JP2532168B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの製造方法

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JP2532168B2
JP2532168B2 JP2418969A JP41896990A JP2532168B2 JP 2532168 B2 JP2532168 B2 JP 2532168B2 JP 2418969 A JP2418969 A JP 2418969A JP 41896990 A JP41896990 A JP 41896990A JP 2532168 B2 JP2532168 B2 JP 2532168B2
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acid
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清文 遠山
一雄 山形
寅之助 斉藤
博記 角町
大志郎 岸本
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SANKO KAIHATSU KAGAKU KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
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SANKO KAIHATSU KAGAKU KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性エラストマーと
しての性質を有し、高重合度で機械的物性に優れ、しか
も成形時熱安定性に優れたポリエステルの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性
を示し、しかも成形可能なため、各種工業用品に広く用
いられている。特に、p-ターフェニルもしくはp-クォー
ターフェニル骨格を有するジヒドロキシもしくはモノヒ
ドロキシ化合物を構成成分とするポリエステルは、この
ヒドロキシ化合物の結晶状態から液晶状態への転移点
(融点)が、その特徴ある分子構造を反映して極めて高
いため、非常に強固で耐熱性の高い物理的架橋を有し、
耐熱性及び機械的物性に優れた熱可塑性エラストマーを
得ることができ、本出願人はこのポリエステルに関する
発明を既に出願した(例えば、特願平1-235374号、特願
平1-263476号)。
【0003】ところで、このような機械的物性に優れた
高重合度ポリエステルを製造するために、従来は特願平
1-235374号に示すように、ジカルボン酸の低級エステル
と脂肪族ジオールとをヒドロキシ化合物が溶融しない温
度でエステル交換反応を行い、そのエステル交換反応が
終了した後、反応温度を昇温してヒドロキシ化合物を溶
解させ、次にヒドロキシ化合物が析出しない範囲の温度
まで降温して、この温度でさらにエステル交換反応を行
い、この後重縮合していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法で
は、高重合度のポリエステルを得るには重縮合反応に長
時間が必要である。重縮合時間が長くなると、例えば、
末端カルボン酸が増加するなどの構造欠陥が生じるた
め、成形時の熱安定性に悪影響を及ぼすという欠点があ
った。このように、従来の方法では高重合度のポリエス
テルは得られるが、成形時の熱安定性が劣るという問題
が残っていた。
【0005】本発明は上記欠点を解決するためになされ
たものであり、その目的とするところは、熱可塑性エラ
ストマーとしての性質を有し、高重合度で機械的物性に
優れ、しかも成形時熱安定性に優れているポリエステル
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルの
製造方法は、一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
カルボン酸、脂肪族ジオール、および一般式が下式〔I
I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
か一方のヒドロキシ化合物を主成分とするポリエステル
を製造するにあたり、該脂肪族ジカルボン酸およびその
誘導体のうち少なくとも一種、該脂肪族ジオールおよび
その誘導体のうち少なくとも一種、および該ヒドロキシ
化合物およびその誘導体のうち少なくとも一種、を溶融
重合または溶液重合させてポリマーを得た後、該ポリマ
ーを固相重合に供することを特徴とし、そのことにより
上記目的が達成される。上記脂肪族ジカルボン酸の誘導
体には、その低級エステル、そのハロゲン化合物が含ま
れ、脂肪族ジオールの誘導体には、その金属アルコラー
ト、そのアセチル化物が含まれ、ヒドロキシ化合物の誘
導体には、その金属アルコラート、そのアセチル化物が
含まれる。
【0007】HOOC-(CH2)n-COOH 〔I〕(式
中、n は0〜10の整数を示す。)
【0008】
【化1】
【0009】(式中、R1、R2は独立的にアルキレン基
を示し、pは3または4であり、q、rは独立的に0ま
たは1である。)。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R3はアルキレン基を示し、l は
2または3であり、mは0または1である。)。
【0012】上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数
が10を超えるジカルボン酸を用いると、ポリエステルか
ら得られる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸
としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、スベリン酸およびセバチン酸が
好適に用いられる。
【0013】上記脂肪族ジオールとしては、グリコール
及びポリアルキレンオキシドがあげられる。上記グリコ
ールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジ
オール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オ
クタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジ
オール、シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサ
ン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シク
ロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタ
ノール等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
【0014】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレン
オキシド等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。ポリアルキレンオキ
シドの数平均分子量は、小さくなると生成するポリエス
テルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなりすぎ
ると得られたポリエステルの熱安定性等の物性が低下す
るので、100〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜
