JP2008220470A - 電気炊飯器 - Google Patents
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Abstract
【課題】内鍋のワークコイル等誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度を高くすることなどにより、層数が少なくて、しかも炊飯効率、加熱効率(発熱効率)が高い高性能、低コストの新しいクラッド構造の内鍋を備えた誘導加熱式電気炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度を、その他の部分に比べて高く形成した。
【選択図】 図2
【解決手段】水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度を、その他の部分に比べて高く形成した。
【選択図】 図2
Description
本願発明は、内鍋として2層以上のクラッド構造の内釜を採用した電磁誘導加熱式の電気炊飯器に関するものである。
最近の電気炊飯器では、高出力で加熱効率が高く出力制御の応答性も高いために、内鍋(飯器)自体を渦電流を誘起することが可能な金属材料で形成するとともに、その炊飯加熱手段として、電磁誘導によって当該内鍋内に渦電流を誘起させて自己発熱させる電磁誘導加熱手段を採用した電磁誘導加熱式(IH式)のものが多くなっている。
このような電気炊飯器の場合、上記電磁誘導加熱手段として、一般にリッツ線を環状に巻成したワークコイルを採用し、内鍋を収納する有底筒状の内ケース(保護枠)の底壁面に対し、巻き幅の広い1組のワークコイルを沿わせて設置するか、または同底壁面の中央部側に位置して巻かれた第1のワークコイルと同底壁面の外周部側(湾曲面)に第1のワークコイルと所定の間隔を置いて巻かれた第2のワークコイルとの内外2組のワークコイルを内鍋の底面形状に沿わせて曲面型に設置した誘導加熱構造が採用されている(特許文献1参照)。
もちろん、さらに必要に応じて内ケースの側面側にワークコイルやヒータを設けたものもある。
ところで、上記誘導加熱される内鍋は、例えば異なる金属を圧着するほど熱拡散性が高くなる性質があることが知られており、このような性質を利用し、熱伝導率の高いアルミニウムと保温性に優れたステンレス等を重ね合わせて全面多層構造にし、熱拡散性を向上させて、渦電流による強い火力をきめ細かくごはんに伝え、炊きムラを抑えるようにしたものが種々提案されている(特許文献2参照)。
この場合、上記熱拡散性は層数が多くなるほど向上するとして、例えば10層前後の多層釜も提供されるに到っているが、あまりに層数が多くなると、材料コスト、加工コストが高くなり、製品価値の上昇を招く。
一方、最近では電気炊飯器に対する消費電力手低減の要求が高くなってきており(電気炊飯器は、2006年に省エネ特定機器に指定されている)、加熱効率の向上が課題である。
したがって、層数が少なくて、しかも炊飯効率、加熱効率(発熱効率)が高い高性能、低コストの新しいクラッド構造の内鍋の開発が望まれている。
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、当該内鍋のワークコイル等誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度を高くすることなどにより、層数が少なくて、しかも炊飯効率、加熱効率(発熱効率)が高い高性能、低コストの新しいクラッド構造の内鍋を備えた誘導加熱式電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度が、その他の部分に比べて高く形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度が、その他の部分に比べて高く形成されていることを特徴としている。
このように、内鍋が少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、同内鍋の電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度が、その他の部分に比べて高く形成されていると、同部分における電磁誘導効率が他の部分に比べて高くなり、多量の渦電流が流れるようになる。
その結果、同部分の発熱量が大きくなって、加熱効率が向上する。
(2) 請求項2の発明
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の凹部が形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の凹部が形成されていることを特徴としている。
このように、内鍋が少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、同内鍋の電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の凹部が形成されていると、同凹部部分における発熱による温度上昇が早くなり、沸とうも早くなって蒸気の発生が活発になる。
(3) 請求項3の発明
