JP2537567B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステルの製造方法

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JP2537567B2 JP2209048A JP20904890A JP2537567B2 JP 2537567 B2 JP2537567 B2 JP 2537567B2 JP 2209048 A JP2209048 A JP 2209048A JP 20904890 A JP20904890 A JP 20904890A JP 2537567 B2 JP2537567 B2 JP 2537567B2
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一雄 山形
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博記 角町
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、
しかも色調に優れている脂肪族ポリエステルを安定して
製造する方法に関する。
(従来の技術) 熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性を示し、しか
も成形可能なため、各種工業用品に広く用いられてい
る。特に、p−ターフェニルもしくはp−クォーターフ
ェニル骨格を有するジヒドロキシもしくはモノヒドロキ
シ化合物を構成成分とする脂肪族ポリエステルは、機械
的物性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得、本出
願人はこの脂肪族ポリエステルに関する発明を既に出願
した(例えば、特願平1−263476号)。
ところで、このような脂肪族ポリエステルを製造する
再、重縮合触媒としてアンチモン化合物、特に三酸化ア
ンチモンが広く用いられている。しかし、アンチモン化
合物を触媒として脂肪族ポリエステルを重縮合すると、
重縮合時にアンチモン化合物が還元されて金属アンチモ
ン種が析出する。これが原因で黒ずんだ色調の脂肪族ポ
リエステルが生成し、しかも成形時に脂肪族ポリエステ
ルが分解するという欠点がある(成形時の安定性が悪
い)。
従来、ポリエステルを製造する際、触媒としてアンチ
モン化合物を用いながら、黒ずんだ色調の脂肪族ポリエ
ステルが生成されるのを改善する方法として、有機スズ
化合物と組合せる方法(特公昭47−44037号公報)や脂
肪族のα−オキシカルボン酸またはその誘導体と組み合
わせる方法(特公昭48−42232号公報)が提案されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 上記公報に開示された方法では、いずれも色調の改善
効果は認められるものの成形時の熱安定性が低下すると
いう欠点があった。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、熱可塑性エラストマーとしての
性質を有し、色調に優れ、しかも成形時熱安定性にも優
れている脂肪族ポリエステルを安定して製造することが
できる方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、触媒としてアンチモン化合物を用いな
がら、上記した脂肪族ポリエステルを製造する際、ある
種の置換安息香酸化合物を添加すると、生成された脂肪
族ポリエステルは色調が改善され、しかも優れた成形時
熱安定性を有する脂肪族ポリエステルが製造できること
を見いだした。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法の製造方法
は、一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジカルボン
酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔II〕で表わ
されるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表わされる
モノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか一方を
構成成分とする脂肪族ポリエステルを、アンチモン化合
物を触媒として重縮合反応により製造するにあたり、一
般式が下式〔IV〕で表される芳香族有機酸もしくはその
エステルを該脂肪族ジカルボン酸1モル当り0.5×10-4
〜1.0×10-4モルの割合で添加することを特徴とし、そ
のことにより上記目的が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
り、mは0または1以上の整数を示す。) (式中、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示
し、Xはニトロ基、シアノ基、またはハロゲンであり、
tは1または2である。)。
上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数が10を超え
るジカルボン酸を用いると、脂肪族ポリエステルから得
られる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸とし
ては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、スベリン酸、およびセバチン酸が好
適に用いられる。
上記脂肪族ジオールとしては、グリコール及びポリア
ルキレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジ
オール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキ
サン−1,5−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン
−1,4−ジメタノール等があげられ、これらは単独で使
用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては、例えば、ポリ
エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテト
ラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等が
あげられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上
が併用されてもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均
分子量は、小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに
柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなりすぎると得
られた脂肪族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下す
るので、100〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜
5,000である。
上記式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性
を示す低分子化合物であって、アルキレン基R1およびR2
はエチレン基又はプロピレン基が好ましく、qおよびr
は0又は1が好ましく、4,4″−ジヒドロキシ−p−タ
ーフェニル、4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフ
ェニル、4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−
クォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニルの結晶状態
から液晶状態への転移温度は260℃で、4,4−ジヒドロ
キシ−p−クォーターフェニルのそれは336℃、そして
4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォータ
ーフェニルのそれは403℃である。尚、液晶状態とは、
化合物が溶融状態であって、また分子が配向状態を保持
している状態をいう。上記各ジヒドロキシ化合物〔II〕
はそれぞれ単独で使用しても良く、あるいは併用しても
良い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記したように
