JP2546758Y2 - 移植機における苗切断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は移植機に係り、特にイ草
用移植機に用いて好適であり、詳しくは苗送り台上を搬
送される帯状テープ苗の苗切断装置に関する。

【０００２】

【関連する技術】本出願人は、イ草の苗をテープに連
ね、このテープに糸掛けしたテープ苗をロール状のドラ
ムに巻取り、このドラムから傾斜状に配置された苗送り
台上を横姿勢で搬送し、途中から縦姿勢で搬送して、苗
送り台の下端部に設けられた苗切断装置によりテープ苗
の先端部分を切断し、切断されたテープ苗を植付装置の
ビークにより把持して圃場に植付けるイ草用移植機を提
案した（特願平２−２１３３０７号；未公開）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上述したイ草
用移植機における苗切断装置は、はさみ様に苗の両側か
らカッタ刃を移動して切断するだけなので、苗及びテー
プが切断し得ても、場合によっては糸が切れないことが
あり、植付けた苗が糸で連結され、移植機の走行により
糸を引張って植付けた苗を連続して抜いてしまう事態を
生じた。

【０００４】また、カッタ刃の前側と後側にそれぞれ１
対の挟持部材を設けることも考えられるが、この場合、
１対の前挟持部材のテープ苗挟持間隙を小さくすると、
切断して切り離された苗の前方が広く開いて前記植付杆
により掴むのが難しくなり、これにより植付姿勢が乱れ
ると共に、植付け深さが不均一になるという問題があっ
た。

【０００５】また、前記挟持部材の強度を保持するため
に前挟持部材の肉厚を厚くすると、切り離された苗の掴
み代が少く、掴まない苗の部分がバラケると共に、植付
け本数が不均一になるという問題があった。

【０００６】そこで、本考案は、切断装置におけるカッ
タ刃の前挟持部材の挟持を緩くすることにより、植付装
置のビークによる掴みを確実にし、ビークによる植付け
姿勢、深さ、本数を均一に切断する移植機における切断
装置を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、上述の事情に
鑑みてなされたものであって、例えば図１、図４及び図
１０を参照して示すと、傾斜状に配置された苗送り台
（２１）と、該苗送り台（２１）の下端部に、縦状態に
して搬送された帯状のテープ苗（３６）を切断するカッ
タ刃（７９）を有する苗切断装置（３９）と、切断され
た該テープ苗（３６）を掴んで圃場に植付けるビーク
（２０ａ）を有する植付装置（４０）と、を備えた移植
機（１）において、前記苗切断装置（３９）が、前記カ
ッタ刃（７９）の後側に近接した１対の後挟持部材（８
２ａ，８７ｂ）と、前記カッタ刃（７９）の前側に近接
した前挟持部材（８２ａ，８７ｂ）とを有し、かつこれ
等前後挟持部材がテープ苗（３６）を挟持したとき前記
後挟持部材（８２ａ，８７ｂ）の隙間が狭く、前記前挟
持部材（８２ｂ，８７ｂ）の隙間が広くなるように構成
したことを特徴とする。

【０００８】また、前記前挟持部材（８２ｂ，８７ｂ）
の肉厚が薄く形成されると共に、前記ビーク（２０ａ）
が前記前挟持部材（８２ｂ，８７ｂ）に近接するように
配置されてなることを特徴とする。

【０００９】

【作用】以上の構成に基づき、傾斜状に配置された苗送
り台（２１）に沿って、テープ苗（３６）を苗送り台
（２１）の下部において縦状態に搬送し、苗送り台（２
１）の下端部において苗切断装置（３９）のカッタ刃
（７９）によりテープ苗（３６）を切断し、この切断さ
れたテープ苗（３６）を植付装置（４０）のビーク（２
０ａ）により掴んで圃場に植付ける。前記苗切断装置
（３９）のカッタ刃（７９）による切断に際しては、テ
ープ苗（３６）をカッタ刃（７９）に近接した後側では
後挟持部材（８２ａ，８７ａ）により強く挟持し、カッ
タ刃（７９）に近接した前側では前挟持部材（８２ｂ，
８７ｂ）により緩く挟持する。

【００１０】また、前挟持部材（８２ｂ，８７ｂ）の肉
厚が薄く、苗切断装置（３９）のビーク（２０ａ）が前
挟持部材（８２ｂ，８７ｂ）に近接して、切断されたテ
ープ苗（３６）を掴む。

