JP2574096B2 - 塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法 - Google Patents

塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法

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JP2574096B2
JP2574096B2 JP4063575A JP6357592A JP2574096B2 JP 2574096 B2 JP2574096 B2 JP 2574096B2 JP 4063575 A JP4063575 A JP 4063575A JP 6357592 A JP6357592 A JP 6357592A JP 2574096 B2 JP2574096 B2 JP 2574096B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニル単量体、また
は塩化ビニル単量体と共重合し得る単量体と塩化ビニル
単量体との混合物(以下まとめて塩化ビニル系単量体と
いう)の懸濁重合方法に関し、さらに詳しくはかさ比重
が大きく、適度な粒度を有し、かつゲル化性に優れた成
形加工性の改良された塩化ビニル系樹脂を高生産性にて
製造するための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に塩化ビニル系単量体の懸濁重合
は、懸濁剤の界面化学的作用と攪拌による機械的せん断
作用により単量体を水性媒体中に油滴として分散させ、
この油滴内に溶解した重合開始剤により重合が開始し、
進行するものである。単量体油滴は重合の進行に伴って
その粘度が増大し、ついには樹脂状の重合体粒子に転化
するのであるが、重合の初期段階では油滴単位の合体、
分散が繰返し行われ、この段階で粒子構造の基本骨格が
形成される。塩化ビニル系樹脂として最終的に得られる
重合体粒子は複数の油滴単位から構成された凝集体であ
り、その内部は空隙を有する微粒子の集合体である。
【0003】それ故に塩化ビニル系単量体の懸濁重合で
は、懸濁剤の種類・量等の懸濁剤処方、攪拌速度や攪拌
動力等の攪拌条件、および液状単量体から樹脂状重合体
への転化速度すなわち重合反応速度などの重合諸条件
が、粒子構造を決定する上で非常に重要な因子となり、
これらの条件が樹脂の粒子構造に起因する品質特性、例
えば粒度、かさ比重、ゲル化性、粉体流動性などを支配
するのである。
【0004】従来、塩化ビニル系樹脂の押出成形時の加
工生産性を高めたり、バッチ混合器での処理量を増やす
ために、かさ比重が高く、ゲル化性に優れ、しかも適度
な粒度を有した粉体流動性や成形加工性に優れた樹脂が
要求されていた。このような樹脂を製造するための懸濁
重合方法として、例えば還流凝縮器を付設した重合器を
用い、初期仕込み時の水/単量体比を0.8〜1.0と
し、重合中に水を追加する方法(特公平3−4561
号)、重合中に単量体を追加する方法(特開昭50−9
7679号)、重合中に重合温度を高める方法(特開昭
61−207410号)などが開示されているが、これ
らの方法にはかさ比重を高めるという効果が不十分であ
るほか、重合系の懸濁安定性に欠けるために粗粒化した
り、重合操作が煩雑になるなどの問題点があった。
【0005】また、懸濁剤処方に関する懸濁重合方法と
して、水溶性セルロース誘導体と部分ケン化ポリ酢酸ビ
ニルを組み合わせて使用する方法が、多数提案されてい
る。例えば、(1)ケン化度70〜85モル%、重合度
700以上のポリビニルアルコール24〜95重量%、
(2)メトキシ基25〜30重量%、ヒドロキシプロポ
キシ基4〜12重量%、2%水溶液の20℃における粘
度40〜60センチポイズのヒドロキシプロピルメチル
セルロース4〜75重量%、および(3)ケン化度85
モル%以上、重合度1500以上のポリビニルアルコー
ル0.01〜30重量%とを併用する方法(特開昭61
−141703号)、(1)ケン化度20〜55モル
%、重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアル
コールと、(2)メトキシ基19〜30重量%、ヒドロ
キシプロポキシ基4〜15重量%のヒドロキシプロピル
