JP2537563B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステルの製造方法

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JP2537563B2 JP2156267A JP15626790A JP2537563B2 JP 2537563 B2 JP2537563 B2 JP 2537563B2 JP 2156267 A JP2156267 A JP 2156267A JP 15626790 A JP15626790 A JP 15626790A JP 2537563 B2 JP2537563 B2 JP 2537563B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、
耐熱性、機械的強度及び成形加工性に優れている脂肪族
ポリエステルを安定して製造する方法に関する。
(従来の技術) 熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性を示し、しか
も成形可能なため、各種工業用品に広く用いられてい
る、特に、p−ターフェニルもしくはp−クォーターフ
ェニル骨格を有するジヒドロキシもしくはモノヒドロキ
シ化合物を構成成分とする脂肪族ポリエステルは、機械
的物性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得、本出
願人はこの脂肪族ポリエステルに関する発明を既に出願
した(例えば、特願平1−263476号)。
(発明が解決しようとする課題) このような脂肪族ポリエステルは、通常、溶融重縮合
により製造されるが、上記ヒドロキシ化合物(モノヒド
ロキシ化合物および/またはジヒドロキシ化合物を含有
し得る。)は他の共重合モノマー(特に脂肪族系のモノ
マー類)に極めて溶けにくいので、所定の重縮合温度で
は反応系は不均一なままである。かりに、このような不
均一反応系で重縮合反応を行った場合には、生成した脂
肪族ポリエステル中に未反応のジヒドロキシ化合物又は
モノヒドロキシ化合物が残存することとなり、物性上望
ましくない。
従って、ヒドロキシ化合物を用いて脂肪族ポリエステ
ルを製造する際には、重合初期において300℃〜340℃に
加熱し、予めヒドロキシ化合物を系内に溶解させること
により重合系を均一にする必要がある。しかし、脂肪族
系のモノマー類をこのような高温に長時間さらすことは
分解反応を含む種々の副反応を伴うので好ましくない。
さらに、このような過程を経て生成する脂肪族ポリエス
テルは熱安定性に乏しく成形時の分子量低下を伴い耐熱
性、機械的強度等の物性が低下することになる。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、物性が低下することなく、熱可
塑性エラストマーとしての性質を有する脂肪族ポリエス
テルを安定して製造することができる方法を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、製造温度を特に上げることなく脂肪族
ポリエステルが得られる方法について鋭意検討した結
果、重縮合時に重合系に、その重縮合反応に不活性で、
かつその反応温度でヒドロキシ化合物を溶解させること
が可能であり、融点が250℃以下でかつ沸点が250℃以上
の芳香族化合物を共存させることにより、従来よりも低
い温度において系を均一にすることができ、そのため安
定して目的とする脂肪族ポリエステルが製造できること
を見いだした。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法の
製造方法は、一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
か一方からなるヒドロキシ化合物を構成成分とする脂肪
族ポリエステルを重縮合反応により製造するにあたり、
該重縮合反応に不活性で、かつ重縮合温度において該ヒ
ドロキシ化合物を溶解し得、融点が250℃以下で、沸点
が250℃以上の芳香族化合物を共存させることを特徴と
し、そのことにより上記目的が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
り、mは0または1以上の整数を示す。) 上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数が10を越え
るジカルボン酸を用いると、脂肪族ポリエステルから得
られる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸とし
ては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、およびセバチン酸が好適に用い
られる。
上記脂肪族ジオールとしては、グリコール及びポリア
ルキレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリ
メチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シ
クロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−
ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘ
キサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレン
オキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレ
ンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等があげら
れ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用
されてもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均分子量
は、小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに柔軟性
を付与する能力が低下し、大きくなりすぎると得られた
脂肪族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下するの
で、100〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜5,00
0である。
上記式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性
を示す低分子化合物であって、アルキレン基R1およびR2
はエチレン基又はプロピレン基が好ましく、q及びrは
0又は1が好ましく、4,4″−ジヒドロキシ−p−ター
フェニル、4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェ
ニル、4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ク
ォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニルの結晶状態
から液晶状態への転移温度は260℃で、4,4−ジヒドロ
キシ−p−クォーターフェニルのそれは336℃、そして
