金
属積層シートにおいては、可撓・防水性樹脂被覆基礎層
は一般に50μm以上の厚さに形成され、この厚さは、
好ましくは50〜5000μmであり、更に好ましくは
100〜3000μm、より一層好ましくは200〜2
000μmである。従って、本発明の可撓・防水性樹脂
被覆基礎層は、従来の金属箔上に形成される防錆、腐食
防止被膜層とは明確に異るものである。また、本発明に
用いられる可撓・防水性樹脂被覆基礎層は、上記の厚さ
を有していても使用上十分な可撓性を示すことができ
る。 【0019】本発明において、図3(A)および(B)
に示されているように可撓・防水性樹脂からなる被覆基
礎層6の上に、防汚・耐候性合成樹脂からなる表面層7
が形成されている。 【0020】本発明に用いられる防汚・耐候性合成樹脂
としては、弗素含有樹脂およびアクリル樹脂を用いるこ
とができる。すなわち防汚・耐候性合成樹脂表面層は、
被覆基礎層上に、弗素含有樹脂、又は、アクリル樹脂か
らなるフィルムを貼着することによって形成される。 【0021】一般に弗素含有樹脂は、難燃性かつ防汚、
耐候性であるが、通常のプラスチック接着剤にはなじま
ないため、そのままでは、被覆基礎層の表面に貼着する
ことが困難なことがある。 【0022】そこで、弗素含有樹脂フィルムの表面をコ
ロナ放電又は低温プラズマ処理等を施して、これをでき
るだけ活性化することにより、例えばポリ塩化ビニル、
ポリエポキシ、ポリアクリル、およびポリエステル樹脂
などの接着剤との親和性を増加せしめている。通常上記
の処理によって、弗素含有樹脂フィルムの表面部分につ
いて活性化が行われることとなる。このために、例えば
100〜200V、40〜100μF、短絡電流1〜2
Aの条件でコロナ放電処理が行われる。かかる放電処理
により、弗素含有樹脂フィルムに所望の接着能が与えら
れるが、本発明に用いられる弗素含有樹脂フィルムの表
面処理はこれに限定されるものではなく、他の表面処理
等により同等以上の効果を奏するものであればよい。 【0023】弗素含有樹脂フィルムを構成する樹脂とし
ては、エチレンの水素原子の1個以上が弗素原子と置換
されている単量体から合成される各種のポリフルオルエ
チレン、例えば、ポリテトラフルオルエチレン、又は一
部塩素を含む各種のポリフルオルクロルエチレン、例え
ばポリトリフルオルクロルエチレン等があるが、このほ
かポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリジクロル
ジフルオルエチレン、その他も包含される。フィルムの
厚みは一般に0.001mm〜0.5mm、好ましくは5〜
50μm程度であるが、耐候性・防汚性並びに耐久性の
目的を達成するものであれば、より厚く、又は、より薄
くすることができ特に限定はない。また、弗素含有樹脂
フィルムには、他の樹脂例えばMMA等が混合又は貼着
複合される等混用されていても本発明の目的を達成する
ものであれば差支えない。本発明に使用される弗素含有
樹脂フィルムの市販品としては、テドラーフィルム(デ
ュポン、商標)、アフレックスフィルム(旭硝子、商
標)、KFCフィルム(呉羽化学、商標)等がある。 【0024】本発明において、表面が実質的に平滑なフ
ィルム状の弗素含有樹脂が、被覆基礎層の上面に貼着さ
れるのが好ましいが、弗素含有樹脂溶液、又はエマルジ
ョン等を塗布する方法もある。本発明に用いられる弗素
含有樹脂フィルムは、100kg/cm2以上の引張強度を
有することが好ましい。 【0025】本発明において防汚・耐候性合成樹脂表面
層は、ポリアクリル樹脂によって形成されていてもよ
い。このためには一般にアクリル樹脂フィルムを用いる
が、アクリル樹脂の溶液又は、エマルジョンを、被覆基
礎層の上に塗布し乾燥する方法を用いてもよい。 【0026】本発明に用いられるアクリル樹脂フィルム
は、100kg/cm2 上の引張強度を有することが好まし
く、1〜50g/m2、好ましくは3〜30g/m2の重
量、又は、3μm以上(通常は3〜50μm)の、更に
好ましくは4〜30μmの厚さを有するものであること
が好ましい。 【0027】本発明に適用されるアクリル樹脂フィルム
は、Tダイ法又はインフレーション法その他いずれの方
法で製造されたものでもよい。また、延伸フィルム、未
