JP2645217B2 - 植物細胞内で発現するキメラ遺伝子 - Google Patents

植物細胞内で発現するキメラ遺伝子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この研究は遺伝子工学、植物生物
学、微生物学の分野に関するものである。
【0002】
【従来技術】過去10年間の間に、遺伝子工学は急速に
発展した。異種生物の遺伝子をバクテリアの細胞内に入
れ、そのバクテリアに組み込まれた遺伝子の形質を発現
させるという手法が数多く知られている。この場合、通
常プラスミドを使用する、そのプラスミドは、以下述べ
るようにレストリクション・エンドヌクレアーゼによっ
て、一つまたはいくつかの部分に分割できる。典型的な
方法は、一つのDNA鎖を分割して得た遺伝子を、プラ
スミドのようなベクターを分割して得たものと混ぜ合わ
せる、というものである。種々のDNAはつなぎ合わさ
れて、新しくプラスミドを再構成する。U.S.パテン
ト4,237,224(コーエン・ボイヤー、198
0);4,264,731(シャイン、1981);
4,273,875(マニス、1981);4,32
2,499(バクスター等、1982);4,336,
336(シルヘイビー等、1982)を参照。この他に
も参考になるような例は数多くある。ある論文には、D
NAの情報がメッセンジャーRNAに転写され、メッセ
ンジャーRNA(mRNA)の情報がタンパク質へうつ
し取られていく過程が説明されている。例えば、ストラ
イヤー、1981(註:パテント以外のここに記載され
ている参考は、すべて例の後に引用されている)、レー
ニンジャー、1975。その他の論文は、遺伝子操作の
方法、生産物について述べている。マニアティス等、1
982;セットロー・ホレンダー、1979を参照。
【0003】今までに行われてきた遺伝子工学の研究で
は、遺伝子は種々の細胞、主に大腸菌のようなバクテリ
、イーストなどの微生物、あるいは哺乳動物の細胞へ
組こまれてきた。動物の細胞や微生物の細胞に用いられ
た技術や物質は、植物を用いる遺伝子工学にそのまま利
用することはできない。
【0004】ここで用いられている通り“植物”という
言葉は、多細胞の分化の進んだ個体、被子植物や多細胞
の藻類のように光合成を行うものを表している。バクテ
リアやイーストなどの微生物、菌類はこの仲間に入らな
い。しかし“植物細胞”という場合には植物から得られ
る細胞ならなんでも、例えばカルス、樹冠の虫こぶ(腫
瘍)のように未分化の組織、植物の種子、珠芽、花粉、
植物の胚などにも適用されている。
【0005】数多くの植物遺伝子が単離されており、販
売されているものもあり、又、そうでなくても公に手に
入れることのできるものもある。そのような遺伝子に
は、大豆のアクションジーン(シャー等、1982)、
コーゼイン(ペダーソン等、1982)、大豆レジモグ
ロビン(ハイルデイッヒ・ニールセン等、1982)、
大豆貯蔵たんぱく(フイッシャー、ゴールドバーグ、1
982)がある。
【0006】遺伝子の様々の領域 遺伝子が形質を発現する場合には、遺伝子から遺伝情報
を受け取ったポリペプチドが形成される。この過程は、
少なくとも二つの段階でできている。まず遺伝子の一部
を転写したメッセンジャーRNAができ、そのメッセン
ジャーRNAの一部分がポリペプチドに翻訳される。転
写、翻訳の過程は完全には解明されていないが、DNA
配列がメッセンジャーRNAに転写される場合、DNA
何箇所かの領域でコントロールされている、と考えら
れている。DNAのそれぞれの部位とは、一連の塩基の
配列のことである。(つまり、アデニン(A)、チミン
(T)、シチジン(C)、グアニン(G)でできている
ヌクレオチド残基がある順序に配列したものである。)
真核生物の遺伝子に、一般的に存在している領域を図1
に示す。これらの領域については、それぞれ名前がつけ
られて簡単に説明されている。さらに、これらの領域に
ついてもう少しくわしく説明を加えるため様々な用語が
使われていることに注意が必要である。
【0007】アソシエーションレイジョン2は、RNA
ポリメラーゼをDNAの断片に会合させる。アソシエー
ションレイジョン2は転写されないが、この遺伝子領域
の働きで、活性化された後、RNAポリメラーゼは、イ
ンタービーニングレイジョン4にそってある距離(例え
ば塩基100〜300個位)移動する。
【0008】転写開始シークエンス6は、RNAポリメ
ラーゼに命令を下し、mRNAの合成を開始する。適当
な信号を受け取るとRNAポリメラーゼは、転写開始シ
ークエンス6をある距離だけ(例えば塩基20〜30個
分)越えてmRNAの合成を始める、と考えられてい
る。これは図1にインタービーニングレイジョン8とし
て表されている。
【0009】それ以前の配列は、遺伝子プロモーター領
域と、集合的に呼ばれている。DNAの次の塩基配列は
RNAポリメラーゼの作用でメッセンジャーRNAに転
写される。しかしこれが翻訳されてタンパク質が生産さ
れるということはない。一般に、mRNAの5′末端は
リボソームに付着している。バクテリアの細胞では、 "
リボソーム結合部位" (RBS)と呼ばれる塩基の配列
で、接着が容易になっている。しかしながら、真核生物
の細胞では、RBSの存在は確かめられていない。m−
RNA鎖にRBSが存在するかしないかに拘わらず、m
RNAはリボソームにそって開始コドンに到達するまで
移動する。開始コドンは通常AUGという三個の塩基配
列でできている。まれに、GUGというコドンから翻訳
が開始されることもある。mRNAの5′末端と開始コ
ドンの間にある、翻訳されない部分は、mRNAの5′
非翻訳領域10と呼ばれている。DNAのこれに相当す
る部分はここでは、5′非翻訳領域12と呼ばれてい
る。DNAのこの部分の塩基の特殊な配列は、遺伝子の
形質発現に重要であるとは考えられていない。しかし、
完成していない開始コドンが存在することで、mRNA
の翻訳に影響がでることもあると言われている。コザッ
ク1978参照。
【0010】プロモーターシークエンスは、上述した以
上に複雑であろう。例えば、バクテリアに存在するある
種のプロモーターには "オペレーター" と呼ばれる制御
シークエンスがある。その様な複雑なプロモーターに
は、遺伝子の誘導あるいは抑制に関係している一つまた
はそれ以上のシークエンスが存在することが多い。一つ
の例はラックオペロンと言われるものでこれは、細胞中
に乳糖が存在しなければ、乳糖利用酵素の転写を促進す
ることはない。もう一つの例はtrpオペレーターと呼
ばれるもので、細胞中にトリプトファンが過剰に存在す
ると、トリプトファン生成酵素の転写、翻訳を促すとい
うことはない。ミラー・レニコフ、1982参照。
【0011】次の塩基配列は、コーディングシークエン
スまたは構造シークエンス14(DNA分子におい
て)、あるいは16(mRNA分子内で)と呼ばれてい
る。上述したようにポリペプチドの翻訳は、mRNAの
開始コドン(普通はAUGである)が、リボソームの翻
訳メカニズムに到達した時に始まる。開始コドンの命令
で、リボソームは、メチオニンを出発点として各種アミ
ノ酸をペプチド結合で結合させ、ポリペプチドを形成す
る、メチオニンは、常にポリペプチドのアミノ基末端と
なる。(このメチオニン残基はその後、ほかの酵素の作
用でポリペプチドから切り離される)AUG、開始コド
ンに続く塩基は、3個ずつ1組となりそれぞれコドンと
なる。塩基がどのように3つ組にグループ分けされてい
くかを規定する "リーディング・フレイム" は、開始コ
ドンにより決まる。それぞれのコドンは、形成されつつ
あるポリペプチドへの特別のアミノ酸を加えていく遺伝
情報である。遺伝暗号(64個の異なったコドンがある
が)はすべて解読されている。レーニンジャーの序文9
62頁参照、例えばCUAは、ロイシンというアミノ酸
に対応する暗号であり、GGUはグリシン、UGUはシ
ステインの暗号である。
【0012】三つのコドン(UAA、UAG、UGA)
は停止コドンである。停止コドンがリボソームの翻訳メ
カニズムに到達すると、形成されていたポリペプチドは
リボソームから離れ、最後のアミノ酸残基がポリペプチ
ドのカルボキシル末端となる。
【0013】モノシストロニック遺伝子中の3′側の停
止コドンにあるmRNAの部分は、ここでは、3′−非
翻訳領域18と呼ばれている。この領域18は、mRN
Aに転写された後、そのmRNAのプロセシング、安定
化あるいは輸送に関係していると考えられている。また
このレイジョン18には、細胞内に存在するある種の酵
素により認識されるポリアデニレイションシグナル20
という塩基配列があると考えられている。この酵素は、
相当量のアデニン残基をmRNAに加え、ポリ−Aテイ
ル22を形成する。
【0014】DNA分子には3′非翻訳領域24とポリ
アデニレーションシグナル26があり、それぞれmRN
Aの領域18、シグナル20の遺伝情報を指定してい
る。しかし、DNA分子には、ポリ−Aテイルはない。
mRNAのポリアデニレーションシグナル20、DNA
のポリアデニレーションシグナル26は図中、大きな点
で示されている。
【0015】遺伝子−宿主不適合性 地球上のすべての生物体に、同じ遺伝暗号が適用され
る。コドンに対応するアミノ酸は、植物、動物、微生物
等あらゆる生物に共通である。しかし、遺伝暗号となる
のは遺伝子の構造シークエンスだけである。これは、あ
る開始コドンから停止コドンまでのmRNAで、mRN
Aを翻訳してポリペプチドが形成される場合の遺伝情報
を持っている。
【0016】しかし、ある種の細胞の中で効率よく働く
遺伝子が別の種類の異なった細胞では全然働かないとい
うこともありうる。例えば、E.Coliで形質を発現
する遺伝子が、異なったタイプのバクテリアの細胞、菌
類、イーストに運ばれていき、その新しい宿主のもとで
は、形質を発現しないこともある。ある完全な遺伝子
か、ある細胞内では形質を発現するが別の細胞では発現
しないということに関しては様々な理由が考えられる。
坂口:岡西、1981参照。このような理由として次の
事柄が挙げられる。
【0017】1.遺伝子が複製されない、又は新しい宿
主細胞の子孫に安定して受け継がれていかない。
【0018】2.遺伝子が新しい宿主細胞のレストリク
ションエンドヌクレアーゼあるいはその他の酵素で分解
されてしまう。
【0019】3.新しい宿主細胞のRNAポリメラーゼ
が、遺伝子のプロモーターレイジョンを認識しない。
【0020】4.DNAのある領域が、宿主DNAのオ
ペレーターあるいはその他の制御シークエンスと似てい
るため、遺伝子の一部が宿主細胞のリプレッサーたんぱ
く質、あるいは他の分子と結合する。例えば、ラックオ
ペロンにはあるポリペプチドがあり、このペプチドは、
ポリペプチド自身がラクトースで不活性化されないと、
ラックプロモーターと隣り合ったある配列の塩基と結合
する。ミラー・レッニコフ、1982参照。
【0021】5.遺伝子の一部分が削り取られてしまっ
たり、再構成されたり、移動して、宿主ゲノムの他の場
所に付着する例えば、数多くの原核生物の細胞中に遺伝
子組み換えを促進する酵素があるということが知られて
いる。(例えば大腸菌のレックプロテイン、Shiba
ta等、1979参照)また、転座を促す酵素もある。
(第45回、計量生物学コールドスプリングハーバーシ
ンポジウム、1981参照)。更に、異なったDNA鎖
の類似部分で自然遺伝子修飾が多く現れる。ラディン
グ、1978参照。
【0022】6.遺伝情報を転写したmRNAに種々の
問題が生じる。例えば、リボソームに達する前に品質が
低下することがあり、ポリアデニン化されなかったり、
リボソームに運搬されていかないこともあり、リボソー
ムとうまく適合しないこともあり、大切な部分が、RN
Aプロセシング酵素で削り取られてしまうこともある。
【0023】7.遺伝子の遺伝情報を受け取ったmRN
Aを翻訳して形成されたポリペプチドに問題が起こるこ
ともある。例えばポリペプチドが細胞に毒性を現す、グ
リコシル化され、あるいは変換されて変性ポリペプチド
に変わってしまう、分割されて小さなポリペプチドある
いはアミノ酸になる、細胞内の小さな部分に閉じ込めら
れてしまい、そこでは作働できないというようなことが
起こる可能性もある。
【0024】一般に、新しい宿主細胞がもとの宿主細胞
とかなり異なっている場合、外から入ってきた遺伝子が
新しい細胞の中で形質を発現する可能性は小さくなる。
例えば、同じ「属」に属していれば、ある「種」のバク
テリアの遺伝子は別の「種」のバクテリアに移されても
発現する可能性が大きい。異なった「属」のバクテリア
内での発現の可能性は小さくなり、バクテリア以外の微
生物イースト、菌類、藻類の細胞内での発現の可能性は
更に小さくなる。ある1つの「界」に属する生物(植物
界、動物界、微生物界のうちの一つ)の細胞から取り出
した遺伝子が別の「界」の生物の細胞で発現するという
ことはほとんど考えられない。
【0025】これらの問題があるために、これまで植物
細胞で外来遺伝子の形質を発現させることはできなかっ
た。ある植物細胞に、他の生物のDNAを組み込む研究
を報告したグループもある。ラルギン、1979、クレ
ンス等、1982;デイベイ等、1980を参照。少な
くとも三グループが植物細胞に完全な遺伝子を組み込む
方法について報告している。放射性DNAを用いて、外
来遺伝子又はその一部が、植物細胞の子孫に安定して受
け継がれていることが証明された。ヘルナルステーン
等、1980;ガルフィンケル等、1981;マック・
チルトン、1981を参照。しかし外来遺伝子が、植物
細胞で発現したという報告はない。遺伝子−宿主不適合
性に、いくつかの例外があることが発見された。例え
ば、大腸菌遺伝子のいくつかは、ある種のイースト細胞
で発現する、又その反対にイーストの遺伝子が大腸菌で
発現することもある。ベッグス、1978;ストルール
等、1979参照。
【0026】さらに、Agrobacterium t
umefaciensやA.rhizogenesな
ど、ある種のバクテリア細胞は、種々の植物細胞に感染
し、根頭癌腫病やhairyroot disease
をひき起こす。これらのAgrobacterium
は、Tiプラスミド、Riプラスミドと呼ばれるプラス
ミドを持ち、この中に植物細胞で発現する遺伝子があ
る。この遺伝子の暗号は "opines(オパイン)"
と呼ばれる物質をつくり出す酵素に関するものである。
opines(オパイン)に属する物質はoctopi
ne(オクトピン)、nopaline(ノパリン)、
agropine(アグロピン)である。opines
はバクテリア細胞の炭素源、窒素源エネルギー源として
使われる。ペティット・テンプ、1978を参照。op
ine遺伝子は、バクテリア細胞内では不活性であると
考えられている。これらの遺伝子は植物細胞に入って初
めて発現する。
【0027】遺伝子−宿主不適合性という障壁をとり除
くために、様々な人為的工夫もなされてきた。例えば、
宿主バクテリアの細胞に入ると質が低下する哺乳類のポ
リペプチドを、正常な宿主細胞に存在するバクテリアの
ポリペプチドとカプリングさせると質が低下しなくな
る。融合たんぱくが生成されたことになる。板倉等、1
977を参照。また別の例としては、宿主細胞内のエン
ドヌクレアーゼで組こまれた遺伝子が切断されるのを防
ぐため、(1)数種のエンドヌクレアーゼを欠く宿主細
胞に遺伝子を入れるか、(2)細胞内で遺伝子を複製
し、メチル化しやすくする、という方法も報告されてい
る。マニアティス等、1981を参照。
【0028】さらに、遺伝子−宿主不適合性をとり除く
方法として、キメラ遺伝子に関するものがある。例え