4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォータ
ーフェニルのそれは403℃である。尚、液晶状態とは、
化合物が溶融状態であって、また分子が配向状態を保持
している状態をいう。上記各ジヒドロキシ化合物〔II〕
はそれぞれ単独で使用しても良く、あるいは併用しても
良い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記したように
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニル及び4,4−ジ(2
−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニルはそ
の結晶から液晶状態への転移点が高いために、これらの
ジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー鎖中に組み込まれ
た場合、そのポリマーは特異な性質を示す。
すなわち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示
し、しかもその転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物
〔II〕の配合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物
理的架橋を形成する。その結果、ソフトセグメントに由
来する柔軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エ
ラストマーが得られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は、パ
ラフェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であ
り、その特徴ある分子構造を反映してこれらの化合物の
融点は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子
液晶化合物のメソゲンとして有効であることが知られて
おり、これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶
融状態)においても、強い凝集力を有していることを示
すものである。従って、上記のモノヒドロキシ化合物
〔III〕をポリマー末端に組み込んだ場合、非常に強固
で耐熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に優れた
熱可塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物におい
ては、R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく、
nは0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物
としては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニ
ル、4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル
等があげられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、そ
れぞれ単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用し
ても良い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジオールおよ
びジヒドロキシ化合物〔II〕と、モノヒドロキシ化合物
〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族
ポリエステルに、2個の水酸基を有するポリシリコー
ン、ラクトン、および芳香族ヒドロキシカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有するもので
あり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが
好ましく、たとえば、分子の両末端に2個の水酸基を有
するジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサ
ン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシ
リコーンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポ
リエスルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなる
と、ポリエステルの生成が困難になるので、100〜20,00
0が好ましく、より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と反応し、脂
肪族鎖を付加するものであって、ポリエステルに柔軟性
を付与するものであり、環の中に4個以上の炭素原子を
有するものが好ましく、より好ましくは5員環〜8員環
であり、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリエステルに
剛性や液晶性を付与するものであり、サリチル酸、メタ
ヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−ク
ロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニ
ル等があげられ、好ましくは、パラヒドロキシ安息香
酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルである。
さらに、上記脂肪族ポリエステルに、ポリエステルの
機械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾル
シン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチ
ルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒド
ロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒ
ドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタ
リン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等があげられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4′
−ジカルボキシジフェニル、4,4′−ジカルボキシジフ
ェニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルサル
ファイド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、
3,3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボ
キシベンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェ
