JPH055007A - 塩化ビニル重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル重合体の製造方法

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JPH055007A
JPH055007A JP3868891A JP3868891A JPH055007A JP H055007 A JPH055007 A JP H055007A JP 3868891 A JP3868891 A JP 3868891A JP 3868891 A JP3868891 A JP 3868891A JP H055007 A JPH055007 A JP H055007A
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Tamio Yamato
多実男 大和
Yasumichi Ishii
靖道 石井
Masahisa Okawa
正久 大川
Isao Ouchi
勲 大内
Hideki Wakamori
秀樹 若森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、内容積40m3以上の大型重合器を使
用して、粗大粒子、フィッシュアイ、嵩比重、熱安定性
などの問題がない高品質の塩化ビニル樹脂を、高能率で
製造する方法を提供することを目的とした。 【構成】攪拌機、加熱・冷却用ジャケットおよび還流凝
縮器を装着した内容積40m3以上の大型重合器を用いて
塩化ビニルを水媒体中で懸濁重合するにあたり、重合開
始剤として10時間半減期温度が34〜50℃のパーエ
ステル開始剤を全開始剤量の50重量%以上使用し、且
つ重合器の内容液1m3当たりの正味攪拌動力を1.0〜
3.0kW/m3の範囲に制御して、重合時間を6時間以内
の範囲として重合完結させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた品質を有する塩
化ビニル重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、還
流凝縮器を装着した大型重合器を用いて高品質の塩化ビ
ニル重合体を高能率で製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は優れた物理的、機械的
性質を有する有用な樹脂であり、工業的には加熱・冷却
のためのジャケット、攪拌装置を備えたバッチ式重合器
を用い、一般に水媒体中での懸濁重合法により製造され
る。硬質、軟質製品などの多分野にわたり好適に使用で
きるよう樹脂の高品質化を計るとともに、最近では急増
する需要に対処するために種々の製造方法の改善が取り
入れられ、生産性の向上が計られている。
【0003】塩化ビニル樹脂を製造するに際して生産性
を向上させるためには、重合器の重合反応熱の除熱能力
を高め、除熱能力の限界まで重合速度を大きくすること
によって短時間に重合を完結させること、および重合器
を大型化し1バッチ当たりの生産量を大きくすることが
重要である。
【0004】重合時間を短縮する高速重合法に関して
は、例えば重合開始剤に高活性の開始剤を使用する方法
(特開昭53−73280号)、活性の異なる開始剤の
組合せにより重合速度の均一化を図る方法(特開平1−
31810号)など、種々の重合方法が提案されてい
る。しかしこれらのいずれの方法にも、得られる樹脂の
熱安定性や色相を低下させるばかりでなく、重合中の粒
子形成が不安定となるため、結果的に粒子の粗大化或い
はフィッシュアイの増加をもたらし、商品価値がある製
品を得ることができない問題があった。
【0005】また重合開始剤として、高活性で且つ得ら
れる樹脂の色相が良好な開始剤であるターシャリオクチ
ルパーオキシネオデカノエートを使用する方法(特開昭
58−120613号)が提案されているが、この方法
によれば確かに樹脂の色相は良好となるが、粒子が粗大
化するとともにフィッシュアイが増加するという欠点が
あり、高速重合法に適用しても塩化ビニル樹脂の品質を
必ずしも高品質にできるものではなく、満足できるもの
ではなかった。
【0006】一方重合器の大型化は、重合器の単位容積
当たりのジャケット面積を相対的に小さくして除熱能力
を減少させるため、重合器の材質を熱伝導性の良い材質
にする方法(特公昭58−8405号)や、ジャケット
の冷却水流の流速を上げあるいはバッフルの流路を改善
