JP3418442B2 - ポリビニルアルコール系ポリマー、その製造法及びそのポリマーよりなる紙の加工剤 - Google Patents

ポリビニルアルコール系ポリマー、その製造法及びそのポリマーよりなる紙の加工剤

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の構造単位を有す
るエチレン性不飽和ジカルボン酸モノアミドを導入した
新規ポリビニルアルコール系ポリマー、その製造法、及
び該ポリビニルアルコール系ポリマーよりなる紙の加工
剤、特に表面サイズ剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリビニルアルコール系ポリマ
ー(以下PVAと略す)は、その製膜特性(造膜性、耐
油性、強度等)、水溶性等を利用して乳化剤、懸濁剤、
界面活性剤、繊維加工剤、各種バインダー、紙用サイジ
ング剤、接着剤等として広く使用されている。
【0003】そして、各種用途に応じて、PVAの変性
が試みられている。即ち、PVAの主鎖に各種の単量体
を共重合させることにより変性を行うことが試みられて
おり、例えばエチレン性不飽和カルボン酸単位、長鎖脂
肪酸ビニルエステル単位、N−スルホアルキルアミド単
位、N−アルキルアクリルアミド単位等の変性基を導入
した数多くの変性PVAが上市されている。そして、そ
の用途としては上記の如く乳化剤、懸濁剤、界面活性
剤、繊維加工剤、各種バインダー、紙用サイジング剤、
接着剤等が挙げられるが、近時の技術革新に於いては、
より特徴ある製品が要求されており、変性PVAの製造
時のケン化反応時に於ける変性基の安定性(脱離しない
こと)や各種溶液として実用に供した時の放置安定性が
重要な問題となったりしている。
【0004】特にPVA水溶液をそのまま処理剤として
用いる紙用サイジング剤用途においては、その影響が顕
著でありPVA樹脂そのものの特性に左右されると言っ
ても過言ではない。このような背景において、PVAを
共重合変性して紙用コーティング剤として用いることが
多く提案されている。
【0005】かかる方法として、特開昭49−8781
1号公報には、紙用コーティング剤用途において、紙層
内部へのPVAを含む紙用コーティング液の紙表面への
歩留りを改善し、紙の表面強度の改善を目的として分子
内に0.1〜15モル%のラクトン環を含有する変性P
VAが開示されている。
【0006】又、空気、油或いは有機溶剤の透過性や透
過性に関するバリヤー性能を紙に付与することを目的と
して、特開昭56−20698号公報には0.1〜15
モル%のエチレン性不飽和カルボン酸を含有する変性P
VAが開示されており、特開昭63−270704号公
報には、高重合度スルホン酸基を含有する変性PVAが
開示されている。更に、上記と同目的で特開昭56−5
8098号公報には、炭素数が6以上の脂肪酸ビニルエ
ステル、炭素数が6以上のアルキルビニルエーテル、炭
素数が6以上のα−オレフィンより選ばれる単量体及び
エチレン性不飽和カルボン酸又はその低級アルキルエス
テル又は酸無水物を含有する変性PVAが開示されおり
特開昭62−119202号公報に於いても、ジアルキ
ルカルビトールやトリアルキルカルビトールからなるエ
チレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単位及び酢酸
ビニル単位を任意単位として含む変性PVAが開示され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
PVAの水溶液の安定性においては、まだまだ改善の余
地があり、特に特開昭56−58098号公報及び特開
昭62−119202号公報開示技術の変性PVAでは
上記ポリマーを各種溶液とし長期放置した場合増粘、ゲ
ル化、層分離等が起こったり該PVAの製造時には変性
しようとする官能基が脱離し、カルボキシル基又はラク
トンになりやすく、変性の目的が充分果たせないという
問題や充分な重合度を有するPVAが得難いという問題
があり、PVAの製造面及び用途面で一層の改善が望ま
れているのである。
【0008】更に紙用サイジング剤としての特性を見た
場合においても特開昭49−87811号公報の開示技
術では、紙コーティング液を塗被した紙の表面強度の改
善効果は認められるものの、空気、油或いは有機溶剤の
透過性や吸収に関するバリヤー性能を紙に付与すること
は考慮されておらず不十分である。又、特開昭56−2
0698号公報、特開昭63−270704号公報、特
開昭56−58098号公報及び特開昭62−1192
02号公報の開示技術では、油或いは有機溶剤の吸収や
透過性に関するバリヤー性能が考慮されおり透気度、吸
油度、印刷適性の改善が図られているもののまだまだ満
足の出来るものではなく、より一層の改善が求められて