ノキシ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリン、また
は2,6−ジカルボキシナフタリン等があげられる。
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂
肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは、ジヒ
ドロキシ化合物〔II〕の含有量が、少なくなると耐熱性
が低下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下
し、熱可塑性エラストマーとしては不適当になるので、
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエステ
ルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好まし
く、より好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好ま
しくは1.0〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオー
ルとしてポリアルキレンオキシドやポリシリコーンを使
用する場合、その構成単位を1モノマーとして数える。
即ち、重合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーと
して数える。
また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステ
ルは、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なく
なると耐熱性が低下し、多くなると脂肪族ポリエステル
の分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなる
ので脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1
〜20モル%とするのが好ましい。また、上記ジヒドロキ
シ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪
族ジオールと脂肪族ジカルボン酸より成る脂肪族ポリエ
ステルは、ジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ
化合物〔III〕とを合せたヒドロキシ化合物の含有量が
少なくなると耐熱性が低下し、多くなると柔軟性の低下
および十分な分子量上昇が得られないため、脂肪族ポリ
エステルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%とす
るのが好ましい。この際のジヒドロキシ化合物〔II〕と
モノヒドロキシ化合物〔III〕の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
以上のような構成成分から成る脂肪族ポリエステルを
重縮合反応により製造するに際して、通常用いられる方
法は溶融重縮合法であり、下記の直接重縮合法及び
エステル交換反応法が好適に用いられる。
ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法。
ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分、又はジ
カルボン酸とジオール成分のアセチル化物とをエステル
交換を利用して反応させる方法。
この際に、芳香族化合物を共存させることが本発明の
特徴であり、これにより既述の効果が得られる。
ここで用いる芳香族化合物は、融点が250℃以下で、
沸点が250℃以上のものであることが必要であり、さら
に250℃〜300℃の重縮合温度において上記ジヒドロキシ
化合物〔II〕およびモノヒドロキシ化合物〔III〕を溶
解する能力を有している必要がある。ジヒドロキシ化合
物〔II〕およびモノヒドロキシ化合物〔III〕に対する
溶解力については、これらヒドロキシ化合物と類似の部
分構造を有する溶媒が優れている。すなわち、ビフェニ
ル系、ターフェニル系等があげられる。また、縮環芳香
族系のナフタレン、フェナンスレン、アントラセン、フ
ルオレン、ピレン等、およびそれらの誘導体があげられ
る。置換基としては種々のもの、例えば、アルキル基、
アルコキシ基、アシル基、ハロゲン基等があげられる
が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基においては、
長鎖のもの(炭素数が20以上のもの)では溶解力が劣る
傾向にある。
上記芳香族化合物の具体例としては、分子内にベンゼ
ン核を少なくとも1個有する以下の化合物があげられ
る。
ビフェニル(融点72℃、沸点255℃)、p−ベンジル
ビフェニル(融点86℃、沸点375℃)、p−ターフェニ
ル(融点213℃、沸点389℃)、m−ターフェニル(融点
85℃、沸点379℃)、o−ターフェニル(融点59℃、沸
点337℃)、2,7−ジメチルナフタレン(融点96℃、沸点
262℃)等のジメチルナフタレン、2−メトキシナフタ
レン(融点75℃、沸点274℃)等の2−アルコキシナフ
タレン、アセナフテン(融点95℃、沸点279℃)、アセ
ナフチレン(融点91℃、沸点280℃)、アントラセン
(融点216℃、沸点340℃)、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタ
ヒドロアントラセン(融点74℃、沸点295℃)、フェナ
ンスレン(融点101℃、沸点340℃)、フルオレン(融点
117℃、沸点295℃)、ピレン(融点156℃、沸点399
℃)。
また、熱媒体として市販されている常温液体の下記の
オイル等も用いることができる。
綜研化学(株)製 KSL−Oil 280(ジイソプロピルジフェニル、沸点303
℃) Neo SK−Oil 1300(ベンジルトルエン、沸点280℃) Neo SK−Oil 1400(ベンジルトルエン、沸点390℃) 新日鉄化学(株)製 サームエス−600(アルキルビフェニル、沸点286℃) サームエス−700(アルキルビフェニル、沸点315℃) サームエス−800(アルキルビフェニル、沸点340℃) サームエス−900(水添ターフェニル、沸点364℃) これらの化合物は、脂肪族ポリエステルの構成成分と
なるモノマー類と同時に仕込んでもよいし、あるいは予
め合成した前駆体(プレポリマーも含む)と同時に仕込
んでもよい。
重縮合反応は、通常、初期は常圧下で、そしてその後
減圧下で行うことにより、高重合度のポリマーを得るこ
とができる。前述したようにp−フェニルまたはp−ク
ォーターフェニル骨格を有するジヒドロキシ化合物〔I
I〕又はモノヒドロキシ化合物〔III〕は、共存するモノ
マー類に対して難溶性であり、所定の重縮合温度(250
℃〜300℃)では反応系は不均一なままである。もし
も、このような不均一系で減圧下重縮合反応を行うと生
成ポリエステル中には未反応のジヒドロキシ化合物又は
モノヒドロキシ化合物が残存することとなり、物性上望
ましくない。
これを避けるためには、まず重合系の温度を300℃〜3
40℃という高温にまで上げて充分な時間(〜2時間)保
つ必要がある。すなわち、これにより上記ジヒドロキシ
化合物〔II〕又はモノヒドロキシ化合物〔III〕を溶解
させ、系を均一にすることができるからである。しか
