JPH0749509B2 - 脂肪族ポリエステル組成物 - Google Patents

脂肪族ポリエステル組成物

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JPH0749509B2
JPH0749509B2 JP4686790A JP4686790A JPH0749509B2 JP H0749509 B2 JPH0749509 B2 JP H0749509B2 JP 4686790 A JP4686790 A JP 4686790A JP 4686790 A JP4686790 A JP 4686790A JP H0749509 B2 JPH0749509 B2 JP H0749509B2
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和夫 土山
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、特
に、熱安定性に優れた脂肪族ポリエステル組成物に関す
る。
(従来の技術) 熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性を示し、しかも
成形可能なため、各種工業用品に広く用いられている。
特に、p−ターフェニルもしくはp−クォーターフェニ
ル骨格を有するジヒドロキシもしくはモノヒドロキシ化
合物を構成成分とする脂肪族ポリエステルは、機械的物
性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得、本出願人
はこの脂肪族ポリエステルを含む樹脂組成物を既に出願
した(例えば、特願平1−263476号)。
(発明が解決しようとする課題) 上記樹脂組成物を調製するには、脂肪族ポリエステルと
他の添加剤とを高温下で溶融混練する必要があり、また
成形も比較的高温で行われる。更に、熱変形温度が優れ
ているので高熱雰囲気下での使用が期待されている。
ところが、長時間溶融混練したり、高温下で使用する
と、脂肪族ポリエステルが熱で分解されて分子量が低下
し、得られる成形品の機械的物性が低下するという欠点
が見られた。
このような樹脂の劣化を低減するために、従来からヒン
ダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤などの添
加剤を添加する方法が試みられている。しかし、このよ
うな方法においてもある程度の効果が見られるものの限
界があった。
本発明は上記従来の欠点を解決するものであって、その
目的とするところは、熱分解しにくく、長時間高温にさ
らしても機械的物性が低下しない脂肪族ポリエステルを
容易に得ることができる脂肪族ポリエステル組成物を提
供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、脂肪族ポリエステルとオキサゾリン化合
物とを併用することにより、高温時の安定性が向上する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、一般式が下式
〔I〕で表わされる脂肪族ジカルボン酸;脂肪族ジオー
ル;および一般式が下式〔II〕で表わされるジヒドロキ
シ化合物と下式〔III〕で表わされるモノヒドロキシ化
合物のうち少なくともいずれか一方を構成成分とする脂
肪族ポリエステルと、オキサゾリン化合物とを含有し、
該オキサゾリン化合物が該脂肪族ポリエステルに対して
0.05重量%〜3.00重量%の割合で含有され、そのことに
より、上記目的が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
り、mは0または1以上の整数を示す)。
本発明で使用される脂肪族ポリエステルは、熱可塑性エ
ラストマーとしての性質を有し、耐熱性及び機械的物性
に優れ、しかも成形加工性に優れている脂肪族ポリエス
テルである。
上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数が10を越える
ジカルボン酸を用いると、脂肪族ポリエステルから得ら
れる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸として
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、およびセバチン酸が好適に用いら
れる。
上記脂肪族ジオールとしては、グリコール及びポリアル
キレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリ
メチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シ
クロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−
ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘ
キサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオ
キシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレン
オキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等があげられ、
これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用され
てもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、
小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに柔軟性を付
与する能力が低下し、大きくなりすぎると得られた脂肪
族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下するので、10
0〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜5,000であ
る。
上記式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性を
示す低分子化合物であって、アルキレン基R1およびR2
エチレン基又はピロピレン基が好ましく、q及びrは0
又は1が好ましく、次式〔A〕で表される4,4″−ジヒ
ドロキシ−p−ターフェニル、次式〔B〕で表される4,
4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル、次式
〔C〕で表される4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキ
シ)−p−クォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕の結晶
状態から液晶状態への転移温度は260℃で、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕のそれは336
℃、そして4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p
−クォーターフェニル〔C〕のそれは403℃である。
尚、液晶状態とは、化合物が溶融状態であって、また分
子が配向状態を保持している状態をいう。上記各ジヒド
ロキシ化合物〔II〕はそれぞれ単独で使用しても良く、
あるいは併用しても良い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記したように4,
4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕、4,4−
ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕及び4,4
−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフ
ェニル〔C〕はその結晶から液晶状態への転移点が高い
ために、これらのジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー
鎖中に組み込まれた場合、そのポリマーは特異な性質を
示す。
すなわち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し、
しかもその転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕の配合量が小量の場合でも強固で耐熱性の高い物理
的架橋を形成する。その結果、ソフトセグメントに由来
する柔軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラ
ストマーが得られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は、パラ
フェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であり、
その特徴ある分子構造を反映してこれらの化合物の融点
は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子液晶
化合物のメソゲンとして有効であることが知られてお
り、これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶融
状態)においても、強い凝集力を有していることを示す
ものである。従って、上記のモノヒドロキシ化合物〔II
I〕をポリマー末端に組み込んだ場合、非常に強固で耐
熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に優れた熱可
塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物において
は、R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく、n
は0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物と
しては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニル、
4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等があ
げられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ
単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても良
い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジオールおよび
ジヒドロキシ化合物〔II〕と、モノヒドロキシ化合物
〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族
ポリエステルに、2個の水酸基を有するポリシリコー
