JP2551663B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステルの製造方法

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JP2551663B2
JP2551663B2 JP1235373A JP23537389A JP2551663B2 JP 2551663 B2 JP2551663 B2 JP 2551663B2 JP 1235373 A JP1235373 A JP 1235373A JP 23537389 A JP23537389 A JP 23537389A JP 2551663 B2 JP2551663 B2 JP 2551663B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し,
耐熱性,機械的強度および成形加工性に優れている脂肪
族ポリエステルを安定して製造する方法に関するもので
ある。
(従来の技術) 一般に,材料がゴム弾性を示すためには,分子鎖回転
の容易な無定形高分子が部分的に架橋されていることが
必要である。例えば,弾性を有するゴムでは硫黄分子が
分子鎖間を化学結合により橋架けして網目構造を形成し
ている。また,ゴム以外にも,種々の高分子化合物と架
橋剤とを組み合わせた材料が提案されている。これらの
材料を成形するためには架橋工程を必要とし,また化学
的に架橋された後では,熱可塑性を示さないので,架橋
された材料を射出成形や押し出し成形によって成形する
ことはできない。
近年,常温でゴム弾性を示し,かつ高温では可塑化さ
れる熱可塑性エラストマーが開発され,種々のタイプの
熱可塑性エラストマーが製造,市販されている。この熱
可塑性エラストマーは従来のゴムのような長時間の架橋
工程が不要であり,射出成形や押し出し成形によって成
形することができる。熱可塑性エラストマーの分子構造
の特徴は,強固な化学的結合によらない架橋,すなわ
ち,常温付近でのみ有効な何らかの高分子間拘束を施す
システムにあり,ソフトセグメントとハードセグメント
とからなる高分子集合体というのが熱可塑性エラストマ
ーの典型的な構造である。ソフトセグメントとハードセ
グメントは互いに化学構造が異なり,両者の混成組成に
おいては,同質部分がそれぞれ凝集し,異質部分が互い
に相分離したミクロ的不均衡構造を形成することにな
り,その際ハードセグメントの凝集部分が上記分子間の
拘束作用を示すのである。
熱可塑性エラストマーとしては,例えば,スチレン
系,オレフィン系,ウレタン系,エステル系,アミド系
などがある。スチレン系ではハードセグメントとしてポ
リスチレンが凍結相を形成して分子鎖間を拘束し,その
結果ゴム弾性を発揮する。オレフィン系ではハードセグ
メントとしてポリプロピレンの結晶相が作用する。ま
た,ウレタン系ではポリウレタンセグメントが水素結合
によって分子鎖間の物理的な架橋をもたらす。また,エ
ステル系ではポリブチレンテレフタレート鎖が,アミド
系では6−ナイロン,6,6−ナイロン等のナイロン鎖がハ
ードセグメントとして働く。
(発明が解決しようとする課題) このように,熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性
を示し,しかも成形可能なため,自動車部品や各種工業
用品に広く用いられている。しかし,これまでの熱可塑
性エラストマーは,架橋タイプのゴムに比べて架橋を物
理的拘束によって行うためにその部分の軟化溶融点に制
約を受けて耐熱性が低く,またクリープ特性も劣ったも
のとなっていた。例えば,熱可塑性エラストマーの中で
も最も耐熱性の高いエステル系タイプとして知られてい
る東洋紡(株)製ペルプレンS−9001においても、融点
223℃,熱変形温度(低荷重)146℃であり,ウレタン系
においても,その軟化点はせいぜい140℃である。
p−ターフェニルもしくはp−クォーターフェニル骨
格を有するジヒドロキシもしくはモノヒドロキシ化合物
を構成成分とする脂肪族ポリエステルは,このヒドロキ
シ化合物の結晶状態から液晶状態への転移点(融点)
が,その特徴ある分子構造を反映して極めて高いため,
非常に強固で耐熱性の高い物理的架橋を有し,耐熱性お
よび機械的物性に優れた熱可塑性エラストマーである。
ところが,これらのヒドロキシ化合物は,各種溶媒や他
の共重合モノマーに極めて溶けにくいので,ヒドロキシ
化合物を用いてポリエステルを合成する際には,重合系
を均一状態に保つために300℃近くもしくはそれ以上の
高温に加熱して長時間重合反応を行うことが必要とな
る。しかし,このようなヒドロキシ化合物が溶融する程
度の高温下で長時間反応を行うと,反応中や反応後の溶
融状態で保持している間に,重合体が熱分解し,着色す
ると共に,重合度が低下するという問題がある。このよ
うにして得られた重合体は,十分高分子化していないの
で,機械的強度,弾性回復率,耐衝撃性等が不十分であ
り,成形品素材として使用することはできず,しかも着
色しているのでその用途が限られたものとなっていた。
本発明はかかる状況に鑑みて成されたものであり,本
発明の目的は,熱可塑性エラストマーとしての性質を有
し,耐熱性及び機械的物性に優れ,しかも成形加工性に
も優れている脂肪族ポリエステルを安定して,しかも着
色することなく製造することができる方法を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは,エステル交換反応及び重縮合反応中及
