JP2645528B2 - 移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本発明は、移植機、特にイ草用移植機に用いて好適で
あり、詳しくは横状態に置かれた苗を縦状態にして送り
出す苗送り装置に関する。

（ロ） 従来の技術 従来、例えば実開平２−26413号公報に示すように、
イ草用移植機は、１株毎に分けたイ草の苗をテープにて
一連に連ね、該テープ苗をロール状にして収納する巻取
りドラムと、該巻取りドラムに横状態にて収納されてい
るテープ苗を縦状態に変位しながら案内するガイドと、
該縦状態に変位したテープ苗を間歇的に送る送り爪と、
該送り爪にて送られるテープ苗の最先の株部分をカット
するカッターと、該カットされた株を植付ける植付け爪
と、からなる。

従って、該イ草用移植機は、まず巻取りドラムに収納
されている苗テープの先端を、ガイドに案内しながら送
り爪に供給する。すると、以降は、送り爪に引張られな
がら、苗テープはガイドに案内されて横状態から縦状態
に変位され、送り爪にて間歇的に送られる先端の株から
カッターにより切断され、１株ずつ植付け爪にて植付け
られていく。

（ハ） 発明が解決しようとする課題 ところで、上述したイ草用移植機にあっては、送り爪
によりテープ苗が引張られながら、ガイドにより横状態
から縦状態に変位されるが、この際テープ苗はガイドと
の間に大きな擦過力が作用し、苗自体を傷つけることが
あり、特にガイドは水平状態から傾斜状態を経て垂直状
態になっているため、傾斜位置にて苗テープの根部分が
楔状に入り込みやすく、苗の根及び新芽部分に傷をつけ
てしまうことがある。

また一般に、イ草用移植機は、田植機のように苗のせ
台が左右に移動しないため、早期に苗補給する必要があ
るが、上述したイ草用移植機にあっては、オペレータが
苗テープの先端を、ガイド下方に位置する送り爪まで送
り込まないと確実な苗補給ができず、極めて面倒で時間
のかかる作業となってしまい、効率的な移植作業の妨げ
となっている。

そこで、本発明は、苗を痛めることなく確実に横状態
から縦状態に変位し、かつ上方位置にて容易に補強が可
能な移植機を提供することを目的とするものである。

（ニ） 課題を解決するための手段 本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、例
えば第１図及び第３図を参照して示すと、傾斜状に配置
された苗送り台（27）を有し、かつ該苗送り台（27）の
上部に、苗を横状態にして送る苗供給部（21）を配置
し、また該苗送り台（27）の下方に、苗を縦状態にして
植付ける植付け部（22）を配置してなる、移植機（１）
において、前記苗供給部（21）に臨んで２個の水平ロー
ラ（39,41）を配置すると共に、前記植付け部（22）に
臨んで２個の垂直ローラ（56,57）を配置し、かつこれ
ら水平ローラ（39,41）及び垂直ローラ（56,57）の少な
くとも一方を駆動軸（30）に連結して駆動ローラ（39,4
1）となし、前記１対の水平ローラ（39,41）及び垂直ロ
ーラ（56,57）に亘ってそれぞれコンベヤベルト（59,6
0）を巻掛け、これら１対のコンベヤベルト（59,60）
が、前記苗送り台（27）に沿いつつ90度捩ってかつその
一方の外側面を互いに面した状態で略々同速度で走行
し、これら互に面するコンベヤベルト（59,60）に苗を
挟持して、前記苗供給部（21）から植付け部（22）に搬
送することを特徴とするものである。

また、本願の第２の発明は、前記２個の水平ローラ
（39,41）の内、下側に位置するローラ（39）が、上側
に位置するローラ（41）に対して前記苗供給部（21）側
に突出し、かつ上側に位置するローラ（41）が、下側に
位置するローラ（39）より大径のローラで構成してなる
ことを特徴とするものである。

（ホ） 作用 上述した構成に基づき、駆動軸（30）からの回転は、
駆動（水平）ローラ（39,41）に伝達され、コンベヤベ
ルト（59,60）を走行させる。苗供給部（21）から横状
態にして送られてきた苗は、１対のコンベヤベルト（5
9,60）に挟持・搬送され、90度捩られて縦状態にされ
て、植付け部（22）に搬送される。