メチルセルロースとを、(1)と(2)の合計量が単量
体に対し0.01〜0.5重量%となるように使用する
方法(特開昭63−156809号)、(1)ケン化度
75〜99モル%、重合度1500〜2700の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール、(2)メトキシ基26〜3
0重量%、ヒドロキシプロポキシ基4〜15重量%、2
%水溶液の25℃における粘度5〜4000センチポイ
ズのヒドロキシプロピルメチルセルロース、および
(3)ケン化度20〜55モル%、重合度150〜60
0の部分ケン化ポリビニルアルコールとを併用し、
(1)/(2)の重量比が4/6〜24/1であり、
(3)を100μm以下の粒径に調節してその使用量が
単量体に対し0.001〜0.1重量%となるように使
用する方法(特開昭63−264611号)、(1)ケ
ン化度65〜75モル%、4%水溶液の20℃における
粘度5〜6センチポイズの部分ケン化ポリ酢酸ビニル、
(2)ケン化度35〜45モル%、重合度550〜70
0の部分ケン化ポリ酢酸ビニル、および(3)メトキシ
基28〜30重量%、ヒドロキシプロポキシ基7〜12
重量%、2%水溶液の20℃における粘度40〜60セ
ンチポイズのヒドロキシプロビルメチルセルロースを併
用する方法(特公平2−62121号)、(1)ケン化
度97モル%以上、重合度1500以上のポリビニルア
ルコール、(2)ケン化度70〜85モル%、重合度7
00以上のポリビニルアルコール、および(3)0.1
重量%水溶液の25℃における表面張力が50dyne/cm
以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/ま
たはヒドロキシプロピルセルロースを使用する方法(特
公平1−27088号)などである。
【0006】しかし、これら従来技術で開示の複数種の
懸濁剤成分を組み合わせてなる処方によっても、確かに
かさ比重を高める効果は認められるものの、その効果が
不十分であったり、または、粒度、ゲル化性、粉体流動
性などその他の成形加工性が劣るなどの欠点があり、高
品質の樹脂を安定的に得るための方法としては未だ充分
ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かさ
比重が高く(好適には0.55g/ml以上の範囲)、適
度な粒度(好適には平均粒径145〜165μmの範
囲)を有した成形加工性の改良された塩化ビニル系重合
体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤の存在下に水性
媒体中で懸濁重合するに際し、懸濁剤として (A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度15
00〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル (B)メトキシ基含量28.0〜30.0%、ヒドロキ
シプロポキシ基含量7.0〜12.0%、2%水溶液の
20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロ
キシプロピルメチルセルロース の2成分を、(A)/(B)の重量比が2〜9であり、
(A)と(B)の使用量の合計が単量体100重量部あ
たり0.03〜0.08重量部となるよう併用し、かつ
重合開始から転化率が少くとも30%に達するまでの期
間の重合器の内容液1m3あたりの正味攪拌動力を1.3
〜1.8kW/m3に制御して重合を行い、6時間以内に重
合完結させることによって達成される。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて塩化ビニルと共重合し得る単量体としては、例え
ば酢酸ビニルに代表されるアルキルビニルエステル類、
セチルビニルエーテルに代表されるアルキルビニルエー
テル類、エチレンまたはプロピレン等のα−モノオレフ
ィン類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、その他塩化ビ
ニリデン、スチレンなどが例示されるが、共重合するも
のであればこれらに限定されない。
【0010】本発明において使用する懸濁剤は、(A)
