JPH10316705A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH10316705A
JPH10316705A JP12685797A JP12685797A JPH10316705A JP H10316705 A JPH10316705 A JP H10316705A JP 12685797 A JP12685797 A JP 12685797A JP 12685797 A JP12685797 A JP 12685797A JP H10316705 A JPH10316705 A JP H10316705A
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謙 平松
Hidesumi Iwai
秀純 岩井
Yoshihiro Moriyama
良弘 森山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】重合安定性に優れ、フィッシュアイが少なく、
かつ生産性に優れた塩化ビニル系重合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】(a)水溶性もしくは水分散性の高分子懸
濁分散安定剤液を重合反応器に仕込み、(b)次いで予
め脱気した温水と、塩化ビニル系単量体とを同時に又は
温水を僅かに早く仕込み始め、(c)塩化ビニル系単量
体の仕込み開始と同時に、油溶性開始剤を塩化ビニル系
単量体ラインに導入して仕込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系重合体
の製造方法に関するものであり、更に詳細には重合安定
性に優れ、フィッシュアイが少なく、かつ生産性に優れ
た塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は安価でかつ品質バラ
ンスに優れているため、軟質分野、硬質分野等種々の広
範な分野で利用されている。例えば軟質分野では電線被
覆、ラップフィルム、シート等、硬質分野ではパイプ、
窓枠、フィルム等である。一方、材料としての塩化ビニ
ル系樹脂は安価なことが必須要件である汎用樹脂であ
り、製造コストを下げるために従来から様々な重合生産
性の向上手段が図られてきた。例えば重合器の容量を大
きくして一生産あたりの生産量を多くする方法、塩化ビ
ニル系単量体を先に仕込み、続いて脱気された温水を仕
込むことにより昇温時間を短縮して生産性を上げる方
法、さらに塩化ビニル系単量体と脱気された温水を同時
に仕込むことにより仕込み及び昇温時間を短縮して生産
性を上げる方法等が提案されている。
【0003】例えば、特公昭62ー39601号に
は、予め加温された水性媒体(分散剤を水に溶解した混
合物)と、塩化ビニル系単量体と開始剤の均一混合物と
を同時に仕込むことにより昇温時間を短縮して生産性を
上げる方法、特公昭60ー26488号には、分散剤
の全量を溶解した水と開始剤の全量を溶解した塩化ビニ
ル系単量体の仕込み時期に若干の時差を設け、両者の仕
込み終了時点に所定温度になるようにして生産性を上げ
る方法、特開昭60ー158207号には、開始剤を
含有する塩化ビニル系単量体と分散剤を含有する水とを
50℃以下で予備混合し、この混合物を熱交換器にて反
応温度まで昇温しながら重合器に仕込む方法、特開平
1ー172407号には、塩化ビニル系単量体の仕込み
中に分散剤の少なくとも20%を仕込むとともに、重合
器内の塩化ビニル系単量体の水に対する重量比が1.5
以下の間に開始剤を全量仕込む方法等が開示されてい
る。
【0004】しかしながら、特公昭62ー39601号
の方法では、塩化ビニル系単量体と開始剤の均一混合に
塩化ビニル系単量体の貯蔵タンクとは別のタンクや特殊
な混合器を必要とし仕込み操作が煩雑となるばかりでな
く、重合器に仕込むと同時に開始反応が急激に進行する
とともに、分散剤が水中に分散した単量体油滴表面に均
一に拡散して安定な保護層を形成する時間的余裕がない
ため重合安定性に乏しく、粗粒分が多かったり、フィッ
シュアイが増加するといった欠点があった。
【0005】また特公昭60ー26488号の方法は、
開始剤の全量を溶解した塩化ビニル系単量体と水の仕込
み時期に若干の時差を設けてはいるものの、前記特公昭
62ー39601号の方法と同様の欠点があった。特開
平1ー172407号の方法は上記、の改良方法で
あるが、分散剤の仕込み時期が単量体の仕込み時期に対
して遅れることに起因し、重合安定性が損なわれる傾向
にある。
【0006】さらに特開昭60ー158207号の方法
は水と塩化ビニル系単量体の予備混合後、この混合物を
