JP2649023B2 - ポリビニルアルコール系ポリマーおよびその製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系ポリマーおよびその製造法

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JP2649023B2
JP2649023B2 JP7094344A JP9434495A JP2649023B2 JP 2649023 B2 JP2649023 B2 JP 2649023B2 JP 7094344 A JP7094344 A JP 7094344A JP 9434495 A JP9434495 A JP 9434495A JP 2649023 B2 JP2649023 B2 JP 2649023B2
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acid
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修司 堤
義郎 山口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のイタコン酸モノ
エステル単位を導入した新規ポリビニルアルコール系ポ
リマーおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコールは、従来より紙の
表面サイズ剤、ビニル化合物の乳化または懸濁重合時に
使用する分散安定剤として広く使用されているが、単に
ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるポリビニルアルコ
ールでは品質的に満足しえない場合が多い。
【0003】そこで、ポリビニルアルコールを種々のモ
ノマーを用いて共重合変性しようとする試みがなされて
おり、たとえばエチレン性不飽和カルボン酸系モノマー
で共重合変性する方法、アルキルビニルエーテルで共重
合変性する方法、α−オレフィンで共重合変性する方
法、飽和分岐脂肪酸ビニルで共重合変性する方法、ある
いはこれらを組合せた方法などが提案されている。
【0004】このうち、ポリビニルアルコール中にエチ
レン性不飽和カルボン酸系モノマーを導入したものは、
紙の表面サイズ剤として汎用されており、ポリビニルア
ルコール中に疎水性基とカルボキシル基を導入したもの
は、界面活性剤としての機能が期待できるので、ビニル
化合物の乳化重合時または懸濁重合時に使用する安定剤
として興味が持たれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリビ
ニルアルコール中にエチレン性不飽和カルボン酸系モノ
マーを導入した紙の表面サイズ剤は、これを導入しない
ポリビニルアルコールに比すれば良い結果を示すもの
の、その透気度や吸油度をさらに改善することが望まれ
ている。
【0006】また、ポリビニルアルコールに疎水性基を
導入する場合は、その疎水性基の導入量を多くしていく
と、ポリマーの水に対する溶解性が低下し、分散安定剤
その他所期の用途への利用ができなくなることがある。
【0007】なお、本発明者らは、ポリビニルアルコー
ルに疎水性基とカルボキシル基を導入すべく、エチレン
性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステルであっ
て、そのアルキル基が1級アルコールのアルキルエステ
ルであるもの各種について酢酸ビニルと共重合させ、つ
いでケン化することを試みたが、このものはケン化反応
時にアルキル基が脱離してカルボキシル基またはラクト
ンになりやすく、疎水基導入の目的が果たせなかった。
【0008】本発明は、変性成分としてアルキル基が2
級または3級である特定のイタコン酸モノアルキルエス
テルを用いて共重合およびケン化を行うことにより、新
規なポリビニルアルコール系ポリマーを得るべく鋭意研
究を重ねた結果到達したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】〈ポリビニルアルコール系ポリマー〉 本発明のポリビニルアルコール系ポリマーは、式
【化4】 で示される繰り返し単位を有するものである。
【0010】すなわち、本発明のポリビニルアルコール
系ポリマーは、イタコン酸モノエステル単位(A)およ
びビニルアルコール単位(B)を必須単位として含み、
酢酸ビニル単位(C)を任意単位として含むポリビニル
アルコール系ポリマーであって、前記イタコン酸モノエ
ステル単位(A)の2つのカルボキシル基のうちの一方
が下記の式で示されるエステルを形成し、他方が遊離の
カルボキシル基またはその塩を形成しているものであ
る。
【0011】
【化5】
【0012】イタコン酸モノエステル単位(A)の2つ
のカルボキシル基のうちの一方は、上述のように、下記
の式で示されるエステルを形成している。
【0013】
【化6】
【0014】ここでRは水素、アルキル基またはアリ
ール基であり、R,Rはアルキル基またはアリール
基であるから、上式で示される基は2級または3級とな
る。ここでアルキル基としては、炭素数が1〜10程度
のアルキル基(特に炭素数が1〜8のアルキル基)やシ
クロアルキル基があげられ、アリール基としてはフェニ
ル基、置換フェニル基、ベンジル基があげられる。
【0015】ビニルアルコール単位(B)は、酢酸ビニ
ル単位(C)をポリマー中に導入してから、この酢酸ビ