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する内外2組の電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなり、上記内外2組の電磁誘導加熱手段の間に対向する部分に複数の空間部が形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する内外2組の電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなり、上記内外2組の電磁誘導加熱手段の間に対向する部分に複数の空間部が形成されていることを特徴としている。
このように、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなる内鍋において、その内外2組の電磁誘導加熱手段の間に対向する部分に空間部が形成されていると、同空間部部分における断熱作用により、例えば底部又は側方への熱伝導性の低い部分と内方への加熱効率の低い部分とが形成される。そして、それによって内鍋外側の対流が抑制され、内方側に有効な上昇対流が形成される。
この結果、炊飯性能が向上し、省エネ性能が向上するとともに土鍋に近い炊き上りが実現される。
(4) 請求項4の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1の発明の構成において、電磁誘導加熱手段に対向する他の部分に比べて飽和磁束密度の高い部分は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に飽和磁束密度が高い金属材料を配設することにより形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1の発明の構成において、電磁誘導加熱手段に対向する他の部分に比べて飽和磁束密度の高い部分は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に飽和磁束密度が高い金属材料を配設することにより形成されていることを特徴としている。
このように、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなる内鍋において、電磁誘導加熱手段に対向する他の部分に比べて飽和磁束密度の高い部分が、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に飽和磁束密度が高い金属材料を配設することにより形成されていると、同飽和磁束密度の高い金属材料部分にワークコイル等誘導加熱手段からの磁束が有効に作用して、有効に発熱するようになり、発熱効率が高くなる。
(5) 請求項5の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項2の発明の構成において、凹部は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、上記請求項2の発明の構成において、凹部は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に形成されていることを特徴としている。
このように、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなる内鍋において、その渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層の電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の凹部が形成されていると、同凹部部分における発熱による温度上昇が早くなり、沸とうも早くなって、蒸気の発生が活発になる。
(6) 請求項6の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項3の発明の構成において、空間部は、中間の金属層部分に形成されていることを特徴としている。
この発明の電気炊飯器は、上記請求項3の発明の構成において、空間部は、中間の金属層部分に形成されていることを特徴としている。
このように、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなる内鍋において、その中間の金属層部分の電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の空間部が形成されていると、同空間部部分における断熱作用により、例えば底部又は側方への熱伝導性の低い部分と内方への加熱効率の低い部分とが形成される。そして、それによって内鍋外側の対流が抑制され、内方側に有効な上昇対流が形成される。
この結果、炊飯性能が向上し、省エネ性能が向上するとともに土鍋に近い炊き上りが実現される。
以上の結果、本願発明によると、層数が少なくて、しかも炊飯効率、加熱効率(発熱効率)が高い高性能、低コストの新しいクラッド構造の内鍋を備えた誘導加熱式電気炊飯器を提供することが可能となる。
<最良の実施の形態1>
図1〜図3は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体の全体および内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
