JP4504251B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
塩化ビニル系重合体は、耐薬品性、耐水性、難燃性,断熱性、防音性、電気絶縁性など物理・化学的に多くの優れた特性を持つとともに、加工性もよいので、硬質及び軟質の材料として広く使用されているが、この塩化ビニル系重合体の成形法としては、カレンダー成形、押出成形、射出成形などの方法が一般的に採用されているため、嵩比重が高い、粒度分布がシャープ、フィッシュアイの発生が少ない等の特性を有する塩化ビニル系重合体の開発が行われている。
上記のような特性を有する塩化ビニル系重合体の製造に関するものとしては、例えば、(1)撹拌機、昇温冷却用のジャケットおよび還流コンデンサーを備えた重合器中で塩化ビニル単量体またはこれを主体とするビニル系単量体の混合物を水性媒体中で懸濁重合するに際し、分散安定剤として(A)ケン化度が78〜82モル%、平均重合度が1500以上の部分ケン化ポリビニルアルコールと、(B)メトキシ置換度が26〜30重量%、ヒドロキシプロポキシ置換度が4〜15重量%で、その2重量%水溶液の20℃における粘度が5〜100cpsであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、(C)ケン化度が88〜96.5モル%、重合度が1500以上の部分ケン化ポリビニルアルコールとを添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法(特許文献1)、(2)塩化ビニル単量体、または塩化ビニルと共重合し得る単量体と塩化ビニル単量体との混合物から選ばれた塩化ビニル系単量体を油溶性重合開始剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合するに際し、懸濁剤として(A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度1500〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル(B)メトキシ基含量28.0〜30.0%、ヒドロキシプロポキシ基含量7.0〜12.0%、2%水溶液の20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロースの2成分を、(A)/(B)の重量比が2〜9であり、(A)と(B)の使用量の合計が単量体100重量部あたり0.03〜0.08重量部となるよう併用し、かつ重合開始から転化率が少くとも30%に達するまでの期間の重合器の内容液1mあたりの正味攪拌動力を1.3〜1.8kW/mに制御して重合を行い、6時間以内に重合完結させることを特徴とする塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法(特許文献2)、(3)塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法において、前記懸濁剤が、(A) 平均重合度が 300〜2000であり、ケン化度が70〜85モル%であり、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール、及び(B) 平均重合度が600〜3000であり、ケン化度が60〜90モル%であり、メルカプト基を有しない部分ケン化ポリビニルアルコールを含むことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法(特許文献3)、(4)塩化ビニル単量体を懸濁重合するにあたって、単量体の重合体への転化率が5〜10%の間に撹拌所要動力を4〜6kW/mとし、単量体の重合体への転化率が30〜35%の間に撹拌所要動力を0.1〜0.5kW/mとして重合を行うことを特徴とする塩化ビニル樹脂の懸濁重合方法(特許文献4)、(5)ケン化度が65〜85モル%で、側鎖にオキシアルキレン基を0.1〜10モル%含有し、かつヨード呈色度の値が0.3以上である部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂からなることを特徴とする分散安定剤を塩化ビニルの懸濁重合に用いる方法(特許文献5)等がある。
一方、従来の塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法においては、重合初期過程に微細な液滴が多数生成する結果、得られた塩化ビニル系重合体中に微細な重合体粒子(直径45μm以下)が多く含まれており、この微細な粒子は、得られた重合体スラリーを脱水処理する際、水との分離が難しく、排水中に多く流れ出し、その後の排水処理に支障をきたしたり、乾燥工程において排気中に多く混入して大気中に放出され、環境に悪影響を与えたりするだけでなく、製品の歩留りを低下させている、という問題があった。
前記の従来法(1)〜(5)は、塩化ビニル系重合体の製造方法において、粒度分布がシャープなものを得るものであったとしても、上記の微粒子の問題を解決するものではなかった。
このため、上記の微粒子の問題を解決するための研究がなされている。