し、この操作は高温であるため、脂肪族モノマー類が分
解反応を含む副反応を伴う場合があり、重合操作として
は望ましくない。さらに、生成ポリマー中に熱的不安定
箇所が残るため、成形加工時や長期耐熱性の面から望ま
しくない。これらの問題を解決するのが、本発明の芳香
族化合物の使用であり、300〜340℃という高温にするこ
となく、ジヒドロキシ化合物〔II〕又はモノヒドロキシ
化合物〔III〕を溶解させ、系を均一にすることができ
る。
その後、減圧下で重縮合反応を行う。この際、芳香族
化合物は留出物とともに系外に留出されるのが望まし
い。すなわち、該芳香族化合物は、重合系を高温にする
ことなく均一にするために用いるのであり、重合後期に
は存在する必要は必ずしもないからある。芳香族化合物
は、減圧時に系外に留出させるか、あるいは生成ポリマ
ーを適当な低沸点溶媒にて繰り返し洗浄することにより
除去してもよい。
ここで、用いる芳香族化合物の融点は重縮合温度以下
である。従って、250℃以下の融点を有するものに限ら
れる。また、沸点は重縮合温度以上でなければならな
い。従って、250℃以上の沸点を有するものに限られ
る。
好ましくは融点100℃以下で沸点が250℃〜300℃、よ
り好ましくは、取り扱いの容易さの点で室温で液体でか
つ沸点が250℃〜320℃のものがよい。
芳香族化合物の使用量には、特に制限はないが、少な
すぎるとジヒドロキシ化合物〔II〕またはモノヒドロキ
シ化合物〔III〕を溶解することができず、また多すぎ
ることは経済上好ましくない。従って、使用する〔II〕
または〔III〕の重量に対して、下記の式で表される量
で加えるのが望ましい。
重縮合する際には、一般にポリエステルを製造する際
に使用されている触媒が使用されてよい。この触媒とし
ては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マ
グネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、
亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウ
ム、錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホウ素、カ
ドミウム、マンガン等の金属、その有機金属化合物、有
機酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等があげられ
る。特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジアシル第
一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサイド、ジ
ブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、錫ジオク
タノエート、錫テトラアセテート、トリイソブチルアル
ミニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウ
ム、および三酸化アンチモンである。これらの触媒は二
種以上併用してもよい。
また、重合とともに副生する水や、アルコール、グリ
コール等を効率よく留出させ、高分子量ポリマーを得る
ためには、反応系を重合後期に1mmHg以下に減圧すると
が好ましい。
また、脂肪族ポリエステルの製造時または製造後に、
実用性を損なわない範囲で、以下の添加剤が添加されて
もよい。
無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化
硅素繊維、アルミナ繊維、アモロファス繊維、シリコン
・チタン・炭素系繊維等 有機繊維:アラミド繊維等 無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、
タルク等 熱安定剤:トリフェニルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、2
−tert−ブチル−α−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニ
ル)ホスファイト等 難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,
3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフ
ェニルアリルエーテル等 紫外線吸収剤:p−tert−ブチルフェニルサリシレー
ト、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾ
フェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等 酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒ
ドロキシトルエン、ジステアリルチオジプロピオネー
ト、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤等 帯電防止剤:N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキル
アミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルフ
ァネート等 無機物:硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等 高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウム、ステアリン
酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等 その他の有機化合物:ベンジルアルコール、ベンゾフ
ェノン等 結晶化促進剤;高結晶化したポリエチレンテレフタレ
ート、ポリトランス−シクロヘキサンジメタノールテレ
フタレート等 さらに本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエステ
ルは、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、変
性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等と混合
し、あるいはゴム成分と混合してその性質を改質して使
用してもよい。
本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエステルは、
プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等により
成形体とされる。成形体の物性はその構成成分及びその
配合割合等によって任意に変化し得る。脂肪族ポリエス
テルを熱可塑性エラストマーとして調製した場合には、
成形体は自動車部品、ホース、ベルト、パッキン等の柔
軟性を有する成形体や、塗料、接着剤等に好適に用いら
れる。
(実施例) 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
アジピン酸ジメチル87.1g(0.50mol)、エチレングリ
コール74.4g(1.20mol)および4,4−ジヒドロキシ−
p−クォーターフェニル(以下、DHQという)16.7g(0.
