JP2712308B2 - シート材分離装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、例えばプリンタ・複写機などにおいて給紙
部にセットした積載シート材（転写材・感光紙・静電記
録紙・印刷紙などのカットシート材（枚葉材）の積載
体）を１枚宛分離して画像形成部等の処理部へ搬送する
シート材分離装置に関する。

更に詳しくは、シート材を所定の方向へ搬送するシー
ト材搬送部材と、該シート材搬送部材面に所定の押し付
け圧をもって押圧接触させたシート材分離部材を有し、
該両部材の共働により、該両部材間に先端部が進入した
２枚以上のシート材のうちシート材搬送部材に直接に接
触しているシート材は該両部材の接触部間をシート材搬
送部材の搬送力で通過搬送させ、他のシート材の通過は
シート材分離部材により阻止させてシート材を１枚宛分
離搬送させる構成のシート材分離装置に関する。

（従来の技術） 第６図は上記のような構成のシート材分離装置の具体
例を示している。

１は軸1aを中心に矢示の時計方向に回転駆動される、
シート材搬送部材としての給紙兼分離ローラ（以下給紙
ローラと記す）である。この給紙ローラ１は側面Ｄ字形
の欠円ローラであり、非給紙時は欠円平面部1bが下向き
の回転角状態で停止待機している。そして給紙信号毎に
１回転間欠回転駆動される。２は給紙ローラ１と同軸に
支持させた補助コロである。この補助コロの径は給紙ロ
ーラ１の径より少し小さく、軸1aに対して回転フリーで
ある。

４はシート材分離部材としての分離ユニットであり、
台座4aに摩擦部材３を接着したもので、給紙ローラ１の
下方部に先端部を延出させた給紙ガイド板５のその延出
先端側の上面に固定保持させてある。ガイド板５は支軸
5aを中心に揺動自由に支持され、引き上げばね６により
持ち上げ方向である反時計方向に常時回動付勢されてい
る。このガイド板５と引き上げばね６とから構成される
付勢手段の回動付勢力により分離ユニット４の摩擦部材
３が給紙ローラ１の下面部又は補助コロ２の下面部に所
定の押し付け圧をもって押圧接触した状態に保たれる。

７は給紙ローラ１の下方のカセット受（不図示）に挿
填装着したシート材カセットであり、図にはその先端側
のみが示されている。7aはカセット箱、7bは先端部側を
ばね7cにより常時持ち上げ付勢されたカセット中板、Ｐ
はカセット中板7b上に積載してカセット箱7a内に収納し
たシート材である。カセット７の挿填装着状態において
積載シート材Ｐの先端部が給紙ローラ１の下方に位置
し、積載シート材Ｐの最上位シート材の先端辺寄りの上
面が給紙ローラ１の下面部又は補助コロ２の下面部にば
ね7cの持ち上げ付勢力で所定の押し付け圧をもって押圧
接触した状態に保たれる。

給紙信号により給紙ローラ１の時計方向への１回転間
欠回転駆動がなされ、給紙ローラ１の円周面1cが積載シ
ート材Ｐの最上位シート材の先端辺寄りの上面に接する
ことにより、該最上位シート材に対して繰り出し力が作
用し該シート材がカセット７内から前方の給紙ローラ１
と該ローラ１面に押圧接触している摩擦部材３との間へ
送り出され、この送り出された最上位シート材が給紙ロ
ーラ１と摩擦部材３との接触部間を給送ローラ１の回転
力で通過搬送されていく。

給紙を続けていくと最上位シート材の繰り出し又は搬
送移動に伴なって該シート材の次位や次々位以降のシー
ト材もシート材同士の摩擦力で最上位シート材の繰り出
し移動に引きずられてカセット７内から前方へ次第にせ
り出し移動し、それ等のシート材の先端部が第７図
（ａ）のように給紙ローラ１と摩擦部材３で形成される
シート材搬送方向上流側のクサビ空間Ｍ内にくい込み的
に進入した状態に堆積してくる。しかしこのような状態
になっても給紙ローラ１と直接に接触関係にある最上位
シート材だけが給紙ローラ１の回転力でさばかれ給紙ロ
ーラ１と摩擦部材３との接触部間を通過し、次位以降の
シート材については摩擦部材３の摩擦力により前進を阻
まれて給紙ローラ１と摩擦部材３の接触部より先へ進む
ことはない。

即ち積載シート材Ｐの最上位シート材だけが次位以降
のシート材と重送トラブルを生じることなく給紙ローラ
１と摩擦部材３との間を通過して１枚宛分離され、ガイ
ド板５・5A・5Bで形成されるシートパスを通して画像形
成部等のシート材処理部へ搬送されていく。