いるのが現状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる欠点を解決すべく
鋭意検討した結果、本発明者らは、変性成分として下記
の化1で示されるN,N−ジ分岐アルキルアミド成分を
含有するエチレン性不飽和カルボン酸モノアミド(A)
を0.1〜20モル%、ビニルエステル単位(B)及び
ビニルアルコール単位(C)を合計で80〜99.8モ
ル%共重合成分とする新規なPVAはケン化反応時に変
性基の脱離がなく目的とする変性PVAが容易に製造出
来る上、水溶液とした時の保存安定性に優れ、特に該ポ
リマーを紙用サイジング剤用途に供した場合、塗工加工
紙のバリヤー性能及び印刷適性が顕著に優れていること
を見いだし本発明に至った。
【化1】 ここでR0は化2で示される。また、X,Y,Zのいず
れか一つはカルボキシル基で残りは水素またはアルキル
基を示し、nは0または1である。
【化2】 (但し、nは1〜3、R1は水素又はメチル基を示す。
又R2〜R4は水素又はアルキル基又はアリル基をそれぞ
れ示し、同時に2個以上は水素ではなく、R2〜R4の炭
素数の合計が4以上である。)
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
変性PVA(以下、単に変性PVAと称することがあ
る)は、上記の如く(A)単位を必須成分としており、
(A)単位は上記化1で示されるN,N−ジ分岐アルキ
ルアミド成分を含有するエチレン性不飽和ジカルボン酸
モノアミド単位でR1〜R3の上記官能基を有するもので
1〜R3の官能基の炭素数が、4未満ではケン化時の変
性基の安定性及び水溶液の保存安定性が悪く、又塗工紙
のバリヤー性能、印刷適性の点で不適当であり、該炭素
数は好ましくは4〜16である。該(A)単位を含有す
る共重合可能な単量体としては、N,N−ジイソブチル
マレイン酸モノアミド、N,N−ジイソアミルマレイン
酸モノアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)マレ
イン酸モノアミド、N,N−ジイソブチルフマル酸モノ
アミド、N,N−ジイソアミルフマル酸モノアミド、
N,N−ジ(2−エチルヘキシル)フマル酸モノアミ
ド、N,N−ジイソブチルイタコン酸モノアミド、N,
N−ジイソアミルイタコン酸モノアミド、N,N−ジ
(2−エチルヘキシル)イタコン酸モノアミド、N,N
−ジイソブチルシトラコン酸モノアミド、N,N−ジイ
ソアミルシトラコン酸モノアミド、N,N−ジ(2−エ
チルヘキシル)シトラコン酸モノアミドなどが挙げら
れ、好ましくはN,N−ジイソブチルマレイン酸モノア
ミドが好適に使用される。又、本発明の変成PVAの
(A)単位中のカルボン酸成分としては、遊離カルボキ
シル基又はその塩である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
変性PVA(以下、単に変性PVAと称することがあ
る)は、上記の如く(A)〜()単位を必須成分とし
ており、(A)単位は上記化1で示される如きN,N−
ジ分岐アルキルアクリルアミド成分でR1〜R4の上記官
能基を有するものでR2〜R4の官能基の炭素数が、4未
満ではケン化時の変性基の安定性、水溶液の保存安定性
が悪く、又塗工紙のバリヤー性能、印刷適性の点で不適
当であり、該炭素数は好ましくは4〜16である。該
(A)単位を含有する共重合可能な単量体としては、
N,N−ジイソブチルアクリルアミド、N,N−ジ(2
−エチルヘキシル)アクリルアミド、N,N−ジイソア
ミルアクリルアミド、N,N−ジイソブチルメタアクリ
ルアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)メタアク
リルアミド、N,N−ジイソアミルメタアクリルアミド
などが挙げられ、好ましくはジイソブチルアクリルアミ
ドが好適に使用される。
【0012】上記変性PVAの各単位の割合は、造膜
性、経済性という点から上記化1で示されるN,N−ジ
分岐アルキルアミド成分を含有するエチレン性不飽和ジ
カルボン酸モノアミド単位(A)を0.1〜20モル
%、好ましくは0.1〜10モル%、ビニルエステル単
位(B)及びビニルアルコール単位(C)が合計で80
〜99.9モル%の範囲が適当である。又、ケン化度
(ビニルエステル単位(B)とビニルアルコール単位
(C)との合計量に対するビニルアルコール単位(C)
の割合)は、水溶性を保持するという点より50モル%
以上であることが好ましく、特に好ましい範囲は耐水
性、強度という点から75モル%以上である。
【0013】本発明のPVAを製造するには(A)、
(B)とビニルエステル(C)を共重合して得られるビ
ニルエステル系共重合体をケン化するが、(C)として
はギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル等が挙げられるが、経済的にみて酢酸ビニルが好
