JP2552080Y2 - 移植機の苗押え搬送ベルト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、走行機体に装着され、
帯状苗を搬送機構により搬送しながら、順次植付装置側
に搬送し、植付爪により圃場面に植付ける移植機の苗押
え搬送ベルト装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】本考案者は、イ草等の植物苗根部を紙製
接着テープで両側からすだれ状に挟着すると共にテープ
部分を外側から糸でつる巻状に巻付けて形成した帯状苗
を各条の搬送終端部で所定植付本数毎に切断した後、植
付運動をする植付爪で保持して圃場面に植付ける移植部
を有する移植機を提案している（特願平3-180340号）。

【０００３】このような移植機は走行機体の後部に移植
部を昇降自在に装着しており、機体の中央には走行機体
の進行方向に向けた運転座席が設けられ、運転者はそこ
に座乗して走行機体の操縦をしながら所定の方向に圃場
面を走行している。この移植部の上部には苗箱が苗箱支
持フレームに支持されており、苗箱内の帯状苗を倒伏状
態で、搬送方向に直交して保持しながら植付けのため下
方に搬送する第１搬送機構と、下方に搬送された帯状苗
を植付爪に捕捉し易いように立姿状態に変姿して苗繰り
出し装置側に継送する第２搬送機構とが設けられ、さら
に苗繰出し装置の繰出し終端部に設けた植付ガイドで植
付杆の植付爪に保持された苗を案内しながら圃場面に植
付けるようになっており、一般にこれら移植機は複数条
植えとなっている。

【０００４】

【考案の解決しようとする課題】上記の第１搬送機構に
は複数条立設した仕切板の間の下部に苗搬送ベルトを設
け、その苗搬送ベルトの搬送面に支持されて搬送される
帯状苗を、倒伏状態で乱れがないように押えながら挟持
搬送するため、その苗搬送ベルトの搬送面と帯状苗の厚
みより若干狭幅の所定の間隙を保持して苗押え搬送ベル
トが設けられており、この苗押え搬送ベルトはその苗搬
送終端側の駆動軸を支点として上下に起伏自在となって
いる。

【０００５】一方、上記の苗押え搬送ベルトは苗搬送ベ
ルト上に直交して載置された不定形の帯状苗を押えなが
ら移動するが、この帯状苗が例えばイ草苗の場合には根
部側が厚くて固く茎身側が薄くなりがちで全体的に均一
な力で押圧されることが少ないため、ベルトが幅方向に
ずれたり、外れるという問題があり、このようにベルト
の横ずれが発生すると帯状苗が正しく搬送されず、その
植付が円滑に行なわれないという恐れがあった。また、
帯状苗はその厚みが約15〜25ｍｍと一定でない場合が多
く、従って、帯状苗の厚みが厚過ぎる場合には苗押え搬
送ベルトで帯状苗を傷めてしまう恐れがあった。

【０００６】上記のごとく第１搬送機構においては、苗
押え搬送ベルトの進行方向に横向きで倒伏状態の帯状苗
を、その各厚みに応じて適宜に押圧変化させて帯状苗を
適宜一定厚みに押しつぶしながら正しい方向に搬送する
ことのできる苗押え搬送ベルトを設けることが円滑な帯
状苗の植付けのために必要である。本考案は、前記のご
とく、苗搬送ベルト上の倒伏状態の帯状苗をその厚みに
応じて適宜な間隙で押圧し帯状苗を一定厚みに押しつぶ
しながら正しい方向に搬送させることができ、ベルトず
れまたはベルト外れのない苗押え搬送ベルトを提供する
ことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案に係る移植機の苗
押え搬送ベルト装置は、帯状苗を苗載台の上面に沿わせ
て搬送させ、この苗載台の下端部に設けられている切断
装置によって所定の本数に切断して植付杆の先端に設け
られた植付爪によって圃場に植付けるように構成した移
植機において、下方に設けた苗搬送ベルトと、このベル
トの上方に帯状苗の厚さより若干狭くした所定分の間隔
をあけて設けた苗押え搬送ベルトとによって帯状苗を搬
送方向に横向きに挟持して搬送するようにしており、更
にこの苗押え搬送ベルトの裏面の長手方向に突条部を設
け、この突条部の両側に弾性材料からなる押え板を、苗
押え搬送ベルトを支持するブラケットに固定して構成さ
れている。