平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度1500〜
3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル、および(B)メ
トキシ基含量28.0〜30.0%、ヒドロキシプロポ
キシ基含量7.0〜12.0%、2%水溶液の20℃に
おける粘度が40〜60センチポイズのヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースの2成分であり、この両者の重量
比(A)/(B)が2〜9、好ましくは3〜6となるよ
う併用する。(A)と(B)の使用量の合計が単量体1
00重量部あたり0.03〜0.08重量部好ましくは
0.04〜0.06重量部の範囲である。
【0011】本発明の懸濁剤系を構成する懸濁剤(A)
成分は、単量体を水性媒体中に適度な大きさの油滴とし
て分散させる効果、およびその油滴の懸濁安定性を保護
する効果があり、かさ比重、粒度、ゲル化性および粉体
流動性などの品質を調和的に有した成形加工性に優れた
重合体を得るために使用するものである。このケン化度
が75モル%に満たない場合には懸濁安定性が不十分に
なって粗粒が生成したり、かさ比重が低下するなどの不
利があり、ケン化度が85モル%を越えるとゲル化時間
(溶融時間)が長くなるという不都合が生じる。また重
合度が前記した範囲以外では、成形加工性に優れた重合
体粒子を得ることが困難になる。
【0012】本発明の懸濁剤系を構成するもう一方の成
分である懸濁剤(B)は、重合体粒子を球状化し表面構
造を平滑化すると同時に内部構造を緻密化することによ
り、樹脂のかさ比重を高める作用がある。また重合時の
懸濁系をより一層安定化させるので、粗粒の発生を防止
する効果がある。かさ比重が高く、しかも適度な粒度特
性を有する樹脂を得るためには、メトキシ基、ヒドロキ
シプロポキシ基含量、および水溶液粘度を前記した範囲
とすることが必須である。とくにヒドロキシプロポキシ
基含量が7.0%に満たない場合には、ゲル化性を著し
く低下するので本発明の目的の達成が困難になる。
【0013】本発明においては前記の懸濁剤(A)およ
び(B)成分の重量比(A)/(B)が2〜9、好まし
くは3〜6となるように併用する。この比が2に満たな
い場合には粒度が細かくなり、粉体流動性が悪化し、ま
た9を越える場合にはかさ比重が低下する。適度な粒度
分布を有し、かさ比重の大きな粒子を得るためには
(A)および(B)の合計量を単量体100重量部あた
り0.03〜0.08重量部、好ましくは0.04〜
0.06重量部の範囲とする。
【0014】塩化ビニル系樹脂の成形加工時の作業性及
び生産性を改善するために、静電気による帯電が少なく
粉体流動性に優れた樹脂が望まれているが、このような
重合体樹脂を製造するためには、本発明で使用する懸濁
剤(A)成分のケン化度は75モル%以上、懸濁剤
(B)成分のヒドロキシプロポキシ基含量は7.0%以
上、かつ前記した重量比(A)/(B)は2以上とする
ことが必須である。このようにして製造された樹脂は、
空気輸送時に配管を閉塞させたり貯槽内でブリッジを形
成することがないので作業性に優れ、かつ成形機への樹
脂供給装置内における樹脂の粉体流動性が優れるため、
成形の生産性が向上する。
【0015】本発明を実施するにあたっては、まず予め
脱気した重合器に単量体、水、重合開始剤、懸濁剤、お
よび所望により他の薬剤を慣用の仕込み方法に従って仕
込んだ後、所定の温度で攪拌下に重合を開始させるので
あるが、本発明においては、重合開始から転化率が少な
くても30%に達するまでの間、すなわち重合体粒子構
造の基本骨格が形成されるまでの間は、重合器の内容液
1m3あたりの正味攪拌動力Pvを1.3〜1.8kW/m3
に制御することが必須である。この値が1.3kW/m3
満たない場合には、前記した懸濁剤系を使用した場合で
も、重合体粒子の粗粒化を招くほか、多孔性が損なわれ
てゲル化性が低下する。また、1.8kW/m3を越える
と、かさ比重が低下するばかりでなく、粒度が細かくな
るか、あるいはその他の重合条件によって粗粒が発生す
るという不利がある。転化率が30%に達した以降の攪
拌動力は特に限定されず、重合器内が均一に攪拌されさ
えすればよい。
【0016】重合器の攪拌動力を制御する方法として
