JP2000204105A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP2000204105A
JP2000204105A JP11009301A JP930199A JP2000204105A JP 2000204105 A JP2000204105 A JP 2000204105A JP 11009301 A JP11009301 A JP 11009301A JP 930199 A JP930199 A JP 930199A JP 2000204105 A JP2000204105 A JP 2000204105A
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vinyl chloride
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JP11009301A
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English (en)
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Ken Hiramatsu
謙 平松
Koji Sakaguchi
浩司 阪口
Yoshiharu Uchida
佳治 内田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い重合生産性を維持しながら軟質樹脂とし
ての重要要求特性である可塑剤吸収能力を向上させ、フ
ィッシュアイを低減する。 【解決手段】 VCM、温水の順に逐次仕込みする高生
産性仕込み処方において温水仕込み途中の攪拌所要動力
を小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系重合体
の製造方法に関するものであり、詳細には高い重合生産
性を維持しながら、可塑剤の吸収能力に優れ、かつフィ
ッシュアイが少ない塩化ビニル系重合体を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は安価でかつ品質バラ
ンスに優れているため、軟質分野、硬質分野等種々の広
範な分野で利用されている熱可塑性樹脂であり、その用
途として例えば軟質分野では電線被覆、ラップフィル
ム、シート等、硬質分野ではパイプ、窓枠、フィルム等
が挙げられる。材料としての塩化ビニル系樹脂は安価な
ことが必須である汎用樹脂であるが、性能面でも種々の
特性が要求され、例えば前述の硬質用途分野における製
品では強度や寸法安定性、易加工性等が挙げられる。
【0003】一方軟質用途分野においては、塩化ビニル
系樹脂を可塑化し加工を容易にするとともに製品に柔軟
性を与える目的で、樹脂100重量部に対しておよそ3
0重量部以上、典型的には40〜100重量部の可塑剤
が添加される。このように大量の可塑剤を用いることか
ら、軟質向けの樹脂としては該可塑剤が素早く樹脂内部
に吸収され、いわゆるドライアップ状態となることが求
められる。特に近年、フィルムやシート製品から可塑剤
が抜け出すいわゆるブリードアウトや、その結果これら
の製品と接触している材料への可塑剤の移行を低減させ
る目的で、より分子量の高い可塑剤が用いられる傾向に
あることから、樹脂内部への可塑剤の吸収は加工メーカ
ーにとって一層重要な問題となってきている。これは、
低分子従って低粘度の可塑剤の場合に比べて、このよう
な高分子量可塑剤ではその粘度が高く、樹脂への吸収が
困難なためである。
【0004】さらにフィルムやシートではこれら製品の
表面が均一でなくてはならず、特にフィッシュアイと呼
ばれる表面のブツの発生は品質にとって致命的となるた
め絶対に避けなければならない。フィッシュアイとなる
粒子に関しては様々な考察がなされているが、まず問題
となるのが、重合時に生じるスケール成分によるも
の、コンタミ等による樹脂以外の異物、である。これ
らはいわゆる永久フィッシュアイと呼ばれ、混練時間を
長くしても消失しない場合が多い。これまでに開示され
ている方法は、このような観点からフィッシュアイを改
善するという内容のものが多いが、本発明は、このよう
なスケールやコンタミ成分を解消することを目的とした
ものではなく、重合生成物そのものをフィッシュアイに
なり難い構造とすることを狙ったものである。
【0005】軟質向け樹脂に対するこれらの要求特性す
なわち可塑剤の吸収能力及びフィッシュアイについて簡
単に整理すると、1)より低温かつ短時間で樹脂に可塑
剤が吸収され、ドライアップ状態となること、2)ロー
ル等による混練時、より短時間でフィッシュアイ状物が
消失し、均一な製品表面が得られること、と言うことが
できる。このような要求特性を改良するために当業者の
間では様々な工夫がなされてきており、これまでに開示
された技術にも数多く見ることができる。例えば、特開
平8−3206号公報には、低重合度かつ低鹸化度の部
