JP2574078B2 - 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法 - Google Patents

塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法

Info

Publication number
JP2574078B2
JP2574078B2 JP3150243A JP15024391A JP2574078B2 JP 2574078 B2 JP2574078 B2 JP 2574078B2 JP 3150243 A JP3150243 A JP 3150243A JP 15024391 A JP15024391 A JP 15024391A JP 2574078 B2 JP2574078 B2 JP 2574078B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
vinyl chloride
suspension
monomer
reflux condenser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3150243A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05295008A (ja
Inventor
靖道 石井
正久 大川
勲 大内
秀樹 若森
多実男 大和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAN AROO KAGAKU KK
Kureha Corp
Zeon Corp
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
SAN AROO KAGAKU KK
Kureha Corp
Sumitomo Chemical Co Ltd
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SAN AROO KAGAKU KK, Kureha Corp, Sumitomo Chemical Co Ltd, Nippon Zeon Co Ltd filed Critical SAN AROO KAGAKU KK
Priority to JP3150243A priority Critical patent/JP2574078B2/ja
Publication of JPH05295008A publication Critical patent/JPH05295008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2574078B2 publication Critical patent/JP2574078B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニル系単量体の懸
濁重合方法に関し、さらに詳しくは、かさ比重が大き
く、適度な粒度を有し、かつゲル化性、粉体流動性に優
れた、成形加工性の改良された高品質の塩化ビニル系樹
脂を高生産性にて製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、塩化ビニル系単量体の懸濁重合
は、懸濁剤の界面化学的作用と攪拌による機械的せん断
作用により単量体を水性媒体中に油滴として分散させ、
この油滴内に溶解した重合開始剤によって重合が開始し
進行するが、同時に液状の単量体油滴は重合の進行に伴
ってその粘度が増大し、ついには樹脂状の重合体粒子に
転化する。そして重合初期の転化率がおよそ5%に達す
るまでの過程において油滴単位の合体、分散が繰返し行
われ、この段階で粒子構造の基本骨格が形成される。塩
化ビニル系樹脂として最終的に得られる重合体粒子は、
複数の油滴単位から構成された凝集体であり、その内部
は空隙を有する微粒子の集合体である。
【0003】それ故に、塩化ビニル系単量体の懸濁重合
では、懸濁剤系の種類・量などの懸濁剤処方、攪拌速度
・動力などの攪拌条件、および液状単量体から樹脂状重
合体への転化速度、すなわち重合反応速度などの重合諸
条件が粒子構造を決定する上で非常に重要な因子となる
ものであり、これらの条件が樹脂の粒子構造に起因する
品質特性、例えば粒度、かさ比重、ゲル化性、粉体流動
性などを支配することが知られている。
【0004】従来、塩化ビニル系樹脂の押出成形時の加
工生産性を高めたり、バッチ混合器での処理量を増やす
ために、かさ比重が高く、ゲル化性に優れ、しかも適度
な粒度を有した粉体流動性、成形加工性に優れた樹脂が
要求されていた。このような要求に合致する樹脂を製造
するための懸濁重合方法として、例えば還流凝縮器を付
設した重合器を用い、初期仕込み時の水/単量体比を
0.8〜1.0とし、重合中に水を追加する方法(特公
平3−4561号)、重合中に単量体を追加する方法
(特開昭50−97679号)、重合中に重合温度を高
める方法(特開昭61−207410号)などが開示さ
れているが、これらの方法は、かさ比重を高めるという
効果が不十分であるほか、重合系の懸濁安定性が不十分
