JP2642828B2 - 補強された軟質金属製品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、比較的軟質の金属でで
きたプレートから成る製品に関する。本発明はまた、こ
の製品から成る調理用容器にも関する。

【０００２】

【従来の技術】アルミニウムは数多くの利点を有する金
属である。アルミニウムは軽く、容易に深絞りまたはド
ロップ鍛造でき、そして熱伝導性がよい。さらに、アル
ミニウムは比較的経済的である。これらの品質のため、
アルミニウムは産業、特に調理用容器の製造に一般に用
いられている。

【０００３】しかしながら、アルミニウムには欠点もあ
る。第一に、アルミニウムは比較的軟質であるため、そ
の表面に引掻き傷が付きやすい。家庭用の用途では、ア
ルミニウムをしばしば、ポリテトラフルオロエチレンの
ような非粘着層で、またはエナメル層で被覆する。しか
しながら、アルミニウムが支持体として軟らかすぎるた
め、これらのコーティングの寿命には限度がある。

【０００４】さらに、アルミニウム製品、特に調理用容
器は、例えば電気ホットプレートやガスバーナーにより
発生した熱の影響により、簡単に変形してしまう傾向が
ある。

【０００５】この困難を克服するために、例えば熱間型
打ちによってステンレススチールをアルミニウム壁に適
用するか、あるいは金属の厚みを増すことができる。し
かしながら、この場合には製造コストが増大し、しかも
熱伝導性が低減して調理時間が長くなってしまう。

【０００６】さらにまた、アルミニウム製調理具は誘導
加熱することができない。なぜなら、この加熱方法は、
磁性金属例えばフェライト系ステンレススチールででき
た容器を使用することを必要とするからである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
の表面特性を経済的に改質して、その特性を向上させる
こと、あるいは該金属を特定の用途に使用できるように
することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段、作用、及び効果】本発明
によると、底部（２０、２５）と側壁とを有する調理用
容器の製造方法において、下記工程（ａ）〜（ｃ）： （ａ）比較的軟質の第一の金属でできたプレート（１）
の上に、前記プレート（１）の金属よりも硬質の第二の
金属又は合金でできたグリッド状又は孔あきシート状の
金属要素（２）を、前記金属要素の表面が前記容器の底
部の一方に実質的に相当するように適用する工程； （ｂ）前記プレート（１）の上の前記金属要素（２）を
ドロップ鍛造又は型打ちによって前記プレート（１）の
中に少なくとも一部が埋め込まれるように固定する工
程；及び （ｃ）前記プレート（１）とそれに固定された前記金属
要素（２）とから成るアセンブリから深絞り成形によっ
て前記調理用容器を得る工程を特徴とする調理用容器の
製造方法が提供される。

【０００９】ドロップ鍛造とは、金属表面に少なくとも
部分的にグリッドを埋め込むために、例えばドロップハ
ンマーで打つこと、または例えば面もしくはロールで強
く加圧することから成る作業を意味する。

【００１０】グリッドとは、交差する線材から成る金属
フレームのみならず、環状、方形状、または他の形状の
孔を有する孔あきシートをも意味する。

【００１１】こうして、二種類の金属の特性、すなわち
母材金属の特性及びグリッドを形成する金属の特性、の
結果生じる特性を有する複合面が得られる。換言する
と、母材金属の特性が、この母材金属に密接に結合して
いるグリッドによって改質される。

【００１２】例えば、該グリッドが該母材金属よりも硬
質の金属でできている場合、該グリッドの存在が該母材
金属の表面を固化する効果を有する。

【００１３】さらに、軟質の母材金属と硬質金属のグリ
ッドとを組み合わせて使用することが、本発明による製
品の製造によく適合する。というのは、ドロップ鍛造の
際に、接触表面の小さい硬質グリッドが軟質の母材金属
中に深く貫入し、よってこのグリッドと母材金属との間
の優れた結合が保証されるからである。