分鹸化ポリ酢酸ビニルと特定のヒドロキシプロポキシメ
チルセルロースを併用する方法、特開平7−17950
7号公報には、低重合度、低鹸化度のPVAを用いて重
合を開始し、ある程度重合反応が進んでから比較的高鹸
化度、高重合度のPVAを添加する方法、特開平8−1
20007号公報には、比較的高鹸化度のPVAと特定
の界面活性剤及び特定の高級脂肪酸を併用する方法、等
が挙げられている。
【0006】これらに共通する技術思想を推測すると、
低ケン化度PVAやHPMC、特定の界面活性剤による
界面活性作用により水中での単量体油滴の分散性を高
め、特に初期単量体油滴の合一及び再分散頻度を高める
ことにポイントがあると思われる。このように初期単量
体油滴の合一/再分散頻度を高めることによってPVC
最終粒子内部の多孔性が上がり、さらに単量体油滴間で
の油溶性開始剤濃度のばらつきとともにPVC最終粒子
間のばらつきも減少し、可塑剤を吸収し易く、かつ溶融
し易い構造となることが知られている。
【0007】他方、先にも述べたように塩化ビニル系樹
脂は汎用樹脂であり、当業者にとってその製造コスト競
争力は品質以上に重要な課題であると言っても過言では
なく、当業者間では重合機単位容量、単位期間あたりの
出来高、一般には重合機1m 3、1ヵ月あたりの出来高
t/m3・Mを重合生産性と呼び、この重合生産性アッ
プが永遠の課題と言って良い状況にある。
【0008】バッチ方式で製造されるPVCの製造コス
トを下げるための方策としては、1バッチあたりの単量
体仕込み量をできるだけ増やす、開始剤を増量して重合
時間を短縮する、他種々挙げられる。これらの方法はそ
れぞれ、収量を多くする、直接的な重合時間を減らす、
ことによるものである。一方、水中に単量体を油滴とし
て分散安定化してから重合を行なう懸濁重合においては
その油滴の分散安定化が非常に重要であり、単量体の水
に対する割合が増えれば当然不安定な方向となる。また
開始剤を増量すると、重合初期の不安定な状態下であま
りにも速く重合が進行することになる。従ってこれら2
法にも自ずと限界がある。
【0009】他方、PVCの製造に関わる時間としては
前述の直接重合時間以外にも、重合機の洗浄に要する時
間、主副原料の仕込みに要する時間、所定重合温度まで
昇温するのに要する時間、未反応単量体を除去するのに
要する時間、等が挙げられ、これらの合計時間がいわゆ
るサイクル時間と呼ばれるものである。そこでこのサイ
クル時間のうち、直接重合時間以外、言わば重合外時間
の短縮も非常に重要であり、特に全サイクル時間が短縮
される傾向にある昨今の状況下では、例えば昇温時間を
分単位で短縮するだけで生産性に大きく影響する。
【0010】従来PVCの製造は、重合機に仕込んだ水
に塩化ビニル系単量体を仕込み、昇温して重合を開始す
る方法が主流であった。この方法では単量体の仕込み開
始直後から、単量体油滴が水中に分散され、重合の安定
化と言う面では優れていたが、主副原料仕込み終了後の
内温はせいぜい大気温と同程度であり、所定重合温度ま
で昇温するのに非常に時間がかかるという欠点があっ
た。
【0011】そこでこのような昇温時間を短縮する目的
で、塩化ビニル系単量体を先に仕込み、続いて脱気され
た温水を仕込むことにより昇温時間を短縮して生産性を
上げる方法(以下温水後仕込み法と記す)が提案されて
いる。この方法では、仕込む温水の温度によって温水仕
込み終了時点の内温をある程度調節することが可能とな
り、究極的には仕込み終了時点での内温を所定重合温度
付近にすることによって実質的に昇温時間をなくするこ
とも可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら一般にこ
の仕込み方法では重合が不安定となり易いことが知られ
ており、発明者らの検討でも重合安定性は必ずしも満足
できるものではなかった。以上のように、重合生産性と
重合安定性は相反する作用を示す傾向にあり、特に温水
後仕込みによる高生産性を狙う場合の重合安定性の確保
は大きな技術課題であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らはこのような実
状に鑑み上記課題を克服するために鋭意検討を重ねた結
果、攪拌所要動力の制御や分散剤の仕込み時期を工夫す
ることで高生産性を目的とした温水後仕込み法における
重合を安定化し得る方法をみいだし、本発明を完成する
に到った。
【0014】すなわち本発明は、塩化ビニル系単量体を
水性媒体中で、油溶性開始剤、分散剤を用いて懸濁重合
させるに際し、(1)塩化ビニル系単量体を予め重合機
に仕込み、(2)次いで脱気後予め40〜80℃に調節
された温水を仕込む工程からなる塩化ビニル系重合体の
製造方法であって、工程(2)で仕込む所定温水量のう
ち少なくとも60重量%を仕込み終えるまでの間、重合
機内容量1m3あたりの攪拌所要動力を0.1kW/m3
以上0.3kW/m3未満に調節し、その後、所定温水
量の全量を仕込み終えるまでの間、攪拌所要動力を0.