ニル単位(C)をケン化することにより得られる。ケン
化が完全になされれば、ポリマー中の酢酸ビニル単位
(C)は消失することになる。
【0016】上記ポリマーの各単位の割合は任意に設定
できるが、実用上からはその割合を次のように定めるの
が好ましい。
【0017】すなわち、ポリマー中のイタコン酸モノエ
ステル単位(A)の割合が0.2〜20モル%であり、
ポリマー中のビニルアルコール単位(B)と酢酸ビニル
単位(C)との合計の割合がその残余であってかつビニ
ルアルコール単位(B)と酢酸ビニル単位(C)との合
計量に対するビニルアルコール単位(B)の割合が10
〜100モル%、好ましくは65〜99.5モル%であ
るように各単位の割合を設定する。これを先の式で示せ
ば、p,qは正の整数、rは0または正の整数、q+r
は4以上の正の整数であり、かつ、 100p/(p+q+r)=0.2−20、 100q/(q+r)=10−100 となる。
【0018】各単位の割合を上記のように選べば、ポリ
マー中に適度の疎水性基と親水性基とが導入され、紙の
表面サイズ剤、重合性モノマーの乳化重合時または懸濁
重合時に使用する分散安定剤、その他の目的に適したポ
リマーが得られる。
【0019】〈ポリビニルアルコール系ポリマーの製造法〉 上述のポリビニルアルコール系ポリマーは、
【化7】 で示されるイタコン酸モノエステル(a)と酢酸ビニル
(c)とを共重合した後、これをケン化して、式
【化8】 で示される繰り返し単位を有するポリビニルアルコール
系ポリマーを得ることをにより製造される。
【0020】すなわち、上述のポリビニルアルコール系
ポリマーは、2つのカルボキシル基のうちの一方が下記
の式で示されるエステルを形成し、他方が遊離のカルボ
キシル基またはその塩を形成しているイタコン酸モノエ
ステル(a)と酢酸ビニル(c)とを共重合した後、こ
れをケン化することにより製造される。
【0021】
【化9】
【0022】このようなイタコン酸モノエステル(a)
は、イタコン酸または無水イタコン酸あるいはこれらの
酸ハロゲン化物を、下記の式で示されるアルコールと無
触媒下または適当な触媒(硫酸、塩酸、リン酸、p−ト
ルエンスルホン酸等のプロトン酸)の存在下に反応させ
ることにより取得される。
【0023】
【化10】
【0024】(ただし、R,R,Rは前記と同
じ)
【0025】このようなアルコールとしては、ジメチル
カルビノール、ジエチルカルビノール、メチルエチルカ
ルビノール、ジn−プロピルカルビノール、ジイソプロ
ピルカルビノール、メチルn−プロピルカルビノール、
メチルイソプロピルカルビノール、エチルn−プロピル
カルビノール、エチルイソプロピルカルビノール、ジブ
チルカルビノール、ジアミルカルビノール、メチルヘキ
シルカルビノール、ジヘキシルカルビノール、ジオクチ
ルカルビノール、ジシクロヘキシルカルビノール、ジベ
ンジルカルビノール、ジフェニルカルビノールなどの2
級アルコール、トリメチルカルビノール、トリエチルカ
ルビノール、メチルジエチルカルビノール、ジメチルエ
チルカルビノールなどの3級アルコールが例示され、特
に入手の容易さの点から2級アルコールが好ましい。
【0026】なお、上記イタコン酸モノエステル(a)
および酢酸ビニル(c)以外に、本発明の趣旨を損なわ
ない限りで、他の共重合可能なモノマー成分、たとえ
ば、エチレン性不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸等)またはそのエステル、エチ
レン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、
イタコン酸、シトラコン酸等)またはそのジエステルや
無水物、酢酸ビニル以外のビニルエステル(プロピオン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バ
ーサチック酸ビニル等)、アミド系モノマー(アクリル
アミド、メタクリルアミド等)、ニトリル系モノマー
(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オ
レフィン、ビニルエーテル、アリル化合物(アリルスル
ホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸カリウム、ジアリ
ルジメチルアンモニウムハライド等)などを少量共重合
させてもよい。
【0027】イタコン酸モノエステル(a)と酢酸ビニ
ル(c)(あるいはこれらと他のモノマー成分)の共重
合反応は、溶媒の不存在下に行うこともできるが、通常
は適当な溶媒、特にメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノールなどの低級アルコール、なかんずくメ
タノールの存在下に行う。各成分は一括仕込みして重合
に供してもよく、間けつ的にあるいは逐次的に仕込みを
行いながら反応を進行させてもよい。
【0028】重合触媒としては、アゾイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイ
ドをはじめ通常のラジカル重合触媒が用いられる。
【0029】反応温度は58〜65℃程度とすることが
多い。
【0030】重合反応終了後は、必要に応じ残存モノマ
ーを追い出してから、系を適当な濃度の溶媒(アルコー
ル、ケトン、ベンゼンなど)溶液に調整した状態で、水
酸化アルカリ、アルカリ金属アルコラートなどのアルカ