熱交換器で反応温度まで昇温するため熱交換に時間がか
かり、生産性向上効果が思ったほどには望めない。この
ように、分散剤を含む温水と開始剤を含む塩化ビニル系
単量体とを同時に、または若干の時差を設けて仕込む方
法は、生産性向上には効果があるものの、重合安定性に
乏しい、粗粒分が多い、フィッシュアイが増加する、等
の問題点を有する上、重合安定性を高めるために多量の
分散剤を必要としコストアップになるという問題点があ
る。
【0007】また、特開昭58ー21408号には予め
50〜80℃に加温脱気された水を仕込む方法、特公昭
58ー50603号には、分散剤と冷水を仕込み、次い
で塩化ビニル系単量体を仕込み、最後に加温された水を
仕込む方法が開示されている。しかしながら特開昭58
ー21408号は、開始剤を含んだ塩化ビニル系単量体
が仕込み中に重合器内壁と直接接触するため膜状スケー
ルを発生し易く、これによってジャケットによる重合熱
の除去能力が著しく低下するため重合時間を短縮するこ
とができないという問題がある。
【0008】また特公昭58ー50603号はフィッシ
ュアイ改良効果はあるものの仕込みに時間がかかるた
め、稼働率の点では不利であるという問題点を有してい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、温水と塩化ビニル系単量
体を同時に仕込む方法の有する問題点、即ち重合器内面
へのスケール付着、重合安定性の低下、粗粒の発生、フ
ィッシュアイの増加等の生産上及び品質上の問題を生じ
ることなく仕込み時間を短縮し、重合稼働率を向上し、
生産性の高い塩化ビニル系重合体の製造方法を提供する
ことを目的とし、換言すれば、品質上の諸問題と生産性
の相反する要素をバランス良く向上させることを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、品質上の
諸問題と生産性の相反する要素をバランス良く向上させ
るために鋭意検討した結果、特定の仕込み方法を採用す
ることによって品質上の問題点を生じることなく生産性
を大幅に向上させることが可能であることを見いだし、
本発明に到った。
【0011】即ち本発明は、塩化ビニル単量体、または
塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単
量体との混合物(以下、両者を塩化ビニル系単量体と記
す)を水性媒体中で懸濁重合するに際し、(a)水溶性
もしくは水分散性の高分子懸濁分散安定剤(以下、分散
剤と記す)の水溶液もしくは水分散液を重合反応器に仕
込んだ後、該重合反応器を脱気し、(b)次いで予め脱
気した温水と、塩化ビニル系単量体とを同時に又は温水
を僅かに早く仕込み始め、(c)塩化ビニル系単量体の
仕込み開始と同時に、油溶性開始剤を専用計量ラインを
通じて塩化ビニル系単量体ラインに導入して仕込む、こ
とを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を内容と
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に使用する水溶性もしくは
水分散性の高分子懸濁分散安定剤として部分鹸化ポリ酢
酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸、酢酸ビニルーマレイン
酸共重合体、スチレンーマレイン酸共重合体、ゼラチ
ン、デンプン等を用いる。更に好ましくは上記分散剤の
うち少なくとも一種とポリエチレンオキサイドの組み合
わせて用いる。
【0013】また、上記(b)工程において、脱気され
た温水を仕込み始めてから、塩化ビニル系単量体を仕込
み始めるまでの時間が2分以内である場合において品質
及び生産性の向上に対し顕著な効果が発揮される。本発
明の実施にあたっては、まず(a)工程として、分散剤
の水溶液もしくは水分散液を重合反応器に仕込んだ後、
該重合反応器を脱気する。この際、(a)工程を実施せ
ずに、例えば(b)以降の工程の途中や終了後に分散剤
の水溶液もしくは水分散液を仕込む方法では、水中に分
散した単量体油滴表面に分散剤が均一に拡散して安定な
保護層を形成する時間的余裕がないため重合安定性に乏
しく、粗粒分が多かったり、フィッシュアイが増加する
ので好ましくない。従って分散剤の水溶液もしくは水分
散液は予め重合器内に仕込んでおくのが良い。このよう
に、分散剤の水溶液もしくは水分散液を予め重合器内に
仕込んでおくことによって重合が安定化され、粗粒分が
減少し粒度分布を狭くすることが可能となる。
【0014】次に(b)工程として予め脱気した温水