給送ローラ１は１回転駆動されると欠円平面部1bが下
向きとなった回転角状態で回転停止するけれども、それ
までの間に給紙ローラ１で搬送され、ガイド板５・5A・
5Bで構成されるシートパスを通してシート材処理部方向
へ向った最上位シート材の先端辺部分が不図示の中継ぎ
搬送ローラ対にくわえ込まれており、以後はこの中継ぎ
搬送ローラ対の搬送力で引続きシート材の搬送がなされ
ていく。シート材の後辺側は補助コロ２と摩擦部材３と
の間を補助コロ２を軸1aを中心に従動回転させながら引
き抜き的に通過していく。

補助コロ２は非給紙時に給送ローラ１が欠円平面部下
向きの回転角状態で回転停止しているとき、給紙ローラ
１がシート材Ｐに接触しないように摩擦部材３から離し
ておく役目をする。

（発明が解決しようとする問題点） 前述第７図（ａ）で説明したように給紙ローラ１と摩
擦部材３で形成されるクサビ空間Ｍ内に複数枚のシート
材の先端部がくい込み的に進入堆積した状態になって
も、殆どの場合給紙ローラ１と摩擦部材３の接触は給紙
ローラ１に直接に接触している最上位シート材がローラ
１と摩擦部材３の接触部に割り入って進入するまでは直
接接触が保たれ、又給紙ローラ１とシート材Ｐとの摩擦
抵抗をＣ、摩擦部材３とシート材ＰとのそれをＤ、シー
ト材Ｐ同士のそれをＥとしたときそれ等３者の摩擦抵抗
がＣ＞Ｄ＞Ｅの関係に保たれて、シート材の１枚宛分離
性能は低下しない。

しかしシート材Ｐとしてシート材同士の摩擦抵抗が高
いものを使用した場合には前記クサビ空間Ｍへの複数枚
シート材先端部のくい込み力が強くなる。そうすると給
紙ローラ１に対する分離ユニット４のばね６による押圧
接触力に対して上記のくい込み力の方がまさって分離ユ
ニット４がばね６に抗して給紙ローラ１の面から離れる
方向に押し下げられ、クサビ空間Ｍに対する上記複数枚
シート材先端部のくい込み量が過度に大きくなり、第７
図（ｂ）のように給紙ローラ１面から分離ユニット４の
摩擦部材３が離れて両者間に隙間Δができてしまう。

このような隙間Δが生じた状態になると、給紙ローラ
１が直接に接触している最上位シート材（１枚目のシー
ト材）より下位のシート材（２枚目以降のシート材）を
摩擦部材３に押し付ける力が摩擦部材３のシート材搬送
方向下流側で低減又は消失するため、摩擦部材３のシー
ト材分離状態が低下し、２枚目以降のシート材が１枚目
のシート材と一緒に給紙ローラ１と摩擦部材３との間を
通過して送り出されてしまう、つまりシート材の重送ト
ラブルを発生してしまうことになる。

本発明は上記に鑑みて、この種のシート材分離装置に
おいて、使用シート材Ｐのシート材同士の摩擦抵抗が高
くて給紙ローラ１と摩擦部材３のクサビ空間Ｍに対する
複数枚シート材先端部のくい込み力が強い場合でも給紙
ローラ１と摩擦部材３との接触状態を隙間Δを発生させ
ることなく確保するように工夫して、シート材の重送ト
ラブルなく、常に安定なシート材１枚分離作用を維持さ
せることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本発明は下記の構成を特徴とするシート材分離装置で
ある。

シート材を搬送する方向に回転するシート材搬送部材
と、 前記シート材搬送部材で搬送されるシート材を該シー
ト材搬送部材との間で一枚ずつ分離するためのシート材
分離部材と、 前記シート材分離部材を支持して前記シート材搬送部
材に押圧接触させるための付勢手段と、 を備えたシート材分離装置において、 前記シート材搬送部材の外側に位置しシート材搬送方
向に対して直交しかつ搬送されるシート材の面に平行な
軸線を中心に、前記シート材分離部材を揺動自在に前記
付勢手段に支持し、シート材搬送部材とシート材分離部
材との接触点を、シート材搬送部材とシート材分離部材
がなすシート材搬送方向上流側のクサビ空間にシート材
が進入する前は、シート材搬送部材の回転中心とシート
材分離部材の揺動中心である軸線とを結ぶ直線上に位置
させ、前記クサビ空間へのシート材進入時にはシート材
先端部のくい込み力に応じて前記接触点がシート材進入
前の前記直線上の接触点位置よりもシート材搬送方向下
流側に外れた位置に移動するように構成したことを特徴
とするシート材分離装置。

