JP2642291B2 - ハイブリド型ヒト白血球インタフェロンをコードするdna - Google Patents

ハイブリド型ヒト白血球インタフェロンをコードするdna

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JP2642291B2 JP4349148A JP34914892A JP2642291B2 JP 2642291 B2 JP2642291 B2 JP 2642291B2 JP 4349148 A JP4349148 A JP 4349148A JP 34914892 A JP34914892 A JP 34914892A JP 2642291 B2 JP2642291 B2 JP 2642291B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウィルス性および腫瘍
性疾患治療に用いられる、ハイブリド型白血球インタフ
ェロンの、組換えDNA技術による微生物生産のための
手段に関するものである。さらに特に、本発明は、およ
そ165〜166個のアミノ酸よりなるポリペプチドで
あって、ヒト白血球インタフェロンAおよびヒト白血球
インタフェロンBまたはDの別々のアミノ酸副配列から
なり、ヒト白血球インタフェロンAの副配列は前記ポリ
ペプチドのN末端に位置しており、そしてこのポリペプ
チドの全アミノ酸配列が天然白血球インタフェロンのア
ミノ酸配列とは異なるポリペプチドをコードする鎖から
なる二重鎖DNA、このようなDNAを含有する複製可
能な発現ベクターおよびこのような複製可能な発現ベク
ターで形質転換した細菌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の背景についてまず説明する。比
較的均質な白血球インタフェロンは正常な献血者または
白血病給血者の白血球を原料としている。これらのイン
タフェロンはその標的細胞中にウィルス耐性状態を与え
る強い活性により特徴づけられるたん白質の一群であ
る。さらに、インタフェロンは細胞増殖を阻害し、免疫
応答を調整することが出来る。これらの特性により、イ
ンタフェロンがウィルス感染および腫瘍の治療のため治
療剤として、臨床に用いられるようになった。
【0003】さらに近年では、組換えDNA技術を用い
て、数多くの異なる白血球インタフェロンの微生物生産
が可能となり、それらインタフェロンのアミノ酸配列
は、David V.Goeddelら[Nature
290,20〜26(1981)]により発表されて
いるように、お互いに70%程度の相同性を有すること
を示している。それぞれ、LeIF A,B,C,D,
F,GおよびHと命名された種々の白血球インタフェロ
ンのアミノ酸配列をコードする遺伝子が、H.P.Ko
efflerおよびD.W.Goldeにより記述され
たKG−1細胞[Science 200,1153〜
1154(1978)]から、DavidV.Goed
delおよびSidney Pestkaにより得られ
ている。KG−1細胞は、American Type
Culture CollectionにATCC番
号CRL8031として寄託されている。それらの遺伝
子は、細菌発現のためのプラスミド性ベクターに適当に
挿入され、宿主、好ましくは、E.Coli K−12
294株、ATCC No.31446(1978年
10月28日寄託)、を形質転換するのに用いられてい
る。
【0004】組換えDNA技術における働き手は、細菌
および他の微生物に存在し、しばしば、一細胞当たり多
数のコピーで存在する非染色体性の環状二重鎖DNAで
あるプラスミドである。プラスミドDNA中にコードさ
れる情報には、娘細胞中でプラスミドを複製するのに必
要な情報(即ち、「レプリコン(replico
n)」)および、通常、一種またはそれ以上の選択特
性、たとえば、細菌の場合に、抗生物質に対する抵抗性
のような情報がある。この選択特性の情報により、対象
プラスミドを含有する宿主細胞のクローンを認識し、選
択培地中で優先的に生育させることができる。
【0005】プラスミドの有用性は、プラスミドDNA
の異なる部位をそれぞれ認識する一つの、又はいくつか
の制限エンドヌクレアーゼ、すなわち「制限酵素」によ
り特異的に切断されるという点にある。従って、切断部
位または、切断部位に接して再構成した末端に結合する
ことにより、異種遺伝子または遺伝子断片をプラスミド
中に挿入することができる。DNAの組換えは細胞外で
実施しうるが、出来た“組換え”プラスミドは、形質転
換として知られる方法により細胞内に導入され、その転
換細胞を生育させることにより、異種遺伝子を含む組換
えプラスミドを大量に得ることができる。更に、その異
種遺伝子がプラスミド内の、コードされるDNA情報の
転写および翻訳を支配する部位に対して正しく挿入され
る場合には、出来た発現ベクターは、挿入された遺伝子
がコードするポリペプチド配列を実際に生産すること、
即ち、発現と称されるプロセスに使用される。
【0006】発現は、RNAポリメラーゼにより認識さ
れ、結合を受けるプロモーターとして知られる領域で始
まる。例えば、本発明の実施において選択されているト
リプトファンまたは「trp」プロモーターのように、
ある場合には、プロモーター領域は「オペレーター」領
域と重なり、両者が結合したプロモーター−オペレータ
ーを形成している。オペレーターは、特定のプロモータ
ーにおける転写開始の頻度を調節する役割を果す、いわ
ゆるレプレッサーたん白により認識されるDNA配列で
ある。RNAポリメラーゼはDNAに沿って移動し、コ
ード鎖に含まれる情報を、その5′末端から3′末端へ
とmRNAに転写し、代わって、mRNAがDNAのコ
ードするアミノ酸配列を有するポリペプチドに翻訳され
る。
【0007】個々のアミノ酸はヌクレオチドトリプレッ
トまたは「コドン」によりコードされ、それらは、本発
明において、「構造遺伝子」、即ち発現される生成物の
アミノ酸配列をコードする部分、と呼ばれる部分に存在
する。RNAポリメラーゼはプロモーターに結合後に、
先ずリボゾーム結合部位をコードするヌクレオチドを転
写し、次いで、翻訳開始すなわち「開始」シグナル(通
常はATGで、mRNAではAUGとなる)を、続い
て、構造遺伝子自体のヌクレオチド、コドンを転写す
る。
【0008】構造遺伝子の末端で、いわゆる停止コドン
が転写され、その後、ポリメラーゼはmRNAの追加配
列を形成することがあるが、停止シグナルが存在するた
めその配列はリボゾームで翻訳されない。リボゾームは
mRNA上にある結合部位に結合し、細菌においては通
常、mRNAが形成されながら結合する。そして、翻訳
開始シグナルから始まり、前記の停止シグナルで終了す
る、コードされたポリペプチドを生成する。リボゾーム
結合部位をコードする配列がAUG開始コドンに対して
適切に位置し、かつ、残る全てのコドンが開始コドンに
続くなら、目的の生成物が生産される。この生成物は、
宿主細胞を溶解し、適当な精製により他の細菌たん白質
から採取することにより得ることができる。
【0009】
【発明の開示】本発明の概略を以下に説明する。種々の
白血球インタフェロンをコードする遺伝子の塩基配列を
調べてみると、それらの多くが、ある制限エンドヌクレ
アーゼにより認識される切断部位の存在とその位置の点
で、共通性が高いことがわかる。本発明はこの共通性を
利用して、組換えDNA技術により、ハイブリッド型白
血球インタフェロンの微生物生産に有用な新規ハイブリ
ッド遺伝子を作製するものであり、これらのハイブリッ
ド型白血球インタフェロンは、親遺伝子がコードするイ
ンタフェロンが有する抗ウィルス性および他の性質を、
より以上の程度で或いはより低い程度で示す。本発明の
有利な具体例においては、ハイブリッド型白血球インタ
フェロンは、親遺伝子によりコードされるインタフェロ
ンに比較し、高い活性を示す。
【0010】本発明が企図する白血球インタフェロンた
ん白群をコードする親白血球インタフェロン遺伝子は、
個々に天然配列変化を示している。これらの変化は、全
たん白配列中でのアミノ酸の差、或いはこの配列中にお
けるアミノ酸の欠失、置換、挿入、転換、或いは追加な
どにより起っている。LeIF A,LeIF B,・
・・LeIF J等の略号で示されるこの親白血球イン
タフェロンの個々に対する配列変化は、本発明で定義さ
れる略号又は語の範囲内に含まれる。
【0011】本発明の目的物およびその利点は以下に記
載される詳細な説明および添付図面により明確となる。
図および表について説明する。第1表は、8種の白血球
インタフェロン(「LeIF」)の相補DNA(「cD
NA」)クローンのコード領域の塩基配列を示す。これ
らの中で、LeIFEと命名されるものは「偽遺伝子」
であり、活性白血球インタフェロンをコードしていない
し、又LeIF Gと命名されているものは、対応する
インタフェロン種の全長より短い配列しか含んでいな
い。翻訳開始コドンATGおよび停止トリプレットは各
LeIF中で下線で示す。
【0012】図1は、8種のLeIF cDNAクロー
ン(AからH)の制限エンドヌクレアーゼ切断地図を示
す。クローンを含むプラスミドはdC:dG法〔D.