と、塩化ビニル系単量体とを同時に又は温水を僅かに早
く仕込み始める。脱気した温水と塩化ビニル系単量体は
同時に仕込み始めても良いが、温水を若干早く仕込み始
めるのが好ましい。この時間差が長くなると仕込みに要
する時間が長くなり、生産性の向上という面では効果が
薄れることになる。従って時間差は2分以内とするのが
良い。
【0015】このように、脱気した温水を先に仕込むこ
とにより重合が安定化され、粗粒分が減少し粒度分布を
狭くすることが可能となる。温水及び塩化ビニル系単量
体の仕込みに要する時間は特に制約はないが、特に塩化
ビニル単量体のように、重合器内で温水と接触すること
によって一気に昇圧する単量体を用いる場合には、用い
るポンプの揚程能力によっては仕込みが困難となる場合
がある。従って、所望の仕込時間に適した揚程能力及び
仕込能力を有するポンプを用いる必要がある。
【0016】さらに(c)工程として塩化ビニル系単量
体の仕込み開始と同時に、油溶性開始剤を専用計量ライ
ンを通じて塩化ビニル系単量体ラインに導入して仕込
む。本発明では、油溶性開始剤を塩化ビニル系単量体の
仕込みと実質的に同時に開始する。油溶性開始剤の仕込
みに要する時間には特に制約はないが、全仕込み時間の
40%(例えば全仕込み時間が25分の場合には10
分)以内とするのが好ましい。
【0017】油溶性開始剤の計量ラインは塩化ビニル系
単量体の仕込みラインに接続される。即ち、油溶性開始
剤と塩化ビニル系単量体は重合器の直前で合流、混合さ
れて重合器内に導入される。従来、油溶性開始剤を塩化
ビニル系単量体と均一に混合して重合器に仕込むという
方法が提案されているが、その方法では均一混合するた
めの別タンクや特別な計量設備を必要とするため実用的
とは言えない。また、開始剤を含んだ単量体は開始剤の
分解による開始反応を避けるためにできるだけ低温に保
っておかなければならないといった不都合も生じる。
【0018】本発明に用いる水溶性もしくは水分散性の
高分子懸濁分散安定剤としては、部分鹸化ポリ酢酸ビニ
ル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重
合体、スチレンーマレイン酸共重合体、ゼラチン、デン
プン等を用いる。更に好ましくは上記分散剤のうち少な
くとも一種とポリエチレンオキサイドとを組み合わせて
用いる。分散剤を単独で用いる場合には、その使用量を
かなり多くしないと初期分散時の単量体油滴保護力が弱
く、これらのうち少なくとも一種とポリエチレンオキサ
イドを組み合わせることで十分な保護力が確保される。
【0019】用いる分散剤の量は塩化ビニル系単量体1
00重量部あたり0.005〜0.1重量部、好ましく
は0.01〜0.08重量部である。この量が0.00
5重量部未満では初期の単量体の分散力が不足し、生成
する樹脂の粗粒分が増加する。また0.1重量部を越え
ると分散力が強すぎていわゆる過分散となり、生成する
樹脂の粒度分布が広くなったり、微粒子が増加する。
【0020】ポリエチレンオキサイドを併用する場合、
その量は塩化ビニル系単量体100重量部あたり0.0
01〜0.02重量部、好ましくは0.002〜0.0
1重量部である。この量が0.001重量部未満では初
期分散した単量体の保護力が不足するため、生成する樹
脂の粗粒分が増加したり、極端な場合には重合が正常に
行われず全体が凝塊となることがある。また0.02重
量部を越えると保護力が強すぎて、生成する樹脂の粒度
分布が広くなったり、微粒子が増加する。
【0021】これらのうち、特に好ましい分散剤として
はケン化度が60〜95%、重合度400〜4000の
部分ケン化ポリ酢酸ビニルと平均分子量60万以上のポ
リエチレンオキサイドとの組み合わせが挙げられる。本
発明において攪拌操作は(b)工程の開始と同時に行
い、重合器内の塩化ビニル系単量体油滴を攪拌剪断力に
よって温水中に分散させ、なるべく早く均質化すること
が重要である。攪拌速度は攪拌翼の形状によっても異な
るが、5m/sec以上の攪拌翼周速度で行うと本発明
の効果を容易に発現できる。5m/sec未満の攪拌翼
周速度では分散系の均質化が不完全となり、フィッシュ
アイの増加、粒度分布の拡大、粗粒や微粒子の増加等を
きたす。5m/sec以上の攪拌翼周速度を維持するに
好適な攪拌翼は、傾斜パドル又はブルーマージン翼であ
る。
【0022】本発明においては予め脱気された温水を使
用するが、温水の温度は50〜80℃が好ましく、重合
制御が可能な限り高くすることが生産性向上の面から好
ましい。仕込み工程の途中で所定重合温度に到達し、重
合が開始された状態となっている場合には、従来の除熱
