JP2545750B2 - 直鎖状サーファクチン - Google Patents

直鎖状サーファクチン

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JP2545750B2
JP2545750B2 JP6225448A JP22544894A JP2545750B2 JP 2545750 B2 JP2545750 B2 JP 2545750B2 JP 6225448 A JP6225448 A JP 6225448A JP 22544894 A JP22544894 A JP 22544894A JP 2545750 B2 JP2545750 B2 JP 2545750B2
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オスマン モハマド
裕 石上
靖子 石塚
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性または油溶性の界
面活性剤として、またラクトン型シクロヘプタペプチド
構造のサーファクチンの前駆体としての生物活性をもつ
直鎖状サーファクチンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、枯草菌 Bacillus subtilis の産
生する界面活性なシクロペプチドリピッド型サーファク
チン[cyclo (L-Glu-L-Leu-D-Leu-L-Val-L-Asp-D-Leu-
L-Leu)の13−メチル−3−テトラデカノリド誘導
体]が、垣沼淳司、有馬啓[武田研究所報告、28,140
(1969)]によって見出され、抗菌、溶血、血液凝固反
応阻害、蛋白変性阻害及び大きい界面活性などの作用が
報告された。その後、化学構造の類似したサーファクチ
ン同族体が見出され[D.G,Cooper,J.E.Zajic,Advances
in Appl.Microbiol., 26,229(1980)]、またサーファク
チンのイオノホア作用、カルシウムイオン等金属イオン
の捕捉作用、生体膜へのチャンネル形成作用、抗コレス
テロール蓄積作用、c-AMP ホスホジエステラーゼに対す
る作用阻害などが明らかにされてきた。このように、サ
ーファクチンはその有用な作用のために利用され、ま
た、応用が試みられている。本発明者はこのような研究
を踏まえ Bacillus subtilis の産生するサーファクチ
ンの化学構造と特性との相関の解明を目指して鋭意研究
を進めた結果、サーファクチンのラクトン環(分子内エ
ステル)構造が加水分解して開環した直鎖状ヘプタペプ
チド構造が新しい機能を示すことを見出し、直鎖状サー
ファクチン[(L-Glu-L-Leu-D-Leu-L-Val-L-ASp-D-Leu-
L-Leu )の3−ヒドロキシ−13−メチルテトラデカン
酸]を開発するに至った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、バイオサー
ファクタントとして有用な新規な直鎖状サーファクチン
を提供することをその目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の枯草菌の生
産物であるイソペンタデカノイルシクロヘプタペプチジ
ルラクトンの分子内エステルの加水分解物が、大きい界
面活性やカルシウムイオン捕捉作用、さらにサーファク
チンの前駆体としての作用を有することを見出し、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、バチル
ス属に属し、サーファクチンを生産する能力を有する枯
草菌を栄養培地に培養して産生したサーファクチンの分
子内エステルの完全加水分解物からなる直鎖状サーファ
クチンが提供される。すなわち本発明は、(1)下記式
で示される直鎖状サーファクチン、
【0005】
【化2】
【0006】及び(2)(1)項記載の直鎖状サーファ
クチンを含有する界面活性剤を提供するものである。
【0007】本発明の直鎖状サーファクチンは、バチル
ス属に属し、サーファクチンを生産する能力を有する枯
草菌を栄養培地に培養して生産したサーファクチンを原
料とし、これを加水分解することにより得ることができ
る。前記サーファクチンを得るための培養条件について
は前記垣沼らの研究報告に詳述されている。
【0008】本発明による直鎖状サーファクチンは分子
内エステル結合(ラクトン環)を有しないもので両親媒
性を示す。このものは、前記サーファクチンの分子内エ
ステルを完全加水分解することによって得ることができ
る。
【0009】前記サーファクチンの加水分解は、通常の
方法で行うことができ、例えば水酸化ナトリウムや水酸
化アンモニウムを触媒として用いる事により容易に行う
ことができる。より詳しくは、加水分解は10℃以上で
行うのが好ましく、例えば、サーファクチンを上記アル
カリの存在下にpH10以上で10時間、望ましくはp
H13で30℃にて6時間加水分解することにより実施
できる。
【0010】
【発明の効果】本発明の直鎖状サーファクチンは、両親
媒性で、かつ大きい界面活性作用を示し、pHに応じて
水溶性または油溶性を示すので、バイオサーファクタン
トとして有利に用いることができる。また、本発明によ
る直鎖状サーファクチンは、優れた界面活性作用を示す
他、疎水性物質に対し親和性を示し、カルシウムイオン
捕捉作用を有するので、特殊機能界面活性剤として利用
でき、生体物質の抽出やサーファクチンの前駆体として
使用することができる。
【0011】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 環状サーファクチン10mgを20ml容のふた付きガラス瓶に