であるために粗粒化したり、重合操作が煩雑になるなど
の問題点があった。
【0005】また懸濁剤処方に関する懸濁重合方法とし
て、複数種の部分ケン化ポリ酢酸ビニルおよびセルロー
ス誘導体を組み合わせて使用する方法が多数提案されて
いる。例えば、特公昭63−39606号、特公平1−
27088号、特公平2−22081号、特公平2−6
2121号、特開昭61−141703号、特開昭62
−260803号、特開昭62−263206号、特開
昭63−156809号、特開昭63−264611
号、特開昭63−275606号などである。
【0006】しかしこれら従来技術に開示された処方に
は、確かにかさ比重を高める効果は認められるものの、
その効果が不十分であったり、あるいは粒度、ゲル化
性、粉体流動性など、その他の品質特性が劣るなどの欠
点があり、成形加工性の優れた樹脂を高生産性にて安定
的に得るための方法としては、未だ満足できるものでは
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは前記欠点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の懸濁剤およ
び懸濁助剤を特定重量比で併用し、重合初期の攪拌動力
を特定範囲に制御して6時間以内に重合完結することに
より、かさ比重が高く、ゲル化性に優れ、しかも適度な
粒度を有した粉体流動性および成形加工性の改良された
塩化ビニル系重合体を高生産性にて製造できることを見
出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の目
的は、高品質の塩化ビニル系重合体を高生産性で製造す
る改良された方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤の存在下に水性
媒体中で懸濁重合するに際し、(A)平均ケン化度65
〜95モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルおよびヒドロ
キシプロピルメチルセルロースから成る群より選ばれた
少なくとも1種の懸濁剤、および(B)平均ケン化度1
5〜55モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルおよびHL
B値が2〜10の非イオン性界面活性剤から成る群より
選ばれた少なくとも1種の懸濁助剤の両者を、(A)/
(B)の重量比が0.5〜20となるよう併用し、かつ
重合開始から転化率が少なくとも5%に達するまでの期
間の重合器の内容液1m3あたりの正味攪拌動力を1.0
〜2.0kW/m3に制御して重合を行い、6時間以内に重
合完結させることによって達成される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、塩化ビニルと共重合し得る単量体としては、例
えば酢酸ビニルに代表されるアルキルビニルエステル
類、セチルビニルエーテルに代表されるアルキルビニル
エーテル類、エチレン、プロピレン等のα−モノオレフ
ィン類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、その他塩化ビ
ニリデン、スチレン等が例示されるが、共重合するもの
であればこれらに限定されない。
【0010】本発明で使用する懸濁剤(A)は、平均ケ
ン化度65〜95モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルお
よびヒドロキシプロピルメチルセルロースから成る群よ
り選ばれた少なくとも1種である。これが部分ケン化ポ
リ酢酸ビニルから選択される場合は、ケン化度70〜9
0モル%で、平均重合度が700〜3000のものが好
ましい。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースか
ら選択される場合には、メトキシ基含量25〜30重量
%、ヒドロキシプロポキシ基含量4〜12重量%、およ
び2重量%水溶液の20℃における粘度40〜60セン
チポイズのものが好ましい。
【0011】懸濁剤(A)は水溶性成分であり、その分
散効果、懸濁保護効果により、粘度や粒子の凝集状態を
調節する作用を有することから、主懸濁剤、1次懸濁剤
などと呼ばれているのに対し、本発明で使用する成分
(B)は水に不溶ないしは難溶性であり、水性媒体中で
の懸濁重合に用いても界面活性能が小さいことから、一
般には懸濁助剤、補助懸濁剤、または2次懸濁剤などと
呼ばれている。本発明においては、これを懸濁助剤と称
する。
【0012】本発明で用いる懸濁助剤(B)は、平均ケ
ン化度15〜55モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルお
よびHLB値が2〜10の非イオン性界面活性剤から成
る群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。これ
が部分ケン化ポリ酢酸ビニルから選択される場合は、ケ
ン化度が30〜50モル%で重合度が200〜800の
範囲のものが好ましい。一方、HLB値が2〜10の非
イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタン(モノ、
ジ、トリ)ステアレート、ソルビタンモノオレート等の
ソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸モノグリセ
ライド、オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン脂
肪酸エステル類などが例示されるが、これらに限定され
ない。しかしながら、懸濁助剤(B)が前記の界面活性
剤から選択される場合には、ソルビタン脂肪酸エステル
類が好ましく、ソルビタンモノステアレートが特に好ま
しい。
【0013】懸濁助剤(B)は油溶性成分であり、単量
体油滴に溶解して油滴内部および表面に析出する微細重
合粒子の凝集を防止する作用を有するためと推察される
が、内部空隙に富み、スキン層の少ない重合体が得られ
るので、フィッシュアイや成形加工時のゲル化性、可塑
剤吸収性を改良する効果がある。
【0014】本発明においては、懸濁剤系として前記し
た懸濁剤(A)および懸濁助剤(B)の両者の群からそ
れぞれ選択される各少なくとも1種を併用し、その重量
比(A)/(B)を0.5〜20、好ましくは1〜10
とする。これが0.5に満たない場合には、樹脂のかさ
比重が低下するほか、製品樹脂中の微粉が増加して粉体
流動性が阻害される。また、この値が20を越えると樹
脂のゲル化性が悪化するので、本発明の目的が達成でき
ない。懸濁剤(A)の使用量は、通常、単量体100重
量部あたり0.03〜0.08重量部の範囲である。
【0015】本発明を実施するにあたり、まず予め脱気
した重合器に単量体、水、重合開始剤、および前記した
懸濁剤系を慣用の仕込み方法に従って仕込み、重合器の
ジャケットに熱媒体を循環させるなどの手段により、重
合器の内容物を攪拌下に所定の重合温度に昇温して重合
を開始させるのであるが、本発明においては、重合開始
から転化率が少なくとも5%、好ましくは10〜30%
に達するまでの期間、すなわち重合体粒子構造の基本骨
格が形成されるまでの間は、重合器の内容液1m3あたり
の正味攪拌動力を1.0〜2.0kW/m3、好ましくは
1.2〜1.6kW/m3に制御することが必須である。こ
の値が1.0kW/m3に満たない場合には、前記した懸濁
剤系を使用した場合でも、重合体粒子の粗粒化を招くほ
か、多孔性が損なわれてゲル化性が低下する。また、
2.0kW/m3を越えると、かさ比重が低下するばかりで
なく、粒度が細かくなるか、あるいはその他の重合条件
によっては粗粒が発生するという不利がある。転化率が
5%に達したのちの攪拌動力は特に限定されず、重合器
内が均一に攪拌されさえすればよい。
【0016】重合器の攪拌動力を制御する方法として
は、例えば「化学工学協会編:化学工学便覧、改訂三
版、1065〜1115頁、昭和43年、丸善株式会
社」に詳細に記載されているように、各種形状の攪拌装
置についての攪拌系のレイノルズ数Reと動力数Npの
関係を表す実験式や線図を利用するか、またはある一定
の攪拌条件下での動力を実測することにより装置定数と
してのNpを実験的に求め、攪拌翼の回転数を変更する
ことによって動力を任意に調節することができる。
【0017】すなわち、重合器の内容物の密度をρ(k
g/m)、粘性係数をμ(kg/m・sec)、攬拌
翼の回転数をn(1/sec)、翼スパンをd(m)、
重力換算係数をg(kg・m/Kg・sec)、減
速機構部や軸封部での損失を含まない正味の攪拌動力を
P(Kg/m・sec)とすれば、ReおよびNpはそ
れぞれ Re=ρnd/μ Np=P・g/ρn で定義されるものであり、公知文献または実験からNp
を求めることができる。
【0018】塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で一般
的に採用されている大型重合器の攪拌装置のNpの値は
およそ0.2〜2の範囲である。重合器内の液量をV
(m3)とすれば重合器の単位容積あたりの正味攪拌動力
Pv(kW/m3)は次式に従って算出することができる。 Pv=Np・ρn3 5 ・/102・V・gc したがって、特定の攪拌装置を用いて正味攪拌動力を調
整する場合には、動力は攪拌翼の回転数の3乗に比例す
るので、回転数を変更することにより動力を制御するこ
とができる。
【0019】本発明において使用される攪拌翼や所望に
より使用されるバッフルなどの攪拌装置の形状は特に限
定されるものではなく、従来、塩化ビニル系単量体の懸
濁重量方法では一般的に採用されている公知の攪拌装置
を使用することができ、攪拌翼としてはタービン翼、フ
ァンタービン翼、ファウドラー翼およびブルーマージン
翼などが例示されるが、ファウドラー翼が好ましく、ま
たバッフルとしては板型、パイプ型、D型、ループ型お
よびE型(フィンガー型)などが例示されるが、パイプ
型、D型、E型のバッフルが好ましい。これらの攪拌翼
およびバッフルは塩化ビニルの重合で一般に使用されて
いるものでよく、例えば前記「化学工学便覧」または
「佐伯康治著:ポリマー製造プロセス、157〜159
ページ、1971年、工業調査会」などに説明されてい
る。