び反応後において,重合体が熱分解及び着色する度合い
が、使用する触媒の種類に著しく影響されることを見出
し,本発明を完成した。
すなわち本発明の脂肪族ポリエステル製造方法は,一
般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジカルボン酸,脂
肪族ジオール及び一般式が下式〔II〕で表わされるジヒ
ドロキシ化合物と下式〔III〕で表わされるモノヒドロ
キシ化合物のうち少なくともいずれか一方を構成成分と
する脂肪族ポリエステルを製造するにあたり,触媒とし
てゲルマニウム化合物及び金属酢酸塩を併用することを
特徴とし,そのことにより上記目的が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中,nは0〜10の整数を示す。) (式中,R1,R2は独立的にアルキレン基を示し,pは3また
は4であり、q,rは独立的に0または1である。) (式中,R3はアルキレン基を示し,lは2または3であり,
mは0または1である。) 上記脂肪族ジカルボン酸において,炭素数が10を越え
るジカルボン酸を用いると,脂肪族ポリエステルから得
られる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸とし
ては,たとえばシュウ酸,マロン酸,コハク酸,グルタ
ル酸,アジピン酸,スベリン酸,セバチン酸が好適に用
いられる。
上記脂肪族ジオールとしては,グリコール及びポリア
ルキレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は,例えば,エチレングリコール,プロピレングリコー
ル,トリメチレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,3
−ブタンジオール,1,5−ペンタンジオール,1,6−ヘキサ
ンジオール,1,7−ヘプタンジオール,1,8−オクタンジオ
ール,1,9−ノナンジオール,1,10−デカンジオール,シ
クロペンタン−1,2−ジオール,シクロヘキサン−1,2−
ジオール,シクロヘキサン−1,3−ジオール,シクロヘ
キサン−1,4−ジオール,シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール等があげられ,これらは単独で使用されてもよ
く,二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては,例えば,ポリ
エチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド,ポリテト
ラメチレンオキシド,ポリヘキサメチレンオキシド等が
あげられ,これらは単独で使用されてもよく,二種以上
が併用されてもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均
分子量は,小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに
柔軟性を付与する能力が低下し,大きくなりすぎると得
られた脂肪族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下す
るので,100〜20,000が好ましく,より好ましくは500〜
5,000である。
上式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性を
示す低分子化合物であって,アルキレン基R1,R2はエチ
レン基又はプロピレン基が好ましく,q及びrは0又は1
であり、次式〔A〕で表される4,4″−ジヒドロキシ−
p−ターフェニル,次式〔B〕で表される4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニル及び次式〔C〕で表
される4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ク
ォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕の結
晶状態から液晶状態への転移温度は260℃で,4,4−ジ
ヒドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕のそれは33
6℃,4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォ
ーターフェニル〔C〕のそれは403℃である。尚,液晶
状態とは,化合物が溶融状態であって,分子が配向状態
を保持している状態をいう。上記各ジヒドロキシ化合物
〔II〕はそれぞれ単独で使用しても良く,あるいは併用
しても良い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く,上記したように
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕,4,4
−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕及び4,
4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーター
フェニル〔C〕はその結晶から液晶状態への転移点が高
いために,これらのジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマ
ー鎖中に組み込まれた場合,そのポリマーは特異な性質
