JPH073678Y2 - 電磁波シールド性積層シート - Google Patents

電磁波シールド性積層シート

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JPH073678Y2
JPH073678Y2 JP2564890U JP2564890U JPH073678Y2 JP H073678 Y2 JPH073678 Y2 JP H073678Y2 JP 2564890 U JP2564890 U JP 2564890U JP 2564890 U JP2564890 U JP 2564890U JP H073678 Y2 JPH073678 Y2 JP H073678Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電磁波シールド性積層シートに関するもので
ある。更に詳しく述べるならば、本考案は、アモルファ
ス金属薄膜と非アモルファス金属薄膜と、繊維布帛補強
層と、防汚・耐候性最外表面層とを含み、電磁波に対し
すぐれたシールド効果を有し、かつ、実用上すぐれた機
械的強度、および防汚・耐候性を有する積層シートに関
するものである。
〔従来の技術〕
近年エレクトロニクス機器の発達および普及に伴い、こ
れらの機器および、磁気記録体などを、静電気、および
電磁波の悪影響から保護することが必要になり、この保
護材料として、シート材料、例えば、被覆用シート材料
および包装用シート材料の需要が大きくなってきてい
る。
従来エレクトロニクス機器を静電気の影響から保護する
ために、カーボン粉末、カーボン繊維、金属箔、又は金
属粉末を含有する導電性材料を含む導電性シートが用い
られている。しかし、このような従来の導電性シート
は、エレクトロニクス機器を電磁波の影響から保護する
目的には十分に効果があるとは云えないものである。例
えば、MRI(核磁気共鳴診断装置)などにおいては、外
部の電磁波によ強い障害を受けやすく、このためMRIは
厚さ2cmの鉄板でシールドされている。このような厚い
シールド材料を用いると、装置の重量が極めて大きなも
のとなり、かつ、その製作や加工に困難を生ずる。更
に、上記鉄板シールドの最も重大な欠点は、鉄板自身が
磁気を帯び易いという点にある。
上記のような従来の電磁波シールド材料の欠点を解消す
るためにアモルファス金属の利用が試みられた。アモル
ファス金属は、すぐれた電磁波に対するシールド効果を
有し、かつ負荷を除くと、直ちにもとの状態に復帰し、
磁気を帯びることがないという利点を有している。
しかしながら、アモルファス金属は、従来の電磁波シー
ルド材料(例えば鉄板)に対し、下記のような問題点を
有している。
(イ) 一般にアモルファス金属材料の厚さは、100μ
m以下(市販アモルファス金属薄膜の大部分は50μm以
下の厚さを有する)に限定され、これ以上の厚さを有す
るアモルファス金属材料を得ることが困難である。
(ロ) 一般にアモルファス金属材料は、100mm以下の
幅(最も一般には20mm以下)で供給されており、これ以
上に広い幅を有するものを入手することが困難である。
(ハ) 従って、広幅の、かつかなりの厚さ、例えば、
100μmより大きな厚さを有するアモルファス金属材料
を得ることは困難である。
(ニ) このため、アモルファス金属材料を広幅のシー
ト材料として利用することができなかった。
〔考案が解決しようとする課題〕
本考案は、上記のような問題点を有するアモルファス金
属薄膜を用い、所望の幅と厚さを有し、かつ実用上十分
な強度と防汚・耐候性を有する電磁波シールド性積層シ
ートを提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本考案の電磁波シールド性積層シートは、互に平行に並
列された複数枚のアモルファス金属リボンからなる少な
くとも1層のアモルファス金属薄膜層と、少なくとも1
層の非アモルファス金属薄膜と繊維布帛を含む少なくと
も1層の補強層とが任意の順序に積層されている基層シ
ートと、この基層シートの少なくとも一面上に積層さ
れ、かつ可撓性・防水性樹脂材料からなる基礎層、およ
びこの基礎層に積層され、かつ防汚・耐候性合成樹脂材
料からなる表面層を含む防汚・耐候性補強層と、を有す
ることを特徴とするものである。
前記基層シート中の前記補強層の繊維布帛には可撓性樹
脂材料が含浸又は被覆されていることが好ましい。
最近アモルファス金属を、その特性に基いて、種々の用
途に使用することが試みられている。一般にアモルファ
ス金属薄膜は、幅2.54〜10.16cmのリボン状材料として
供給されており、その幅の拡大に関しては近い将来、幅
20.32cmの小幅シートが、供給されることが期待されて
いる程度である。また、供給されているアモルファス金
属薄膜は、一般に5〜50μmの厚さを有するもので、極
く稀に100μm程度の厚さを有するものがあるに過ぎな
い。
従来は、上述のようなリボン状、又は小(細)幅材料
は、カードケース、或は小物用包装収納材料としてのみ
使用可能であって、これを100〜300cmの広幅が要求され
る被覆シートなどに利用することは殆んど不可能と考え
られていた。
本考案の積層シートにおいては、アモルファス金属薄膜
は、その供給幅のまゝ、または、必要に応じ、これを所
望の幅に接合して使用される。
第1図において、本考案の積層シートに用いられるアモ
ルファス金属薄膜層1は、互いに平行に並列された複数
枚のアモルファス金属リボン2によって構成されてい
る。
第2図に示された、本考案の積層シートに用いられるア
モルファス金属薄膜と非アモルファス金属薄膜との薄膜
積層体の一例において、複数枚のアモルファス金属リボ
ン2からなるアモルファス金属薄膜層1に、非アモルフ
ァス金属薄膜層3が積層されている。
本考案の積層シートの一実施態様において、第3図に示
されているように、アモルファス金属薄膜層1および非
アモルファス金属薄膜層3からなる薄膜積層体4に繊維
布帛補強層5が積層され、これらによって基層シート6
が形成され、この基層シート6の少なくとも一面上に、