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニル及び4,4−ジ(2
−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等は
その結晶から液晶状態への転移点が高いために、これら
のジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー鎖中に組み込ま
れた場合、そのポリマーは特異な性質を示す。すなわ
ち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し、しかも
その転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔II〕の配
合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理的架橋を
形成する。その結果、ソフトセグメントに由来する柔軟
性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラストマー
が得られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は、パ
ラフェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であ
り、その特徴ある分子構造を反映してこれらの化合物の
融点は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子
液晶化合物のメソゲンとして有効であることが知られて
おり、これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶
融状態)においても、強い凝集力を有していることを示
すものである。従って、上記のモノヒドロキシ化合物
〔III〕をポリマー末端に組み込んだ場合、非常に強固
で耐熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に優れた
熱可塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物におい
ては、R3エチレン基またはプロピレン基が好ましく、n
は0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物と
しては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニル、
4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等があ
げられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ
単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても良
い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジオールおよ
びジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物
〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族
ポリエステルに、2個の水酸基を有するポリシリコーン
や、ラクトンや、芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成成
分として含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有するもので
あり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが
好ましく、たとえば、分子の両末端に2個の水酸基を有
するジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサ
ン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシ
リコーンの数平均分子量は、小さくなると生成するポリ
エステルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなる
とポリエステルの生成が困難になるので、100〜20,000
が好ましく、より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と反応し、脂
肪族鎖を付加するものであって、ポリエステルに柔軟性
を付与するものであり、環の中に4個以上の炭素原子を
有するものが好ましく、より好ましくは5員環〜8員環
であり、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリエステルに
剛性や液晶性を付与するものであり、サリチル酸、メタ
ヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−ク
ロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニ
ル等があげられ、好ましくは、パラヒドロキシ安息香
酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルである。
さらに、上記脂肪族ポリエステルに、ポリエステルの
機械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾル
シン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチ
ルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒド
ロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4,4−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等があげられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4′
−ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフ
ェニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルサル
ファイド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、
3,3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボ
キシベンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェ
ノキシ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリン、また
は2,6−ジカルボキシナフタリン等があげられる。
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂
肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは、ジヒ
ドロキシ化合物〔II〕の含有量が、少なくなると耐熱性
が低下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下
し、熱可塑性エラストマーとしては不適当になるので、
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエステ
ルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好まし
く、より好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好ま
しくは1.0〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオー
ルとしてポリアルキレンオキシドやポリシリコーンを使
用する場合、その構成単位を1モノマーとして数える。
即ち、重合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーと
して数える。
また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステ
ルは、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なく