リ触媒または無機酸などの酸触媒の存在下に、常温ない
し加温下(20〜50℃程度)にケン化反応を遂行す
る。ケン化反応の進行と共にケン化物が析出するが、ケ
ン化度が小さいときや用いる溶媒の種類によってはケン
化反応物が析出しないこともある。ケン化終了後必要に
応じケン化反応物を粉砕し、また必要に応じ中和し、ア
ルコールなどで洗浄してから乾燥すれば、目的とするポ
リビニルアルコール系ポリマーが取得できる。このケン
化反応により、ポリマー中に導入された酢酸ビニル単位
(C)はビニルアルコール単位(B)になる。また、ポ
リマーに導入されたイタコン酸モノエステル単位(A)
のうちエステル化されていない方のカルボキシル基は、
使用触媒の種類、中和条件、洗浄条件等により遊離のカ
ルボキシル基になる場合とその塩になる場合とがある。
【0031】なおこの場合、ビニルアルコール単位
(B)と酢酸ビニル単位(C)との合計量に対するビニ
ルアルコール単位(B)の割合が100モル%近くにな
ると、つまりケン化を完全に近く進めると、イタコン酸
モノエステル単位(A)中の−CR基の一部
分が対応するアルコールとして脱離する傾向があるの
で、ビニルアルコール単位(B)と酢酸ビニル単位
(C)との合計量に対するビニルアルコール単位(B)
の割合は99.5モル%以下に留めることが望ましい。
特に好ましい範囲は、65〜99モル%である。
【0032】〈ポリビニルアルコール系ポリマーの紙加工剤、特に紙
の表面サイズ剤としての用途〉 上記で得られたポリビニルアルコール系ポリマーは、紙
の表面サイズ剤として特に有用である。すなわち、この
ポリビニルアルコール系ポリマーの水溶液を紙に塗工し
て表面サイジングを行った場合、従来この目的に汎用さ
れているカルボキシル基変性ポリビニルアルコール等に
比し、透気度、吸油度が格段にすぐれている。
【0033】上記ポリビニルアルコール系ポリマーを紙
の表面サイズ剤の用途に用いる際には、一般に水に溶解
して用いられるが、溶剤系でも使用可能である。溶剤の
種類は、変性量、ケン化度、その他樹脂物性に応じて適
宜選択される。
【0034】サイズ剤は、上記ポリビニルアルコール系
ポリマーを溶媒と混合することによって調製される。
【0035】サイズ剤中のポリマーの濃度は目的に応じ
て適宜調節すればよいが、作業性等を考慮して通常は1
〜20重量%程度の範囲から選択することが多い。
【0036】サイズ剤には、必要に応じてグリオキザー
ル、尿素樹脂等の耐水化剤、消泡剤、離型剤、界面活性
剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤
を添加することもでき、また、他の従来公知の紙サイズ
剤、たとえばポリビニルアルコール、デンプン、カルボ
キシメチルセルロース、アクリル系ラテックス、SBR
ラテックスなどを混合することができる。
【0037】サイズ剤を塗被する紙としては、たとえば
マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質
紙、グラビア用紙などの印刷用紙などが好適に用いられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0038】紙にサイズ剤を塗被するにあたっては、サ
イズプレスコート、ロールコーター法、エヤードクター
法、ブレードコート法など公知の任意の方法が採用され
る。そして、サイズ剤の塗被量は、本発明のポリビニル
アルコール系ポリマーが固形分換算で0.1〜5g/m
、特に好ましくは0.5〜3g/m程度となるよう
にすることが好ましい。もちろんこのような方法に限ら
ず、パルプ分散液中にサイズ剤を投入して抄紙する内部
サイズ法、あるいは粉末状、繊維状のサイズ剤を紙中に
混入させる方法なども採用できる。
【0039】本発明のサイズ剤は主として上記したよう
にクリアーコーティング剤として使用されるが、顔料コ
ーティング用のバインダーとしても好適に利用しうる。
顔料としては、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、ケ
イソウ土、酸化チタン、サチン白などの公知の顔料が使
用される。
【0040】〈ポリビニルアルコール系ポリマーの分散安定剤として
の用途〉 上記で得られたポリビニルアルコール系ポリマーは、イ
タコン酸モノエステル単位(A)によりカルボキシル基
と疎水性基とが同時にポリマー内に導入されて界面活性
能を有するようになるので、乳化または懸濁に使用する
分散安定剤としても有用であり、この分散安定剤は従来
のポリビニルアルコール系分散安定剤やその他の分散安
定剤に比しすぐれた性質を有する。特に乳化剤として用
いるときは、エマルジョンの保存安定性、希釈安定性、
凍結−融解安定性等においてその効果が飛躍的に向上
し、また、懸濁剤とするときは、たとえばポリ塩化ビニ
ル樹脂粒子の粒度分布、可塑剤吸収性、空隙率等が著し
く向上する。
【0041】分散安定剤の用途において最も工業的な利
用価値の高いものは、乳化重合時の乳化剤、あるいは懸
濁重合時の懸濁剤である。
【0042】かかる用途に用いる場合も、イタコン酸モ
ノエステル単位(A)中の疎水性基および親水性基の量
およびビニルアルコール単位(B)の含有量等によって
水可溶性となったり、水不溶性となったりするが、いず
れも分散安定剤として使用可能である。すなわち、水溶
性の範囲の本発明のポリマーを用いて水媒体中で重合を
行う場合は、それ単独で使用することはもちろん、必要