延伸フィルムのいずれでもよいが、フィルムの伸度は1
00〜300%程度のものが好ましい。また、前述のよ
うに厚みは通常3〜50μm程度であるが、十分な耐候
性・防汚性を達成するならば多少厚く又は薄くしてもよ
い。フィルム素材は、ポリアルキルメタアクリレート系
フィルム、例えばメチルメタアクリレート、エチルメタ
アクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタ
アクリレート等を主材料とするもの、又は、アクリレー
ト、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリル等をホモモノマー又はコモ
ノマー成分とするホモポリマー又はコポリマーをフィル
ム状に成型したものがよい。かかるフィルムは被覆基礎
層の表面に接着剤を用いて接着するか又はその他の方法
により貼着される。 【0028】本発明において、可撓・防水性樹脂被覆基
礎層上に形成される防汚・耐候性合成樹脂表面層は、上
述のような弗素含有樹脂およびアクリル樹脂の他に、ポ
リ弗化ビニリデン樹脂層とアクリル樹脂層との積層体、
又はポリ弗化ビニリデン樹脂層と、アクリル樹脂層と、
ポリ塩化ビニル樹脂層との積層体からなるものであって
もよい。これら積層体においては、ポリ弗化ビニリデン
樹脂層の厚さは2〜3μm、アクリル樹脂層の厚さは2
〜4μmおよび、ポリ塩化ビニル樹脂層の厚さは40〜
45μmであることが好ましいが、これらの数値に限定
されるものではない。 【0029】 【実施例】本発明のアモルファス金属積層シートを実施
例により更に説明する。実施例1 アモルファス金属(Fe:81%,B:13.5%,S
i:3.5%,およびC:2%、からなる合金、商標:
METGLAS No.2605SC、アライド社製、巾
7.62cm、厚さ25μmのリボン状体)の全表面に、
厚さ1μmの銅メッキを施した。この銅メッキされたア
モルファス金属リボンの13枚を、互に並列に配置し、
それぞれの側縁端を半田接合して幅約90cmのアモルフ
ァス金属含有芯層用広幅シートを作成した。 【0030】上記広幅シートを下記組成の可撓・防水性
樹脂被覆液に浸漬した。 ポリ塩化ビニル樹脂 80重量部 ブチルベンジルフタレート 68 〃 エポキシ化大豆油 7 〃 炭酸カルシウム 20 〃 カドミウムバリウム系安定剤 3 〃 顔 料 8 〃 トルエン(溶剤) 130 〃 被覆液付着シートをニップローラーで絞り、被覆液の付
着量を、ゲル化固着後の厚さが0.3mmになるように調
節し、乾燥機中で90℃で1分間乾燥した。次に、この
被覆基礎層を180℃で1分間熱処理してポリ塩化ビニ
ルをゲル化固着した。 【0031】この積層シートの一面上に防汚・耐候性合
成樹脂フィルム(商標:KFCシート、呉羽化学工業社
製、ポリ弗化ビニリデン樹脂層(2〜3μm)/ポリア
クリル樹脂層(2〜4μm)/ポリ塩化ビニル樹脂層
(45μm)の積層シート)のポリ塩化ビニル樹脂層面
を加熱貼着し、他の一面にポリアクリル樹脂フィルム
(三菱レイヨン社製、25μm)を加熱貼着した。得ら
れたアモルファス金属積層シートは、電界、および磁界
の両方に対し、すぐれたシールド性を示し、かつすぐれ
た防水性、防汚性および耐候性を有し、また、アモルフ
ァス金属積層シート同志の熱融着接合の可能なものであ
った。従来は熱融着接合性を有していないアモルファス
金属リボンをシート材料(例えば大型内装用シート)に
使用することは不適切と考えられており、それはこの用
途に用いるときは縫合が必要であり、この縫合部が当該
シート材料の電磁波シールド性を低下せしめるからであ
る。しかし、本発明により、得られる熱融着接合性を有
するアモルファス金属積層シートは、縫合が不必要であ
り、このためアモルファス金属リボンの大型内装材料と
しての利用を簡易化し、かつ利用分野を拡大することが
可能になった。このようなアモルファス金属リボンの利
用は従来は全く考えられなかったことであり、本発明に
より初めて可能になったのである。 【0032】実施例2 実施例1と同様の操作を行った。但し、可撓・防水性樹
脂被覆基礎層は下記のようにして作成された。アモルフ
ァス金属含有芯層用広幅シートに、下記組成の樹脂組成