ば、哺乳類のポリペプチド、インシュリン、成長ホルモ
ン、インターフェロン等の遺伝情報を指定する構造シー
クエンスを、バクテリアの制御シークエンスと結合させ
る。その結果つくられたキメラ遺伝子をバクテリア細胞
に入れる。するとその遺伝子は哺乳類のポリペプチドを
生成する。グアレンテ等、1980を参照。また、バク
テリアの構造シークエンスとヴイルスの制御シークエン
スとを結合させてできたものは、哺乳動物の細胞に感染
することができる。このキメラ遺伝子を哺乳動物の細胞
に入れると、バクテリアのポリペプチドを生成したとい
う報告がある。サウザン・バーグ、1982;コルベル
・カラピン等、1982を参照。
【0029】レストリクションエンドヌクレアーゼ群 一般的に、エンドヌクレアーゼというのは、DNAをい
くつかのDNAの断片に切断していく酵素である。エン
ドヌクレアーゼは、一本のDNA鎖の中の何処へでもは
たらきかけ、それを切断することができる。これに較べ
て、エクソヌクレアーゼは、DNA鎖の末端からヌクレ
オチドをとり除いていく。ここで述べられているエンド
ヌクレアーゼ群はすべて二本鎖のDNAとをDNAの断
片に切断していくことができる。このためには、二種の
結合鎖を破す必要がある。(1)燐酸基とデオキシリボ
ース残基の間の共有結合と、(2)DNAの二本鎖を結
びつけている、水素結合(A−TとC−G)である。
【0030】レストリクションエンドヌクレアーゼ(こ
れ以後、エンドヌクレアーゼと呼ぶ)は、DNAをある
決まった塩基配列のところで切っていく。例えば、Ec
oRI、HaeIIIは次の配列を認識し、切断してい
く。
【化1】
【0031】上の例において、EcoRIによる切断
は、5′突出(すなわち、単鎖のテイルが3′末端では
なく5′末端を有する)を伴った粘着末端を創出した。
粘着末端は望ましい基を結合させることができる。例え
ば、EcoRIの末端は、HaeIII末端と結合する
ことはほとんどないが、別のEcoRI末端と結合する
ことはある。
【0032】百種以上のエンドヌクレアーゼが知られて
おりそれぞれが、DNAをある決まった塩基配列のとこ
ろで切断することができる。ロバーツ、1982を参
照。レストリクションエンドヌクレアーゼはすべて、塩
基の配列のちがいを読み取ることができる。その上、あ
る種のものは、塩基がメチル化されているかどうかを判
断することもできる。例えばMboI、Sau3aとい
う二つのエンドヌクレアーゼは、下に示されている様な
塩基配列を切断する。
【化2】
【0033】もしアデニン残基がメチル化されていれば
(me−A)、MboIはこの配列を切断できない。S
au3aは、アデニンがメチル化されていても、メチル
化されていなくても、この塩基配列を切断する。プラス
ミドのメチレイション(従って切断)は、メチル化能力
のある細胞でプラスミドを複製することで、ある程度コ
ントロールすることができる。大腸菌のある酵素、DN
Aアデニンメチラーゼ(dam)は、GATCという塩
基配列のアデニン残基をメチル化する。dam酵素を持
たない大腸菌の菌株はdam- 細胞と呼ばれる。それに
対してdamを持っているものはdam+ 又はdam細
胞といわれている。
【0034】いくつかのエンドヌクレアーゼは、それぞ
れ異なった塩基配列を切断し、他のエンドヌクレアーゼ
の作用でできた粘着末端と完全に適合するような結合性
末端をつくり出す。例えば、少なくても5種の異なった
エンドヌクレアーゼが5′GATC突出部をつくり出
す。これは表Iに示されている。
【0035】
【表1】
【0036】表Iに挙げたエンドヌクレアーゼの作用で
生じた結合力のある末端は、どれか別のエンドヌクレア
ーゼの作用で生じた結合性末端と結合することもあろ
う。例えばBgl IIの作用で生じた末端とBamH
Iの作用で生じた末端が結合すると、次のような塩基配
列になる。 AGATCC TCTAGG この配列はBgl II、BamHIでは切断できない
が、MBOI(メチル化されていない場合)又はSaU
3aでは切断できる。
【0037】GATCを切断するエンドヌクレアーゼは
PvuIと言われ次のように、3′突出部をつくりだ
す。
【化3】 また、エンドヌクレアーゼClaIは次の配列を切断す
る。
【化4】
【0038】もしX1 がG、あるいはX2 がCであれ
ば、この配列はMboIで切断できる。(メチル化され
ていない場合、メチル化されていればClaIも阻害さ
れる。)あるいはSau3aでも切断できる。
【0039】ウイルス性のプロモーター ウイルスとは、一本鎖又は二本鎖の核酸(DNA又はR
NA)が "カプシド"又は "コート" と呼ばれるたんぱ
く質性のおおい(脂質が含まれることもある)に包まれ
てできている微生物である。ウイルスは細胞より小さ
く、ほとんどすべての生化学的反応を行うために必要な
物質をもっていない。その代わり、細胞に感染し、細胞
の代謝系を借りてウイルス自身を増殖させる。
【0040】次に簡単に、どのようにしてDNAウイル
スが細胞に感染するかを説明する。話をわかりやすくす
るためRNAウイルスについてはふれない。まず最初
に、普通宿主と呼ばれている細胞にウイルスは付着する
か、又は侵入する。ウイルスのDNA(ウイルス粒子全
体のこともある)は、細胞のプラスミド(染色体の外の
DNAループ)に入る。ウイルスDNAの情報は、メッ
センジャーRNAに転写され、翻訳されてポリペプチド
がいくつか生成される。このポリペプチドの一部が集ま
って、新しい "カプシド" をつくり、残りのポリペプチ
ドは酵素として作用し、種々の生化学的反応を触媒す
る。ウイルスDNAも複製され、カプシドポリペプチド
と共に新しいウイルス粒子を形成する。これらウイルス
粒子は徐々に放出されるか、あるいは溶菌現象が起き、
細胞は破壊し、ウイルスは放出される。放出されたウイ
ルス粒子は、その後、新しい宿主細胞に感染する。ウイ
ルスに関するくわしい情報が必要であれば、ストライヤ
ー、1981;マシュー、1970を参照。
【0041】ここで使用されている通り、 "ウイルス"
という言葉は、ファージヴァイロイド、複製中間体にも
適用される。また "ウイルス核酸" 、 "ウイルス由来の
DNA又はRNA" という表現は、広くウイルスの核酸
から取り出されたDNA、RNAのすべてに適用されて
いる。例えば、ウイルスRNAを鋳型として生成したD
NA又は、ウイルスDNAを分析し塩基配列を決定し、
それと同じ配列のものを化学的に合成したDNAも、ウ
イルス核酸とみなされるであろう。
【0042】ウイルスの宿主域(つまり一つのウイルス
が感染できる細胞の種類)は限られている。あるウイル
スはある種のバクテリアにしか感染できない。またある
ウイルスは限られた属の植物にだけ感染する。哺乳動物
にだけ感染するウイルスもある。ウイルスが細胞に感染
するという場合、DNA又はRNAが宿主細胞に侵入す
るというだけでなく、細胞内でウイルス粒子の増殖がお
こるということである。種々様々な分析を通して優れた
技術を持った者は、ある特定のウイルスが、ある特定の
属、種、菌株に感染できるかどうかをすぐに判定するこ
とができる。ここで用いられている様に、 "植物ウイル
ス" という言葉は、植物細胞に感染できるウイルスを指
しており、他の細胞に感染するかしないかは問題ではな
い。
【0043】ヴァイロイド(現在、これについてくわし
いことは分かっていない)は例外かもしれないが、ウイ
ルス粒子は、感染した宿主細胞において発現する遺伝子
を少なくとも1個は持っている。遺伝子が発現するに
は、DNAあるいはRNAの一部がmRNAに転写され
るか、mRNA鎖として働き、mRNAが翻訳されてポ
リペプチド形成されなければならない。ほとんどのウイ
ルスが5〜10個の異なった遺伝子を持っており、適当
な宿主細胞中で発現する。
【0044】ウイルス遺伝子に由来するプロモーター
は、遺伝子工学の様々な分野に利用されている。例え
ば、バクテリアの遺伝子からとり出した構成シークエン
ス(コーディング・シークエンスとも呼ばれている)
を、哺乳動物の細胞に感染するウイルスからとり出した
プロモーターと結合させて、キメラ遺伝子が作られた。
(最も一般的に用いられている哺乳動物のウイルスは、
Simian Virus40,Herpes Sim
plex Virus(HSV)と呼ばれている。)こ
れらのキメラ遺伝子は、哺乳動物の細胞に形質転換を起
こさせるために利用されている。ムリガン等、197
9;サウザン・バーグ、1982を参照。更に、バクテ
リアに感染するウイルスから取り出したプロモーターを
用いたキメラ遺伝子は、バクテリア細胞の形質転換に用
いられている。マニアテス等の報告した"ファージラム
ダPLプロモーター" を参照。
【0045】数人の研究者は、植物細胞の形質転換のベ
クターとして植物ウイルスを利用することが可能であろ
うという説を発表した。ホーン等、1982を参照。一
般的に、 "ベクター" とはある細胞に遺伝子を移入させ
る時に利用されるDNA分子である。普通、望みの遺伝
子をベクターにそう入し、そのベクターを宿主細胞に感
染させる。数人の研究者は、植物ウイルス遺伝子に由来
するプロモーターを用いて、植物細胞内で形質を発現す
るキメラ遺伝子をつくり出すこともできるであろうとい
う説をだした。ホーン等、1982、216頁参照。
【0046】しかしながら、多くの研究者達の努力にも
拘わらず、この発明に先立って、誰も(1)植物ウイル
ス性のプロモーターを異種生物の構造シークエンスと結
合させたキメラ遺伝子を製造することに成功しなかっ
た。また、(2)植物細胞内でこのような遺伝子が発現
したということも明らかにされていない。
【0047】カリフラワーモザイクウイルス(CaM
V) CaMVのDNAの塩基配列はすべて明らかにされてい
る。ガードナー等、1981;ホーン等、1982参
照。最も一般的な型では、CaMVゲノムの長さはおよ
そ8000bpである。しかし、自然に生じた感染性の
ある突然変異体では、500bp短くなっているものも
発見されている。ハウアース等、1981参照。CaM
Vゲノム全体が、1本のmRNAに転写される。このm
RNAの沈降係数は35Sである。32SmRNAのプ
ロモーターは、Gap 1から左周りに1kb離れた大
きなインタージェニックレイジョンにある(ギレイ等、
1982参照)
【0048】CaMVは、少なくとも8個のたんぱく質
を生産すると考えられている。これらのたんぱく質をつ
くり出す遺伝子は、遺伝子I〜VIIIと名付けられて
いる。遺伝子VIは、沈降係数19SのmRNAに転写
される。19S mRNAは、P66というたんぱく質
に翻訳される。これは、ウイルス粒子内にふくまれてい
るたんぱく質である。19S′mRNAは19Sプロモ
ーターにより促進される。このプロモーターはGap
1から左周りに2.5kb離れたところに存在する。
【0049】発明の要約 この発明は植物細胞内で発現するキメラ遺伝子、それら
の遺伝子を作り出す方法に関するものである。
【0050】キメラ遺伝子にはプロモーター領域があ
り、このプロモーターの作用で植物細胞のRNAポリメ
ラーゼは、DNAに対応するmRNAをつくり出す。こ
のようなプロモーター領域の1つに、ノパリンシンサー
ゼ(NOS)プロモーター領域というものがあり、これ
は普通A.tumefaciensというバクテリアの
Tiプラスミド内にある。NOSは、A.tumefa
ciensの細胞内にある時は一般に不活性であり、T
iプラスミドが植物細胞内に入ると活性をもつようにな
る。これ以外に二個のプロモーターがカリフラワーモザ
イクウイルス(CaMV)からとり出された。その他の
プロモーターは、植物細胞内に存在する遺伝子から、あ
るいは、植物細胞に感染するウイルスからとり出され
る。
【0051】キメラ遺伝子にはmRNAの5′非翻訳領
域の暗号となる塩基の配列も存在する。この領域は、植
物細胞内でmRNAの構造シークエンスの発現を可能に
したり増加させたりすることができる。必要とされる
5′非翻訳領域は、NOS遺伝子、植物ウイルス遺伝
子、あるいは植物細胞中に存在する遺伝子からとり出さ
れる。
【0052】キメラ遺伝子には、望ましい構造シークエ
ンスも含まれている。つまり、構造シークエンスとは、
mRNAに転写されて、そのmRNAが翻訳され、望み
のポリペプチドを生成する、そういう塩基配列を指して
いる。構造シークエンスは、プロモーター領域に対して
異種的であり、細菌性または哺乳動物たんぱく質等の所
望のたんぱく質をコードしてもよい。構造遺伝子には、
開始コドンと停止コドンがある。また構造遺伝子には、
翻訳に先立ってmRNAからとり除かれたイントロンが
存在することもある。
【0053】キメラ遺伝子は、mRNAの3′非翻訳領
域(ポリ−アデニレイションシグナルを含む)をコード
するDNA配列を含むこともできる。この領域は、構造
遺伝子を適切に発現させるため、普通植物細胞内で発現
する遺伝子からとり出される。このような遺伝子にはN
OS遺伝子、植物ウイルス遺伝子、植物細胞内の遺伝子
がある。
【0054】この発明に用いられた方法については以下
に述べられている、また図2のフローチャートに要約さ
れている。適切に集められ、そして植物のゲノムにそう
入されれば、ここで発明されたキメラ遺伝子は植物細胞
内で発現し、のぞみのポリペプチド、例えば哺乳類のホ
ルモン、植物に抗生物質や除草剤に対する抵抗性を与え
るバクテリアの酵素などを生成するであろう。
【0055】図の簡単な説明 図は模式的なものであり、正確な寸法にもとづいて描い
たものではない。
【0056】図1 典型的な真核細胞の遺伝子を表す。
【0057】図2 この発明のステップをフローチャー
トで表したもので、キメラNOS−NPT II−NO
S遺伝子を例にして描かれている。
【0058】図3 TiプラスミドをHind III
により消化して得られたHindIII−23の断片で
ある。
【0059】図4 NOSプロモーター領域、NOS
5′非翻訳領域、NOS構造シークエンスの最初の数個
のコドンを持つDNAの一部を表したものである。
【0060】図5 NOSプロモーター領域、および完
全な5′非翻訳領域を含むDNA断片を得るための、D
NA配列の正確な位置での切断を表す。
【0061】図6 NPT II構造遺伝子部位を保持
しているプラスミド、pMON 1001とpMON4
0との生成を表す。
【0062】図7 pMON58を得るためNOSプロ
モーター領域をプラスミドpMON40に組み入れる。
【0063】図8 M−2と命名されているM13誘導
体の生成、このM−2は、NOS3′非翻訳領域とポリ
−Aシグナルを保持している。
【0064】図9 NOS−NPT II−NOSキメ
ラ遺伝子を組み立て、プラスミドpMON38に組み入
れ、プラスミドpMON75とpMON76を生成す
る。
【0065】図10 NOS−NPT II−NOSキ
メラ遺伝子をプラスミドpMON120に組み入れ、プ
ラスミドpMON 128とpMON 129を生成す
る。
【0066】図11 NPTI遺伝子を保持しているプ
ラスミドpMON66の生成。
【0067】図12 キメラNOS−NPT IIシー
クエンスを保持しているプラスミドpMON73の生
成。
【0068】図13 キメラNOS−NPTIシークエ
ンスを保持しているプラスミドpMON78の生成。
【0069】図14 キメラNOS−NPTI−NOS
遺伝子を保持するプラスミドpMON 106とpMO
N 107の生成。
【0070】図15 キメラNOS−NPTI−NOS
遺伝子をpMON 120に組み入れ、プラスミドpM
ON 130とpMON 131を生成する。
【0071】図16 大豆たんぱく(sbss)プロモ
ーターを保持しているDNA断片の構造。