例えば、(6)塩化ビニル、または塩化ビニルとこれと共重合しうる単量体の混合物を逆流コンデンサーを設けた重合機を用いて水性懸濁重合するに際し、保護コロイド性を有する分散剤を重合反応開始から反応終了までの間追加装入することにより該懸濁液の水の表面張力を常に70dyne/cm(25℃)以下に保つことを特徴とする塩化ビニルの水性懸濁重合方法(特許文献6)、(7)塩化ビニルもしくは塩化ビニルを主体とする単量体混合物を水性媒体中で、連鎖移動剤を使用せずに懸濁重合し、平均重合度850以下の低重合度の塩化ビニル系重合体を製造する際、重合系に炭素数4〜10のαーオレフィンを0.1〜2.0重量%添加し、重合器内圧8〜9.5kg/cmG、重合温度60℃以下で重合反応を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法(特許文献7)、(8)塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物、油溶性重合開始剤、懸濁剤及び水を重合容器に仕込み、仕込み後重合温度に昇温する工程を含む、前記塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造方法であって、前記油溶性重合開始剤として、(A)10時間半減期温度42℃以下の油溶性高活性開始剤と、(B)t−ブチルパーオキシネオデカノエート(TBPND)及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(EHPDC)からなる群から選ばれる重合開始剤を用いること、まず、水の仕込みを開始し、水の仕込み開始と同時に又はその開始後水の仕込み中に塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込みを開始すること、水及び/又は塩化ビニル単量体もしくは塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物の仕込み中に懸濁剤、前記油溶性重合開始剤、及びハイドロキノン化合物からなる重合禁止剤の仕込を開始すること、上記原材料の仕込完了後8分以内にこれら原材料の仕込混合物の昇温を開始し、58℃以下で重合を行うこと、を特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法(特許文献8)等がある。
上記の従来法(6)〜(8)は、微粒子の生成を防止した点ではある程度の成果を上げているとしても、従来法(6)は、保護コロイド性を有する分散剤を重合反応開始から反応終了時までの間追加装入することにより該懸濁液の水の表面張力を常に70dyne/cm(25℃)以下に保つ必要がある点で、従来法(7)は、微粒子が少なく、粒度分布と重合度分布がシャープで、ロール成形時にロール表面への粘着が起きにくく、加工性(溶融流動性)、熱安定性が良好な低重合度の塩化ビニル系重合体を低圧で得ているとしても、嵩比重が高く、フィッシュアイの発生が少ない等の特性を有するものを得ていることは認められない点で、従来法(8)は、特定の油溶性重合開始剤の選択、反応成分や添加剤の仕込法の工夫、重合温度の工夫など反応操作が複雑な点で、何れも問題を有している。
特開平5−39310号公報 特開平5−262807号公報 特開平9−40706号公報 特開平7−109302号公報 特開2004−75870号公報 特開昭54−148092号公報 特開平7−292005号公報 特開2003−137909号公報
以上のことから、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法において、微粒子が少なくて、嵩比重が高く、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体を簡便に効率良く得る方法の開発が待たれている。
本発明の課題は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法において、微粒子が少なくて、嵩比重が高く、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体を簡便に効率良く提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、塩化ビニル系単量体の懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造において、問題となる微粒子は、撹拌動力、懸濁剤、表面張力等の要因で生起することを知り、更に研究を重ねた結果、遂に本発明を完成した。
本発明は、以下の発明から構成されるものである。
1.塩化ビニル系単量体を、重合開始剤、懸濁剤が、(A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度1500〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル及び/又は(B)メトキシ基含量28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基含量7〜12%、2%水溶液の20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロースであるもの、及び懸濁助剤が、平均ケン化度15〜54モル%、平均重合度200〜1000のカルボキシル基、スルホン酸基及び/又はリン酸基を0.02〜10モル%を含有する水溶性部分ケン化ポリ酢酸ビニルであるものの存在下に水性媒体中で懸濁重合して、塩化ビニル系重合体を製造するに際し、下記の要件1〜要件3を同時に満足させて重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
(要件1)
重合反応器の正味撹拌動力Pvは、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は、反応液1m当たり1.0〜3.0kW/mに制御する。
(要件2)
塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、以下の式を満足する。
T<0.024+0.015×Pv
(要件3)
重合開始時の懸濁剤及び懸濁助剤を含んだ水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とする。
2.懸濁助剤の使用量が、塩化ビニル系単量体当たり0.01〜0.1重量部である上記1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