図1〜図3は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体の全体および内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
(全体の概要)
先ず本願発明の最良の実施の形態1における電気炊飯器は、例えば内鍋(飯器)3として高効率の電磁誘導加熱が可能なクラッド構造の金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケース(保護枠)4を介して当該内鍋3の底部3aから側部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底部3aの中央部側と側部側(コーナー部側)の2ケ所の全周面に対応する第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側部3bの全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらをマイコン制御ユニットによって適切に駆動制御することによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
先ず本願発明の最良の実施の形態1における電気炊飯器は、例えば内鍋(飯器)3として高効率の電磁誘導加熱が可能なクラッド構造の金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケース(保護枠)4を介して当該内鍋3の底部3aから側部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底部3aの中央部側と側部側(コーナー部側)の2ケ所の全周面に対応する第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側部3bの全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらをマイコン制御ユニットによって適切に駆動制御することによって適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
一方、それらの各機能に対するタイマー予約や炊飯および保温メニューの選択、それら各メニューに対応した加熱量、加熱パターン、保温温度、保温時間などの操作設定は、当該電気炊飯器本体Aの前面側操作パネル部20に設けられた各種入力スイッチ群を介してユーザーにより行われ、その設定内容に応じて最終的に上記ワークコイルC1,C2および保温ヒータH1が制御されるようになっている。
また、上記操作パネル部20の中央部には、炊飯、保温の各メニュー、設定された保温温度、設定保温時間並びに現在時刻および炊飯完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられている。
(炊飯器本体部分の詳細な構成)
該電気炊飯器の炊飯器本体Aは、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板を含むクラッド(多層板)構造の内鍋3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋)2とから構成されている。
該電気炊飯器の炊飯器本体Aは、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板を含むクラッド(多層板)構造の内鍋3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の内ケース(保護枠)4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記内ケース4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋)2とから構成されている。
上記内ケース4の底部4aの下方側にはコイル台7aが設けられ、その上部には、フェライトコア7bを介し、上記内鍋3の底部3aの中央部と側方部(コーナー部)の各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が、それぞれ内鍋3の底部3aの中心部から側部に到る略全体を包み込むように設けられており、それにより通電時には内鍋3の底部にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。
そして、同第1,第2のワークコイルC1,C2の一端は、例えば整流回路および平滑回路を介した電源ラインに、また他端はIGBT(パワートランジスタ)のコレクタにそれぞれ接続されている。
また、上記内ケース4の側部4bには、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
また、上記内ケース4の前面部側には、例えば第1,第2のワークコイルC1,C2、保温ヒータH1、さらに後述する肩ヒータH2等を駆動制御する、上記IGBTや保温ヒータ駆動回路、肩ヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路、マイコン制御ユニットなどを備えた制御回路基板9が上下方向に立設して設けられている。