V.Goeddelら、Nature 287,411
〜416(1980)〕により作製された。従って挿入
cDNAはPstIにより切除され得る。即ち、挿入部
の各末端はPstI制限エンドヌクレアーゼ切断部位で
ある。各cDNA挿入物の端の線はdC:dG末端のホ
モポリマーを示す。PvuII,EcoRIおよびBgl
IIの制限部位の位置を示してある。点々部分は、成熟L
eIFのコード配列を表わす。又、斜線部分は、シグナ
ルペプチドをコードする配列を、又白い部分は、3′お
よび5′の非コード配列を示す。
【0013】第2表は、塩基配列から推定される8種の
LeIFのたん白配列の比較を示す。IUPAC−IU
B Commission on Biochemic
alNomenclatureが推奨する一文字略号を
用いている。A,アラニン;C,システイン;D,アス
パラギン酸;E,グルタミン酸;F,フェニルアラニ
ン;G,グリシン;H,ヒスチジン;I,イソロイシ
ン;K,リジン;L,ロイシン;M,メチオニン;N,
アスパラギン;P,プロリン;Q,グルタミン、R,ア
ルギニン;S,セリン;T,スレオニン;V,バリン;
W,トリプトファン;およびY,チロシンである。
【0014】数字はアミノ酸の位置を示す(Sはシグナ
ルペプチドを指す)。165個のアミノ酸より成るLe
IF Aの44番目の位置に横線があるのは、他のLe
IFの166個のアミノ酸配列と合わせるためである。
LeIF Eの配列は、コード領域の余分の塩基(第1
表の187番目)を無視して決定した。星印は停止コド
ンを示す。全てのLeIF(偽遺伝子のLeIF Eは
除く)に共通なアミノ酸も示してある。下線を施したも
のはヒト線維芽細胞インタフェロンにも存在するアミノ
酸である。
【0015】第1表の+1から69までの塩基は第2表
のS1からS23のアミノ酸に対応する。第1表のTG
Tコドン(70から72の塩基)は第2表のシステイン
(C,アミノ酸1)に対応する。第2表で、PvuII制
限エンドヌクレアーゼ切断部位は、LeIF A,B,
D,FおよびGで92と93のアミノ酸のコドンの間、
即ち、第1表の346と347の塩基の間に存在する。
【0016】第3表は、成熟白血球インタフェロンAお
よびDのアミノ酸配列の比較を示す。LeIF Aの4
4番目のアミノ酸の欠失は横線で表わしている。LeI
FDのアミノ酸の中で、対応するLeIF Aのアミノ
酸と異なるもののみ記してあり、他の部分は、LeIF
Dのアミノ酸配列はLeIF Aと同一である。第3
表はさらに、本発明で選択されるハイブリッド型白血球
遺伝子を作製するのに採用されるBglIIおよびPvu
II制限酵素切断部位の遺伝子に対応する位置も示してい
る。
【0017】図2および図3は、本発明で選択されるハ
イブリッド型白血球インタフェロン(「LeIF−A/
D」)マウス細胞における脳心筋炎ウィルス(「EM
C」)および水疱性口内炎ウィルス(「VSV」)に対
する活性の比較試験の結果を示すグラフである。
【0018】図4および図5は、それぞれマウスおよび
ハムスターでのEMCウィルス感染に対するLeIF−
A/Dおよび他のインタフェロンの活性の比較試験の結
果を示すグラフである。図4のデータは、感染3時間前
にi.p.投与した結果である。LeIF−A/Dおよ
びLeIF−Aの投与量は、WISH細胞で測定したも
のである。第4表は、タイプIおよびJを含む5種のL
eIFたん白のDNA配列を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】
【表8】
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施するための有利な具体例
を示す。A.使用微生物 記載した実施において2種の微生物を用いている。米国
特許4190495に記載のE.Coli X1776
および、英国特許公報No. 2055382記載のE.C
oli K−12 294株(end A,thi-
hsr- ,hsm+ k)である。それぞれ、Ameri
can Type Culture Collecti
onに1979年7月3日、および1978年10月2
8日寄託のATCC番号31537および31446と
して寄託されている。全ての組換えDNA実験はNat
ional Justitute of Health
のガイドラインに従って行なった。
【0028】本発明の最も有利な具体例としては、上述
のE.Coli X1776およびE.Coli K−
12 294株に関して記載するが、本発明は、他の公
知のE.Coli株、例えばE.Coli B或いは他
の微生物菌株を含むもので、それらの多くは、公認の微
生物寄託機関、たとえば、American Type
Culture Collection,ATCC,
に寄託され、入手可能である。(ATCCカタログリス
トおよびドイツ特許2644432を参照のこと。)他
の微生物としては、たとえば、Bacillus su
btilisのようなBacillus属、Salmo
nella typhimuriumおよびSerra
tia marcescensを例として挙げられる腸
内細菌があり、これらは、複製可能で異種遺伝子配列を
発現することのできるプラスミドを利用する。Sacc
haromyces cerevisiaeのような酵
母も、酵母のプロモータ制御下にインタフェロンたん白
をコードする遺伝子を発現することにより、インタフェ
ロンたん白生産のための宿主菌として有利に用いられ
る。
【0029】本発明によると、LeIFのハイブリドは
個々の親遺伝子に共通に存在する制限エンドヌクレアー
ゼ切断部位とその各末端を発現プラスミド担体(ベクタ
ー)の同じ部位と共に利用することにより作製される。
例えば、LeIF A trp25発現プラスミドのX
baIからPstIまでの大きい断片(約3900b
p)を種々のLeIF親遺伝子のXbaIからPvuII
およびPvuからPstI切断断片と結合することによ
り、対応するハイブリッドLeIFを得るのに使用でき
る発現プラスミドを供給することが出来る。
【0030】各LeIF発現プラスミドは、各種LeI
Fプラスミド、p LeIF Atrp25,p Le
IF B trp 7,p LeIF C trp 3
5,p LeIF D trp 11,p LeIF
F trp 1,p LeIF G,p LeIF H
およびp LeIF I等、或いはPBR322より分
離される消化断片から個別に作製された。上記各種Le
IFプラスミドの作製はNature287,411
(1980)に、又pBR322の作製はGene
95(1977)に記載されている。これらのプラスミ
ドのあるものでの、“trp”というのは、バクテリア
の発現に最も有利なトリプトファンのプロモーターオペ
レータ系を示し、それは、ヨーロッパ特許出願No. 36
776に記載されている。
【0031】B.第一の成熟白血球インタフェロンの直
接発現 LeIF Aを直接成熟インタフェロンポリペプチドと
して発現するため、合成(N−末端)および相補DNA
の組み合せを用いた。