本発明の特徴は、塩化ビニル系単量体を、重合開始剤、懸濁剤及び懸濁助剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合して、塩化ビニル系重合体を製造するに際し、(1)重合反応器の正味撹拌動力Pvは、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は反応液1m当たり1.0〜3.0kW/mに制御する、(2)塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、
T<0.024+0.015×Pv
を満足する、(3)重合開始時の懸濁剤及び懸濁助剤を含んだ水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とする、という3要件を同時に満足させて重合を行うことにより、塩化ビニル系重合体を製造するものであって、微粒子の発生を防止するとともに、嵩比重が高くて、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体が簡便に効率良く得られる点にある。
本発明は、以下の知見に基づいてなされたものである。
(イ)塩化ビニル系単量体の懸濁重合による塩化ビニル系重合体の製造においては、重合初期過程に微細な液滴が多数生成する結果、得られた塩化ビニル系重合体中に微細な重合体粒子(直径45μm以下)が多く含まれており、この微細な粒子は、得られた重合体スラリーを脱水処理する際、水との分離が難しく、排水中に多く流れ出し、その後の排水処理に支障をきたしたり、乾燥工程において排気中に多く混入して大気中に放出され、環境に悪影響を与えたりするだけでなく、製品の歩留りを低下させている、という問題があった。
(ロ)本件の問題となる微粒子は、(1)撹拌、(2)懸濁剤、及び(3)表面張力が複合的に作用して発生することを知った。
そこで、上記の要因(1)〜(3)について探求したところ、(1)撹拌動力については、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間の撹拌動力を特定の値にすることが必要であること、(2)懸濁剤量については、懸濁剤の合計量と撹拌動力とが特定の関係にあることが必要であること、(3)表面張力については、特定値以下にする必要があることが、それぞれ解った。
(ハ)そこで、更に研究を重ねた結果、(1)撹拌動力については、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は反応液1m当たり1.0〜3.0kW/mに制御する、(2)懸濁剤量については、塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、
T<0.024+0.015×Pv
を満足する、(3)表面張力については、重合開始時の水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とする、という3要件を同時に満足させて重合を行えば、微粒子の発生を防止し得るとともに、嵩比重が高くて、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体が簡便に効率良く得られることをつきとめた。
本発明の優れた効果は、上記の要件1、要件2及び要件3の複合的な相乗効果によるものと推察される。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明の特徴は、塩化ビニル系単量体を重合開始剤、懸濁剤及び懸濁助剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合して、塩化ビニル系重合体を製造するに際し、(1)重合反応器の正味撹拌動力は、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は反応液1m当たり1.0〜3.0kW/mに制御する、(2)塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、
T<0.024+0.015×Pv
を満足する、(3)重合開始時の水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とする、という3要件を同時に満足させて重合を行うことにより、塩化ビニル系重合体を製造する点にある。
本発明における、上記の要件1〜要件3、その他の製造条件等について、以下、説明する。
1.要件1〜要件3
(1)要件1(撹拌動力)
本発明では、重合反応器の正味撹拌動力は、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は、反応液1m当たり1.0〜3.0kW/m、好ましくは1.2〜2.5kW/mに制御することが必須の要件である。
本発明は、上記の撹拌動力に関する要件1を逸脱すると、本発明の他の要件、即ち、要件2及び/又は要件3を満足したとしても、本発明の初期の目的は達成することはできない。
撹拌動力が1.0kW/m未満であると、塩化ビニル単量体の懸濁油滴の分散合一の頻度が少なく、生成した重合体粒子の空隙率が小さくなるとともに、その分布が広くなり、また粒子が粗大化したり、可塑剤吸収性の悪化やフィシュアイが増加するなどの問題を生じる。
一方、撹拌動力が3.0kW/mを越えると、油滴の合一の頻度が多くなりすぎ、油滴や重合体粒子同士の衝突による凝集が生じ易く粗粒化したり、あるいはその他の重合条件によっては分散が進行し過ぎることによって、粒度が細かくなり、嵩比重が低下するので、本発明の目的を達成できない。
重合転化率が30%を超えると油滴の分散・凝集はほぼ完了するので、重合転化率30%以降の撹拌動力は特に限定されず、重合器が均一に撹拌されさえすれば良い。
重合器の撹拌動力を制御する方法としては、各種形状の撹拌装置についての撹拌系のレイノルズ数Reと動力数Npの関係を表す実験式や線図を利用するか、又はある一定の撹拌条件下での動力を実測することにより、装置定数としてのNpを実験的に求め、撹拌翼の回転数を変更することによって動力を任意に調節することができる。