またこの際、水平ローラ（39,41）の内の下側のロー
ラ（39）が、上側のローラ（41）に対して苗供給部（2
1）側に突出しており、苗供給部（21）からの横状態に
ある苗は下コンベアベルト（59）に確実に移乗され、か
つ、下側のローラ（39）により大径である上側のローラ
（41）は、該横状態になる苗を確実に上下コンベヤベル
ト（59,60）の間に導く。

（ヘ） 発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、横状態の苗は
１対のコンベヤベルト（59,60）に挟持されて搬送さ
れ、この状態で90度捩られて縦状態にされるので、苗を
痛めることなく、苗を確実に横状態から縦状態にするこ
とができる。

また、コンベヤベルト（59,60）に、上方に位置する
苗供給部（21）から横状態にある苗を供給するので、作
業者は上方位置にて苗を容易に補給することができる。

また、下側のローラ（39）が上側のローラ（41）に対
して苗供給部（21）側に突出していると共に、上側のロ
ーラ（41）が下側のローラ（39）により大径であるの
で、苗をスムースかつ確実にコンベヤベルト（59,60）
に送り込むことができる。

なお、カッコ内の符号は図面を参照するためのもので
あって、何等構成を限定するものではない。

（ト） 実施例 以下、図面に沿って、本発明による実施例について説
明する。

イ草移植機１は、第２図に示すように、その前方が乗
用田植機の牽引車２になっており、その後方にイ草移植
作業機３が装着されている。該イ草移植作業機３は前記
牽引車２から動力を伝達されると共に、牽引されるよう
に構成されている。

前記牽引車２は、前輪5,5及び後輪6,6により支持され
ている走行機体７を有しており、該走行機体７にはその
前輪5,5前方上部にエンジン９が搭載されている。該エ
ンジン９の左右側方には補助苗箱入れ10が配置されてい
る。更に、前記走行機体７には、該エンジン９後方に運
転席11、及び苗供給作業者用の座席13が配設されてお
り、該運転席11の左右側方には補助箱入れ12が配置され
ている。

そして、イ草移植作業機３の前方にはヒッチ15が設け
られており、該ヒッチ15と前記牽引車２は、昇降リンク
16のトップリンク16aとロアリンク16b,16bで昇降可能に
連結されている。該ロアリンク16b,16bには苗供給作業
者用ステップ17が固定されている。

また、イ草移植作業機３は、第３図に示すように、フ
レーム20を有しており、その上方が苗供給部21になって
いると共に、その下方が植付け部22になっており、その
間にコンベヤベルトからなる苗搬送・変位部19になって
いる。前記トップリンク16aとロアリンク16b,16bの間に
はPTO軸24が配設されており、該PTO軸24にはギヤ部25が
連結されている。該ギヤ部25を覆うようにギヤケース26
がフレーム20に固設されている。そして、デッキ27の中
央部が前記フレーム20の上部に固定されており、該デッ
キ27の下部が前記ギヤケース26の一側に固定されてい
る。前記ギヤ部25にはスプロケット29が連結されてお
り、該スプロケット29は、前記デッキ27側方に軸支され
たシャフト30に固定されたスプロケット31に、チェン33
を介して、案内車32によりチェン張力を調整されて、動
力を伝達している。前記シャフト30にはスプロケット36
が固定されており、該スプロケット36とデッキ27の上方
に位置するスプロケット37,40,42との間にチェン43が巻
掛けられている。

そして、第１図に示すように、スプロケット40,42を
固定している軸a,bは、デッキ27上にそれぞれ水平方向
に延びて回転自在に支持されており、下側軸ａには苗供
給部21の駆動ローラとなるローラ39₂及び苗搬送・変位
部19の一方の駆動ローラとなるローラ39が多数固定され
ており、また上側軸ｂには苗搬送・変位部19の他方の駆
動ローラとなるローラ41が各条（６条）毎に固定されて
いる。更に、下側軸ａは上側軸ｂにより上方即ち苗供給
部21側へ所定量突出しており、従って、下側のローラ39
は苗供給部駆動ローラ39₂と同一径からなると共に、上
側のローラ41に対して苗供給部21側に突出し、かつ上側
のローラ41が下側のローラ39より大径であるように構成
されている。更に、前記チェン33及びチェン43並びに各
スプロケット37,40,42を覆うようにチェンカバー44がギ
ヤケース26及びデッキ27に固設されている。