【０００８】

【作 用】苗押え搬送ベルトはその裏面の長手方向に突
条部が設けられており、この突条部の両側に配置された
押え板で案内するので、搬送ベルトの横ずれやこれに伴
う外れがなく、正しい方向に帯状苗を挟持しながら搬送
することができ、更に押え板が弾性を有しているので帯
状苗を一定厚みに押しつぶしながら、かつ該帯状苗の厚
みに応じて適宜にその押圧を変化することができる。

【０００９】

【実 施 例】以下、図面を参照して本考案の実施例を
説明する。図１は本考案に係る苗押え搬送ベルト装置を
設けた移植機の実施例を示す全体側面図、図２は図１の
移植機の拡大側面図、図３は図２の帯状苗の搬送機構を
背面から見た斜視図、そして図４は図３の苗押え搬送ベ
ルト内の押え板を示す要部拡大の斜視図、図５は図４の
押え板の他の実施例における側面図である。

【００１０】まず、図１及び図２を参照して、１は駆動
輪と操向輪とを有する走行機体であり、その後部には多
数条植えの移植部２が昇降リンク1aによって昇降自在に
装着され、かつ、走行機体１の前部には帯状苗をつづら
折り状に収納する苗箱４を支持する予備苗支持枠５が装
備されており、そして走行機体１の中央には、各図面に
示すように機体進行方向Ｆに向いた運転席６が設けられ
ている。

【００１１】また、移植部２の苗箱支持フレーム９に支
持された苗箱４の帯状苗を倒伏状態で搬送方向に直交し
て保持して下方に搬送する第１搬送機構10と、そこから
搬送された帯状苗を植付し易いように立姿状態に変姿し
て苗繰り出し装置11に継送する第２搬送機構30がそれぞ
れ各条ごとに設けられている。そして上記各苗繰り出し
装置11における繰り出し終端部に設けた植付ガイド13
で、ドライブケース14に回動自在に枢支された植付杆15
の植付爪16に保持された苗を案内して圃場に植付けるよ
うになっている。

【００１２】なお、本考案の移植部の詳細に関しては、
特願平3-180340号、実願平3-56680号、実願平3-69034号
等で既に提案しており、本明細書に記載のない部分の構
造とその説明はこれらの出願の明細書と図面を参照する
ものとする。第１搬送機構10は２枚の仕切板12の間の苗
載台の一部を構成する案内板20の両側に苗搬送ベルト1
7, 17ａを配置し、この苗搬送ベルト17の上面に約15〜2
5ｍｍの厚みを有する帯状苗の厚みより若干狭くした、
例えば約10〜15mmの間隔Ｈを保持して苗押えベルト18が
平行して設けられている。一方、苗搬送ベルト17, 17ａ
はプーリ21,22 に巻回されており、苗押えベルト18は駆
動軸19を枢支点として矢印Ｘ方向に揺動するブラケット
23の先端に設けたプーリ24と前記駆動軸19に設けたプー
リ25との間に巻回されており、帯状苗を苗搬送ベルト17
とこの苗押えベルト18との間に挟持する際のベルト17,1
8 間の開口が容易にできるように構成されている。

【００１３】また、ブラケット23にはフック23ａが固設
され、このフック23ａが仕切板12に固設された板バネ製
のホルダ23ｂに嵌合して所定の位置に支持されるように
構成され、前記間隔Ｈを保持するように構成されてい
る。第２搬送機構30は駆動軸19に設けたプーリ25と駆動
軸19ａに設けたプーリ25ａに巻回されたベルト31, 31ａ
を一対としており、第１搬送機構10で横に寝させた状態
で移送されてきた帯状苗をそのまま受取り、下方の苗繰
り出し装置11において立姿状態に変更するように90°よ
じって設けられている。

【００１４】苗押え搬送ベルト装置を構成する苗搬送ベ
ルト17の案内手段は、図４に示す如く、苗搬送ベルト17
上に横向きに載置された帯状苗を押えながら挟持搬送す
る苗押え搬送ベルト18が設けられており、この苗押え搬
送ベルト18の裏面の中央部の長手方向に突条部18Ａが設
けられており、この突条部18Ａの両側には弾性材料で構
成された２枚の押え板26の一端を、苗押え搬送ベルト18
を支持するプーリ24,25 を設けているブラケット23よ固
定したブラケット23ａに固定している。なお、この実施
例における押え板26は弾性材料をＵ字形に曲げ、２枚を
間隔を明けてブラケット23ａに固定し、その遊端部を連
結板26ａで連結したもので、苗押え搬送ベルト18の背面
を長手方向に、しかもこのベルト18の上下変動を吸収で
きるように設けたものである。