【0072】図17 sbssプロモーターを保持して
いるプラスミドpMON 121の生成。
【0073】図18 キメラsbss−NPT II−
NOS遺伝子をpMON 120に組み入れ、プラスミ
ドpMON 141とpMON 142を生成する。
【0074】図19 ウシ成長ホルモンの構造遺伝子領
域と、NOS3′領域を保持している、プラスミドpM
ON 108の生成。
【0075】図20 選択的に切断面にかこまれている
BGH−NOSを保持しているプラスミドN−25−B
GHの生成。
【0076】図21 キメラsbss−BGH−NOS
遺伝子をpMON 120に組み入れ、プラスミドpM
ON 147とpMON 148を生成する。
【0077】図22 キメラNOS−BGH−NOS遺
伝子を保持するプラスミドpMON149の生成。
【0078】図23 EPSPシンサーゼを生産する構
造遺伝子領域を保持しているプラスミドpMON8の生
成。
【0079】図24 開始コドンの近くに切断面のある
EPSPシンサーゼ構造遺伝子領域を保持するプラスミ
ドpMON25の生成。
【0080】図25 EPSPシンサーゼとNOS3′
領域を持ったキメラシークエンスを保持するプラスミド
pMON 146の生成。
【0081】図26 キメラNPS−EPSP−NOS
遺伝子をpMON 120に組み入れpMON 153
を得る。
【0082】図27 キメラsbss−EPSP−NO
S遺伝子を保持するプラスミドpMON 154の生
成。
【0083】図28 CaMV19Sプロモーターを保
持するプラスミドpMON93の構造とその生成。
【0084】図29 キメラCaMV(19S)−NP
T−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON 15
6の構造とその生成。
【0085】図30 NPT遺伝子を部分的に保持する
プラスミドpMON110の構造とその生成。
【0086】図31 NPT−NOS遺伝子を部分的に
保持するプラスミドpMON 132の構造とその生
成。
【0087】図32 キメラCaMV(19S)−NP
T−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON 15
5の構造とその生成。
【0088】図33 CaMV32Sプロモーターを保
持するプラスミドpMON81の構造とその生成。
【0089】図34 CaMV32Sプロモーターを保
持するプラスミドpMON 125の構造と生成。
【0090】図35 CaMV32Sプロモーターを保
持するプラスミドpMON 172の構造と生成。
【0091】図36 CaMV32Sプロモーターを保
持するファージM12の構造と生成。
【0092】図37 キメラCaMV(32S)−NP
T−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON 18
3とpMON 184の構造と生成。
【0093】
【発明の詳細な解説】この発明の1つの好ましい実施態
様において、キメラ遺伝子は、次の要素を含み、生起さ
れる。 1.ノパリンシンサーゼ(NOS)遺伝子から誘導され
るプロモーター領域および5′−非翻訳領域; 2.ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼII
(NPT IIあるいはNPT II)遺伝子から誘導
された構造シークエンス; 3.ポリアデニル信号を含み、NOS遺伝子から誘導さ
れる3′−非翻訳領域。
【0094】このキメラ遺伝子は、この中でNOS−N
PT II−NOS遺伝子とみなされるが、集められて
いろいろな植物細胞に挿入され、カナマイシンなどのア
ミノグリコシド抗生物質に対する抵抗性をひきおこす。
このキメラ遺伝子を集合させる方法は図2のフローチャ
ートに要約されているが、詳細は以下および例に記述さ
れている。この方法のステップを理解することにおいて
読み手を助けるために、NOS−NPT II−NOS
キメラ遺伝子内に含まれた多くのプラスミドおよび断片
は、図2のカッコ内に引用される。しかしながら、図2
の方法は広く多様な他のプラスミドおよび断片に適切で
ある。読み手のさらなる助けとして図2に示されたステ
ップは呼び出し番号42以下を付されている。この呼び
出し番号は次の解説に引用される。この発明の技術およ
びDNAシークエンスは広く多様な植物の変換に有益で
あり、かつ適当であり、A.tumefaciens
るいはA.rhizoglnesの1ないしそれ以上の
菌株により感染される植物のどれでもを含む。
【0095】NOSプロモーター領域および5′−非翻
訳領域 出願者は、異種遺伝子の発現を支配するためにノパリン
シンサーゼ(NOS)プロモーター領域を得、利用する
ことを決めた。NOSはpTiT37のような、ある型
のプラスミドに通常、保有されている。Sciaky
他、1978。NOSプロモーターはA.tumefa
ciens細胞の中にある間は、通常は不活性である。
プロモーターおよび蛋白暗号シークエンスを含む全NO
S遺伝子は、TiプラスミドのT−DNA部にあり、そ
れは植物が感染して根こぶ腫瘍を形成するとき、植物の
染色体に挿入される。1度植物細胞の内側に入ると、N
OSプロモーター領域が植物細胞の中のRNAポリメラ
ーゼを支配し、NOS蛋白暗号化シークエンスをmRN
Aに転写する。そのmRNAは続いてNOS酵素に翻訳
される。
【0096】プロモーター領域(結合領域2、中間領域
4、転写開始シークエンス6、中間領域8として図1に
示す)の異なる部分間の境界およびプロモーター領域と
5′−非翻訳領域間の境界は十分にはわかっていない。
出願者は完全なプロモーター領域および5′−非翻訳領
域をNOS遺伝子から利用することを決定する。そのN
OS遺伝子は植物細胞内で発現されることが知られてい
る。しかしながら1ないしそれ以上のこのシークエンス
が長さにおいての修正、あるいは他のシークエンスによ
る置換などの多くの方法において修飾されることは、全
く可能である。プロモーター領域および5′−非翻訳領
域内の、そのような修飾は、バクテリア細胞(参照例、
Roberts他、1979)および哺乳類細胞(参照
例、Mcknight、1982)において研究されて
いる。この発明により教えられた利用方法論で、植物細
胞内遺伝子の発現に対するプロモーター領域及び5′−
非翻訳領域の修飾の効果を研究することは現在可能であ
る。そのような修飾を用いて、植物細胞内遺伝子の発現
の増加を可能にする。そのような修飾は、この発明のキ
メラ遺伝子に行われるとき、この発明の範囲の中にあ
る。
【0097】ノパリン型腫瘍誘発プラスミドは、pTi
T37と命名されるが、それは基本的手順でA.tum
efaciensの菌株から分離される(Currie
rとNester、1976)。それは多数の断片を作
るエンドヌクレアーゼHind IIIによって分解さ
れる。これらの断片はゲル上で大きさによって分離さ
れ、断片の1つは単離されてゲルから取出される。この
断片はTiプラスミド由来の23番目の最大断片である
ため、Hind III−23と命名される;それはお
よそ、大きさで3400ベースペア(bp)であり、あ
るいは3.4キロベース(kb)としてみなされる。他
者の仕事(参照例、Hernalsteens他、19
80)からHind III−23断片は完全なnos
遺伝子を含み、それがプロモーター領域、5′−非翻訳
領域、開始コドン・終了コドンを有する構造シークエン
ス、3′−非翻訳領域を含むことが知られている。Hi
bd III−23断片は図3で示される。
【0098】多くの切断および配列決定の実験とから、
Hind III−23断片が他のエンドヌクレアー
ゼ、Sau3aにより分解可能であること、断片の大き
さを約350bpにすることが決定される。そしてそれ
は完全なNOSプロモーター領域、5′−非翻訳領域、
NOS構造シークエンスのはじめの数コドンを含む。こ
の断片の配列が決定され、塩基シークエンスは、図4に
表される。NOS構造シークエンスの開始コドン(AT
G)は、350bp断片内のベースペア301で始め
る。出願者はベースペア300および301の間の断片
の分割を決定する;これはNOSプロモーター領域およ
び完全5′−非翻訳領域を含む、長さ約300ベースペ
アの断片をもって、しかし翻訳塩基をもってではなく、
それらを用意する。350bp断片を、精密に正しい位
置で分割するため、出願者はSIAと命名されたM13
クローンを得、以下に記される手順を利用する。
【0099】SIAクローンを生起するためにWash
ington UniversityのMichael
Bevan博士は、350bp Sau3a断片をD
NA単鎖に転換する。これはM13mp2ファージと命
名されたウイルスのベクターを利用し、そのファージは
生活環における二重鎖(ds)および単鎖(ss)両段
階を経る(Messing他、1981)。ds350
dp断片はM13mp2の二重鎖複製形成DNAに挿入
され、それはBamHIによって切断される。2つの断
片は結紮され、E.coli細胞を感染させる。350
dpを含むdsDNAは続いて複製された断片を挿入
し、I鎖(ウイルス性鎖)はM13ウイルス性蛋白殻蛋
白によりまわりを包まれる。SIAと命名された1クロ
ーンにおいて350dp断片の配向はNOS遺伝子のア
ンチセンス鎖(mRNAと同じシークエンスを含む)が
ウイルス性鎖で運搬されるということである。感染され
た細胞から開放されたウイルス性粒子は分離され、出願
者に提供される。
【0100】単鎖SIA DNAはアンチセンス350
bp断片をNOSプロモーター領域と共に含み、ウイル
ス性粒子から分離され反復される。14−merオリゴ
ヌクレオチドプライマーは出版された手順(Beauc
ageとCarruthers、1981、Adams
他による修正、1982)を用いて合成される。この1
4−merは図4に示されるように350bp断片の塩
基287から300に相補的となるように設計される。
【0101】合成プライマー5′末端は32Pで放射能性
標識される;これは星印で図中に表す。プライマーのコ
ピーは350bp断片アンチセンス鎖を含む単鎖SIA
DNAのコピーと共に混合される。プライマーは図5
の1番上に示されるようにSIA DNAの求められる
領域にアニーリングされる。この出現後、Klenow
DNAポリメラーゼおよび調節された量の非標識デオキ
シヌクレオシドシリン酸塩(dNTP′s)、A、T、
C、Gが加えられる。Klenowポリメラーゼはヌク
レオチドをプライマーの3′(非標識)末端(5′(標
識)末端にでなく、)に加える。結果は、図5に示され
るように、単鎖DNAの円形ループであり、その一部は
DNAの第2鎖により合わせられる。第2鎖の5′終了
はSau3a挿入のNO300対塩基に位置する。
【0102】部分的二重鎖DNAはその後第3エンドヌ
クレアーゼHae IIIにより分解される。Hae
IIIはDNA単鎖と二重鎖の両方を分割し得る。Ha
eIII分割部位は350bp挿入の外側の数カ所に存
在することが知られている。しかし350bp挿入の内
側には何も在しない。これは1平滑末端および、Sau
3a挿入物の#301塩基で開始する1つの3′突出を
有する断片を生起する。Hae III断片混合物は、
4 DNAポリメラーゼおよび非標識dNTP′Sで処
理された。これはDNAの単鎖部分の原因となり、これ
は断片から除去されるべきであるSau3a挿入の#3
01塩基から最も近いHae III分割部位までにわ
たる。この方法でATG開始コドンは#300ベースペ
アから除去され、およそ長さ550bpの平滑末端二重
鎖断片を生じる。
【0103】混合物はそれから第4エンドヌクレアーゼ
EcoRIにより分解され、それは550bp断片をN
OSプロモーター領域の外側の単部位で分割する。それ
から、断片はゲルの大きさにより分離され、放射能性標
識断片は分離される。この断片は完全なNOSプロモー
ター領域および5′−非翻訳領域を含む。 5′−…CTGCA …GACGTのシークエンスをもつ1平滑(ブラント)
末端を有し、 5′AATTC− G−のシークエンスをもつ1粘着(コーヘーシブ)末端
を(EcoRI部位に)有する。 短鎖の長さは約308bpである。前述のステップはス
テップ42、44、46として図2にあらわされてい
る。この断片は図7に示されるようにpMON40(以
下に記述)に挿入されpMON58を得る。
【0104】NPT II遺伝子(pMON40)をも
ったプラスミドの生起 バクテリアtransposonはTn5と命名されて
いるが、それは完全なNPT II遺伝子を含むことが
知られ、プロモーター領域および構造シークエンス、
3′−非翻訳領域を含む。NPT II酵素は、カナマ
イシン、ネオマイシン、G418などの、あるアミノグ
リコシド抗生物質を不活性化する;参照Jimenez
とDavis、1980。この遺伝子は1.8kb断片
の中に含まれ、ファージラムダbbkan−I DNA
(D.Berg他、1975)を2エンドヌクレアー
ゼ、Hind III、BamHIを用いて切断するこ
とによって得る。この断片はHind IIIおよびB
amHIにより切断された公共研究所プラスミド、pB
R327に挿入された。図6に示されるように起因プラ
スミドはpMON 1001と命名され、約4.7kb
である。
【0105】NPT II構造シークエンスを運ぶDN
A断片の大きさを縮小するため、出願者は、次の方法で
pMON1001プラスミドから約500bpほど削除
する。第1にpMON 1001をNPT II遺伝子
の外側にある独自のSma1限定部位で分解する。次
に、10−mer合成ヌクレオチド連鎖(リンカー) 5′CCGGATCCGG GGCCTAGGCCを Sma1分割部位に挿入する。これはSma1分割部位
を除去し、それをBamHI分割部位で置換する。第2
のBamHI分割部位はすでにあり、新しい分割部位か
ら約500bpである。出願者はBamHIからプラス
ミドを分解し、4.2kb断片から500bp断片を分
離し、4.2kb断片を円形化する。起因プラスミド
は、E.coliに挿入され、これはそれからアムピシ
リン、カナマイシンに抵抗性があるとして選択される。
E.coliのクローンコロニーは選択され、図6に示
されるように、これらの細胞はpMON40と命名され
るプラスミドを含んでいる。前述したステップは図2に
ステップ48、50としてあらわされている。
【0106】プラスミドpMON40へのNOSプロモ
ーターの挿入 出願人はpMON40からNPT IIプロモーターを
削除し、それを図7に示すごとく次の方法で前記のごと
きNOSプロモーター断片と置き換えた。あらかじめの
開裂と配列決定実験は(Rao及びRogers197
9、Auerswald他、1980)Bgl II開
裂部位がプロモーター領域と構造配列との間のNPT
II遺伝子に存在することを示した。プラスミドpMO
N40はBgl IIで消化した。粘着末端を次に開裂
プラスミドをクレノウポリメラーゼおよび4つのdNT
P′sと混合することにより満たし、次の平滑末端を得
た。
【0107】
【化5】5′−AGATC GATCT− −TCTAG CTAGA−5′
【0108】ポリメラーゼおよびdNTP′sを除き、
次いで開裂プラスミドをEcoRIで消化した。NPT
IIプロモーター領域を含むより小さい断片を除き、
1個のEcoRI末端と1個の平滑末端を有する大きな
断片をのこす。この大きな断片を前記の、図5に示した
NOSプロモーターを含む308bp断片と混合した。
この断片をリゲートし、E.coliに挿入した。E.