ン、ラクトン、および芳香族ヒドロキシカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有するものであ
り、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが好
ましく、たとえば、分子の両末端に2個の水酸基を有す
るジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、
ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシリコ
ーンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポリエ
ステルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなる
と、ポリエステルの生成が困難になるので、100〜20,00
0が好ましく、より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と反応し、脂肪
族鎖を付加するものであって、ポリエステルに柔軟性を
付与するものであり、環の中に4個以上の炭素原子を有
するものが好ましく、より好ましくは5員環〜8員環で
あり、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒロドキシカルボン酸は、ポリエステルに剛
性や液晶性を付与するものであり、サリチル酸、メタヒ
ドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−クロ
ロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニ
ルなどがあげられ、好ましくは、パラヒドロキシ安息香
酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルである。
さらに、上記脂肪族ポリエステルに、ポリエステルの機
械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシ
ン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチル
ヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシフドロ
キノン、フェノキシヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキ
シビフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタリンなどがあげられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4′−
ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェ
ニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルサルフ
ァイド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,
3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボキ
シベンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノ
キシ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリン、または
2,6−ジカルボキシナフタリンなどがあげられる。
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂肪
族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは、ジヒド
ロキシ化合物〔II〕の含有量が、少なくなると耐熱性が
低下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下し、
熱可塑性エラストマーとしては不適当になるので、上記
ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエステルを
構成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好ましく、よ
り好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好ましくは
1.0〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオールとし
てポリアルキレンオキシドやポリシリコーンを使用する
場合、その構成単位を1モノマーとして数える。即ち、
重合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーとして数
える。
また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジオ
ールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステル
は、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なくな
ると耐熱性が低下し、多くなると脂肪族ポリエステルの
分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなるの
で脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1〜2
0モル%とするのが好ましい。また、上記ジヒドロキシ
化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族
ジオールと脂肪族ジカルボン酸より成る脂肪族ポリエス
テルは、ジヒトロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化
合物〔III〕とを合せたヒドロキシ化合物の含有量が少
なくなると耐熱性が低下し、多くなると柔軟性の低下お
よび十分な分子量上昇が得られないため、脂肪族ポリエ
ステルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%とする
のが好ましい。この際のジヒドロキシ化合物〔II〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔III〕の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
以上のような構成成分から成る脂肪族ポリエステルは、
以下にあげる一般に知られている任意の重縮合方法を用
いて製造することができる。
ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法。
ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
ジカルボン酸のハロゲン化物とジオール成分をピリジ
ンなどの適当な溶媒中で反応させる方法。
ジオール成分の金属アルコラートをジカルボン酸のハ
ロゲン化物と反応させる方法。
ジオール成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
重縮合する際には、一般にポリエステルを製造する際に
使用されている触媒が使用されてよい。この触媒として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜
鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、
錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホウ素、カドミ
ウム、マンガンなどの金属、その有機金属化合物、有機
酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等があげられる。
特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジアシル第一
錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサイド、ジブ
チル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、錫ジオクタ
ノエート、錫テトラアセテート、トリイソブチルアルミ
ニウム、テトラブチタチナネート、二酸化ゲルマニウ
ム、および三酸化アンチモンである。これらの触媒は二
種以上併用してもよい。また、重合とともに副生する水
や、アルコール、グリコールなどを効率よく留出させ、
高分子量ポリマーを得るためには、反応系を重合後期に
1mmHg以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般
に150〜350℃である。
また、重合中ジヒドロキシ化合物〔II〕の添加順序を変
えることによって得られるポリエステルの構造を規制す
ることも可能である。例えば、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕をジカルボン酸および他のジオール成分と一括して
仕込んだ場合は、ランダム共重合体が得られ易くなり、
重合後期にジヒドロキシ化合物〔II〕を仕込んだ場合に
ブロック共重合体が得られ易くなる。また、予め合成し
たポリエステルに上記ジヒドロキシ化合物〔II〕あるい
はジヒドロキシ化合物のアセチル化合物を減圧加熱下で
混練し、脱エチレングリコールあるいはエステル交換反
応によって分子鎖にジヒドロキシ化合物〔II〕に基づく
セグメントを導入することも可能である。
本発明に使用されるオキサゾリン化合物は、同一分子内
に1個以上のオキサゾリン環を有するものであればよ
く、その構造は特に制限されない。オキサゾリン化合物
の具体例としては、2−オキサゾリン、2−メチル−2
−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,
5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2
−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物;2,2′−
(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、
2,2′−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリ
ン)、2,2′−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサ
ゾリン)などのジオキサゾリン化合物があげられる。オ
キサゾリン化合物は、脂肪族ポリエステルの末端基の数
により異なるが、脂肪族ポリエステルに対して0.05〜3.