に応じて他の水溶性高分子物質と組合せて用いることが
できる。一方、それ単独では水不溶性の範囲のポリマー
を用いて重合を行う場合には、他の水溶性高分子と組合
せて、あるいは親水性を付与することが可能な共重合成
分、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等
のエチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、アン
モニウム塩をさらに共重合させて水可溶性に変換させて
用いることもできる。
【0043】前記組合せ可能な水溶性高分子としては、
平均ケン化度60〜100モル%、平均重合度100〜
3000のポリビニルアルコールまたはその誘導体が代
表的なものとしてあげられる。ここでポリビニルアルコ
ールの誘導体としては、カルボニル基含有ポリビニルア
ルコール、ポリビニルアルコールのホルマール化物、ア
セタール化物、ブチラール化物、ウレタン化物、スルホ
ン酸、カルボン酸等とのエステル化物などがあげられ
る。さらに、ビニルエステルおよびそれと共重合可能な
モノマーとの共重合体のケン化物があげられ、該モノマ
ーとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α
−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレ
フィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸
類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリ
ル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド
類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリ
ルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩
類、アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビ
ニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等があげ
られる。
【0044】前記組合せ可能な水溶性高分子としては、
このほか、各種アルキルセルロース、ヒドロキシアルキ
ルセルロース、カルボキシアルキルセルロースなどのセ
ルロース系高分子、デンプン、トラガント、ペクチン、
グルー、アルギン酸またはその塩、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸またはその塩、ポリメタ
クリル酸またはその塩、ポリアクリルアミド、ポリメタ
クリルアミド、酢酸ビニルとマレイン酸、無水マレイン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル
酸、クロトン酸等不飽和酸との共重合体、スチレンと上
記不飽和酸との共重合体、ビニルエーテルと上記不飽和
酸との共重合体およびこれらの共重合体の塩類またはエ
ステル類があげられる。
【0045】乳化重合を実施するにあたっては、水、分
散安定剤および重合触媒の存在下に重合性モノマーを一
時または連続的に添加して、加熱、かくはんする如き通
常の乳化重合法がいずれも実施しうる。分散安定剤の使
用量としては、その種類、要求されるエマルジョンの樹
脂分等によって多少異なるが、通常乳化重合反応系の全
体に対して1〜8重量%程度の範囲から選択される。重
合触媒としては、普通過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム等がそれぞれ単独でまたは酸性亜硫酸ナトリウムと
併用して、さらには過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−
鉄塩、過酸化水素−アスコルビン酸−鉄塩、過酸化水素
−ロンガリット−鉄塩などのレドックス系触媒が用いら
れる。重合温度は30〜80℃の範囲から選択される。
【0046】また、上記乳化剤は単独使用のみならず、
前述のように各種の水溶性高分子との併用も可能であ
る。さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、
ポリオキシエチレンアルキルフェノール型、ポリオキシ
エチレン多価アルコールエステル型、多価アルコールと
脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレ
ンブロックポリマー等のノニオン系界面活性剤、高級ア
ルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリオキシエ
チレンアルキルフェノールエーテル硫酸塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリ
ン縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、
ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコールリン酸エ
ステル塩等のアニオン界面活性剤を併用することもでき
る。上記乳化剤と界面活性剤の併用に際してその混合割
合は、ポリマー/界面活性剤=20/1〜1/20(重
