JP2537396Y2 - 移植機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案は、移植機、特にイ草用移植機に用いて好適で
あり、詳しくは連続して走行するコンベヤベルトから苗
を分割して植付け爪に受け渡す装置に関する。

（ロ）従来の技術 従来、例えば特開平２−46204号公報に示すように、
イ草用移植機は、１株毎に分けたイ草の苗をテープにて
一連に連ね、該テープ苗をロール状にして収納する巻取
りドラムと、該巻取りドラムに横状態にて収納されてい
るテープ苗を縦状態にて変位しながら案内するガイド
と、該縦状態に変位したテープ苗を間歇的に送る送り爪
と、該送り爪にて送られるテープ苗の最先の株部分をカ
ットするカッターと、該カットされた株を植付ける植付
け爪と、からなる。

従って、該イ草用移植機は、まず巻取りドラムに収納
されている苗テープの先端を、ガイドに案内しながら送
り爪に供給する。すると、以降は、送り爪に引張られな
がら、苗テープはガイドに案内されて横状態から縦状態
に変位され、送り爪にて間歇的に送られる先端の株から
カッターにより切断され、１株ずつ植付け爪にて植付け
られていく。

（ハ）考案が解決しようとする課題 従って、上述したイ草用移植機は、間歇駆動する送り
爪を必要としているため、上下カムローラ等からなる複
雑な間歇送り装置を配設する必要があり、構造が複雑に
なっていると共に、苗テープを送り爪に供給するタイミ
ング合せが面倒であり、苗補給毎にタイミングを合せる
面倒で時間のかかる作業を強いられ、植付け効率の低下
を招いている。

更に、間歇駆動する送り爪にてテープ苗を送るため、
テープ苗は、苗を所定株に分け、該株を所定ピッチ毎に
テープにて連結する必要があり、株を分ける作業及びそ
れを所定ピッチ毎にテープで連結する作業等の面倒な作
業を必要とし、テープ苗の作成が極めて面倒で効率の悪
い作業となっていると共に、苗テープの株ピッチが狂う
と、苗テープの送りに支障を来たして植付け不能になっ
てしまう。

また、カッターにて苗テープのテープを切断する際、
送り爪による送りに起因して苗テープはしっかりと押え
られていない状態で切断されるため、切断毎に苗が振ら
ついて、植付け爪への受渡しに支障を来たすことがあ
る。

そこで、本考案は、コンベヤベルトにより連続して苗
を送り、かつ下ガイドで切断部分をしっかりと押えた状
態で苗を切断し、そして切断した苗株を苗受け部材で支
えた植付け爪に受け渡すことにより、上述課題を解消し
た移植機を提供することを目的とするものである。

（ニ）課題を解決するための手段 本考案は、上述事情に鑑みなされたものであって、例
えば第１図、第３図及び第４図を参照して示すと、少な
くとも下端部が苗を縦状態にして搬送するコンベヤベル
ト（59,60）と、該コンベヤベルト（59,60）にて搬送さ
れる苗を所定株毎に分割するカッター（63,63）と、該
分割された株を挟んで植付ける植付け爪（67）と、を備
えてなる移植機（１）において、前記コンベヤベルト
は、搬送始端側と搬送終端側に設けられたローラ（39,5
6）（41,57）間に巻回されて隣接配置された第１と第２
のコンベヤベルト（59,60）を有し、これら第１と第２
のコンベヤベルト（59,60）がその一方の外側面を互い
に面した状態でその間に前記苗が挟持可能に配置される
と共に、前記苗が一連状の帯状苗であり、前記コンベヤ
ベルト（59,60）を所定速度にて連続して駆動する動力
伝達装置（30,43）と、前記コンベヤベルト（59,60）の
下方において該コンベヤベルト（59,60）の下流側に向
って先狭形状となるように配置され、かつ前記カッター
（63,63）にて切断される苗部分の近傍に当接してその
苗部分をカッター（63,63）の作用中央側に誘導案内す
る下ガイド（72,72）と、前記コンベヤベルト（59,60）
の下流端部に配設され、間欠的に作動する前記カッター
（63,63）にて切断された単位植付け苗を受ける苗受け
部材（61）と、を備え、該苗受け部材（61）にて受けら
れた単位植付け苗を前記植付け爪（67）により挟持して
植付ける、ことを特徴とするものである。