可撓性・防水性樹脂基礎層7と、防汚・耐候性合成樹脂
表面層8とを有する防汚・耐候性補強層9が積層されて
いる。
本考案において有用なアモルファス金属薄膜としては、
一般には鉄を主成分とし、これにホウ素、珪素、炭素、
ニッケル、コバルト、および、モリブデンなどから選ば
れた1種以上を添加して得られるアモルファス合金から
選ばれることが好ましい。例えば、アライド社の商標:M
ETGLAS No.2605SC(Fe:81%、B:13.5%。Si:3.5%、C:2
%のアモルファス合金)、No.2605S−2(Fe:78%、B:1
3%、Si:9%のアモルファス合金)、No.2605-CO(Fe:67
部、B:14部、Si:1部、Co:18部のアモルファス合金)、N
o.2826-MB(Fe:40%、Ni:38%、Mo:4%、B:18%のアモ
ルファス合金)などを用いることができる。
また、上記の鉄を主成分とする合金系の外に、コバルト
を主成分とする合金系(例えばCo90Zr10,Co78Si
10B12,Co56Cr26C18,Co44Mo36C20,Co34Cr28Mo
20C18)、ニッケルを主成分とする合金系(例えばNi90Z
r10,Ni78Si10B12,Ni34Cr24Mo24C18)、およびその他
の金属を主成分とする合金系(例えばPd80Si20,Cu80Zr
20,Nb50Ni50,Ti50Cu50)等も利用できる。
また、アモルファス金属薄膜は、その電磁波シールド性
に実質的な影響のない範囲内で、有孔薄膜であってもよ
い。
これらのアモルファス金属薄膜材料は、前述のようにリ
ボン又は細幅シートの形状で供給されている場合が多い
ので、本考案の積層シートに、これらを使用するとき、
必要に応じて複数個のリボン状、又は、細幅シート状の
アモルファス金属薄膜材料を互に並列に配列して、広幅
シート状体とするか、または、必要によりそれらの対向
する側縁部を導電性接着剤又は半田により接着して、所
望の幅を有する広幅シート状体とする。複数枚のリボン
から広幅薄膜を作成するとき、リボンは、得られる積層
シートの長手軸方向に平行に伸びるように配置されても
よいし(図1)、或は、これに直角な方向に伸びるよう
に配置されていてもよい。
アモルファス金属薄膜は特に磁界に対しすぐれたシール
ド効果を有しているが、電界に対するシールド効果は、
磁界に対するシールド効果程は高くない。
本考案の積層シートは、アモルファス金属薄膜の寸法上
の問題点、および電界に対するシールド効果における問
題点を解消するために、アモルファス金属薄膜に、非ア
モルファス金属薄膜を積層一体化する。
最近非アモルファス金属薄膜(箔)を、その特性に基い
て種々の用途に利用することが試みられている。一般に
非アモルファス金属薄膜は、幅70cm以下のもの、一般に
は幅5〜60cmの細幅状材料として供給されている。最
近、幅96cmの圧延鉄箔、幅120cmの電解鉄箔などが供給
されるようになった。また、一般に市場にある非アモル
ファス金属薄膜(箔)は、厚さ0.1μm〜100μm程度の
ものである。
従来は、上述のようなリボン状、又は小(細)幅材料を
100〜300cmの広幅が要求される被覆シートなどに利用す
ることは殆んど不可能と考えられていた。本考案におい
ては、非アモルファス金属薄膜をアモルファス金属薄膜
とともに所望の幅のシート状体として使用するものであ
る。
上述の一般市販非アモルファス金属薄膜材料としては、
チタン、ベリリウム、銅、ステンレススチール、その他
の幅6cm程度、厚さ1.4μm〜4.9μmの超極薄金属箔、
チタン、ベリリウム銅、銅合金(燐青銅、黄銅、青
銅)、洋白、アルミニウム合金、ステンレススチール、
ニッケル、パーマロイ、ニッケル−クロム合金、ニオ
ブ、42アロイ、パラジウム、タンタル、錫、鉛、亜鉛、
鉄、金、銀、銀合金、白金、その他の幅10cm程度厚さ5
〜100μmの一般金属箔、チタン、ベリリウム銅、ニッ
ケル、金、銀、白金、パラジウム、アルミニウム、丹
銅、銀合金、その他の幅3〜4cm程度、厚さ0.3〜1.0μ
m程度の超極々薄箔、チタン、銅及び銅合金(ベリリウ
ム銅、丹銅、燐青銅、黄銅、インコネル、コンスタンタ
ン)、ニッケル及びニッケル合金、アルミ及びアルミ合
金、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレススチール、金、
銀、白金、パラジウム、希金属合金、亜鉛、鉛、錫、そ
の他の幅5cm程度、厚さ0.1〜100μmの薄膜、特に1.0〜
1.5μmの超極薄箔、および、その他上記金属の少なく
とも1種を主成分とする金属化合物の薄膜などを包含す
る金属薄膜(箔)などから選択して使用することができ
る。また、非アモルファス金属薄膜は、その電磁波シー
ルド性に実質的な影響のない範囲内で、有孔薄膜であっ
てもよい。
これらの非アモルファス金属材料は、前述のようにリボ
ン又は細幅シートの形状で供給されている場合が多いの
で、本考案の積層シートに、これらを使用するために
は、複数個のリボン状、又は、細幅シート状の非アモル
ファス金属材料を互いに並列に配列して、広幅シート状
体とし、または必要によりそれらの対向する側縁部を接
着剤又は半田により接着して、所望の幅を有する広幅シ
ート状体とする。また、非アモルファス金属シートは、
非アモルファス金属の粉末を利用して形成してもよい。
或は、非アモルファス金属からなる細線から編織物状、
又は不織布状シートとして、これを非アモルファス金属
シートとして用いてもよい。
前述のような非アモルファス金属は磁性体であるものも
あり、磁界に対してもすぐれたシールド効果を有してい
るが、特に電界に対してすぐれたシールド効果を有して
いる。
前述のようなエレクトロニクス機器の保護において、電
磁波シールド手段により電磁波エネルギーを吸収した
り、或は反射したりして、エレクトロニクス機器に電磁
波エネルギーの影響が及ばないようにすることが重要で
ある。この電磁波シールド手段による電磁波エネルギー
減衰の程度は単位デシベル(dB)で表わされ、電磁波シ
ールド材料としてはこの数値が大きい程減衰効果が大き
く、好ましいことになる。