物を含む塗工液を、コーターを用いて塗布した。 ポリ塩化ビニル樹脂ペースト 100重量部 D.O.P.(可塑剤) 70 〃 ホウ酸バリウム(減煙剤) 20 〃 水酸化アルミニウム(難燃剤) 100 〃 硫酸バリウム(難燃剤) 200 〃 バリウム−亜鉛系安定剤 2 ケチンブラックEC 10 この塗工液塗布シートを、150℃で2分間乾燥して希
釈剤を除去し、次に185℃で1分間の熱処理を施し、
それによって70g/m2 の樹脂組成物をアモルファス
金属含有芯層用広幅シートに被覆固着した。 【0033】次に得られた積層シートの片面上に、上記
と同一組成(但し、ポリ塩化ビニル樹脂ストレートを使
用し、ケチンブラックECの使用量を30重量部とし
た。)の樹脂組成物からなるフィルムを、カレンダーで
貼着し、シートに被覆された樹脂基礎層の合計量を20
0g/m2とした。 【0034】得られた積層シートは実施例1と同様に良
好な電磁波シールド性、および防水性を示した。また、
この積層シートの樹脂フィルム貼着面および、その反対
面は、それぞれ3.2×10Ω−cm、および5.8×1
08Ω−cm の体積固有抵抗値を示した。 【0035】上記積層シートの樹脂フィルム貼着面上
に、実施例1記載と同一のKFCフィルムを貼着し本発
明のアモルファス金属積層シートを作成したところ、こ
の貼着面は良好な防汚性および耐候性を示した。 【0036】実施例3 実施例1記載のものと同一の銅メッキされたアモルファ
ス金属含有芯層用広幅シートの両面に、接着剤(SC−
12N)を塗布し、実施例2記載のものと同一の樹脂組
成を有する樹脂フィルム(但し、ケチンブラックECの
含有率を15重量部とした)の厚さ0.3mmのものおよ
び0.2mmのものを各面に貼着した。更に、貼着された
厚さ0.3mmの樹脂フィルムの表面に実施例1記載のも
のと同一のKFCフィルムを貼着した。得られたアモル
ファス金属積層シートは、1000MHz の電界において
60dBの電界シールド性と、1000MHz の磁界におい
て60dBの磁界シールド性とを示し、かつすぐれた防水
性、防汚性および耐候性を有し、例えば屋外で使用する
包装材料としても有用なものであった。 【0037】 【発明の効果】本発明のアモルファス金属積層シート
は、電界および磁界の両方について良好なシールド効果
を有するので、簡易シールドルームの内装の形成に有用
である。また、本発明は、アモルファス金属がその高剛
性、他の材料に対する低い適応性、および縫製、接合の
困難性などから利用できないとされていた分野、すなわ
ち、エレクトロニクス機器を備えた部屋の床シート等の
床材、壁紙、ブラインド等の屋内内装材、各種被覆シー
ト、包装材、梱包材などの用途にアモルファス金属の利
用を可能にするものである。
ートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本
発明は強靱で防水性があり、防汚性、耐候性にすぐれ、
かつ、電界および磁界の両方に対しすぐれたシールド効
果を有するアモルファス金属積層シートに関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】近年エレクトロニクス機器の発達および
普及に伴い、これらの機器を、静電気および/又は電磁
波の悪影響から保護するためのシート材料が必要になっ
てきた。従来、エレクトロニクス機器を静電気から保護
するためには、カーボン粉末又は繊維、或は金属箔又は
粉を含有する導電性材料を含有する導電性シートが用い
られているが、このような従来の導電性シートは、電磁
波からエレクトロニクス機器を保護するためには十分に
効果的であるとは云えないものであった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、アモルファ
ス(非晶質)金属を利用して静電気および電磁波の両方
に対して十分な遮蔽および保護効果を有し、かつ防水
性、防汚性、耐候性のすぐれた積層シート材料を提供し
ようとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明のアモルファス金
属積層シートは、互に並列に配置された複数個のアモル
ファス金属リボンを、それらの側縁部において接着剤又
は半田により互に接合して形成されたアモルファス金属
シート、およびその少なくとも一面を被覆し、かつ0.