（ホ）作用 上述構成に基づき、動力伝達装置（30,43）によりコ
ンベヤベルト（59,60）に動力が伝達され、該コンベヤ
ベルト（59,60）が走行する。該コンベヤベルト（59,6
0）は、その一方の外側面を互いに面した状態でその間
に一連状の帯状苗が挟持されて連続的に搬送され、コン
ベヤベルト（59,60）の下端部では、苗は縦状態にされ
て、下ガイド（72,72）によりカッター（63,63）の作用
中央側に誘導案内される。そして、カッター（63,63）
の作用中央側を通過した苗は、間欠的に作動するカッタ
ー（63,63）にて単位植付け苗としての所定株毎に切断
・分割され、該分割された株は苗受け部材（61）に受け
られ、植付け爪（67）により挟持されて圃場に植付けら
れる。

（ヘ）考案の効果 以上説明したように、本考案によれば、カッター（6
3,63）にて切断・分割された株は、苗受け部材（61）に
受けられるので、多少のタイミングのズレは許容され、
コンベヤベルト（59,60）を連続して走行することがで
き、簡単な動力伝達装置にてコンベヤベルトを駆動すれ
ば足り、構造が極めて簡単となると共に、単に苗をコン
ベヤベルト（59,60）に連続して供給すれば足り、苗補
給を極めて容易にかつ効率よく行うことができる。

また、コンベヤベルト（59,60）にて搬送される苗の
カッター（63,63）にて切断される部分は、下ガイド（7
2,72）により確実にカッター（63,63）の作用中央側に
誘導案内されて押えられるので、間欠的に作動するカッ
ター（63,63）により確実に苗を分割することができ
る。

また、分割された苗は、苗受け部材（61）に受けられ
てから植付け爪（67）に受け渡されるので、コンベヤベ
ルト（59,60）にて連続して搬送するものでありなが
ら、苗を確実に植付け爪（67）に保持させることができ
ると共に、タイミング狂い等による植付け不能を防止し
て、確実な植付け作業が可能となる。

なお、カッコ内の符号は図面を参照するためのもので
あって、何等構成を限定するものではない。

（ト）実施例 以下、図面に沿って、本考案による実施例について説
明する。

イ草移植機１は、第５図に示すように、その前方が乗
用田植機の牽引車２になっており、その後方にイ草移植
作業機３が装着されている。該イ草移植作業機３は前記
牽引車２から動力を伝達されると共に、牽引されるよう
に構成されている。

前記牽引車２は、前輪5,5及び後輪6,6により支持され
ている走行機体７を有しており、該走行機体７にはその
前輪5,5前方上部にエンジン９が搭載されている。該エ
ンジン９の左右側方には補助苗箱入れ10が配置されてい
る。更に、前記走行機体７には、該エンジン９後方に運
転席11、及び苗供給作業者用の座席13が配設されてお
り、該運転席11の左右側方には補助苗箱入れ12が配置さ
れている。

そしてイ草移植作業機３の前方にはヒッチ15が設けら
れており、該ヒッチ15と前記牽引車２は、昇降リンク16
のトップリンク16aとロアリンク16b,16bで昇降可能に連
結されている。該ロアリング16b,16bには苗供給作業者
用ステップ17が固定されている。

また、イ草移植作業機３は、第６図に示すように、フ
レーム20を有しており、その上方が苗供給部21になって
いると共に、その下方が植付け部22になっており、その
間にコンベヤベルトからなる苗搬送・変位部19になって
いる。前記トップリンク16aとロアリンク16b,16bの間に
はPTO軸24が配設されており、該PTO軸24にはギヤ部25が
連結されている。該ギヤ部25を覆うようにギヤケース26
がフレーム20に固設されている。そして、デッキ27の中
央部が前記フレーム20の上部に固定されており、該デッ
キ27の下部が前記ギヤケース26の一側に固定されてい
る。前記ギヤ部25にはスプロケット29が連結されてお
り、該スプロケット29は、前記デッキ27側方に軸支され
たシャフト30に固定されたスプロケット31に、チェン33
を介して、案内車32によりチェン張力を調整されて、動
力を伝達している。前記シャフト30にはスプロケット36
が固定されており、該スプロケット36とデッキ27の上方
に位置するスプロケット37,40,42との間にチェン43が巻
掛けられている。

そして、第１図に示すように、スプロケット40,42を
固定している軸a,bは、デッキ27上にそれぞれ水平方向
に延びて回転自在に支持されており、下側軸ａには苗供
給部21の駆動ローラとなるローラ39₂及び苗搬送・変位
部19の一方の駆動ローラとなるローラ39が多数固定され
ており、また上側軸ｂには苗搬送・変位部19の他方の駆
動ローラとなるローラ41が各条（６条）毎に固定されて
いる。更に、下側軸ａは上側軸ｂより上方即ち苗供給部
21側へ所定量突出しており、従って、下側のローラ39は
苗供給部駆動ローラ39₂と同一径からなると共に、上側
のローラ41に対して苗供給部21側に突出し、かつ上側の
ローラ41が下側のローラ39より大径であるように構成さ
れている。更に、前記チェン33及びチェン43並びに各ス
プロケット37,40,42を覆うようにチェンカバー44がギヤ
ケース26及びデッキ27に固設されている。