【0032】Sau3a制限エンドヌクレアーゼ部位が
LeIF Aの第一番目と第二番目のコドンの間に幸い
存在している。ATG翻訳開始コドンを含み、第一番目
のアミノ酸(システイン)のコドンを保持し、かつEc
oRIの接着末端を構成するような2つの合成デオキシ
オリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴマをp
L31のSau3a−AvaIIの34b.p.断片と結
合した。出来た45b.p.の産物に2つのDNA断片
を結合して865塩基対を有するLe−IFAをコード
し、EcoRIおよびPstIで結合され合成−天然ハ
イブリド遺伝子を構成した。この遺伝子をpBR322
のEcoRIおよびPstI部位の間に挿入してプラス
ミドpLE−IFA1を得た。
【0033】プラスミドPGM1は、ΔLE1413を
欠失するE.coliトリプトファンオペロンを有し
〔G.F.MiozzariらJ.Bacteriol
ogy133,1457−1466(1978)〕、従
って、trpリーダーの最初の6コのアミノ酸とtrp
E ポリペプチドの後の約3分の1の融合たん白(以
後LE′と呼ぶ)とさらにtrp Dポリペプチドの全
長とをtrpプロモーターオペレータ系の制御の下に発
現する。このプラスミド20μgを制限酵素PvuIIで
消化すると、プラスミドは5ケ所で切断される。
【0034】次に、遺伝子断片にEcoRIリンカー
(自己相補オリゴヌクレオチド:pCATGAATTC
ATGより成る)を結合し、後に、EcoRI部位を
有するプラスミドにクローン化する際のEcoRI部位
を供与する。pGM1より得られたDNA断片20μg
を、200pmoleの5′−りん酸化合成オリゴヌク
レオチドpCATGAATTCATG存在下、20μl
のT4リガーゼ緩衝液(20mMトリス、pH7.6,
0.5mM ATP,10mM MgCl2 、5mMジ
チオスライトール)中、4℃で一晩、10ユニットのT
4リガーゼと反応させる。反応液を70℃、10分間加
熱して反応を停止する。リンカーはEcoRI消化で切
断し、EcoRI末端を有する断片を5%ポリアクリル
アミド電気泳動(以後“PAGE”という)で分離す
る。
【0035】ゲルを先ずエチジウムブロマイドで染色
し、紫外線で位置を確認し、必要な部分をゲルから切り
とることにより、大きな3つの断片を単離する。各ゲル
断片を、300μlの0.1×TBEと透析袋に入れ、
100Vで1時間、0.1×TBE緩衝液中で電気泳動
にかける。TBE緩衝液は、1L中10.8gトリス塩
基、5.5gホウ酸、0.09gNa2 EDTAを含
む。透析袋中の水溶液を集め、フェノールで抽出し、ク
ロロホルム抽出し0.2M塩化ナトリウム溶液とし、エ
タノールによる沈でん後に、水中にDNAが回収され
る。trpプロモーターオペーレータを含み、EcoR
I接着末端を有する遺伝子は、以下に述べるように、断
片をテトラサイクリン感受性プラスミドに挿入し、それ
にプロモーターオペレータを挿入することによりテトラ
サイクリン耐性となるような方法で確認される。
【0036】プラスミドpBRH1(R.I.Rodr
iguezら、Nucleic Acids Rese
arch ,3267〜3287〔1979〕)は、
アンピシリン耐性を発現し、テトラサイクリン耐性遺伝
子を含むが、付随したプロモータがないため、その耐性
を発現しない。従って、このプラスミドはテトラサイク
リン感受性である。EcoRI部位にプロモーターオペ
レータ系を入れることにより、このプラスミドはテトラ
サイクリン耐性となる。
【0037】pBRH1をEcoRIで消化し、酵素を
フェノール抽出およびクロロホルム抽出により除去し、
エタノールによる沈でん後に、水中に回収できる。得ら
れるDNA分子を、それぞれ別の反応液中で、上述の3
つのDNA断片のそれぞれと組み合せ、既に記載したと
おり、T4DNAリガーゼで結合する。反応液中に存在
するDNAを用い、E.coli K−12 294株
(K.Backmanら、Proc.Natl.Aca
d.Sei.U.S.A.73,4174−4198
〔1976〕)を標準の方法(V.Hershfiel
dら、Proc.Nail.Acad.Sci.US
A,71,3455−3459〔1974〕)により形
質転換し、バクテリアを20μg/mlのアンピシリンお
よび5μg/mlのテトラサイクリン含有のLBプレート
にまく。いくつかのテトラサイクリン−耐性コロニーを
選択し、プラスミドDNAを単離して、制限酵素による
分析で目的の断片を確認する。このようにして得られた
プラスミドをpBRH trpと命名する。
【0038】肝炎ウィルスの遺伝子のEcoRIおよび
BamHI消化産物を従来の方法でとり、プラスミドp
GH6(D.V.Goeddelら、Nature
281,544〔1979〕)のEcoRIおよびBa
mHI部位にクローンして、プラスミドpHS32を得
た。プラスミドpHS32をXbaIで切断し、フェノ
ール抽出、クロロホルム抽出およびエタノール沈でんを
行なう。次に、0.1mM dTTPおよび0.1mM
dCTPを含む30μlのポリメラーゼ緩衝液(50mM
りん酸カリ、pH7.4,7mM MgCl2 ,1mMβ−メ
ルカプトエタノール)中にて、E.Coliポリメラー
ゼKlenow断片(Boehringer mann
heim)1μlで処理する。この処理により、Xbe
Iの切断部位の突出5′−末端の4塩基の中の2個に相
補塩基をうめる。
【0039】dCおよびdTの二つの塩基がとり込ま
れ、5′末端に2個の塩基が突き出た形になる。このプ
ラスミドpHS32の直線鎖(フェノールおよびクロロ
ホルム抽出後、エタノール沈でんの後、水に回収)をE
coRIで切断する。小さい、EcoRI−XbaI断
片から大きいプラスミド断片をPAGEにより分離し、
電気溶出により単離する。このpHS32からのDNA
断片(0.2μg)を、上述の方法と同じような条件下
で、pBRH trpに由来するトリプトファンオペロ
ンのEcoRI−TaqI断片(約0.01μg)と結
合する。上記のようにpHS32からの断片と、Eco
RI−TaqI断片とを結合する際、TaqIの突出末
端は、ワトソン−クリックの塩基対で相補性がないが、
XbaIの残突出末端と結合する。
【0040】この結合反応液の一部でE.Coli29
4細胞を形質転換し、加熱処理後アンピシリン含有のL
Bプレートにまく。24個のコロニーを選択し、3mlの
LB培地で生育させ、プラスミドを単離する。この中の
6個は、XbaI部位がE.ColiのDNA複修およ
び複製により再生されていた。 ───TCTAGA─── ────TCTAGA──── ───AGCTCT─── ────AGATCT──── これらのプラスミドはEcoRIおよびHpaIで切断
されることがわかり、制限断片も予想されるものが得ら
れた。p trp 14と命名されたプラスミドを、以
下に述べる異種ポリペプチドの発現に用いた。
【0041】プラスミドpHGH107(D.V.Go
eddelら、Nature,281,544〔197