本考案の積層シートにおいて、その電磁波シールド効果
は、それに含まれている金属薄膜のシールド効果にほぼ
依存し、一般に、10dB以上であることが好ましく、30dB
以上であることがより好ましく、60dB以上であることが
更に好ましく、90dB以上であることがより一層好まし
い。
本考案の積層シートにおいて、アモルファス金属薄膜お
よび非アモルファス金属薄膜の少なくとも一枚が導電性
金属材料よりなるメッキ層を有していてもよい。メッキ
用導電性金属としては、例えば銅、ニッケル、コバル
ト、鉄、アルミニウム、金、銀、錫、亜鉛およびこれら
から選ばれた2種以上の合金などを用いることができ
る。
このようにアモルファス金属薄膜および/又は非アモル
ファス金属薄膜の少なくとも一面上に導電性金属をメッ
キしたものを用いると、得られる積層シートは、アモル
ファス金属薄膜の有する電磁波シールド性に導電性金属
メッキ層のすぐれた電界シールド性が加算され、積層シ
ート全体として、低周波から高周波まで広範囲の電磁波
に対してすぐれたシールド効果を示すことができる。ま
た、導電性金属メッキ層は、アモルファス金属薄膜、お
よび非アモルファス金属薄膜の半田接着性を向上させ、
広幅薄膜の形成を容易にする効果もある。
また、アモルファス金属薄膜および/又は非アモルファ
ス金属薄膜に含まれる導電性金属メッキ層は、0.1μm
以上の厚さを有することが好ましく、0.1〜5μm程度
の厚さを有することがより好ましい。またアモルファス
金属薄膜層、非アモルファス金属薄膜層、又はその金属
メッキ層表面に、防錆材その他の薄い保護膜を形成して
もよい。
本考案の積層シートにおいて、少なくとも1層のアモル
ファス金属薄膜層と、少なくとも1層の非アモルファス
金属薄膜層とが任意の順序で積層一体化されていてもよ
い。この場合、積層一体化された複数層のアモルファス
金属薄膜層によってアモルファス金属薄膜体が形成され
ていてもよく、また、積層一体化された複数層の非アモ
ルファス金属薄膜層によって非アモルファス金属積層体
が形成されていてもよい。
アモルファス金属薄膜は前述のようにそれぞれ5〜100
μmの厚さを有するものであるが、本考案のアモルファ
ス金属薄膜積層体層は全体として50μm〜5,000μmの
厚さを有することが好ましく、100〜5,000μmの厚さを
有することがより好ましい。このために、本考案の積層
シートにおいてアモルファス金属積層体は2〜200枚の
アモルファス金属薄膜層が積層一体化されていることが
好ましい。
本考案の積層シート中のアモルファス金属薄膜積層体層
は、少なくとも1個のメッキ付アモルファス金属薄膜層
と、少なくとも1個のメッキ層を有しないアモルファス
金属薄膜層とを含むものであってもよい。このようにア
モルファス金属薄膜層の一部からメッキ層を省略するこ
とにより製品コストを低下させながら、所要の電磁波シ
ールド性を得ることができる。
本考案の積層シートにおいて、非アモルファス金属薄膜
は、一般に0.1〜100μmの厚さを有するもので、その複
数層からなる非アモルファス金属積層体層は、50〜5,00
0μmの厚さを有することが好ましく、50〜3,000μmの
厚さを有することがより好ましい。非アモルファス金属
積層体層の厚さが5,000μmより大きくなると、積層体
層の剛性が過大となり、変形しにくく、ドレープ性が不
十分となり、鋭利な切断面を形成して作業上危険を生ず
ることがある。
本考案の積層シートにおいて、アモルファス金属薄膜層
および非アモルファス金属薄膜層とを互に接合一体化す
るために、接着剤又は粘着剤が用いられる。多数のアモ
ルファス金属薄膜層および/又は非アモルファス金属薄
膜層を互に積層し接合する場合、接着剤又は粘着剤によ
る接合域が互に重複して、得られる積層体層中に局部的
に厚さの異なる部分が形成されないように、接着剤又は
粘着剤接合域が互に重複しないように、積層体層中にほ
ゞ均一に分布させ、それによって厚さ、風合の均一性を
維持することが好ましい。
接着剤又は粘着剤は、積層された複数枚のアモルファス
および/又は非アモルファス金属薄膜を電気的に互に連
結させるために、導電性、又は半導電性であることが好
ましく、更にそれが防銹性を有するものであってもよ
い。
このような接着剤又は粘着剤の種類には格別の限定はな
く、使用目的に応じて既存のものから任意に選択して使
用することができる。例えば、使用環境に応じて耐寒性
の高いもの、或は耐熱性の高いものなどを選択して使用
すればよい。
一般に、積層体層中における複数層のアモルファス又は
非アモルファス金属薄膜層は互に接着剤又は粘着剤によ
り接着又は粘着されていてもよい。この接着又は粘着に
おいて互に隣接し、重なり合うアモルファス又はアモル
ファス金属薄膜層の全面に接着剤又は粘着剤が塗布固着
されていてもよい。しかし、この場合、積層体層が折曲
げられたとき、互に接着又は粘着されたアモルファス金
属薄膜層間の相互変位の自由度が不十分となる。このよ
うな問題点を解決するためには、複数層のアモルファス
又は非アモルファス金属薄膜層が互に接着又は粘着され
ていないことが好ましいが、この場合複数枚のアモルフ
ァス又は非アモルファス金属薄膜層の一体化が困難にな
る。
本考案のアモルファス又は非アモルファス金属薄膜層の
積層体層内において、各アモルファス又は非アモルファ
ス金属薄膜層がその隣接し重なり合っている層に部分的
に接着又は粘着され、接着又は粘着部分以外の部分で、
互に相対的変位が可能であることが好ましい。このため
各アモルファス又は非アモルファス金属薄膜層がその隣
接し重なり合っている層に対し、その側縁部のみにおい
て、或は少なくとも1個の線状、又は点状に配置された
接着剤又は粘着剤の層により接着又は粘着されているこ
とが好ましい。例えば複数層のアモルファス又は非アモ
ルファス金属薄膜層の積層体層中において、その構成ア
モルファス金属薄膜層は、少なくとも1個の線状又は点
状に或は、これらの混合状体に分布させた接着剤又は粘
着剤の層により接着又は粘着されることが好ましい。こ
のような態様の接着又は粘着により複数層のアモルファ