【0020】さらに本発明を実施するにあたっては、従
来工業的規模で採用されている内容積40m3以上の大型
重合器では通常6時間を越えていた重合反応を、6時間
以内に完結させることが必須である。このような高速重
合を実施することにより液状単量体から樹脂状重合体へ
の転化速度が速まり、油滴どうしの離合集散の頻度、お
よびこの過程で油滴内部に生成する微小粒子の凝集状態
などが影響されるためと推定されるが、かさ比重の高い
重合体粒子を得ることが可能になる。しかも粉体の流動
性を阻害する微細な粒子の生成を抑制することができ、
成形加工時の樹脂の取扱性が改善されるという利点が伴
う。重合完結までの時間が6時間を越えると、かさ比重
や粉体流動性が低下するので本発明の目的が達成できな
い。
【0021】なお本発明において重合完結までの時間、
すなわち重合時間とは、単量体などの各成分の仕込み終
了後昇温操作などにより重合器の内温が所定の重合温度
に達した時点から、重合器の圧力がその重合温度での自
然圧力で暫く推移した後未反応単量体の減少に伴って圧
力降下を始め、その降下巾が2kg/cm2 に達するまでの
時間と定義する。本発明における重合時間は、重合器の
温度制御や圧力管理などの安全面から3〜6時間とする
ことが好ましい。本発明において重合を完結させる方法
としては、重合禁止剤を添加したり、重合器から未反応
単量体を回収する方法が挙げられる。
【0022】重合時間は公知のごとく、重合開始剤の使
用量で調節することができ、その使用量を増すことによ
って重合時間の短縮が可能である。本発明において6時
間以内に重合完結させるために使用する開始剤は、従来
から塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で一般的に使用
されていたものでよく、特に限定されないが、例えば
2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオ
デカノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネー
ト、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチ
ルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ
ピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイドおよびアセチルシクロヘキシルスルフォニル
パーオキサイドなどのような有機過酸化物、α,α′−
アゾビスイソブチロニトリルおよびα,α′−アゾビス
−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が
挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用い
られる。しかしながら10時間半減期温度が34〜50
℃のパーエステル構造を有する開始剤を、重合に使用す
る全開始剤量の50%以上使用することが好ましい。開
始剤の使用量は開始剤種類や重合温度によっても異なる
が、通常、単量体100重量部あたり0.02〜1重量
部の範囲である。
【0023】内容積40m3以上の工業的規模の大型重合
器を用いて、本発明に従って6時間以内の高速重合を実
施するに際して多量の反応熱が発生するが、この反応熱
を除去するにあたって例えば特公平3−4249号に記
載された内部ジャケット式重合器、すなわち重合器本体
内面に冷熱媒体の通路を設けることにより伝熱性能を向
上させた重合器を用いれば、重合器の温度管理が容易に
なり、しかも熱除去に伴うスラリーの発泡や懸濁安定性
の低下などの悪影響もないので、本発明の目的を一層有
利に達成することができる。内部ジャケット式重合器と
しては重合時の総括伝熱係数が700kcal/m2・hr・℃
以上の性能を有するものが好ましい。勿論、還流凝縮器
を用い、付加的に重合反応熱を除去する方法を採用する
ことも可能である。
【0024】本発明を実施するにあたって還流凝縮器を
用いて熱除去を行う際には、重合中の還流凝縮器による
最大除熱割合を50%未満として除熱を行う。ここで還
流凝縮器による除熱割合とは、重合反応に伴う発熱量に
対する還流凝縮器での除熱量の割合である。この割合が
50%を越える場合には、スラリーの発泡により還流凝
縮器の伝熱面に重合体が付着堆積し、重合を繰り返し行
うと除熱が困難になるばかりでなく、単量体がスラリー
中から気化する際に重合系が激しく攪拌されるためと推
察されるが、懸濁安定性が損なわれて粗粒化したり、粒
子形状が不規則になり球状の樹脂を得ることができなく
なり、粉体流動性やかさ比重の低下を招くという不都合
が生じる。還流凝縮器の構造は特に限定されないが、一
般には多管式還流凝縮器が例示される。また、還流凝縮
器の使用方法は公知のいかなる方法をも採用することが
できるが、その最大除熱割合は50%未満に制御する。
【0025】重合は通常、40〜70℃の温度で行わ
れ、所望に応じてメルカプトアルカノール、チオグリコ
ール酸アルキルエステルなどの連鎖移動剤、pH調整
剤、または重合禁止剤などを使用することもできる。水