を示す。
すなわちジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し,
しかもその転移点が高いので,ジヒドロキシ化合物〔I
I〕の配合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理
的架橋を形成する。その結果,ソフトセグメントに由来
する柔軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラ
ストマーが得られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は,パ
ラフェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であ
り,その特徴有る分子構造を反映してこれらの化合物の
融点は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子
液晶化合物のメソゲンとして有効であることが知られて
おり,これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶
融状態)においても,強い凝集力を有していることを示
すものである。従って,上記のモノヒドロキシ化合物
〔III〕をポリマー末端に組み込んだ場合,非常に強固
で耐熱性の高い物理的架橋をもたらし,耐熱性に優れた
熱可塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物におい
ては,R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく,m
は0または1であり,lは2又は3である。上記モノヒド
ロキシ化合物としては,例えば,4−ヒドロキシ−p−タ
ーフェニル,4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル,4
−(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル,4−
(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル
等があげられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は,そ
れぞれ単独で使用しても良く,あるいはそれらを併用し
ても良い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕,脂肪族ジオール,お
よびジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物
〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族
ポリエステルに,2個の水酸基を有するポリシリコーン
や,ラクトンや,芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成成
分として含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは,2個の水酸基を有するものであ
り,2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが好ま
しく,たとえば,分子の両末端に2個の水酸基を有する
ジメチルポリシロキサン,ジエチルポリシロキサン,ジ
フェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシリコー
ンの数平均分子量は,小さくなると,生成するポリエス
テルに柔軟性を付与する能力が低下し,大きくなると,
ポリエステルの生成が困難になるので,100〜20,000が好
ましく,より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは,開環して酸及び水酸基と反応し,脂
肪族鎖を付加するものであって,ポリエステルに柔軟性
を付与するものであり,環の中に4以上の炭素原子を有
するものが好ましく,より好ましくは5員環〜8員環で
あり,例えばε−カプロラクトン,δ−バレロラクト
ン,γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は,ポリエステルに
剛性や液晶性を付与するものであり,サリチル酸,メタ
ヒドロキシ安息香酸,パラヒドロキシ安息香酸,3−クロ
ロ−4−ヒドロキシ安息香酸,3−ブロモ−4−ヒドロキ
シ安息香酸,3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸,3−
メチル−4−ヒドロキシ安息香酸,3−フェニル−4−ヒ
ドロキシ安息香酸,2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸,4−
ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニルなどがあげら
れ,好ましくは,パラヒドロキシ安息香酸,2−ヒドロキ
シ−6−ナフトエ酸,4−ヒドロキシ−4′−カルボキシ
ビフェニルである。
さらに,上記脂肪族ポリエステルに,ポリエステルの
機械的物性等を向上させるために,ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン,レゾルシ
ン,クロロヒドロキノン,ブロモヒドロキノン,メチル