また、デッキ27の上部には別部材からなるデッキ27′
が一体に固定されており、該デッキ27上部にはローラ45
が軸支されており、該ローラ45,45と供給部駆動ローラ3
9₂，39₂にはコンベヤベルト46,46′が巻掛けられてい
る。該コンベヤベルト46,46′は、左右２本のベルトで
横状態にある１条分のイ草苗テープを搬送するコンベヤ
ベルトを構成すると共に、ガイドローラ47,47により案
内されており、該コンベヤベルト46′の上には苗押え体
49が回転自在に配設されている。そして、該デッキ27′
の上端には苗台50が固設されており、また、デッキ27′
の中央部位にはサポート51が立設されており、該サポー
ト51の上端には予備苗台52が固設されている。

また、デッキ27の下端部位には、第３図に詳示するよ
うに、サポート55が立設されており、該サポート55には
垂直ローラ56,57がデッキ27上面に垂直に軸支されてい
る。そして、第１図及び第７図に詳示するように、該一
方の垂直ローラ56と前記下側ローラ39にはコンベヤベル
ト59が巻掛けられており、他方の垂直ローラ57と前記上
側ローラ41には他のコンベヤベルト60が巻掛けられてい
る。これらコンベヤベルト59,60は、デッキ27に沿いつ
つ90度捩れてかつその一方の外側面を互に面した状態で
略々同速度で走行し、これら互いに面するコンベヤベル
ト59,60により苗を挟持して搬送するように構成されて
いる。

そして、前記サポート55の先端下方にはＵ字形に湾曲
したワイヤからなる苗受61が固設されており、該苗受61
はコンベヤベルト59,60の下流側端に突出して、該ベル
トから排出された苗を支え得る。また、前記ギヤ部25に
は間欠的に作動可能なカッター63,63が連結されてお
り、該カッタ63,63はデッキ27の下端面に隣接してサポ
ート55の下方側面に配置されている。

また、フレーム20の下方には、第６図及び第７図に示
すように、ギヤ部65を覆うようにギヤケース66が配設さ
れており、該ギヤ部65はPTO軸24から動力を伝達されて
いる。該ギヤ部65には植付け爪67が連結されており、該
植付け爪67の一方に苗支持バー68が固定されている。該
植付け爪67はカッター63の下方に位置して所定軌跡にて
回動しかつ爪が開閉して苗を挟持・解放し得る。更に、
前記ギヤケース66の下方にはフロート69が配設されてい
る。

また、第１図、第２図及び第７図に示すように、前記
ローラ41の下方にはコンベヤベルト59を押えるベルトタ
イトバー70が設けられており、更にコンベヤベルト59,6
0の中央下方には、該コンベヤベルト59,60を押える所定
長さのベルトタイトアーム71aがデッキ27に固設された
ブラケット1bに支持されており、更に前記垂直ローラ57
部位にはベルトタイトプレート73が一端をサポート55に
固着されて設けられている。

なお、第７図に一部示すように、コンベヤベルト46,4
6′,59,60及び植付け爪67が各６本設けられており、苗
を６条植付けられるよう構成されている。

また、第８図に示すように、苗床から所定の大きさに
切出し、根洗いをすると共に、茎部80aを必要な長さに
裁断処理した塊状の苗株から適宜摘み取った新芽80bの
ある植付け苗を、連続して並べ、該植付け苗の根部80c
を両側から粘着テープ等のテープ78により挟持保持さ
せ、該テープ及び該テープに挟持された植付け苗を糸79
でくくって一連状の供給帯状苗（テープ苗）80が形成さ
れる。そして、該供給帯状苗80は手作業で作製されても
良いが、機械的にも製造できるものである。

そして、第３図及び第４図に詳示するように、サポー
ト55には、略々縦状態となっているコンベヤベルト59,6
0の下方に沿って先狭形状になっている２本の下ガイド7
2,72が固設されており、これら下ガイド72は、コンベヤ
ベルト59,60にて搬送される帯状苗80におけるテープ78
部分に当接して、該帯状苗80をカッター63,63の作用中
央側に誘導案内する。

本実施例は以上のような構成よりなるので、牽引車２
の走行に伴い、PTO軸24からの動力は、ギヤ部25へ伝達
される。該ギヤ部25のスプロケット29からシャフト30の
スプロケット31にチェン33を介して動力が伝達される。
更に、該シャフト30のスプロケット36から、スプロケッ
ト37、ローラ39のスプロケット40、及びローラ41のスプ
ロケット42にチェン43を介して動力が伝達される。