（作用） 即ち、シート材搬送部材に対して押圧接触させて設け
るシート材分離部材について上記のように揺動可能とす
ることにより、使用シート材同士の摩擦抵抗が高くて上
記両部材のなすクサビ空間部に対する複数枚シート材先
端部のくい込み力が強くなった場合でも、そのくい込み
力に応じてシート材分離部材が前記の軸線を中心に揺動
し、その揺動によりシート材搬送部材面に対する同分離
部材の接触点位置がシート材進入前の前記直線上の接触
点Ｑ位置よりもシート材搬送方向下流側に外れたＲ位置
に移動するが、両部材同士は隙間部を生じることなく接
触状態に保たれる。従ってシート材の重送トラブルが防
止され、常に安定なシート材１枚宛分離性能を維持させ
ることができる。

（実施例） 実施例１（第１〜３図） 第１図は要部の縦断側面図、第２図は分離ユニット部
分の平面図を示している。前述第６図例の装置と共通す
る構成部材・部分には同一符号を付して再度の説明を省
略する。

本実施例において分離ユニット４はその台座4aの裏面
の左右両端寄りの２ケ所に下方突出ボス部4b・4bを設
け、給紙ガイド板５の延出先端側の面の左右２ケ所に上
記分離ユニット４の左右の下方突出ボス部4b・4bに対応
する透穴5b・5bを設け、該透穴5b・5bの径は上記ボス部
4b・4bの径より少し大径の嵌合穴とし、分離ユニット４
を、その裏面側の左右の下方突出ボス部4b・4bを給紙ガ
イド板５の延長先端側の面の上側から該ガイド板側の透
穴5b・5bに嵌入させて、給紙ガイド板５の延出先端側の
上面部に載置支持させ、透穴5b・5bから下方に突出して
いる左右の各ボス部4b・4bの下端にバランサ4cをビス4d
で取付け支持させてある。そしてボス部4b・4bよりもシ
ート材搬送方向下流側において分離ユニット４の台座4a
と給紙ガイド板５の上面との間に先端辺部を差し込んで
イコライズ板８をガイド板５の上面にビス8aで位置決め
固定して設けてある。

分離ユニット４を上記のように配設することにより該
分離ユニット４はシート材搬送方向に対して直交しかつ
シート材の面方向に平行な軸線である、イコライズ板８
の先端面の上側エッジ線Ｏを中心に第１図の白抜き矢示
のように時計方向・反時計方向に揺動可能である。

分離ユニット４を上記のように取付け支持させた給紙
ガイド板５は前述第６図例装置と同様に支軸5aを中心に
揺動自由であり、引き上げばね６により持ち上げ方向で
ある反時計方向に常時回動付勢されていて、この回動不
勢力により分離ユニット４の摩擦部材３の面が給紙ロー
ラ１の下面部又は補助コロ２の下面部に所定の押し付け
圧をもって押圧接触した状態に保たれる。

給紙ローラ１の回転駆動がなされて該給紙ローラの円
周面1cが分離ユニット４の摩擦部材３の面に接触してい
る状態にあるとき分離ユニット４はイコライズ板８と給
紙ローラ１との間にばね（第６図）のばね圧を受けなが
ら挟み込まれているので、そのとき摩擦部材３と給紙ロ
ーラ１との接触点ＱはＯ点と給紙ローラ１の中心Ｓを結
ぶ直線上にある。

第３図は通紙時の分離ユニット４の作用を説明するた
めの模型略図であり、この図は便宜上一部部材を誇張し
て示してある。分離ユニット４は通紙していない初期の
状態では破線示の姿勢状態にある。シート材Ｐ同士の摩
擦抵抗が高いシート材を給送させて給紙ローラ１と摩擦
部材３のクサビ空間Ｍへの複数シート材先端部のくい込
み力が強いときは、該複数シート材先端部は分離ユニッ
ト４に下向きの力を加えるが、その力は給紙ガイド板５
を支軸5aを中心にばね６に抗して押し下げる力としては
働かず、分離ユニット４を軸線Ｏを中心として実線示姿
勢のように時計方向へ回動揺動させる力として働く。そ
して上記実線示姿勢のように分離ユニット４が回動揺動
すると給紙ローラ１と摩擦部材３との接触点がＱ位置か
らＲ位置へと移動して、即ち摩擦部材３と給紙ローラ１
との接触点がクサビ空間Ｍへのシート材進入時のシート
材先端部のくい込み力に応じてシート材進入前の前記直
線上の接触点Ｑ位置よりもシート材搬送方向下流側に外
れたＲ位置へと移動して給紙ローラ１と摩擦部材３との
接触状態はあくまでも保たれて両者間１・３に前述第７
図（ｂ）のような隙間部Δは発生しない。