また、デッキ27の上部には別部材からなるデッキ27′
が一体に固定されており、該デッキ27上部にはローラ45
が軸支されており、該ローラ45,45と供給部駆動ローラ3
9₂,39₂にはコンベヤベルト46,46′が巻掛けられてい
る。該コンベヤベルト46,46′は、左右２本のベルトで
横状態にある１条分のイ草苗テープを搬送するコンベヤ
ベルトを構成すると共に、ガイドローラ47,47により案
内されており、該コンベヤベルト46′の上には苗押え体
49が回転自在に配設されている。そして、デッキ27′の
上端には苗台50が固設されており、また、デッキ27′の
中央部位にはサポート51が立設されており、該サポート
51の上端には予備苗台52が固設されている。

また、デッキ27の下側部位には、第６図に詳示するよ
うに、サポート55が立設されており、該サポート55には
垂直ローラ56,57がデッキ27上面に垂直に軸支さてい
る。そして、第１図及び第４図に詳示するように、該一
方の垂直ローラ56と前記下側ローラ39にはコンベヤベル
ト59が巻掛けられており、他方の垂直ローラ57と前記上
側ローラ41には他のコンベヤベルト60が巻掛けられてい
る。これらコンベヤベルト59,60は、デッキ27に沿いつ
つ90度捩れてかつその一方の外側面を互に面した状態で
略々同速度で走行し、これら互に面するコンベヤベルト
59,60により苗を挟持して搬送するように構成されてい
る。

そして、前記サポート55の先端下方にはＵ字形に湾曲
したワイヤからなる苗受61が固設されており、該苗受61
はコンベヤベルト59,60の下流側端に突出して、該ベル
トから排出された苗を支え得る。また、前記ギヤ部25に
はカッター63,63が連結されており、該カッター63,63は
デッキ27の下端面に隣接してサポート55の下方側面に配
置されている。

また、フレーム20の下方には、第３図及び第４図に示
すように、ギヤ部65を覆うようにギヤケース66が配設さ
れており、該ギヤ部65はPTO軸24から動力を伝達されて
いる。該ギヤ部65には植付け爪67が連結されており、該
植付け爪67の一方に苗支持バー68が固定されている。該
植付け爪67はカッター63の下方に位置して所定軌跡にて
回動しかつ爪が開閉して苗を挟持・解放し得る。更に、
前記ギヤケース66の下方にはフロート69が配設されてい
る。

また、第１図、第４図及び第５図に示すように、前記
ローラ41の下方にはコンベヤベルト59を押えるベルトタ
イトバー70が設けられており、更にコンベヤベルト59,6
0の中央下方には、該コンベヤベルト59,60を押える所定
長さのベルトタイトアーム71aがデッキ27に固設された
ブラケット71bに支持されており、更に前記垂直ローラ5
7部位にはベルトタイトプレート73が一端をサポート55
に固着されて設けられている。

なお、第４図に一部示すように、コンベヤベルト46,4
6′,59,60及び植付け爪67が各６本設けられており、苗
を６条植付けられるよう構成されている。

また、第８図に示すように、苗床から所定の大きさに
切出し、根洗いをすると共に、茎部80aを必要な長さに
裁断処理した塊状の苗株から適宜摘み取った新芽80bの
ある植付け苗を、連続して並べ、該植付け苗の根部80c
を両側から粘着テープ等のテープ78により挟持保持さ
せ、該テープ及び該テープに挟持された植付け苗を糸79
でくくって一連状の供給帯状苗（テープ苗）80が形成さ
れる。そして、該供給帯状苗80は手作業で作製されても
良いが、機械的にも製造できるものである。

そして、第６図及び第７図に詳示するように、サポー
ト55には、略々縦状態となっているコンベヤベルト59,6
0の下方に沿って先狭形状になっている２本の下ガイド7
2,72が固設されており、これら下ガイド72は、コンベヤ
ベルト59,60にて搬送される帯状苗80におけるテープ78
部分に当接して、該帯状苗80をカッター63,63の作用中
央側に誘導案内する。

本実施例は以上のような構成よりなるので、牽引車２
の走行に伴い、PTO軸24からの動力は、ギヤ部25へ伝達
される。該ギヤ部25のスプロケット29からシャフト30の
スプロケット31にチェン33を介して動力が伝達される。
更に、該シャフト30のスプロケット36から、スプロケッ
ト37、ローラ39のスプロケット40、及びローラ41のスプ
ロケット42にチェン43を介して動力が伝達される。

そして、苗供給部駆動用ローラ39₂,39₂の回転は、コ
ンベヤベルト46,46′を駆動する。また、苗搬送・変位
部駆動用ローラ39の回転は、コンベヤベルト59を駆動
し、同様に他方の駆動用、ローラ41の回転は、コンベヤ
ベルト60する。