量比)が適当である。これらは必ずしも混合して用いる
必要はなく、重合の初期に一成分を用い、重合の途中で
他成分を追加する等任意の方式が可能である。さらにフ
タル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、炭酸ナト
リウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調
整剤も併用されうる。
【0047】乳化重合の対象となる重合性モノマーとし
ては、エチレン性不飽和モノマー、ブタジエン系モノマ
ーがあげられる。エチレン性不飽和モノマーとしては、
酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、
スチレン、エチレン等があげられ、これらの単独重合ま
たは共重合が実施しうる。
【0048】なかんずくアクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステル等のアクリル系モノマーを単独重合ま
たは共重合する場合、機械的安定性、放置安定性、顔料
混和性等が特に良好なエマルジョンが得られるので、ア
クリル系モノマーの乳化重合の場合が特に重要である。
【0049】ブタジエン系モノマーとしては、ブタジエ
ン−1,3、2−メチルブタジエン−1,3、2,3−
ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−
1,3などがあり、これらは単独またはエチレン性不飽
和モノマーと混合して用いられる。これらの中での、ブ
タジエン−1,3とスチレンと(メタ)アクリル酸、ブ
タジエン−1,3とアクリロニトリル、ブタジエン−
1,3とアクリロニトリルとスチレン、ブタジエン−
1,3とアクリロニトリルと(メタ)アクリル酸エステ
ル、ブタジエン−1,3とメタクリル酸メチル、ブタジ
エン−1,3とメタクリル酸メチルと(メタ)アクリル
酸の組合せで重合を行うのが有利である。
【0050】懸濁重合する際には、通常、水媒体に分散
安定剤を添加し、ビニル系モノマーを分散させて油溶性
触媒の存在下で重合を行う。分散安定剤は粉末のままあ
るいは溶液状にして水媒体に加えられる。使用量は、モ
ノマーの重量に対し0.005〜5重量%とするのが通
常である。溶液状で加える場合は、水溶液にしてあるい
はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒に溶かし
た溶液として加えられる。分散安定剤は重合の初期に一
括仕込みしても、また重合の途中で分割して仕込んでも
よい。
【0051】使用される触媒は、油溶性の触媒であれば
いずれでもよく、たとえばベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート、α,α’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、α,α’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニト
リル、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイ
ドあるいはこれらの混合物が使用される。
【0052】重合温度は、30〜70℃の範囲から選択
される。
【0053】重合時に助剤として各種界面活性剤あるい
は無機分散剤等を適宜併用することも可能である。
【0054】懸濁重合の対象となるモノマーとしては、
塩化ビニルの単独重合のみではなく、これと共重合可能
なモノマー、たとえばハロゲン化ビニリデン、ビニルエ
ーテル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸またはその無水物、エチレン、
プロピレン、スチレン等との共重合物にも好適であり、
さらに塩化ビニル用に限らず、スチレン、メタクリル酸
エステル、酢酸ビニル等任意のビニル化合物の懸濁重合
用に使用することができる。
【0055】さらに本発明の分散安定剤においては、水
性媒体中で乳化剤としてノニオン性あるいはアニオン性
の各種界面活性剤を単独または混合してまたは各種の水
溶性保護コロイドを用いて重合性モノマーを乳化重合し
て製造される水性エマルジョンに、前述した分散安定剤
を添加することによっても、放置安定性、凍結融解安定
性、希釈安定性等を顕著に向上させることができる。
【0056】また、後乳化方式によりエマルジョンを製
造するにあたっても、本発明の分散安定剤は有用であ
る。この場合は、分散安定剤を水に溶解し、これに溶液
状あるいは溶融状の樹脂を滴下しかくはんするか、溶融
状態の樹脂中に分散安定剤水溶液を滴下しかくはんすれ
ばよい。エマルジョン化にあたり加熱等の措置は特に要
求されないが、必要であれば45〜85℃程度に加熱す
ればよい。乳化する物質には特に限定はなく、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド初期縮合
物、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物、アルキ
ッド樹脂、ケテンダイマー、ロジン、シリコーン樹脂、
ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン、アスファル
ト等があげられる。必要とあれば、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ノール型、多価アルコールエステル型等のノニオン界面