coliクローンをアンピシリン耐性に対して選択し
た。NPT IIプロモーター領域(細菌プロモータ
ー)のNOSプロモーター領域(これは植物細胞におい
てのみ活性であると信じられる)での置換えはNPT
II構造配列をE.coli中で不活性ならしめた。3
6個のカナマイシン感受性クローンからプラスミドを得
た。1個のクローンからのプラスミドをpMON58と
命名し、以下の工程に用いた。
【0109】次の工程を図2に工程52および54とし
て表す。プラスミドpMON58を消化してNOSプロ
モーター領域、NOS5′−非翻訳領域およびNPT
II構造配列を含む1.3kbのEcoRI−BamH
I断片を得る。この工程は工程56として図2に示す。
【0110】NOS3′配列をNPT II遺伝子に挿
「背景技術」で既述したように、真核遺伝子における
3′非翻訳領域の機能は十分理解されていない。しか
し、少なくとも1つの重要な配列、ポリ−アデニールシ
グナルを含むと考えられている。本発明者の推測によれ
ば、細菌性3′非翻訳領域を有する遺伝子は、植物に発
現されることが知られている、NOSの如き遺伝子由来
の3′非翻訳領域を有する同一遺伝子ほどには植物細胞
にて有効に発現されなかったのであろう。したがって、
本発明者は既に存在するNPT II3′非翻訳領域以
外に、キメラ遺伝子にNOS3′非翻訳領域を加えるこ
とを決定した。別法として、本明細書で記述する方法を
使って、NPT II又はその他の存在する3′非翻訳
領域を除きかつ植物細胞にて発現されることが知られて
いる、目的の3′非翻訳領域でそれを置換することが可
能である。各種型の3′非翻訳領域(例えばオクトピン
型又はアグロピン型Tiプラスミドからの3′領域、又
は植物細胞中に通常存在する遺伝子からの3′領域)
が、任意のキメラ遺伝子、任意の特定の植物細胞に使用
するのに適しているか、あるいは望ましいかは本発明方
法を使って通常の実験により、当業者により測定するこ
とができる。
【0111】植物細胞に挿入されるべき構造配列に当然
に続く3′非翻訳領域はその型の植物細胞にてその構造
配列の有効な発現を促進するかどうかは、当業者は常法
の実験で測定することができる。もしそうなら、異なる
3′非翻訳領域をキメラ遺伝子に挿入するのに要する数
工程は、本発明方法を行うために必要としないであろ
う。
【0112】前述した如く、pMON58から、NPT
IIの構造的シークエンスに結合するために適当なN
OS3′の翻訳されていない領域を含むDNAフラグメ
ントを得るために、本発明者は、図3に示されたTiプ
ラスミドからの3.4kbHind III−23フラ
グメントを利用した。この3.4kbフラグメントを分
離し、BamHIを用いてダイジェストして、NOSの
構造的シークエンス〔停止コドン(stop codo
n)を含んでいる〕の3′部分およびNOS遺伝子の翻
訳されない3′部分(ポリ−アデニレーションシグナル
を含んでいる)を得た。この1.1kbフラグメント
を、Hind IIIおよびBamHIでダイジェスト
されたpBR327中に入れた。この結果得られたプラ
スミドを、図8に示した如くpMON42として示し
た。
【0113】プラスミドpMON42をBamHIおよ
びRsaIでダイジェストし、所望の翻訳されないNO
S3′領域を含む720bpフラグメントをゲル中で精
製した。この720bpフラグメントを、他のエンドヌ
クレアーゼ、MboIでダイジェストし、次いでE.c
oli DNAポリメラーゼIの大きなフラグメントで
処理した。これにより、ポリ−Aシグナルを含有する翻
訳されないNOS3′領域の大きな部分を含む、Mbo
I平滑末端(blunt ends)を有する260b
pフラグメントを得た。
【0114】前記操作を図2中に工程58によって示し
た。しかし、種々な変法を用いることができることは容
易に理解されるであろう。例えば、Hind III−
23フラグメントを、MboIで直接ダイジェストし、
翻訳されないNOS3′領域を有する所望の260bp
フラグメントを得ることが可能である。
【0115】キメラ遺伝子のアセンブリー キメラ遺伝子のアセンブリーを完成させるために、(翻
訳されないNOS3′領域を含んでいた)260bpM
boIフラグメントを、pMON58由来の〔NOSプ
ロモーター(promoter)領域および翻訳されな
い5′領域およびNPT II構造的シークエンスを含
んでいた〕1.3kb EcoRI−BamHIフラグ
メントに、連結することが必要であった。この連結を容
易にし、かつフラグメントの配向を調節するために、本
発明者は、260bpフラグメントのMboI末端をB
amHI末端(フラグメントの5′末端)およびEco
RI末端(フラグメントの3′末端)に変換することに
決定した。この工程を実施するために、本発明者は次の
方法を使用した。
【0116】前記260bpMboIフラグメントは、
その末端がクレノウ・ポリメラーゼ(Klenow p
olymerase)によって平滑末端に変更されてお
り、M13mp8DNAのSmaI切断部位に挿入され
ている。前記SmaI切断部位は図8に示されているよ
うに、M13mp8DNAの中に存在する他の色々な切
断部位に囲まれている。MboIフラグメントは、平滑
SmaI末端に、どちらの方向からでも挿入することが
可能である。各種の異なるクローンにおけるMboIフ
ラグメントのオリエンテーション(orientati
on)はMboIフラグメントの中に不整的(assy
metrically)に存在するHinfI切断部位
を用いて検出された。前記M13mp8DNAの中でE
coRI切断部位近くに存在するNOS3′−非翻訳領
域の3′末端を有するクローンが選ばれた。このクロー
ンは図8に示されたように、M−2クローンと命名され
た。
【0117】前記M−2クローンから得られる複製型の
(二重らせん)DNAはEcoRIおよびBamHIに
よって分解され、280bpフラグメント(断片)が分
離された。いっぽう、pMON58プラスミドがEco
RIおよびBamHIによって分解され、1300bp
フラグメントが分離された。前記2個のフラグメントを
結合して、図9に示されるように、EcoRI末端を有
するNOS−NPTII−NOSキメラ遺伝子の組立を
完了した。
【0118】前記2個のフラグメントの結合をコントロ
ールする種々の方法がある。例えば、2個のEcoRI
−BamHIフラグメントは相互にDNAリガーゼを用
いて結合させ、EcoRIを切断することが可能であ
る。EcoRIを不活性化させた後、子牛アルカリ・ホ
スファターゼ〔calf alkaline phos
phatase(CAP)〕で処理されたEcoRI末
端を有するベクター分子を前述の混合物中に添加しても
よい。前記混合物中のフラグメントは、種々のオリエン
テーションに結合させることができる。前述のプラスミ
ド混合物は大腸菌(coli)を形質変換させるた
めに用いられ、所望のオリエンテーションを有するプラ
スミドを含む細胞は、下記に説明されるように選択さ
れ、分別された。
【0119】pMON38と命名されたプラスミドは、
前記のHind III−23フラグメント(Tiプラ
スミドpTiT37から得られたもの)を、前記プラス
ミドpBR327のHind III切断部位に挿入す
ることにより創製した。プラスミドpMON38は、固
有のEcoRI部位および大腸菌(coli)で発
現するアムピシリン耐性遺伝子を含んでいる。プラスミ
ドpMON38はEcoRIで切断され、それ自身が再
結合することを防止するためにアルカリ・ホスファター
ゼで処理される。〔米国特許第4,264,731(S
hine、1981)参照〕。得られたフラグメントは
pMON58から得られた1300bpNOS−NPT
IIならびに、前述のパラグラフにて説明されたよう
に結合され、EcoRI−切断して得られたM−2から
製造された280bpNOSフラグメントと混合され
た。前記のフラグメントは結合され、大腸菌(co
li)の中に挿入された。完全なプラスミドとアムピシ
リン−耐性遺伝子を獲得した前記の大腸菌(col
)細胞はアムピシリンを含む板上で選別された。数個
のクローンが選別され、挿入されたキメラ遺伝子のオリ
エンテーションは、切断実験により評価した。相反する
オリエンテーションを有するNOS−NPTII−NO
S挿入物を保有するプラスミドを有する2個のクローン
が選別され、それぞれpMON75およびpMON76
と命名された。キメラ遺伝子はpMON75またはpM
ON76のいずれか一方をEcoRIで分解し、158
0bpフラグメントを精製することによって分離するこ
とが可能である。
【0120】上記方法はステップ60により図2上に表
される。これはNOS−NPT II−NOSキメラ遺
伝子の議論を完成する。この遺伝子の創製についての追
加の情報は実施例において提供される。このキメラ遺伝
子のコピーはプラスミドpMON 128に含有され
る;それはEcoRIを用いてのダイジェスションによ
りpMON 128から取出すことができる。pMON
128を含有するE.coliのカルチャーはアメリ
カンタイプコレクションで寄託された;このカルチャー
はアクセッション番号39264がわりあてられた。
【0121】このキメラ遺伝子の利用性を証明するため
に、出願人はそれを植物細胞に挿入した。NPT II
構造的配列は、植物細胞において発現され、そしてそれ
らおよびそれらの子孫に、植物細胞に対して通常毒であ
るカナマイシンの濃度に対する抵抗性を獲得せしめた。
【0122】NPT Iキメラ遺伝子の創製 本発明の別の好ましい態様において (1)NOSプロモーター領域及び5′非翻訳領域、 (2)NPT Iをコードする構造配列、及び (3)NOS3′非翻訳領域 を含むキメラ遺伝子を作製した。
【0123】NPT I及びNPT IIはそれらのア
ミノ酸配列及び基質特異性において主要な差異を有する
異なった且つ区別される酵素である。例えば、イー・ベ
ック等、1982を参照せよ。種々のタイプの植物細胞
におけるこれらの2種の酵素の相対的安定性及び活性は
また十分に理解されていないそしてNPT Iは或るタ
イプの実験及び植物の形質転換において使用するために
NPT IIより好ましいかもしれない。
【0124】完全NPT I遺伝子を含む1200bp
フラグメントはpACYC177(チャン及びコーエン
(Chang and Cohen)1978)をエン
ドヌクレアーゼAva IIで分解することによって得
られた。Ava IIの末端をクレノウ(Kleno
w)ポリメラーゼで平滑末端に変換しそして合成リンカ
ー(Synthetic linker)を用いてBa
mHI末端に変換した。このフラグメントを図11に示
したように、pBR327から得られたプラスミド中の
唯一のBamHIサイト(site)中に挿入した。得
られたプラスミドをpMON66と命名した。
【0125】プラスミドpMON57(図11で示した
pBR327のデリーション(deletion)誘導
体)をAva IIで分解した。pMON57の225
bpフラグメントをプラスミドpUC8(フィエイラお
よびメシング(Vieiraand Messing)
1982)から得た225bp Ava IIフラグメ
ント同族体で置き換え、Pst I開裂部位をもたない
pMON57の誘導体を得た。このプラスミドをpMO
N67と命名した。
【0126】プラスミドpMON58(前述及び図7に
示した)をEcoRI及びBamHIで分解し、NOS
プロモーターとNP III構造配列を有する1300
bpフラグメントを得た。このフラグメントをEcoR
I及びBamHIで分解されたpMON67中に挿入し
た。得られたプラスミドをpMON73と命名し図12
に示した。
【0127】pMON73をPstIとBamHIで分
解し、NOSプロモーター領域と5′非翻訳領域を含む
2.4kbフラグメントを分解した。プラスミドをpM
ON66(図11に示した)Xho I及びBamHI
で分解し、NPT Iの構造配列を含む950bpフラ
グメントを得た。このフラグメントは構造配列の5′末
端で約30のヌクレオチドを欠落していた。欠落塩基を
含有し、適切なPstI及びXho I末端を有する合
成リンカーを作成した。pMON77フラグメント、p
MON66フラグメント及び合成リンカーを一緒に結合
せしめて図13に示すプラスミドをpMON78を得
た。このプラスミドはNOSプロモーター領域と、NP
T I構造配列と結合している5′非翻訳領域を含有す
る。ATG開始コドンはNOS構造配列のATG開始コ
ドンが占める位置と同一位置であった。
【0128】プラスミドpMON78をEcoRI及び
BamHIでダイジェストし、キメラNOS−NPT
I領域を有する1300bpフラグメントを製出した。
M−2クローン(前述しかつ図9に示した)からの二重
鎖DNAをEcoRI及びBamHIでダイジェスト
し、ポリ−アデニレーションシグナルを有しかつNOS
3′非翻訳領域を有する280bpフラグメントを製出
した。上部の二種のフラグメントを共にリゲイトし、R
coRIでダイジェストされた(前述の)プラスミドp
MON38中に入れられたNOS−NPT I−NOS
キメラ遺伝子を造った。この結果得られた、反対の配向
を有するキメラ遺伝子のインサートを有する二種のプラ
スミドを図14中にpMON106およびpMON10
7として示した。
【0129】プラスミドpMON 106またはpMO
N 107のいずれかをEcoRIで消化し、キメラN
OS−NPT I−NOS遺伝子を含む1.6kb断片
をつくる。この断片を、EcoRIで消化しそしてアル
カリホスファターゼで処理したプラスミドpMON 1
20に挿入する。得られたプラスミドは反対方向をもつ
挿入物を有し、図15に示すごとくpMON130及び
pMON131と命名した。
【0130】NOS−NPT I−NOSキメラ遺伝子
を植物細胞に挿入した。これはカナマイシンに対する耐
性を獲得した。これは植物細胞におけるキメラ遺伝子の
発現を示す。
【0131】大豆プロモーターによるキメラ遺伝子の製
本発明の別の望ましい具体例として、(1)大豆中に天
然に存在する遺伝子から得られるプロモーター領域及び
5′非翻訳領域〔この遺伝子はリブロース−1,5−ビ
ス−ホスフェートカルボキシラーゼの小さなサブユニッ
ト(sbss、大豆の小さなサブユニットとして)をコ
ードする〕、(2)NPT IIをコードする構造配列
及び(3)NOS3′非翻訳領域からなるキメラ遺伝子
をつくった。
【0132】sbss遺伝子は光合成炭素固定に包含さ
れる大豆の葉における蛋白質についてコードする。この
sbss蛋白は大豆の葉において、最も豊富な蛋白質で
ある(全体の葉蛋白質の約10%にのぼる)ので、sb
ssプロモーター領域は多産の転写を惹起する。
【0133】大豆のゲノム中のsbss蛋白質をコード
するほぼ六つの遺伝子があると信じられている。sbs
s遺伝子ファミリーのメンバーの一つ、SRS1(高度
に大豆の葉中に転写されている)はクローンされかつ特
徴づけられた。プロモーター領域5′非翻訳領域および
構造的配列の部分はプラスミドpBR325(Boli
ver、1978)のEcoRIサイト中にサブクロー
ンされた2.1kbEcoRIフラグメント上に含有さ
れる。得られたプラスミドpSRS2.1は米国ジョー
ジア州アゼンス所在ジョージア大学のR.B.Meag
her博士からモンサント社に贈呈された。pSRS
2.1からの2.1kb EcoRIフラグメントは図
16に示されている。
【0134】プラスミドpSRS2.1はダムE.co
li細胞から造られ、800bpフラグメントを得るた
めにMbo Iを以てクリーブ(切断)された。このフ
ラグメントはBgl IIを以てクリーブされたプラス
ミドpKC7(RaoおよびRogers、1979)
中にインサートされた。得られたプラスミドは図17に
示されるようにpMON 121と命名された。
【0135】プラスミドpMON 121はEcoRI
でダイジェストされ、そしてsbssプロモーター領域
を含有する1200bpフラグメントは単離された。別
にプラスミドpMON75(前述され図9に示された)
はEcoRIでおよびBglIIを以てダイジェストさ
れ、そして1250bpフラグメントはNPT II構
造配列およびNOS3′非翻訳領域を含有して単離され
た。この二つのフラグメントは相容性のBclI/Bg
lIIオーバーハングスで結紮されてsbss−NPT
II−NOSキメラ遺伝子を含有する2450bpフ
ラグメントを創出した。このフラグメントはEcoRI
でクリーブされたpMON 120中にインサートされ