【００１４】さらにまた、該母材金属が熱の影響によっ
て変形する傾向がある場合には、グリッド（熱膨張性が
母材金属よりも小さい金属でできている場合）の存在に
よって、この金属の変形が明らかに少なくなる。

【００１５】別の用途では、該母材金属が磁性ではない
場合（例えばアルミニウムの場合）、該母材金属表面に
固着された磁性金属グリッドの存在によって、該母材金
属を誘導加熱することができる。

【００１６】いずれの場合も、ある特定の母材金属上に
グリッド状の第二の金属を具備することがコストに大き
な影響を与えることはなく、そして該母材金属の特性を
そのまま残存させることが可能である。

【００１７】本発明の別の変型によると、該製品は、そ
の二つの面それぞれに、上述の定義に対応する金属要素
を有する。

【００１８】本発明の別の変型によると、該要素の表面
であって、該プレートの反対側の該表面が、第一の金属
と同じ金属でできたコーティングによって被覆されてい
る製品が提供される。

【００１９】本発明のさらに別の変型によると、要素が
固定されている該プレートの各面が、連続するエナメル
またはフルオロカーボン樹脂の層で被覆されている製品
が提供される。

【００２０】本発明の別の変型によると、互いに固定さ
れた少なくとも二枚の金属プレートを含んで成る製品で
あって、該金属プレート界面に、一方の該プレート金属
と他方の該プレート金属とに部分的に埋め込まれている
金属要素を具備した製品が提供される。

【００２１】こうして、本発明によると、調理用容器の
アルミニウム底を補強したり、非粘着性コーティングの
寿命を延ばすことができ、しかも付加したグリッドが磁
性金属例えばフェライト系ステンレススチールでできて
いる場合には、調理用容器を誘導加熱することができ
る。

【００２２】

【実施例】本発明の他の特定の特徴及び利点は、以下の
記述によりさらに明らかになる。

【００２３】比較的軟質の第一の金属でできたプレート
から成る製品は、円板状の前記金属の表面１に別の金属
のグリッド２が適用されていること（図１及び図２参
照）、並びに前記グリッド２がドロップ鍛造によって前
記表面１に固定されて、前記表面１に少なくとも部分的
に埋め込まれていることを特徴とする。

【００２４】グリッド２が、前記表面１の金属よりも硬
質の金属でできていることが好ましい。

【００２５】図３は、グリッド２を円板１に適用する初
期段階を、拡大して示す。

【００２６】ハンマー３（図２参照）による力がグリッ
ド２に作用するため、図４に示すように、グリッド２が
円板１の金属中に打ち込まれる。

【００２７】貫入する深さは、グリッド２を円板１に押
し付ける力や、グリッド２の金属と円板１の金属との相
対硬度や、グリッド２を構成している線材の直径に依存
する。

【００２８】図４の場合には、グリッド２が、グリッド
２の線材の直径の実質的に半分に対応する深さで、円板
１の金属中に打ち込まれている。

【００２９】より大きなドロップ鍛造力を使用すること
によって、図６に示したように、グリッド２を円板１中
に完全に埋め込むことが可能である。

【００３０】比較的軟質の金属円板１の好ましい金属は
アルミニウムである。

【００３１】しかしながら、該金属は、銅、錫、鉛、も
しくはこれらの一種以上の金属の合金、または他のいず
れかの金属もしくは合金であることもできる。

【００３２】グリッド２は、磁性を有するスチールまた
は鉄金属で製造することができる。

【００３３】この場合、円板１の表面に埋め込まれたグ
リッド２は、円板１を補強及び固化するのみならず、円
板１を誘導加熱することをさらに可能にする。

【００３４】このように、このグリッド２はステンレス
スチールで製造することができる。

【００３５】直径数十分の１ミリメートル〜１ミリメー
トルの線材から成るステンレススチール製グリッド２
と、アルミニウム製円板１との組合せの場合には、ドロ
ップ鍛造の際に適用する力は、少なくとも約１０トン／
平方センチメートルに等しいことが必要である。