ス金属薄膜層は、互に接合され一体化される。しかしア
モルファス又は非アモルファス金属薄膜層の非接合部分
は屈曲に応じて互に相互的に変位することができ、これ
により積層体層の屈曲が容易になり、また屈曲に伴う積
層体層の破断が防止される。
接合部分の形状は、1個以上の直線、曲線、又はこれら
の混合であってもよく、或は1個以上の点からなるもの
であってもよく、これらの接合部分の合計は、当該アモ
ルファス又は非アモルファス金属薄膜層の接合面積に対
し90%以下であることが好ましく、1〜90%の範囲内に
あることがより好ましい。
アモルファス又は非アモルファス金属薄膜層の積層体層
に含まれる点状、又は線状の接着剤又は粘着剤の塗布域
は、積層体層に局部的に厚さの不均一を生じないよう
に、互に重複しないよう、ほゞ均一に分布させることが
好ましくは、これによってほゞ均一の充実度を有する積
層体層が得られる。
本考案の積層シートにおいては、少なくとも1層のアモ
ルファス金属薄膜、少なくとも1層の非アモルファス金
属薄膜および繊維布帛を含む補強層とが任意の順序に積
層され、基層シートを形成している。例えば、本考案の
積層シートにおいて1層の繊維布帛補強層が積層されて
いてもよいし、互に対向する2枚の繊維布帛補強層の間
にアモルファス金属薄膜および非アモルファス金属薄膜
の薄膜積層体がパックされ一体化されて基層シートを形
成していてもよい。また、アモルファス金属薄膜と非ア
モルファス金属薄膜との間に繊維布帛補強層が挿入合体
されていてもよい。この繊維布帛補強層が導電性又は半
導電性であることが望ましい。
上記基層シート中の補強層の繊維布帛が可撓性樹脂材料
により含浸されていてもよく、或はこの可撓性樹脂から
なるフィルム、又はシートにより被覆されていてもよ
く、このようなフィルム又はシートは多孔質であっても
よく、或いは非多孔質であってもよい。補強層中の繊維
布帛に含浸、又は積層された可撓性樹脂材料は、本考案
の積層シートに、所望の柔軟性、圧縮弾性、および衝撃
や押圧に対する緩衝性、耐破断性などを与えることがで
きる。
すなわち、積層シートに屈曲などの外力が作用したと
き、この可撓性材料層が、変形することによってこの外
力を吸収し、アモルファス金属薄膜の伸びおよび圧縮を
少なくし、これによってアモルファス金属薄膜の裂断や
折損を防止し、かつ永久変形(折れ目の形成)を防止す
るという緩衝作用を発揮する。このような積層シート
は、エレクトロニクス機器の被覆用シート、或いは、包
装収納用シートとして有用なものである。
可撓性樹脂材料としては、天然ゴム、ネオプレンゴム、
クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ハイパロンその他
の合成ゴム、またはPVC樹脂、エチレン−酢酸ビニール
コポリマー(EVA)樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリ
プロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂
その他の合成樹脂を用いることができる。このような材
料は、また、良好な防水性を有し、得られる積層シート
に所望の防水性並びに難燃性や機械的強度を与えること
ができる。可撓性樹脂層は、0.05mm以上の、より好まし
くは0.05〜1.0mmの厚さを有することが好ましく、また
導電性物質を含んでいることが好ましい。
これらの可撓性樹脂は、上記の如きゴム又は樹脂のフィ
ルム、溶液、ペースト又はストレートなどを用い、公知
の方法、例えば、トッピング、カレンダリング、コーテ
ィング、ディッピングなどの方法によって、基層中の補
強層の繊維布帛に含浸、又は被覆される。これらのゴム
又は樹脂中には、可塑剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収
剤などや他の機能付与剤、例えば防炎剤、難燃化剤など
が含まれていてもよい。
本考案の積層シートにおいて、その基層シートの片面又
は両面上に防汚・耐候性補強層が形成される。この防汚
・耐候性補強層は可撓・防水性樹脂からなる基礎層と、
この基礎層の上に形成され、防汚・耐候性合成樹脂から
なる表面層とを有するものである。
本考案の積層シートにおいて、前記防汚・耐候性補強層
の可撓性・防水性樹脂基礎層は、前述の可撓性樹脂材料
により形成することができる。
本考案の積層シートの最外表面を形成する防汚・耐候性
合成樹脂としては、弗素含有樹脂およびアクリル樹脂を
用いることができる。すなわち防汚・耐候性樹脂表面層
は、前記基礎層上に、弗素含有樹脂、又は、アクリル樹
脂からなるフィルムを貼着することによって形成され
る。
一般に弗素含有樹脂は、難燃性かつ防汚、耐候性である
が、通常のプラスチック接着剤になじまないためそのま
までは、基礎層の表面に貼着することは著しく困難であ
る。そこで、弗素含有樹脂フィルムの表面をコロナ放電
又は低温プラズマ処理を施して、これをできるだけ活性
化することにより、例えばポリ塩化ビニル、ポリエポキ
シ、ポリアクリル、およびポリエステル樹脂などの接着
剤との親和性を増加せしめている。通常上記の処理によ
って、弗素含有樹脂フィルムの表面部分について活性化
が行われることになる。このために、例えば100〜200
V、40〜100μF、短絡電流1〜2Aの条件でコロナ放電処
理が行われる。かかる放電処理により、弗素含有樹脂フ
ィルムに所望の接着剤が与えられるが、本考案に用いら
れる弗素含有樹脂フィルムの表面処理はこれに限定する
ものではなく、他の表面処理等により同等以上の効果を
奏するものであればよい。
弗素含有樹脂フィルムを構成する樹脂としては、エチレ
ンの水素原子の1個以上が弗素原子と置換されている単
量体から合成される各種のポリフルオルエチレン、例え
ば、ポリテトラフルオルエチレン、又は一部塩素を含む
各種のポリフルオルクロルエチレン、例えばポリトリフ
ルオルクロルエチレン等があるが、このほかポリ弗化ビ
ニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリジクロルジフルオルエ
チレン、その他も包含される。フィルムの厚みは一般に
0.001mm〜0.5mm、好ましくは5〜50μm程度であるが、
耐候性・防汚性並びに耐久性の目的を達成するものであ
れば、より厚く、又は、より薄くすることができ特に限
定はない。また、弗素含有樹脂フィルムには、他の樹脂
例えばMMA等が混合又は貼着複合される等混用されてい
ても本考案の目的に支障のないものであれば差支えな
い。弗素含有樹脂フィルムの市販品としては、テドラ−
フィルム(デュポン、商標)、アフレックスフィルム
(旭硝子、商標)、KFCフィルム(呉羽化学、商標)等
がある。
弗素含有樹脂層の形成において、表面が実質的に平滑な
フィルム状の弗素含有樹脂が、基礎層の上面に貼着され
るのが好ましいが、弗素含有樹脂溶液、又はエマルジョ
ン等を塗布する方法もある。上記弗素含有樹脂フィルム
は、100kg/cm2以上の引張強度を有することが好まし
い。
本考案の積層シートに被覆される防汚・耐候性樹脂表面
層は、ポリアクリル樹脂によって形成されてもよい。こ
のために一般にはアクリル樹脂フィルムを用いるが、ア
クリル樹脂の溶液又は、エマルジョンを、基礎層の上に
塗布し乾燥する方法を用いてもよい。上記アクリル樹脂
フィルムは、100kg/cm2以上の引張強度を有することが
好ましく、1〜50g/m2、好ましくは3〜30g/m2の重量、
又は、3μm以上(通常は3〜50μm)の、更に好まし
くは4〜30μmの厚さを有するものであることが好まし
い。
上記アクリル樹脂フィルムは、Tダイ法又はインフレー
ション法その他いずれの方法で製造されたものでもよ
い。また、延伸フィルム、未延伸フィルムのいずれでも
よいが、フィルムの伸度は100〜300%程度のものが好ま
しい。また、前述のように厚みは通常3μm〜50μm程
度であるが、十分な耐候性・防汚性を達成するならば多
少厚く又は薄くしてもよい。フィルム素材は、ポリアル
キルメタクリレート系フィルム、例えばメチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート等を主材料とするもの、又
は、アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等をホモモ
ノマー又はコモノマー成分とするホモポリマ又はコポリ
マをフィルム状に成型したものがよい。かかるフィルム
は前記基礎層の表面に接着剤を用いて接着するか又はそ
の他の方法により貼着される。
前述の可撓・防水性樹脂基礎層上に形成される防汚・耐
候性合成樹脂表面層は、上述のような弗素含有樹脂又は
アクリル樹脂層の他に、ポリ弗化ビニリデン樹脂層とア
クリル樹脂層との積層体、又はポリ弗化ビニリデン樹脂
層と、アクリル樹脂層と、ポリ塩化ビニル樹脂層との積
層体からなるものであってもよい。これら積層体におい
ては、ポリ弗化ビニリデン樹脂層の厚さは2〜3μm、
アクリル樹脂層の厚さは2〜4μmおよび、ポリ塩化ビ
ニル樹脂層の厚さは40〜45μmであることが好ましい。
上記基層シート中の補強層に含まれ可撓性樹脂層および
可撓性・防水性樹脂基礎層は、多孔質、すなわち、発泡
層であってもよい。このような発泡多孔質層は所望の可
撓性を有する限り硬質フォームであってもよいが、一般
には軟質フォームであることが好ましい。発泡多孔質層
の気孔率は、50〜99%(発泡倍率:2〜100倍)であるこ
とが好ましく、80〜98%(発泡倍率:5〜50倍)であるこ
とが好ましい。通常は発泡倍率:20〜60倍のものが用い
られる。また、発泡多孔質シート材料層の圧縮抵抗は、
25%圧縮において、10kg/cm2以下であれば用途によって
は実用可能であるが、一般に0.5kg/cm2以下であること
が好ましく、0.1kg/cm2以下であることがより好まし
い。発泡多孔質層の厚さには、格別の制限はなく、積層
シートの用途に応じて任意に設定することができるが、
一般に、0.5〜100mmの範囲内にあることが好ましく、1
〜50mmの範囲内にあることがより好ましい。
発泡多孔質層は、本考案の積層シートに結着されている
が、発泡多孔質シートを予じめ作成しておき、これを接
着剤を用いて基層シートに結着してもよく、或は、発泡
多孔質の接合表面部分を熱溶融して、融着してもよい。
また、発泡多孔質層は、アモルファス又は非アモルファ
ス金属薄膜の薄膜積層体層上で化学発泡させて形成して
もよいし、或は、気泡を含有する重合体塗料をアモルフ
ァス又は非アモルファス金属薄膜層の積層体層上に塗布
し、これを固化する、所謂、機械発泡法により形成して
もよい。
上述のような可撓性重合体発泡多孔質層を含む防汚耐候
性補強層は、本考案の積層シートの両面に形成されても
よく、或は、その片面のみに形成されてもよい。後者の
場合、本考案の積層シートの他の片面に、前述のような
可撓性樹脂の非多孔質層を含む防汚・耐候性補強層が結
着されていてもよい。
本考案の積層シートにおいて、繊維布帛補強層は、本考
案の積層シートの、引張強度における方向性、強度不均
一性、低引裂強度性などをカバーするのに有効である。
繊維布帛補強層は、天然繊維、例えば、木綿、麻など、
無機繊維、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊
維など、再生繊維、例えば、ビスコースレーヨン、キュ
プラなど、半合成繊維、例えばジ−およびトリ−アセテ
ート繊維など、及び合成繊維、例えば、ポリアミド(ナ
イロン6、ナイロン66等)繊維、ポリエステル(ポリエ
チレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊
維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィ
ン繊維など、から選ばれる少なくとも1種からなるもの
である。繊維布帛中の繊維は、短繊維紡績糸系、長繊維
糸系、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの
形状のものであってもよく、また布帛は、織物、編物、
不織布又はこれらの複合布のいずれであってもよい。ま