ましい。
【0014】上記変性PVAの各単位の割合は、水溶
性、造膜性という点から上記化1で示されるN,N−ジ
分岐アルキルアクリルアミド単位(A)を0.1〜20
モル%、経済性という点より好ましくは0.1〜10モ
ル%、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその塩の少
なくとも1種(B)を0.1〜20モル%、好ましくは
0.1〜10モル%、ビニルエステル単位(C)及びビ
ニルアルコール単位(D)が、合計で60〜99.8モ
%である。又、ケン化度(ビニルエステル単位(C)
とビニルアルコール単位(D)との合計量に対するビニ
ルアルコール単位(D)の割合)は、水溶性を保持する
という点より50モル%以上であることが好ましく、特
に好ましい範囲は耐水性、強度という点から75モル%
以上である。
【0015】このようなエチレン性不飽和ジカルボン酸
モノアミド(A)は、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、
無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸又
はその無水物或いは、これらの酸ハロゲン化物を化3で
示される第2アミンと無触媒又は適当な酸触媒(硫酸、
塩酸、P−トルエンスルホン酸等のプロトン酸)の存在
下に反応させることにより得られる。このようなアミン
としては、ジイソブチルアミン、ジイソアミルアミン、
ジ(2−エチルヘキシル)アミンが挙げられる。
【化3】 ここで、R0は化2で示される。
【化2】 (但し、nは1〜3、R1〜R3は、水素又はアルキル基
又はアリル基をそれぞれ示し、同時に2個以上は水素で
なく、R1〜R3の炭素数の合計が4以上である。)
【0016】尚、かかる重合に当たっては、本発明の趣
旨を損なわない限り上記2成分以外にかかる単量体と共
重合可能な他の不飽和単量体、例えばアルキルビニルエ
ーテル、メタアクリルアミド、エチレン、プロピレン、
α−ヘキセン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オク
タドデセン等のオレフィン、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のニトリル類、アクリル酸アルキルエス
テル、メタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アル
キルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、イタコ
ン酸ジアルキルエステル、シトラコン酸ジアルキルエス
テル、フマル酸ジアルキルエステル等を少量共重合させ
てもよい。
【0017】該共重合反応は、溶媒不存在下に行うこと
も出来るが、通常は適当な溶媒、特にメタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコー
ルが用いられる。重合時の単量体の仕込み方法としては
特に制限はなく、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み
等任意の方法が採用されるが、エチレン性不飽和ジカル
ボン酸モノアミドをPVA中に均一に導入出来る点で分
割仕込み或いは連続仕込み方法が有利である。
【0018】共重合に当たって触媒としてはアゾイソブ
チルニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過
酸化ラウリル等の公知ラジカル重合触媒及びアゾビスジ
メチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバレ
ロニトリル等の低温活性ラジカル触媒等が用いられる。
又、反応温度は40〜65℃程度とすることが多い。
【0019】かかる方法により得られた共重合体は、次
にケン化される。該ケン化工程においては、必要に応じ
て残存モノマーを追い出してから、常法に従ってケン化
される。即ち、ケン化に当たっては該共重合体をアルコ
ール又は含水アルコールに溶解し、アルカリで中和後酸
触媒又はアルカリ触媒でケン化が行われる。アルコール
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、t
−ブタノール等が挙げられるがメタノールが特に好適に
使用される。アルコール中の共重合体の濃度は系内の粘
度で適宜選択され通常は10〜60重量%の範囲から選
ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナト
リウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金