1μm以上の厚さを有する導電性金属メッキ層とからな
るアモルファス金属含有芯層と、その少なくとも一面上
を被覆している可撓・防水性樹脂被覆基礎層と、および
この基礎層の上に形成され、かつ防汚・耐候性合成樹脂
からなる表面層とを含んでなるものである。 【0005】 【作用】最近アモルファス金属を、その特性に基いて種
種の用途に利用することが試みられている。一般にアモ
ルファス金属は幅2.54〜10.16cmのリボン状材
料として供給されており、近い将来、幅20.32cmの
ものが供給されることが期待されているが、このような
リボン状、又は小幅材料を、被覆用シート材料に利用す
ることは殆んど不可能と考えられていた。 【0006】本発明においては、上記のようなリボン
状、又は小幅アモルファス金属材料を所望の幅のシート
状体として使用するものである。本発明のアモルファス
金属積層シートにおいてアモルファス金属含有芯層は、
アモルファス金属シートと、その少なくとも一面を被覆
している導電性金属メッキ層とからなるものである。導
電性金属としては、例えば銅、ニッケル、コバルト、
鉄、アルミニウム、金、銀、錫、亜鉛およびこれらから
選ばれた2種以上の合金などを用いることができる。 【0007】本発明に用いられるアモルファス金属の種
類については、それが、静電気、電界および磁界から、
エレクトロニクス機器を保護する効果を有している限
り、格別の限定はなく、市販材料から選択することがで
きるが一般には鉄を主成分とし、これにホウ素、硅素、
炭素、ニッケル、コバルト、およびモリブデンなどから
選ばれた1種以上を添加して得られるアモルファス合金
から選ばれることが好ましい。例えば、アライド社の商
標、METGLAS No.2605SC(Fe:81
%,B:13.5%,Si:3.5%,C:2%のアモ
ルファス合金)、No.2605S−2(Fe:78%,
B:13%,Si:9%のアモルファス合金)、No.2
605−CO(Fe:87部、B:14部、Si:1
部、Co:18部のアモルファス合金)、No.2826
−MB(Fe:40%,Ni:38%,Mo:4%,
B:18%のアモルファス合金)などを用いることがで
きる。 【0008】図1(A)に示されているように、アモル
ファス金属リボン1は、アモルファス金属層2と、その
片面を被覆している導電性金属メッキ層3とからなるも
のであってもよく、又は図1(B)に示されているよう
に、アモルファス金属リボン1は、アモルファス金属層
2と、その両面を被覆している導電性金属メッキ層3と
からなるものであってもよい。 【0009】これらのアモルファス金属材料は、前述の
ようにリボン又は小幅シートの形状で供給されているの
で、本発明のアモルファス金属積層シートに、これらを
使用するためには、複数個のリボン状又は小幅シート状
アモルファス金属材料を互に並列に配置し、それらの対
向する側縁部を接着剤または半田接合して、所望の広幅
を有するシート状体とする。また、未メッキアモルファ
ス金属リボンは、アモルファス金属の粉末を利用して形
成してもよく、或は、アモルファス金属からなる細線か
ら編織物状、又は不織布状シートとして、これをアモル
ファス金属リボンとして用いてもよい。前述のようなア
モルファス金属は磁性体であって、磁界に対しすぐれた
シールド効果を有している。 【0010】図2(A)および(B)において、広幅シ
ート状アモルファス金属含有芯層4の形成に際し、複数
個のアモルファス金属リボン1は、図2(A)に示され
ているようにアモルファス金属含有芯層4の長手方向A
に平行に配列されてもよく、或は、図2(B)に示され
ているように、アモルファス金属含有芯層4の幅方向B
に平行に配列されていてもよい。これら複数個のアモル
ファス金属リボン1は、その側縁部において接着剤又は
半田5により互に接合されている。 【0011】本発明のアモルファス金属含有芯層におい
て、アモルファス金属層の少なくとも一面上に導電性金
属がメッキされているため、得られる芯層は、前記磁界
シールド性に、導電性金属メッキ層による電界シールド
性が加算されたものであって、芯層全体として、低周波
から高周波までの広範囲の電磁波に対して、すぐれたシ
ールド効果を示すことができる。また、導電性金属メッ
キ層は、アモルファス金属シートの接着剤又は半田によ
る接合性を向上させる効果も有している。導電性金属メ
ッキ層の形成は、前記接合前にアモルファス金属リボン
に施されてもよく、或は、複数個のアモルファス金属リ
ボンを接合して広幅シート状体に形成した後に施されて
もよい。 【0012】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、アモルファス金属含有芯層は、100μm以下の
厚さを有することが好ましく、1〜50μmの厚さを有
することがより好ましく、5〜30μmの厚さを有する
ことが更に好ましい。 【0013】また、アモルファス金属含有芯層中に含ま