【００３６】グリッド２の形状は、メッシュ、正方形、
長方形、六角形、または他の形状のいずれであってもよ
い。

【００３７】線材で製造する代わりに、グリッド２を、
切抜き金属シートにより、あるいはエキスパンデッドメ
タル状で、構成することができる。

【００３８】図７の実施態様では、金属プレート１は、
その二つの面に、開口部４を設けられたシート状の金属
要素２を含んで成る。これら二つの要素２は、ドロップ
鍛造によってプレート１の金属中に完全に埋め込まれて
いる。実際に、プレート１の金属がシート２の開口部４
を完全に充填している。

【００３９】もちろん、シート２の厚みはプレート１の
厚みよりも小さい。ドロップ鍛造工程は、シート２−プ
レート１−シート２のサンドイッチ構造体に、二枚のシ
ート２がプレート１の金属中に貫入できるのに十分な、
しかもプレート１の金属が二枚のシートの開口部４に流
れ込むことができるのに十分な圧力を適用することを含
む。

【００４０】二つの金属要素またはシート２は、同じ金
属または合金で製造することができる。プレート１を例
えばアルミニウムまたは銅のような軟質金属で製造し、
シート２をスチールのようなより硬質の金属で製造する
ことができる。

【００４１】この場合、硬質であり且つ機械的衝撃や摩
擦に対して耐性のある二つの面を有する複合プレートが
得られる。さらに、該複合プレートは、機械的または熱
的応力による変形に対する耐性が明らかに改良されてい
る一方、アルミニウムの本質的特性（軽さや良好な熱伝
導性）または銅の本質的特性（良好な熱伝導性）を保持
している。

【００４２】しかしながら、この二つの金属要素または
シート２は、別の金属または合金で製造することができ
る。

【００４３】この場合、該複合プレートは、異なる機械
的または熱的特性を有する面を含有し、このことが特定
の用途に有利でありうる。この場合にも、該複合プレー
トは、該プレートの母材金属により付与された利点を大
部分保持する。

【００４４】図８の実施態様には、第一の金属でできて
いるプレート１と、それに常温型打ちまたはドロップ鍛
造により固定された、該第一の金属とは違う第二の金属
でできているグリッドまたはオープン−ワーク（ｏｐｅ
ｎ−ｗｏｒｋ）シート２とを含んで成る、調理用容器の
ような製品の壁部を部分断面図で示す。

【００４５】本発明によると、前記オープン−ワークシ
ート２の表面であって、プレート１の反対側の表面が、
前記第一の金属と同じ金属でできたコーティング５によ
って被覆されている。

【００４６】このように、調理用容器の場合、プレート
１はアルミニウムでできており、そしてオープン−ワー
クシート２は、アルミニウム層で被覆されたスチールシ
ートでできている。その結果、前記オープン−ワークシ
ート２が固定さているプレート１の表面、及びこのシー
ト２の表面を、図８に示したように、連続するエナメル
層６で被覆することができる。

【００４７】図８の例では、エナメル層６で被覆され
た、プレート１の表面とオープン−ワークシート２の表
面とが、互いに並んで配置されている。

【００４８】こうして、エナメル層６は、オープン−ワ
ークスチールシート２を完全に覆う。シート２の表面を
覆うアルミニウム層５のおかげで、エナメル６は、この
シートとプレート１のアルミニウムとの両方に付着す
る。

【００４９】さらに、このエナメル層６は、特に錆に関
してスチールシートを保護し、そしてアルミニウム表面
を清浄しやすくする。

【００５０】オープン−ワークスチールシート２を、調
理用容器の底の内面または外面に近接させることができ
る。

【００５１】スチールまたは他の鉄金属でできたこのオ
ープン−ワークシートの存在によって、アルミニウム容
器に特有のすべての利点を保ちながら、調理用容器を誘
導プレートの上で使用することができる。