属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、或い
は硫酸、塩酸等の酸触媒が用いられる。
【0020】かかる触媒の使用量は、ケン化方法、目標
ケン化度等により適宜選択されるが、通常ビニルエステ
ルに対して0.1〜10モル%が適当である。又、ケン
化反応温度は特に制限はなく、通常10〜60℃、好ま
しくは20〜50℃の範囲から選ばれ、ケン化反応は5
〜240分にわたって行われる。ケン化反応終了後、必
要に応じて中和し、アルコール等で洗浄し乾燥すること
により目的とする変性PVAが得られる。
【0021】次に本発明の変性PVAを用いた紙の表面
サイズ剤について説明する。上記方法により得られた変
性PVAを紙の表面サイズ剤用途に用いる際には、一般
に水に溶解して用いられるが、溶剤系でも使用可能であ
る。又、サイズ剤中のポリマー濃度は目的に応じて適宜
調製すればよいが、通常0.5〜20重量%程度の範囲
から選択することが出来る。
【0022】本発明の変性PVAを紙用サイジング剤と
して使用する場合には、本発明に支障のない範囲で、所
望に応じて他の添加剤を含有させ或いは併用することが
できる。他の添加剤としては、例えば通常のPVA、コ
ーンスターチ、酸化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキル
セルロースなどのセルロース化合物、スチレン−ブタジ
エン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−メタ
クリル酸エステル共重合体ラテックスなどの合成ゴム系
ラテックス、グリオキザール、尿素樹脂、エポキシ樹
脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂等の耐水化剤、硼
砂、硼酸、硫酸アルミニュウム、酢酸マグネシウム等の
架橋剤、及び消泡剤、離型剤、防腐剤、防虫剤、防錆
剤、増粘剤、グリセリン、ジエチレングリコール、エチ
レングリコール等の可塑剤などが挙げられる。又、該サ
イジング剤は上記以外の公知の添加剤を加えてもよい。
【0023】本発明の紙加工剤は、紙のクリアコーティ
ングに好適に用いられるが、酸化チタン、クレー、炭酸
カルシウム、サチンホワイトなどの無機系顔料、微粉末
状熱可塑性樹脂(塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂など)の合
成樹脂系顔料などの顔料を含む顔料コーティングにも好
適に用いることが出来る。
【0024】サイズ剤を塗被する紙としては、例えばマ
ニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質
紙、中質紙、コート紙、軽量コート紙、包装用紙、グラ
ビア用紙などの印刷用紙などが好適に用いられるが、特
にバリヤー性能を必要とする剥離紙、感圧記録紙、感熱
記録紙等の加工用原紙、耐油紙、撥水紙の如き特殊紙に
適用して顕著な効果を発揮しうるが、これらに限定され
るものではない。
【0025】紙に塗被するに当たっては、サイズプレス
コート、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレー
ドコート法等従来公知の任意の方法が採用できる。塗布
量は、所望する紙の性状に応じて任意に選ぶことが出来
るが、通常0.1〜5g/m2 程度(本発明の変性PV
Aの固形分換算)が適当である。又、塗布後の乾燥条件
は、紙の性状に応じて任意に選ぶことが出来るが、通常
80〜250℃で3〜60秒程度の条件で行われる。
【0026】本発明の変性PVAは、上述した紙用サイ
ジング剤としての用途の他、乳化剤、懸濁剤、高分子界
面活性剤、繊維加工剤、フィルム、シート、顔料バイン
ダー、徐放性薬剤(殺虫剤、農薬、肥料、湿布薬、飲み
薬、芳香剤)用バインダー、不織布バインダー、石膏ボ
ードや繊維板等の各建材用バインダー、各種粉体造粒用
バインダー、木材、紙、アルミ泊などの接着剤、ホット
メルト型接着剤、感圧接着剤、感熱オーバーコート剤、
紙力増強剤、さらには繊維用糊剤、土壌や化粧品用の保
水(安定)剤、化粧品用クリーム,練り歯磨き,各種水
溶液等の粘度調整剤、シャンプー,石鹸,洗剤等の添加
剤、曇り・結露防止用暫定皮膜や(マイクロ)カプセル
皮膜、プラスチックス用可塑剤、剥離・雛型紙用塗布
剤、船底防汚塗料、感光性樹脂、酸素固定用ゲル、セメ
ント混和剤、水処理用凝集剤、インクジェットプリンタ
ー用シートの表面処理剤、衣服等の静電気防止剤、洗濯
糊、魚釣用疑似餌、変性ビニロンや変性ブチラール樹脂
の原料などの分野にその有用性が期待されるものであ
る。
【0027】
【作 用】本発明の変性PVAは、N,N−ジ分岐アル
キルアミド成分を含有するエチレン性不飽和ジカルボン
酸モノアミドを導入することにより製造時の安定性に優
れ、該ポリマーの水性溶液を紙サイジング用途に供した