ヒドロキノン,フェニルヒドロキノン,メトキシヒドロ
キノン,フェノキシヒドロキノン,4,4′−ジヒドロキシ
ビフェニル,4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル,
4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド,4,4′−
ジヒドロキシジフェニルスルホン,4,4′−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン,4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン,ビスフェノールA,1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン,1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノ
キシ)エタン,1,4−ジヒドロキシナフタリン,2,6−ジヒ
ドロキシナフタリンなどがあげられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸,イソフ
タル酸,5−スルホイソフタル酸の金属塩,4,4′−ジカル
ボキシビフェニル,4,4′−ジカルボキシジフェニルエー
テル,4,4′−ジカルボキシジフェニルサルファイド,4,
4′−ジカルボキシジフェニルスルホン,3,3′−ジカル
ボキシベンゾフェノン,4,4′−ジカルボキシベンゾフェ
ノン,1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン,
1,4−ジカルボキシナフタリン,または2,6−ジカルボキ
シナフタリンなどがあげられる。
ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂肪族
ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは,ジヒドロ
キシ化合物〔II〕の含有量が,少なくなると耐熱性が低
下し,多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下し,熱
可塑性エラストマーとしては不適当になるので,上記ジ
ヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は,ポリエステルを構
成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好ましく,より
好ましくは0.5〜20モル%であり,さらに好ましくは1.0
〜10モル%である。尚,芳香族以外のジオールとしてポ
リアルキレンオキシドやポリシリコーンを使用する場
合,その構成単位を1モノマーとして数える。即ち,重
合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーとして数え
る。
また,上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステ
ルは,モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なく
なると耐熱性が低下し,多くなると脂肪族ポリエステル
の分子量が十分に上昇せず,物性的に劣ったものとなる
ので脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1
〜20モル%とするのが好ましい。また,上記ジヒドロキ
シ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪
族ジオールと脂肪族ジカルボン酸より成る脂肪族ポリエ
ステルは,ジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ
化合物〔III〕とを合せたヒドロキシ化合物の含有量が
少なくなると耐熱性が低下し,多くなると柔軟性の低下
および十分な分子量上昇が得られないため,脂肪族ポリ
エステルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%とす
るのが好ましい。この際のジヒドロキシ化合物〔II〕と
モノヒドロキシ化合物〔III〕の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
本発明における脂肪族ポリエステルの製造方法は,上
述したエステル交換法を用いる。すなわち,ジカルボン
酸の低級アルキルエステルとジオール成分(脂肪族ジオ
ール,ジヒドロキシ化合物,ヒドロキシ化合物を含める
ものとする)をエステル交換せしめる段階(第一段
階),及び続いて行なう重縮合せしめる段階(第二段
階)を含む製造法である。低級アルキルエステルとして
は,メチルエステル,エチルエステル,プロピルエステ
ル等があげられる。
第一段階においては,主に金属酢酸塩が触媒作用を示
す。金属酢酸塩としては,リチウム,ナトリウム,カリ
ウム,セシウム,マグネシウム,カルシウム,バリウ
ム,ストロンチウム,亜鉛,アルミニウム,チタン,コ
バルト,ゲルマニウム,錫鉛,アンチモン,ヒ素,セリ
ウム,ホウ素,カドミウム,マンガンなどの酢酸塩があ
げられる。特に好ましい金属酢酸塩は,リチウム,カル
シウム,亜鉛,マンガン,コバルトの酢酸塩である。こ
れらの金属酢酸塩は,ジカルボン酸に対して,モル比で
0.0001〜0.01の割合で用いられるのが好ましい。金属酢