即ち、重合器の内容物の密度をρ(kg/m)、粘性係数をμ(kg/m・sec)、撹拌翼の固転数をn(1/sec)、翼長をd(m)、重力換算係数をgc(kg・m/kg・sec)、減速機構部や軸封部での損失を含まない正味の撹拌動力をP(kg・m/sec)とすれば、Re及びNpは、それぞれRe=ρnd/μ、Np=P・gc/ρnで定義されるものであり、公知文献又は実験からNpを求めることができる。
塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で、一般的に採用されている大型重合器の撹拌装置のNpの値は、約0.2〜2の範囲である。
重合器内の液量をV(m)とすれば、重合器の単位容積当たりの正味撹拌動力Pv(kW/m)は、次式で表される。
Pv=Np・ρn/102・v・gc
従って、特定の撹拌装置を用いて正味撹拌動力を調整する場合には、動力は撹拌翼の回転数の3乗に比例するので、回転数により動力を制御する方法が容易である。
撹拌回転数は、重合期間中一定も良いし、また途中で変更しても良いが、重合開始から重合転化率30%の期間は1.0〜3.0kW/mを満足する範囲内でなければならない。
(2)要件2(懸濁剤)
本発明では、懸濁剤については、塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、
T<0.024+0.015×Pv
を満足することが必須の要件である。
本発明は、上記の懸濁剤に関する要件2を逸脱すると、本発明の他の要件、即ち、要件1及び/又は要件3を満足したとしても、本発明の初期の目的は達成することはできない。
懸濁剤は、水溶性成分であり、分散作用や懸濁保護作用等により、粘度や粒子の凝集状態を調整するために使用されているものであるが、本発明では、通常のものが使用可能である。
例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンオキサイド、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、澱粉等の脂溶性高分子等が挙げられるが、特に、(A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度1500〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル、及び/又は(B)メトキシ基含量28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基含量7〜12%、2%水溶液の20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いるのがよい。
上記の懸濁剤Aは、単量体を水性媒体中に適度な大きさの油滴として分散させる作用や該油滴の懸濁安定性を保護する作用等があり、嵩比重、粒度、ゲル化性および粉体流動性などの品質を調和的に有した成形加工性に優れた重合体を得るために使用するものであるが、ケン化度が75モル%に満たない場合には、懸濁安定性が不十分になって粗粒が生成したり、嵩比重が低下するなどの不利がある、一方、ケン化度が85モル%を越えると、ゲル化時間(溶融時間)が長くなるという不都合が生じることがある。また、重合度が前記した範囲以外では、成形加工性に優れた重合体粒子を得ることが困難になる場合もある。
また、上記の懸濁剤Bは、重合体粒子を球状化し表面構造を平滑化すると同時に内部構造を緻密化することにより、樹脂の嵩比重を高める作用がある。また、重合時の懸濁系をより一層安定化させるので、粗粒の発生を防止する作用もある。嵩比重が高く、しかも適度な粒度特性を有する樹脂を得るためには、メトキシ基及びヒドロキシプロポキシ基含量を前記のようにするのがよい。ヒドロキシプロポキシ基含量が7%に満たない場合には、ゲル化性が低下することがある。
懸濁剤の使用量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.01〜0.1重量部、好ましくは0.02〜0.07重量部がよい。
(3)要件3(表面張力)
本発明では、重合開始時の水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とするのが必須の要件である。
本発明は、上記の表面張力に関する要件3を逸脱すると、本発明の他の要件、即ち、要件1及び/又は要件2を満足したとしても、本発明の初期の目的は達成することはできない。
本発明の水性媒体の表面張力は、主として、懸濁助剤の特性により定まるので、懸濁助剤としては、上記の表面張力の規定を満足するものであれば、その種類は問わない。
一般に、懸濁助剤は、油溶性成分であって、単量体油滴に溶解して油滴内部および表面に析出する微細重合粒子の凝集を防止する作用を有し、内部空隙に富み、スキン層の少ない重合体が得られるので、フィッシュアイや成形加工時のゲル化性、可塑剤吸収性を改良するために使用されるものである。
従って、通常の懸濁助剤は、水不溶性(難溶性)のものであって、例えば、部分ケン化ポリ酢酸ビニルとしては、ケン化度が30〜50モル%で、重合度が200〜1000の範囲のものが、又は界面活性剤としては、HLB値が2〜10の非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタン(モノ、ジ、トリ)ステアレート、ソルビタンモノオレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル類等が、使用されている。
しかしながら、本発明では、懸濁助剤として、上記の水不溶性(難溶性)のものを用いた場合、本発明の表面張力に関する要件を実現することが困難であるので、本発明では、懸濁助剤として、水溶性のものを用いるのがよい。
部分ケン化ポリ酢酸ビニルを使用する場合には、低ケン化度、低重合度のもの、例えば、平均ケン化度15〜54モル%、平均重合度200〜1000のものであって、水溶性を付与する基(水溶性基)を含有するものを使用するのがよい。水溶性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、該水溶性基は0.02〜10モル%含有するもの、好ましくは0.02〜1.0モル%含有するものがよい。