場合、空気、油或いは有機溶剤の透過性や吸収に関する
バリヤー性能及び印刷適性が格段に向上し大変有用であ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例によって具体
的に説明する。なお,実施例中「%」とあるのは、断り
のない限り重量基準を意味する。 実施例1 無水マレイン酸500部、ジイソブチルアミン65.9
部をフラスコに仕込み、撹拌下に60℃で2時間反応を
行った。反応終了後、反応物を再結晶することにより化
4で示される化合物が得られた。
【化4】 0は、化5で示される。
【化5】 収率は、95%であった。
【0029】還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた重
合缶に酢酸ビニル1000部、メタノール150部を仕
込み攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ62℃に
おいてアゾビスイソブチロニトリル0.6部をメタノー
ル19.4部に溶解した溶液を投入し重合を開始した。
重合開始点より上記で得た化合物N,N−ジイソブチル
マレイン酸モノアミド27.2部を溶解したメタノール
溶液272部を5時間にわたって連続的に滴下しながら
重合を行い、酢酸ビニルエステルの重合率が50%にな
った時点で重合を終了した。続いてメタノール蒸気を吹
き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に
除去し共重合体のメタノール溶液を得た。次いで、該溶
液をメタノールで希釈して濃度を30%に調製してニー
ダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナ
トリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウ
ムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して30ミリモル
加えて混練りした。ケン化反応進行と共にケン化物が析
出し、遂には粒子状となった。生成した変性PVAを濾
過し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥器中で乾燥
し、目的物を得た。得られた変成PVAをソックスレー
抽出器を用いてメタノールで抽出洗浄しジイソブチルマ
レイン酸モノアミドによる変成度を1H−NMRで分析
した結果、変性度は2.0モル%であった。又、変性P
VAのケン化度は、残存酢酸ビニル単位の加水分解に要
するアルカリ消費量の定量により分析を行ったところ9
8モル%であった。尚、この変成PVAのB型粘度計に
よる4%水溶液の粘度は、30cps/20℃であっ
た。
【0030】更に、得られた変性PVAのIRスペクト
ル及び1H−NMR(D2O)スペクトルの帰属を以下に
示す。 実施例1で得られた変性PVAのケン化前後の(A)単
量体の含有量の評価、変性PVA水溶液の放置安定性の
評価及びサイズ剤としての適性評価を以下の如く行っ
た。評価結果は表4〜5に示す。
【0031】ケン化前後の(A)単量体の含有量の評
価:1H−NMR(D2O)により分析を行い、(A)単
量体の変性度の評価を行った。
【0032】水溶液の放置安定性評価:実施例1で得ら
れた変性PVAの4%水溶液を80℃で2時間にわたっ
て溶解を行うことにより調製し、40℃で1週間放置後
のジイソブチルマレイン酸モノアミド変性度を1H−N
MRにより分析を行い、放置テスト後の変性度の評価を
行った。
【0033】サイズ剤としての適正評価:実施例1で得
られた変性PVAの4%水溶液を調製し、秤量60g/
2 上質紙に試験用サイズプレス装置(熊谷理機(株)
製)を用いて着量1.0g/m2 になるよう塗布し、乾
燥温度110℃、乾燥時間1分の条件で乾燥後、スーパ
ーカレンダー(80℃、40Kg/cm )で2回処理
し、20℃、65%RHで24時間以上調湿した後、以
下の種々の物性測定に供した。
【0034】(物性測定項目) ステキヒトサイズ度:JIS P−8122により測定
を行った。 透気度 :JIS P−8117により測定
を行った。 吸油度 :JIS P−8130により測定
を行った。 IGTピック :IGT印刷試験機(熊谷理機
(株)製)によりインキにFINE INK TV−2
0(大日本インキ製)を用いて測定を行った。 実施例1で得られた変性PVAの4%水溶液を40℃で
1週間放置後においても上記と同様にサイズ剤としての
適性評価を行った。
【0035】実施例2〜7、比較例1〜6 表1に示した成分及び条件でエチレン性不飽和ジカルボ
ン酸モノアミドの合成を行い、得られた各種エチレン性
不飽和ジカルボン酸モノアミドと酢酸ビニルとの共重合
及びケン化を表2の成分及び仕込み量で実施例1と同様