は予め加温したものでもよく、また脱気したものでもよ
い。これらの各成分の仕込み量、部数、およびその他の
重合条件は、従来塩化ビニル系の重合で行われている慣
用の条件でよく、特に限定されるものではない。
【0026】
【発明の効果】かくして本発明によれば、特定の懸濁剤
および懸濁助剤を特定重量比で併用し、さらに、重合粒
子の構造支配因子である攪拌動力、および重合反応速度
を特定範囲に制御することにより、粒度、かさ比重、ゲ
ル化性、粉体流動性など成形加工性に優れた塩化ビニル
系樹脂を得ることができ、しかも重合生産性を高めるこ
とができるという、従来技術では達成困難であった課題
を解決することができ、工業的見地から極めて有用であ
る。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例の中の%および部
は、とくに断りのない限り重量基準である。また、塩化
ビニル系樹脂の物性値は次の方法により測定した。
【0028】(1)平均粒径 JIS基準の金網を使用した篩分析により、50%通過
径として示した。
【0029】(2)粗粒分 前記(1)の篩分析により、60メッシュの金網に残留
する割合をもって示した。
【0030】(3)かさ比重 JIS K6721に定める方法に準じて測定した値を
もって示した。
【0031】(4)粉体流動性 塩化ビニル系樹脂120mlが、JIS K6721に定
めるかさ比重測定用ホッパーから、全量落下するのに要
する時間をもって示した。
【0032】(5)ゲル化時間 東洋精機製作所製のラボプラストミルを使用し、ジャケ
ットの温度を190℃に保った容器内に塩化ビニル系樹
脂100部(65g)、ステアリン酸鉛1部、三塩基性
硫酸鉛2.5部、二塩基性ステアリン酸鉛0.3部を投
入して3分間予熱した後、ローラーヘッドを30rpm で
回転させながら混練を行い、混練トルクが安定し一定値
を示すまでの時間をもって示した。
【0033】実験番号1(実施例) 翼スパン1.7mのファウドラー型4枚後退攪拌翼およ
び外径0.22mのパイプバッフル4本を装着した直径
3.2m、内容積45m3の内部ジャケット式ステンレス
製重合器を脱気した後、塩化ビニル単量体100部(1
7.0トン)、水110部、懸濁剤としてケン化度が8
8モル%で平均重合度が2400の部分ケン化ポリ酢酸
ビニル0.050部、懸濁助剤としてソルビタンモノス
テアレート0.050部、および重合開始剤として2,
4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカ
ノエート0.05部を仕込み、攪拌翼の回転数を112
rpm に制御して攪拌下に重合器の内容物を温度57℃に
昇温して、重合を開始させた。
【0034】引続きこの回転数を維持し、重合器ジャケ
ットで反応熱を除去することにより内温を57℃に保ち
ながら重合を継続させ、重合開始当初8.7kg/cm
であった重合器の圧力が6.7kg/cmに降下し
た時点で重合器から未反応単量体を回収し、重合完結さ
せた。次いで重合器の内容物を排出し、脱水乾燥するこ
とにより塩化ビニル樹脂を得た。正味攪拌動力Pvは重
合開始時1.5kW/mであったが、その後重合の進
行とともに徐々に増加し、重合転化率が5%に達した時
点では1.6kW/mを示した。重合時間(重合温度
到達時点から、上記の重合完結までの時間)は4.3時
間であり、重合完結時の転化率は85%であった。
【0035】実験番号2,3(実施例)および4,5(比較例) 表1に示した懸濁剤および懸濁助剤を用いた以外は、す
べて実験番号1と同一の条件で重合を行い、塩化ビニル
樹脂を得た。正味攪拌動力、重合時間、および重合完結
時の転化率はすべて実験番号1と同様であった。
【0036】実験番号1〜5の結果を対比して、表1に
示した。
【表1】
【0037】実験番号6,7(実施例)および8,9(比較例) 攪拌翼の回転数を表2に示した値となるよう制御するこ
とにより正味攪拌動力を調節した以外は、すべて実験番
号1と同一の条件で重合を行い、塩化ビニル樹脂を得
た。重合時間および重合完結時の転化率は、すべて実験
番号1と同様であった。
【0038】実験番号1および6〜9の結果を対比し
て、表2に示した。
【表2】
【0039】実験番号10,11(実施例)および12
〜14(比較例) 表3に示した重合開始剤を用いることにより重合時間を
調節した以外は、すべて実験番号1と同一の条件で重合
を行い、塩化ビニル樹脂を得た。正味攪拌動力および重
合完結時の転化率は、すべて実験番号1と同様であっ
た。
【0040】実験番号1および10〜14の結果を対比
して、表3に示した。
【表3】
【0041】実験番号15〜17(実施例)および18(比較例) 実験番号1で用いた重合器の気相部に伝熱面積80m2
多管式還流凝縮器を連結し、重合器の内容物を昇温して
重合を開始させると同時に還流凝縮器に冷却水を通水し
て重合反応熱の除去を開始し、還流凝縮器による最大除
熱割合を表4に示した値に制御しながら重合を行い、重
合完結させた以外は、すべて実験番号1と同一の条件で
重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。正味攪拌動力、重