05mol)のモノマー混合物に、触媒として三酸化アンチ
モン20mgおよび酢酸カルシウム80mgと、安定剤として3,
9−ビス〔2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1
−ジメチルエチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,
5〕ウンデカン90mg(全モノマーに対して0.05重量%)
とジラウリル3,3′−チオジプロピオネート90mg(全モ
ノマーに対して0.05重量%)を加え、さらにこれにサー
ムスー800(アルキルビフェニル、沸点340℃、新日鉄化
学(株)製)を66.8g(ジヒドロキシ化合物DHQの4倍
量)加えた。
反応系を窒素下200℃で2時間保ち、エステル交換反
応を行った後、これを30分で290℃まで昇温したとこ
ろ、系は均一状態となった。このままの状態で30分間保
った後、徐々に減圧したところエチレングリコールとと
もにサームスー800が留出した。この温度で1Torr以下の
減圧度で反応を続けた。減圧開始から2時間反応を行
い、非常に粘稠なポリマーを得た。
生成ポリマーの色調、極限粘度、および240℃で30分
間保持した後の極限粘度を測定した。極限粘度〔η〕の
測定は、オルトクロルフェノール中30度で行った。結果
を表1に示す。
実施例2 サームエス−800のかわりに、o−ターフェニル(融
点59℃、沸点337℃)を66.8g加えた以外は、実施例1と
同様の操作で重縮合反応を行いポリマーを得た。
生成ポリマーの色調、極限粘度、および240℃で30分
間保持した後の極限粘度を測定した。結果を表1に示
す。
比較例1 芳香族化合物を添加しない以外は、実施例1と同様の
操作で重縮合反応を行った。
重合系は不均一のままであり、生成したポリマーには
DHQが残存した。
生成ポリマーの色調、極限粘度、および240℃で30分
間保持した後の極限粘度を測定した。結果を表1に示
す。
比較例2 サームエス−800のかわりに、テトラヒドロナフタリ
ン(テトラリン)(融点−36℃、沸点208℃)66.8gを加
えた以外は、実施例1と同様の操作で重縮合反応を行っ
た。
290℃まで系の温度を上昇させる過程でテトラリンが
留出してしまうため、重縮合時でのそのテトラリンの添
加効果は認められず重合系は不均一であり、生成したポ
リマーにはDHQが残存した。
生成ポリマーの色調、極限粘度、および240℃で30分
間保持した後の極限粘度を測定した。結果を表1に示
す。
比較例3 比較例1と同じ仕込み量で重縮合を行う際に、系を均
一にするために、系内の温度を340℃に上昇して1時間
保った後、290℃に降温し、減圧下(1Torr)2時間重縮
合反応を行った。
生成ポリマーの色調、極限粘度、および240℃で30分
間保持した後の極限粘度を測定した。結果を表1に示
す。
表1より明らかなように、特定の芳香族化合物を共存
させて重縮合反応を行うことにより(実施例1、2)、
着色の少ない所望の極限粘度を有する脂肪族ポリエステ
ルが得られた。また、このものは240℃−30分間保持し
た後の極限粘度が許容できる低下にとどまった。芳香族
化合物を添加しない場合(比較例1)又は沸点の低い芳
香族化合物を用いた場合(比較例2)には、重合系は均
一にはならないままポリマーを生成した。このとき、使
用したモノマーが生成ポリマー中に一部残存した。ま
た、生成ポリマーの極限粘度も低い値にとどまった。芳
香族化合物を用いずに系を均一にするために340℃に昇
温して1時間保った後に290℃で重合を行った場合(比
較例3)には、熱分解が著しく、生成ポリマーは黄褐色
に着色した。また、その極限粘度も著しく低い値となっ
た。さらに、240℃に30分間保持した後の極限粘度も極
めて低下が大きかった。
(発明の効果) 本発明によれば、ジヒドロキシ化合物やモノヒドロキ
シ化合物に基づくセグメントが導入された物性が非常に
優れた脂肪族ポリエステルを、その重縮合時の温度を特
に高温にすることなく製造することができる。従って、
共重合モノマー等が分解したり、劣化することのない上
記ヒドロキシ化合物の特徴を発揮させた脂肪族ポリエス
テルが得られる利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁木 章博 大阪府高槻市城南町1丁目5番16号 ベ ルメゾン301 (72)発明者 斉藤 寅之助 大阪府茨木市山手台5丁目17番21号 (72)発明者 角町 博記 大阪府茨木市南春日丘1丁目11番3号 (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウ メヤママンション102 (56)参考文献 特開 平2−311525(JP,A) 特開 昭62−201928(JP,A) 特開 昭61−136516(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
    I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
    わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方からなるヒドロキシ化合物を構成成分とする脂肪
    族ポリエステルを重縮合反応により製造するにあたり、 該重縮合反応に不活性で、かつ重縮合温度において該ヒ
    ドロキシ化合物を溶解し得、融点が250℃以下で、沸点
    が250℃以上の芳香族化合物を共存させることを特徴と
    する脂肪族ポリエステルの製造方法: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
    数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1以上の整数を示す。)。
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