従って使用シート材がシート材同士の摩擦抵抗が高い
ものであってもシート材の重送トラブルが防止され、常
に安定なシート材１枚分離性能が維持される。

なおバランサ4cは分離ユニット４の固有振動数を変え
るためのもので、給紙動作時に分離ユニット４が振動を
起こして共鳴音を発するのを防ぐものである。

実施例２（第４図） 本実施例は、分離ユニット４をホルダ40に保持させ、
該ホルダ40を給紙ローラ１の軸線に平行な丸軸41を介し
て支持板42に丸軸41の軸線Ｏを中心に揺動自由に支持さ
せ、支持板42を不図示の付勢部材により給紙ローラ１の
下面方向に向って持ち上げ付勢させ、給紙ローラ１の下
面部に対して分離ユニット４の摩擦部材３面を所定の押
し付け圧をもって押圧接触させてある。

この構成の場合も前述実施例１のものと同様の作用・
効果が得られる。

実施例３（第５図） 本実施例は前述実施例１のものにおけるイコライズ板
８の代りに分離ユニット４の台座4aの下面に給紙ガイド
板５の上面に接する下向きの支点凸起4eを一体に具備さ
せて分離ユニット４を該支点凸起4eの下端と給紙ガイド
板５上面の接点Ｏを中心に揺動可能にしたものである。

この構成の場合も前述実施例１のものと同様の作用・
効果が得られる。

本実施例のものは実施例１のものとの対比において、
イコライズ板８、その止めビス8aが不要であり、部品点
数を減らすことができる利点がある。

なお以上の実施例ではシート材搬送部材を給送兼分離
ローラとしたが、給送用ローラと分離用ローラを別個に
持つ給紙系であってもよく、本発明はそのような給紙系
にも適用できる。又シート材搬送部材は回転ローラの他
にも、回動ベルト部材、ウエブ部材であってもよい。

（発明の効果） 以上のように本発明に依れば、この種のシート材分離
装置において使用シート材のシート材同士の摩擦抵抗が
高いものでも重送を生じさせることなく常に安定なシー
ト材１枚宛分離搬送性を確保・維持させることができる
もので、所期の発明目的がよく達成される。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の実施例装置の要部の縦断側面図、第２図
は分離ユニット部分の平面図、第３図は通紙時の分離ユ
ニットの作用説明用の模型略図、第４図は第２の実施例
装置の要部側面図、第５図は第３の実施例装置に要部の
側面図、第６図は従来のシート材分離装置の縦断側面
図、第７図は（ａ）はシート材１枚分離の原理説明図、
同図（ｂ）はシート材重送発生原因の説明図である。 １は給紙ローラ、４は分離ユニット、３は摩擦部材、５
は給紙ガイド板、６は付勢バネ、７はシート材カセッ
ト、Ｐはシート材、８はイコライズ板。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シート材を搬送する方向に回転するシート
   材搬送部材と、 前記シート材搬送部材で搬送されるシート材を該シート
   材搬送部材との間で一枚ずつ分離するためのシート材分
   離部材と、 前記シート材分離部材を支持して前記シート材搬送部材
   に押圧接触させるための付勢手段と、 を備えたシート材分離装置において、 前記シート材搬送部材の外側に位置しシート材搬送方向
   に対して直交しかつ搬送されるシート材の面に平行な軸
   線を中心に、前記シート材分離部材を揺動自在に前記付
   勢手段に支持し、シート材搬送部材とシート材分離部材
   との接触点を、シート材搬送部材とシート材分離部材が
   なすシート材搬送方向上流側のクサビ空間にシート材が
   進入する前は、シート材搬送部材の回転中心とシート材
   分離部材の揺動中心である軸線とを結ぶ直線上に位置さ
   せ、前記クサビ空間へのシート材進入時にはシート材先
   端部のくい込み力に応じて前記接触点がシート材進入前
   の前記直線上の接触点位置よりもシート材搬送方向下流
   側に外れた位置に移動するように構成したことを特徴と
   するシート材分離装置。