JP4757528B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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例えば、(1)圧力降下が開始するまでホモ重合させ、その後、最初に添加した前記単量体の転化率が70〜80%の範囲にある時間内に、15分以内にわたって最初のハロゲン化ビニルの50重量%を超えない新鮮なハロゲン化ビニルを添加し、圧力を前記圧力降下開始前の値まで回復させるようにして重合を完結させ、その後に初めて重合体を回収する方法(特許文献1)がある。
しかし、上記(1)の方法は、嵩比重の高いものが得られるものの、成形時にフィッシュアイが発生するという問題がある。
しかし、上記(2)〜(4)の方法は、それなりの目的は達成できるものの、特殊な薬剤を使用している点で、簡便性に欠け十分ではない。
上記の還流凝縮器による除熱方式を用いた場合では、還流凝縮器による除熱量の増大や未反応単量体回収速度の増大は、重合反応器内の気相部の真空度を高める結果となるので、スラリー中に溶存している塩化ビニル単量体等の気化が促進され、それに伴って発泡が増大し、液面上部に泡が蓄積され、泡が上昇し、その結果として、重合体粒子が重合反応器上部に到達する現象(キャリーオーバー)が起こるという問題があった。
このキャリーオーバーは、著しい時は還流凝縮器内部や重合反応器に設けられている未反応単量体回収配管等まで到達し、重合体粒子が重合反応器の上部のみならず、還流凝縮器内部や未反応単量体回収配管の入口(回収口)付近にスケールを付着する原因となる。このようなスケールの付着は、重合後の整備など製造工程に大きな支障をきたすだけでなく、このまま次の重合を行なってしまうと、得られる重合体製品のフィッシュアイが増大する原因となるなど、品質的にも悪影響を与えていた。
しかし、上記(5)の方法は数多くの操作条件が必要である点で、この方法も簡便性に欠ける。
1.塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに
塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、反応開始後に、水を添加して反応中の反応液の体積変動を防止するとともに、塩化ビニル系単量体の追加添加を重合転化率が15〜35%に達した時のみで行うが、水と塩化ビニル系単量体以外の成分は添加しないことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
2.反応液の体積の維持が、0.9〜1.1V(反応開始時の反応液の体積V)の範囲内で行われるものである上記1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
3.塩化ビニル系単量体の追加添加量が、反応開始時の塩化ビニル系単量体100重量部に対し、1〜20重量部である上記1又は2記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
4.重合反応が、還流凝縮器による除熱方式を用いて行われるものである上記1、2又は3記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
本発明は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、反応開始後に、(1)水の添加により反応液の体積変動を防止するとともに、(2)特定の時期(重合転化率が15〜35%に達した時)に塩化ビニル系単量体を追加添加するという2つの手段を採用することにより、通常の反応装置はもとより、還流凝縮器を併置した反応装置を用いた場合にも、発泡が防止され、生産性や嵩比重が高く、フィッシュアイが発生しない高品質の塩化ビニル系重合体が簡単に得られるという優れた効果が達成し得た点に特徴を有するものである。
(イ)塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法においては、重合の進行に伴って、発泡が生起し、フィッシュアイが発生する重合体となるが、これは、重合の進行に伴って、生成した塩化ビニル系重合体の内部空隙に水が入り込み、フリーな水が減少するため、反応液の粘度が高くなり、その結果、撹拌効率が悪くなって、発泡が生起し、フィッシュアイが発生する事態になるものと考えられる。
一方、重合の進行に伴って、塩化ビニル系単量体と塩化ビニル系重合体の密度差に相当する反応液の体積減少が生起する。
そこで、反応液の体積減少分の水を追加添加して、反応液の体積減少と粘度上昇を防止すれば、発泡とフィッシュアイの発生が防止し得ることが解った。
(ロ)前述したように、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法において、生産性や嵩比重の高いものを得る方法としては、反応開始後に、塩化ビニル系単量体を追加添加する方法があるが、この方法では、発泡とフィッシュアイの発生が著しいので、その防止には、水の追加添加法が有効な手段であると考えた。