なると耐熱性が低下し、多くなると脂肪族ポリエステル
の分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなる
ので脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1
〜20モル%とするのが好ましい。
また、上記ヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ
化合物〔III〕と脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸
より成る脂肪族ポリエステルは、ジヒトロキシ化合物
〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕とを合せたヒド
ロキシ化合物の含有量が少なくなると耐熱性が低下し、
多くなると柔軟性の低下および十分な分子量上昇が得ら
れないため、脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー
中の0.1〜30モル%とするのが好ましい。この際のジヒ
ドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕
の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
以上のような構成成分から成る脂肪族ポリエステルを
重縮合反応により製造するに際して、通常用いられる方
法は溶融重縮合法であり、下記の直接重縮合法及び
エステル交換反応法が好適に用いられる。
ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法。
ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分、又はジ
カルボン酸とジオール成分のアセチル化物とをエステル
交換を利用して反応させる方法。
この重縮合反応の際に、アンチモン化合物と上式〔I
V〕で示される芳香族有機酸もしくはそのエステルを共
存させることが本発明の特徴であり、これにより既述の
効果が得られる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、三塩
化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコラー
ト等、一般にポリエステルを製造する際に使用されてい
る化合物が用いられる。また、アンチモン化合物と他の
触媒とを併用してもよく、他の触媒としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、
カルシウムなどの金属、その有機化合物、有機酸塩等が
あげられる。特に好ましい触媒は、酢酸リチウム、酢酸
セシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カ
ルシウム、ナトリウムベンゾエート等がある。
これら触媒の添加時期は重縮合開始前であればいつで
もよい。
上記式〔IV〕で示される芳香族有機酸もしくはそのエ
ステルにおいては、R4は水素またはメチル基、エチル
基、ブチル基が好ましい。Xは電子吸引性の置換基であ
り、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンが好ましい。tは1
または2である。芳香族有機酸もしくはそのエステルと
しては、例えば、p−ニトロ安息香酸、p−シアノ安息
香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−
ニトロ安息香酸、o−シアノ安息香酸、m−シアノ安息
香酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−
ニトロ安息香酸メチル、p−ニトロ安息香酸ブチル等が
あげられる。これらは、重縮合反応開始前から重縮合反
応中の任意の時期に添加できる。添加方法は、固体のま
ま直接反応系に添加してもよい。添加量は脂肪族ジカル
ボン酸1モル当り0.5×10-4〜1.0×10-4モルである。添
加量がこの範囲より少ないと脂肪族ポリエステルの色調
を改善することはできず、またこの範囲より多いと色調
改善向上は見られず、逆に成形時熱安定性さらには、重
合安定性も悪くなる。
また、重合とともに副生する水や、アルコール、グリ
コール等を効率よく留出させ、高分子量のポリマーを得
るために、反応系を重合後期に1mmHg以下に減圧するこ
とが好ましい。反応温度は一般に150〜350℃である。
また、脂肪族ポリエステルの製造時または製造後に、
実用性を損なわない範囲で、以下の添加剤が添加されて
もよい。
無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化
けい素繊維、アルミナ繊維、アモロファス繊維、シリコ
ン・チタン・炭素系繊維等。
有機繊維:アラミド繊維等。
無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、
タルク等。
熱安定剤:トリフェニルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、2
−tert−ブチル−α−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニ
ル)ホスファイト等。
難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,
3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフ
ェニルアリルエーテル等。
紫外線吸収剤:p−tert−ブチルフェニルサリシレー
ト、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾ
フェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等。
酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒ
ドロキシトルエン、ジステアリルチオジプロピオネー
ト、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤等。
帯電防止剤:N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキル
アミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルフ
ァネート等。
無機物:硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等。
高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウム、ステアリン
酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等。
その他の有機化合物:ベンジルアルコール、ベンゾフ
ェノン等。
結晶化促進剤;高結晶化したポリエチレンテレフタレ
ート、ポリトランス−シクロヘキサンジメタノールテレ
フタレート等。
さらに本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエステ
ルは、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、変
性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等と混合
し、あるいはゴム成分と混合してその性質を改質して使
用してもよい。
本発明の製造方法で得られた脂肪族ポリエステルは、
プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等により
成形体とされる。成形体の物性はその構成成分及びその
配合割合等によって任意に変化し得る。脂肪族ポリエス
テルを熱可塑性エラストマーとして調製した場合には、
成形体は自動車部品、ホース、ベルト、パッキン等の柔
軟性を有する成形体や、塗料、接着剤等に好適に用いる
ことができる。
(実施例) 実施例1 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
撹拌機、温度計、ガス吹き込み口及び蒸留口を備えた
内容積1のガラス製フラスコに、アジピン酸ジメチル
34.84g(0.2mol)、エチレングリコール29.0g(0.5mo
l)、4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル6.