て、図18に示されるように、反対のオリエンテーショ
ンを有するキメラ遺伝子を有する二つのプラスミドを創
出した。プラスミドはpMON141およびpMON
142と命名された。
【0136】sbss−NPT II−NOSキメラ遺
伝子が、二・三のタイプの植物細胞に挿入され、該植物
細胞がカナマシン耐性を持つようにする。この成功理の
転換は、一つのタイプの植物からのプロモーター領域
が、完全に異なる属、科及び目の植物からの植物細胞内
の遺伝子を発現させることができることを証明した。
【0137】キメラsbss−NPT II−NOS遺
伝子はまた、もう一つの有意な特徴を有していた。シー
クエンシング実験は、800bp Mbo I断片がs
bss構造配列のATG開始コドンを含有していたこと
を示した。この開始コドンを除くよりもむしろ、出願人
は読み取り枠内の開始コドンの後に停止コドンを挿入す
ることに決定した。これはジシストロニックmRNA配
列を創り出した。該配列はsbssポリペプタイドのト
ランケーテッドアミノ部分と完全NPT IIポリペプ
タイドとをコードした。NPT IIポリペプタイドの
発現は、ジシストロニックmRNAが植物細胞内で翻訳
されうることを最初に立証した。
【0138】sbssプロモーターは以下に述べられる
プラスミドpMON154に含有される。このプラスミ
ドを含有するE.coliの培養物はアメリカンタイプ
カルチャーコレクションに寄託されている。この培養物
は受付番号39265となった。
【0139】BGHキメラ遺伝子の製造 本発明の代わりの好ましい具体例において、(1)sb
ssプロモーター領域及び5′非翻訳領域、(2)ボビ
ン(ウシ)成長ホルモン(BGH)をコードする構造配
列、及び(3)NOS3′非翻訳領域、を含むキメラ遺
伝子が製造された。このキメラ遺伝子は次の如く製造さ
れた。
【0140】このポリぺプチドである牛成長ホルモン
(例えば1982年O Woychikらの著書参照)
をコードする構造配列がpBR322−誘導プラスミド
に挿入された。得られたプラスミドをプラスミドCP−
1と命名した。このプラスミドをEcoRIとHind
IIIで消化し、上記構造配列を含有する570bp
のフラグメントを得た。二重ストランドになっているM
−2RF DNA(既に記載し図8に示したもの)をE
coRIとHind IIIで開裂し、ポリ−アデニル
化シグナルを有するNOS3′の翻訳されていない領域
を含む290bpのフラグメントを得た。2つのフラグ
メントをリガーゼで結合しEcoRIで消化してEco
RI端部を有する860bpのフラグメントを生成させ
た。これはNOS3′の翻訳されない領域に結合された
BGH−コーディング構造配列を含んでいた。このフラ
グメントをEcoRIで消化され、アルカリ性ホスファ
ターゼで処理されているプラスミドpMON38中に挿
入し、図19に示され、pMON108と命名される新
規プラスミドを生成させた。
【0141】pMON108をEcoRIで消化し86
0bpのフラグメントを得ることにより、そして生成す
るEcoRIフラグメント上に平滑末端(blunt
ends)を生じさせるためにKlenowポリメラー
ゼを用いて、特異なBg IIIレストラクションサイ
トをBGH構造配列の5′端部に導入した。このフラグ
メントをリガーゼでプラスミドN25(BamHIサイ
トに挿入それたBgIII及びXba Iを運搬する合
成リンカーを含有するpBR327誘導体)に結合させ
た。なおこのプラスミドはXba Iであらかじめ開裂
され、Klenowポリメラーゼで処理されて平滑末端
を得たものである(N25はXbaIサイトから12塩
基だけはなれた特異なBg IIIサイトを含有す
る)。図20に示されたオリエンテーションにおいて8
60bpのBGH−NOSフラグメントを含有する、生
成プラスミドをプラスミドN25−BGHと命名した。
このプラスミドはBGH構造配列の5′端部から約25
塩基はなれた特異なBglII開裂サイトを含有する。
【0142】dam−E.coli細胞より調製された
プラスミドN25−BGHはBgIII及びCla I
により消化され860bp断片を生成し、この断片はN
OS3′の翻訳されない領域についているBGH構造配
列を含んでいた。一方、別にdam−E.coli細胞
よりプラスミドpMON121(既述及び図17を参
照)を調製しCla I及びBcl Iで消化されsb
ssプロモーター領域を含む1100bp断片を生成し
た。この断片は相応するBcl I/BelIIオーバ
ーハング(overhang)に於てリガーゼで結合さ
れ、ClaIで消化されてキメラ的sbss−BGH−
NOS遺伝子を含む約2kbのCla I断片を生成し
た。この断片は予めCla Iにより消化されたpMO
N120(既述、図10参照)にインサートされた。図
21に示される如く生成されたプラスミド、逆方向に
(inoppositedirections)キメラ
的遺伝子をインサートされたものはpMON147及び
pMON148と命名された。
【0143】図22に示す方法で別のキメラ的BGH遺
伝子、即ち (1)NOSプロモーター領域及び5′非翻訳領域 (2)GBHをコードする構造配列、及び (3)NOS3′非翻訳領域 を創製した。
【0144】プラスミドpMON76(上述及び図9参
照)はEcoRI及びBgl IIで消化されNOSプ
ロモーター領域及び5′非翻訳領域を含む308bp断
片を生成した。dam−E.coli細胞より調製され
たプラスミドN25−BGH(上述及び図20参照)は
Bgl II及びCla Iにより消化されBGH構造
配列及びNOS非翻訳領域を含む900bp断片が生成
された。この2断片はリガーゼで結合されEcoRI及
びCla I端をもつ断片の中にキメラ的NOS−BG
H−NOS遺伝子が得られた。この断片はpMON12
0をEcoRI及びCla Iで消化して得られた8k
b断片と結合された。結果として生成したプラスミドは
pMON149と命名され図22に示されている。
【0145】キメラNOS−EPSP−NOS遺伝子の
創製 他の、好ましい具体例として、(1)NOSプロモータ
ー領域と5′非翻訳領域、(2)大腸菌酵素、5−エノ
ールピルビルシキメート−3−リン酸シンテーゼ(EP
SP酵素)をコードする構造配列、(3)NOS3′非
翻訳領域とから成るキメラ遺伝子を創製した。
【0146】EPSPシンテーゼは、モンサント社から
「ラウンドアップ」の登録商標で市販されている除草
剤、glyphosateの標的酵素と考えられてい
る。glyphosateはEPSPシンテーゼ活性を
抑制することが知られており(Amrhein他、19
80)、細菌中のEPSPシンテーゼ遺伝子の増殖が、
そのglyphosateに対する耐性を増大すること
も知られている。それ故、植物中のEPSPシンテーゼ
活性の水準を増加することが、形質転換された植物に、
glyphosate耐性を付与するのであろう。gl
yphosateは大抵の植物に有毒であるから、これ
は雑草の防除に有益な手段を与える。EPSPシンテー
ゼ活性を増大する様に形質転換された、目的の作物の種
子を、畠に播く。glyphosateを、形質転換さ
れない植物を全部、絶滅する濃度で畠に施し、形質転換
された植物を、被害を受けずに残すことが出来よう。
【0147】EPSPシンテーゼ遺伝子は、次の方法を
含む各種の方法で単離することが出来る。大腸菌DNA
のHind III切断により作られた各種のDNA断
片を有するλファージライブラリを創製することが出来
る。例えばManiatis他、1982を参照。
【0148】EPSPシンテーゼ遺伝子は、芳香族アミ
ノ酸の生成に関与する遺伝子の一種である。これらの遺
伝子は「アロ」遺伝子と呼ばれ、EPSPシンテーゼは
aro Aと呼ばれる。機能的アロ遺伝子を含まない細
胞はアロー細胞と呼ばれる。アロー細胞は通常、芳香族
アミノ酸を補給した培地で生育されなければならない。
Pittard及びWallis、1966を参照。
【0149】EPSPシンテーゼ遺伝子を持たない変異
大腸菌細胞に感染させるのに、各種Hind III断
片を持つ異なったλファージを用いることが出来よう。
感染したアロー細胞を芳香族アミノ酸を含まない培地で
培養し、この様な培地で生育し得る形質転換されたアロ
+クローンを選択することが出来よう。この様なクロー
ンはEPSPシンテーゼ遺伝子を含む可能性が強い。こ
の様なクローンからファージ粒子を単離し、この様なフ
ァージからDNAを単離することが出来よう。ファージ
DNAは1、またはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼ
で切断され、何回かの分析過程により、EPSPシンテ
ーゼ遺伝子を含む断片を単離することが出来よう。
【0150】上記に要約したのと同様の操作を用いて、
申請人は、全大腸菌EPSPシンテーゼ遺伝子を含む1
1kbのHind III断片を単離した。この断片を
BgIIIで消化して、全EPSPシンテーゼ遺伝子を
含む、3.5kbのHindIII−Bg III断片
を生成させた。この3.5kb断片をプラスミドpKC
7(Rao及びRogers、1979)に挿入して、
図23に示すプラスミドpMON4を生成させた。
【0151】プラスミドpMON4をCla Iで消化
して、EPSPシンテーゼ構造配列を含む2.5kbの
断片を得た。この断片をCla Iで消化したpBR3
27に挿入し、図23に示すpMON8を創製した。p
MON8をBamHIとNde Iで消化して、4.9
kb断片を得た。この断片は、EPSPシンテーゼ構造
順列のアミノ末端を記号化する約200のヌクレオチド
を欠いていた。
【0152】不在のヌクレオチドは、図24に示す様に
pMON8から得られるHinfI/Nde I断片
と、(1)EPSPシンテーゼの出発コドンと最初の3
つのヌクレオチド、(2)特異Bg IIIサイト、
(3)適当なBamHIとHinf I末端を含む合成
オリゴヌクレオチド順列を連結することによって置き換
えられた。その結果出来上がったプラスミド、pMON
25は、そのままのEPSPシンテーゼ構造順列と、出
発コドンの付近に位置する特異なBamHIとBg I
IIとを含んでいる。二重鎖M−2DNA(前述し、図
8に示した)をHind IIIとEcoRIで消化
し、NOS3′非翻訳領域とポリアデニル化信号を含む
290bp断片を得た。この断片を、EcoRIとHi
nd IIIで消化したpMON25プラスミドに導入
し、NOS3′非翻訳領域に接合したEPSP構造順列
を含むpMON146(図25に示す)と呼ばれるプラ
スミドを創製した。
【0153】pMON146をCla IとBg II
Iで切断し、NOS3′非翻訳領域に接合したEPSP
構造配列を持つ2.3kb断片を得た。pMON76
(前述し、図9に示した)をBg IIIとEcoRI
で消化し、NOSプロモーター領域と5′−非翻訳領域
を含む310bp断片を創製した。これらの断片をCl
a IとEcoRIで消化したpMON120(図10
に前述し、示した)と混合し、混合物を連結した。その
結果、出来上がったプラスミドをpMON153と命名
し、図26に示す。このプラスミドはキメラNOS−E
PSP−NOS遺伝子を含む。
【0154】キメラsbss−EPSP−NOS遺伝子
を含むプラスミドは図27に示す様に、次の方法で作ら
れた。プラスミドpMON146(前述し、図25に示
した)をCla IとBg IIIで消化し、2.3k
b断片を精製した。この断片は、ポリアデニル化信号を
持つNOS3′非翻訳領域に接合したEPSPシンテー
ゼ構造配列を含んでいた。プラスミドpMON121
(上記に前述し、図17に示した)をCla IとBc
IIで消化、1.1kb断片を精製した。この断片は
sbssプロモーター領域と5′−非翻訳領域とを含ん
でいる。2種の断片を混合し、T4DNAリガーゼで連
結し、次いでCla Iで消化した。これによって共存
的Bgl IIおよびBcl I末端で結合したキメラ
sbss−EPSP−NOS遺伝子が創製された。この
Cla I末端を持つキメラ遺伝子をCla Iで消化
され、仔牛アルカリ・フォスファターゼ(CAP)で処
理されたプラスミドpMON120に挿入した。この混
合物をT4DNAリガーゼで連結した。その結果、出来
上がった断片とプラスミドの混合物をスペクチノマイシ
ン耐性のために選択された大腸菌細胞を形質転換するの
に使用した。耐性細胞の集落を単離し、この集落中のプ
ラスミドを、図27に示す様に、pMON154と呼ぶ
ことにした。
【0155】pMON154を含む大腸菌の培養物を、
American Type Culture Cen
terに寄託した。この培養物は受入番号39265を
与えられた。
【0156】CaMV(19S)−NPT II−NO
S遺伝子の創製 この発明の他の好ましい具体例として、次の要素を含む
キメラ遺伝子が創製された。 1.プロモーター領域と、p66蛋白質をコードする
aMV(19S)遺伝子由来の5′非翻訳領域 2.NPT II遺伝子の所要のATG出発コドンの直
ぐ内側のTGA停止配列と同じ枠の中のATG出発コド
ンと、何個かの内部ATG順列を含むCaMV(19
S)遺伝子からの部分的暗号配列 3.ネオマイシン・フォスフォトランスフェラーゼII
(NPT II)遺伝子由来の構造配列。この順列は
NPT II構造順列内のTGA配列と同じ解読わく内
の疑似ATG配列によって先行された。 4.Nopalineシンテーゼ(NOS)遺伝子由来
のポリアデニル化信号を含む3′非翻訳領域。
【0157】ここでCaMV(19S)−NPT II
−NOS遺伝子と呼ぶキメラ遺伝子を、プラミドpMO
N120に挿入し、図29に示し、9例に記述するpM
ON156と呼ばれるプラスミドを創製した。プラスミ
ドpMON156を、A.tumefaciens細胞
に挿入し、そこでA.tumefaciens細胞内の
Tiプラスミドとの単回交叉により、共同組込みTiプ
ラスミドが形成された。共同組込みプラスミド中のキメ
ラ遺伝子は、Tiプラスミド中の修正T−DNA領域内
にあり、左右のT−DNA境界に囲まれていた。
【0158】同様のキメラ遺伝子が、図32に示し、1
0例に記述するpMON155と呼ばれるプラスミド中
で創製され、組み合わされた。このキメラ遺伝子は2つ
の例外の点を除いてpMON156内の遺伝子に似てい
た。
【0159】1.3個の解読わくの全部に停止コドンを
有するオリゴヌクレオチドリンカーが、CaMV(19
S)部分的構造順列とNPT II構造配列の間に挿入
されたこと。 2.NPT II構造配列の5′側の疑似ATG順列が
除かれたこと。 このキメラ遺伝子の構造を、10例に記述した。この遺
伝子はA.tumefaciens細胞に、次いで植物
細胞に挿入された。その発現水準は、より高濃度のカナ
マイシンでの生長で定量される様に、pMON156内
の同様な遺伝子よりも、明らかに高かった。共同組込み
Ti::pMON155プラスミドを含むA.tume
faciens細胞は、American Type
Culture Centerに寄託され、受入番号3
9336が与えられた。
【0160】キメラCaMV(32S)−NPT II
−NOS遺伝子の創製 この発明の、他の好ましい具体例では、 (1)32S CaMV mRNAの転写を起こすプロ
モーター領域 (2)NPT IIをコードする構造配列 (3)NOS3′非翻訳領域 より成るキメラ遺伝子が創製された。このキメラ遺伝子
の組み合わせは、11例と、図33〜図37に記述され
ている。この遺伝子は植物細胞に挿入され、その植物を
カナマイシン耐性にした。
【0161】ペチュニア植物は通常、CaMVに感染し
ない。この技術に卓越した人々は、一定の実験手段によ
って、何か特別の植物ビールス・プロモーター(CaM
Vプロモーターの様な)が、そのプロモーターが得られ
たビールスの通常の宿主範囲以外の植物細胞を含む、何
等かの型の植物細胞内で、満足すべき水準で機能するか
否かを決定することが出来よう。
【0162】キメラ遺伝子を植物細胞に挿入する方法 異種のDNAを植物細胞中に挿入するいくつかの方法が
知られている。出願人によって用いられた一つの方法
は、キメラ遺伝子を、A.tumefaciensを担
体としたTiプラスミドに挿入し、A.tumefac
iens細胞を植物と共存培養する方式を含んでいた。
キメラ遺伝子を持つT−DNAの一片を植物ゲノムに移
し、形質転換を起こさせた。この方法は「植物細胞の形
質転換のためのプラセミド」Serial No.45
8,411と「遺伝的に形質転換された植物」Seri
al No.458,402の1983年1月17日付