た補強繊維布帛として、平行に並べたたて糸とよこ糸と
を交差するように重ね、これらをからみ糸で押えて構成
された織物は、特に好ましい。また、得られる積層シー
トが柔軟であることを必要とする場合は、補強繊維布帛
層が比較的目の粗い編織物で形成することが好ましく、
また強度の高いことを必要とする場合は、比較的密度の
高い編織物をもって形成することが好ましい。更に、補
強繊維布帛層は導電性又は半導電性であることが好まし
い。
一般にアモルファス又は非アモルファス金属薄膜層の引
裂き強さは殆んど0に等しい程低く、低い負荷で容易に
裂断する。またこのようなアモルファス金属の薄膜は引
張強さにおいても比較的弱く、かつ、強度のバラツキが
大きい。例えば厚さ25μmのアモルファス金属薄膜の引
張り強さを、JIS-L-1096(1979)、「一般織物試験方
法」の6.12、引張り強さ及び伸び率6.12.1(1)A他
(ストリップ法)に準拠し、幅:3cm、把み間隔:20cm、
引張りスピード:200mm/分の条件で測定すると、その引
張り強さは、65〜125kg/3cm、平均100kg/3cm程度の比較
的弱いものであり、また測定値にバラツキが大きく、ま
た、アモルファス金属は、一般に幅の狭いリボン状で提
供されているので、これらを並列に配列してシート状に
すると、たとえ、これらを、その対向している側縁部
で、半田により、或は接着剤で接着しても、このシート
の横方向の引張り強さは不十分であり、しかもそのバラ
ツキが大きいという問題がある。そこで、重包装用、重
被覆用に使用された積層シート、或は局部的に摩擦され
たり、局部的に外力が作用する用途に用いられる積層シ
ートは、繊維布帛からなる可撓性補強層により補強され
ていることが好ましい。
この補強層用の繊維布帛の引張り強さは、各アモルファ
ス又は非アモルファス金属薄膜層の引張り強さよりも高
いことが好ましい。また、補強層用繊維布帛の引張強さ
は、積層シート中のアモルファスおよび非アモルファス
金属薄膜層の引張り強さの最低値よりも高いことが好ま
しい。このような繊維布帛を含む補強層は、本考案の積
層シートの引張り強さを補強し、かつ、そのバラツキを
少なくすることができる。
また、補強層用繊維布帛として破断伸度が5%以下のも
のを用いると、薄膜積層体と繊維布帛補強層との伸長性
の差が小さくなり、従って、両者のS−S荷重曲線は近
似し、このため得られる基層シートは、比較的大きな引
張り強さを示すことができる。また破断伸度がアモルフ
ァス金属薄膜のそれと等しいか、或は、5%以下の繊維
布帛を補強層として薄膜積層体と合体すると、薄膜積層
体の形成に当り、アモルファス金属リボンを並列に配置
しただけでよく、半田による、或は接着剤又は粘着剤に
よるリボンの接着は必ずしも必要でなくなる。このよう
な接着目のないアモルファスおよび非アモルファス金属
薄膜は、継ぎ目が目立たず良好な外観を示す。
このような補強層用繊維布帛を構成する繊維としては13
0kg/mm2以上の引張り強さと5%以下の破断伸度を有す
るものが好ましい。このような性能を有する繊維の種類
に格別の限定はないが下記のものが例示される。
これらの高強度繊維布帛は、上記の効果を達成するのに
有効なものであるが、低伸度を有し、屈曲強度の低いも
のである。従って、積層シートの用途に耐屈曲性の高い
ことを要求される場合は、上記高強度繊維布帛に高伸度
の、屈曲強度の高い他の繊維、又はそれからなる糸条又
は布帛を混用することが好ましい。このような高伸度繊
維の種類に格別の限定はないが、それらを例示すれば下
記の通りである。
上記の他に、ポリ塩化ビニル繊維、ポリアクリル繊維、
およびポリオレフィン繊維も使用することができる。
また補強繊維布帛層の表面は、積層シートの用途に応じ
て、必要な平滑性、又は、滑り防止性、或は、所望の色
彩、模様などを有していてもよく、この補強層の上に、
上記特性を付与する処理を施してもよいし、或は、被覆
を施してもよい。
補強層用繊維布帛層として、130kg/mm2以上の引張り強
さと、5%以下の切断伸度とを有する繊維を含む布帛を
用いることが好ましい。
また、アモルファス又は非アモルファス金属薄膜層の薄
膜積層体の一面に、130kg/mm2以上の引張り強さと5%
以下の切断伸度とを有する高強度繊維を含んでなる繊維
布帛を積層し、かつ、その他の面に、130kg/mm2より低
い引張り強さと、5%より高い切断伸度とを有する高伸
度繊維を含んでなる繊維布帛を積層してもよい。
また、補強層用繊維布帛が130kg/mm2以上の引張り強さ
と、5%以下の切断伸度とを有する高強度繊維と、130k
g/mm2より低い引張り強さと、5%より高い切断伸度と
を有する高伸度繊維との混合物を含んでなるものであっ
てもよい。
更に、補強層用繊維布帛が、130kg/mm2以上の引張り強
さと、5%以下の切断伸度とを有する高強度繊維を含む
少なくとも1個の繊維布帛層と、130kg/mm2より低い引
張り強さと、5%より高い切断伸度とを奏する高伸度繊
維を含む少なくとも1個の繊維布帛とを含むものであっ
てもよい。
更にまた、本考案の積層シートの少なくとも一面上に補
強用繊維布帛層が積層されており、このようにして形成
された基層の少なくとも一面上に他の可撓性材料からな
る被覆層が配置されていてもよい。
本考案の積層シートの最外表面層の1つが、繊維布帛補
強層により被覆されていてもよい。
以下に本考案の積層シートを実施例により更に説明す
る。
実施例1 アモルファス合金薄膜の(Fe:81%、B:13.5%。Si:3.5
%、C:2%、商標:METGLAS No.2605SC、アライド社製、
幅7.62cm、厚さ25μmのリボン状体)からなるリボンを
13枚並列し、その上に、厚さ4.9μm、幅10cmのステン
レススチール金属膜リボン(引張り強さ12〜20kg/3cm、
平均引張り強さ18kg/3cm、破断伸度0.7%)11枚を並列
し、これらを合成ゴム系接着剤(商標:SC 12N、ソニー
ケミカル社製)により接着し、薄膜積層体を得た。
この薄膜積層体は、45dBの電磁波シールド効果を示し
た。