する方法(特開昭58−160241号)等の工夫によ
り、ある程度の除熱能力の向上は可能であるが、その効
果は僅かである。
【0007】また、予め冷却した低温の冷却水をジャケ
ットに通水することにより、重合器の除熱能力を向上さ
せることも可能であるが、冷却設備のランニングコスト
がかかり経済的ではない。このため、40m3以上の大型
重合器に還流凝縮器を付加し、重合時間が5時間以内の
高速重合を実施する方法(特公平1−18082号)が
提案されている。この方法によれば、重合の中期以降、
特に重合器内圧が降下しはじめる直前での除熱割合が大
きいため、著しい発泡現象が生じて凝縮器への重合体の
付着、堆積による凝縮器の閉塞などの操業上の問題、あ
るいは発泡した懸濁液に含まれる重合体粒子による汚染
で製品のフィッシュアイの増加などの品質上の問題があ
る。
【0008】また、還流凝縮器への発泡懸濁液の溢流を
防止する重合開始剤を使用する(特公昭62−1605
号)方法が提案されているが、この方法によれば重合体
粒子が形成される重合初期に重合が急激に進行すること
により懸濁安定性が損われ、結果的に製品粒子の粗大
化,フィッシュアイの増加、またはかさ比重の低下など
の品質上の問題がある。
【0009】かかる問題点を解決するため、重合処方、
装置及び運転方法に関して種々の方法が提案されてい
る。例えば重合処方に関するものとして、ノニオン界面
活性剤を選択して添加することにより発泡及びフィッシ
ュアイの増加を抑制する(特開昭61−207410
号)、懸濁剤を選択してカサ比重が大きくゲル化の早い
樹脂を得る(特開平1−268702号)、水を添加し
ながら重合してカサ比重が大きくフィッシュアイが少な
い樹脂を得る(特開昭61−111307号)等が挙げ
られる。
【0010】また装置及び運転方法に関するものとし
て、凝縮器の負荷のかけかたの工夫により発泡を抑制
し、品質への悪影響を低減する(特開昭57−1460
8号)、重合器内の気相部に泡切り羽根を設けて機械的
に破泡する(特開昭58−49710号)等多岐にわた
って提案されているが、未だ完全なものはなく、凝縮器
を用いない場合に比較し品質上、操業上劣っているのが
現状である。
【0011】すなわち、40m3以上の大型重合器の除熱
能力を向上させるための還流凝縮器を付加し、重合時間
が6時間以内の高速重合を実施するに際しては、単に重
合開始剤の選択や増量により重合速度を速めたとしても
前記した操作上、品質上の問題があり、満足できる品質
の重合体を得ることはできず、技術的に未確立であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは前記欠点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の活性を有す
る特定構造の重合開始剤を特定の割合で用い、且つ重合
器の内容液の攪拌動力を特定の範囲に制御し、還流凝縮
器を付加して除熱能力を向上させた大型の重合用装置を
用いて高速重合することにより、高品質の塩化ビニル樹
脂を高能率で製造できることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0013】即ち本発明の目的は、内容積40m3以上と
いう大型の重合器を使用して、粗大粒子、フィッシュア
イ、嵩比重、熱安定性などの点で品質上の問題がない塩
化ビニル樹脂を、高能率で製造する方法を提供するにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、攪拌機、加熱・冷却用ジャケットおよび還流凝縮器
を装着した内容積40m3以上の大型重合器を用いて塩化
ビニルを分散剤、界面活性剤などの懸濁助剤の存在下に
水媒体中で重合させるに際して、重合開始剤として10
時間半減期温度が34〜50℃の一種または二種以上の
パーエステル開始剤を重合に使用する全開始剤量の50
重量%以上使用し、且つ重合器の内容液1m3当たりの正
味攪拌動力を1.0〜3.0kW/m3の範囲に制御して、
重合時間を6時間以内の範囲として重合完結させる塩化
ビニル重合体の製造方法が提供される。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいては重合器の外部に還流凝縮器を装着した内容積4
0m3以上の重合器が用いられる。内容積が40m3以下の
重合器であれば内容積当りのジャケットの伝熱面積が大