77g(0.05mol)、p−ニトロ安息香酸3.0mg(1.0×10-4
モル/酸成分モル)、触媒として三酸化アンチモン20mg
および酢酸カルシウム44mgを入れた。
フラスコを窒素で置換した後に200℃で1.5時間保ち、
エステル交換反応を行った。この反応中、反応混合物か
らメタノールが留出した。次いで、この反応系を30分で
320℃まで昇温し、15分間撹拌した後300℃まで下げ、1m
mHg以下に減圧し、この状態で1時間重縮合反応を行っ
た。反応とともにエチレングリコールが留出し、フラス
コ内には極めて粘稠な液体が生成した。
得られたポリマーの極限粘度、240℃で30分間保持し
た後の極限粘度、色調および重合安定性を以下の方法に
従って測定した。240℃で30分間保持した後の極限粘度
を測定することにより、ポリマーの成形時熱安定製を評
価することができる。
極限粘度〔η〕:オルトクロルフェノール中30℃で行
った。
240℃で30分間保持した後の極限粘度:ポリマーを100
℃で5時間乾燥させ、フローテスターCFT−500(島津製
作所製)に240℃で30分間滞留させサンプルを取り出
し、そのサンプルの極限粘度〔η〕を測定した(試験荷
重100kg、ダイ径1mm、ダイ長さ10mm)。
色調:ポリマーの色調の評価は、目視によって行い、
次のように表した。
良:白色 可:灰色 不可:黒ずんだ灰色 重合安定性:重縮合反応中の反応進行度を目視により
評価し、次のように表した。
○:ポリマーが安定して生成 ×:分解 これらの結果を表1に示す。
実施例2 実施例1において、p−ニトロ安息香酸3.0mgのかわ
りに、p−クロロ安息香酸1.5mg(0.5×10-4モル/酸成
分モル)を添加した以外は、実施例1と同様の操作で重
縮合反応を行いポリマーを得た。
生成ポリマーの物性等を実施例1と同様の方法で評価
した。結果を表1に示す。
実施例3 実施例1において、p−ニトロ安息香酸3.0mgのかわ
りに、p−ニトロ安息香酸メチル3.0mg(0.5×10-4モル
/酸成分モル)を添加した以外は、実施例1と同様の操
作で重縮合反応を行いポリマーを得た。
生成ポリマーの物性等を実施例1と同様の方法で評価
した。結果を表1に示す。
比較例1 実施例1において、p−ニトロ安息香酸を添加しなか
った以外は、実施例1と同様の操作で重縮合反応を行い
ポリマーを得た。
生成ポリマーの物性等を実施例1と同様の方法で評価
した。結果を表1に示す。
比較例2 実施例1において、p−ニトロ安息香酸の添加量を0.
3mg(0.1×10-4モル/酸成分モル)とした以外は、実施
例1と同様の操作で重縮合反応を行いポリマーを得た。
生成ポリマーの物性等を実施例1と同様の方法で評価
した。結果を表1に示す。
比較例3 実施例1において、p−ニトロ安息香酸の添加量を6.
0mg(2.0×10-4モル/酸成分モル)とした以外は、実施
例1と同様の操作で重縮合反応を行いポリマーを得た。
生成ポリマーの物性等を実施例1と同様の方法で評価
した。結果を表1に示す。
表1より明らかなように、特定の芳香族化合物〔IV〕
を共存させて重縮合反応を行うことにより(実施例1〜
3)、着色の少ない所望の極限粘度を有する脂肪族ポリ
エステルが得られた。また、このものは240℃−30分間
保持した後の極限粘度が許容できる低下にとどまった。
芳香族化合物を添加しない場合(比較例1)又はその添
加量が少ない場合(比較例2)には、黒ずんだポリマー
が生成した。また、芳香族化合物の添加量が所定量より
多い場合(比較例3)にはポリマーが分解した。
(発明の効果) 本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、脂肪族ポ
リエステルの重縮合反応の際に、触媒としてアンチモン
化合物を用い、特定の芳香族有機酸もしくはそのエステ
ルを適量添加しているので、成形時の熱安定性に優れ、
しかも色調に優れた脂肪族ポリエステルを得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウ メヤママンション102 (56)参考文献 特開 昭52−26594(JP,A) 特開 平4−46924(JP,A) 特公 昭47−44037(JP,B1) 特公 昭48−42232(JP,B1) 特公 昭59−22728(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
    I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
    わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方を構成成分とする脂肪族ポリエステルを、アンチ
    モン化合物を触媒として重縮合反応により製造するにあ
    たり、 一般式が下式〔IV〕で表される芳香族有機酸もしくはそ
    のエステルを該脂肪族ジカルボン酸1モル当り0.5×10
    -4〜1.0×10-4モルの割合で添加することを特徴とする
    脂肪族ポリエステルの製造方法: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
    数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1以上の整数を示す。) (式中、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示
    し、Xはニトロ基、シアノ基、またはハロゲンであり、
    tは1または2である。)。
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