方式、例えばジャケットによる除熱、還流凝縮器による
除熱、内部ジャケットによる除熱等を利用して、重合反
応を制御すれば良い。
【0023】本発明における重合開始剤は従来公知のも
のを使用すれば良いが、これらの開始剤のうち10時間
半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種以上使
用するのが好ましい。開始剤の使用量はその種類や重合
温度によっても異なるが、塩化ビニル系単量体100重
量部あたり0.005〜0.5重量部が好ましい。この
量の開始剤を使用することにより、重合時間を6時間以
下とすることができる。このような重合開始剤として
は、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイ
ド、2,4,4トリメチルペンチル−2−パーオキシネ
オデカノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジ
カーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有
機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビス−2,4,−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系
開始剤を使用でき、これらは単独または2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0024】これらの開始剤は、(c)工程において、
専用ラインにて計量され、塩化ビニル系単量体の仕込み
ラインに切り込み重合器に導入される。重合反応をなる
べく早く開始し、昇温時間、全重合時間を短縮するに
は、開始剤の仕込タイミングはなるべく早く実施するの
が良いが、計量精度を維持するには全仕込時間の40%
以内の時間内に行うのが好ましい。
【0025】本発明に使用する単量体は塩化ビニルを主
成分とする単量体であり、具体的には、塩化ビニル単量
体単独、又は塩化ビニルを70重量%以上含有し、塩化
ビニルと共重合可能な単量体との混合物である。塩化ビ
ニルと共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレ
ン、プロピレン、イソブチルビニルエーテル等のα−オ
レフィン類、1−クロロプロピレン、2−クロロブチレ
ン等のクロル化オレフィン類、(メタ)アクリル酸メチ
ル等の(メタ)アクリル酸エステル類、無水マレイン
酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が
挙げられ、これらは単独で用いることも、2種以上組み
合わせて用いることも可能である。
【0026】さらに従来塩化ビニル系単量体の重合又は
共重合に使用される重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調
節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、
スケール防止剤等やこれらの仕込方法も公知の技術をな
んら支障なく任意に用いることができ、その使用量も従
来公知の方法に従うことができる。
【0027】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例および比較例を示すが、これら実施例は本発
明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例
では特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は
重量%を表す。得られた塩化ビニル系重合体の特性値は
次の方法により測定した。 (1)フィッシュアイ 塩化ビニル系重合体100部にジオクチルフタレート5
0部、ステアリン酸カルシウム2部、ステアリン酸バリ
ウム1部、及びカーボンブラック0.02部を添加し十
分攪拌混合した後、表面温度が150℃に調節された8
インチロールに投入混練りし、4分で厚み0.3mmの
ロールシートを切り出した。採取したロールシート表面
の面積100mm2中に観察される透明粒子の数を計数して
示した。 (2)平均粒子径、粒度分布 JIS K−6721に準拠し、42、60、80、1
00、120、145、200メッシュの篩を使用し、
篩振とう器にて篩分けを行い、50重量%通過径をもっ
て平均粒子径とした。また粒度分布は、各メッシュに残
留した塩化ビニル系重合体の重量を測定し、百分率にて
表示した。このうち42メッシュ上に残留した重合体の
量は百分率に含めず粗粒分とし、200メッシュを通過