【００１５】押え板26は、図４のように一方が開口した
Ｕ字形のものや、図５の変形例ように両端を連結したリ
ング状のものも採用することができるが、この変形例の
構造においても突条部18Ａの両側に配置され、苗押え搬
送ベルト18の横ずれやプーリ24,25 からの外れを防止で
きるように構成されている。更に押え板26の別の構造と
しては、図示は省略するが、１本の弾性材料からなる押
え板の両側下面に突条部18Ａを案内するように断面がＵ
形に形成されたシュー部材や小型の溝付ローラを設けた
ものを使用することができる。

【００１６】以上の如く、苗押え搬送ベルト18の裏面に
は、その長手方向に突条部18Ａが形成されており、この
突条部18Ａの両側に沿ってソリのように形成された２本
の押え板26を配置しており、この押え板26は苗押え搬送
ベルト18の背面をその弾性によって押圧摺動するので、
苗押え搬送ベルト18の方向が正確に規制され、プーリ2
4,25 に乗り上げたり、外れるような恐れはなく、ベル
ト18のずれや外れを防止できる。

【００１７】この押え板26は板バネ材等の弾性材料を使
用しているので、搬送される帯状苗の個々の厚みＨに応
じて苗押え搬送ベルト18を背面より効果的に押圧するこ
とができる。これに帯状苗を適宜一定の厚みに押しつぶ
しながら第２搬送機構30へ継送することができる。

【００１８】

【考案の効果】本考案の移植機の苗押え搬送ベルトは、
帯状苗を苗載台の上面に沿わせて搬送させ、この苗載台
の下端部に設けられている切断装置によって所定の本数
に切断して植付杆の先端に設けられた植付爪によって圃
場に植付けるように構成した移植機において、下方に設
けた苗搬送ベルトと、このベルトの上方に帯状苗の厚よ
り若干狭くした所定分の間隔をあけて設けた苗押え搬送
ベルトとによって帯状苗を搬送方向に横向きに挟持して
搬送するようにしており、更にこの苗押え搬送ベルトの
裏面の長手方向に突条部を設け、この突条部の両側に弾
性材料からなる押え板を、苗押え搬送ベルトを支持する
ブラケットに固定して構成されている。

【００１９】従って、ベルトのずれやベルトプーリより
の外れがなく、帯状苗を倒伏状態で適切に押えながら搬
送することができるので、帯状苗の搬送および植付けが
良好に、かつ円滑に行なえるという効果がある。また、
本考案によれば、搬送苗をその厚みに応じて押え板の弾
力によって押圧変化できるので、帯状苗の搬送姿勢を良
好に保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の移植機の全体側面図であ
る。

【図２】図１の移植機の拡大側面図である。

【図３】図２の帯状苗の搬送機構を背面から見た斜視図
である。

【図４】苗押え搬送ベルト内に配置される押え板を示す
要部拡大の斜視図である。

【図５】図４の押え板の他の実施例における側面図であ
る。

【符号の説明】

２ 移植部 17 苗搬送ベルト 18 苗押え搬送ベルト 18Ａ 突条部 23 ブラケット 24,25 プーリ 26 押え板 23ａ ブラケッ
ト。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 帯状苗を苗載台の上面に沿わせて搬送さ
   せ、この苗載台の下端部に設けられている切断装置によ
   って所定の本数に切断して植付杆の先端に設けられた植
   付爪によって圃場に植付けるように構成した移植機にお
   いて、 下方に設けた苗搬送ベルトと、このベルトの上方に帯状
   苗の厚より若干狭くした所定分の間隔をあけて設けた苗
   押え搬送ベルトとによって帯状苗を搬送方向に横向きに
   挟持して搬送するようにしており、更にこの苗押え搬送
   ベルトの裏面の長手方向に突条部を設け、この突条部の
   両側に弾性材料からなる押え板を、苗押え搬送ベルトを
   支持するブラケットに固定してなる移植機の苗押え搬送
   ベルト装置。