即ち、水溶性基が0.02モル%未満では、塩化ビニル系単量体の懸濁重合時に温水を仕込む方法を採用する場合に、仕込み温度の制約を受け易くなり、単量体の油滴と懸濁助剤が接触する際の温度条件によっては、塩化ビニル系重合体粒子のフィッシュアイの減衰速度が低下したり、永久フッシュアイの発生の原因となったり、また、粒子径分布が大きくなったりして、好ましくない。
一方、水溶性基が10モル%を越えると、保護コロイド性が低下するために、懸濁重合の重合安定性が低下し、得られる塩化ビニル系重合体粒子に粗粒子が多くなったり、激しい時には重合物がブロック化し、更には、懸濁重合で得られる塩化ビニル系重合体粒子にフィッシュアイが多くなるので、好ましくない。
本発明の懸濁助剤である、水溶性の部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、通常の方法、例えば、(a)酢酸ビニルと陰イオン性親水基含有ビニル化合物と共重合し、ケン化する方法、又は(b)部分ケン化ポリ酢酸ビニルと水溶性基含有化合物、例えば、クロル硫酸、クロルスルホン酸、リン酸等とを反応させる方法等が挙げられる。
上記(a)法の陰イオン性親水基含有ビニル化合物としては、例えば、不飽和脂肪族カルボン酸、スルホン酸、リン酸等が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸を用いるのが好ましい。不飽和脂肪族カルボン酸としては、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等);エチレン性不飽和ジカルボンモノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等);エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等);エチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等);或いは(メタ)アクリル酸等の単量体;又はそれらの塩等が挙げられ、その中でも、エチレン性不飽和カルボン酸或いはエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル、又はそれらの塩が好適に使用される。
懸濁助剤の使用量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.005〜0.2重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部がよい。
2.その他の製造条件
(1)重合反応装置
本発明の重合反応装置としては、塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の重合反応装置を用いることができる。
反応温度を制御するため、重合反応装置に加熱冷却用ジャケットや外部スラリー循環式等の熱交換器を付設することができるが、加熱冷却用ジャケットとしては、例えば、外部ジャケット、内部ジャケット等が、また、外部スラリー循環式としては、シェルアンドチューブ式、多管式、コイル式、スパイラル式等が用いられる。また、還流凝縮器を使用する場合は、重合器内気相部に直接連結されている構造であって、凝縮管の形式が、コイル式、スパイラル式、多管式、シェルアンドチューブ式等のものを用いることができる。
本発明において使用される撹拌装置の撹拌翼としては、ファウドラー型後退翼、ブルマージン翼、タービン翼、ファンタービン翼、バドル翼等があるが、ファウドラー型後退翼においてより好適に実施することができる。また、バッフルとしては、パイプ(棒型)バッフル、D型バッフル、E型(フインガー型)バッフルが好ましい。これらの撹拌翼およびバッフルは塩化ビニルの重合で一般に使用されているものでよい。
(2)原材料
(塩化ビニル系単量体)
本発明の塩化ビニル系単量体は、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体を主体とする塩化ビニル単量体と共重合可能な塩化ビニル単量体以外の単量体からなるものである。
塩化ビニル単量体以外の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸若しくはフマル酸等の不飽和ジカルボン酸のエステル又は無水物;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;又は塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等が挙げられるが、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体であれば、特に制限されない。これらは、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせてもよい。
(重合開始剤)
本発明の重合開始剤としては、一般に塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の重合開始剤を用いることができる。
例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート;ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシビバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシジグリコレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化物;アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;又は過酸化水素等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を組み合わせてもよい。