入れ、2N NH4 OH、4mlを加え、ふたで密閉し、
湯浴にて37℃で4日間放置し、さらに窒素ガスを吹き込
んでアンモニアを除いた。さらに、ジエチルエーテルを
加えて可溶部を取り、ジエチルエーテルを留去した後減
圧下で乾燥すると94%の収率で直鎖状サーファクチンを
得た。HPLC分析[Waters社マルチフルイドシステム(U
6K);UVディテクター(フォトダイオードアレイ9
91型);カラムμBondasphereC18-100 Å,5m ;溶離
液アセトニトリル・K2 HPO4 (50/50v/v,pH6.5);
流速2ml/min]を行い、環状サーファクチンよりも小さ
い保持時間に単一ピークが得られ、次のようなFAB-MSス
ペクトルを示したことから、(L-Glu-L-Leu-D-Leu-L-Va
l-L-Asp-D-Leu-L-Leu )の3−ヒドロキシ−13−メチ
ルテトラデカン酸であることが確かめられた。
【0012】
【化3】
【0013】この結果から、次のスキームの反応が進行
したものと考えられた。
【0014】
【化4】
【0015】なお、IR分析(KBr 錠剤法)によっても
サーファクチンのラクトン環の1732cm-1の吸収(大環
状ラクトンのため通常のエステル結合の位置にある)は
消失し、1738cm-1に新たに遊離のカルボキシル基の吸
収が出現した。得られた直鎖状サーファクチンは、水に
不溶で、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、
クロロフォルムなどに可溶である。アルカリ性では水に
易溶となり、pH 7.3の食塩を含むリン酸緩衝液(組成:
NaCl 8.0 g,KH2 PO4 0.2 g,Na2 HP
4 1.15g,KCl 0.2 g/リットル 蒸留水)で
直鎖状サーファクチンの0.1 %水溶液を調製すると、そ
の表面張力は32.2mN/m(30℃)であった。
【0016】実施例2 実施例1において、2N NH4 OHの代わりに1N
NaOH 8mlを加え、同様に処理すると、87%の収率
で直鎖状サーファクチンが得られた。HPLC及びIR分析に
より実施例1と全く同一の直鎖状サーファクチンである
ことが確かめられた。
【0017】実施例3 実施例1において、2N NH4 OHの代わりに3N
NaOHを加え、同様に処理すると、64%の収率で直鎖
状サーファクチンが得られた。HPLC及びIR分析により実
施例1と全く同一の直鎖状サーファクチンであることが
確かめられた。
【0018】実施例4 実施例1において、2N NH4 OHの代わりに6N
塩酸4mlを加え、同様に処理すると、56%の収率で直
鎖状サーファクチンが得られた。HPLC及びIR分析により
実施例1と全く同一の直鎖状サーファクチンであること
が確かめられた。
【0019】実施例5 実施例1〜4により調製した直鎖状サーファクチンを10
μM ANS(8-アニリノ-1- ナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム)を含むPBS(pH 7.35)緩衝液に溶解し、蛍光分光光度
計を用いて励起光360nm の波長の光で励起し、480nm の
蛍光強度と直鎖状サーファクチン濃度の関係をプロット
した。このANS の蛍光強度対直鎖状サーファクチンの濃
度曲線を図1に示す。図1のA 点で濃度曲線が飛躍的に
急上昇することから、A 点の濃度である1.28×10-5M を
直鎖状サーファクチンの界面活性剤構造に基づく臨界ミ
セル濃度(cmc )と認め、ミセル形成を確認した。A 点
からB 点の領域は直鎖状サーファクチン分子の会合数が
徐々に増加する領域である。B 点(1.30 ×10-4M)以上の
濃度では大きな会合体の形成されることが分かる。
【0020】実施例6 実施例5において、図1のA 点の濃度を含むcmc 以上の
濃度でβ- シート構造を形成した。一方、カルシウムイ
オン電極を用いるカルシウムイオン濃度の測定により、
図1のB 点以上の濃度で直鎖状サーファクチンがほぼ1
対1の比率でカルシウムイオンを包接することを確かめ
た。ところが、円偏光二色性スペクトル(CD)測定を行
ったところ図2のような結果を得、直鎖状サーファクチ
ンがそのcmc 以下の濃度ではα- ヘリックス構造に変化
することが分かった。この時、直鎖状サーファクチンは
カルシウムイオンに対して包接作用を示さなかった。こ
れらの結果から、直鎖状サーファクチンは生体内におけ
るカルシウムイオン濃度のコントロールに関与すること
によって生理活性を発揮することができ、またカルシウ
ムイオンの抽出分離剤として使用することが可能である
ことが分かる。即ち、直鎖状サーファクチンがcmc 以上
の濃度でカルシウムイオンを捕捉した後、cmc 以下に希
釈することによりカルシウムイオンを抽出分離すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ANS の蛍光強度対直鎖状サーファクチンの濃度
曲線(PBS,pH 7.35)である。
【図2】直鎖状サーファクチンのPBS (pH7.35)溶液中
における円偏光二色性(CD)スペクトルの濃度依存性を示
すグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で示される直鎖状サーファクチ
    ン。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の直鎖状サーファクチンを
    含有する界面活性剤。
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