00重量%の割合で添加される。このようなオキサゾリン
化合物を脂肪族ポリエテルに添加することにより、オキ
サゾリン化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する
際に、オキサゾリン化合物のオキサゾリン環が脂肪族ポ
リエステルと反応することによって、その分子量が上が
り、および/またはオキサゾリン環が脂肪族ポリエステ
ルの熱劣化した部分に反応して脂肪族ポリエステル組成
物の耐熱性を向上させるものと思われる。
例えば、一分子内に2個以上のオキサゾリン環を有する
オキサゾリン化合物を用いた場合には、以下の反応式で
示すように、熱劣化などにより切断された脂肪族ポリエ
ステルの末端カルボキシル基にオキサゾリン化合物の各
オキサゾリン環が反応することにより脂肪族ポリエステ
ルの末端を再結合するものと推測される。また、一分子
内に1個のオキサゾリン環を有するオキサゾリン化合物
を用いた場合には、上記末端カルボキシル基と反応して
封止することにより、カルボキシル基の触媒的な分解促
進作用を抑制し、脂肪族ポリエステルの熱劣化性が改良
されるものと推測される。
オキサゾリン化合物の含有量が0.05重量%を下回ると、
上記効果が発揮できない。3.00重量%を上回ると、得ら
れる脂肪族ポリエステル組成物の機械的強度などが低下
する。
上記したオキサゾリン化合物と脂肪族ポリエステルとの
溶融混練時に、触媒を添加しておくのは有効な方法であ
る。触媒としては、トリフェニルフォスファィトなどの
有機ファスファィト、p−トリエンスルホン酸、ジメチ
ル硫酸、三フッ化ほう素エーテレート、無水塩化アルミ
ニウム、三塩化バナジウム、塩化バナジル、有機ハロゲ
ン化物等があげられる。これらの触媒は、脂肪族ポリエ
ステルに対して、2.00重量%以下の割合で添加されるの
が好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステルの組成物には、その実用性
を損なわない範囲で、さらに、以下の添加剤が添加され
てもよい。すなわち、炭酸カルシウム、酸化チタン、マ
イカ、タルク等の無機充填剤、トリフェニルホスファイ
ト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニル
ホスファイト、2−tert−ブチル−α−(3−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス
(p−ノニルフェニル)ホスファイト等の熱安定剤、ヘ
キサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロ
プロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリル
エーテル等の難燃剤、p−tert−ブチルフェニルサリシ
レート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシ
ベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノ
ン等の紫外線吸収剤、ブチルヒドロキシアニソール、ブ
チルヒドロキシトルエン、ジステアリルチオジプロピオ
ネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒンダード
フェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、N,N−ビス
(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリル
スルホネート、アルキルスルファネート等の帯電防止
剤、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素などの無機物;
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パル
ミチン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩;ベンジルアル
コール、ベンゾフェノンなどの有機化合物;高結晶化し
たポリエチレンテレフタレート、ポリトランス−シクロ
ヘキサンジメタノールテレフタレート等の結晶化促進剤
などがあげられる。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物を製造する方法は特
に限定されず、脂肪族ポリエステル、オキサゾリン化合
物、および必要に応じて、触媒等を混ぜ合わせた後、通
常の公知の方法を用いて溶融混練される。例えば、押出
機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどによる
溶融混練方法がある。溶融混練時の温度は、150〜280℃
の範囲が好ましい。
得られた脂肪族ポリエステル組成物から成形品を得るに
は、プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等の
溶融成形方法が採用される。成形品は機械部品、電子部
品、フィルム、パイプ等に用いられる。
(実施例) 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例で得られた脂肪族ポリエステル組成
物の物性は以下の方法に従って測定した。
〈物性測定〉 極限粘度[η]:ウベローデ粘度管を用い、o−クロロ
フェノール溶媒中30℃で測定した。
引っ張り強伸度(引っ張り破断強度および引っ張り破断
伸度):得られたペレットから、ヒートプレスにて、2m
m厚の平板を作製し、JIS K−6301に準拠して、3号形ダ
ンベル試験片を打ち抜いた。これを用いて、引っ張り速
度50mm/min.で試験を行った。
脂肪族ポリエステルは以下の方法で調製した。
〈4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルの合
成〉 4−ヒドロキシ−4′−ブロモビフェニル60.0gに、メ