この制御回路基板9の下部には、例えば上記IGBTに接して放熱用のヒートシンク19が設けられ、その下部側には冷却ファン17が設けられている。冷却ファン17は、上記外ケース1の底部に形成された空気吸込グリル49aから吸入した空気を上記ヒートシンク19および制御基板9を介して内ケース4の外周囲に流し、必要な発熱部の冷却を行う。
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記内ケース4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。
該外ケース1の前面部上方には、例えば図2に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。該操作パネル部20面には、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯スイッチ、タイマー予約スイッチ、取消スイッチ、保温スイッチ、再加熱スイッチ、メニュー選択スイッチ、時スイッチ、分スイッチ等の各種入力スイッチが設けられている。そして、操作パネル部20の裏側には、操作基板5aとマイコン基板5bが設けられている。また、上記肩部材11の肩部内周側には、肩ヒータH2が設けられている。
さらに、上記内ケース4下方側のコイル台7aの中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で内鍋温度検知センサおよび内鍋検知スイッチを備えたセンタセンサCSが設けられている。
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その器体を構成する合成樹脂製のカバー部材12と、該カバー部材12の下方に蒸気パイプ15aを介して設けられた金属製の放熱板16とを備えて構成されている。また、放熱板16の外周縁部16cの内側には内鍋3の開口縁部3cに対応するパッキン14が設けられている一方、同外周縁部16cの外端は上述の肩ヒータH2の上面部に接触させられている。また、15は蒸気キャップ(詳細は省略)である。
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構18が設けられている。
したがって、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記第1,第2の2組のワークコイルC1,C2の駆動により生じる渦電流によって、その底部3aから側壁部3b側にかけて発熱し、例えば内鍋3内の水に浸された飯米が断熱部として作用する吸水工程などにおいても内鍋3の上部側をもムラなく加熱して均一な吸水性能を可能にするとともに、炊飯量が多い時などにも内鍋3を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げる。
また、保温時には、上記内鍋3の側部3bに対応して設けられた上記保温ヒータH1および開口縁部3cに設けられた肩ヒータH2の駆動により、内鍋3の底部3aから側部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて加熱ムラのない保温が実現される。
(内鍋の構成)
ところで、本実施の形態の場合、上記内鍋3は、例えば図2、図3に示すように、全体として、内層側から外層側に(1)第1のアルミ材層(厚さ1.5t)31、(2)第2のアルミ材層(厚さ0.5t)32、(3)ステンレス材層(SUS430:0.5t)33を配するとともに、(1)の第1のアルミ材層31と(2)の第2のアルミ材層32との間に銅メッキ層34、(2)の第2のアルミ材層32と(3)のステンレス材層33との間に銅メッキ層34を設けて一体に圧着接合してクラッド構造に形成されている。
ところで、本実施の形態の場合、上記内鍋3は、例えば図2、図3に示すように、全体として、内層側から外層側に(1)第1のアルミ材層(厚さ1.5t)31、(2)第2のアルミ材層(厚さ0.5t)32、(3)ステンレス材層(SUS430:0.5t)33を配するとともに、(1)の第1のアルミ材層31と(2)の第2のアルミ材層32との間に銅メッキ層34、(2)の第2のアルミ材層32と(3)のステンレス材層33との間に銅メッキ層34を設けて一体に圧着接合してクラッド構造に形成されている。
ただし、同構造の内鍋3において、上記中間部に位置する(2)の第2のアルミ材層32は、図2から理解されるように、上記内ケース(保護枠)4の底部4a側の第1のワークコイルC1に対応(対向)する底部3a部分のみが、アルミ材に代えて飽和磁束密度の高い鉄(Fe)又は鉄系部材(厚さ0.5t)33aに置換されている。
このような構成の場合、上述のように第1のワークコイルC1が駆動された場合、同第1のワークコイルC1の各リッツ線からの磁束が、外層側ステンレス材層33部分に加えて、特に内側中間部における飽和磁束密度の高い鉄又は鉄系部材33a部分に効果的に作用して高い発熱効率で発熱するようになり、特に内鍋3の底部3a中央部からの蒸気発生、泡立ちが活発になり、炊飯に有効な上昇対流が効果的に形成される(図2中の矢印を参照)。
また、鉄又は鉄系部材33aは、アルミ材に比べて伝熱性が低く、蓄熱力が大きいので、炊飯終了後のむらし工程、保温工程でも有効に保熱効果を発揮させることができる。