きいため、還流凝縮器は必ずしも必要としない。しかし
この場合、1バッチ当たりの生産量が少ないため多数の
重合器を必要とし経済的でない。
【0016】本発明において用いられる還流凝縮器は重
合器の気相部に導管で接続したものである。所望の重合
速度に対応した除熱能力を有しておれば良く、その構造
に特に制限はない。一般的には多管式の還流凝縮器が用
いられる。
【0017】本発明において、特開昭57−14750
2に記載された加熱・冷却のためのジャケットを重合器
本体の内面に内包化して、伝熱性能を向上させた内部ジ
ャケット式重合器を使用することにより、より有利に本
発明を実施することができる。即ち通常の外部ジャケッ
ト重合器より除熱能力が大きいため、より短時間で重合
を完結させることが可能となるし、また還流凝縮器の負
荷を低減することも可能になる。
【0018】本発明を実施するに当たっては、予め脱気
した重合器に塩化ビニル単量体、水媒体、分散剤、界面
活性剤などの懸濁助剤および重合開始剤を仕込むが、本
発明における重合開始剤は10時間半減期温度が34〜
50℃、好ましくは36〜48℃の範囲であるパーエス
テル構造を有する開始剤でなければならず、その一種ま
たは二種以上を、重合に使用する全開始剤量の50重量
%以上、好ましくは65重量%以上使用することが必須
である。ここで、10時間半減期温度とは、ベンゼン溶
媒中で0.1モル濃度の開始剤が分解し、その濃度が初
期濃度の半分に減ずるのに10時間を要するときの温度
であり、開始剤の分解速度の大きさすなわち活性を表す
指標である。
【0019】10時間半減期温度が34℃未満である場
合には、重合初期に反応が急激に進行するとともに還流
凝縮器の除熱割合が大きくなることより還流攪乱が激し
く、粒子の懸濁安定性が損なわれ、結果的に得られる塩
化ビニル重合体が粗大粒子化したり、粒子形状が不規則
になりフィッシュアイの増加またはかさ比重の低下を招
く。また、10時間半減期温度が50℃を越える場合に
は、重合末期に反応が急激に進行するため、還流凝縮器
の除熱割合が大きくなり、結果的に著しい発泡現象によ
る凝縮器への重合体付着あるいは発泡した懸濁液に含ま
れる重合体粒子による汚染により、製品フィッシュアイ
の増加を招く。
【0020】また、前記範囲のパーエステル開始剤の使
用量が重合に使用する全開始剤量の50重量%に満たな
い場合は、得られる塩化ビニル樹脂の熱安定性及び色相
の低下、あるいは重合末期の著しい発泡現象、重合初期
の還流攪乱による重合体の品質の低下など同様な不都合
があり、本発明の目的を達成できない。
【0021】本発明において用いる前記のパーエステル
構造を有する重合開始剤としては、2,4,4−トリメ
チルペンチルパーオキシ−2−ネオデカノエート、ター
シャリブチルパーオキシネオデカノエート、(α,α−
ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベン
ゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ターシャリ
−ヘキシルパーオキシネオデカノエート等が一般に挙げ
られるが、これらに限定されない。また重合に使用する
全開始剤の50重量%未満で本発明のパーエステル開始
剤と混合して使用できる他の開始剤としては、ジ−2−
エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−(2−
エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等のパーオ
キシジカーボネート系の開始剤、3,5,5,−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキ
サイド系の開始剤、α,α−アゾビス−2,4−ジメチ
ルバレロニトリル等のアゾ化合物系の開始剤等が一般に
挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
【0022】本発明の塩化ビニル重合体の製造方法の実
施にあたっては、前記した特定の活性を有する特定の構
造の重合開始剤を特定の割合で用い、且つ重合器内容液
の攪拌動力を特定範囲内に制御することによりはじめて
効果を発揮するものであり、重合器の内容液1m3当たり
の正味攪拌動力を1.0〜3.0kW/m3、好ましくは
1.2〜2.5kW/m3、さらに好ましくは1.5〜2.