5,000である。
【0015】上記式〔II〕で表わされるジヒドロキシ化
合物は液晶性を示す低分子化合物であって、アルキレン
基R1およびR2はエチレン基又はプロピレン基が好まし
く、qおよびrは0又は1であり、4,4''-ジヒドロキシ
-p-ターフェニル、4,4'''-ジヒドロキシ-p-クォーター
フェニル、4,4'''-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォー
ターフェニル等が好適に使用される。
【0016】4,4''-ジヒドロキシ-p-ターフェニルの結
晶状態から液晶状態への転移温度は260 ℃で、4,4'''-
ジヒドロキシ-p-クォーターフェニルのそれは336 ℃、
そして4,4'''-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォータ
ーフェニルのそれは403 ℃である。尚、液晶状態とは、
化合物が溶融状態であって、また分子が配向状態を保持
している状態をいう。上記各ジヒドロキシ化合物〔II〕
はそれぞれ単独で使用しても良く、あるいは併用しても
良い。
【0017】液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記
したように4,4''-ジヒドロキシ-p-ターフェニル、4,
4'''-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル及び4,4'''-
ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォーターフェニル等は
その結晶から液晶状態への転移点が高いために、これら
のジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー鎖中に組み込ま
れた場合、そのポリマーは特異な性質を示す。すなわ
ち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し、しかも
その転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔II〕の配
合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理的架橋を
形成する。その結果、ソフトセグメントに由来する柔軟
性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラストマー
が得られるものと推察される。
【0018】上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化
合物は、パラフェニレン骨格を有する剛直性の低分子化
合物であり、その特徴ある分子構造を反映してこれらの
化合物の融点は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格
は低分子液晶化合物のメソゲンとして有効であることが
知られており、これは該骨格が固体状態のみならず高温
状態(溶融状態)においても、強い凝集力を有している
ことを示すものである。従って、上記のモノヒドロキシ
化合物〔III〕をポリマー末端に組み込んだ場合、 非常
に強固で耐熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に
優れた熱可塑性エラストマーが生成する。
【0019】上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化
合物においては、R3はエチレン基またはプロピレン基
が好ましく、mは0または1である。上記モノヒドロキ
シ化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ-p-ターフェ
ニル、4-ヒドロキシ-p-クォーターフェニル、4-(2-ヒド
ロキシエトキシ)-p-ターフェニル、4-(2-ヒドロキシエ
トキシ)-p-クォーターフェニル等があげられる。モノヒ
ドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ単独で使用しても
良く、あるいはそれらを併用しても良い。
【0020】上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジ
オールおよびジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキ
シ化合物〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりな
るポリエステルに、2個の水酸基を有するポリシリコー
ンや、ラクトンや、芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成
成分として含有させてもよい。
【0021】上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有
するものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシ
リコーンが好ましく、たとえば、分子の両末端に2個の
水酸基を有するジメチルポリシロキサン、ジエチルポリ
シロキサン、ジフェニルポリシロキサン等があげられ
る。ポリシリコーンの数平均分子量は、小さくなると生
成するポリエステルに柔軟性を付与する能力が低下し、
大きくなるとポリエステルの生成が困難になるので、10
0〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜5,000であ
る。
【0022】上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と
反応し、脂肪族鎖を付加するものであって、ポリエステ
ルに柔軟性を付与するものであり、環の中に4個以上の
炭素原子を有するものが好ましく、より好ましくは5員
環〜8員環であり、例えばε-カプロラクトン、δ-バレ
ロラクトン、γ-ブチロラクトン等があげられる。
【0023】上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリ
エステルに剛性や液晶性を付与するものであり、サリチ
ル酸、メタヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香
酸、3-クロロ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-ブロモ-4-ヒド
ロキシ安息香酸、3-メトキシ-4-ヒドロキシ安息香酸、3
-メチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-フェニル-4-ヒドロ
キシ安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、4-ヒドロ
キシ-4'-カルボキシビフェニル等があげられ、好ましく
は、パラヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフト
エ酸、4-ヒドロキシ-4'-カルボキシビフェニルである。
【0024】さらに、上記ポリエステルに、ポリエステ
ルの機械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化
合物〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸
を構成成分として含有させてもよい。