活性剤、または高級アルキルアミン塩等のカチオン界面
活性剤をはじめとし、前記した乳化重合時に使用される
各種界面活性剤を併用することができる。また、これら
の界面活性剤は乳化対象物の方に混合しておくことも可
能である。さらにフタル酸エステル、リン酸エステル等
の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナ
トリウム等のpH調製剤も併用することができる。
【0057】かくして得られるエマルジョンには、増粘
等の目的で前述したようなその他の水溶性高分子物質を
添加することも可能である。その添加量は通常エマルジ
ョンに対して固形分換算で5〜500重量%の範囲が適
当である。
【0058】また、エマルジョンにはさらに必要に応じ
て架橋剤、耐水化剤、顔料、分散剤、消泡剤、油剤等を
適宜混合しうる。
【0059】得られるエマルジョンは、紙加工剤、接着
剤、塗料、繊維加工剤、化粧品、土木建築原料等として
有用である。
【0060】〈ポリビニルアルコール系ポリマーの用途〉 上記で得られたポリビニルアルコール系ポリマーは、紙
の表面サイズ剤、重合性モノマーの乳化重合時または懸
濁重合時に使用する分散安定剤のほか、従来ポリビニル
アルコールが用いられている種々の用途に使用すること
ができる。
【0061】かかる用途をまとめれば次の通りである。
【0062】(1)被覆剤関係 紙のクリアーコーティング剤、紙の顔料コーティング
剤、紙の内添サイズ剤、繊維製品用サイズ剤、経糸糊
剤、繊維加工剤、皮革仕上げ剤、塗料、防曇剤、マイク
ロカプセル用壁剤
【0063】(2)分散安定剤関係 塗料、墨汁、水彩カラー、接着剤等の顔料分散安定剤、
エチレン性不飽和モノマー、ブタジエン系モノマーの乳
化重合用乳化剤、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレ
ン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸
ビニル等の各種ビニルモノマーの懸濁重合用分散安定
剤、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂等疎水性樹脂、
エポキシ樹脂、パラフィン、ビチュウメン等の後乳化剤
【0064】(3)成形物関係 繊維、フィルム、シート、パイプ、チューブ、防漏膜、
暫定皮膜、ケミカルレース用の水溶性繊維
【0065】(4)接着剤関係 木材、紙、アルミニウム箔、プラスチックス等の接着
剤、再湿剤、不織布用バインダー、繊維状バインダー、
石膏ボードや繊維板等各種建材製造用バインダー、各種
粉体造粒用バインダー、セメントやモルタル用添加剤、
ホットメルト型接着剤、染料固着剤、アミノ樹脂系接着
剤の改良剤
【0066】(5)疎水性樹脂用ブレンド剤関係 疎水性樹脂の帯電防止剤および親水性付与剤、複合繊
維、フィルムその他成形物用添加剤
【0067】(6)増粘剤関係 各種エマルジョンの増粘剤
【0068】(7)凝集剤関係 水中懸濁物および溶存物の凝集剤、パルプスラリーのろ
水性向上剤
【0069】(8)土壌改良剤
【0070】(9)感光剤、感電子剤
【0071】(10)イオン交換樹脂、イオン交換膜
【0072】(11)キレート性樹脂
【0073】(12)ヘアースプレー、セッティングロ
ーション等の化粧料
【0074】(13)メッキ浴助剤、防錆剤
【0075】
【作用】本発明のポリマーにおいて、イタコン酸モノエ
ステル単位(A)は、ポリマー中に疎水性基とカルボキ
シル基とを同時に導入する役割を果たし、ビニルアルコ
ール基(B)とビニルエステル基(C)とは、ポリマー
の骨格を形成すると共に、水溶性や接着性を調節する役
割を果たす。そしてこれら各単位の組合せにより、紙の
表面サイズ剤、分散安定剤、その他の目的に最適のポリ
マー構造となる。
【0076】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」とあるのは重量部である。
【0077】〈ポリビニルアルコール系ポリマーの製造〉 実施例1、参考例1〜5および比較例1〜2 エチレン性不飽和ジカルボン酸として、イタコン酸(I
A)、無水マレイン酸(MAn)、マレイン酸(MA)
およびフマール酸(FA)を準備した。またアルコール
として、ジn−プロピルカルビノール(DnPr)、ジ
n−アミルカルビノール(DnAm)、2−オクタノー
ル(2−Oc)、ジイソプロピルカルビノール(DiP
r)、1,1−ジメチル−2−フェニルエタノール(D
MPh)、2−エチルヘキシルアルコール(2−E
H)、メタノール(MeOH)を準備した。
【0078】エチレン性不飽和ジカルボン酸1モル、ア
ルコール1モルおよび触媒0.2部をフラスコに仕込
み、かくはん下に所定温度で所定時間反応を行った。
応終了後、反応物を再結晶することにより、対応するエ
チレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(a)が得ら
れた。触媒としては、硫酸(SA)、p−トルエンスル
ホン酸(p−TS)またはリン酸(PA)を用いた。た
だし比較例においては触 媒を用いていない。
【0079】重合缶に所定量の酢酸ビニル(c)とその
約0.2倍の量のメタノール仕込み、系内をかくはん
しながら窒素気流下に昇温し、60℃になったところで
アゾイソブチロニトリルを酢酸ビニル(c)に対し0.