そして、苗供給部駆動用ローラ39₂，39₂の回転は、コ
ンベヤベルト46,46′を駆動する。また、苗搬送・変位
部駆動用ローラ39の回転は、コンベヤベルト59を駆動
し、同様に他方の駆動用、ローラ41の回転は、コンベヤ
ベルト60を駆動する。

一方、ギヤ部25からの動力は、カッター63,63を一定
のタイミングで作動させる。更に、ギヤ部65からの動力
は、植付け爪67を作動させる。

また、苗供給作業者が、苗押え体49を持上げ、苗台50
から帯状苗80（以降苗と略す）を取り出し、苗の根部80
cをコンベヤベルト46′側にして、コンベヤベルト46,4
6′上に横状態に並べて、苗押え体49を上から押して苗
搬送状態にする。苗押え体49とコンベヤベルト46,46′
の間に挟持された苗は、コンベヤベルト46,46′により
下方向へ搬送される。そして、該苗はコンベヤベルト4
6,46′の末端でコンベヤベルト59,60に挟持された状態
で引渡される。この際、コンベヤベルト59の下側ローラ
39は、コンベヤベルト60の上側ローラ41に対して苗供給
部21側に突出し、かつ上側ローラ41が下側ローラ39より
大径のローラであるので、該苗はスムースに確実にコン
ベヤベルト59,60に引渡される。更に、該苗はコンベヤ
ベルト59,60にり挟持・搬送され、90度捩れて縦状態に
なり、そして該搬送の下流部分において、下ガイド72,7
2によりカッター63,63の作用中央側に誘導案内される。
そして、カッター63,63の作用中央側を通過した苗は、
間欠的に作動するカッター63,63によりテープ78がカッ
トされて一定の幅に分割される。一定の幅に分割された
苗は単位植付け苗となって、その上部分が苗受61に受け
られ、かつその下部分が植付け爪67の苗支持バー68に当
接して、この状態で植付け爪67により挟持されて圃場に
植付けられる。

また、苗がコンベヤベルト59,60により連続的に挟持
・搬送されて、下ガイド72,72により確実にカッター63,
63の作用中央側に誘導案内されるので、カッター63,63
により確実にテープ78をカットし苗を分割することがで
きる。

また、分割された苗は、苗受61に受けられてから植付
け爪67に受け渡されるので、コンベヤベルト59,60を連
続して駆動できると共に、苗を確実に植付け爪67に保持
させることができる。

なお、上述実施例は、帯状苗80（テープ状苗）を用い
ているが、これに限らず、苗を扁平状につぶして一連状
にしたバラ苗を用いることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による苗供給部の斜視図である。更に、
第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断面図、第３図は第１
図におけるＢ−Ｂ線矢視図、第４図は下ガイド及びカッ
ター部分のデッキ上方からみた平面図である。そして、
第５図は本考案を適用したイ草移植機の全体側面図、第
６図は本考案を適用したイ草移植作業機の側面図、第７
図は本考案による苗供給部苗搬送・変位部及び植付け部
の部分平面図、第８図は本考案に係る供給帯状苗の斜視
図である。 １…移植機（イ草移植機）、30…動力伝達装置（シャフ
ト）、43…動力伝達装置（チェン）、59…コンベヤベル
ト、60…コンベヤベルト、61…苗受け部材（苗受）、63
…カッター、67…植付け爪、72…下ガイド。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも下端部が苗を縦状態にして搬送
   するコンベヤベルトと、該コンベヤベルトにて搬送され
   る苗を所定株毎に分割するカッターと、該分割された株
   を挟んで値付ける植付け爪と、を備えてなる移植機にお
   いて、 前記コンベヤベルトは、搬送始端側と搬送終端側に設け
   られたローラ間に巻回されて隣接配置された第１と第２
   のコンベヤベルトを有し、これら第１と第２のコンベヤ
   ベルトがその一方の外側面を互いに面した状態でその間
   に前記苗が挟持可能に配置されると共に、前記苗が一連
   状の帯状苗であり、 前記コンベヤベルトを所定速度にて連続して駆動する動
   力伝達装置と、 前記コンベヤベルトの下方において該コンベヤベルトの
   下流側に向って先狭形状となるように配置され、かつ前
   記カッターにて切断される苗部分の近傍に当接してその
   苗部分をカッターの作用中央側に誘導案内する下ガイド
   と、 前記コンベヤベルトの下流端部に配設され、間欠的に作
   動する前記カッターにて切断された単位植付け苗を受け
   る苗受け部材と、を備え、 該苗受け部材にて受けられた単位植付け苗を前記植付け
   爪により挟持して植付ける、 ことを特徴とする移植機。