本重合開始剤は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲で用いることができる。
(その他の添加剤)
本発明において、更に、塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の種々の添加剤を必要に応じて用いることができる。
例えば、増粘剤、重合調整剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、緩衝剤、又はスケール防止剤等が使用し得る。
本発明は、微粒子の発生が少ないため、環境問題を引き起こすことがなく、嵩比重が高くて、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体が簡便に効率よく得られる点において優れている。
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定されない。なお、以下に述べる「%」は、特に断らない限り、「重量%」を意味する。
(実施例1)
内容積2000リットルの撹拌機及びジャケット付きステンレススチールライニング重合器に、塩化ビニル単量体100重量部に対し、脱イオン水100重量部、t一ブチルパーオキシネオデカノエート0.06重量部、及びケン化度が80モル%、平均重合度が2500の部分ケン化ポリ酢酸ビニル(懸濁剤A)0.05重量部、懸濁助剤として、ケン化度が40モル%、平均重合度が250の水溶性部分ケン化ポリ酢酸ビニル(懸濁助剤A)0.03重量部を仕込んだ。この系の25℃における表面張力を測定したところ、43.5dyne/cmであった。その後、重合器を脱気し、塩化ビニル単量体100重量部を仕込み、57℃に昇温し、重合圧力0.83MPa、正味撹拌動力(Pv)2.0kW/mにて重合を開始した。撹拌動力は、転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は2.0kW/mに制御し、温度は57℃に保持しながら重合を行い.重合圧力が0.65MPaに降下した時点で重合を終了し、未反応単量体を回収し、塩化ビニル重合体(PVC)をスラリー状で重合器外に抜き出した。このスラリーの一部について微粉量を測定した。次に、残りの重合体を脱水、乾燥処理し、得られた塩化ビニル重合体の品質(平均粒子径、嵩比重、微粒子の割合、フィッシュアイ)を測定した。
(実施例2)
実施例1において、懸濁剤Aの代わりに、メトキシ基含量29%、ヒドロキシプロポキシ基含量9%、2%水溶液の20℃における粘度が50センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロース(懸濁剤B)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
実施例1において、懸濁剤として、懸濁剤Aについては、0.05重量部の代わりに、0.03重量部を用い、更に懸濁剤Bを0.02重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
実施例3において、懸濁剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.015重量部を、懸濁剤Bについては、0.02重量部の代わりに、0.01重量部を、それぞれ用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例5)
実施例3において、撹拌動力については、2kW/mの代わりに、1kW/mを、懸濁助剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.02重量部を用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例6)
実施例3において、撹拌動力については、2kW/mの代わりに、3kW/mを、懸濁剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.04重量部を、懸濁剤Bについては、0.02重量部の代わりに、0.027重量部を、それぞれ用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例7)
実施例3において、懸濁助剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.01重量部を用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(実施例8)
実施例1において、懸濁助剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.1重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
実施例1において、懸濁助剤については、懸濁助剤Aの代わりに、水溶性基を含有しない、ケン化度が40モル%、平均重合度が250の部分ケン化ポリ酢酸ビニル(懸濁助剤B)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
(比較例2)
実施例2において、懸濁助剤については、懸濁助剤Aの代わりに、懸濁助剤Bを用いた以外は、実施例2と同様に実施した。
(比較例3)
実施例3において、懸濁助剤については、懸濁助剤Aの代わりに、懸濁助剤Bを用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(比較例4)
実施例3において、懸濁助剤については、懸濁助剤A0.03重量部の代わりに、懸濁助剤B0.06重量部を用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(比較例5)