9〕)は、合成DNA断片より作られた23コのアミノ
酸コドンと、ヒト生長ホルモンのmRNAの逆転写によ
り作製した相補DNAから得られた163個のアミノ酸
コドンとから作られたヒト生長ホルモンの遺伝子を含ん
でいる。この遺伝子はヒト生長ホルモンの“プレ”配列
のコドンを欠失しているが、ATG翻訳開始コドンは有
している。遺伝子は10μgのpHGH107から、E
coRI処理、E.ColiポリメラーゼI Klen
ow断片およびdTTP,dATP処理により、上述の
とおり単離された。プラスミドは、フェノールおよびク
ロロホルム抽出、エタノール沈でんの後、BamHIで
処理した。
【0042】ヒト成長ホルモン(「HGH」)含有遺伝
子断片は、PAGEおよび電気溶出により単離した。こ
のようにして得られるDNA断片は、テトラサイクリン
耐性構造遺伝子の最初の350塩基を含有するが、テト
ラサイクリンのプロモーターオペレータ系を欠如してい
るため、発現プラスミドにクローン化する際、挿入DN
Aを含むプラスミドをテトラサイクリン耐性の回復で確
認することが出来る。又、断片のEcoRI末端はKl
enowポリメラーゼI法により修復されているので、
この断片は一つの平滑末端と一つの接着末端を有し、従
って後に発現プラスミドに挿入される時、正しい方向に
結合され得る。
【0043】次に、上記のとおり得られたHGH遺伝子
含有断片を入れるための発現プラスミドp tpr14
を作製した。p trp14をXbaIで消化し、接着
末端をdATP,dTTP,dGTPおよびdCTPを
用いたKlenowポリメラーゼI法により修復する。
フェノールおよびクロロホルム抽出、エタノール沈でん
の後、得られるDNAをBamHIで処理し、PAGE
および電気溶出によりプラスミドの大断片を単離する。
このp trp14由来の断片は一つの平滑末端と、一
つの接着末端を有するため、前述のHGH遺伝子含有断
片との組み換えを正しい方向性で行なうことが出来る。
【0044】HGH遺伝子断片と、p trp14ΔX
ba−BamHI断片を組み合せ、前述の条件と同じよ
うな条件で結合する。修復XbaIおよびEcoRI末
端を平滑末端結合により結合し、XbaIおよびEco
RI部位を再構成する。
【0045】この構成によりテトラサイクリン耐性遺伝
子も再生される。それは、プラスミドpHGH107は
テトラサイクリン耐性をHGH遺伝子より上流に存在す
るプロモータ(Lecプロモータ)にて発現するため、
この構成(pHCH207と命名)によりテトラサイク
リン耐性の遺伝子の発現がトリプトファンプロモーター
オペレータの調節下に行なわれるからである。そこで、
結合混合液でE.Coli294株を形質転換し、コロ
ニーを5μg/mlテトラサイクリン含有のLBプレート
上で選択する。
【0046】プラスミドpHGH207をEcoRIで
消化し、300b.p.のEcoRI断片を含むtrp
プロモーターを、PAGEおよび電気溶出により回収し
た。この300b.p.のEcoRI断片はE.Col
iのtrpプロモータ、オペレータおよびtrpリーダ
ーリボゾーム結合部位を含有するが、翻訳開始のATG
配列を欠失している。このDNA断片をpLe−IFA
のEcoRI部位にクローン化した。
【0047】ここで、言及したtrp断片は、調節可能
に発現程度が高められるよう、いわゆるtrpアテニュ
エーターを欠失させたE.Coliトリプトファンオペ
ロンの類似体である。修復trp制御遺伝子含有の発現
プラスミドを、そのプロモーターオペレータ系を抑制す
るのに十分量のトリプトファンを添加した栄養培地で、
予め決めておいた程度まで発育させ、次に系の抑制を解
除するためトリプトファンを除去すると、目的産物が発
現され得る。
【0048】さらに具体的に言うと、250μgのプラ
スミドpL31をPstIで消化し、1000b.p.
の挿入物を6%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し
て単離する。およそ40μgの挿入物をゲルから電気溶
出し、3つに分けてさらに消化した。a)この16μgを
40unitsのBglIIにより37℃で45分間部分
消化し、反応液を6%ポリアクリルアミドゲルで精製す
る。約2μgの目的の670b.p.断片を得た。b)次
の8μgの1000b.p.PstI挿入物をAvaII
およびBglIIで制限切断する。電気泳動の後、150
b.p.の断片1μgを得た。
【0049】c) 16μgの1000b.p.断片をS
au3aおよびAuaIIで処理する。10%ポリアクリ
ルアミドゲルで電気泳動後、約0.25μg(〜10p
mole)の34b.p.断片を得た。二つのデオキシ
オリゴヌクレオチド、5′−dAATTCATGTGT
(断片1)および5′−dGATCACACATG(断
片2)をりん酸トリエステル法(maxamおよびGi
lbert,methods Enzymol.65,
499−560〔1980〕)により合成した。
【0050】断片2を以下のとおりりん酸化した。20
0ml(〜40pmole)の(r32p)ATP(Ame
rsham,5000Ci/mmole)を乾燥し、再
び100pmoleのDNA断片および2ユニットのT
4ポリヌクレオチドキナーゼを含む30μlの60mM
トリス−HCl(pH8)、10mM MgCl2 ,15mM
β−メルカプトエタノールにけん濁した。37℃、15
分後、1μlの10mMATPを加え、さらに15分間反
応を続けた。次に、反応液を70℃、15分加熱し、1
00pmoleの5′−OH断片1および10pmol
eの34b.p.Sau3a−AvaII断片と合わせ
た。
【0051】結合は、50μlの20mMトリス−HCl
(pH7.5)、10mM MgCl2、10mMジチオスラ
イトール、0.5mM ATPおよび10ユニットのT4
DNAリガーゼ中で4℃において5時間行なった。反
応液を6%ポリアクリルアミド上電気泳動し、45b.
p.の産物を電気溶出にて回収した。860,000C
erenkov cpmを回収し、(〜30ng,1p
mole)、0.5μg(5pmole)の150b.
p.AvaII−BglII断片および1μg(2pmol
e)の670b.p.BglII−pstI断片と合わせ
た。
【0052】結合反応は、20ユニットのT4DNAリ
ガーゼを用い、20℃で16時間行なった。リガーゼは
65℃で10分の加熱により不活化した。次に反応液を
EcoRIおよびPstIで消化して遺伝子ポリマーを
除去した。反応混合物を6%ポリアクリルアミドゲル電
気泳動で精製した。36,000cpm(〜0.04p
mole,20ng)の865b.p.産物を単離し
た。この半分(10ng)をpBR322(0.3μ
g)のEcoRIとPstI部位の間に結合した。E.
Coli294株を形質転換し、70コのテトラサイク
リン耐性、アンピシリン感受性形質転換株が得られた。
【0053】これらの形質転換株の18株からプラスミ
ドDNAを単離し、EcoRIおよびPstIで消化し
た。18個の中の16個のプラスミドが865b.p.