【００１１】

【考案の効果】以上説明したように、苗切断装置（３
９）によりテープ苗（３６）を切断するときには、カッ
タ刃（７９）に近接した後挟持部材（８２ａ，８７ａ）
により強くテープ苗（３６）を強く挟持しているので、
テープ苗（３６）を確実に切断できる。また、カッタ刃
（７９）に近接した前挟持部材（８２ａ，８７ａ）によ
り切断されたテープ苗（３６）の端縁を緩く挟持してい
るので、テープ苗（３６）の一端縁が絞られ、他端縁に
向かって拡開することを防止できるため、ビーク（２０
ａ）による掴みを確実にできると共に、植付装置（４
０）による苗（３６）植付け姿勢深さを均一にできる。

【００１２】また、前挟持部材（８２ａ，８７ａ）の肉
厚が薄く、苗切断装置（３９）のビーク（２０ａ）が前
挟持部材（８２ａ，８７ａ）に近接してテープ苗（３
６）を掴むと、テープ苗（３６）をビーク（２０ａ）に
より掴み代を極めて多くできるため、苗（３６）のバラ
ケや乱れを防止できると共に、苗の田面への落下を防止
できて、植付け本数を均一化できる。

【００１３】なお、前記カッコ内の符号は例示であっ
て、何等構成を限定するものではない。

【００１４】

【実施例】以下、図面に沿って、本考案による実施例に
ついて説明する。

【００１５】イ草移植機１は、図１０に示すように、乗
用田植機の走行装置２に装着されて用いられる。走行装
置２は、前輪３及び後輪５により支持されており、その
前方にエンジンを覆うボンネット６が配置されていると
共に該ボンネット６の両側に補助苗台７が設置されてお
り、またその後方にステアリング９及びシート１０から
なる運転席が配設されている。更に、該走行装置２の後
方には、昇降リンク装置１１が延設されていると共にＰ
ＴＯ軸１２が延設されており、該リンク装置１１の後端
にヒッチ１３を介してイ草移植機１が装着されている。
従って、イ草移植機１は、走行装置２に装着されて移動
し得ると共に、リンク装置１１により昇降され、かつＰ
ＴＯ軸１２を介して回転力が伝達されている。

【００１６】イ草移植機１は、図８に詳示するように、
ヒッチ１３にセンターピン１５を介して左右方向揺動自
在にかつスプリング１６により水平位置になるように付
勢されて支持されている本体フレーム１７を有してい
る。更に、該本体フレーム１７は一体に複数の伝動ケー
ス１９を備えており、これら伝動ケース１９の先端には
それぞれ植付け杆２０が回動自在に支持され、かつ該植
付け杆はケース１９内の動力伝達装置を介して駆動され
る。また、本体フレーム１７の上方には横方向に長くか
つ縦方向に傾斜している苗送り台２１が固定されてお
り、また該本体フレーム１７の下方には複数個のフロー
ト２２が懸架されている。

【００１７】更に、本体フレーム１７を構成する伝動ケ
ース内にはメイン駆動軸２３が回転自在に支持されてお
り、かつ該駆動軸２３は前記ＰＴＯ軸１２に連動してい
ると共に、横方向に延びて苗送り台２１の側方に突出し
ている。一方、該苗送り台２１の一側方には伝動箱２５
が配置されており、該伝動箱２５には前記メイン駆動軸
２３の回転を後述する各ローラ駆動軸に伝達する所定動
力伝達装置が収納されている。

【００１８】また、苗送り台２１の上部には苗保持箱２
６が懸架されており、また該苗送り台２１の上方に苗供
給部２７を備えている。該苗供給部２７は、図５に詳示
するように、苗送り台２１の仕切り板２１ａ，２１ａに
て区画された１条分の苗に対して、水平方向に並列され
た２個のベルト２９，２９を有している。これらベルト
２９はそれぞれ水平方向に延びている駆動ローラ軸３０
及び従動ローラ軸３１に固定されたローラ３２，３３に
巻掛けられており、これらローラ軸３０，３１は仕切り
板２１ａを貫通して各条の苗供給部２７に延びており、
かつ駆動ローラ軸３０は前記伝動箱２５内の伝動装置に
連結している。また、ベルト２９の下側には、図５及び
図８に示すように、テンションローラ３４が当接してお
り、ベルト２９に適宜張力を付与している。また、従動
ローラ軸３１の前記ローラ３３，３３の間には放射状に
突出する送り爪を有する送りローラ３５が固定されてお
り、該送りローラ３５は後述するテープ苗３６に送り始
動力を付与する。更に、各ベルト２９，２９の上方に当
接するように付勢されてガイド棒３７，３７が配置され
ており、該ガイド棒３７は、ベルト２９との間にテープ
苗を挟持すると共に、該ベルト２９から離れた開放位置
に切換え保持し得るようになっている。