出願の2つの米国特許出願に詳細に記述されている。以
下に各種の他の方法を記す。これらの方法は、今日迄に
達成された形質転換の効率は低いものの、理論的に、本
発明のキメラ遺伝子を植物細胞に挿入出来る方法であ
る。本発明のキメラ遺伝子(特に、選択標識として利用
されるNPTI及びNPT IIの様なキメラ遺伝子)
は、DNAを植物や植物細胞に挿入する方法の研究を便
ならしめると思われる。
【0163】1.DNAを植物細胞に挿入する他の一つ
の技術は、リポゾームとも呼ばれる脂質小胞の利用を含
む。リポゾームは1またはそれ以上のDNA分子をカプ
セル化するのに用いられる。リポゾームとそのDNA含
量は植物細胞に取り入れられる。例えばLurqui
n、1981を参照。若しも、挿入されたDNAが植物
ゲノムに併合され、複製され、遺伝されれば、植物細胞
は形質転換される。今日までリポゾームを用いてDNA
を植物細胞に届けようという努力は大きな成果を挙げて
いない(Fraley及びPapaphadjopou
los、1981)。比較的小さなDNA分子だけが、
リポゾームで植物細胞に移し換えられているが、発現さ
れているものはない。しかし、リポゾーム送達技術は、
活発に開発されつつあり、本発明のキメラ遺伝子を含む
プラスミドをリポゾームを含む手段で植物細胞に移し換
えるために、種々の方法が開発される可能性が強い。
【0164】2.他の別の技術は、植物細胞を、(a)
poly−L−orvithne(Davey他、19
80)の様な多価カチオン物質か、(b)燐酸カルシウ
ム(Krens他、1982)で錯体としたDNAと接
触させることを含む。今日まで達成された形質転換の効
率は低いが、これらの方法はいまでも活発に研究されて
いる。
【0165】3.所要のプラスミドを含む細菌の植物細
胞との融合を含む方法が開発された。この様な方法は細
菌をスフェロプラスに、植物細胞を原形質体に転換する
ことを含む。これらの方法の両方とも、酵素消化を用い
て、細菌及び植物細胞から細胞壁バリヤーを除くのであ
る。2つの細胞型は、その後、ポリエチレングリコール
の様な化学薬品に暴露することによって融合される。H
asezawa他、1981を参照。今日までこの方法
で、達成された形質転換効率は低いが細 菌及び動物細
胞の融合を用いる同様の実験は良い結果を生んでいる。
Rass oulzadegan他、1982を参照。
【0166】4.遺伝的に動物細胞を形質転換するのに
用いられて、成功した他の2つの方法は(a)微小ガラ
ス針を用いるDNAの動物細胞への直接微量注入(Ca
pecchi、1980)と、(b)動物細胞によるD
NAの電流誘導取り込み(Worg及びNeuwan
n、1982)を含む。これらの技術の何れもが、今日
まで植物細胞の形質転換に用いられていないが、本発明
のキメラ遺伝子を植物細胞に挿入するのに有用であろ
う。
【0167】植物レギュレーターを同定するためのキメ
ラ遺伝子の利用 本発明のキメラ遺伝子をDNA配列の同定、単離、研究
に用いて、これらが植物細胞内で遺伝子の発現の促進や
他の調整が可能であるかどうかを決定することが出来
る。
【0168】例えば、どの様な細胞からのDNAでも部
分ヌクレアーゼ消化や他の方法を用いて、断片にするこ
とが出来る。DNA断片は、構造配列のATG出発コド
ンから、5′の方向に位置する特異切断部位で切断した
キメラ遺伝子の複数のコピーと混合される。出来れば、
構造配列は若し適当に転写されれば、ある種の抗生物質
に対する耐性を宿主に与えるポリぺプチドの様な選択標
識に、翻訳されるとよい。DNA混合物は連結されて、
プラスミドを形成し、そのプラスミドは、その抗生物質
に感受性のある植物細胞を形質転換するのに用いられ
る。この細胞は、その抗生物質の適当な濃度を含む培地
上で培養される。植物細胞は構造配列が転写され、抗生
物質に耐性を与えるポリぺプチドに翻訳される場合にの
み、生存し、再生する。これは挿入されたDNA断片が
遺伝子プロモーターの役割を果たす場合にのみ、起こる
と考えられる。耐性のある集落は更に、評価を受けて、
その通りであるか否かを決定するのに用いられる。
【0169】この技術を用いて、細菌、酵母、カビ、藻
やその他の微生物や動物細胞のプロモーター領域を評価
し、これらが又、植物細胞の各種の型で遺伝子プロモー
ターとして作用するか否かを決定することが出来る。
又、ある型の植物からのプロモーターを他の植物細胞の
型の中で評価することも出来る。同じ様な方法で、キメ
ラ遺伝子の切断サイトを変えることにより、どの様なD
NA配列でも、5′非翻訳領域、3′非翻訳領域、又は
他の調整配列の如何なる型でも、その挙動を評価するこ
とが出来る。
【0170】若し、望まれれば各種DNA配列の調整効
果の評価方法に部分キメラ遺伝子を用いることが出来
る。例えば、NOSプロモーター領域とNOS5′非翻
訳領域の両方又は一方をNOS−NPT II−NOS
キメラ遺伝子から除くことが出来る。これにより、NP
T II構造配列の前に切断サイトを有するがプロモー
ター領域をもたないキメラ遺伝子を創製することが出来
る。
【0171】挿入されたDNA断片が、(1)構造配列
の解読わくを変えるか、(2)ポリぺプチドのアミノ端
末を変える出発コドンを含む場合は、オリゴヌクレオチ
ドを切断サイトと構造配列の出発コドンの間に置くこと
が出来る。オリゴヌクレオチドはすべての3種の解読わ
くに停止コドンを含むであろう。それ故、若しも、出発
コドンが挿入されたDNA断片に含まれていれば、遺伝
子は2シストロン遺伝子であろう。最初のポリぺプチド
の末端は挿入された出発コドンの解読わくの中にあるど
ちらかの停止コドンになるであろう。第2の出発コドン
は選択標識酵素である別のポリぺプチドの翻訳を始める
であろう。
【0172】種々の句の意味 請求の範囲に用いられるいろいろな句は、請求の範囲の
意味、および適用範囲を明らかにするために、定義され
記述されなければならない。
【0173】どの特殊用語でもその意味は、この出願の
本文及び図に関して説明されなければならない。特に、
文献において矛盾して用いられるいろいろな用語が展開
することが認められる。たとえば、いろいろな意味が
“プロモーター”という語を発展させ、その語のあるも
のは5′−非翻訳領域を含み、またあるものは含まない
ということになる。説明によっておこる問題を努力して
さけるために、出願者は種々の用語を定義するよう試み
た。しかしながら、そのような定義は仮定されることな
く、あるいは包括的であるようにも意図されることな
く、適切な文献に照らして説明されなければならない。
【0174】“キメラ遺伝子”の語は、異なる独特な遺
伝子から誘導された、最低2つの部分を含む遺伝子とみ
なす。この中に用いられているように、この語は集合、
合成、あるいはその逆に人工の努力として生み出された
遺伝子、あるいはそこから複製または誘導されるいずれ
かの遺伝子に限定される。“人工の努力”はもしもそれ
が人間的努力、あるいは介在により引き起こされ、高め
られ、支配された状態のもとで起こった過程ならば、酵
素の、細胞の、また他の生物学的過程を含む;すなわち
自然な過程で単に作られただけの遺伝子は除外する。
【0175】ここに用いられているように、“遺伝子”
は当業者により遺伝子として順当に認められているDN
Aの断片に限定される。たとえばプラスミドは植物誘導
プロモーター領域及び異種構造シークエンスを含むが、
もし、それら2つの断片がプロモーター領域が構造シー
クエンスの転写を起こすようなプラスミドの中で互いに
位置しないならば、その時、その2つの断片は同じ遺伝
子に含まれたものとしてみなされることはない。
【0176】この発明はキメラ遺伝子に関するものであ
り、そのキメラ遺伝子は、それらプロモーター領域に関
しては“異種”である構造シークエンスを有する。これ
は少なくとも2型のキメラ遺伝子を含む。
【0177】1.植物細胞とは異種の遺伝子のDNA、
たとえばもしも哺乳類蛋白またはバクテリア蛋白を暗号
化する構造シークエンスが植物プロモーター領域に連ら
ならせられるならば、そのような遺伝子は異種とみなさ
れる。
【0178】2.異なる植物プロモーター領域により自
然に助長される植物細胞遺伝子、たとえば、もしも植物
蛋白を暗号化する構造シークエンスが順当に少量のプロ
モーターによって支配されれば、構造シークエンスは多
産プロモーターと一緒にされる。これは、より多量の構
造シークエンス転写をひきおこし、それにより高い蛋白
をもった植物の誘導が十分になる。そのような構造シー
クエンスは多産プロモーターに関しては異種とみなされ
る。
【0179】しかしながら、この発明にとって完全な構
造シークエンスが完全なプロモーター領域に異種である
ことは重要ではない。たとえば、この発明のキメラ遺伝
子は、“融合蛋白”、すなわち2つの別個の構造シーク
エンスから誘導されたポリぺプチド部分を含む蛋白に翻
訳されるように創製されてもよい。これは全部あるいは
一部の異種構造シークエンスを、植物遺伝子の構造シー
クエンス中の、その構造シークエンスの開始コドン後方
のどこかに挿入することにより完成される。
【0180】この中に用いられるように、“特定の遺伝
子から誘導されたプロモーター領域”という句は、1な
いしそれ以上の部分のプロモーター領域が特定の遺伝子
から誘導されている場合のプロモーター領域をその意味
に含む。たとえば、1ないしそれ以上の特定の植物誘導
プロモーター領域の部分(図1に示される介在領域8の
ような)は、特定の型の宿主細胞内において、得られた
キメラ遺伝子の発現を低減することのない異種構造シー
クエンスを含む遺伝子のような、異なる遺伝子から誘導
された1ないしそれ以上のシークエンスで置換されるこ
とが見出されるであろう。そのようなキメラ遺伝子は植
物誘導結合領域2、介在領域4、ならびに異種介在領域
8、5′−非翻訳領域10、および構造シークエンス1
4があとにつく転写開始シークエンス6を含む。そのよ
うなキメラ遺伝子はこの発明の範囲内である。
【0181】この中に用いられているように、“〜から
誘導された”という句は、広く解釈される。たとえば、
構造シークエンスは次のことを含むいろいろな過程によ
り特別な遺伝子“から誘導”される:
【0182】1.遺伝子は、プラスミド内挿入および細
胞培養によるプラスミド複製、試験管内複製、また他の
方法などのような種々の方法により再生産され、求めら
れるシークエンスはエンドヌクレアーゼ分解のような種
々の方法によりDNAコピーから得られる;
【0183】2.遺伝子により暗号化されたmRNAを
得、mRNAから相補的DNAを調製し、次いでcDN
Aをエンドヌクレアーゼ消化するなどの種々な方法で処
理する;
【0184】3.構造シークエンスにおける塩基配列を
エンドヌクレアーゼマッピングあるいはMaxam−G
ilbert法のような種々の方法で決定してもよい。
求められるシークエンスの複製または近似物であるDN
A鎖を化学合成、またオリゴヌクレオチド断片の結紮法
により創製してもよい。
【0185】4.塩基の構造シークエンスは、遺伝子コ
ードをポリぺプチド内のアミノ酸残基シークエンスに適
合することによりもとをたどれる。一般に、いろいろな
DNA構造シークエンスが重複する遺伝子コードのため
にポリぺプチドに対して決定される。これらの種々のも
ののうちから、塩基の求められるシークエンスが選択さ
れ、その(選択された)シークエンスを持つDNA鎖が
作られる。
【0186】もし求められるなら、どのDNAシークエ
ンスも存在塩基を、ある塩基と代えることにより修飾さ
れる。そのような修飾は多くの理由で行われる。たとえ
ば、シークエンス内の1またはそれ以上の塩基は特殊な
エンドヌクレアーゼの分割部位を作り、あるいは削除す
るために他の塩基と置換される。もう1つの例としてシ
ークエンス内の1ないしそれ以上の塩基がメッセンジャ
ーRNAの“茎と輪(ステムとループ)”構成の発生を
低減するために置換される。そのような修飾シークエン
スは、この発明の範囲内にある。
【0187】構造シークエンスはイントロンとエクソン
を含む;そのような構造シークエンスはDNAあるいは
第一転写mRNAから誘導される。別法として、1個以
上のイントロンの除去処理を受けたmRNAから、構造
シークエンスを誘導することもできる。
【0188】出願人はプラスミドpMON128および
pMON154を含むE.coli細胞の2つの培養物
をAmerican Type Culture Co
llection(ATCC)に預けている。これらの
細胞はATCC受託番号39264及び39265とし
て、それぞれ寄託されている。出願人はいずれの培養物
にも関連する特徴を持つ微生物培養物を請求した。この
中に用いられるように、細胞培養物の“関連する特質”
は、培養を、ここに含まれる情報により明らかにされ、
示唆され、あるいは可能にされる用法にかなったものと
するような特徴に限定される。培養物の多くの特質は当
業者に知られた技術により修飾される;たとえば、細胞
内への特定のプラスミドあるいは遺伝子の挿入により特
定の抗生物質に対して細胞が耐性を付与され、あるい
は、pMON128またはpMON154プラスミドが
指示細胞から移動され、また細胞の異なる菌株内に挿入
される。そのような変化はこの発明の範囲内にある。し
かもそれは非常に改良され、その改良が、この細胞培養
に接する多くの研究を経て起こることは疑う余地がな
い。
【0189】当業者は、ここに記述される特定の実施態
様の多数の等価物を、通常程度を越えない実験を使用し
て認識し、または確認することができるであろう。その
ような等価物はこの発明の範囲内にある。
【0190】
【実施例】 例1:pMON1001の創製 50マイクログラム(ug)のラムダフアージbbka
n−1DNA(Berg他、1975)は、100単位
のHind III(すべての制限的エンドヌクレアー
ゼはNew England Biolabs.Bev
erly,MAで得られ、別な方法で書かれていなけれ
ば、供給者の指示に従って緩衝剤と共に用いられる)を
用いて2時間、37℃で分解される。加熱不活性化(7
0℃、10分間)後、3.3kb Tn5Hind I
II断片はスクロース勾配上で純化される。1ugの純
化されたHind III断片はBamHI(2単位、
1時間、37℃)を用いて分解され、1.8kb断片を
生起させる。エンドヌクレアーゼを加熱不活性化する。
【0191】プラスミドpBR327(Soberon
他、1981)、1ugは、Hind IIIおよびB
amHI(各2単位、2時間、37℃)を用いて分解さ
れる。分解に続きエンドヌクレアーゼは加熱不活性化さ
れ、分割されたpBR327DNAはBamHI−Hi
nd III Tn5断片に加えられる。0.75mM
の濃度へのATP添加後、10単位のT4 DNAリガー
ゼ(Murray他、1979の方法により調製)が加
えられ、反応は16時間、12−14℃で続けられる。
1単位のT4 DNAリガーゼは5分間、22℃で1ug
のHind III−分割pBR327プラスミドの9
0%環化をなす。
【0192】結紮(連結)されたDNAはCaC12−シ
ョックE.coliC600recA56細胞(Man
iatis他、1982)を変換するのに用いられる。
ルリアブロス(LB)における1時間、37℃の発現
後、細胞は200ug/mlアムピシリンおよび40u
g/mlカナマイシンを含む固体LB媒地板上に広げら
れる。37℃、16時間の培養保育に続き数百のコロニ
ーが出現する。プラスミドミニプレプDNAはこれらの
うち6コロニーから準備された(Ish−Horowi
czとBurke、1981)。エンドヌクレアーゼ分
解は全6プラスミドが1.8kb Hind III−
BamHI断片を保持することを示す。これらの単離物
の1つが図6に示されるようにpMON1001と命名
される。
【0193】例2:pMON40の創製 5ugプラスミドpMON1001(例1に記述)は、
Sma Iを用いて分解される。反応はフェノール抽出
により終了、DNAはエタノールにより沈殿される。B
amHIリンカーCCGGATCCGG(0.1ug)
はATPおよびT4 ポリヌクレオチドキナーゼ(Bet
hesda Research Laborator
y,Rockville,MD)を用いてリン酸化され
ているが、それは1ugのpMON1001断片に加え
られる。混合物はT4 DNAリガーゼ(100単位)を
用いて18時間、14℃で処理される。DNAリガーゼ
を不活性化するために、70℃10分間加熱後、DNA
混合物はBamHIエンドヌクレアーゼ(20単位、3
時間、37℃)を用いて分解され、電気泳動により0.