した量はパス分とした。 (3)仕込み時間、重合時間 温水叉は塩化ビニル系単量体の仕込み開始時点から、こ
れらを全て仕込み終わるまでの時間を全仕込所要時間と
定義した。 実施例1 攪拌機、還流凝縮器を付設した内容積2000Lのステ
ンレス製重合器内に予め鹸化度79%、重合度2000
の部分鹸化ポリ酢酸ビニル(これを以下PVA1とい
う)の3%水溶液8.0L及び平均分子量450万のポ
リエチレンオキサイド(これを以下PEO1という)
0.5%水溶液12.1Lを仕込み(塩化ビニル単量体
100重量部に対してPVA1及びPEO1の仕込量は
各々0.036重量部、0.009重量部)、次いで重
合器内を真空ポンプで脱気した。
【0028】この重合器内に脱気後65℃に温度調節し
た温水を約45L/分の速度で仕込み始め、1分後、塩
化ビニル単量体を約41L/分の速度で仕込み始めた。
温水850Lを約19分で、塩化ビニル単量体740L
を約18分で仕込み完了した。塩化ビニル単量体を仕込
み始めると同時に、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネートを濃度70%で溶解したイソパラフィン
溶液を約0.15L/分の速度で計量ラインを通じて塩
化ビニル単量体ラインに導入して仕込み始め、約3分で
仕込みを完了した。ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネートの仕込み量は塩化ビニル単量体100部
に対して0.045部とした。
【0029】さらに、ブルーマージン翼を取り付けた攪
拌機を塩化ビニル単量体を仕込み始めると同時に稼働
し、攪拌翼周速が8.6m/secとなるように回転数
を調節した。仕込み開始と同時に内温は徐々に上昇し始
めるが、ジャケット及び還流凝縮器による温度調節を実
施し、全仕込み完了の5分前に内温が57℃になるよう
に調整した。この仕込み完了前5分の時点を重合開始時
点とした。
【0030】このまま内温を57℃に維持し、重合器内
圧が定常圧より1kg/cm2低下した時点で重合を停
止し、未反応単量体を回収して重合を終了した。得られ
たスラリーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得、各
特性値を測定した(表1参照)。 実施例2 ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを濃
度70%で溶解したイソパラフィン溶液を約0.06L
/分の速度で計量ラインを通じて塩化ビニル単量体ライ
ンに導入して仕込み始め、約7.5分で仕込みを完了し
た以外は実施例1と同様の仕込み及び重合条件にて塩化
ビニル重合体を得、各特性値を測定した。 実施例3 脱気した温水と塩化ビニル単量体とを全く同時に仕込み
始める以外は実施例1と同様の仕込み及び重合条件にて
塩化ビニル重合体を得、各特性値を測定した。 実施例4 部分鹸化ポリ酢酸ビニルとして鹸化度88%、重合度2
300のもの(これを以下PVA2という)と、鹸化度
78%、重合度600のもの(これを以下PVA3とい
う)を組み合わせ、それぞれ0.04部及び0.02部
用いた以外は実施例1と同様の仕込み及び重合条件にて
塩化ビニル重合体を得、各特性値を測定した。 実施例5 PVA2と、鹸化度70%、重合度600のもの(これ
を以下PVA4という)を組み合わせ、それぞれ0.0
4部及び0.02部用いた以外は実施例1と同様の仕込
み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各特性値を
測定した。 実施例6 PVA1とPVA3とを組み合わせ、それぞれ0.08
部及び0.02部用い、PEO1は使用しない以外は実
施例1と同様の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル重合
体を得、各特性値を測定した。 比較例1 実施例1においてPVA1水溶液及びPEO1水溶液を
脱気前に予め重合器内へ仕込むのではなく、計量ライン
を通じて温水ラインに導入する点を除いては、実施例1
と同様の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を
得、各特性値を測定した。
【0031】即ち、重合器内を脱気後、温水を仕込み始
め、更に1分後に塩化ビニル単量体を仕込み始めるがそ
れと同時に、PVA1の3%水溶液を約2L/分の速度
で計量ラインを通じて温水ラインに導入して仕込み、約
4分で仕込みを完了した。続いてPEO1の0.5%水
溶液を約4L/分の速度で仕込み、約3分で仕込みを完