8kW/m3以上1.5kW/m3未満となるよう調節す
ることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を内
容とする。
【0015】なお、本発明で言う塩化ビニル系単量体と
は、塩化ビニル単量体または塩化ビニルと共重合可能な
単量体と塩化ビニル単量体の混合物を意味する。また、
本発明で言うところの分散剤とは、水溶性高分子懸濁分
散安定剤を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。攪拌所要動力の制御は攪拌回転数の変更によるの
が一般的かつ現実的であり、本発明における攪拌所要動
力制御もこの方法により行なった。
【0017】本発明では脱気後予め40〜80℃に調節
された温水を用いる。この温度が40℃未満であると、
仕込み終了時点での内容液温度が低いために所定重合温
度まで昇温するのに時間がかかり、生産性向上効果が低
い。またこの温度が80℃を越えると、初期重合速度が
あまりにも速すぎて不安定となる。
【0018】次に本発明では、工程(2)の開始から仕
込む所定温水量のうち少なくとも60重量%を仕込み終
えるまでの間、重合機内容量1m3あたりの攪拌所要動
力を0.1kW/m3以上0.3kW/m3未満に調節
し、その後、所定温水量の全量を仕込み終えるまでの
間、攪拌所要動力を0.8kW/m3以上1.5kW/
3未満となるように調節する。この前段階での攪拌所
要動力が0.1kW/m3未満であると攪拌による分散
が弱く、初期の合一/再分散頻度が低くなるため、生成
PVCの粒子間ばらつきが生じ易くなる。逆に攪拌所要
動力が0.3kW/m 3を越えると攪拌による分散が強
すぎて粒度分布が広くなったり、重合が不安定になる。
また、後段階での攪拌所要動力が0.8kW/m3未満
であると生成した初期PVC粒子が凝集し易く、逆に
1.5kW/m3を越えると生成PVC粒子の粒度分布
が著しく広くなって微粉が増加したり、缶壁スケールが
多く発生する上に消費電力の面からも不経済である。
【0019】次に本発明では、仕込み温水量が所定温水
量の60重量%を越え、全量を仕込み終えるまでの間に
攪拌所要動力を変化させる。所定温水量の60重量%未
満で所要動力を変化させると重合が不安定になり、ま
た、全量を仕込み終えた後に所要動力を変化させると粒
径が過大となったり、粒度分布が広くなったりする傾向
にある。
【0020】本発明における分散剤は、部分ケン化ポリ
酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸、酢酸ビニルーマレイ
ン酸共重合体、スチレンーマレイン酸共重合体、ゼラチ
ン、デンプン、ポリエチレンオキサイド等、公知のもの
を一種あるいは二種以上組み合わせて用いることができ
る。この内、可塑剤の吸収能力向上及びフィッシュアイ
低減効果が著しいという点で、(a)鹸化度が70〜8
5%、平均重合度が1500〜2500である部分鹸化
ポリ酢酸ビニル、(b)鹸化度が33〜70%、平均重
合度が200〜1000である部分鹸化ポリ酢酸ビニ
ル、(c)2重量%水溶液の20℃における粘度が20
〜20000mPa・secであるヒドロキシプロポキ
シメチルセルロース、及び(d)平均分子量が400〜
500万であるポリエチレンオキサイドを組み合わせて
使用するのが好ましい。また、これら分散剤の使用量と
しては、(a)0.02〜0.15重量部、(b)0.