は、例えば「化学工学協会編:化学工学便覧、改訂三
版、1065〜1115頁、昭和43年、丸善株式会
社」に詳細に記載されているように、各種形状の攪拌装
置についての攪拌系のレイノルズ数Reと動力数Npの
関係を表す実験式や線図を利用するか、またはある一定
の攪拌条件下での動力を実測することにより装置定数と
してのNpを実験的に求め、攪拌翼の回転数を変更する
ことによって動力を任意に調節することができる。
【0017】すなわち、重合器の内容物の密度をρ(kg
/m3)、粘性係数をμ(kg/m・sec)、攪拌翼の回転数
をn(1/sec)、翼スパンをd(m)、動力換算係数を
c(kg・m/Kg・sec2)、減速機構部や軸封部での損
失を含まない正味の撹拌動力をP(Kg/m・sec)とすれ
ば、ReおよびNpはそれぞれ Re=ρnd2 /μ Np=P・gc /ρn3 5 で定義されるものであり、公知文献または実験からNp
を求めることができる。
【0018】塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で一般
的に採用されている大型重合器の攪拌装置のNpの値は
およそ0.2〜2の範囲である。重合器内の液量をV
(m3)とすれば重合器の単位容積あたりの正味攪拌動力
Pv(kW/m3)は次式に従って算出することができる。 Pv=Np・ρn3 5 /102・V・gc したがって、特定の攪拌装置を用いて正味攪拌動力を調
整する場合には、動力は攪拌翼の回転数の3乗に比例す
るので、回転数を変更することにより動力を制御するこ
とができる。
【0019】本発明において使用される攪拌翼や所望に
より使用されるバッフルなどの攪拌装置の形状は特に限
定されるものではなく、従来から塩化ビニル系単量体の
懸濁重合方法で一般的に採用されている公知の攪拌装置
を使用することができ、攪拌翼としてはタービン翼、フ
ァンタービン翼、ファウドラー翼およびブルーマージン
翼などが例示されるが、ファウドラー翼が好ましく、ま
たバッフルとしては板型、パイプ型、D型、ループ型お
よびE型(フィンガー型)などが例示されるが、パイプ
型、D型、E型のバッフルが好ましい。これらの攪拌翼
およびバッフルは塩化ビニルの重合で一般に使用されて
いるものでよく、例えば前記「化学工学便覧」または
「佐伯康治著:ポリマー製造プロセス、157〜159
ページ、1971年、工業調査会」などに説明されてい
る。
【0020】さらに本発明においては、従来内容積40
m3以上の大型重合器では一般に6時間を越えていた重合
反応を、6時間以内に完結させる。このような高速重合
を実施することにより、液状単量体から樹脂状重合体へ
の転化が速まり、重合系内の油滴の離合集散の頻度、お
よびこの過程で油滴内部に生成する微小重合体粒子の凝
集状態などが影響されるためと推定されるが、かさ比重
の高い重合体粒子を得ることが可能になる。しかも粉体
の流動性を阻害する微細な粒子の生成を抑制できるの
で、成形加工時に樹脂を取扱う際の作業性が改善できる
という利点が伴う。重合時間が6時間を越える場合に
は、重合器の稼働率が低下するばかりでなく本発明の目
的とする高品質の樹脂を得ることが困難になる。
【0021】本発明において重合完結させるまでの時間
すなわち重合時間とは、単量体などの主副原料の仕込み
終了後、昇温操作などにより重合器の内温を所定の重合
温度に到達せしめた時点から、重合器の圧力がその重合
温度での自然圧力で暫く推移した後、未反応単量体の減
少に伴って圧力降下を始め、その降下巾が2kg/cm2
達するまでの時間と定義する。重合器の温度制御や圧力
管理などの安全面から、重合時間は3〜6時間とするこ
とが好ましい。本発明において重合完結させる方法とし
ては、重合禁止剤を添加したり、重合器から未反応単量
体を回収する方法が挙げられる。
【0022】重合時間は公知のごとく重合開始剤の使用
量で調節することができ、その使用量を増やすことによ
って重合時間を短縮することができる。本発明におい
て、6時間以内に重合完結させるために使用する開始剤
は、従来塩化ビニル系の懸濁重合方法で一般的に使用さ
れていたものでよく特に限定されないが、例えば2,
4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシネオデカ
ノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート、
α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパ
ーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバ
レート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ
サイドおよびアセチルシクロヘキシルスルフォニルパー
オキサイドなどのような有機過酸化物、α,α′−アゾ
ビスイソブチロニトリルおよびα,α′−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙
げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いら
れる。開始剤の使用量は、開始剤種類や重合温度によっ
ても異なるが、通常、単量体100重量部あたり0.0
2〜2重量部の範囲である。
【0023】本発明を実施するに際し、6時間以内の高
速重合反応において発生する反応熱を除去するにあたっ
て、例えば特公平3−4249号に記載された内部ジャ
ケット式重合器のような、重合器本体内面に冷熱媒体の
通路を設けることにより伝熱性能を向上させた重合器を
用いれば、重合器の温度管理が容易になりしかも熱除去
に伴うスラリーの発泡や懸濁安定性を阻害するなどの悪
影響がないので、本発明の目的を更に有利に達成でき
る。また内容積40m3以上の大型重合器を採用すること
により、生産の効率化をはかることが可能になる。勿
論、還流凝縮器を用いて付加的に重合反応熱を除去する
方法を採用することも可能であるが、この場合には還流
凝縮器による除熱割合を50%未満とする。
【0024】また、本発明においては、所望に応じてメ
ルカプトアルカノール、チオグリコール酸アルキルエス
テルなどの連鎖移動剤、pH調整剤、または重合禁止剤
などを使用することもできる。さらに平均ケン化度55
モル%以下の部分ケン化ポリ酢酸ビニルや、ソルビタン
モノステアレートに代表されるソルビタン脂肪酸エステ
ル類などの懸濁助剤を本発明の懸濁剤系と併用すること
もできる。重合に使用する水は予め加温したものでもよ
く、また脱気したものでもよい。重合は通常、40〜7
0℃の温度範囲に制御して行われ、各成分の仕込み量な
どその他の重合条件は従来塩化ビニル系の重合で行われ
ている慣用の条件でよく、特に限定されるものではな
い。
【0025】
【発明の効果】かくして本発明によれば、懸濁重合粒子
の構造支配因子である懸濁剤処方、攪拌動力、および重
合反応速度(重合完結時間)を適正化することにより、
粒度、かさ比重、ゲル化性、粉体流動性など成形加工性
に優れた塩化ビニル系樹脂を得ることができ、しかも重
合生産性を高めることができるという、従来技術では達
成困難であった課題を解決することができ、工業的見地
から極めて有用である。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例の中の%および部
は、とくに断りのない限り重量基準である。また、塩化
ビニル系樹脂の物性値は次の方法により測定した。
【0027】(1)平均粒径 JIS基準の金網を使用した篩分析により、50%通過
径として示した。 (2)粗粒分 (1)の篩分析により、目開き250μmの金網に残留
する割合をもって示した。 (3)かさ比重 JIS K6721に定める方法に準じて測定した値を
もって示した。 (4)粉体流動性 塩化ビニル系樹脂120mlが、JIS K6721に定
めるかさ比重測定用ホッパーから、全量落下するのに要
する時間をもって示した。
【0028】(5)ゲル化時間 東洋精機製作所製のラボプラストミルを使用し、ジャケ
ットの温度を190℃に保った容器内に、塩化ビニル系
樹脂100部(65g)、ステアリン酸鉛1.0部、二
塩基性ステアリン酸鉛0.3部、三塩基性硫酸鉛2.5
部を投入して3分間予熱した後、ローラーヘッドを30
rpm で回転させながら混練を行い、混練トルクが安定し
一定値を示すまでの時間をもって示した。
【0029】実験番号1 翼長2.0mのファウドラー型3枚後退攪拌翼および外
径0.26mのパイプバッフル4本を装着した直径3.