5%アガロースゲル上で分離される。4.2kb Sm
a I−BamHIベクター断片に対応するバンドをゲ
ルから切出した。4.2kb断片はガラスビーズ上で吸
着により純化され(VogelsteinとGille
spie、1979)、エタノール沈殿され、ATPを
含む20ulのDNAリガーゼ緩衝剤中に再懸濁され
る。T4 DNAリガーゼ(20単位)が加えられ、混合
物は、15時間、室温でインキュベートされる。DNA
はルビジウム塩化物ショックE.coliC600細胞
と共にDNA形質転換のために混合される(Mania
tis他、1982)。1時間、37℃LB中で発現
後、細胞は200ug/mlのアムピシリンおよび20
ug/mlカナマイシンを含むLBプレート上に広げら
れる。プレートは37℃、16時間、インキュベートさ
れる。12のアムピシリン抵抗、カナマイシン抵抗コロ
ニーが選ばれ、2ml培養を育成し、ミニプラスミド調
製が行われる。プラスミドのエンドヌクレアーゼマッピ
ングは12のうちの10はSma I部位を有さず、単
一のBamHI部位を含むことを示し、かつ適切な大き
さ、4.2kbを有していた。10コロニーの1つから
のプラスミドは図6に示されるように、pMON40と
命名される。
【0194】例3:NOSプロモーター断片の創製 次のシークエンス5′−TGCAGATTATTTGC
−3′を有するオリゴヌクレオチドが合成される(Be
aucageとCarruther、1981、Ada
ms他1982により変更を加えた)。このオリゴヌク
レオチドは32p放射能ラベルを含む。この放射能ラベル
は5′シミジン残基にポリヌクレオチドキナーゼにより
加えられる。
【0195】S1Aと称されるM13mp7誘導体はW
ashington University,St.L
ouis,MOのM.BevanとM.−D.Chil
tonとにより出願人に提供された。出願人の知識と信
念のうち最良のものはS1ADNAが次の方法により得
られたことである。pTiT37プラスミドはHind
IIIを用いて分解され、3.4kb断片を単離して
Hind III−23断片と命名した。この断片はS
au3aを用いて分解され、Sau3a末端を有する3
44bp断片を生起する。この断片は二重鎖の複製可能
な形態のM13mp7ファージベクター由来のDNAに
挿入され(Messing他、1981)、それはBa
mHIを用いて切断される。344bp挿入のある2つ
の組みかえファージはNOSプロモーター断片のアンチ
センス鎖を含むものの1つを結果として生ずる。組みか
えファージはS1Aと命名され、クローンコピーが出願
人に与えられる。
【0196】出願人はS1A DNA(14.4ug;
6pmol)の単鎖形態を調製し、上述の20pmol
の14−merオリゴヌクレオチドと共にアニールする
(10分間、70℃、後室温にさます)。オリゴヌクレ
オチドは図4および図5で示されるように塩基286−
300の、Sau3a挿入物にアニールする。
【0197】200ulのS1Aテンプレートおよびア
ニール化オリゴヌクレオチドは、4dNTP′s(1m
M、2.5ulの最終濃度で出現)と50ulのKle
nowポリメラーゼと共に混合される。混合物は30分
間、室温でインキュベートされる。この間ポリメラーゼ
はdNTP′sをオリゴヌクレオチドの3′末端に加え
る。ポリメラーゼは加熱不活性化され(70℃、3分
間)、Hae III(160単位)が加えられる。混
合物はインキュベートされ(1時間、55℃)、Hae
IIIは不活性化され(70℃、3分間)、4dNT
P′s(1mM、12u)およびT4 DNAポリメラー
ゼ(50単位)が加えられる。混合物はインキュベート
され(1時間、37℃)、ポリメラーゼは不活性化(7
0℃、3分間)される。これは約570dpの断片を生
ずる。EcoRI(150単位)が加えられ、混合物は
インキュベート(1時間、37℃)され、EcoRIは
不活性化(70℃、3分間)される。
【0198】分別された混合物は25%グリセロールを
含む6%アクリラマイド上にて分けられる。オートラジ
オグラフィーは大きさ約310bpの放射能標識帯を示
す。この帯が切出される。前述の手順は図5に示され
る。
【0199】例4:pMON58の創製 5ugプラスミドpMON40(例2に記述)はBgl
II(10単位、1.5時間、37℃)を用いて分解
され、Bgl IIは不活性化(70℃、10分間)さ
れる。4dNTP′s(1mM、12ul)およびKl
enowポリメラーゼ(8単位)は加えられ、混合物は
インキュベートされ(37℃、40分間)され、ポリメ
ラーゼは不活性化(70℃、10分間)される。Eco
RI(10単位)が付加され、インキュベート(1時
間、37℃)されて、ウシアルカリフォスファターゼ
(CAP)が付加され、インキュベート(1時間、37
℃)される。約3.9kbの断片はNA−45膜を用い
てアガロースゲル上で純化される(Scheicher
とScheull,Keene NH)。断片(1.0
pM)は例3に記されたようにNOSプロモーター断片
(0.1pM)、T4 DNAリガーゼ(100単位)と
共に混合される。混合物はインキュベート(4℃、16
時間)される。得られたプラスミドはE.coli細胞
に挿入され、そのE.coli細胞は200ug/ml
アムピシリンを含む媒質上で選ばれる。36クローンA
mpR コロニーは選択され、ミニプレプラスミドはこれ
らのコロニーから作られる。1コロニーからのプラスミ
ドは308bpのEcoRI−Bgl II断片、30
8NOS断片に保持される新たなSst II切断部
位、および新たなPst I部位を示した。このプラス
ミドはpMON58と命名され、図7で示されるように
pMON58DNAが上述のように調製される。
【0200】例5:pMON42の創製 プラスミドpBR325−Hind III−23はプ
ラスミドpBR325の誘導体であり、(Boliva
r、1978)Hind III部位にpTIT37の
Hind III−23断片を保持するのであるが(図
3参照)、それはWashington Univer
sity,St.Louis,MOのM.Bevanと
M.−D.Chiltonにより出願人に提供された。
このプラスミドのDNAを調製し、30ugをHind
III(50単位)とBamHI(50単位)とを用
いて分解する。1.1kb Hind III−Bam
HI断片はアガロースゲル電気泳動後ガラスビーズ上の
吸着により純化される(VogelsteinとGil
lespie、1979)。純化された断片(0.5u
g)はpBR327の2.9kb Hind III−
BamHI断片に加えられる。DNAリガーゼ(20単
位、4時間、22℃)で処理後、得られたプラスミドは
E.coli600細胞に挿入される。200ug/m
lのアムピシリンに対して起こる耐性クローンは固体媒
質上で選択される:220クローンが得られる。ミニプ
レプラスミドDNAはこれらのクローンのうちの6クロ
ーンから作られ、Hind IIIとBamHIを用い
て分解後1.1kb断片の存在についてテストされる。
正しい挿入を証明する1プラスミドはpMON42と命
名される。プラスミドpMON42DNAは先の例で記
されたように準備される。
【0201】例6:M13クローンM−2の創製 dam−E.coli細胞から調製された75ugプラ
スミドpMON42(例5に記述)は、Rsa Iおよ
びBamHI(各50単位、3時間、37℃)により分
解され、720bp Rsa I−BamHI断片はN
A45膜を用いて純化される。純化720bp Bam
HI−Rsa I断片のうち8ugはMbo Iを用い
て分解(10分間、70℃)され、末端はDNAポリメ
ラーゼ1の巨大Klenow断片および4種のdNTP
を用いて補填により平滑化される。次いで0.1ugの
得られたDNA混合物は、あらかじめSma Iにより
分解された(1単位、1時間、37℃)0.05ug
M13mp8およびウシアルカリホスファターゼ(0.
2単位)に加えられる。結紮(10単位T4 DNAリガ
ーゼ16時間、12℃)およびE.coliJM101
細胞の感化後、数百の組みかえファージが得られる。二
重のRFDNAは12の組みかえファージ保有クローン
から調製される。RFDNA(0.1ug)はEcoR
I(1単位、1時間、37℃)を用いて分割され、32
−dATPとKlenowポリメラーゼを用いて末端標
識化されBamHI(1単位、1時間、37℃)を用い
て再分解される。EcoRIおよびBamHI部位はS
ma I部位を補う。そのため260bp Mbo I
断片を含むクローンは、6%ポリアクリラマイドゲル上
の電気泳動とオートラジオグラフィー後、標識270b
p断片を生ずるように同定される。12クローンのうち
の4つはこの断片を保有していた。挿入物の方向は、H
inf I(1単位、1時間、37℃)を用いたEco
RI切断、末端標識RFDNA(0.1ug)の分解に
より決定される。Hinf Iは1度目は断片の3′末
端から99bp、2度目はNOSコドン領域に最も近い
末端から42bpで260bp Mbo I断片を分割
する。各方向の2クローンが得られる。1クローンは図
8に示されるようにM−2として消化され、該断片の
3′末端にEcoRI部位を有する260bp断片を含
む。M−2RFDNAはMessing他1981の手
順で準備された。
【0202】例7:pMON75およびpMON76の
創製 50ug M−2RFDNA(例6に記述)は50単位
のEcoRIおよび50単位BamHIと共に2時間、
37℃で分解される。270bp断片(1ug)はアガ
ロースゲルおよびNA−45膜を用いて純化される。プ
ラスミドpMON58(例4に記述)はEcoRIおよ
びBamHI(各50ug、50単位、2時間、37
℃)を用いて分解、1300bp断片はNA−45膜を
用いて純化する。270bp EcoRI−BamHI
(0.1ug)および1300bpEcoRI−Bam
HI(0.5ug)断片は混合され、T4 DNAリガー
ゼ(2単位)を用いて12時間、14℃で処理される。
70℃で10分間加熱し、リガーゼを不活性化したあ
と、混合物はEcoRI(10単位)で1時間、37℃
で処理、その後不活性化するために70℃、10分間E
coRIを加熱する。これは図9に示されるように、キ
メラNOS−NPT II−NOS遺伝子集合を1.6
kb断片上に完成する。プラスミドpMON38はpB
R327のHind III部位内に挿入されたpTi
T37Hind III−23断片のクローンである
(Soberon他、1980)。pMON38DNA
(20ug)はEcoRI(20単位、2時間、37
℃)およびウシアルカリフォスファターゼ(0.2単
位、1時間、37℃)と共に分解される。pMON38
DNA反応はフェノールと共に抽出され、エタノールに
より沈殿され、乾燥され、20ulの10mMTris
−Hcl、1mMEDTA、pH8中に再懸濁される。
【0203】0.2ugの分割pMON38DNAは上
述のキメラ遺伝子混合物に加えられる。混合物はT4
NAリガーゼ(4単位、1時間、22℃)で処理され、
Rb塩化物処理E.coliC600recA56細胞
と共に形質転換するために混合される。アムピシリン耐
性(200ug/ml)コロニーの選択をする平面培養
後、63の有力な候補が得られる。プラスミドDNAの
アルカリミニプレプはこのうちの12で作られ適正な構
成のための制限エンドヌクレアーゼ消化により選別され
る。1.5kb EcoRI断片及び新Bgl II部
位を含むプラスミドDNAはBamHIを用いて分解さ
れ、1.5kb EcoRI断片の配向を決める。それ
ぞれの挿入方向の1つが選ばれる。1プラスミドは図9
に示されるようにpMON75および他方はpMON7
6と命名される。これらのプラスミドからDNAは先の
例において記されたように調製される。
【0204】例8:プラスミドpMON128およびp
MON129の創製 1.5kb EcoRI断片はEcoRI分解によりp
MON75あるいはpMON76から切出され、先の例
に記述したようにアガロースゲル電気泳動後純化され
る。プラスミドpMON120(先に引用した別出願
“植物細胞の形質転換用プラスミド”)からの5ugD
NAはEcoRIと共に分解、カーファルカリフォスフ
ァターゼで処理する。フェノール蛋白分離およびエタノ
ール沈殿後、EcoRI切断pMON120の線形DN
Aは0.5ug1.5kb EcoRIキメラ遺伝子断
片と共に混合される。混合物は、2単位のT4 DNAリ
ガーゼにより1時間、22℃で処理される。E.col
細胞の形質転換(Maniatis他、1982)お
よびスペクチノマイシン(50ug/ml)に耐性を示
すコロニーの選択後、数千のコロニーがあらわれる。そ
のうちの6コロニーが選ばれ、育てられプラスミドミニ
プレグが作られる。プラスミドDNAはEcoRIを用
いて分解され、1.5kbキメラ遺伝子挿入がチェック
され、BamHIを用いて挿入配向を決定する。Bam
HI分解は、pMON128内のキメラ遺伝子がpMO
N120の完成ノパリン合成物遺伝子と同じ方向に転写
されることを示す。pMON129内の挿入定位はpM
ON128内のそれ(挿入定位)に対し、反対側にな
る:pMON129の分解における付加1.5kb B
amHI断片の出現はプラスミドpMON129が図1
0で示されるように、キメラNOS−NPT II−N
OS遺伝子の直列の重複を保有することを示す。
【0205】例9:プラスミドpMON156の創製 CaMV DNAを含むプラスミドは、Univers
ity of California,Davisの
R.J.Shepherd博士からMonsanto
Companyへ提供された。出願人の最良の知識と信
念にとってこれらのプラスミド(pOSIと命名)はC
M4−184(Howarth他、1981)と命名さ
れるCaMV鎖の完全なゲノムのpBR322プラスミ
ドのSalI制限部位への挿入により得られる。E.c
oli細胞はpOSIを用いて変換され、アムピシリン
(AmpR )に耐性を示し、テトラサイクリン(Tet
S )に感応性がある。
【0206】この発明に用いられ得るCaMV DNA
の分離に敵したCaMVの多くの菌株は公に入手可能で
ある;参照、例えば、ATCC Catalogue
ofStrains 11、P.387(3版、198
1)。pOSI DNAはHind IIIと共に分割
される。3つの小断片はNA−45膜を用いて0.8%
アガロースゲル上の電気泳動後純化される(Schle
icherとSchuell,Keen NH)。最小
断片の大きさは約500bpで19Sプロモーターを含
む。この断片は6%アクリルアミドゲル上でさらに純化
される。この断片のシークエンスを変えない、多くの処
置の後(図28に示す)、それはMboIを用いて分解
されて455Bp Hind III−Mbo I断片
を生じる。この断片はBgl IIおよびEcoRIを
用いてpMON75(例7に記述、図9に示す)を分解
することにより得られた1250bp断片と混合され
る。この断片はNPT II構造シークエンスおよびN
OS3′−非翻訳領域を含む。2つの断片は融和性のあ
るMbo IおよびBgl II突出部により共に結紮
され、CaMV(19S)−NPT II−NOSキメ
ラ遺伝子を含む断片を創製する。この断片は、Hind
IIIおよびEcoRIを用いて切断された、pMO
N120内に挿入される。得られたプラスミドは図29
に示されるようにpMON156と命名される。
【0207】プラスミドpMON156はE.coli
細胞内に、次いでA.tumefaciens細胞内に
挿入され、ここでT−DNA端により囲まれたCaMV
(19S)−NPT II−NOSキメラ遺伝子をもつ
相互融和Tiプラスミドを形成する。相互融和プラスミ
ドを含むA.tumefaciens細胞は、ペチュニ
ア細胞と共に共培養される。共培養ペチュニア細胞はカ