の長さのEcoRI−PstI断片を持っていた。これ
らの一つ(pLeIF A1)の1μgをEcoRIで
切断し、前述のように調製した、E.Coli trp
プロモータおよびtrpリーダーリボゾーム結合部位含
有の300b.p.EcoRI断片(0.1μg)と結
合した。trpプロモータを含む形質転換株は、32P
−trpプローブと、Gunstein−Hogues
sコロニー選択法〔Gunsteinら、Proc.N
atl.Acad.Sci(USA)72,3961
(1975)〕との組み合せて用いて確認された。tr
p断片中にXbaI部位が非対称的に存在することか
ら、trpプロモーターがLeIFA遺伝子の方向に正
しく位置する組み換え体を決めることができる。
【0054】IF分析用の抽出物は、以下のように調製
した。1mlの培養物を、5μg/mlのテトラサイクリン
含有L−ブロス中でA550が約1.0となるまで培養
し、次に、5μg/mlのテトラサイクリン含有のM9培
地25mlに希釈した。A550が1.0になった時10
mlを遠心分離により採収し、細胞を1mlの15%蔗糖、
50mMトリス−HCl(pH8.0)50mM EDTAに
けん濁する。1mgのリゾチームを添加し、0℃で5分後
に、細胞を超音波処理により破砕した。これをSorv
all SM−24ローター中15,000rpmで1
0分間遠心分離する。上澄液のインタフェロン活性を細
胞病理効果(CPE)阻害分析によりLe−IF標準と
比較して測定した。細胞当りのインタフェロン分子の数
を決定するには、Le−IFの比活性4×108 uni
t/mgを使用した〔Rubinsteinら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.(USA)76,6
40(1979)〕。
【0055】trpプロモーターが望む方向に挿入され
ているクローンpLe−IF Atrp25は高い程度
の活性(リットル当たり2.5×108 ユニット)を示
した。E.ColiK−12 294 株/pLe−I
F A trp Aの生産するIFは、標準のヒトLe
−IFと同じような挙動を示した。これは、pH2の処理
に対して安定であり、ウサギの抗ヒト白血球抗体により
中和された。このインタフェロンは、およそ20,00
0の分子量を有する。
【0056】C.他の白血球のインタフェロンのcDN
Aの分離 完全に分析されているLe−IF A含有プラスミドか
らのDNAをPstIで切断し、電気泳動で単離し、既
報の方法〔Taylorら、Biochem.Biop
hys.Acta.442,324(1976)〕によ
32Pでラベルした。得られた放射活性標識DNAをプ
ローブとして用いて、上記Grunsteinらのコロ
ニー選択法により、他のE.Coli294形質転換株
をスクリーニングした。プローブと種々の量でハイブリ
ダイズするコロニーを単離した。これらのコロニーから
のプラスミドDNAおよび上記に言及した10個のハイ
ブリド形成コロニーからのプラスミドをPst切断で単
離し、3つの異なる方法で解析した。
【0057】先ず、これらのPst断片を、BglII、
PvuIIおよびEcoRIの制限エンドヌクレアーゼ消
化パターンにより解析した。この分析により、少なくと
も8つの異なるタイプに分類できた。Le−IF A,
Le−IF B,Le−IFC,Le−IF D,Le
−IF E,Le−IF F,Le−IF GおよびL
e−IF Hであり、これにより、種々の制限酵素切断
の位置をLe−IFAのこれまでに明かなプレ配列及び
コード配列に対応しておよそ決められる。これらの中の
一つ、Le−IF D,はNagataら、Natur
284,316(1980)に報告されているものと
同一と考えられる。
【0058】第二に、DNAのいくつかは、既報のハイ
ブリド化選択分析(Clevelandら、Cell2
,95〔1980〕)により、ポリ−A含有KG−1
細胞RNAからLe−IF mRNAを選択的に除去す
る能力を試験した。Le−IF A,B,CおよびFは
この分析で陽性であった。第三に、後のPst断片を発
現プラスミドに挿入し、そのプラスミドでE.Coli
294株を形質転換して、その断片を発現させた。発現
産物はプレインタフェロンと考えられ、CPE分析のイ
ンタフェロン活性が陽性であった。但し、Le−IF
F断片の場合は、わずかな活性であった。上記に加え、
全てのLeIFタイプに関してDNA配列決定をした。
【0059】D.第二の成熟白血球インタフェロン 成熟Le−IFBを含む断片の配列から、タイプAとタ
イプBの最初の14個の塩基が同一であることがわか
る。そこで、trp−プロモーターオペレータ、リボゾ
ーム結合部位およびLe−IF(A=B)遺伝子を有す
るpLe−IFA25からの断片を単離し、これと残り
部分のB配列とを発現プラスミド中で結合することを考
えた。
【0060】約950b.p.のSau3a−PstI
断片を得るために、いくつかの段階が必要であった。そ
れは、Sau3a制限部位が一つ以上邪魔して存在して
いるからである。1. 次の断片を単離した。 a) Sau3aからEcoRIまでの110b.p. b) EcoRIからXbaまでの132b.p. c) XbaからPstまでの700b.p.以上 2. 断片(1a)と(1b)を結合し、XbaとBgl
IIで切断してSau3aとXba末端を介しての自己ポ
リマー化を妨げた(Sau3a部位はBglII部位内に
存在;BglII切断によりSau3aの接着末端が保存
される)242b.p.の断片を単離した。
【0061】3. (2) の産物と(1c)を結合し、自己
ポリマー化を防ぐためPstIとBglIIで切断する。
Sau3aからPstIまでのおよそ950b.p.の
断片を単離した。この断片は、Le−IF B遺伝子の
Le−IF Aと共通でない部分より成っている。 4. pLe−IF A25より、trpプロモーターオ
ペレータ、リボゾーム結合部位、ATG開始シグナルお
よびLe−IF Aのシステインコドンを含む、およそ
300b.p.の断片(HindIII からSau3a)
を単離した。 5. pBR322より、およそ3600b.p.のPs
tIからHindIII の断片を単離した。この断片はレ
プリコンを含み、テトラサイクリンをコードするが、ア
ンピシリン耐性は有しない。 6. ステップ3,4および5で得られた断片を結合し、
得られたプラスミドでE.Coli294株を形質転換
した。
【0062】形質転換株をミニスクリーンし、〔Bir
nboinら、Nucleic Acid Resea
rch,1513(1979)〕、プラスミド標品を
EcoRIで消化した。その結果、次の三つの断片を得
た。 1) EcoRI−EcoRI trpプロモータ断片、
2) pL4のEcoRI−EcoRI断片、および、3)
pL4のたん白翻訳開始シグナルからEcoRI断
片。CPE分析で先きのようにして作製したクローンか
らの細菌抽出物は、典型的にA550 =1の1リットル当
たりのインタフェロン活性として、約10×106ユニ
ットであった。このようにして調製したクローンの一例
として294/pLIF B trp7がある。
【0063】E.他の成熟白血球インタフェロン 他のLe−IFタイプを含む全長遺伝子断片はLe−I
F Aの場合と同じように仕立て、発現のために発現用
ベクターに入れた。常法により完全配列決定することに
より、上記に記載のような、プレ配列を制限切断により
除去し、その際失なわれたN末端アミノ酸コドンの代わ
りに合成DNA断片を置くというアプローチへの手段を
とることが出来るよう、制限部位が成熟インタフェロン
の第一番目のアミノ酸コドンに十分近いかどうかわか
る。もしそれに失敗したら、Kleidらの記載の方法
を採用できる。
【0064】要約すると、プレ配列含有断片を成熟ポリ
ペプチドの第一番目のアミノ酸のコドンが始まる点のす
ぐ前で切断するもので、次のようにして行なう: 1. その部位のまわりの領域の二重鎖DNAを一重鎖D
NAにする。 2. 上記(1) で出来た一重鎖部分に相補プライマ長の一
重鎖DNAを、5′末端が目的の切断部位に隣接する塩
基と反対に位置するようにハイブリダイズする。 3. プライマーから3′の方向に存在し、ステップ1で
除去した第二鎖の、プライマーから3′方向に存在する
部分を、アデニン、グアニンおよびシトシン含有デオキ
シヌクレオチド三りん酸存在下でDNAポリメラーゼと
反応させることにより修復する。そして、 4. 目的の切断部位より突出している残りの一重鎖DN
Aを消化する。
【0065】短い長さの合成DNAで、翻訳開始シグナ
ルATGで終っているものをコード鎖の3′末端に結合
する。この結合は、成熟インタフェロンの仕立てた遺伝
子と、発現プラスミドに挿入され、プロモーターと付属
のリボゾーム結合部位の制御下に置かれた挿入遺伝子に
対し、平滑末端結合により行なわれる。
【0066】上記に用いられた方法と同様に、Le−I
F−CおよびLe−IF−Dをコードする遺伝子断片も
細菌による直接発現のため適当に配列された。これらの
他のインタフェロン発現の戦術として、それぞれ、pL
e−IF A25のtrpプロモーターオペレータ、リ
ボゾーム結合部位、ATG開始シグナルおよびLe−I
FAのシステインコドンを含む、およそ300b.p.
の断片(HindIIIからSau3a)の利用がある。
この断片に、全てに共通の最初のシステイン以後それぞ
れのアミノ酸をコードする各インタフェロン遺伝子から
の断片を組み合わせる。得られた各プラスミドを用いて
E.Coli K−12 294株を形質転換した。そ
れぞれの遺伝子を作製する結合は以下のとおりである。
【0067】LeIF−C pLe−IF Cより以下の断片を単離する。 (a) Sau3aからSau96までの35b.p. (b) Sau96からPstIまでの900以上のb.
p. (c) 本明細書第43頁4項のように、およそ300b.
p.の断片(HindIII −Sau3a)をpLeIF
A25より単離する。 (d) 本明細書第43頁5項の約3600b.p.の断片
を単離する。
【0068】構成 (1) (a) と(c) を結合する。BglIIとHindIII
で切断し、約335b.p.の産物を単離する。 (2) (1) と(b) と(c) を結合し、生成するプラスミド
でE.Coliを形質転換する。 このようにして作製したクローンの一例としてE.Co
li K−12 294/pLeIFC trp35株
がある。
【0069】Le−IF D pLeIF−Dより以下を単離する。 (a) Sau3aからAvaIIの35b.p. (b) AvaIIからBglIIの150b.p. (c) BglIIからPstIの約700b.p.pLe
IF A25より以下を単離する。 (d) HindIII からSau3aの300b.p.p
BR322より単離する。 (e) HindIII からPstIの約3600b.p.