前記薄膜積層体の両面に合成ゴム系接着剤(商標:SC 12
N、ソニーケミカル社製)を塗布し、その一面に、FRP用
ガラス繊維布帛(商標:KS-2671、カネボウ硝子繊維社
製、厚さ0.22mm、目付210g/m2、平織経19本/25.4mm、緯
19本/25.4mm、繊維引張り強さ350kg/mm2、繊維破断伸度
3%、布帛引張り強さ、経緯両方向共に111.6kg/3cm、
布帛破断面伸度、経緯両方向ともに3.0%)を貼着し、
他の一面に下記組織のポリエステルフィラメント平織粗
布: を貼着し、基層シートを作成した。このポリエステルフ
ィラメント平織布帛は、厚さ:0.3mm、目付:40g/m2、布
帛引張り強さ:経、緯ともに25kg/3cm、布帛破断伸度:
経緯両方向ともに15%、繊維引張り強さ:110kg/mm2、繊
維破断伸度:13%であった。
上記基層シートを下記組成の可撓・防水性樹脂被膜液に
浸漬した。
上記の被覆液を含有した基層シートをニップローラーで
絞り、被覆液の付着量を100%に調節し、乾燥機中で90
℃で1分間乾燥した。次に、この被覆層を180℃で1分
間熱処理してポリ塩化ビニルをゲル化固着した。
得られた可撓製・防水性樹脂基礎層の厚さは0.3mmであ
った。
この積層シートの一面上に防汚・耐候性合成樹脂フィル
ム(商標:KFCシート、呉羽化学工業社製、ポリ弗化ビニ
リデン樹脂層(2〜3μm)/ポリアクリル樹脂層(2
〜4μm)/ポリ塩化ビニル樹脂層(45μm)の積層シ
ート)のポリ塩化ビニル樹脂層面を加熱貼着し、他の一
面にポリアクリル樹脂フィルム(三菱レイヨン社製、25
μm)を加熱貼着した。得られたステンレススチール金
属膜積層シートは良好な、電磁波に対するシールド性
と、すぐれた防水性、防汚性および耐候性を有し、ま
た、熱融着接合の可能なものであった。このようなすぐ
れた熱融着接合性によって、従来考えられなかったステ
ンレススチール金属膜とアモルファス金属薄膜とをシー
ト材料(例えば大型テント用シート)に使用することを
可能にし従来縫合出来なかったステンレススチール金属
膜およびアモルファス金属薄膜の縫合を可能にし、その
利用を簡易化し、かつ利用分野を拡大することが出来る
ようになった。
この積層シートの引張り強さを測定したところ経:127kg
/3cm、緯:122kg/3cm、であり、破断伸度は経:3.1%、
緯:3.5%であって実用上十分なものであり、引張り強さ
のバラツキ値は経緯それぞれ3.0kg/3cm程度であり、ス
テンレススチール金属膜単独シートの性能を上回る許り
でなく、強さのバラツキも少なかった。また本実施例の
積層体において、並列配置されたステンレススチール金
属膜リボンおよびアモルファス金属薄膜リボンは、半田
接合されていなかったが、金属膜リボンが定位置から滑
って欠落部分を生じることもなく、また、半田接合のと
きの側縁部の重ね合わせに伴う凹凸の形成がなく好まし
い外観を有していた。
実施例2 アモルファス合金(Fe:81%、B:13.5%。Si:3.5%、C:2
%、商標:METGLAS No.2605SC、アライド社製、幅7.62c
m、厚さ25μmのリボン状体)の全表面に、厚さ1μm
の銅メッキを施した。このアモルファス金属リボン13枚
並列し、それぞれの側縁部を半田接合して幅約1mの広幅
シートを作成した。半田接合部の引張り強さは40〜86kg
/3cm、平均68.6kg/3cmで半田接合部の引張り強さはかな
り低いものであった。
また、実施例1記載のものと同一の厚さ4.9μm、幅10c
mのステンレススチール金属膜リボンの全表面に、厚さ
1μmの銅メッキを施した。
この銅メッキされたステンレススチール金属膜リボンの
11枚を、互に並列に配列し、それぞれの側縁端を1cmづ
つ重ね合わせ、接着することなく広幅シート状に形成し
た。
この広幅ステンレススチールシートの両面に前記アモル
ファス金属薄膜広幅シートを重ね合わせ、対向する薄膜
層の一面上に合成ゴム系接着剤(商標:SC 12N、ソニー
ケミカル社製)を、直径3mmの円型スポット状に1cm2
り2個の密度で塗布し、これらを一体に接着した。この
接着剤の塗布面積率は14.13%であった。
得られた薄膜積層体は50dBの高電磁性シールド効果を示
した。
上記薄膜積層体の一面の全面に、上記接着剤を塗布し、
これに実施例1記載のものと同一のFRP用側繊維布帛
を、また、他の一面に、実施例2記載のものと同一のポ
リエステルフィラメント平織粗布を貼着した。
得られた積層体に実施例1と同様の可撓性・防水性樹脂
基礎層を形成し、更に得られた積層体の一面上に、実施
例1と同様の防汚・耐候性樹脂フィルムを貼着し、他の
一面に実施例1と同様のポリアクリル樹脂フィルムを貼
着した。
得られた積層体は、良好な電磁波に対するシールド性
(50dB)と、すぐれた防水性、防汚性および耐候性とを
有し、また、熱融着接合の可能なものであった。
この積層体の引張り強さを測定したところ、経:127kg/3
cm、緯:122kg/3cm、であり、破断伸度は経:3.2%、緯:
3.7%であって実用上十分なものであり、引張り強さの
バラツキ値は経緯それぞれ3.5kg/3cm、程度であった。
すなわち、実用上十分な強度と屈曲性を示し、また極め
て高い電磁波シールド効果を有するものであった。
〔考案の効果〕
本考案の積層シートは、1層以上のアモルファス金属薄
膜層と、1層以上の非アモルファス金属薄膜層とを含む
ものであるが、実用上十分な柔軟性、屈曲性、強度、防
汚・耐候性および作業性を有し、更に、すぐれた電磁波
シールド性とともに、すぐれた電界シールド効果を併せ
有しているので、電磁波シールド性の被覆、又は、包装
シート、敷物、或は壁紙シートなどの用途において、磁
界および電界シールドに幅広い効果を期待することがで
き、これらの用途に有用なものであった。また、本考案
の積層シートは上記用途における中間体製品又は完成製
品のいづれに組み合わせて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案積層シートに用いられるアモルファス
金属薄膜層の構成を示す平面図であり、 第2図は、本考案の積層シートの薄膜積層体の一実施態