(ハ)ところが、上記の場合には、水の追加添加法を採用したとしても、塩化ビニル系単量体の追加添加の時期によっては、発泡は防止されても、フィッシュアイの発生は防止し得ない場合があることを知り、この点について探求した結果、本件の場合、塩化ビニル系単量体の追加添加の時期が非常に重要であり、該追加添加の時期は、重合転化率が15〜35%に達した時点であり、この範囲を逸脱すると、本発明の目的は達成できないことをつきとめた。
(ニ)以上の知見の下に、本発明は、重合反応開始後に、(1)水の添加により反応液の体積変動を防止するとともに、(2)特定の時期(重合転化率が15〜35%に達した時)に塩化ビニル系単量体を追加添加するという、極めて簡単な手段により、発泡を防止して、フィッシュアイが発生しない高品質の重合体を得ることに成功した。
本発明の特徴は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、反応開始後に、(1)水の添加により反応液の体積変動を防止する、(2)特定の時期(重合転化率が15〜35%に達した時)に塩化ビニル系単量体を追加添加する、という2つの手段を採用して、発泡を防止して、生産性と嵩比重が高く、フィッシュアイが発生しない高品質の塩化ビニル系重合体を製造した点にある。
本発明の反応に用いる重合反応装置や原材料、及び水又は塩化ビニル系単量体の添加法について、以下説明する。
本発明の重合反応装置としては、塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の重合反応装置を用いることができる。重合反応装置には、撹拌機が付設されるが、撹拌翼としては、例えば、パドル翼、ブルーマージン翼、ファウドラー翼、タービン翼、プロペラ翼、ピッチパドル翼等が挙げられ、これらの撹拌翼は一種類で用いても、数種の撹拌翼と組み合わせても、数段に別けて用いてもよく、また、バッフルとしては、例えば板型、円筒型、D型、ループ型、フィンガー型等を使用してもよい。
反応温度を制御するため、重合反応装置に加熱冷却用ジャケットや外部スラリー循環式等の熱交換器を付設することができるが、加熱冷却用ジャケットとしては、例えば、外部ジャケット、内部ジャケット等が、また、外部スラリー循環式としては、シェルアンドチューブ式、多管式、コイル式、スパイラル式等が用いられる。また、還流凝縮器を使用する場合は、重合器内気相部に直接連結されている構造であって、凝縮管の形式が、コイル式、スパイラル式、多管式、シェルアンドチューブ式等のものを用いることができる。
(塩化ビニル系単量体)
本発明の塩化ビニル系単量体は、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体を主体とする塩化ビニル単量体と共重合可能な塩化ビニル単量体以外の単量体からなるものである。
塩化ビニル単量体以外の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸又はフマル酸等の不飽和ジカルボン酸のエステル若しくは無水物、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル、又は塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等が挙げられるが、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体であれば、特に制限されない。これらは、単独で用いていもよく、また2種以上組み合わせてもよい。
本発明の重合開始剤としては、一般に塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の重合開始剤を用いることができる。
例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート;ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシビバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシジグリコレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化物;アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;又は過酸化水素等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を組み合わせてもよい。
本重合開始剤は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲で用いることができる。
(分散剤)
本発明の分散剤としては、一般に塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の分散剤を用いることができる。