8m、内容積65m3の内部ジャケット式ステンレス製重
合器を脱気した後、塩化ビニル単量体100部(25.
0トン)、水105部、懸濁剤として(A)ケン化度が
79モル%で平均重合度が2600の部分ケン化ポリ酢
酸ビニル0.035部、(B)メトキシ基含量28.8
%、ヒドロキシプロポキシ基含量9.6%、2%水溶液
の20℃における粘度が46cpsのヒドロキシプロピル
メチルセルロース0.010部、および重合開始剤とし
て2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−ネ
オデカノエート0.050部を仕込み、攪拌翼の回転数
を90rpm に制御して攪拌下に重合器の内容物を温度5
7℃に昇温し、重合を開始させた。
【0030】引続きこの回転数を維持し、ジャケットで
反応熱を除去することにより重合器の内温を57℃に保
ちながら重合を継続させ、重合開始当初8.7kg/cm2
であった重合器の圧力が6.7kg/cm2 に降下した時点
で重合器から未反応単量体を回収し、重合完結させた。
次いで重合器の内容物を排出し、脱水乾燥することによ
り塩化ビニル樹脂を得た。正味攪拌動力Pvは重合開始
時1.5kW/m3であったが、その後重合の進行とともに
徐々に増加し、重合転化率が約30%に達した以降は
1.6kW/m3の一定値を示した。重合時間は4.6時間
であり、重合完結時の転化率は85%であった。
【0031】実験番号2〜11 表1に示した懸濁剤を用いた以外はすべて実験番号1と
同一の条件で重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。正味
攪拌動力、重合時間、および重合完結時の転化率はすべ
て実験番号1と同様であった。実験番号1〜11の結果
を対比して、表1に示した。
【0032】実験番号12〜15 攪拌翼の回転数を表2に示した値に制御することにより
正味攪拌動力を調節した以外は、すべて実験番号1と同
一の条件で重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。重合時
間および重合完結時の転化率は、すべて実験番号1と同
様であった。実験番号1および12〜15の結果を対比
して、表2に示した。
【0033】実験番号16〜20 表3に示した重合開始剤を用いることにより、重合時間
を調節した以外は、すべて実験番号1と同一の条件で重
合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。正味攪拌動力および
重合完結時の転化率は、すべて実験番号1と同様であっ
た。実験番号1および16〜20の結果を対比して、表
3に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 靖道 岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767の1 日本ゼオン株式会社内 (72)発明者 大川 正久 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 大内 勲 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工 業株式会社内 (72)発明者 若森 秀樹 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工 業株式会社内 (72)発明者 大和 多実男 山口県徳山市晴海町1番2号 サン・ア ロー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−154807(JP,A) 特開 昭63−275606(JP,A) 特開 昭61−151209(JP,A) 特開 昭52−115890(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体、または塩化ビニルと
    共重合し得る単量体と塩化ビニル単量体との混合物から
    選ばれた塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤の存在
    下に水性媒体中で懸濁重合するに際し、懸濁剤として (A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度15
    00〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル (B)メトキシ基含量28.0〜30.0%、ヒドロキ
    シプロポキシ基含量7.0〜12.0%、2%水溶液の
    20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロ
    キシプロピルメチルセルロースの2成分を、(A)/
    (B)の重量比が2〜9であり、(A)と(B)の使用
    量の合計が単量体100重量部あたり0.03〜0.0
    8重量部となるよう併用し、かつ重合開始から転化率が
    少くとも30%に達するまでの期間の重合器の内容液1
    あたりの正味攪拌動力を1.3〜1.8kW/m
    に制御して重合を行い、6時間以内に重合完結させるこ
    とを特徴とする塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法。
  2. 【請求項2】 攪拌装置を装着し、重合器本体内面に冷
    熱媒体の通路を設けた内容積40m3以上の内部ジャケッ
    ト式重合器を用いることを特徴とする請求項1記載の塩
    化ビニル系単量体の懸濁重合方法。
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