0kW/m3として重合を行う。
【0023】正味撹拌動力が1.0kW/m3未満である
と、塩化ビニル単量体の懸濁油滴の分散合一の頻度が少
なく生成した重合体粒子の空隙率が小さくなるとともに
その分布が広くなり、また粒子が粗大化したり、可塑剤
吸収性が悪化したり、フィッシュアイが増加するなどの
問題を生じる。また正味攪拌動力が1.0kW/m3未満の
場合、凝縮器への重合体付着が生ずる。これは特に重合
の中期以降において、重合体粒子が重合懸濁液上部にク
リーム層となって浮き上がる発泡現象がより顕著となる
ためと考えられる。
【0024】一方、3.0kW/m3を越えると油滴の合一
の頻度が多くなりすぎ、油滴や重合体粒子同士の衝突に
よる凝集が生じ易く粗粒化したり、あるいはその他の重
合条件によっては分散が進行し過ぎることによって粒度
が細かくなり、かさ比重が低下するなどの問題を生じ
る。また、攪拌動力が大きいため気泡の巻き込みが激し
く、重合器内での発泡現象が増大し凝縮器への重合体の
付着が生ずることにより、本発明の目的を達成できな
い。
【0025】重合器の攪拌動力を制御する方法として
は、例えば「化学工学協会編:化学工学便覧、改訂三
版、1065〜1115頁、昭和43年、丸善株式会
社」に詳細に記載されているように、各種形状の攪拌装
置についての攪拌系のレイノルズ数Reと動力数Npの
関係を表す実験式や線図を利用するか、またはある一定
の攪拌条件下での動力を実測することにより装置定数と
してのNpを実験的に求め、攪拌翼の回転数を変更する
ことによって動力を任意に調節することができる。
【0026】すなわち重合器の内容物の密度をρ(kg/
m3)、粘性係数をμ(kg/m ・sec)、攪拌翼の回転数を
n(1/sec)、)翼長をd(m) 、動力換算係数をgc (k
g・m /Kg・sec2)、減速機構部や軸封部での損失を含
まない正味の攪拌動力をP(Kg/m ・sec)とすれば、R
eおよびNpはそれぞれ Re=ρnd2 /μ Np=P・gc /ρn3 5 で定義されるものであり、公知文献または実験からNp
を求めることができる。
【0027】塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で一般
的に採用されている大型重合器の攪拌装置のNpの値は
およそ0.2〜2の範囲である。重合器内の液量をV
(m3)とすれば重合器の単位容積あたりの正味攪拌動力
Pv(kW/m3)は次式で表される。 Pv=Np・ρn3 5 /102・V・gc したがって、特定の攪拌装置を用いて正味攪拌動力を調
整する場合には、動力は攪拌翼の回転数の3乗に比例す
るので、回転数により動力を制御する方法が容易であ
る。攪拌回転数は重合期間中一定でも良いし、また途中
で変更しても良いが、正味攪拌動力が1.0〜3.0kW
/m3を満足する範囲内でなければならない。
【0028】本発明において使用される攪拌装置の攪拌
翼としてはファウドラー翼、ブルマージン翼、タービン
翼、ファンタービン翼、パドル翼等があるが、ファウド
ラー翼においてより好適に実施することができる。また
バッフルとしてはパイブ(棒型)バッフル、D型バッフ
ル、E型(フィンガー型)バッフルが好ましい。これら
の攪拌翼およびバッフルは塩化ビニルの重合で一般に使
用されているものでよく、例えば前記「化学工学便覧」
または「佐伯康治著:ポリマー製造プロセス、157〜
159ページ、1971年,工業調査会」などに説明さ
れている。
【0029】本発明の製造方法によれば、除熱能力を向
上させた内容積40m3以上の加熱・冷却のためのジャケ
ットを内包化した内部ジャケット式重合器を用いて前記
した高速重合を実施することにより、本発明の目的を一
層効果的に達成することができる。高速重合を実施する
に際し、重合開始剤の仕込み量は使用する開始剤の種類
および重合温度などの重合条件によっても異なるが、通
常単量体100重量部あたり0.01〜2重量部仕込む
ことにより6時間以内に重合を完結させることができ
る。
【0030】本発明において重合時間とは、仕込終了後
加熱昇温により、重合器の内温が所定の重合温度に達し
た時点から重合器内の圧力が所定の圧力まで降下し重合
反応が完結するまでの時間と定義する。一般には重合転
化率75から95%で重合禁止剤を添加したり、重合器