酸塩の使用量がモル比0.0001より少ない場合は,エステ
ル交換反応速度が遅いためその反応が実質的に終了する
までに長時間を要し,時間及びエネルギーを損失するば
かりか,好ましくない副反応が起こることも考えられ
る。また,金属酢酸塩の使用量がモル比0.01より多い場
合は,これ以上添加しても触媒効果は大きくならない。
次に,第二段階においては,主にゲルマニウム化合物が
触媒作用を示す。ゲルマニウム化合物としては酸化ゲル
マニウム(GeO2)が好適に使用される。ゲルマニウム化
合物は,ジカルボン酸に対して,モル比0.0001〜0.005
の割合で用いられるのが好ましい。ゲルマニウム化合物
の使用量がモル比0.0001より少ない場合は,重合反応速
度が小さくなるため,その反応が実質的に終了するまで
長時間を要し,時間及びエネルギーを損失するばかり
か,生成するポリマーの分解反応が起こり易くなり,高
分子量のポリマーが得にくいなどの問題がある。またゲ
ルマニウム化合物の使用量がモル比0.005より多い場合
は,触媒効果が大きくならないばかりか,かえって生成
するポリマーが分解し易くなる場合もある。
本発明では,第一段階及び第二段階の反応を効率的に
行なうために,金属酢酸塩及びゲルマニウム化合物を併
用することが不可欠である。いずれか一方の触媒を単独
で使用する場合は上記したように全反応時間がきわめて
長くなり,ポリマーの熱分解等が起こり易くなり,高分
子量のポリマーが得られなかったり,また,好ましくな
い副反応(例えば,ジオール成分同士の縮合)が起こり
易くなり,このために,重合時の分解が起こり易くなっ
て高分子量のポリマーが得られない。上記二種の触媒
は,最初の各モノマーの仕込み時に十分量添加しておく
のが好ましいが,モノマー仕込み時には二種の触媒を少
量しか加えず,反応途中に,上記した範囲内で,必要量
添加することもできる。さらに,反応の第一段階では金
属酢酸塩を添加し,反応の第二段階でゲルマニウム化合
物を添加してもよい。また,エステル交換反応及び重縮
合反応において,重合とともに副生する水や、アルコー
ル,グリコールなどを効率よく留出させ,高分子量のポ
リマーを得るために,反応系を重合後期に1mmHg以下に
減圧することが好ましい。
また,重合中ジヒドロキシ化合物〔II〕の添加順序を
変えることによって得られるポリエステルの構造を規制
することも可能である。例えば,ジヒドロキシ化合物
〔II〕をジカルボン酸および他のジオール成分と一括し
て仕込んだ場合は,ランダム共重合体が得られ易くな
り,重合後期にジヒドロキシ化合物〔II〕を仕込んだ場
合にブロック共重合体が得られ易くなる。また,予め合
成したポリエステルに上記ジヒドロキシ化合物〔II〕あ
るいはジヒドロキシ化合物のアセチル化合物を減圧加熱
下で混練し,脱エチレングリコールあるいはエステル交
換反応によって分子鎖にジヒドロキシ化合物〔II〕に基
づくセグメントを導入することも可能である。
更に,脂肪族ポリエステルの製造時又は製造後に実用
性を損なわない範囲で以下の添加剤が添加されてもよ
い。すなわち,ガラス繊維,炭素繊維,ボロン繊維,炭
化けい素繊維,アルミナ繊維,アモルファス繊維,シリ
コン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維,アラミド繊維
等の有機繊維,炭酸カルシウム,酸化チタン,マイカ,
タルク等の無機充填剤,トリフェニルホスファイト,ト
リラウリルホスファイト,トリフノニルフェニルホスフ
ァイト,2−tert−スチル−α−(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−メニ
ルフェニル)ホスファイト等の熱安定剤,ヘキサブロモ
シクロドデカン,トリス−(2,3−ジクロロプロピル)
ホスフェート,ペンタブロモフェニルアリルエーテル等
の難燃剤,p−tert−ブチルフェニルサリシレート,2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ
−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン,2,
4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等の紫外線吸収
剤,ブチルヒドロキシアニソール,ブチルヒドロキシト
ルエン,ジステアリルチオジプロピオネート,ジラウリ
ルチオジプロピオネート,ヒンダードフェノール系酸化
防止剤等の酸化防止剤,N,N−ビス(ヒドロキシエチル)
アルキルアミン,アルキルアリルスルホネート,アルキ
ルスルファネート等の帯電防止剤,硫酸バリウム,アル
ミナ,酸化珪素などの無機物;ステアリン酸ナトリウ
ム,ステアリン酸バリウム,パルミチン酸ナトリウムな
どの高級脂肪酸塩;ベンジルアルコール,ベンゾフェノ
ンなどの有機化合物;高結晶化したポリエチレンテレフ
タレート,ポリトランス−シクロヘキサンジメタノール
テレフタレート等の結晶化促進剤等があげられる。
さらに,本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエス
テルは,他の熱可塑性樹脂,例えばポリオレフィン,変
性ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリアミド,ポリカ
ーボネート,ポリスルフォン,ポリエステル等と混合
し,あるいはゴム成分と混合してその性質を改質して使
用してもよい。
本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエステルは,