【００５２】図９に示した例の場合には、スチールオー
プン−ワークシート２の表面が、アルミニウムプレート
１の表面１ａに対して突出している。

【００５３】この場合、エナメルコーティング６は、オ
ープン−ワークシート２の突出部に一致して、くぼみに
より分離された一段高くした特徴を有する。

【００５４】エナメル層６ａの一段高くした特徴によっ
て、エナメルのくぼみ部分がその元の光沢を保存するよ
うに、エナメル層の摩耗をばらばらの領域に局部化する
ことが可能になる。

【００５５】エナメル層６をポリテトラフルオロエチレ
ン（ＰＴＦＥ）のようなフルオロカーボン樹脂の層に置
き換えることは、もちろん可能である。

【００５６】アルミニウムへのＰＴＦＥの付着は、アル
ミニウム表面に付着キャビティを作り出す効果を有する
従来の酸エッチングによって行われる。

【００５７】オープン−ワークシート２はアルミニウム
層で被覆されているので、これら付着キャビティもまた
オープン−ワークシート２上に形成され、よってＰＴＦ
Ｅコーティングが、プレート１のアルミニウムとオープ
ン−ワークシート２との両方に付着することが可能にな
る。

【００５８】図１０及び１１による実施態様の場合に
は、複合プレート３０は、互いに固定された二枚の金属
プレート７及び８であって、それらの界面に、一方のプ
レート７の金属と、他方のプレート８の金属とに部分的
に埋め込まれている開口部１０を有する金属要素または
シート９が具備された、前記金属プレートを含んで成
る。

【００５９】二枚の金属プレート７及び８は、同種のま
たは異種の金属または合金で製造することができる。

【００６０】二枚のプレート７及び８の金属が金属シー
ト９の開口部１０に流れ込むことによって、二枚のプレ
ート間に優れた結合を得ることが可能になる。

【００６１】図１０及び１１の例では、二枚の金属プレ
ート７及び８が、それらの外側面に、上述の定義に対応
する金属要素１１及び１２を担持する。

【００６２】この例では、例えばアルミニウムでできた
二枚のプレート７及び８から製造された複合プレート３
０は、アルミニウムよりも高い硬度及び機械的強度を有
する金属の三層９，１１、及び１２によって補強され
る。こうして該プレートの機械的特性をかなり高めるこ
とが可能となる。

【００６３】さらに、孔あきシート９，１１、及び１２
の存在は、それらの厚みはより小さいので、密度に対し
てほとんど影響を与えない。こうしてアルミニウムの密
度に近い密度が維持される。

【００６４】もちろん、孔あきシート９は、所望の特性
に依存して、他の二枚のシート１１及び１２とは違う種
類のものであってもよい。

【００６５】図１４の実施態様では、複合プレート１３
は、互いに固定された三枚の金属プレート１４，１５、
及び１６であって、それらの各々の界面に、上述の定義
に対応する金属要素またはシート１７及び１８が具備さ
れた前記金属プレートを含んで成る。

【００６６】この実施態様では、孔あき金属シート１７
及び１８は以下の二つの機能を有する。（１）第一に、
プレートの金属をシート１７及び１８の開口部に流入さ
せることによって、プレート１５とプレート１４及び１
６との間の結合を確実にできること；（２）さらに、こ
れらのシート１７及び１８が複合プレート１３の補強ま
たは強化を可能にして、機械的応力に対するより良好な
耐性を該複合プレートに付与できること。

【００６７】三枚のプレート１４，１５、及び１６は、
同じ金属例えばアルミニウムで製造することができる。
しかしながら、それらは、予想される用途に依存して、
異なる金属で製造することもできる。こうして、外側の
二枚のプレート１４及び１６を銅で製造し、且つ内側の
プレート１５をアルミニウムで製造することができる。