008〜0.08重量部、(c)0.001〜0.05
重量部、(d)0.001〜0.05重量部が好まし
い。
【0021】さらに本発明における分散剤仕込みタイミ
ングは任意に設定することができ、例えば塩化ビニル系
単量体の仕込み前に全量を仕込む方法、塩化ビニル系単
量体の仕込みが終了し温水を仕込む直前に全量を仕込む
方法、あるいは温水仕込み途中に並行して全量仕込む方
法等が適用できる。これは、本発明の重要構成要件であ
る攪拌所要動力の制御により、分散剤をどのタイミング
で仕込んでも重合安定性を確保できることによるが、
(a)鹸化度が70〜85%、平均重合度が1500〜
2500である部分鹸化ポリ酢酸ビニル、及び(b)平
均分子量が400〜500万であるポリエチレンオキサ
イドを工程(2)の途中に仕込み、次いで(b)鹸化度
が33〜70%、平均重合度が200〜1000である
部分鹸化ポリ酢酸ビニル、及び(c)2重量%水溶液の
20℃における粘度が20〜20000mPa・sec
であるヒドロキシプロポキシメチルセルロースを工程
(2)終了後に仕込むことにより、高生産性を維持しつ
つ目的とする品質改善、すなわち可塑剤の吸収能力向上
及びフィッシュアイ低減に対してより一層著しい改良効
果が発揮される。
【0022】部分鹸化ポリ酢酸ビニル(a)及びポリエ
チレンオキサイド(d)を工程(2)の途中に仕込む場
合には、温水と並行して任意のタイミングで仕込むこと
が可能である。また、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(b)及
びヒドロキシプロポキシメチルセルロース(c)を工程
(2)の終了後に仕込む場合も、これら分散剤は任意の
タイミングで仕込むことが可能で、例えば温水仕込み終
了直後に仕込む方法、工程(2)終了後昇温途中に仕込
む方法、昇温を終了し所定重合温度に達してから仕込む
方法等を適用できる。ただし、ここで仕込む部分鹸化ポ
リ酢酸ビニル(b)及びヒドロキシプロポキシメチルセ
ルロース(c)は共に分散性が比較的強く、塩化ビニル
系単量体に対する溶解度も比較的高いため、生成するP
VC粒子内部の多孔性を高めるためには所定重合温度に
達した後、遅くとも重合転化率が1%に達するまでには
仕込むことが望ましい。
【0023】本発明における撹拌操作は工程(2)の開
始とほぼ同時に開始する。攪拌翼は、タービン翼、傾斜
パドル翼、ブルーマージン翼、ファウドラー翼等任意の
形状のものを用いることができる。
【0024】本発明における重合反応熱の除去方法は、
従来の除熱方式例えばジャケットによる除熱、還流凝縮
器による除熱、内部ジャケットによる除熱等を利用すれ
ば良い。
【0025】また、本発明における重合開始剤は従来公
知のものを使用すれば良いが、これらの開始剤のうち1
0時間半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種
以上使用するのが好ましい。このような重合開始剤とし
ては、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサ
イド、2,4,4トリメチルペンチル−2−パーオキシ
ネオデカノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシ
ジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等
の有機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビス−2,4,−ジメチルバレロニトリル等の
アゾ系開始剤を使用でき、これらは単独または2種以上
組み合わせて用いることができる。さらにこれら開始剤
は仕込み工程の任意のタイミングで仕込むことが可能で
ある。
【0026】次に本発明に使用する単量体は塩化ビニル
を主成分とする単量体であり、具体的には、塩化ビニル
単量体単独、又は塩化ビニルを70重量%以上含有し、
塩化ビニルと共重合可能な単量体との混合物である。塩
化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチ
レン、プロピレン、イソブチルビニルエーテル等のα−
オレフィン類、1−クロロプロピレン、2−クロロブチ
レン等のクロル化オレフィン類、(メタ)アクリル酸メ
チル等の(メタ)アクリル酸エステル類、無水マレイン
酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が
挙げられ、これらは単独で用いることも、2種以上組み
合わせて用いることも可能である。
【0027】さらに従来塩化ビニル系単量体の重合又は
共重合に使用される重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調
節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、
スケール防止剤等やこれらの仕込方法も公知の技術をな
んら支障なく任意に用いることができ、その使用量も従
来公知の方法に従うことができる。
【0028】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例および比較例を示す。なお、以下の実施例で
は特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は重
量%を表す。また以下の実施例では部分鹸化ポリ酢酸ビ
ニル、ヒドロキシプロポキシメチルセルロース、ポリエ
チレンオキサイド、をそれぞれPVA、HPMC、PE
O、と略記する。また本実施例の水は全てイオン交換水
を用いた。
【0029】以下の実施例、比較例で得られた塩化ビニ
ル系樹脂の特性値は次の方法により測定し、その結果に
ついて、実施例は表1に、比較例は表2にまとめて示し
た。 (1)平均粒子径、粒度分布 JIS K−6721に準拠し、42、60、80、1
00、120、145、200メッシュの篩を使用し、
篩振とう器にて篩分けを行い、50%通過径をもって平
均粒子径(μm)とした。また粒度分布は、各メッシュ
に残留した塩化ビニル系樹脂の重量を測定し、重量百分
率にて表示した。このうち42メッシュ上に残留した樹
脂の量は百分率に含めず粗粒分とし、200メッシュを
通過した量はPASS分とした。 (2)多孔度 米国AMINCO社製の水銀圧入式ポロシメーター(5−71
18型)を用いて、絶対圧31〜1011psi(ポア
口径0.175〜5.65μm)の間で塩化ビニル系樹
脂に圧入される水銀の容量を測定し、塩化ビニル系樹脂
100gあたりの圧入水銀量(cc)を算出した。 (3)可塑剤吸収性 容積20Lのスーパーミキサーに塩化ビニル系樹脂20
00gと炭酸カルシウム500gを同時に投入し、内温
30℃、1000rpmで1分間攪拌混合した後、直ち
にアジピン酸系ポリエステル可塑剤1400gを1分間
かけて投入した。これら一連の操作の間、ミキサーの攪
拌トルク変化を攪拌機の電流値変化で検出するととも
に、内温変化を検出した。可塑剤投入後一旦攪拌トルク
が上昇し、可塑剤が樹脂に吸収されるに従って攪拌トル
クが低下して一定となった時点をドライアップ点と判断
した。可塑剤投入を開始した時点からこのドライアップ
点までの時間を可塑剤吸収時間(分)、またドライアッ
プ点での内温をドライアップ温度(℃)とした。 (4)フィッシュアイ 塩化ビニル系樹脂100部にアジピン酸系ポリエステル
可塑剤60部、三塩基性硫酸鉛系安定剤3部、ステアリ
ン酸0.5部、及びカーボンブラック0.1部を添加し
十分撹拌混合した後、表面温度を150℃に調節した8
インチロールに投入混練し、4分、6分、8分で厚み約
0.3mmのロールシートを切り出した。採取したロー
ルシート表面の面積25cm2中に観察される透明粒子
の数を計数して示した。 (実施例1)撹拌機を付設した内容積2000Lのステ
ンレス製重合器内に、鹸化度が74%、平均重合度が2
000であるPVA(これをPVA1という)の3%水
溶液8.25kg、鹸化度が56%、平均重合度が30
0であるPVA(これをPVA2という)0.165k
g、メトキシル基含量が28モル%、ヒドロキシプロポ
キシル基含量が6モル%、2%水溶液の20℃における
粘度が56mPa・sであるHPMCの2%水溶液2.