合時間および重合完結時の転化率は、すべて実験番号1
と同様であった。
【0042】実験番号15〜18の結果を対比して、表
4に示した。
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 靖道 岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767の1 日本ゼオン株式会社内 (72)発明者 大川 正久 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 大内 勲 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工 業株式会社内 (72)発明者 若森 秀樹 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工 業株式会社内 (72)発明者 大和 多実男 山口県徳山市晴海町1番2号 サン・ア ロー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−154807(JP,A) 特開 平4−311708(JP,A) 特開 昭62−101609(JP,A) 特開 昭62−15201(JP,A) 特開 昭61−155401(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体、または塩化ビニルと
    共重合し得る単量体と塩化ビニルとの混合物から選ばれ
    た塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤の存在下に水
    性媒体中で懸濁重合するに際し、 (A)平均ケン化度65〜95モル%の部分ケン化ポリ
    酢酸ビニルおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース
    から成る群より選ばれた少なくとも1種の懸濁剤、およ
    び (B)平均ケン化度15〜55モル%の部分ケン化ポリ
    酢酸ビニルおよびHLB値が2〜10の非イオン性界面
    活性剤から成る群より選ばれた少なくとも1種の懸濁助
    剤の両者を、(A)/(B)の重量比が0.5〜20と
    なるよう併用し、かつ重合開始から転化率が少なくとも
    5%に達するまでの期間の重合器の内容液1m3あたりの
    正味攪拌動力を1.0〜2.0kW/m3に制御して重合を
    行い、6時間以内に重合完結させることを特徴とする塩
    化ビニル系単量体の懸濁重合方法。
  2. 【請求項2】 攪拌装置を装着し、重合器本体内面に冷
    熱媒体の通路を設けた内容積40m3以上の内部ジャケッ
    ト式大型重合器を用いることを特徴とする請求項1記載
    の塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法。
  3. 【請求項3】 還流凝縮器を装着した重合器を用い、還
    流凝縮器による最大除熱割合を50%未満に制御して重
    合を行うことを特徴とする請求項1または2記載の塩化
    ビニル系単量体の懸濁重合方法。
JP3150243A 1991-06-21 1991-06-21 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法 Expired - Lifetime JP2574078B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3150243A JP2574078B2 (ja) 1991-06-21 1991-06-21 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3150243A JP2574078B2 (ja) 1991-06-21 1991-06-21 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05295008A JPH05295008A (ja) 1993-11-09
JP2574078B2 true JP2574078B2 (ja) 1997-01-22

Family

ID=15492696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3150243A Expired - Lifetime JP2574078B2 (ja) 1991-06-21 1991-06-21 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2574078B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003137911A (ja) * 2001-11-05 2003-05-14 Kureha Chem Ind Co Ltd 塩化ビニリデン系樹脂の製造方法