の手順により種々の変性PVAを調製し、実施例1と同
様の評価を行った。尚、変性PVAの4%水溶液を40
℃で1週間放置後のサイズ剤としての適性評価は比較例
1〜4で行った。得られた種々の変性PVAを表3に示
し、評価結果は表4〜5に示す。実施例1の場合につい
ても再度表1〜3に示す。
【0036】又、上記実施例2〜7で得られた変性PV
AのIRスペクトル及び1H−NMRスペクトルの帰属
を以下に示す。 実施例2
【0037】実施例3
【0038】実施例4
【0039】実施例5
【0040】実施例6
【0041】実施例7
【0042】
【表1】 エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアミドの合成条件 合成モノアミド 酸 アミン 温度 時間 収率 (部) (部) (℃) (hr) (%) D-i-BMMAm 無水マレイン酸 ジイソブチルアミン 60 2 95 D-i-BIMAm 無水イタコン酸 ジイソブチルアミン 60 2 95 D-i-AMMAm 無水マレイン酸 ジイソアミルアミン 60 2 97 D-EHMMAm 無水マレイン酸 ジ(2エチルヘキシル)アミン 60 2 92 D-n-DMMAm 無水マレイン酸 ジ-n-プロピルアミン 60 2 95N-n-OMMAm 無水マレイン酸 n-オクチルアミン 60 2 90 D−i−BMMAmは、N,N−ジイソブチルマレイン
酸モノアミド。D−i−BIMAmは、N,N−ジイソ
ブチルイタコン酸モノアミド。D−i−AMMAmは、
N,N−ジイソアミルマレイン酸モノアミド。D−EH
MMAmは、N,N−ジ(2エチルヘキシル)マレイン
酸モノアミド。D−n−DMMAmは、N,N−ジ−n
−プロピルマレイン酸モノアミド。N−n−OMMAm
は、N−n−オクチルマレイン酸モノアミド。
【0043】
【表2】
【0044】注) ( ) 内の数値はモノマーの総仕込み
量に対するを単量体(A)の仕込みモル分率を表す。略
語は以下の通り。D−i−BMMAmは、N,N−ジイ
ソブチルマレイン酸モノアミド。D−i−BIMAm
は、N,N−ジイソブチルイタコン酸モノアミド。D−
i−AMMAmは、N,N−ジイソアミルマレイン酸モ
ノアミド。D−EHMMAmは、N,N−ジ(2エチル
ヘキシル)マレイン酸モノアミド。D−n−DMMAm
は、N,N−ジ−n−プロピルマレイン酸モノアミド。
N−n−OMMAmは、N−n−オクチルマレイン酸モ
ノアミド。3Mは、マレイン酸モノメチル。MRMは、
モノ(ジイソプロピルメチル)マレート。VeoVa−
10は、下記化6で示される単量体。
【化6】 1、R2、R3は水素又はアルキル基。R1、R2、R3
炭素数の合計は平均で10。AMPSは、N−スルホイ
ソブチレンアクリルアミドナトリウム。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】 注)( )内の数値は、変性PVAの4%水溶液を40
℃で1週間放置した後のサイズ剤としての適性評価結果
を示す。
【0048】
【発明の効果】本発明の変性PVAは、N,N−ジ分岐
アルキルアミド成分を含有するエチレン性不飽和ジカル
ボン酸モノアミドを導入することにより水溶液の安定性
に優れ、該ポリマーの水性溶液を紙サイジング用途に供
した場合、空気、油或いは有機溶剤の透過性や吸収に関
するバリヤー性能及び印刷適性が格段に向上し大変有用
である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化1で示されるエチレン性不飽和
    ジカルボン酸モノアミド(A)を0.1〜20モル%
    ビニルエステル単位(B)及びビニルアルコール単位
    (C)を合計で80〜99.8モル%共重合成分として
    含有することを特徴とするポリビニルアルコール系ポリ
    マー。 【化1】 ここでR0は化2で示される。また、X,Y,Zのいず
    れか一つはカルボキシル基で残りは水素またはアルキル
    基を示し、nは0または1である。 【化2】 (但し、nは1〜3、R1は水素又はメチル基を示す。
    又R2〜R4は水素又はアルキル基又はアリル基をそれぞ
    れ示し、同時に2個以上は水素ではなく、R2〜R4の炭
    素数の合計が4以上である。)
  2. 【請求項2】 (A)の単量体とビニルエステルを共重
    合した後、得られるビニルエステル共重合体をケン化
    し、請求項1記載のポリビニルアルコール系ポリマーを
    得ることを特徴とするポリビニルアルコール系ポリマー
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリビニルアルコール系
    ポリマーを用いることを特徴とした紙の加工剤。
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