【００１９】一方、苗送り台２１の下方には、図８に詳
示するように、各条毎にそれぞれカッター３９が配設さ
れており、これらカッター３９は前述したメイン駆動軸
２３から分岐して動力伝達され、前記植付け杆２０と同
期して駆動される。該植付け杆２０は、図４及び図５に
詳示するように、各条に対応する苗送り台２１の下方に
配置され、左右方向に開閉する１対のビーク２０ａ，２
０ａ及び該ビーク２０ａ，２０ａの一方に固定されかつ
横方向に延びている保持棒２０ｃを有しており、前記カ
ッター３９で切断されたイ草苗を保持棒２０ｃで保持し
つつ植付爪２０ｂを介してビーク２０ａで挟持し、そし
て該植付け杆２０の回動に伴い、苗を縦状態で植付け、
従って植付け部４０を構成する。

【００２０】そして、該植付け部４０と前記苗供給部２
７との間における前記苗送り台２１上に、苗搬送装置４
１が配設されている。苗搬送装置４１は、図５ないし図
７に示するように、その上方に１対の水平ローラ４２，
４３を有しており、かつその下方に１対の垂直ローラ４
５，４６を有しており、これら水平ローラ４２，４３及
び垂直ローラ４５，４６にそれぞれコンベヤベルト４
７，４９を９０度捩りつつ巻掛けてなる。そして、１対
の水平ローラ４２，４３は前後方向にずれた状態で上下
に設けられており、下側ローラ４２は前記苗供給部２７
の駆動ローラ軸３０に、前記１対のローラ３２，３２の
間にて固定されている。また、上側ローラ４３は仕切り
板２１ａを貫通して延びている駆動ローラ軸４８に固定
されており、かつ該駆動ローラ軸４８は前記伝動箱２５
の伝動装置に連動している。従って、上側駆動ローラ４
３は、下側駆動ローラ４２より僅かに後流側に配置さ
れ、かつその直径が下側ローラ４２のそれよりも大きく
設定されている。

【００２１】そして、図６に詳示するように、上側水平
ローラ４３の近傍にはコンベヤベルト４９の上側面から
当接するようにテンションローラ５０が配設されてお
り、また下側水平ローラ４２の近傍にはコンベヤベルト
４７の下側面から当接するようにテンションローラ５１
が配設されている。更に、下側水平ローラ４２の近傍に
おける下側コンベヤベルト４７の巻掛け内方には押圧ロ
ーラ５２が配設されており、該押圧ローラ５２は、下側
コンベヤベルト４７の背面側から該ベルト４７が上側コ
ンベヤベルト４９に向かうように押圧して、押圧部材を
構成している。そして、これらテンションローラ５０，
５１及び押圧ローラ５２は、図５に示すように、それぞ
れシャフト５３，５５，５６に遊動自在に支持されてお
り、かつこれらシャフトは、苗送り台２１の仕切り板２
１ａに形成された長孔ａ，ｂ（図８参照）に案内されて
いると共に、該長孔を貫通して各条に延びており、かつ
その両端にてボルト及びナットにて固定されるか、また
はスプリングが張設されて、所定テンション力及び押圧
力を付与している。

【００２２】一方、苗送り台２１の下端には図７に示す
ように、１対のブラケット５７，５９が左右方向に並ん
で立設されており、これらブラケット５７，５９には、
苗送り台２１に対して垂直方向に従動ローラ軸６０，６
１が支持されており、これら従動ローラ６０，６１の軸
に前記垂直ローラ４５，４６が回転自在に支持されてい
る。更に、前記ブラケット５７，５９における従動ロー
ラ軸の僅か上流側にはそれぞれガイドローラ６２を支持
するガイドローラ軸６３，６５が設けられている。ま
た、従動ローラ軸６０，６１のブラケットの上方には可
撓体からなり、突起を有する送出しローラ６６（図５参
照）が固定されており、またブラケット５７，５９には
３角形状に折曲された苗受６８が下方に突出するように
固定されている。