実施例3において、懸濁助剤については、懸濁助剤A0.03重量部の代わりに、懸濁助剤B0.06重量部を用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
(比較例6)
実施例5において、撹拌動力については、1.0kW/mの代わりに、0.8kW/mを用いた以外は、実施例5と同様に実施した。
(比較例7)
実施例6において、撹拌動力については、3.0kW/mの代わりに、3.2kW/mを用いた以外は、実施例6と同様に実施した。
(比較例8)
実施例1において、懸濁剤Aについては、0.05重量部の代わりに、0.07重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
(比較例9)
実施例2において、懸濁剤Bについては、0.05重量部の代わりに、0.07重量部を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。
(比較例10)
実施例3において、懸濁剤Aについては、0.03重量部の代わりに、0.04重量部を、懸濁剤Bについては、0.02重量部の代わりに、0.03重量部を、それぞれ用いた以外は、実施例3と同様に実施した。
上記の実施例及び比較例の結果は、表1(実施例1〜8)及び表2(比較例1〜10)に示す。
なお、(1)平均粒子径、(2)嵩比重、(3)微粒子の割合、(4)フィッシュアイは、以下の測定方法により行った。
(1)平均粒子径
JIS基準の金網を使用した篩分析により、50%通過径として示した。
(2)嵩比重
JIS K6721に定める方法に準じて測定した値をもって示した。
(3)微粒子の割合
JIS Z8801に準じた#330(目開き45μm)の篩に、得られた重合体スラリー170mLを入れ、約15Lの脱イオン水を使って湿式篩にかけ、篩上と篩下に分けた。篩下は、開口径3μmのメンブランフィルターでろ過し、乾燥した。篩上は、そのまま乾燥させた。その後、それぞれの重量を測定し、得られた全重合体乾燥品中の45μm以下の微粒子の割合(重量比)を算出した。
(4)フィッシュアイ
ポリ塩化ビニル100重量部、ジオクチルフタレート60重量部、バリウム亜鉛系複合安定剤2重量部及び黒緑色顔料3.5重量部を加えて調製した混合物を、混錬用6インチロールによって135℃で7分間混錬した後、幅100mm、厚さ0.4mmのシートを作成し、このシートについて50cm当たりの透明粒子数を計数し、これをフィッシュアイの数とする。
Figure 0004504251
Figure 0004504251
*1:懸濁剤A
ケン化度が80モル%、平均重合度が2500の部分ケン化ポリ酢酸ビニル
*2:懸濁剤B
メトキシ基含量29%、ヒドロキシプロポキシ基含量9%、2%水溶液の20℃における粘度が50センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロース
*3:懸濁助剤A
ケン化度が40モル%、平均重合度が250の水溶性部分ケン化ポリ酢酸ビニル
*4:懸濁助剤B
ケン化度が40モル%、平均重合度が250の水不溶性部分ケン化ポリ酢酸ビニル
*5:重量部
塩化ビニル単量体100重量部当たりの重量部
*6:計算式
0.024+0.015×Pv
上記の表の結果から、以下のことがいえる。
1.本発明の(1)撹拌動力に関する要件1、(2)懸濁剤に関する要件2、(3)表面張力に関する要件3からなる3要件を同時に満足しないと、本発明の所期の目的は達成できない。
2.なお、表面張力は、懸濁助剤により定まるが、表面張力を45dyne/cm以下とするには、懸濁助剤として、特定のもの、例えば、水溶性の部分ケン化ポリ酢酸ビニルを特定量使用する必要があり(実施例1〜8、比較例6〜10)、該化合物の使用量不足や水溶性基を含有しないものを使用した場合には、実現しない(比較例1〜5)。
従って、本発明の表面張力要件を実現するためには、懸濁助剤の選択が重要である。
3.何れにしても、本発明の要件1〜要件3は、本発明の成立要件であることが確認できた。
本発明は、微粒子の発生が少ないため、環境問題を引き起こすことなく、嵩比重が高くて、フィッシュアイの発生が少ない高品質の塩化ビニル系重合体が簡便に効率よく得られるから、塩化ビニル系重合体の製造方法として有用である。




Claims (2)

  1. 塩化ビニル系単量体を、重合開始剤、懸濁剤が、(A)平均ケン化度75〜85モル%、平均重合度1500〜3000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル及び/又は(B)メトキシ基含量28〜30%、ヒドロキシプロポキシ基含量7〜12%、2%水溶液の20℃における粘度が40〜60センチポイズのヒドロキシプロピルメチルセルロースであるもの、及び懸濁助剤が、平均ケン化度15〜54モル%、平均重合度200〜1000のカルボキシル基、スルホン酸基及び/又はリン酸基を0.02〜10モル%を含有する水溶性部分ケン化ポリ酢酸ビニルであるものの存在下に水性媒体中で懸濁重合して、塩化ビニル系重合体を製造するに際し、下記の要件1〜要件3を同時に満足させて重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
    (要件1)
    重合反応器の正味撹拌動力Pvは、重合開始から転化率が少なくとも30%に達するまでの期間は、反応液1m当たり1.0〜3.0kW/mに制御する。
    (要件2)
    塩化ビニル系単量体100重量部当たりの懸濁剤の合計量T(重量部)が、以下の式を満足する。
    T<0.024+0.015×Pv
    (要件3)
    重合開始時の懸濁剤及び懸濁助剤を含んだ水性媒体の25℃における表面張力は、45dyne/cm以下とする。
  2. 懸濁助剤の使用量が、塩化ビニル系単量体当たり0.01〜0.1重量部である請求項1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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