了した。PVA1及びPEO1の仕込量は実施例1と同
様に塩化ビニル単量体100部に対してそれぞれ0.0
36部及び0.009部とした。 比較例2 温水を仕込み始めた後、塩化ビニル単量体の仕込みまで
の時間差を10分とした以外は、実施例1と同様の仕込
み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各特性値を
測定した。 比較例3 実施例1において、温水と塩化ビニル単量体とを同時に
仕込まず、先に塩化ビニル単量体、次いで脱気した温水
を仕込む事を除いては実施例1と同様の仕込み及び重合
条件にて塩化ビニル重合体を得、各特性値を測定した。
【0032】即ち、PVA1の水溶液及びPEO1の水
溶液を予め重合器内に仕込んで重合器内を脱気した後、
塩化ビニル単量体を41L/分で仕込み始めると同時
に、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート
のイソパラフィン溶液を計量ラインを通じて塩化ビニル
単量体ラインに導入して仕込み始め、約18分で塩化ビ
ニル単量体740Lの全仕込みを、また約3分でジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートの仕込みを
完了した。次いで攪拌を開始し、脱気後65℃に温度調
節した温水を約45L/分の速度で仕込み始め、約19
分で温水850Lを仕込み、温水仕込み完了の5分前に
重合開始となるようにジャケットによる温度調節を行っ
た。重合開始後の操作は実施例1と全く同等とした。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、分散剤を温水の
仕込み中に温水ラインに導入して仕込む方法では粒度分
布が広く、またフィッシュアイが多い(比較例1)。ま
た、温水を仕込み始めてから塩化ビニル単量体を仕込み
始めるまでの時間差を10分とすると全仕込所要時間が
長くなる(比較例2)。次に、温水と塩化ビニル単量体
を同時に仕込まず、先に塩化ビニル単量体、次いで温水
を仕込む方法では、全仕込所要時間が長くなると共に粒
度分布が広く、フィッシュアイが非常に多くなる(比較
例3)。
【0035】これらに対し、本発明の実施例ではいずれ
も粒度分布が狭く、フィッシュアイも少ないことがわか
る。
【0036】
【発明の効果】このように本発明の方法を用いれば、フ
ィッシュアイの少ない塩化ビニル系重合体が得られかつ
生産性は大幅に向上するため、本発明の工業的価値はす
こぶる大きいものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体、または塩化ビニル単
    量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合
    物を水性媒体中で懸濁重合するに際し、(a)水溶性も
    しくは水分散性の高分子懸濁分散安定剤の水溶液もしく
    は水分散液を重合反応器に仕込んだ後、該重合反応器を
    脱気し、(b)次いで予め脱気した温水と、塩化ビニル
    系単量体とを同時に又は温水を僅かに早く仕込み始め、
    (c)塩化ビニル系単量体の仕込み開始と同時に、油溶
    性開始剤を専用計量ラインを通じて塩化ビニル系単量体
    ラインに導入して仕込む、ことを特徴とする塩化ビニル
    系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 水溶性もしくは水分散性の高分子懸濁分
    散安定剤が部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロー
    ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
    メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
    ル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、スチレンーマ
    レイン酸共重合体、ゼラチン、デンプンのうち少なくと
    も一種とポリエチレンオキサイドの組み合わせからなる
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱気された温水を仕込み始めてから、塩
    化ビニル系単量体を仕込み始めるまでの時間が2分以内
    である請求項1又は2記載の製造方法。
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