【００６８】このように、内側のプレート１５を二枚の
銅層によって外被して、熱伝導性を改良することが可能
である。

【００６９】図１５は、上述の孔あきシートの代わりに
使用できるエキスパンデッドメタルで製造したシート１
９を示す。

【００７０】もちろん、上述の複合プレートを、各種の
工業用途に直接使用すること、あるいは各種製品、とり
わけ熱的または機械的応力による変形や摩耗に対して優
れた耐性を示す底を有する調理用容器、の深絞りによる
製造の基礎材料として利用することができる。

【００７１】図１６は、厚み１〜３ミリメートルのアル
ミニウムシートで製造した調理用容器、例えばフライパ
ン、シチュー用鍋、またはケーキ用成形器を示す。

【００７２】容器２０の底２１の外側面に、図１７に示
したように金属に打ち込まれたフェライト系ステンレス
スチールグリッド２が、ドロップ鍛造によって埋め込ま
れている。

【００７３】容器２０の底に埋め込まれたグリッド２
は、以下の技術的利点を容器に付与する： ａ）容器の底を硬化して、容器の耐摩耗性を改良する。 ｂ）温度変化により生じる変形に対する底の耐性を改良
する。このことによって、底の平面性が保たれて、ホッ
トプレートの熱伝導性が最適に保たれる。 ｃ）磁性ステンレススチールの存在によって、容器を誘
導加熱することができる。 ｄ）アルミニウムは優れた熱伝導体なので、グリッドの
ステンレススチールに貯蔵された熱がアルミニウム底２
１を横切って迅速に且つ均一に伝導する。 ｅ）ステンレススチールグリッドは断続的であるので、
容器の底を横切る熱伝導量を調節して減少させ、その結
果、調理物に対する不意の及び過剰の加熱を回避するこ
とができる。 ｆ）グリッドの存在は、製造コストにはほんの少ししか
影響せず、且つアルミニウム容器の深絞りをまったく妨
げない。

【００７４】その結果、上述の調理用容器は、アルミニ
ウムの使用によるすべての利点を有する一方、ステンレ
ススチールグリッドにより提供された利点をも有する。

【００７５】誘導加熱の可能性を望まない場合には、グ
リッドは、アルミニウムよりも硬質の通常のスチールま
たは他のいずれかの金属で製造することができる。

【００７６】図１８には、別のアルミニウム製調理用容
器２５を示す。この容器の底２５は、その内側面に、例
えばステンレススチールまたは他の比較的硬質のスチー
ルでできたグリッド２を有する。

【００７７】図１９によると、このグリッド２が、底２
６の金属に部分的にのみ埋め込まれており、その結果こ
の底２６の内側表面から突出していることがわかる。

【００７８】この例では、例えばポリテトラフルオロエ
チレン製の非粘着性コーティング２７が、グリッド２及
び底２６の内側表面を被覆している。グリッドが表面に
関して突出しているので、コーティング２７はグリッド
の線材に一致する一段高くなった特徴を形成する。

【００７９】この実施態様によって付与される技術的利
点は、以下のとおりである。

【００８０】容器の底２６の表面から突出したグリッド
２の存在が、この表面を硬化し、このことが、鋭利な器
具の作用に対する非粘着性コーティングのより良好な抵
抗性を可能にする。

【００８１】実際には、ステンレススチールグリッドが
アルミニウム面から突出しているので、鋭利な器具は軟
質のアルミニウム面には到達しない。その結果、鋭利な
器具はグリッドの突出部分にのみ影響し、よってグリッ
ドを被覆しているコーティング部分のみがいくらかの損
傷を受ける。しかしながら、この損傷は、非常に小さな
領域に局部化されるので、事実上目には見えないで残る
であろう。

【００８２】さらに、グリッド２によって、非粘着性コ
ーティングが容器の内側表面に均一に一段高くなった特
徴を形成することによって、調理物表面と容器表面との
接触を限定することが可能となり、このことは、この調
理物の容器表面への付着をさらに制限する。