【００２３】そして、右側ガイドローラ軸６５にはアー
ム６７がブラケットの上下面にてナット等により固定さ
れており、該アーム６７の先端にはローラ体６９が回転
自在に支持されている。該ローラ体６９は、上側（右
側）コンベヤベルト４９の巻掛け内方に位置して、該ベ
ルト４９の背面に当接し、該ベルト４９の一方の外側面
が下側（左側）コンベヤベルト４７に向かうように押圧
している。なお、前記アーム６７は、右側ガイドローラ
軸６５に限らず、その近傍において、ブラケット５９に
ボルト等により直接固定してもよい。また、下側コンベ
ヤベルト４７の巻掛け内方における捩れ部分には、該捩
れに沿って案内するようにガイド板７０（図５及び図８
参照）が設けられており、該ガイド板７０は該ベルト４
７の背面に当接して、該ベルト４７の外面を他方のベル
トの外面に対面するように案内する。

【００２４】従って、苗搬送装置４１のコンベヤベルト
４７，４９は、その上部分では押圧ローラ５２が両ベル
トの挟持力を付与し、かつその中間部分ではガイド板７
０が両ベルトを接触状態で案内し、そしてその下部分で
はローラ体６９が両ベルトの挟持力を付与して、これら
により互に対面する部分がテープ苗を確実に挟持した状
態で、該苗を搬送するようになっている。

【００２５】なお、テープ苗３６は、図９に示すよう
に、苗床から所定の大きさに切出し、根洗いすると共
に、苗部３６ａを必要な長さに裁断処理した塊状の苗株
を、適宜摘み取った新芽３６ｂのある状態で押圧して平
板化し、該平板化した苗を連続して並べ、その根部３６
ｃをその両側から粘着テープ７１で挟持して、更にその
ものを糸７２でくくって一連状にすることにより、形成
される。

【００２６】次に、前述したカッタ３９は図１乃至図４
に示すように、前後挟持部材８２ａ，８２ｂ，８７ａ，
８７ｂとカッタ刃７９とより構成されている。前記苗送
り台２１の下端部に互いに平行な駆動軸７５，７６が突
設されており、駆動軸７５に平板状のアーム７７の基端
部が固定されている。そして、図１において、アーム７
７の先端部の手前側に、カッタ刃７９がほぼアーム７７
に直交するように内側を向いて、皿ボルト８０等により
着脱可能に取付けられており、アーム７７中間部の向う
側にはピン８１によりＬ字状のレバー８２がその屈曲部
を枢支さられている。そして、レバー８２の先端部は中
間において曲成され、この曲成された平行二又状の向う
側部は後挟持部材８２ａを形成し、手前側部は前挟持部
材８２ｂを形成しており、これ等前後挟持部材８２ｂ，
８２ａによりカッタ刃７９は小さい間隙を有して挟まれ
ている。そして、図２に示すように、後挟持部材８２ａ
右端面は前挟持部材８２ｂの右端面よりも右側に位置す
るように形成されると共に、後挟持部材８２ａの右端部
は外側に設けた小さい段状の切欠８３により薄められて
おり、前挟持部材８２ｂの右端部は外側に設けられた大
きい段状の切欠８５により薄められている。そして、レ
バー８２の基端に係合する引張ばね８６により、レバー
８２、従って、前後挟持部材８２ｂ，８２ａは時計回り
方向に付勢されており、ストッパ７７ａに当接するまで
回動できるようになっている。

【００２７】また、レバー８２に対向して、駆動軸７６
に基端が固定されたレバー８７がその中間部から前記レ
バー８２と同様に平行二又状に形成されており、その向
う側部側が後挟持部材８７ａに、前側部が前挟持部材８
７ｂに形成され、間隙片８９を介して、前記カッタ刃７
９を小さい間隙を有して挟むように皿ボルト９０等によ
り前後挟持部材８７ｂ，８７ａが固定されており、後挟
持部材８７ａの左端面は前挟持部材８７ｂの左端面より
も左側に位置するようになっている。そして、後挟持部
材８７ａは外側に設けられた小さい段状の切欠９１によ
り左端部が薄められており、前挟持部材８７ｂは外側に
設けられた大きい段状の切欠９２により、左端部が薄め
られている。