【0070】構成 (1) (a) と(b) を結合した後、BglIIで切断し、18
5b.p.の産物(1) を精製する。 (2) (1) と(d) を結合し、HindIII とBglIIで切
断し、約500b.p.産物(2) を精製する。 (3) (2) と(c) と(e) を結合し、生成するプラスミドで
E.Coliを形質転換する。 このようにして得られたクローンの一例として、E.C
oli K−12 294/pLeIFD trp11
株がある。
【0071】Le−IF F Le−IF F含有断片は、Le−IF BとLe−I
F Fの1〜13番目のアミノ酸の完全同一性を利用し
た再集合により、直接発現のため仕立てられる。適当な
配列末端を有する、trpプロモーター含有断片を、p
HGH207より、上記記載のようにPstIおよびX
baI消化と1050b.p.断片単離により得る。
【0072】テトラサイクリン耐性プロモーターと構造
遺伝子の間にBglII部位を有するpBR322の誘導
体のプラスミドpHKY10をPstIとBglII消化
し、大きい断片として、第二の断片(b) が得られる。断
片(a) はアンピシリン耐性をコードする遺伝子のおよそ
半分を含み、断片(b) は残りの半分と、プロモーターを
除く全てのテトラサイクリン耐性遺伝子を有している。
断片(a) と(b) をT4リガーゼを用いて結合し、その産
物をポリメリ化を防ぐためXbaIとBglIIで処理す
る。その結果、trpプロモーターオペレーターとテト
ラサイクリンとアンピシリン耐性を含む断片(c) を得
る。
【0073】pLe−IF FをAvaIIおよびBgl
IIで消化して、およそ580b.p.の断片(d) を得
る。これはLe−IF Fの14〜166のアミノ酸コ
ドンを含有している。 pLe−IF BをXbaIとAvaIIで消化して49
b.p.の断片(e) を得る。断片(e) はLe−IF F
の1〜13のアミノ酸をコードしている。
【0074】断片(c) 、(d) および(e) をT4リガーゼ
存在下で結合する。それぞれの断片の結合末端は、合成
プラスミドが正しく閉環するようになっていて、テトラ
サイクリン耐性遺伝子が成熟Le−IF Fの遺伝子に
沿ってtrpプロモーターオペレーターの制御下に位置
し、目的のプラスミドで形質転換した細菌がテトラサイ
クリン含有平板上で選択され得る。このようにして調製
されたクローンの一例としてE.Coli K−12
294/pLeIF F trp1がある:
【0075】Le−IF H 成熟白血球インタフェロンとしての発現のための完全L
e−IF H遺伝子は以下のようにして調製される。 1. プラスミドpLe−IF HをHaeIIとRsaI
で消化し、シグナルペプチドのアミノ酸10から3′非
コード領域への816b.p.断片を単離する。 2. この断片を変性し、合成デオキシリボヌクレオチド
プライマ−5′−dATG TGT AAT CTGT
CTを利用し、Klenow断片(Klenowら、P
roc.Natl.Acad.Sci,USA 65
168〔1970〕)による修復合成を行う。この一般
法については、1980年9月25日出願のUS Se
rial No. 190799に、Goeddelらによ
り記載されている。
【0076】3. 生成物をSau3aで切断し、アミノ
酸1から150に対応する452b.p.の断片を単離
する。 4. pLe−IF HのSau3aからPstI消化
と、生成する500b.p.断片の単離により、アミノ
酸150からコード配列の最後までをコードする遺伝子
を得る。 5. (3) および(4) で得られた断片を結合して次の断片
を生成する。 これはLe−IF Hの166のアミノ酸をコードして
いる。
【0077】6. pLe−IF A trp25をX
baIで消化し、DNAポリメラーゼIにて平滑末端と
し、生成物をPstIで消化する。生成する大きい断片
を単離し、ステップ(5) の断片と結合し、発現プラスミ
ドを得る。これでE.Coli K−12 294株、
或いは他の宿主菌を形質転換すると成熟Le−IF H
を発現することが出来る。
【0078】LE−IFI Lawnら、Cell 15,1157(1978)に
より構成されたヒトゲノムのファージλ Charon
4A組み換え体ライブラリーを、Lawnら(上記)
およびManiatisら、Cell 15,687
(1978)に記載される方法を用いて白血球インタフ
ェロン遺伝子に対して選択した。LeIFAcDNAク
ローンからの放射性LeIFプローブ〔Goeddel
ら,Nature287,411(1980)〕を用い
て約500,000プラークを選択した。再スクリーニ
ングとプラーク精製により、これらのクローンの一つ、
λHLeIF2を以後の分析に選択した。
【0079】上記の方法を用い、他のプローブを利用し
てヒトゲノムより、その他のLeIFクローンを単離す
る。次に又、これらを利用してその他の白血球インタフ
ェロンたん白を本発明に従って生産することができる。 1. ゲノムクローン(λHLeIF2)の2000b.
p.のEcoRI断片をpBR322のEcoRI部位
にサブクローンする。生成するプラスミドLeIFIを
EcoRIで切断し、2000b.p.断片を単離す
る。デオキシオリゴヌクレオチドdAATTCTGCA
G(EcoRI>PstI変換体)をこの2000b.