【００８３】上述の利点を完全に実現するためには、グ
リッドの隣合う線材の間隔が数ミリメートル以下である
ことが必要である。

【００８４】本発明は、調理用器具の製造以外の分野に
も適用可能である。実際には、本発明は、金属表面の特
性を、該金属中に別の金属でできたグリッドを埋め込む
ことによって改質することが望まれる、いかなる技術分
野にも適用できる。

【００８５】このグリッドは、いかなる形状のメッシュ
をも形成するような方法で織ったかまたは溶接した線材
によって構成することができる。さらに、該グリッドの
線材は、円環断面の代わりに正方形断面または他の断面
であってもよい。

【００８６】同様に、先に示した実施態様において、円
環断面の線材から成るグリッドを、例えば約１．５mmの
間隔をもつ直径０．７５mmの円環状の孔が開いている、
例えばアルミニウムでできたシートに置き換えることが
できる。

【００８７】もちろん本発明は、先に記述した例示的実
施態様に限定されることはなく、そして本発明の範囲を
逸脱することなく、本発明の多くの改変を行うことが可
能である。

【００８８】特に、記述した製品の各種実施態様は、本
発明の分野から逸脱することなく、それらの間の多数の
組合せ、あるいはこうして得られた製品とりわけ調理用
容器の特性をさらに改良するための従来技術に見い出せ
る他の方法との多数の組合せの主題を形成することがで
きる。

【００８９】とりわけ、非常に様々な形状の金属性の要
素、シート、またはグリッドを使用すること、並びにこ
れらプレートの一つの表面に、または前記要素の一つが
少なくとも二つの金属プレートの界面を構成するように
該金属プレート間に、前記要素の一つを圧延するかまた
は常温もしくは熱間型打ちすることによって埋め込むこ
とが可能である。このように、プレート間に金属要素を
挟み込むことによって、いろいろな数の層を含んで成る
複合プレートが形成される。

【００９０】単独または複合プレートの少なくとも一つ
の面上に、プレート金属と同じ金属でできたコーティン
グを外側面に付与されているかまたはされていないグリ
ッドまたはシートを埋め込み、前記プレートの表面を構
成することができ、次いで必要に応じて、この面にエナ
メルまたはフルオロカーボン樹脂コーティングを適用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】別の金属のグリッドを適用した金属円板の斜視
図である。

【図２】グリッドを円板上にドロップ鍛造する方法を示
す断面図である。

【図３】図２のＡ部を拡大した詳細図である。

【図４】ドロップ鍛造後に円板金属に埋め込まれたグリ
ッドを示す、図３と類似した詳細図である。

【図５】円板金属表面に固定されたグリッドを示す、拡
大部分平面図である。

【図６】図５の面VI−VIの断面図である。

【図７】プレート金属に埋め込まれた孔あきシートを、
プレートの両面に含んで成るプレートの断面図である。

【図８】プレートの反対側のシートまたはグリッド表面
が、プレート金属と同じ金属でできたコーティングで被
覆されている製品の壁の断面図である。

【図９】前記図８に従う本発明の別の実施態様を示す断
面図である。

【図１０】ドロップ鍛造によって集成する前の二枚のプ
レート及び三枚の孔あきシートを示す断面図である。

【図１１】ドロップ鍛造後に得られた複合プレートの断
面図である。

【図１２】孔あきシートの部分平面図である。

【図１３】プレートに部分的に埋め込まれた孔あきシー
トを担持するプレートの部分断面図である。

【図１４】二枚の孔あきシートが埋め込まれた複合プレ
ートの断面図である。

【図１５】エキスパンデッドシート状の金属要素を示す
部分平面図である。

【図１６】底の外側面にグリッドを担持する調理用容器
の断面図である。

【図１７】図１６のＢ部を拡大した詳細図である。

【図１８】底の内側面にグリッドを担持する調理用容器
の断面図である。

【図１９】図１８のＣ部を拡大した詳細図である。

【符号の説明】

１…円板 ２…金属要素（グリッド、シート） ３…ハンマー ４，１０…開口部 ５…アルミニウム層 ６…エナメル層 ７，８，１４，１５，１６…金属プレート ９，１７，１８，１９…シート １１，１２…金属要素 ２０，２５…容器 ２１，２６…底 ２７…非粘着性コーティング １３，３０…複合プレート