から未反応単量体を回収し、重合を完結させる。
【0031】本発明の塩化ビニル樹脂は塩化ビニル単独
重合体であることが好ましいが、上記製造方法が効果を
発揮する範囲で、例えば10重量%以下で塩化ビニルと
共重合可能な他のビニル単量体を含んでいても良い。塩
化ビニルと共重合可能な他のビニル単量体としては、例
えば酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アクリル
酸、アクリル酸メチル等のアクリル酸類、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸類、エチレ
ン、プロピレン等のαオレフィン類、その他スチレン等
が挙げられ、これらの一種あるいは2種以上が使用され
る。
【0032】本発明において用いられる分散剤、界面活
性剤などの懸濁助剤としては、通常塩化ビニルの懸濁重
合に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロ
ーズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピ
ルセルローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ等
の水溶性セルローズエーテル、アクリル酸重合体、ゼラ
チン等の水溶性ポリマー類、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノステアレート、グリセリントリステ
アレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブ
ロックコポリマー等の油溶性乳化剤類、ポリオキシエチ
レンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレング
リセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳
化剤類が例示され、これらの一種または二種以上の組合
せで用いられる。これらの全量が重合の最初から用いら
れてもよいし、その一部を重合の途中で添加してもよ
い。
【0033】本発明における水、塩化ビニル系単量体、
懸濁剤、開始剤、その他の助剤の仕込み方法として、通
常の懸濁重合において用いられる如何なる方法も採用す
ることができる。例えば水、懸濁剤、開始剤、塩化ビニ
ル系単量体を順次重合器に添加する方法、あるいはこれ
らを同時に連続的に仕込む方法、懸濁剤水溶液と開始剤
を溶解した塩化ビニル系単量体を順次あるいは同時に仕
込む方法の何れの方法も可能である。水と塩化ビニル系
単量体の仕込み重量比率は、一般に1/1〜1.6/1
程度で行われる。
【0034】本発明においては、必要に応じてメルカプ
トアルカノール、チオグリコール酸アルキルエステル等
の連鎖移動剤、ポリリン酸ソーダ等のpH調整剤を添加
することができる。また重合は通常、35〜70℃の温
度で行われる。
【0035】
【発明の効果】かくして本発明によれば、大型重合器を
使用して特定の攪拌強度下に特定の活性を有する開始剤
を用いることにより、初めて高品質の塩化ビニル樹脂を
高能率で製造することが可能となった。本発明の塩化ビ
ニル樹脂の製造方法が上記効果を発揮する機構は明らか
ではないが、特定の攪拌強度下に特定の活性を有する開
始剤を用いることにより、重合過程での粒子形成の挙動
に起因する何らかの作用が働き、得られた塩化ビニル樹
脂の高品質化が計られたものと推定している。しかも、
本発明の塩化ビニル樹脂製造方法で得られた塩化ビニル
樹脂は、硬質、軟質の分野にわたって好適に使用するこ
とができる。
【0036】
【実施例】以下実施例、比較例により本発明を具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
わけではない。なお実施例、比較例の中の%は特に断わ
りのない限り重量基準である。また各実施例、比較例で
示した塩化ビニル系重合体の物性値は次の方法により測
定した。
【0037】(1)フィッシュアイ ポリ塩化ビニル100部、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート60部、Ba−Zn系の安定剤2部、顔料3.5
部の混合物を135℃で7分間ロール混練し、厚み0.