また、同構成の場合、上記のように、内鍋底部3aの鉄又は鉄系部材32a部分に磁束が集中して効率良く発熱することから、相対的に上記外層側のステンレス材層33部分の発熱量が低下し、また、上記外層側のステンレス材層33が、下方側第1のワークコイルC1方向への遮熱効果を発揮するようになるので、鍋内側への熱拡散性、加熱効率が一層向上し、この点でも省エネ性能の向上に寄与することになる。
なお、以上の場合、上記(2)の第2のアルミ材層32の全体を鉄又は鉄系部材32aに置換することも考えられる。しかし、そのようにすると、内鍋3の開口部側縁部3cが錆びる、また鉄材はアルミ材に比べて延伸性に欠けるので、内鍋形状への加工時に底部3aと側部3b間のコーナ部の絞り加工が困難になるなどの問題を招く。
したがって、例えばそれらの問題を招くことなく、可及的に広く第2のワークコイルC2部分にも対応させて有効な上昇対流を得る構成としては、例えば図4に示すように、同鉄又は鉄系部材32aは少なくとも第2のワークコイルC2部分に対応する位置までとすることが好ましい。
<最良の実施の形態2>
次に図5〜図9は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態2に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
次に図5〜図9は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態2に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
この実施の形態の内鍋3では、例えば図5および図9に示すように、内層側アルミ材層31と外層側ステンレス材層33との2層構造よりなり、同内鍋3の内層部を形成するアルミ層材31の第1のワークコイルC1に対応(対向)する底部下面側部分の内側に、図6のような凹部31a,31a・・・、31a,31b・・・、31c,31c・・・、31d,31d・・・を形成し、同部分での内側への加熱力を向上させるようにしている。
すなわち、この実施の形態の内鍋3は、例えば図6に示すように、先ず当該内鍋3の内層部を形成するアルミ材31の上記第1のワークコイルC1に対応(対向)する底部3a部分の内側に凹プレス加工を施すことによって、下方側から上方側に凹む多数の凹部31a,31a・・・、31b,31b・・・、31c,31c・・・、31d,31d・・・を半径方向に4重で、かつ周方向に交互に位置を変えて間欠的に配列されるように形成し、その後、その全面に銅メッキ34を行って、図7に示すように面一化する。
これに合わせて、さらに図8に示すように、上記外層側ステンレス材33の一側面にも銅メッキ34を施す。
次に、これら図7のアルミ材31と図7のステンレス材33とを、その銅メッキ面同士を対向させてホットプレスすることによって、相互に圧着一体化して図9に示すような内鍋3用のクラッド材を形成する。
その後、同図9のクラッド材を内鍋形状に絞り加工することにより、図5のような底部3aの内側の第1のワークコイルC1に対向する部分に半径方向および周方向に多数の凹部31a,31a・・・、31b,31b・・・、31c,31c・・・、31d,31d・・・を有する内鍋3を実現する。
このような構成によれば、内鍋3の底部3aの同多数の凹部31a,31a・・・、31b,31b・・・、31c,31c・・・、31d,31d・・・部分における温度上昇度合が高くなり、沸とうも早くなって蒸気の発生が活発になり(凹部部分で集中して発生するようになり)、上記最良の実施の形態1の場合以上に炊飯に有効な上昇対流(図4中の矢印参照)が効果的に形成されるので、炊飯効率、加熱効率が向上し、省エネ性能が向上する。
なお、この場合、上記凹部31a〜31dは、例えば周方向に連続するドーナツ状のものとすることも考えられるが、そのようにすると、圧着力が低くなり、剥がれやすくなるが、上述のように間欠的に多数分割されたものとすると、周方向に均等に結合力が生じるので、そのような剥がれが生じにくくなる。
<最良の実施の形態3>
次に図10〜図15は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態3に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
次に図10〜図15は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態3に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成をそれぞれ示している。
この実施の形態の内鍋3は、上記最良の実施の形態2の場合と同様に、内層側にアルミ材層31、外層側にステンレス材層(SUS430)33を配した2層構造のクラッド材よりなり、それらの間の銅メッキ層34部分の第1のワークコイルC1に対応(対向)する領域に、例えば図10および図11に詳細に示すような5輪形態の飽和磁束密度の高いドーナツ状の鉄又は鉄系部材の溶射層35a〜35eを半径方向に所定の間隔を置いて、形成したことを特徴とするものである。
このような構成によると、例えば図10に示されるように、同溶射層35a〜35e部分に第1のワークコイルC1からの磁束がより集中的に作用し、その他の部分に比べてより効率良く発熱するので、同部分からの蒸気の発生量(図10中の矢印参照)が多くなり、やはり炊飯に有効な上昇対流が活発になる。