れる導電性金属メッキ層は0.1μm以上の厚さを有す
るものであり、0.1〜5μm程度の厚さを有すること
が好ましい。 【0014】アモルファス金属含有芯層の厚さが100
μmより大きくなると、芯層の剛性が過大となり、変形
しにくく、ドレープ性が不十分となり、鋭利な切断面を
形成して作業上危険を生ずることがある。また、導電性
金属メッキされたアモルファス金属の少なくとも一表面
に防錆その他の目的で薄い重合体保護膜が形成されてい
てもよい。 【0015】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、アモルファス金属含有芯層の片面、または、両面
上に可撓・防水性樹脂からなる被覆基礎層が形成され
る。このような可撓・防水性樹脂としては、天然ゴム、
ネオプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、
ハイパロンその他の合成ゴム、またはPVC樹脂、エチ
レン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)樹脂、アクリル
樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン
(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエス
テル樹脂、フッ素含有樹脂その他の合成樹脂を用いるこ
とができる。このような材料からなる防水層は、得られ
るアモルファス金属積層シートに所望の防水性並びに難
燃性や機械的強度を与えるのに十分な厚さ、例えば、
0.05mm以上の、好ましくは0.05〜1.0mmの厚
さを有する。 【0016】本発明のアモルファス金属積層シートにお
いて、図3(A)に示されているように、アモルファス
金属含有芯層4の片面に、可撓・防水性樹脂被覆基礎層
6が形成され、その上に防汚・耐候性合成樹脂表面層7
が形成されてアモルファス金属積層シート8を構成して
いてもよく、また図3(B)に示されているように、ア
モルファス金属積層シート8は、アモルファス金属含有
芯層4と、その両面を被覆している可撓・防水性樹脂被
覆基礎層6と、それらを被覆している防汚・耐候性合成
樹脂表面層7とから形成されていてもよい。 【0017】これらの可撓・防水性樹脂被覆基礎層は、
上記の如きゴム又は樹脂のフィルム、溶液、ペースト又
はストレートなどを用い、公知の方法、例えば、トッピ
ング、カレンダリング、コーティング、ディッピングな
どの方法によって、アモルファス金属含有芯層の表面上
に形成することができる。これらのゴム又は樹脂中に
は、可塑剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤などや他の
機能付与剤、例えば防炎剤、難燃化剤などが含まれてい
てもよい。 【0018】従来、金属箔の表面に対し、防錆、および
腐食防止の目的で1〜10μm程度の厚さの樹脂層を形
成することが知られているが、本発明のアモルファス金
属積層シートにおいては、可撓・防水性樹脂被覆基礎層
は一般に50μm以上の厚さに形成され、この厚さは、
好ましくは50〜5000μmであり、更に好ましくは
100〜3000μm、より一層好ましくは200〜2
000μmである。従って、本発明の可撓・防水性樹脂
被覆基礎層は、従来の金属箔上に形成される防錆、腐食
防止被膜層とは明確に異るものである。また、本発明に
用いられる可撓・防水性樹脂被覆基礎層は、上記の厚さ
を有していても使用上十分な可撓性を示すことができ
る。 【0019】本発明において、図3(A)および(B)
に示されているように可撓・防水性樹脂からなる被覆基
礎層6の上に、防汚・耐候性合成樹脂からなる表面層7
が形成されている。 【0020】本発明に用いられる防汚・耐候性合成樹脂
としては、弗素含有樹脂およびアクリル樹脂を用いるこ
とができる。すなわち防汚・耐候性合成樹脂表面層は、
被覆基礎層上に、弗素含有樹脂、又は、アクリル樹脂か
らなるフィルムを貼着することによって形成される。 【0021】一般に弗素含有樹脂は、難燃性かつ防汚、
耐候性であるが、通常のプラスチック接着剤にはなじま
ないため、そのままでは、被覆基礎層の表面に貼着する
ことが困難なことがある。 【0022】そこで、弗素含有樹脂フィルムの表面をコ
ロナ放電又は低温プラズマ処理等を施して、これをでき
るだけ活性化することにより、例えばポリ塩化ビニル、
ポリエポキシ、ポリアクリル、およびポリエステル樹脂
などの接着剤との親和性を増加せしめている。通常上記
の処理によって、弗素含有樹脂フィルムの表面部分につ
いて活性化が行われることとなる。このために、例えば
100〜200V、40〜100μF、短絡電流1〜2
Aの条件でコロナ放電処理が行われる。かかる放電処理
により、弗素含有樹脂フィルムに所望の接着能が与えら