35mmで5cm×10cmのシートを成形し、シート面に存
在するフィッシュアイの個数を数える。 (2)熱安定性 ポリ塩化ビニル100部、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート60部、Ba−Zn系の安定剤2部、エポキシ系
安定剤が2部の混合物を160℃で5分間ロール混練
し、成形したシートを190℃のギヤーオーブン中で加
熱し、経時的な色相の変化を観察した。熱安定性の良否
の判断として、シートが黒化しはじめる時間を次のよう
にランクづけした。
【0038】ランクA:黒化時間120分以上 ランクB: 〃 120分〜105分 ランクC: 〃 105分〜 90分 ランクD: 〃 90分以下 (3)平均粒子径 タイラーメッシュ基準の金網を使用した篩分析により、
50%通過径として示した。 (4)かさ比重 JIS K6721−1977で定める方法により測定
した。
【0039】実施例1 伝熱面積100m2の多管式還流凝縮器および翼長1.7
mのファウドラー型4枚後退翼および外径0.22mの
パイプバッフル4本を装着した直径3.2m、内容積4
5m3の内部ジャケット式ステンレス製重合器を脱気した
後、水21,450kg、鹸化度80モル%で平均重合度
2500の部分鹸化ポリ酢酸ビニルの4%水溶液250
kg、塩化ビニル単量体16,500kg、2,4,4,ト
リメチルペンチルパーオキシ−2−ネオデカノエート1
0.56kgを仕込んだ。
【0040】引続き重合開始時における正味攪拌動力P
vが1.6kW/m3となるよう回転数112rpm で攪拌し
て内温を57.0℃に昇温し重合を開始させるとともに
還流凝縮器に冷却水を通水し、負荷率を調整しながら運
転し、重合を進行させた。次いで重合器の圧力が6.0
kg/m3に達した時点で未反応単量体を回収し、内容物を
脱水乾燥した。正味攪拌動力は重合の進行とともに徐々
に増加したが、重合終了時は1.9kw/m3の値を示し
た。重合時間は3.5時間であり、転化率は87%であ
った。
【0041】実施例2〜4、比較例1〜6 実施例1における重合開始剤の2,4,4,トリメチル
ペンチルパーオキシ−2−ネオデカノエートにかえて表
1に記載した重合開始剤を用い、正味攪拌動力を表1に
記載した値とし、また重合温度を表1に記載した温度と
した以外は、全て実施例1と同一の条件で重合した。
【0042】このようにして得られた塩化ビニル重合体
の物性値は表1に示すとおりであった。表1から、本発
明の塩化ビニル重合体の製造方法によれば、高品質の塩
化ビニル樹脂を高速重合により高能率で製造できること
が明らかである。
【0043】
【表1】
フロントページの続き (72)発明者 大和 多実男 山口県徳山市晴海町1番2号 サン・アロ ー化学株式会社内 (72)発明者 石井 靖道 岡山県倉敷市児島塩生字新浜2767の1 日 本ゼオン株式会社内 (72)発明者 大川 正久 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 大内 勲 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社内 (72)発明者 若森 秀樹 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 攪拌機、加熱・冷却用ジャケットおよび
    還流凝縮器を装着した内容積40m3以上の大型重合器を
    用いて塩化ビニルを分散剤、界面活性剤などの懸濁剤の
    存在下に水媒体中で重合させるに際して、重合開始剤と
    して10時間半減期温度が34〜50℃の一種または二
    種以上のパーエステル開始剤を重合に使用する全開始剤
    の50重量%以上使用し、且つ重合器の内容液1m3当た
    りの正味攪拌動力を1.0〜3.0kW/m3の範囲に制御
    して、重合時間を6時間以内の範囲として重合完結させ
    ることを特徴とする塩化ビニル重合体の製造方法。 【請求項2】 加熱・冷却用ジャケットが内部ジャケッ
    ト方式であることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニ
    ル重合体の製造方法。 【請求項3】 攪拌機がファウドラー翼であり、且つバ
    ッフルがパイプバッフル,E型バッフルもしくはD型バ
    ッフルであることを特徴とする請求項1または2記載の
    塩化ビニル重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH09110906A (ja) * 1995-10-17 1997-04-28 Mitsubishi Chem Corp 塩化ビニル系重合体の製造方法

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