プレス成形,押出成形,射出成形,ブロー成形等により
成形体とされる。成形体の物性は,その構成成分及びそ
の配合割合等によって任意に変化し得る。ポリエステル
を熱可塑性エラストマーとして調製した場合には,成形
体は自動車部品,ホース,ベルト,パッキンなどの柔軟
性を有する成形体や,塗料,接着剤等に好適に用いられ
る。
(実施例) 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 <4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルの合
成> 4−ヒドロキシ−4′−ブロモビフェニル60.0gに,
メタノール100g,10重量%水酸化ナトリウム水溶液300g,
5重量%パラジウム/カーボン13gを加え,120℃,5気圧の
条件下で,4時間反応させることにより,4,4−ジヒドロ
キシ−p−クォーターフェニルのジナトリウム塩を得
た。この固形物にN,N−ジメチルホルムアミドを加え,
加熱濾過して触媒を分離した後,濾液を希硫酸で酸析
し,メタノールで洗浄して,白色結晶性粉末の4,4−
ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル(以下,DHQとす
る)を得た。DHQの液晶転移温度は336℃であった。
<ビス(2−ヒドロキシエチル)アジペート(以下BHEA
とする)の合成> 撹拌機,温度計,ガス吹き込み口及び蒸留口を備えた
内容積1のガラス製フラスコに,アジピン酸ジメチル
174.2g(1.0mol),エチレングリコール148.9g(2.4mo
l),触媒として酢酸カルシウム(0.3×10-3mol)と酸
化ゲルマニウム(6.5×10-4mol),及び酸化防止剤0.8g
を加えた。フラスコ内を窒素で置換した後にフラスコ内
を昇温して180℃で2時間反応させた。反応とともに,
フラスコからメタノールが留出しはじめ,ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)アジペート1molが生成した。
脂肪族ポリエステルの調整; BHEAが生成した上記フラスコに,DHQを0.075mol加え,
フラスコを300℃まで昇温し,この状態で約1時間反応
させた。次に,フラスコの蒸留口を真空器につなぎ,フ
ラスコ内を1mmHg以下に減圧した状態で3.5時間反応させ
た。反応とともにエチレングリコールが留出し,フラス
コ内には極めて粘稠な液体が生成した。
得られた脂肪族ポリエステルの色を目視で観察し,極
限粘度を測定した。極限粘度〔η〕は,オルトクロルフ
ェノール中,30℃で測定した。その結果を表1に示す。
実施例2〜5および比較例1〜4 酢酸カルシウムと酸化ゲルマニウムの添加量及び重合
時間を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同
様にして脂肪族ポリエステルを得た。得られた脂肪族ポ
リエステルの色を観察し,極限粘度を測定した。その結
果を表1に示す。
表1からわかるように,酢酸カルシウム及び酸化ゲル
マニウムを併用した場合には(実施例1〜7),得られ
た脂肪族ポリエステルは着色されていず,極限粘度の値
も比較的高く分子量が高いことが確認された。
(発明の効果) 以上述べたように,本発明の方法を用いることによ
り,着色のない高分子量の脂肪族ポリエステルを短時間
で得ることができる。
このようにして得られた脂肪族ポリエステルは,脂肪
族ジカルボン酸と,脂肪族ジオールから主として構成さ
れた脂肪族ポリエステルに,結晶性が高く,融点の高い
ジヒドロキシ化合物やモノヒドロキシ化合物に基づくセ
グメントが導入されているので,熱可塑性エラストマー
としての性能を有すると共に,耐熱性,力学特性,成形
加工性等がすぐれている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁木 章博 大阪府三島郡島本町百山2番2号 (72)発明者 斉藤 寅之助 大阪府茨木市山手台5丁目17番21号 (72)発明者 角町 博記 大阪府茨木市大手町7番20号 (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウ メヤママンション102 (56)参考文献 ソ連国特許発明186124(SU,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸、脂肪族ジオール、及び一般式が下式〔II〕
    で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表わ
    されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか
    一方を構成成分とする脂肪族ポリエステルを製造するに
    あたり、 触媒としてゲルマニウム化合物及び金属酢酸塩を併用す
    ることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。 HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1であ
    る。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1である。)
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