れるが、本発明に用いられる弗素含有樹脂フィルムの表
面処理はこれに限定されるものではなく、他の表面処理
等により同等以上の効果を奏するものであればよい。 【0023】弗素含有樹脂フィルムを構成する樹脂とし
ては、エチレンの水素原子の1個以上が弗素原子と置換
されている単量体から合成される各種のポリフルオルエ
チレン、例えば、ポリテトラフルオルエチレン、又は一
部塩素を含む各種のポリフルオルクロルエチレン、例え
ばポリトリフルオルクロルエチレン等があるが、このほ
かポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリジクロル
ジフルオルエチレン、その他も包含される。フィルムの
厚みは一般に0.001mm〜0.5mm、好ましくは5〜
50μm程度であるが、耐候性・防汚性並びに耐久性の
目的を達成するものであれば、より厚く、又は、より薄
くすることができ特に限定はない。また、弗素含有樹脂
フィルムには、他の樹脂例えばMMA等が混合又は貼着
複合される等混用されていても本発明の目的を達成する
ものであれば差支えない。本発明に使用される弗素含有
樹脂フィルムの市販品としては、テドラーフィルム(デ
ュポン、商標)、アフレックスフィルム(旭硝子、商
標)、KFCフィルム(呉羽化学、商標)等がある。 【0024】本発明において、表面が実質的に平滑なフ
ィルム状の弗素含有樹脂が、被覆基礎層の上面に貼着さ
れるのが好ましいが、弗素含有樹脂溶液、又はエマルジ
ョン等を塗布する方法もある。本発明に用いられる弗素
含有樹脂フィルムは、100kg/cm2以上の引張強度を
有することが好ましい。 【0025】本発明において防汚・耐候性合成樹脂表面
層は、ポリアクリル樹脂によって形成されていてもよ
い。このためには一般にアクリル樹脂フィルムを用いる
が、アクリル樹脂の溶液又は、エマルジョンを、被覆基
礎層の上に塗布し乾燥する方法を用いてもよい。 【0026】本発明に用いられるアクリル樹脂フィルム
は、100kg/cm2 上の引張強度を有することが好まし
く、1〜50g/m2、好ましくは3〜30g/m2の重
量、又は、3μm以上(通常は3〜50μm)の、更に
好ましくは4〜30μmの厚さを有するものであること
が好ましい。 【0027】本発明に適用されるアクリル樹脂フィルム
は、Tダイ法又はインフレーション法その他いずれの方
法で製造されたものでもよい。また、延伸フィルム、未
延伸フィルムのいずれでもよいが、フィルムの伸度は1
00〜300%程度のものが好ましい。また、前述のよ
うに厚みは通常3〜50μm程度であるが、十分な耐候
性・防汚性を達成するならば多少厚く又は薄くしてもよ
い。フィルム素材は、ポリアルキルメタアクリレート系
フィルム、例えばメチルメタアクリレート、エチルメタ
アクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタ
アクリレート等を主材料とするもの、又は、アクリレー
ト、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリル等をホモモノマー又はコモ
ノマー成分とするホモポリマー又はコポリマーをフィル
ム状に成型したものがよい。かかるフィルムは被覆基礎
層の表面に接着剤を用いて接着するか又はその他の方法
により貼着される。 【0028】本発明において、可撓・防水性樹脂被覆基
礎層上に形成される防汚・耐候性合成樹脂表面層は、上
述のような弗素含有樹脂およびアクリル樹脂の他に、ポ
リ弗化ビニリデン樹脂層とアクリル樹脂層との積層体、
又はポリ弗化ビニリデン樹脂層と、アクリル樹脂層と、
ポリ塩化ビニル樹脂層との積層体からなるものであって
もよい。これら積層体においては、ポリ弗化ビニリデン
樹脂層の厚さは2〜3μm、アクリル樹脂層の厚さは2
〜4μmおよび、ポリ塩化ビニル樹脂層の厚さは40〜
45μmであることが好ましいが、これらの数値に限定
されるものではない。 【0029】 【実施例】本発明のアモルファス金属積層シートを実施
例により更に説明する。実施例1 アモルファス金属(Fe:81%,B:13.5%,S
i:3.5%,およびC:2%、からなる合金、商標:
METGLAS No.2605SC、アライド社製、巾
7.62cm、厚さ25μmのリボン状体)の全表面に、
厚さ1μmの銅メッキを施した。この銅メッキされたア
モルファス金属リボンの13枚を、互に並列に配置し、
それぞれの側縁端を半田接合して幅約90cmのアモルフ
ァス金属含有芯層用広幅シートを作成した。 【0030】上記広幅シートを下記組成の可撓・防水性
樹脂被覆液に浸漬した。 ポリ塩化ビニル樹脂 80重量部 ブチルベンジルフタレート 68 〃 エポキシ化大豆油 7 〃 炭酸カルシウム 20 〃 カドミウムバリウム系安定剤 3 〃 顔 料 8 〃 トルエン(溶剤) 130 〃 被覆液付着シートをニップローラーで絞り、被覆液の付