タノール100g、10wt%水酸化ナトリウム水溶液300g及び
5wt%パラジウム/カーボン13gを加え、120℃、5気圧
の条件下で、4時間反応させることより、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニルのジナトリウム塩を
得た。この固形物にN,N−ジメチルホルムアミドを加
え、加熱ろ過して触媒を分離した後、ろ液を希硫酸で酸
析し、メタノールを洗浄して、白色結晶性粉末の4,4
−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル(以下、DHQ
とする)を得た。DHQの液晶転移温度は336℃であった。
〈ビス(2−ヒドロキシエチル)アジペート(BHEA)の
合成〉 撹拌機、温度計、ガス吹き込み口及び蒸留口を備えた内
容積1のガラス製フラスコに、アジピン酸ジメチル8
7.1g(0.50mol)、エチレングリコール74.4g(1.20mo
l)、触媒として酢酸カルシウム及び三酸化アンチモン
少量を加えた。フラスコ内を窒素で置換した後にフラス
コ内を昇温して180℃で2時間反応させた。反応ととも
に、フラスコからメタノールが留出しはじめ、ビス(2
−ヒドロキシエチル)アジペート(以下、BHEAとする)
が生成した。
〈脂肪族ポリエステルの調製〉 上記のフラスコに、DHQをBHEAに対し10モル%のモル比
で配合して加え、フラスコを300℃まで昇温し、この状
態で約1時間反応させた。次に、蒸留口を真空器につな
ぎ、フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で2時間反応さ
せた。反応とともにエチレングリコールが留出し、フラ
スコ内には極めて粘稠な液体が生成した。
得られた脂肪族ポリエステルの極限粘度〔η〕は、1.10
であった。
実施例1 上記脂肪族ポリエステル1,000g、2,2′−(1,3−フェニ
レン)−ビス(2−オキサゾリン)4.0g、トリフェニル
フォスファィト1.8g、およびイルガノックス1010(フェ
ノール系安定剤、チバガイギー社製)3.0gを混合し、こ
れをブラベンダープラストグラフ押出機を用いて、230
℃にて溶融混練し、次いで押し出して、水冷した後、切
断してペレット化した。なお、押出機中の滞留時間は4
分であった。
得られたポリエステル組成物の溶融粘度および引っ張り
強伸度を測定し、その結果を表1に示した。
さらに、上記組成物を用いてダンベル試験片を作製し、
これをギアーオーブン中で150℃にて7日間保持した。
この試験片の引っ張り破断強度および引っ張り破断伸度
を測定し、引っ張り破断強度保持率および破断伸度保持
率を算出した。その結果を、表1に示した。
実施例2 上記脂肪族ポリエステル1,000g、2−フェニル−2−オ
キサゾリン4.0g、およびイルガノックス1010(フェノー
ル系安定剤、チバガイギー社製)3.0gを用いたこと以外
は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル組成物を
得た。
得られた組成物の物性を実施例1と同様の方法で測定
し、その結果を表1に示した。
比較例1 上記脂肪族ポリエステル1,000g、およびイルガノックス
1010(フェノール系安定剤、チバガイギー社製)3.0gを
用いたこと以外は実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエ
ステル組成物を得た。
得られた組成物の物性を実施例1と同様の方法で測定
し、その結果を表1に示した。
比較例2 上記脂肪族ポリエステルを280℃、100kg/cm2の条件で、
1分間プレスして厚さ2mmの平板を得、実施例1と同様
の方法で物性を測定し、その結果を表1に示した。
(発明の効果) 本発明によれば、製造時における長時間の加熱による劣
化や長期間高温で使用されることによる劣化を減少した
脂肪族ポリエステルを得ることができる組成物を提供す
ることができる。このようにして得られた脂肪族ポリエ
ステル組成物は、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオー
ルとから主として構成された脂肪族ポリエステルに、結
晶性が高く、融点の高いジヒドロキシ化合物やモノヒド
ロキシ化合物に基づくセグメントが導入されているの
で、耐熱性、機械的物性、成形加工性等に優れた熱可塑
性エラストマーとして各種部材に使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁木 章博 大阪府三島郡島本町百山2番2号 (72)発明者 斉藤 寅之助 大阪府茨木市山手台5丁目17番21号 (72)発明者 角町 博記 大阪府茨木市南春日丘1丁目11番3号 (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウメ ヤママンション102 (56)参考文献 特開 昭62−131019(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
    I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
    わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方を構成成分とする脂肪族ポリエステルと、オキサ
    ゾリン化合物と、を含有する脂肪族ポリエステル組成物
    であって、 該オキサゾリン化合物が該脂肪族ポリエステルに対して
    0.05重量%〜3.00重量%を割合で含有されている脂肪族
    ポリエステル組成物: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
    数を示す) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1以上の整数を示す)。
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