【００２８】そして、後挟持部材８２ａ，８７ａが一対
となり、テープ苗３６を強く挟持し、前挟持部材８２
ｂ，８７ｂが一対となって、切断されたテープ苗３６を
緩く挟持するように前挟持部材８２ｂ，８７ｂの対向側
が、後挟持部材８２ａ，８７ａに比して短かくなってい
る。また、大きい切欠８５と９２との段端部の間に植付
け部４０のビーク２０ａ，２０ａが近接して切断された
テープ苗３６を掴むようになっている。

【００２９】本実施例は、以上のような構成からなるの
で、走行装置２のエンジンによる回転は、ＰＴＯ軸１
２、メイン駆動軸２３及び伝動箱２５内の伝動装置を介
して各駆動ローラ軸３０，４８に伝達され、苗供給部２
７のベルト２９，２９、並びに苗搬送部４１のコンベヤ
ベルト４７，４９が駆動される。また、メイン駆動軸２
３の回転は、カッター３９に伝達されると共に、植付け
杆２０に伝達され、これらを同期して駆動する。この状
態で、オペレータがテープ苗３６を苗保持箱２６から取
出してその先端を苗供給部２７に供給すると、テープ苗
３６は、ベルト２９，２９上に載置されると共に上方を
ガイド棒３７により押えられて、横状態のまま苗搬送装
置４１に送り込まれる。そして、苗供給部２７から苗搬
送装置４１への受渡しに際して、その両端部分を押えら
れて送り込まれたテープ苗３６は、その中央部分にて、
まず苗供給部２７のローラ３２と同径からなる下側駆動
ローラ４２にて駆動される下側コンベヤベルト４７に乗
り移り、そして直ちに大径駆動ローラ４３にて駆動され
る上側コンベヤベルト４９との間に挟み込まれる。

【００３０】更に、該苗搬送装置４１に送り込まれたテ
ープ苗３６は、テンションローラ５０及び５１により所
定張力が付与されかつ同速度で走行している１対のコン
ベヤベルト４７，４９の対接面に挟持されて搬送され
る。この際、水平ローラ４２，４３近傍の苗繰入れ部分
は、ベルト４７，４９の捻りの影響を受けて隙間を生じ
やすいが、押圧ローラ５２が下側ベルト４７の背面から
押上げるように作用しているので、該苗繰入れ部分も、
両コンベヤベルト４７，４９は確実にテープ苗３６の中
央部分を挟持して、該苗が長手方向にずれることなく確
実に搬送する。

【００３１】そして、両コンベヤベルト４７，４９は、
ガイド板７０に案内されながら徐々に捩れ、テープ苗を
横状態から縦状態に徐々に変位しつつ搬送する。この
際、下側コンベヤベルト４７がガイド板７０により上側
コンベヤベルト４９に接触するように案内され、かつテ
ンションローラ５０，５１により両ベルト４７，４９に
所定張力が付与されてることと相俟って、テープ苗は、
両ベルト４７，４９に確実に挟持されて、長手方向にず
れることなく搬送される。

【００３２】更に、両ベルト４７，４９は、テープ苗を
縦状態に変位しつつ、垂直ローラ４５，４６近傍の苗繰
出し部の近くに至る。この近傍において、アーム６７先
端に設けられたローラ体６９が、上側コンベヤベルト４
９をその背面から他方のベルト４７の対接面に向けて押
圧しており、テープ苗３６は確実に両ベルト４７，４９
に挟持されて、下方向にずれることなく搬送される。そ
して、テープ苗３６は、ガイドローラ６３に案内される
コンベヤベルト４７，４９に挟持されて垂直ローラ４
５，４６部分（繰出し部）に至り、縦状態にてカッター
３９により所定幅に切断される。この際、駆動軸７５，
７６が所定のタイミングで揺動して、アーム７７、レバ
ー８７を図１において、実線表示位置から２点鎖線表示
位置へ移動させる。一方、レバー８２は、アーム７７と
そのストッパ７７ａによりテープ苗３６の位置よりも左
側に離れてほぼ直立している状態から、アーム７７の時
計回り方向の回動につれて、右方向に移動し、レバー８
２の先端部の前後挟持部材８２ｂ，８２ａはテープ苗３
６を、引張ばね８６の付勢力により、レバー８７の前後
挟持部材８７ｂ，８７ａに押圧し、前後挟持部材８２
ｂ，８２ａと８７ｂ，８７ａとによりテープ苗３６を挟
持すると同時に、カッタ刃７９によりテープ苗３６を切
断する。また、この切断とタイミングを合わせて、図４
に示すように、植付部４０のビーク２０ａ，２０ａが前
挟持部材８２ｂ，８７ｂの前側に近接すると共にビーク
２０ａ，２０ａにより切断されたテープ苗３６を掴む。