【0025】上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノ
ン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキ
ノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メ
トキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4'-
ジヒドロキシビフェニル、4,4'-ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルサルファイ
ド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒ
ドロキシベンゾフェノン、4,4'-ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1-ジ (4-ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1,2-ビス (4-ヒドロキシフ
ェノキシ)エタン、1,4-ジヒドロキシナフタリン、2,6-
ジヒドロキシナフタリン等があげられる。
【0026】上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、5-スルホイソフタル酸の金属
塩、4,4'-ジカルボキシビフェニル、4,4'-ジカルボキシ
ジフェニルエーテル、4,4'-ジカルボキシジフェニルサ
ルファイド、4,4'-ジカルボキシジフェニルスルホン、
3,3'-ジカルボキシベンゾフェノン、4,4'-ジカルボキシ
ベンゾフェノン、1,2-ビス (4-カルボキシフェノキシ)
エタン、1,4-ジカルボキシナフタリン、または 2,6-ジ
カルボキシナフタリン等があげられる。
【0027】上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエステルは、
ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量が、少なくなると耐
熱性が低下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低
下し、熱可塑性エラストマーとしては不適当になるの
で、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエ
ステルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好ま
しく、より好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好
ましくは1.0 〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオ
ールとしてポリアルキレンオキシドやポリシリコーンを
使用する場合、その構成単位を1モノマーとして数え
る。即ち、重合度10のポリエチレンオキシドは10モノマ
ーとして数える。
【0028】また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕
と脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエ
ステルは、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少
なくなると耐熱性が低下し、多くなるとポリエステルの
分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなるの
でポリエステルを構成する全モノマー中の0.1 〜20モル
%とするのが好ましい。
【0029】また、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジオールと脂肪族
ジカルボン酸より成るポリエステルは、ジヒトロキシ化
合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕とを合せた
ヒドロキシ化合物の含有量が少なくなると耐熱性が低下
し、多くなると柔軟性の低下および十分な分子量上昇が
得られないため、ポリエステルを構成する全モノマー中
の0.1〜30モル%とするのが好ましい。この際のジヒド
ロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕の
割合は、0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす
範囲が好ましい。
【0030】以上のような構成成分から成るポリエステ
ルを製造するには、まず溶融重合または溶液重合により
ポリマーを得る。溶融重合または溶液重合としては、例
えば、ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオー
ル、ジヒドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含
めるものとする)とを直接反応させる方法、ジカルボ
ン酸の低級エステルとジオール成分とをエステル交換を
利用して反応させる方法、ジカルボン酸のハロゲン化
物とジオール成分をピリジンなどの適当な溶媒中で反応
させる方法、ジオール成分の金属アルコラートをジカ
ルボン酸のハロゲン化物と反応させる方法、ジオール
成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエステル交換を
利用して反応させる方法、等があげられる。
【0031】上記の方法を用いる場合、ジオール成
分、ジカルボン酸またはオキシ酸を反応が終了するまで
に反応系に添加するのが好ましい。上記の方法を用い
る場合、ジカルボン酸の低級エステルまたはジオール成
分をエステル交換反応が終了するまでに反応系に添加す
るのが好ましい。上記の方法を用いる場合、ジカルボ
ン酸のハロゲン化物またはジオール成分を反応系に添加
するのが好ましい。上記の方法を用いる場合、ジオー
ル成分を金属アルコラートにして反応させる、あるいは
ジカルボン酸をハロゲン化物にして反応させるのが好ま
しい。上記の方法を用いる場合、ジオール成分のアセ
チル化物またはジカルボン酸をエステル交換反応終了ま
でに添加するのが好ましい。
【0032】溶融重合あるいは溶液重合において、一般
にポリエステルを製造する際に使用されている触媒を用
いてよい。この触媒としては、リチウム、ナトリウム、
カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、
コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ヒ素、
セリウム、ホウ素、カドミウム、マンガンなどの金属、
その有機金属化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、金
属酸化物等があげられる。
【0033】特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジ
アシル第一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサ
イド、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、
錫ジオクタノエート、錫テトラアセテート、トリイソブ
チルアルミニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲ
ルマニウム、および三酸化アンチモンである。これらの
触媒は二種以上併用してもよい。またこれらの添加時期
は重縮合開始前であればいつでもよい。
【0034】溶融重合および溶液重合においては、高温
で長時間反応(直接エステル化反応またはエステル交換
反応及び重縮合反応)を行わせる必要はなく、極限粘度
〔η〕:0.5〜1.0のポリマーを生成させるのが好まし
い。なお、この極限粘度〔η〕は、オルトクロロフェノ
ール中、30℃で測定した値である。この範囲より小さく
なると、後の固相重合で充分な高分子量を得るためには
長時間が必要となり好ましくない。また、この範囲より
大きいポリマーを得ようとすると、ポリマーの熱劣化に
より末端カルボン酸の増加などが生じるので適当でな
い。さらに、目的とする極限粘度を有するポリマーを得
るためには、重合とともに副生する水や、アルコール、
グリコールなどを効率よく留出させる必要があり、反応
系を重合後期に1torr以下に減圧することが好ましい。
反応温度は一般に150〜350℃である。次に、溶融重合ま
たは溶液重合により得られたポリマーを固相重合に供す
る。この固相重合では、溶融重合または溶液重合によっ
て得られたポリマーを薄片または粉末にしておくのが好
ましい。ポリマーを薄片または粉末にするには、ポリマ
ーをその軟化点以下に冷却した後、機械的に粉砕すれば
よく、このようにすることによって、充分な高分子量の
ポリエステルを得ることができる。固相重合の際の反応
温度は150℃〜240℃が好ましい。この範囲より低いと充
分な高分子量のポリエステルが得られず、またこの範囲
より高いと、ポリエステルの成形時熱安定性が悪くな
る。反応時間は5〜24時間が好ましく、この範囲より短
いと充分な高分子量のポリエステルが得られない。ま
た、この範囲より長くなってもポリエステルの物性に悪
影響を及ぼさないが生産効率が低下するので好ましくな
い。反応系内は0.1torr以下の減圧状態とし、もしくは
窒素で置換するのが好ましい。
【0035】上記溶融重合、溶液重合または固相重合の
際には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安
定剤等の各種安定剤が使用されてよい。
【0036】ヒンダードフェノール系酸化防止剤として
は、例えば、トリエチレングリコールビス〔3-(3-t-ブ
チル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジブチル-4
-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス
〔メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシハイドロシ
ンナメート)〕メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'-ヘキ
サメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ
シンナマミド)、3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル
フォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5-トリメチ
ル-2,4,6-トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、ビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベン
ジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-
ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、3,9
-ビス〔2-(3-(3-tブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル〕-2,4,8,
10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,1,3-トリ
ス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタ
ン、2,2-ビス〔4-(2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシハ
イドロシンナモイロキシ))エトキシフェニル〕プロパ
ン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等があげられ
る。 上記リン系安定剤としては、例えば、トリス(ノ
ニルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスフ
ァイト、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホ
スファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフ
ェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシル
ホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、
トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のホ
スファイト化合物;ジステアリルペンタエリスリトール
-ジ-ホスファイト、ジオクチルペンタエリスリトール-
ジ-ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトール-
ジ-ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペン
タエリスリトール-ジ-ホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-
ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ
−ホスファイト等のペンタエリスリトール−ジ−ホスフ
ァイト化合物;テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニ
ル)-4,4'-ビフェニレンフォスフォナイト等があげられ
る。 また、本発明のポリエステルの製造時または製造
後に実用性を損なわない範囲で以下の添加剤が添加され
てもよい。
【0037】(i)無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボ
ロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、アモロファ
ス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等。
【0038】(ii)有機繊維:アラミド繊維等。
【0039】(iii)無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化
チタン、マイカ、タルク等。
【0040】(iv)難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカ
ン、トリス-(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、
ペンタブロモフェニルアリルエーテル等。
【0041】(v)紫外線吸収剤:p-tert-ブチルフェニル