このような構造の内鍋3は、例えば図11および図12に示すように、先ず内層部を形成するアルミ材31の一側面に上述した鉄又は鉄系部材の溶射層35a〜35eを形成した後に、図13に示すように、その表面から全体に銅メッキを行って銅メッキ層34を形成する。
他方、それと共に、図14に示すように、外層部を形成するステンレス材33の一側面全体に銅メッキを行って銅メッキ層34を形成する。
最後に、図15に示すように、これら2つの銅メッキが終了したアルミ材31とステンレス材33を銅メッキ層34側同士を対向させる形で圧着プレスすることにより接合一体化し、その後、同クラッド部材を図10のような内鍋形状に絞り加工して完成する。
<最良の実施の形態4>
さらに図16および図17は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態4に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成を示している。
さらに図16および図17は、省エネ機能を向上させた本願発明の最良の実施の形態4に係る電気炊飯器の内鍋部分の構成を示している。
この実施の形態の内鍋3は、例えば前述の図2のような(1)第1のアルミ材層41、(2)第2のアルミ材層42、(3)ステンレス材層43の3層構造のクラッド材において、中間の第2のアルミ材層42を、プレス打抜き加工により例えば図17のような形状の2つの部分42a,42bに分割する。
この分割は、例えば図17のように底部中央側第1のワークコイルC1と底部外周側第2のワークコイルC2との各ワークコイルに対応させて、両者の間の熱の伝導を分断するように行う。そして、それによって予じめそれら2つのアルミ部材42a,42bの間に、図18のような周方向および放射方向(半径方向)の分断部51,51・・・と放射方向(半径方向)に長い空間部(隙間部)52,52・・・を形成する。
そして、これを中間部材として、最終的に図16のようなクラッド構造の内鍋3に絞り加工する。
このようにすると、中間のアルミ材42部分に、上記分断部51,51・・・と空間部52,52・・・による底部又は側方への熱伝導性の低い部分と内方への加熱効率の低い部分とが形成される。そして、それによって内鍋3外側の対流が抑制され、内方側に有効な上昇対流が形成され、炊き上がり時のご飯の盛り上りが有効に抑えられる。
この結果、炊飯性能が向上し、省エネ性能が向上するとともに土鍋に近い炊き上りが実現される。
<その他の実施の形態>
現在の電磁誘導加熱式電気炊飯器の熱効率は、高いものでも80%台前半であり、省エネ性能向上のためには、より熱効率の高い内鍋の開発が必要である。
現在の電磁誘導加熱式電気炊飯器の熱効率は、高いものでも80%台前半であり、省エネ性能向上のためには、より熱効率の高い内鍋の開発が必要である。
上述のように電磁誘導加熱式電気炊飯器の内鍋では、飽和磁束密度が高く磁力線を集めやすい物質ほど発熱しやすい。
そこで、磁力線を集める能力が高い物質として鉄(2.1テスラ)があるが、さらに鉄とコバルトの合金であるパーメンジュールという鉄系の金属材料は飽和磁束密度が2.4テスラであり、鉄よりもさらに発熱しやすい。
よって、このパーメンジュールとアルミ材等熱伝導性の高い材質とを組み合わせてクラッド構造の内鍋を作れば、より有効に熱効率が向上する。
Aは炊飯器本体、C1,C2はワークコイル、H1は保温ヒータ、H2は肩ヒータ、1は外ケース、2は蓋ユニット、3は内鍋、31,32はアルミ材層、33はステンレス材層、34は銅メッキ層、31a〜31dは凹部、35a〜35eは鉄又は鉄系部材の溶射層部である。
Claims (6)
- 水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分の飽和磁束密度が、その他の部分に比べて高く形成されていることを特徴とする電気炊飯器。
- 水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む2層以上の多層釜よりなり、上記電磁誘導加熱手段に対向する部分に複数の凹部が形成されていることを特徴とする電気炊飯器。
- 水および米を収容する内鍋と、この内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体と、上記内鍋に渦電流を誘起することにより上記内鍋を加熱する内外2組の電磁誘導加熱手段とを備えた電気炊飯器において、上記内鍋は、少なくとも1枚の渦電流が誘起される金属材料層を含む3層以上の多層釜よりなり、上記内外2組の電磁誘導加熱手段の間に対向する部分に複数の空間部が形成されていることを特徴とする電気炊飯器。
- 電磁誘導加熱手段に対向する他の部分に比べて飽和磁束密度の高い部分は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に飽和磁束密度が高い金属材料を配設することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
- 凹部は、渦電流が誘起される金属材料層以外の金属層部分に形成されていることを特徴とする請求項2記載の電気炊飯器。
- 空間部は、中間の金属層部分に形成されていることを特徴とする請求項3記載の電気炊飯器。
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