【００３３】その後、アーム７７、レバー８７は駆動軸
７５、７６の揺動と共に図１の実線表示位置へ復帰する
と共に、ビーク２０ａ，２０ａは切断されたテープ苗３
６を掴んだまま、下降して圃場にテープ苗３６を植付け
る。この際、苗部３６ａを苗受６８に保持されると共
に、根部３６ｃに近い方を保持棒２０ｃにて支え、この
状態で植付部４０のビーク２０ａが該苗を掴んで、その
植付け杆２０の回転により該苗は圃場に植付けられる。
これにより、走行装置２の走行による移植機１の移動と
相俟って、イ草苗は所定株毎に連続して植付けられる。

【００３４】前記切断の際には、後挟持部材８２ｂ，８
７ｂの間隙は狭く、前挟持部材８２ａ，８７ｂの間隙は
広いので、引張ばね８６の付勢力により所定の挟持力が
発揮されて、テープ７１、糸７２は確実に切断される
が、前挟持部材８２ａ，８７ａの間隙は広く、切断され
たテープ苗３６の切断端を過度に挟持することがないの
で、テープ苗３６が先拡がり状にならず、ビーク２０
ａ，２０ａによる掴み動作は容易かつ確実に行われる。

【００３５】また、前挟持部材８２ｂ，８７ｂの肉厚が
薄く、ビーク２０ａ，２０ｂが前挟持部材８２ｂ，８７
ｂに近接して切断されたテープ苗３６を掴むので、テー
プ苗３６の掴み代を極大にできる。

【００３６】なお、上述実施例は、切断装置を、揺動す
るカッタ刃から構成したが、これを往復動するカッタ刃
にて構成してもよいことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すカッタの正面図。

【図２】その横断平面図。

【図３】その側面図。

【図４】そのカッタと植付部との関係を示す側面図。

【図５】その苗搬送装置を示す斜視図。

【図６】その苗繰入れ部分を示す側面図。

【図７】その苗繰出し部分を示す平面図。

【図８】その苗搬送装置を適用したイ草移植装置を示す
側面図。

【図９】そのテープ苗を示す斜視図。

【図１０】そのイ草移植装置を走行車輌に装着した状態
を示す全体側面図。

【符号の説明】

１ 移植機 ２０ａ ビーク ２１ 苗送り台 ３６ テープ苗 ３９ 苗切断装置（カッタ） ４０ 植付装置（植付部） ７９ カッタ刃 ８２ａ，８７ａ 後挟持部材 ８２ｂ，８７ｂ 前挟持部材

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 傾斜状に配置された苗送り台と、該苗送
   り台の下端部に、縦状態にして搬送された帯状のテープ
   苗を切断するカッタ刃を有する苗切断装置と、切断され
   た該テープ苗を掴んで圃場に植付けるビークを有する植
   付装置と、を備えた移植機において、前記苗切断装置
   が、前記カッタ刃の後側に近接した１対の後挟持部材
   と、前記カッタ刃の前側に近接した前挟持部材とを有
   し、かつこれ等前後挟持部材がテープ苗を挟持したとき
   前記後挟持部材の隙間が狭く、前記前挟持部材の隙間が
   広くなるように構成したことを特徴とする移植機におけ
   る苗切断装置。
2. 【請求項２】 前記前挟持部材の肉厚が薄く形成される
   と共に、前記ビークが前記前挟持部材に近接するように
   配置されてなる請求項１記載の移植機における苗切断装
   置。