75kg、平均分子量が450万であるPEOの0.5
%水溶液4.4kgを水とともに仕込んだ。さらにジ−
2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを濃度7
0%で溶解したイソパラフィン溶液0.393kgを仕
込んだ。
【0030】重合器を密閉した後、内部を真空ポンプで
脱気し、次いで塩化ビニル単量体550kgを仕込ん
だ。その後、塩化ビニル単量体の仕込み開始と同時に攪
拌機を稼働し、撹拌所要動力が0.14kW/m3とな
るように回転数を調節した。
【0031】塩化ビニル単量体の仕込みが終了した後、
予め真空ポンプで脱気後60℃に温度調節した温水を、
水の総仕込み量が743kgとなるように仕込んだ。温
水の仕込み途中、温水の仕込み量が所定量の60%に達
した時点で撹拌所要動力が1.1kW/m3となるよう
に回転数を調節した。温水仕込み終了後、直ちに外部ジ
ャケットにより重合器内温を51.5℃に昇温して内温
をこの温度に維持し、重合器内圧が定常圧より1.5k
g/cm2低下した時点で重合を停止し、未反応単量体
を回収して重合を終了した。得られたスラリーを脱水、
乾燥して塩化ビニル重合体を得、各種特性値の測定に供
した。 (実施例2)実施例1と同じ重合器内に、ジ−2−エチ
ルヘキシルパーオキシジカーボネートを濃度70%で溶
解したイソパラフィン溶液0.393kgを仕込んで重
合器を密閉した後、内部を真空ポンプで脱気した。次い
で塩化ビニル単量体550kgを仕込むと同時にブルー
マージン翼を取り付けた撹拌機を稼働し、撹拌所要動力
が0.14kW/m3となるように回転数を調節した。
塩化ビニル単量体の仕込みが終了した後、予め真空ポン
プで脱気後60℃に温度調節した温水を仕込み始め、こ
れとほぼ同時に実施例1と同量のPVA1水溶液及びP
EO水溶液を順に仕込んだ。温水の仕込み量が所定量の
60%に達した時点で撹拌所要動力が1.1kW/m3
となるように回転数を調節した。
【0032】次いで温水の仕込みが終了した後、直ちに
予め混合しておいた実施例1と同量のPVA2及びHP
MCを順に仕込んだ。一連の操作で、水の総仕込み量は
743kgとなるよう調節した。以下実施例1と同様
に、外部ジャケットにより重合器内温を51.5℃に昇
温して内温をこの温度に維持し、重合器内圧が定常圧よ
り1.5kg/cm2低下した時点で重合を停止し、未
反応単量体を回収して重合を終了した。得られたスラリ
ーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得、各種特性値
の測定に供した。 (比較例1)塩化ビニル単量体の仕込み開始とほぼ同時
に攪拌所要動力1.1kW/m3で攪拌を開始し、以下
この攪拌所要動力を変化させることなく実施した以外は
実施例1と同じ方法で重合を開始したが、内温が51.