088モル%の量加え、以後この温度で上記で得た化合
物(a)の50%メタノール溶液の所定量を所定時間か
けて滴下しながら重合を行い、滴下終了後さらに30分
間重合反応を続行した。
【0080】反応終了後反応液にメタノール蒸気を吹込
んで未反応のモノマーを除去し、共重合体のメタノール
溶液を得た。
【0081】この溶液をメタノールで希釈して濃度を4
0%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に
保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに
さらに水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位
に対し20ミリモル加えて混練した。ケン化反応進行と
共にケン化物が析出し、ついにはスラリー状となった。
このスラリーをろ過し、メタノールでよく洗浄して熱風
乾燥器中で乾燥し、白色粉末状のポリビニルアルコール
系ポリマーを得た。
【0082】得られたポリマーをソックスレー抽出器を
用いてメタノールで抽出洗浄し、化合物(a)による変
性度をNMRで分析した。また、酢酸ビニル単位のケン
化度をIRで分析した。さらにこのポリマーの4%水溶
液の粘度をB型粘度計により測定した。
【0083】条件および分析結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】〈紙の表面サイズ剤〉 サイズ剤応用例 上記の実施例1および参考例1〜5により得られたポリ
ビニルアルコール系ポリマーの紙の表面サイズ剤として
の適性をみるため、これらのポリマーの4%水溶液を用
いて坪量60g/mの上質紙に表面サイズを行った。
装置としては、熊谷理機株式会社製のサイズプレス機を
用い、乾燥は110℃、1分の条件で行った。塗工紙の
吸油度、透気度、ステキヒトサイズ度の測定結果は概ね
同等であった。結果を表2に示す。
【0086】サイズ剤対照例1〜3 対照例として、上述の比較例1で製造したポリマー(対
照例1)、従来紙の表面サイズ剤として汎用されている
マレイン酸モノメチルエステル−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物(変性度3モル%、ケン化度93モル%、なおメ
チルエステルはケン化反応時にほぼ全て離脱している)
(対照例2)、バーサチック酸ビニル−マレイン酸−酢
酸ビニル共重合体ケン化物(変性度はバーサチック酸ビ
ニル2.7モル%、マレイン酸2.7モル%、ケン化度
92モル%)(対照例3)についても同様の試験を行っ
た。結果を表2に併せて示す。
【0087】
【表2】
【0088】表2からも、応用例で用いたポリビニルア
ルコール系ポリマーは、良好な表面サイズ性を有するだ
けでなく、従来の紙の表面サイズ剤に比し、吸油度およ
び透気度が格段に向上していることがわかる。
【0089】〈乳化安定剤適性〉 乳化剤応用例 ポリビニルアルコール系ポリマーの分散安定剤としての
適性をみるため、上記の実施例1および参考例1〜5
得られたポリマーを用いて以下に述べるようにアクリル
酸ブチルの乳化重合を行った。
【0090】還流冷却器、滴下ロート、温度計、かくは
ん器を備えた容積500ccのガラス製重合器に、これ
らのポリマーの4.0%水溶液150部、pH調整剤と
して第二リン酸ナトリウムの10%水溶液5部を加え、
200rpmの速度で回転しながら、内温を65℃に昇
温した。
【0091】次にアクリル酸ブチル9部および過硫酸カ
リウムの4%水溶液1.25部を加え、乳化重合を開始
した。初期重合を35分間行い、その後重合器の内温を
70℃に調節しながら、4時間にわたってアクリル酸ブ
チル81部を連続的に滴下し、また過硫酸カリウムの4
%水溶液5部を2回に分割して仕込み、乳化重合を続け
た。内温を75℃に保ち、1時間熟成反応を行い、その
後残量モノマーを追い出してポリアクリル酸ブチルのエ
マルジョンを得た。
【0092】得られたエマルジョンの諸性質の測定結果
は概ね同等であった。結果を表3に示す。
【0093】乳化剤対照例 前記懸濁剤に代えてノニオン界面活性剤(日本油脂株式
会社製ニッサンノニオンP−230)2.7gとアニオ
ン界面活性剤(日本油脂株式会社製ニッサントラックス
H−45)0.8gとを併用した以外は、上記と同様に
して実験を行った。結果を表3に併せて示す。