JP4504251B2 (ja) * 2005-05-20 2010-07-14 新第一塩ビ株式会社 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2006322013A (ja) * 2006-09-08 2006-11-30 Sekisui Chem Co Ltd 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS578206A (en) * 1980-06-17 1982-01-16 Shin Etsu Chem Co Ltd Suspension polymerization of vinyl chloride type monomer
JPS6118562U (ja) * 1984-07-06 1986-02-03 中央無線株式会社 撮像管用ヨ−クアツセンブリ−
JPS6339606A (ja) * 1986-08-06 1988-02-20 Nippon Kokan Kk <Nkk> 水中の浮遊物、有機物及び溶解無機物の除去方法
JPH0696617B2 (ja) * 1987-04-22 1994-11-30 信越化学工業株式会社 塩化ビニル系重合体の製造方法
US4839657A (en) * 1987-06-19 1989-06-13 Ampex Corporation System for recording and reproducing radar signal information
JPS6438411A (en) * 1987-08-05 1989-02-08 Sun Arrow Kagaku Kk Vinyl chloride resin and its preparation

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05295008A (ja) 1993-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2574078B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JPH0118082B2 (ja)
JPH10316705A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
US5357011A (en) Process for producing vinyl chloride-based polymers
JP2822278B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JP3568694B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2574096B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
US4910273A (en) Method for charging stabilizer for suspension polymerization of vinyl chloride
JP2574078C (ja)
JPH07110881B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JP3105583B2 (ja) 塩化ビニル単量体の懸濁重合方法
JP3041485B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法
JPH07119249B2 (ja) 塩化ビニル重合体の製造方法
JP3568695B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2622040B2 (ja) 塩化ビニル重合体の製造方法
JP3568696B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2876533B2 (ja) 塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法
JPH01172407A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法
JPH07119248B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JPH1180211A (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JPH07110883B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の重合方法
JPH0768288B2 (ja) 塩化ビニル重合体製造用の重合反応器
JPH055007A (ja) 塩化ビニル重合体の製造方法
JPH07116246B2 (ja) 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法
JP2000038405A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960820

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 15