p.のEcoRI断片に結合し、生成物をPstIで切
断してPstI末端を含む2000b.p.の断片を得
る。これをさらに、Sau96で切断し、PstI末端
とSau96末端を有する1100b.p. 断片を単
離する。
【0080】2. プラスミドpLeIF C trp3
5をPstIとXbaIで消化する。大きい断片を単離
する。 3. pLeIF C trp35からの小さいXbaI
−PstI断片をXbaIおよびSau96で消化す
る。40b.p.のXbaI−Sau96断片を単離す
る。4. 上記1)、2)および3)で単離した断片を結合し、
発現プラスミドpLeIFItrp1を形成する。
【0081】LeIF−J 1. プラスミドpLeIF Jは、LeIF Jの遺伝
子配列を含むヒトゲノムDNAの3.8キロベースのH
indIII 断片を含有している。このプラスミドより7
60b.p.のDdeI−RsaI断片を単離した。 2. プラスミドpLeIF B trp7をHindII
I およびDdeIで切断し、340b.p.のHind
III −DdeI断片を単離した。 3. プラスミドpBR322をPstIで切断し、DN
A polI(Klenow断片)で処理して平滑末端
とし、HindIII で消化した。大きい断片(〜360
0b.p.)を単離した。 4. 上記1)、2)および3)で単離した断片を結合し、発現
プラスミドpLeIFJ trp1を形成した。
【0082】以下の構成に用いられる方法と材料は上記
記載と同じものである。次の第5表は、特にハイブリド
LeIFプラスミドの構成の詳細を示すものである。さ
らに、第5表に言及すると、最初に記載の4つのハイブ
リドLeIFは2つのLeIF発現プラスミドから生産
されたものである。
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
【表11】
【0086】
【表12】
【0087】★ N−末端のメチオニンを除く a pLeIF A trp25のXbaIからPst
I消化の大きい(〜3900bp)断片 b pBR322のHindIII 〜PstI消化物の大
きい(〜3600bp)断片
【0088】LeIF AおよびDのcDNAに共通の
BglII部位を用いて、LeIFAの63個のアミノ末
端アミノ酸およびLeIF Dのカルボキシ末端の10
2個のアミノ酸をコードする発現プラスミドpLeIF
trp AD(BglII)を構成した。同じ部位を利
用して、LeIF Dの64個のアミノ末端のアミノ酸
と、LeIF Aのカルボキ末端の102個のアミノ酸
をコードする発現プラスミドpLeIF trp DA
(BglII)を構成した。他の二つのハイブリドインタ
フェロン発現プラスミドの構成には、PvuII部位を利
用した。Aのアミノ末端の91個のアミノ酸と、Dのカ
ルボキシ末端74個のアミノ酸(pLeIF trp
AD(PvuII))およびLeIF Dの92個のアミ
ノ末端アミノ酸とLeIF A のカルボキシ末端74
個のアミノ酸(pLeIF trp DA(PvuI
I))である。
【0089】要約すると、pLeIF AD trp(PvuII): pLeIF
A trp25のXbaIおよびPstI消化の大きい
断片(〜3900bp)をpLeIF A trp25
のXbaI−PvuIIの285bp断片と、pLeIF
D trp11のPvuII−PstIの約550bp
断片とを結合する。pLeIF DA trp(PvuII): pLeIF
A trp25のXbaIおよびPstI消化の大きい
断片(〜3900bp)をpLeIF D trp11
からの288bp XbaI−PvuII断片とLeIF
A trp25の約550bpのPvuII−PstI
断片とを結合する。
【0090】pLeIF AD trp(BglII):
pLeIF A trp25のBglII、Pst消化の
大きい断片とpLeIF D trp11からの約60
0bpのBglII−PstI断片とを結合する。pLeIF DA trp(BglII): pLeIF
D trp11のBglII、PstI消化の大きい断片
と、pLeIF A trp25のPstI切断で得ら
れる約700b.p.の断片とを結合し、BglIIによ
り部分消化する。
【0091】第5番目に記載のハイブリドは、pLeIF AB trp(PvuII): pLeIF
A trp25のXbaIおよびPstI消化の大きい
断片(〜3900bp)をpLeIF A trp25
の285bpのXbaI−PvuII断片と、pLeIF
B trp7のPvuII(部分)−Pstの約750
bp断片とを結合する。 同様の方法で、第5表に記載の構成が定義される。さら
に例として、LeIFCおよび/又はLeIF Hの一
部を含むハイブリドの構成においては、遺伝子配列の約
294番目の塩基(即ち、GCTGC)に存在する共通
のBbvI部位の利点を利用することができる。
【0092】同じようにして、天然存在の白血球インタ
フェロンのアミノ酸配列の全て、或いは一部をコードす
る二重鎖DNAを適当に操作することにより、白血球イ
ンタフェロンの新規なハイブリドを微生物発現するのに
適したプラスミドを作製することができる。従って、一
番目の二重鎖DNA断片として、一番目の天然存在白血
球インタフェロンのアミノ末端のアミノ酸配列を、3′
方向に進んで、そのアミノ酸配列のかなりの部分をコー
ドするものを選ぶ。断片は第一の白血球インタフェロン
のアミノ酸“n”のコドンに隣接した位置に制限エンド
ヌクレアーゼ切断部位を含有し、n−アミノ酸は第一の
インタフェロンのアミノ酸配列のかなりの部分より成っ
ている。その制限エンドヌクレアーゼで切断すると、第
一のインタフェロンのアミノ末端と、およそn−アミノ
酸のコドンとを含んでいる。
【0093】二番目の異なる白血球インタフェロンのア
ミノ酸に対するコドンの全て、或いは一部を含んでいる
二つ目の断片を選び該断片は、アミノ酸数がおよそ16
6−n個の、第二のインタフェロンのアミノ末端から進
んでそのアミノ酸に対するコドンに隣接して、同じ制限
エンドヌクレアーゼ部位を含んでいる。二つ目の断片を
その制限エンドヌクレアーゼで切断すると、第一の断片
の消化産物の“n”末端部分に相補的な産物を得る。従
って、二番目の消化産物を第一の産物と結合して再び制
限エンドヌクレアーゼ認識部位を形成し、最初の消化で
失なった第一のインタフェロンのアミノ酸nのコドンを
再構成する。二番目の断片の制限エンドヌクレアーゼ消
化産物は切断部位から3′の方向に、第二の白血球イン
タフェロンのカルボキシ末端をコードする塩基を経て進
むのが好ましい。
【0094】選択的には、天然存在の二つ以上の白血球
インタフェロンのアミノ酸配列のかなりの部分を含むハ
イブリドも作成し得る。そのような場合、例えば、上記
に言及した第二の断片が二つ目の制限エンドヌクレアー
ゼ部位を一つ目のより下流に有するよう選択し、二つ目
の部位は、第三の白血球インタフェロンのカルボキシ末
端部をコードする断片内に同じように存在するものと同
一であるようにする。引用した例において、連続した制
限エンドヌクレアーゼ操作の生成物を三つ合わせて結合
し、第一のインタフェロンのアミノ末端部分、第二のも
のの中間のアミノ酸配列、および第三のもののカルボキ
シ末端(或いは、第一と第三のインタフェロンは同じ
で、第一のインタフェロンの他の組み合せ)をコードす
るハイブリド遺伝子を形成できる。
【0095】好ましくは、上述の第一の断片は発現プラ
スミドに由来し、即ち、第一のインタフェロンのアミノ
末端のコドンの前にATG或いは他の翻訳開始コドンと
プロモーター又はプロモーターオペレーター系を有する
ものである。その結果、上記記載の操作による最終生成
物はハイブリド遺伝子のコードするポリペプチドをその
プラスミドで形質転換したバクテリア或いは他の微生物
中で発現できるプラスミドとなる。ハイブリド遺伝子を
微生物発現させるための他の方法は技術として明白であ
る。
【0096】本発明の好ましい具体例として、ハイブリ
ド遺伝子がおよそ165〜166個のアミノ酸より成る
新規の白血球インタフェロンアミノ酸配列をコードし、
そのアミノ酸は、第2表に示すLeIF A、LeIF
B、LeIF C、LeIF D、LeIF E、L
eIF F、LeIF GおよびLeIF Hより成る
グループから選ばれる二つ又はそれ以上の異なる白血球
インタフェロンのアミノ酸配列の接合より成っている。
最も好ましくは、ハイブリド遺伝子によりコードされる
新規白血球インタフェロンは、第2表の“A11”配列
に示すアミノ酸とその位置を含むものである。本発明に
より作成されるプラスミドの発現産物は、以下に生物活
性測定として記載するように、常法により抗ウィルス活
性を試験でき得る。
【0097】F.抗ウィルス活性 E.Coli K−12 294株を、それぞれ別個
に、プラスミドpLeIFtrp A25,pLeIF
trp D,pLeIF trp A/D(BglI
I)、およびpLeIF trp D/A(BglII)
を用いて形質転換した。形質転換株をそれぞれ、テトラ
サイクリン5μg/ml含有のL−培地5mlでA550 がお
よそ1.0となるまで培養し、次に5μg/mlのテトラ