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部（２１、２６）と側壁とを有する調
   理用容器の製造方法において、下記工程（ａ）〜
   （ｃ）： （ａ）比較的軟質の第一の金属でできたプレート（１）
   の上に、前記プレート（１）の金属よりも硬質の第二の
   金属又は合金でできたグリッド状又は孔あきシート状の
   金属要素（２）を、前記金属要素の表面が前記容器の底
   部の一方に実質的に相当するように適用する工程； （ｂ）前記プレート（１）の上の前記金属要素（２）を
   ドロップ鍛造又は型打ちによって前記プレート（１）の
   中に少なくとも一部が埋め込まれるように固定する工
   程；及び （ｃ）前記プレート（１）とそれに固定された前記金属
   要素（２）とから成るアセンブリから深絞り成形によっ
   て前記調理用容器を得る工程を特徴とする調理用容器の
   製造方法。
2. 【請求項２】 前記深絞り成形工程（ｃ）において、固
   定された前記金属要素（２）を前記調理用容器（２０）
   の底部（２１）の外面とすることを特徴とする請求項１
   記載の方法。
3. 【請求項３】 前記深絞り成形工程（ｃ）において、固
   定された前記金属要素（２）を前記調理用容器（２５）
   の底部（２６）の内面とすることを特徴とする請求項１
   記載の方法。
4. 【請求項４】 底部と側壁とを有する調理用容器の製造
   方法において、下記工程（ａ）〜（ｃ）： （ａ）第一の金属要素（２、１２、１８）と、比較的軟
   質の第一の金属でできたプレート（１、８、１５）と、
   第二の金属要素（２、９、１７）とを重畳する工程であ
   って、前記第一及び第二の金属要素は前記プレート
   （１、８、１５）の金属よりも硬質の第二の金属又は合
   金でできたグリッド状又は孔あきシート状であり且つそ
   れらの表面が前記調理用容器の底部の一方に実質的に相
   当している工程； （ｂ）前記金属要素を、ドロップ鍛造又は型打ちによっ
   て前記プレートの中に少なくとも一部が埋め込まれるよ
   うに前記プレートに固定する工程；並びに （ｃ）前記プレートとそれに固定された前記金属要素と
   から成るアセンブリから深絞り成形によって前記調理用
   容器を得る工程を特徴とする調理用容器の製造方法。
5. 【請求項５】 前記金属要素（２）の、又は前記金属要
   素（２）の少なくとも一方の、前記プレートとは反対側
   の表面を、前記第一の金属と同じ金属でできたコーティ
   ング（５）によって被覆することを特徴とする請求項１
   〜４のいずれか一項に記載の方法。
6. 【請求項６】 前記金属要素（２）が固定されている前
   記プレート（１）の各表面を連続したエナメル又はフル
   オロカーボン樹脂の層（６）によって被覆することを特
   徴とする請求項５記載の方法。
7. 【請求項７】 工程（ａ）において、金属要素（９、１
   ７、１８）の少なくとも一つの上に、比較的軟質の第一
   の金属でできた第二のプレート（７、１４、１６）をさ
   らに適用し、次いで工程（ｂ）において、前記金属要素
   （９、１７、１８）の少なくとも一つを、ドロップ鍛造
   又は型打ちによって前記プレート（７、１４、１６）の
   一つの金属の中及び他のプレート（８、１５）の金属の
   中に少なくとも一部が埋め込まれるように固定する工程
   を特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の方
   法。
8. 【請求項８】 工程（ａ）において、前記プレート
   （７、８）の少なくとも一つの外面上に、前記プレート
   （７、８）の金属よりも硬質の金属又は合金でできたグ
   リッド状又は孔あきシート状の別の金属要素（１１、１
   ２）をさらに適用することを特徴とする請求項７記載の
   方法。