例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンオキサイド、部分鹸化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン等の水溶性高分子;又はノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤等を用いることができる。これらは、単独又は2種類以上を組み合わせてもよい。
本分散剤は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.01〜2重量部の範囲で用いるのがよい。
本発明において、更に、塩化ビニル系重合体の製造に用いられている公知の種々の添加剤を必要に応じて用いることができる。
例えば、増粘剤、重合調整剤、連鎖移動剤、pH調節剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、緩衝剤、又はスケール防止剤等が使用し得る。
本件の重合反応、即ち、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法においては、重合反応開始後、反応の進行とともに、反応液の体積の減少が起こる。これは、モノマーとポリマーの間の密度が異なるので、重合の間に減少が生起するためと考えられている。
このように、本件の重合反応においては、重合反応開始後、反応の進行とともに、反応液の体積の減少が生起するが、この現象を放置すると、発泡が起こり、フィッシュアイを有する重合体となるという問題が生じる。
このため、本発明の水の追加添加は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、重合反応開始後、反応の進行に伴い生起する、反応液の体積の減少を防止して、発泡とフィッシュアイの発生を防止するために行うものである。
従って、上記の発泡とフィッシュアイの発生を防止するためには、重合反応開始後、水を追加添加して、反応液の体積変動を防止することが有効となるが、この発泡とフィッシュアイの発生は、塩化ビニル系単量体の追加添加を行ったときに顕著に生起するから、その対策として、水の追加添加法は非常に有効な手段となる。
そして、生産性向上のために、大型の反応装置を用いて、還流凝縮器による除熱方式を採用した場合、特に、発泡が生じ易く、フィッシュアイが多く発生するので、本発明の水の追加添加による発泡防止法がより一層重要になる。
上述したように、本件の重合反応においては、重合反応開始後、反応の進行とともに、反応液の体積の減少が生起するが、この減少は、塩化ビニル系単量体の追加添加によっても影響を受けるので、本発明の水の追加添加の方法は、塩化ビニル系単量体の追加添加の前後で分けて行うことが必要である。
水の追加添加の方法は、反応開始時の反応液の体積をVとした時、該体積が、0.9〜1.1Vの範囲内に維持するように行うのがよい。
本発明の塩化ビニル系単量体の追加添加は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、生産性向上や嵩比重の高いものを得るために行うものである。
ところが、上記の追加添加法においては、発泡とフィッシュアイが多く発生するという問題があり、この原因は、重合反応開始後の反応液の体積減少にあるとするのがよいので、この発生を防止するためには、上記の水の追加添加法が有効な手段であると考えられるが、上記の水の追加添加法に工夫を加えて採用しないと、発泡は防止されても、フィッシュアイの発生は防止し得ないという、新たな問題が存在する。
上記の問題の解決のためには、上記の水添加法を採用したときの、塩化ビニル系単量体の添加の時期が非常に重要であり、該添加時期は、重合転化率が15〜35%に達した時点で行うことが必須の要件である。この範囲を逸脱すると、本発明の目的は達成することができない。
このように、本発明においては、重合転化率が重要になるが、ある時点の重合転化率は、別途実施した反応において反応中のスラリーを所定時間毎に採取して求めた時間−転化率曲線から推定する方法又はテスト時の重合反応器から反応中のスラリーを採取して計算する方法(何れも、仕込み総重量、採取スラリー量、及び採取スラリー中の重合体量から算出する)により求めることができる。
塩化ビニル系単量体の追加添加量は、反応開始時の塩化ビニル系単量体100重量部に対して、1〜20重量部でよいが、塩化ビニル系単量体の添加効果をより高めたい場合には、5〜15重量部とするのがよい。
塩化ビニル系単量体の追加添加の方法は、定量ポンプにより重合反応装置へ投入する方法や窒素ガス等で重合反応装置内圧より高圧の容器に入れ一気に反応装置へ投入する方法等が挙げられる。
(2)還流凝縮器による除熱方式を採用した場合、特に、発泡が生じ易く、フィッシュアイが多く発生することが予想されるだけに、該方式においても、上記の優れた効果が得られるという点からみて、本発明は価値が高い。