ナマイシンを含む媒質上で培養される。共培養ペチュニ
ア細胞のあるものは、カナマイシンを50ug/mlま
で含む媒質上でコロニーを生じた。これはCaMV(1
9S)−NPTII−NOS遺伝子がペチュニア細胞内
に発現されること示す。この結果は形質転換植物細胞D
NAのSouthern blot analysis
により確認された。
【0208】例10:pMON155の創製 プラスミドpMON72はバクテリアトランスポゾンT
n5(NPT II構造シークエンスを含む)由来の
1.8kb Hind III−BamHI断片を、H
ind IIIおよびBamHIを用いて切断されたP
st I−pBR327プラスミド内に挿入することに
より得られる。このプラスミドはBglIIおよびPs
t Iを用いて切断され、NPT II構造シークエン
スが除去される。
【0209】dam−細胞からのプラスミドpMON1
001(例1に記述、および図6に示す)はBgl I
IおよびPst Iを用いて切断され、NPT II構
造シークエンスのI部を伴う218bp断片を得る。こ
の断片はMboI を用いて切断され、194bp断片を
得る。
【0210】三重結紮は(a)pMON72の巨大Ps
t I−BS III断片;(b)pMON1001よ
りのPst I−MboI 断片;(c)すべての3読み
込みわく内の終了コドンをもちBgl IIおよびMb
o I末端を有する合成リンカーを用いることにより行
われる。E.coli細胞の形質転換およびアムピシリ
ン耐性コロニーの選択後、AmpR コロニーからのプラ
スミドDNAは分析される。プラスミドを求められる構
成と共に含むコロニーが確認される。このプラスミドは
図30に示されるようにpMON110と命名される。
【0211】NPT II構造シークエンスの3′末端
をpMON110内の5′部に加えるためにpMON1
10はXho Iで処理される。得られた突出末端は補
填されてKlenowポリメラーゼおよび4デオキシヌ
クレオシド三リン酸塩(dNTP′s)、A、T、C、
Gでの処理により平滑末端をもたらす。Klenowポ
リメラーゼは加熱により不活性化され、断片はPst
Iを用いて切断され、3.6kb断片は純化される。プ
ラスミドpMON76(例7に記述、図9に示す)はH
ind IIIで切断され補填されて平滑末端をKle
nowポリメラーゼおよび4dNTP′sを用いてもた
らし、Pst Iを用いて分解される。1100bp断
片は純化され、それはNPT II構造シークエンスの
1部およびノパリンシンテース(NOS)3′−非翻訳
領域を含む。この断片は、pMON110由来の3.6
kb断片と共に結紮される。混合物はE.coli細胞
を形質転換するために使用され;AmpR 細胞は選択さ
れ、求められる構成をもつプラスミドのあるコロニーが
確認される。
【0212】このプラスミドは図31に示されるように
pMON132と命名される。プラスミドpMON93
(図28に示す)はHind IIIとを用いて分解さ
れ、476bp断片が分離される。この断片はMbo
Iを用いて分解され、455bp断片が純化される。そ
してそれはCaMV(19S)プロモーター領域および
5′−非翻訳領域を含む。プラスミドpMON132は
EcoRIおよびBglIIを用いて分解され、(1)
3つ全部の読み込みわくにおいて終了コドンを有する合
成リンカー;(2)NPT II構造シークエンス;お
よび(3)NOS3′−非翻訳領域を有する1250b
p断片を得る。これら2断片は一致したMbo Iおよ
びBgl II終了を通して共に結合され、CaMV
(19S)−NPT II−NOSキメラ遺伝子が創製
される。
【0213】この遺伝子はpMON120に挿入され
る。pMON120はHind IIIおよびEcoR
Iを用いて分解され、プラスミドpMON155を図3
2に示すように生起する。
【0214】プラスミドpMON155はTiプラスミ
ド、pTiB653を含むA.tumefaciens
GV3111細胞内に挿入される。pMON155プラ
スミドは単一交差を用いてTiプラスミドと共に相互融
和プラスミドを形成する。この相互融和プラスミドを含
む細胞はAmerican Type Culture
Collectionに寄託され、ATCC受諾番号
39336に指定されている。この発明のキメラ遺伝子
を含む断片は相互融和プラスミドをHindIIIおよ
びEcoRIにより分解し、また1.7kb断片を純化
することにより、得ることができる。これらの細胞はペ
チュニア細胞を変換するために用いられ、そのペチュニ
ア細胞は少なくとも100ug/mlカナマイシンを含
む媒質上で育つようにされている。
【0215】例11:pMON183・184の創製 プラスミドpOSI(例9に記述)はBgl IIを用
いて分解され、1200bp断片が純化される。この断
片は32Sプロモーター領域および5′−非翻訳領域の
1部を含む。それはBamHIおよびBgl IIを用
いて分解されたプラスミドpSHL72内に挿入される
(pSHL72はPAGO60と機能上等しい。Col
bere−Garapin他、1981に記述)。得ら
れたプラスミドは図33に示されるようにpMON50
と命名される。
【0216】クローンBgl II断片はポリアデニル
化部位として32S RNA転写のために作用するDN
A領域を含む。このポリアデニル化領域は次のように除
去される:pMON50はAVA IIを用いて分解さ
れ、1100bp断片が純化される。この断片はEco
RI* およびEcoRVを用いて分解される。得られた
190bp EcoRI−EcoRV断片は純化され、
プラスミドPBR327に挿入され、それはEcoRI
およびEcoRVを用いて分解される。得られたプラス
ミド、pMON81は190bp EcoRV−Eco
RI断片上のCaMV32Sプロモーターを含み、図3
3に示される通りである。
【0217】CaMV(32S)の全プロモーター領域
がpMON81内に存在することを確認するために、断
片の5′(EcoRV)末端に隣接する領域が次の方法
でpMON81に挿入される。dam−細胞により調製
されるプラスミドpMON50はEcoRIおよびBg
l IIを用いて分解され、得られた1550bp断片
は純化され、Mbo Iを用いて分解される。得られた
725bp MboI断片は純化され、プラスミドpK
C7(RaoとRogers、1979)の個有のBg
l II部位に挿入して、プラスミドpMON125を
得る。図34に示される通りである。2つのMbo I
末端に隣接する塩基のシークエンスはBgl II部位
を再生し、725bp断片がBgl IIにより切断さ
れることを可能とする。
【0218】32Sプロモーターを保有する断片を生成
させるために、725bp BglII断片はpMON
125から純化され、続いてEcoRVおよびAlu
Iを用いて分解され、190bp断片を生ずる。プラス
ミドpMON81はBamHIを用いて分解され、Kl
enowポリメラーゼで処理し、EcoRVを用いて分
解される。3.1kb EcoRV−BamHI(bl
unt)断片は純化され、190bp EcoRV−A
lu I断片と共に混合、DNAリガーゼで処理する。
形質転換およびアムピシリン耐性細胞の選択に続いて、
CaMV(32S)プロモーターシークエンスを380
bp BamHI−EcoRI断片上に保有するプラス
ミドpMON172が得られる。図35に示される通り
である。この断片は32S RNAのためのポリアデニ
ル化領域を有していない。Alu I 末端の補填BamH
I部位への結紮はBamHI部位を再生する。CaMV
(32S)プロモーターに隣接した制限エンドヌクレア
ーゼ部位を再配列するために380bp BamHI−
EcoRI断片をpMON172から純化、Kleno
wポリメラーゼで処理し、ファージM13mp8の独特
SmaI部位に挿入される。1つの組みかえファージM
12は380bp断片を図36に示される配向をもつて
保有する。このファージからの複製形成DNAは32S
プロモーター断片をEcoRI(5′)−BamHI
(3′)断片上に保有する。
【0219】キメラ遺伝子(CaMV(32S)プロモ
ーター領域NPT II構造シークエンス−NOS3′
−非翻訳領域)を保有するプラスミドは次のように組立
てられる。380bp EcoRI−BamHI Ca
MV(32S)プロモーター断片はファージM12RF
DNAから純化され、pMON75由来の1250b
p Bgl II−EcoRI NPT II−NOS
断片と共に混合される。これら2つの断片の一致したB
amHIおよびBgl II末端を介しての結合は1.
6kb CaMV(32S)−NPT II−NOSキ
メラ遺伝子を生じる。この遺伝子は両方向の配向をもっ
てEcoRI部位でpMON120に挿入される。得ら
れたプラスミド、pMON183およびpMON184
に図37にあらわされる。これらのプラスミドはペチュ
ニア細胞を形質転換するために用いられる。形質転換さ
れた細胞は100ug/mlカナマイシンを含む媒質上
での成長を可能にする。
【0220】参考文献 S.Adams他、Abstract #149,18
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は典型的な真核細胞の遺伝子の構造を表す
模式図である。
【図2】図2は本発明の工程を表すフローチャートであ
る。キメラNOS−NPT II−NOS遺伝子を例に
して描かれている。
【図3】図3はTiプラスミドをHind IIIによ
り消化して得られたHindIII−23の断片を表す
模式図である。
【図4】図4はNOSプロモーター領域、NOS5′−
非翻訳領域、NOS構造シークエンスの最初の数個のコ
ドンを持つDNAの一部を表した部分構造式である。
【図5】図5はNOSプロモーター領域、および完全な
5′−非翻訳領域を含むDNA断片を得るための、DN
A配列の正確な位置での切断を表す模式図である。
【図6】図6はNPT II構造遺伝子部位を保持して
いるプラスミド、pMON1001とpMON40との
生成を表す模式図である。
【図7】図7はpMON58を得るためNOSプロモー
ター領域をプラスミドpMON40に組み入れる模式図
である。
【図8】図8はM−2と命名されているM13誘導体の
構築を示す模式図である。このM−2は、NOS3′−
非翻訳領域とポリ−Aシグナルを保持している。
【図9】図9はNOS−NPT II−NOSキメラ遺
伝子を組み立て、プラスミドpMON38に組み入れ、
プラスミドpMON75とpMON76を構築する模式
図である。
【図10】図10はNOS−NPT II−NOSキメ
ラ遺伝子をプラスミドpMON120に組み入れ、プラ
スミドpMON128とpMON129を構築する模式
図である。
【図11】図11はNPT I遺伝子を保持しているプ
ラスミドpMON66を構築を示す模式図である。
【図12】図12はキメラNOS−NPT IIシーク
エンスを保持しているプラスミドpMON73の構築を
示す模式図である。
【図13】図13はキメラNOS−NPT Iシークエ
ンスを保持しているプラスミドpMON78の構築を示
す模式図である。
【図14】図14はキメラNOS−NPT I−NOS
遺伝子を保持するプラスミドpMON106とpMON
107の構築を示す模式図である。
【図15】図15はキメラNOS−NPT I−NOS
遺伝子をpMON120に組み入れ、プラスミドpMO
N130とpMON131の構築を示す模式図である。
【図16】図16は大豆たんぱく(sbss)プロモー
ターを保持しているDNA断片の構築を示す模式図であ
る。
【図17】図17はsbssプロモーターを保持してい
るプラスミドpMON121の構築を示す模式図であ
る。
【図18】図18はキメラsbss−NPT II−N
OS遺伝子をpMON120に組み入れプラスミドpM
ON141とpMON142の構築を示す模式図であ
る。
【図19】図19はウシ成長ホルモンの構造遺伝子領域
と、NOS3′領域を保持している、プラスミドpMO
N108の構築を示す模式図である。
【図20】図20は選択的な切断面にかこまれているB
GH−NOSを保持しているプラスミドN25−BGH
の構築を示す模式図である。
【図21】図21はキメラsbss−BGH−NOS遺
伝子をpMON120に組み入れプラスミドpMON1
47とpMON148の構築を示す模式図である。
【図22】図22はキメラNOS−BGH−NOS遺伝
子を保持するプラスミドpMON149の構築を示す模
式図である。
【図23】図23はEPSPシンサーゼを生産する構造
遺伝子領域を保持しているプラスミドpMON8の構築
を示す模式図である。
【図24】図24は開始コドンの近くに切断面のあるE
PSPシンサーゼ構造遺伝子領域を保持するプラスミド
pMON25の構築を示す模式図である。
【図25】図25はEPSPシンサーゼとNOS3′領
域を持ったキメラシークエンスを保持するプラスミドp
MON146の構築を示す模式図である。
【図26】図26はキメラNOS−EPSP−NOS遺
伝子をpMON120に組み入れpMON153の構築
を示す模式図である。
【図27】図27はキメラsbss−EPSP−NOS
遺伝子を保持するプラスミドpMON154の構築を示
す模式図である。
【図28】図28はCaMV19Sプロモーターを保持
するプラスミドpMON93の構造とその構築を示す模
式図である。
【図29】図29はキメラCaMV(19S)−NPT
−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON156の
構造とその構築を示す模式図である。
【図30】図30はNPT遺伝子を部分的に保持するプ
ラスミドpMON110の構造とその構築を示す模式図
である。
【図31】図31はNPT−NOS遺伝子を部分的に保
持するプラスミドpMON132の構造とその構築を示
す模式図である。
【図32】図32はキメラCaMV(19S)−NPT
−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON155の
構造とその構築を示す模式図である。
【図33】図33はCaMV32Sプロモーターを保持
するプラスミドpDMON81の構造とその構築を示す
模式図である。
【図34】図34はCaMV32Sプロモーターを保持
するプラスミドpMON125の構造とその構築を示す
模式図である。
【図35】図35はCaMV32Sプロモーターを保持
するプラスミドpMON172の構造とその構築を示す
模式図である。
【図36】図36はCaMV32Sプロモーターを保持
するファージM12の構造とその構築を示す模式図であ
る。
【図37】図37はキメラCaMV(32S)−NPT
−NOS遺伝子を保持するプラスミドpMON183と
pMON184の構造とその構築を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 CELL,VOL.30,NO.3 (1982)P.763−773

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)カリフラワーモザイクウイルスか
    ら単離された完全長転写プロモーター領域; (b)5′非翻訳領域; (c)構造コード配列; (d)mRNAのポリアデニル化シグナル配列をコード
    し、植物内で天然に発現される遺伝子の3′非翻訳領
    域; を順番に含み、前記構造コード配列が前記プロモーター
    領域に対して異種である、植物細胞内でポリペプチドを
    発現することができるキメラ遺伝子。
  2. 【請求項2】 3′非翻訳領域が、ノパリンシンサーゼ
    遺伝子由来である請求項に記載の遺伝子。
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