【0094】
【表3】
【0095】注 1.放置安定性は、エマルジョン約50gを温度60℃
に保った恒温器に5日間連続放置した後、3時間放冷
し、かきまぜて外観の状態を観察し、全く変化がないも
のをA、エマルジョン破壊があるものをEとし、その間
をB、C、Dの3段階に分けて評価した。 2.凍結融解安定性は、エマルジョン約50gを温度−
15℃に16時間保ち、次に恒温水槽中で30℃で1時
間放置した後、ガラス棒でかきまぜて外観の状態を観察
し、全く変化がないものをA、エマルジョン破壊がある
ものをEとし、その間をB、C、Dの3段階に分けて評
価した。 3.希釈安定性は、樹脂分が3%になるように蒸留水を
加えて希釈し、これを内径7mm、長さ1mのガラス管
に入れて密栓し、24時間放置後の上澄液(上層)の深
さおよび管底に沈降した層(下層)の深さを観察し、安
定性がすぐれているものから順にA、B、C、D、Eで
評価した。
【0096】表3からも、応用例で用いたポリビニルア
ルコール系ポリマーは、従来の乳化剤に比し、放置安定
性、凍結融解安定性、希釈安定性が顕著に向上している
ことがわかる。
【0097】〈懸濁安定剤適性〉 懸濁剤応用例 ポリビニルアルコール系ポリマーの分散安定剤としての
適性をみるため、上記 の実施例1および参考例1〜5
得られたポリマーを用いて以下に述べるように塩化ビニ
ルの懸濁重合を行った。
【0098】かくはん器を備えたオートクレーブ中に
塩化ビニルモノマー100部、水150部、これらの
リマーからなる分散安定剤0.1部およびラウロイルパ
ーオキサイド0.2部を仕込み、回転数400rpmで
かくはんしながら温度60℃にて懸濁重合を行った。
【0099】得られたポリ塩化ビニル粒子の性能は概ね
同等であった。結果を表4に示す。
【0100】懸濁剤対照例 従来塩化ビニルの分散安定剤として汎用されている部分
ケン化ポリビニルアルコール(酢酸ビニル成分のケン化
度80.5モル%)を用いた以外は上記と同様にして実
験を行った。結果を表4に併せて示す。
【0101】
【表4】
【0102】(注1)粗大粒子含有率は、JIS標準ふ
るい40メッシュふるい上げ割合(%)。(注2) フィッシュアイは、100cmあたりのフィ
ッシュアイの個数。(注3) 可塑剤吸収性は、ポリ塩化ビニル6部とジオク
チルフタレート4部の混合物の乾燥点までの時間をブラ
ベンダーにて測定したもの。3分以内をA、3〜5分を
B、5〜10分をCと判定した。
【0103】表4からも、応用例で用いたポリビニルア
ルコール系ポリマーは、従来の分散安定剤に比し、空隙
率、粒度分布、可塑剤吸収性が顕著に向上していること
がわかる。
【0104】
【発明の効果】本発明のポリビニルアルコール系ポリマ
ーにおいては、ポリマー中に特定のイタコン酸モノエス
テル単位(A)が導入されているため、ポリマー中に疎
水性基とカルボキシル基とを併せ有しており、このポリ
マーを紙の表面サイズ剤として用いたときは従来の表面
サイズ剤に比し透気度、吸油度が格段にすぐれており、
またこのポリマーをビニル化合物の乳化重合時または懸
濁重合時に使用する分散安定剤として用いたときは従来
の分散安定剤に比しより一層分散安定効果がすぐれてい
る。また、これらの用途に限らず、広範な用途が期待で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 2/20 MBK C08F 2/20 MBK 2/24 MBU 2/24 MBU D21H 17/36 D21H 3/44 19/12 1/32 19/60 1/38 (C08F 216/06 218:08 222:16)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 で示される繰り返し単位を有するポリビニルアルコール
    系ポリマー。
  2. 【請求項2】100q/(q+r)=65−99.5で
    ある請求項記載のポリビニルアルコール系ポリマー。
  3. 【請求項3】 【化2】 で示されるイタコン酸モノエステル(a)と酢酸ビニル
    (c)とを共重合した後、これをケン化して、式 【化3】 で示される繰り返し単位を有するポリビニルアルコール
    系ポリマーを得ることを特徴とするポリビニルアルコー
    ル系ポリマーの製造法。
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