5℃に達してから110分経過した時点で内温が上昇
し、さらに制御が困難となったため重合を中止した。 (比較例2)温水の仕込み量が所定量の60%に達した
時点で撹拌所要動力を0.70kW/m3となるように
回転数を調節した以外は実施例1と同じ方法で塩化ビニ
ル重合体を得、各種特性値の測定に供した。 (実施例3)予め混合しておいたPVA2及びHPMC
を、昇温後内温が51.5℃に達した時点で仕込んだ以
外は実施例2と同じ方法で塩化ビニル重合体を得、各種
特性値の測定に供した。 (比較例3)温水の仕込み量が所定量の60%に達する
までの撹拌所要動力を0.07kW/m3となるように
回転数を調節した以外は実施例1と同じ方法で塩化ビニ
ル重合体を得、各種特性値の測定に供した。 (比較例4)温水の仕込み量が所定量の40%に達した
時点で撹拌所要動力が1.1kW/m3となるように回
転数を調節した以外は実施例1と同じ方法で重合を開始
したが、内温が51.5℃に達してから100分経過し
た時点で内温が上昇し、さらに制御が困難となったため
重合を中止した。 (比較例5)塩化ビニル単量体の仕込みが終了した後、
予め真空ポンプで脱気後35℃に温度調節した温水を用
いる以外は実施例1と同じ方法で塩化ビニル重合体を
得、各種特性値の測定に供した。 (比較例6)塩化ビニル単量体の仕込みが終了した後、
予め真空ポンプで脱気後90℃に温度調節した温水を用
いる以外は実施例1と同じ方法で重合を開始したが、内
温が51.5℃に達してから80分経過した時点で内温
が上昇し、さらに制御が困難となったため重合を中止し
た。
【0033】表1、表2より、本発明の実施例ではいず
れも昇温時間を短縮した上でもなお可塑剤の吸収性に優
れ、かつポリエステル配合でのフィッシュアイも少ない
ことがわかる。
【0034】
【発明の効果】このように本発明の方法で得られる塩化
ビニル系樹脂は可塑剤の吸収能力に優れかつフィッシュ
アイが少ないため、特に軟質用途向けとして好適に使用
することができ、従ってその工業的価値はすこぶる大き
いものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 JA06 JA07 JA08 JA10 JB02 JB04 JB06 JB09 JB26 4J100 AA02Q AA03Q AB02Q AC02Q AC03P AC04Q AE06Q AG02Q AG04Q AK32Q AL03Q AM02Q CA01 CA04 FA02 FA03 FA21 FA30 FA35 FA41 FA47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で、油
    溶性開始剤、分散剤を用いて懸濁重合させるに際し、
    (1)塩化ビニル系単量体を予め重合機に仕込み、
    (2)次いで脱気後予め40〜80℃に調節された温水
    を仕込む工程からなる塩化ビニル系重合体の製造方法で
    あって、工程(2)で仕込む所定温水量のうち少なくと
    も60重量%を仕込み終えるまでの間、重合機内容量1
    3あたりの攪拌所要動力を0.1kW/m3以上0.3
    kW/m3未満に調節し、その後、所定温水量の全量を
    仕込み終えるまでの間、攪拌所要動力を0.8kW/m
    3以上1.5kW/m3未満となるよう調節することを特
    徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記分散剤として、(a)鹸化度が70
    〜85%、平均重合度が1500〜2500である部分
    鹸化ポリ酢酸ビニル、(b)鹸化度が33〜70%、平
    均重合度が200〜1000である部分鹸化ポリ酢酸ビ
    ニル、(c)2重量%水溶液の20℃における粘度が2
    0〜20000mPa・secであるヒドロキシプロポ
    キシメチルセルロース、(d)平均分子量が400〜5
    00万であるポリエチレンオキサイドの少なくとも4種
    を用いることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系
    重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記分散剤(a)鹸化度が70〜85
    %、平均重合度が1500〜2500である部分鹸化ポ
    リ酢酸ビニル、及び(d)平均分子量が400〜500
    万であるポリエチレンオキサイドを前記工程(2)の途
    中に仕込み、次いで前記分散剤(b)鹸化度が33〜7
    0%、平均重合度が200〜1000である部分鹸化ポ
    リ酢酸ビニル、及び(c)2重量%水溶液の20℃にお
    ける粘度が20〜20000mPa・secであるヒド
    ロキシプロポキシメチルセルロースを前記工程(2)終
    了後に仕込むことを特徴とする請求項2記載の塩化ビニ
    ル系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記分散剤として、(a)鹸化度が70
    〜85%、平均重合度が1500〜2500である部分
    鹸化ポリ酢酸ビニル0.02〜0.15重量部、(b)
    鹸化度が33〜70%、平均重合度が200〜1000
    である部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.008〜0.08重
    量部、(c)2重量%水溶液の20℃における粘度が2
    0〜20000mPa・secであるヒドロキシプロポ
    キシメチルセルロース0.001〜0.05重量部、
    (d)平均分子量が400〜500万であるポリエチレ
    ンオキサイド0.001〜0.05重量部、を用いるこ
    とを特徴とする請求項2または3記載の塩化ビニル系重
    合体の製造方法。
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