サイクリン含有のM9培地1リットルに希釈する。A
550 が1.0に達した時、集菌し、菌体を10ml 15
%蔗糖、50mMトリス−塩酸(pH8.0)、5mM ED
TAにけん濁する。10mgのリゾチーム添加、0℃5分
後、細胞を超音波処理により破砕する。サンプルをSo
rvall SM−24ローター中で15,000rpm
、10分間遠心する。上澄液のインタフェロン活性を
抗ウィルス活性でテストする。
【0098】培養液1リットル当りのインタフェロンの
生産量をヒト細胞(WISH)で測定した結果を第6表
に示す。表から明かなように、他のインタフェロンに比
較してLeIF−A/D活性が多量に生産している。こ
の差はLeIF−A/Dの活性が本質的に高いことに由
来するのか、或いは、このインタフェロンたん白が量と
して多く生産されていることに由来するのかであろう。
これら全てのインタフェロンが遺伝子的に全く同一に結
合しているものであるから、LeIF−A/Dが他のイ
ンタフェロンより本質的に活性が強いという可能性が最
も高いと思われる。
【0099】
【表13】
【0100】各種インタフェロンの哺乳動物細胞内での
効果を測定した(ヒト、WISH;アフリカミドリサ
ル、VERO;ハムスター線維芽細胞、BHK;ウサギ
腎細胞、RK−13;マウス、L−929;およびウシ
腎、MDBK細胞)。各種インタフェロンの相対活性を
比較するため、各細胞における活性を、WISH細胞上
の活性を100として計算した。第7表に示す結果よ
り、LeIF−A/DがVEROおよびL−929細胞
で非常に高い活性を示すのに対し、LeIF−D/Aは
これらの細胞で低い活性しか示さない。
【0101】この結果から、LeIF−AのN−末端部
分とLeIF−DのC−末端部分を一つの分子内(Le
IF−A/D)に組み合せることにより、何種かの哺乳
動物に現われるような特別の効力がそのハイブリドたん
白に備わることがわかる。さらに、これらの性質は、単
に、親インタフェロンの性質の和ではない。このことは
特にL−929細胞での活性で明確である。即ち、Le
IF−AおよびLeIF−Dの混合物やもう一つのハイ
ブリド(LeIF−D/A)では有意な活性を有してい
ない。
【0102】LeIF−A/Dの他のウィルスに対する
活性も調べた。図2に示すデータはL−細胞に感染した
EMCウィルスに対する抗ウィルス活性を、又図3は、
L−細胞に感染したVSVに対する効果を示している。
これらのデータから明かなとおり、LeIF−A/Dの
強い活性は一つのウィルス(VSV)に限られるもので
なく、多くのウィルスに対する一般的性質のようであ
る。天然のヒト白血球層インタフェロン標品はマウス細
胞で活性を示さない(第7表)。図4のデータは、感染
前3時間にi.p.投与した結果である。LeIF−A
/DおよびLeIF−Aの投与量はWISHで測定した
ものである。
【0103】
【表14】
【0104】EMCウィルスのハムスターへの致死感染
もLeIF−A/DおよびLeIF−Aにより影響を受
ける(図5)。前者が最も効果があり、ヒト白血球層イ
ンタフェロンは統計的には有意でないぐらいの低い活性
のみ示す。図5の場合、どのインタフェロンもWISH
細胞での測定での5×105 μg/kgの量を感染3時間
前にi.p.投与した。これらの結果は、LeIF−A
/Dの哺乳動物における強い抗ウィルス効果は、培養細
胞に限定されるのでなく、ウィルス致死感染においても
観察されることを示している。
【0105】EMCウィルスに対する抗ウィルス活性
は、鵞口瘡ウィルスやポリオウィルスなどのピコナウィ
ルス群のウィルスに対する抗ウィルス活性を示唆するモ
デル系と考えられている。VSVウィルスに対する抗ウ
ィルス活性は、狂犬病ウィルスがその重要な一員である
rhabdoウィルス群のウィルスに対する抗ウィルス
活性を示唆するモデル系と考えられている。第8表は、
各種LeIFハイブリッドのWISHおよびMDBK細
胞での活性とそれらの活性比を表にしたものである。
【0106】
【表15】
【0107】
【表16】
【0108】G.非経口投与 以上のハイブリド白血球インタフェロンは、抗腫瘍或い
は抗ウィルス治療を必要とする人、および免疫抑制状態
を示す人に対して非経口投与され得る。投与量および投
与の割合は、現在ヒト由来のもので臨床に用いられてい
る量、毎日約(1〜10)×106 ユニットと同じ位で
よく、純度が1パーセント以上の場合には、例えば毎日
5×107 ユニットにもなろう。上述のサルにおける予
備試験でも、バクテリアから得られるLeIFの場合に
は、LeIF以外のヒトたん白が本質的に存在しないた
め、投与量も高く、より高い効果が得られることを示唆
している。白血球由来のものでは、LeIF以外のヒト
たん白が発熱物質となり、倦怠感、発熱などの副作用を
示す。
【0109】本質的に均質なバクテリア由来のLeIF
の非経口投与のための適当な投与形態の一例として、比
活性が例えば2×108 U/mgのLeIF3mgを25ml
の5%ヒト血清アルブミンに溶解し、溶液を除菌フィル
ターを通した後、濾液を無菌的に100本のバイアルに
分ける。それぞれ、6×106 ユニットの純インタフェ
ロンを含有し、非経口投与に適している。バイアルは使
用前は低温(−20℃)に保存する。
【0110】本発明の化合物は、有用な医薬組成物を調
製する既知の方法に従って処方されうる。その際、ポリ
ペプチドは、医薬として許容されうる担体基礎剤と混ぜ
合わせる。適当な基礎剤およびその処方は、E.W.M
artinによるRemington’s Pharm
aceutical Sciencesに記載されてお
り、これを参考文献として引用する。これらの組成物
は、インタフェロンたん白の有効量と、適量の基礎剤を
含み、宿主に対して有効で投与に適した医薬的に許容し
得る組成物とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】8種の白血球インタフェロンのcDNAクロー
ン(AからH)の制限エンドヌクレアーゼ切断地図。
【図2】ハイブリド型白血球インタフェロン(LeIF
−A/D)のマウス細胞におけるEMCウィルスに対す
る活性を示すグラフ。
【図3】LeIF−A/Dのマウス細胞におけるVSV
に対する活性を示すグラフ。
【図4】マウスにEMCウィルスを感染させた時の、L
eIF−A/Dの活性を示すグラフ。
【図5】ハムスターにおけるEMCウィルス感染に対す
るLeIF−A/Dの活性を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/02 A61K 37/66 ADYF (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 およそ165〜166個のアミノ酸より
    なり、ヒト白血球インタフェロン活性を有するポリペプ
    チドであって、ヒト白血球インタフェロンAおよびヒト
    白血球インタフェロンBまたはDの別々のアミノ酸副配
    列からなり、ヒト白血球インタフェロンAの副配列は前
    記ポリペプチドのN末端に位置しており、そしてこのポ
    リペプチドの全アミノ酸配列が天然白血球インタフェロ
    ンのアミノ酸配列とは異なるポリペプチドをコードする
    鎖からなる二重鎖DNA。
  2. 【請求項2】 およそ165〜166個のアミノ酸より
    なり、ヒト白血球インタフェロン活性を有するポリペプ
    チドであって、ヒト白血球インタフェロンAおよびヒト
    白血球インタフェロンBまたはDの別々のアミノ酸副配
    列からなり、ヒト白血球インタフェロンAの副配列は前
    記ポリペプチドのN末端に位置しており、そしてこのポ
    リペプチドの全アミノ酸配列が天然白血球インタフェロ
    ンのアミノ酸配列とは異なるポリペプチドをコードする
    配列からなるDNA配列を含有する複製可能な発現ベク
    ター。
  3. 【請求項3】 p LeIF A D trp(Bgl
    II)、p LeIFA D trp(PvuII)、
    p LeIF D A trp(BglII)およびp
    LeIF D A trp(PvuII)よりなる群
    から選択されるプラスミドである、特許請求の範囲2項
    のベクター。
  4. 【請求項4】 p LeIF A B(PvuII)プ
    ラスミドである特許請求の範囲2項のベクター。
  5. 【請求項5】 およそ165〜166個のアミノ酸より
    なり、ヒト白血球インタフェロン活性を有するポリペプ
    チドであって、ヒト白血球インタフェロンAおよびヒト
    白血球インタフェロンBまたはDの別々のアミノ酸副配
    列からなり、ヒト白血球インタフェロンAの副配列は前
    記ポリペプチドのN末端に位置しており、そしてこのポ
    リペプチドの全アミノ酸配列が天然白血球インタフェロ
    ンのアミノ酸配列とは異なるポリペプチドをコードする
    配列からなるDNA配列を含有する複製可能な発現ベク
    ターで形質転換した細菌。
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