様の断面説明図であり、 第3図は、本考案の積層シートの一実施態様の断面説明
図である。 〔符号の説明〕 1……アモルファス金属薄膜層、2……アモルファス金
属リボン、3……非アモルファス金属薄膜層、4……薄
膜積層体、5……繊維布帛補強層、6……基層シート、
7……可撓性・防水性樹脂基礎層、8……防汚・耐候性
合成樹脂層、98……防汚・耐候性補強層。

Claims (17)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】互に平行に並列された複数枚のアモルファ
    ス金属リボンからなる、少なくとも一層のアモルファス
    金属薄膜と、少なくとも1層の非アモルファス金属薄膜
    と、繊維布帛を含む少なくとも1層の補強層とが任意の
    順序に積層されている基層シートと、この基層シートの
    少なくとも一面上に積層されかつ可撓性・防水性樹脂材
    料からなる基礎層、およびこの基礎層に積層され、かつ
    防汚・耐候性合成樹脂材料からなる表面層を有する防汚
    ・耐候性補強層と、を有する、電磁波シールド性積層シ
    ート。
  2. 【請求項2】前記少なくとも1層のアモルファス金属薄
    膜層と、前記少なくとも1層の非アモルファス金属薄膜
    層とが、任意の順序で積層一体化されている、実用新案
    登録請求の範囲第1項記載の積層シート。
  3. 【請求項3】積層一体化され複数層のアモルファス金属
    薄膜層によってアモルファス金属積層体が形成されてい
    る、実用新案登録請求の範囲第1項記載の積層シート。
  4. 【請求項4】積層一体化され複数層の非アモルファス金
    属薄膜層によって非アモルファス金属積層体が形成され
    ている、実用新案登録請求の範囲第1項記載の積層シー
    ト。
  5. 【請求項5】前記アモルファス金属薄膜および非アモル
    ファス金属薄膜の少なくとも1枚が、導電性金属材料よ
    りなるメッキ層を有する、実用新案登録請求の範囲第1
    項記載の積層シート。
  6. 【請求項6】前記防汚・耐候性合成樹脂表面層が、フッ
    素含有重合体類およびポリアクリル重合体類から選ばれ
    た少なくとも1種を含んでなる、実用新案登録請求の範
    囲第1項記載の積層シート。
  7. 【請求項7】前記補強層用繊維布帛が、ガラス繊維、カ
    ーボン繊維、金属繊維、ポリエステル繊維、脂肪族ポリ
    アミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊
    維、ポリアクリル繊維およびポリオレフィン繊維から選
    ばれた少なくとも1種の繊維を含んでなる、実用新案登
    録請求の範囲第1項記載の積層シート。
  8. 【請求項8】前記補強層用繊維布帛が、前記アモルファ
    ス金属薄膜層、又は非アモルファス金属薄膜層の少なく
    とも1枚よりも高い引張り強さを有する、実用新案登録
    請求の範囲第1項記載の積層シート。
  9. 【請求項9】前記補強層用繊維布帛が、前記積層体層中
    の複数層のアモルファス金属薄膜層、又は非アモルファ
    ス金属薄膜層の少なくとも1枚の引張り強さの最低値よ
    りも高い引張り強さを有する、実用新案登録請求の範囲
    第1項記載の積層シート。
  10. 【請求項10】前記補強層用繊維布帛が、5%以下の破
    断伸度を有する、実用新案登録請求の範囲第1項記載の
    積層シート。
  11. 【請求項11】前記補強層用繊維布帛が、130kg/mm2
    上の引張り強さと、5%以下の切断伸度とを有する繊維
    を含んでなる、実用新案登録請求の範囲第1項記載の積
    層シート。
  12. 【請求項12】前記アモルファス金属薄膜層と非アモル
    ファス金属薄膜層との薄膜積層体が、その一面におい
    て、130kg/mm2以上の引張り強さと5%以下の切断伸度
    とを有する高強度繊維を含んでなる、繊維布帛補強層に
    より積層され、かつ、その他の面において、130kg/mm2
    より低い引張り強さと、5%以下より高い切断伸度とを
    有する高伸度繊維を含んでなる繊維布帛補強層により積
    層されている、実用新案登録請求の範囲第1項記載の積
    層シート。
  13. 【請求項13】前記補強層用繊維布帛が、130kg/mm2
    上の引張り強さと5%以下の切断伸度とを有する高強度
    繊維と、130kg/mm2より低い引張り強さと、5%より高
    い切断伸度とを有する高伸度繊維との混合物を含んでな
    る、実用新案登録請求の範囲第11項記載の積層シート。
  14. 【請求項14】前記補強層用繊維布帛が130kg/mm2以上
    の引張り強さと5%以下の切断伸度とを有する高強度繊
    維を含む少なくとも1個の繊維層と、130kg/mm2より低
    い引張り強さと、5%より高い切断伸度とを有する高伸
    度繊維を含む少なくとも1個の繊維層とを含む、実用新
    案登録請求の範囲第1項記載の積層シート。
  15. 【請求項15】前記基層シート中の前記補強層におい
    て、前記繊維布帛が可撓性樹脂材料により含浸、又は被
    覆されている、請求項1に記載の積層シート。
  16. 【請求項16】前記可撓性樹脂層の少なくとも1層が多
    孔質である、実用新案登録請求の範囲第14項記載の積層
    シート。
  17. 【請求項17】前記可撓性・防水性樹脂基礎層が多孔質
    である、実用新案登録請求の範囲第1項に記載の積層シ
    ート。
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JP2591586B2 (ja) * 1993-10-18 1997-03-19 平岡織染株式会社 電磁波シールド性積層シート
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