一方、ギヤ部25からの動力は、カッター63,63を一定
のタイミングで作動させる。更に、ギヤ部65からの動力
は、植付け爪67を作動させる。

また、苗供給作業者が、苗押え体49を持上げ、苗台50
から帯状苗80（以降苗と略す）を取り出し、苗の根部80
cをコンベヤベルト46′側にして、コンベヤベルト46,4
6′上に横状態に並べて、苗押え体49を上から押して苗
搬送状態にする。苗押え体49とコンベヤベルト46,46′
の間に挟持された苗は、コンベヤベルト46,46′により
下方向へ搬送される。そして、該苗はコンベヤベルト4
6,46′の末端でコンベヤベルト59,60に挟持された状態
で引渡される。この際、コンベヤベルト59の下側ローラ
39は、コンベヤベルト60の上側ローラ41に対して苗供給
部21側に突出し、かつ上側ローラ41が下側ローラ39より
大径のローラであるので、該苗はスムースに確実にコン
ベヤベルト59,60に引渡される。更に、該苗はコンベヤ
ベルト59,60により挟持・搬送され、90度捩れて縦状態
になり、そして該搬送の下流部分において、下ガイド7
2,72によりカッター63,63の作用中央側に誘導案内され
る。そして、カッター63,63の作用中央側を通過した苗
は、カッター63,63によりテープ78がカットされて一定
の幅に分割される。一定の幅に分割された苗は、その上
部分が苗受61に受けられ、かつその下部分が植付け爪67
の苗支持バー68に当接して、この状態で植付け爪67によ
り挟持されて圃場に植付られる。

また、苗を挟持・搬送するコンベヤベルト59,60が90
度捩れるよう配設されているので、苗を痛めることな
く、苗を確実に横状態から縦状態にすることができる。

また、下側のコンベヤベルト59のローラ39は、上側の
コンベヤベルト60のローラ41に対して苗供給部21側に突
出していると共に、ローラ41がローラ39より大径のロー
ラであるので、苗をスムースかつ確実に送り込むことが
できる。

なお、上述実施例は、帯状苗80（テープ状苗）を用い
ているが、これに限らず、苗を扁平状につぶして一連状
にしたバラ苗を用いることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による苗供給部の斜視図である。また、
第２図は本発明を適用したイ草移植機の全体側面図、第
３図は本発明を適用したイ草移植作業機の側面図、第４
図は本発明による苗供給部、苗搬送・変位部及び植付け
部の部分平面図である。更に、第５図は第１図における
Ｖ−Ｖ線断面図、第６図は第１図におけるVI−VI線矢視
図、第７図は下ガイド及びカッター部分の苗送り台上方
からみた平面図である。そして、第８図は本発明に係る
供給帯状苗の斜視図である。 １……移植機（イ草移植機）、19……苗搬送・変位部、
21……苗供給部、22……植付け部、27……苗送り台（デ
ッキ）、30……駆動軸（シャフト）、39……水平ローラ
（ローラ）、41……水平ローラ（ローラ）、56……垂直
ローラ、57……垂直ローラ、59……コンベヤベルト、60
……コンベヤベルト。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜状に配置された苗送り台を有し、かつ
   該苗送り台の上部に、苗を横状態にして送る苗供給部を
   配置し、また該苗送り台の下方に、苗を縦状態にして植
   付ける植付け部を配置してなる、移植機において、 前記苗供給部に臨んで２個の水平ローラを配置すると共
   に、前記植付け部に臨んで２個の垂直ローラを配置し、
   かつこれら水平ローラ及び垂直ローラの少なくとも一方
   を駆動軸に連結して駆動ローラとなし、 前記１対の水平ローラ及び垂直ローラに亘ってそれぞれ
   コンベヤベルトを巻掛け、これら１対のコンベヤベルト
   が、前記苗送り台に沿いつつ90度捩ってかつその一方の
   外側面を互に面した状態で略々同速度で走行し、これら
   互に面するコンベヤベルトに苗を挟持して、前記苗供給
   部から植付け部に搬送することを特徴とする、 移植機。
2. 【請求項２】前記２個の水平ローラの内、下側に位置す
   るローラが、上側に位置するローラに対して前記苗供給
   部側に突出し、かつ上側に位置するローラが、下側に位
   置するローラより大径のローラで構成してなる、 請求項１記載の移植機。