<水の追加添加法>
本件の重合反応においては、重合反応開始後、反応の進行とともに、反応液の体積の減少が生起するが、この減少は、塩化ビニル系単量体の追加添加によっても影響を受けるので、本発明の水の追加添加は、塩化ビニル系単量体の追加添加の前後で分けて行うことが必要である。即ち、水の追加添加は、(1)反応開始から塩化ビニル系単量体の追加添加時(添加時期1)と(2)塩化ビニル系単量体の追加添加時から反応終了時(添加時期2)の2段階で行えばよい。
本発明の重合の進行に伴う体積収縮値は、次式により算出することができる。
(1)添加時期1の体積収縮値(△V1)
VCM1×(1/ρv−1/ρp)×1000×Rx/100÷(ρw/1000)
(2)添加時期2の体積収縮値(△V2)
VCM2×(1/ρv−1/ρp)×1000×Rx/100÷(ρw/1000)
但し、
VCM1:塩化ビニル系単量体の初期仕込量(トン)
VCM2:VCM1+塩化ビニル系単量体の追加添加量(トン)
ρv:塩化ビニル系単量体密度(kg/m3)
ρp:塩化ビニル系重合体密度(kg/m3)
Rx:重合転化率
ρw:水の密度(kg/m3)
従って、本発明の水の追加添加は、(1)添加時期1は△V1値に基づいて、(2)添加時期2は△V2値に基づいて、そのぞれの添加速度、即ち、添加時期1の添加速度1及び添加時期2の添加速度2を定めればよい。
還流凝縮器を有する内容積100m3の内部ジャケット式ステンレス製重合反応器を脱気した後、塩化ビニル単量体(VCM)100部、水120部、懸濁液として(A)ケン化度が80モル%で平均重合度が2500の部分ケン化ポリ酢酸ビニル0.06部、(B)ケン化度が40モル%で平均重合度が250の部分ケン化ポリ酢酸ビニル0.04部、及び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカエート0.06部を仕込んだ。次いで、重合反応器を撹拌しながら57℃に昇温した後、ジャケット及び還流凝縮器に通水を行い、57℃を保つように重合を継続した。57℃に到達した時点を重合開始(0時間)とした。
その間、水の追加添加は、△V1値に基づき、添加時期1は0〜1.6時間として、添加速度1は2.1m3/Hrで行い、また、△V2値に基づき、添加時期2は1.6〜4.0時間として、添加速度2は5.4m3/Hrで行うとともに、塩化ビニル単量体(VCM)の追加添加は、重合転化率が30%に達した時点で、反応開始時のVCM100重量部に対し、5重量部のVCMを3分間で行い、重合を継続した。重合開始4.0時間後に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収し、続いて、スラリーを脱水し、乾燥して、ポリ塩化ビニルを得た。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、添加速度1の2.1m3/Hrを3.2m3/Hrに、添加速度2の5.4m3/Hrを4.4m3/Hrに、塩化ビニル単量体の追加添加については、反応開始時のVCM100重量部に対し、5重量部のVCMを3分間で行いを、反応開始時のVCM100重量部に対し、1重量部のVCMを3分間で行いに、それぞれ変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、添加速度1の2.1m3/Hrを0.8m3/Hrに、添加速度2の5.4m3/Hrを6.6m3/Hrに変更するとともに、塩化ビニル単量体の追加添加については、反応開始時のVCM100重量部に対し、5重量部のVCMを3分間で行いを、反応開始時のVCM100重量部に対し、10重量部のVCMを3分間で行いに、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、添加時期2の1.6〜4.0時間を1.7〜4.2時間に、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.20MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、塩化ビニル単量体の添加時期の変更に基づき(重合転化率30%→20%)、添加時期1の0〜1.6時間を0〜1.2時間に、添加速度1の2.1m3/Hrを1.3m3/Hrに、また、添加時期2の1.6〜4.0時間を1.2〜4.0時間に、添加速度2の5.4m3/Hrを5.8m3/Hrに変更するとともに、塩化ビニル単量体の追加添加については、添加時期の重合転化率30%に達した時点を20%に達した時点に、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加及び塩化ビニル単量体の追加添加を行わない以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.20MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加を行わない以