着量を、ゲル化固着後の厚さが0.3mmになるように調
節し、乾燥機中で90℃で1分間乾燥した。次に、この
被覆基礎層を180℃で1分間熱処理してポリ塩化ビニ
ルをゲル化固着した。 【0031】この積層シートの一面上に防汚・耐候性合
成樹脂フィルム(商標:KFCシート、呉羽化学工業社
製、ポリ弗化ビニリデン樹脂層(2〜3μm)/ポリア
クリル樹脂層(2〜4μm)/ポリ塩化ビニル樹脂層
(45μm)の積層シート)のポリ塩化ビニル樹脂層面
を加熱貼着し、他の一面にポリアクリル樹脂フィルム
(三菱レイヨン社製、25μm)を加熱貼着した。得ら
れたアモルファス金属積層シートは、電界、および磁界
の両方に対し、すぐれたシールド性を示し、かつすぐれ
た防水性、防汚性および耐候性を有し、また、アモルフ
ァス金属積層シート同志の熱融着接合の可能なものであ
った。従来は熱融着接合性を有していないアモルファス
金属リボンをシート材料(例えば大型内装用シート)に
使用することは不適切と考えられており、それはこの用
途に用いるときは縫合が必要であり、この縫合部が当該
シート材料の電磁波シールド性を低下せしめるからであ
る。しかし、本発明により、得られる熱融着接合性を有
するアモルファス金属積層シートは、縫合が不必要であ
り、このためアモルファス金属リボンの大型内装材料と
しての利用を簡易化し、かつ利用分野を拡大することが
可能になった。このようなアモルファス金属リボンの利
用は従来は全く考えられなかったことであり、本発明に
より初めて可能になったのである。 【0032】実施例2 実施例1と同様の操作を行った。但し、可撓・防水性樹
脂被覆基礎層は下記のようにして作成された。アモルフ
ァス金属含有芯層用広幅シートに、下記組成の樹脂組成
物を含む塗工液を、コーターを用いて塗布した。 ポリ塩化ビニル樹脂ペースト 100重量部 D.O.P.(可塑剤) 70 〃 ホウ酸バリウム(減煙剤) 20 〃 水酸化アルミニウム(難燃剤) 100 〃 硫酸バリウム(難燃剤) 200 〃 バリウム−亜鉛系安定剤 2 ケチンブラックEC 10 この塗工液塗布シートを、150℃で2分間乾燥して希
釈剤を除去し、次に185℃で1分間の熱処理を施し、
それによって70g/m2 の樹脂組成物をアモルファス
金属含有芯層用広幅シートに被覆固着した。 【0033】次に得られた積層シートの片面上に、上記
と同一組成(但し、ポリ塩化ビニル樹脂ストレートを使
用し、ケチンブラックECの使用量を30重量部とし
た。)の樹脂組成物からなるフィルムを、カレンダーで
貼着し、シートに被覆された樹脂基礎層の合計量を20
0g/m2とした。 【0034】得られた積層シートは実施例1と同様に良
好な電磁波シールド性、および防水性を示した。また、
この積層シートの樹脂フィルム貼着面および、その反対
面は、それぞれ3.2×10Ω−cm、および5.8×1
08Ω−cm の体積固有抵抗値を示した。 【0035】上記積層シートの樹脂フィルム貼着面上
に、実施例1記載と同一のKFCフィルムを貼着し本発
明のアモルファス金属積層シートを作成したところ、こ
の貼着面は良好な防汚性および耐候性を示した。 【0036】実施例3 実施例1記載のものと同一の銅メッキされたアモルファ
ス金属含有芯層用広幅シートの両面に、接着剤(SC−
12N)を塗布し、実施例2記載のものと同一の樹脂組
成を有する樹脂フィルム(但し、ケチンブラックECの
含有率を15重量部とした)の厚さ0.3mmのものおよ
び0.2mmのものを各面に貼着した。更に、貼着された
厚さ0.3mmの樹脂フィルムの表面に実施例1記載のも
のと同一のKFCフィルムを貼着した。得られたアモル
ファス金属積層シートは、1000MHz の電界において
60dBの電界シールド性と、1000MHz の磁界におい
て60dBの磁界シールド性とを示し、かつすぐれた防水
性、防汚性および耐候性を有し、例えば屋外で使用する
包装材料としても有用なものであった。 【0037】 【発明の効果】本発明のアモルファス金属積層シート
は、電界および磁界の両方について良好なシールド効果
を有するので、簡易シールドルームの内装の形成に有用
である。また、本発明は、アモルファス金属がその高剛
性、他の材料に対する低い適応性、および縫製、接合の
困難性などから利用できないとされていた分野、すなわ
ち、エレクトロニクス機器を備えた部屋の床シート等の
床材、壁紙、ブラインド等の屋内内装材、各種被覆シー
ト、包装材、梱包材などの用途にアモルファス金属の利
用を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)および(B)はそれぞれ本発明に用
いられるアモルファス金属リボンにおける導電性金属メ
ッキ層の配置を示す断面説明図。 【図2】図2(A)および(B)はそれぞれ本発明に用
いられるアモルファス金属含有芯層におけるアモルファ