サリシレート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノ
ン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2'-カルボキシベンゾフ
ェノン、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン等。
【0042】(vi)酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソ
ール、ブチルヒドロキシトルエン、ジステアリルチオジ
プロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤等。
【0043】(vii)帯電防止剤:N,N-ビス(ヒドロキシ
エチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネー
ト、アルキルスルファネート等。
【0044】(viii)無機物:硫酸バリウム、アルミナ、
酸化珪素等。
【0045】(ix)高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム
等。
【0046】(x)その他の有機化合物:ベンジルアルコ
ール、ベンゾフェノン等。
【0047】(xi)結晶化促進剤;高結晶化したポリエチ
レンテレフタレート、ポリトランス−シクロヘキサンジ
メタノールテレフタレート等。
【0048】さらに、本発明のポリエステルは、他の熱
可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフ
ィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、
ポリスルフォン、ポリエステル等と混合し、あるいはゴ
ム成分と混合してその性質を改質して使用してもよい。
【0049】本発明のポリエステルは、耐熱性に優れた
エラストマーとして使用することができ、プレス成形、
押出成形、射出成形、ブロー成形等の溶融成形方法によ
り成形品とされる。成形品の物性はその構成成分及びそ
の配合割合等によって任意に変化させることができ、自
動車部品、ホース、ベルト、パッキンなどの柔軟性と耐
熱性が要求される成形品や、塗料、接着剤等に好適に用
いることができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。
【0051】実施例1 (A)ポリエステルの合成 攪拌機、温度計、ガス吹き込み口及び蒸留口を備えた内
容積1リットルのガラス製フラスコに、アジピン酸ジメ
チル348.4g(2.0mol)、エチレングリコール290.0g(5.0mo
l)、4,4'''-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル(DH
Q)、触媒として酸化アンチモン0.2gおよび酢酸カルシ
ウム0.44g、および安定剤として1,3,5-トリメチル-2,4,
6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン0.4gおよびトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)
フォスファイト0.4を仕込んだ。フラスコ内を窒素で置
換した後に200℃で2.0時間保ち、エステル交換反応を行
った。この反応中、反応混合物からメタノールが留出し
た。次いで、この反応系を30分間で320℃まで昇温し、3
0分間攪拌した後300℃に降温し、1torr以下に減圧し、
この状態で1.5時間重縮合反応を行った。反応とともに
エチレングリコールが留出し、フラスコ内には極めて粘
稠な液体が生成した。次に、この生成物を冷却して固化
した後粉砕した。ポリマーの粉末を真空乾燥機に入れ、
200℃、0.1torr以下の減圧下で20時間固相重合を行っ
た。
【0052】この後、得られたポリマーの極限粘度を測
定した。極限粘度〔η〕は、オルトクロロフェノール
中、30℃で測定した。また、成形時熱安定性を評価する
ためにこのポリマーを100℃で5時間乾燥させ、島津製
作所、フローテスターCFT-500に240℃で30分間滞留させ
た後サンプルを取り出し、そのサンプルの極限粘度
〔η〕を測定した(試験荷重100Kg、ダイ直径1mm、ダ
イ長さ10mm)。これらの結果を表1に示す。
【0053】また、得られたポリマーを射出圧1500Kg/c
m2、金型温度70℃、シリンダ温度220℃でインジェクシ
ョン成形して2mm厚の平板を作製し、次いでJIS K-6301
に準拠して3号形ダンベル試験片を打ち抜いた。このダ
ンベル試験片の引張破断強度および引張破断伸びを、引
張速度50mm/min.、室温、100℃の温度条件下でそれぞれ
測定した。これらの結果を表2に示す。
【0054】比較例1 実施例1と同様にして溶融重合し、固相重合は行わなか
った。得られたポリマーについて実施例1と同様の方法
で各物性を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0055】比較例2 従来の方法で高重合度のポリマーを得るために、重縮合
反応を3.5時間行ったこと以外は、実施例1と同様にし
て溶融重合し、固相重合は行わなかった。得られたポリ
マーについて実施例1と同様の方法で各物性を測定し
た。結果を表1及び表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、溶融重合または溶液重
合の際には、直接エステル化反応および/またはエステ
ル交換反応とそれに続く重縮合反応が行われるが、特に
重縮合反応において長時間高温に保持する必要がないの
で、構造欠陥の少ないポリマーが得られ、そして、固相
重合において比較的低温で鎖延長させることにより、構
造欠陥を生じることなく充分高分子量のポリエステルを
得ることができる。従って、高重合度で機械的物性に優
れ、しかも成形時熱安定性に優れたポリエステルを得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族
    ジカルボン酸、脂肪族ジオール、および一般式が下式
    〔II〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕
    で表わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともい
    ずれか一方のヒドロキシ化合物を構成成分とするポリエ
    ステルを製造するにあたり、該脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体のうち少なくと
    も一種、該脂肪族ジオールおよびその誘導体のうち少な
    くとも一種、および該ヒドロキシ化合物およびその誘導
    体のうち少なくとも一種、を 溶融重合または溶液重合
    せてポリマーを得た後、該ポリマーを固相重合に供する
    ことを特徴とするポリエステルの製造方法: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) 【化1】 (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは
    3または4であり、q、rは独立的に0または1であ
    。)。 【化2】 (式中、R3はアルキレン基を示し、l は2または3で
    あり、mは0または1である。)。
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