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加について、塩化ビニル単量体の添加時期の変更に基づき(重合転化率30%→10%)、添加時期1の0〜1.6時間を0〜0.8時間に変更するとともに、添加時期1では水を添加せず、また、添加時期2の1.6〜4.0時間を0.8〜4.0時間に、添加速度2の5.4m3/Hrを4.8m3/Hrに変更するとともに、塩化ビニル単量体の追加添加については、添加時期の重合転化率30%に達した時点を10%に達した時点に、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、塩化ビニル単量体の添加時期の変更に基づき(重合転化率30%→60%)、添加時期1の0〜1.6時間を0〜2.8時間に、添加速度1の2.1m3/Hrを3.1m3/Hrに、また、添加時期2の1.6〜4.0時間を2.8〜4.0時間に、添加速度2の5.4m3/Hrを4.5m3/Hrに変更するとともに、塩化ビニル単量体の追加添加については、添加時期の重合転化率30%に達した時点を60%に達した時点に、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例1において、水の追加添加については、塩化ビニル単量体の添加時期の変更に基づき(重合転化率30%→40%)、添加時期1は0〜1.6時間を0〜2.0時間に、添加速度1の2.1m3/Hrを2.6m3/Hrに、また、添加時期2の1.6〜4.0時間を2.0〜4.0時間に、添加速度2の5.4m3/Hrを4.1m3/Hrに変更するとともに、塩化ビニル単量体の追加添加については、添加時期の重合転化率30%に達した時点を40%に達した時点に、変更する以外は、実施例1と同様に実施した。反応終了時の圧力は、重合反応の定常状態における圧力から0.18MPa低下していた。
実施例及び比較例の結果は、表1(実施例1〜5)及び表2(比較例1〜5)に示す。
(1)泡レベル
重合反応器の気相部に取り付けた静電容量式センサーにより測定した。
泡レベル0%で発泡なし、泡レベル100%で重合反応器上部に到達(キャリーオーバー)となる。
(2)平均粒子径
JIS基準の金網を使用した篩分析により、50%通過径として示した。
(3)嵩比重
JIS K6721に定める方法に準じて測定した値をもって示した。
(4)フィッシュアイ
ポリ塩化ビニル100重量部、ジオクチルフタレート60重量部、バリウム亜鉛系複合安定剤2重量部及び黒緑色顔料3.5重量部を加えて調製した混合物を、混錬用6インチロールによって135℃で7分間混錬した後、幅100mm、厚さ0.4mmのシートを作成し、このシートについて50cm2当たりの透明粒子数を計数し、これをフィッシュアイの数とする。
(イ)重合反応開始後、水を追加添加して、反応液の体積減少を防止しないと、発泡が生起するとともに、フィッシュアイが多い重合体となる(比較例1)。
(ロ)上記の発泡とフィッシュアイの発生は、塩化ビニル系単量体を追加添加したときに、特に、著しく生起する(比較例2)。
(ハ)重合反応開始後、水を追加添加すると、反応液の体積減少が防止されるため、発泡は抑えられるが、塩化ビニル系単量体の追加添加時期を誤ると、フィッシュアイは防止し得ない(比較例3〜5)。
(ニ)重合反応開始後、(1)水を追加添加して、反応液の体積減少を防止するとともに、(2)塩化ビニル系単量体の追加添加を特定の時期(重合転化率10〜35%)に行うと、発泡とフィッシュアイの発生が防止することができる(実施例1〜5)。
(ホ)本発明の優れた効果は、上記の2つの手段の併用よる相乗効果により達成されたものと推察される。
Claims (4)
- 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合体を製造するに際し、反応開始後に、水を添加して反応中の反応液の体積変動を防止するとともに、塩化ビニル系単量体の追加添加を重合転化率が15〜35%に達した時のみで行うが、水と塩化ビニル系単量体以外の成分は添加しないことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 反応液の体積の維持が、0.9〜1.1V(反応開始時の反応液の体積V)の範囲内で行われるものである請求項1記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 塩化ビニル系単量体の追加添加量が、反応開始時の塩化ビニル系単量体100重量部に対し、1〜20重量部である請求項1又は2記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 重合反応が、還流凝縮器による除熱方式を用いて行われるものである請求項1、2又は3記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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