ス金属リボンの配列の一例を示す平面説明図。 【図3】図3(A)および(B)はそれぞれ、本発明の
アモルファス金属積層シートにおけるアモルファス金属
含有芯層と、可撓・防水性樹脂被覆基礎層と防汚・耐候
性合成樹脂表面層との配置を示す断面説明図。 【符号の説明】 1…アモルファス金属リボン 2…アモルファス金属層 3…導電性金属メッキ層 4…アモルファス金属含有芯層 5…接着剤又は半田 6…可撓・防水性樹脂被覆基礎層 7…防汚・耐候性合成樹脂表面層 8…アモルファス金属積層シート
いられるアモルファス金属リボンにおける導電性金属メ
ッキ層の配置を示す断面説明図。 【図2】図2(A)および(B)はそれぞれ本発明に用
いられるアモルファス金属含有芯層におけるアモルファ
ス金属リボンの配列の一例を示す平面説明図。 【図3】図3(A)および(B)はそれぞれ、本発明の
アモルファス金属積層シートにおけるアモルファス金属
含有芯層と、可撓・防水性樹脂被覆基礎層と防汚・耐候
性合成樹脂表面層との配置を示す断面説明図。 【符号の説明】 1…アモルファス金属リボン 2…アモルファス金属層 3…導電性金属メッキ層 4…アモルファス金属含有芯層 5…接着剤又は半田 6…可撓・防水性樹脂被覆基礎層 7…防汚・耐候性合成樹脂表面層 8…アモルファス金属積層シート
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭58−74029(JP,A)
特開 昭57−116794(JP,A)
特開 昭60−187547(JP,A)
実開 昭60−66099(JP,U)
特公 昭60−21546(JP,B2)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.互に並列に配置された複数個のアモルファス金属リ
ボンを、それらの側縁部において接着剤又は半田により
互に接合して形成された広幅アモルファス金属シート、
およびその少なくとも一面を被覆し、かつ0.1μm以
上の厚さを有する導電性金属メッキ層とからなるアモル
ファス金属含有芯層と、その少なくとも一面上を被覆し
ている可撓・防水性樹脂被覆基礎層と、およびこの基礎
層の上に形成され、かつ、防汚・耐候性合成樹脂よりな
る表面層とを含んでなる、アモルファス金属積層シー
ト。 2.前記可撓・防水性樹脂被覆基礎層と前記アモルファ
ス金属含有芯層とが接着剤接着されている、請求項1に
記載のアモルファス金属積層シート。 3.前記防汚・耐候性合成樹脂表面層が、弗素含有樹脂
およびポリアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種に
より形成されている、請求項1に記載のアモルファス金
属積層シート。 4.前記アモルファス金属含有芯層が100μm以下の
厚さを有する、請求項1に記載のアモルファス金属積層
シート。 5.前記可撓・防水性樹脂被覆基礎層が少なくとも50
μmの厚さを有する請求項1に記載のアモルファス金属
積層シート。 6.前記アモルファス金属が、Feを主成分とし、これ
に、B,Si,C,Co,NiおよびMoから選ばれた
少なくとも1種が添加されたアモルファス合金から選ば
れる、請求項1に記載のアモルファス金属積層シート。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6291439A JP2718638B2 (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | アモルファス金属積層シート |
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---|---|---|---|
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JPS57116794A (en) * | 1981-01-09 | 1982-07-20 | Chobe Taguchi | Method for reinforcement of amorphous metal |
JPS5874029A (ja) * | 1981-10-28 | 1983-05-04 | Mitsubishi Electric Corp | 広巾積層アモルフアスの製造装置 |
JPS6021546A (ja) * | 1983-07-15 | 1985-02-02 | Hitachi Ltd | 平型半導体装置 |
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-
1994
- 1994-11-25 JP JP6291439A patent/JP2718638B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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