JPH0749508B2 - 脂肪族ポリエステル組成物 - Google Patents

脂肪族ポリエステル組成物

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JPH0749508B2
JPH0749508B2 JP20904790A JP20904790A JPH0749508B2 JP H0749508 B2 JPH0749508 B2 JP H0749508B2 JP 20904790 A JP20904790 A JP 20904790A JP 20904790 A JP20904790 A JP 20904790A JP H0749508 B2 JPH0749508 B2 JP H0749508B2
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carbodiimide
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真 山口
寅之助 斉藤
博記 角町
大志郎 岸本
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、特
に、耐加水分解性に優れ、しかも機械的物性に優れた脂
肪族ポリエステル組成物に関する。
(従来の技術) 熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を示し、しか
も成形可能なため、各種工業用品に広く用いられてい
る。特に、脂肪族ポリエステルエラストマーは、熱変形
温度が高く、しかも破断強度、破断伸び等の機械的物性
にも優れているので注目されている。
脂肪族ポリエステルから各種成形品を成形するには、脂
肪族ポリエステルは比較的高温下で溶融混練され、また
成形も比較的高温で行われる。ところが、脂肪族ポリエ
ステルを長時間溶融混練したり高温下で使用すると、脂
肪族ポリエステルが分解されてその分子量が低下し、成
形品の機械的物性が低下するという欠点が見られる。特
に、高温、高湿下で成形品を取り扱うと物性の低下が著
しい。
このようなポリエステルの加水分解に対する耐性を高め
るために、ポリエステルにビス−カルボジイミドを添加
する技術(特開昭46−5389号公報)や、ポリエステルに
エポキシ化合物を添加する技術(特開昭59−240618号公
報)が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、これらの公報に開示されたポリエステルは、テ
レフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とエチレング
リコール等の低分子量グリコールとを重縮合させて得ら
れたものであるため、高温、高湿度下で使用され、しか
も大荷重が作用する部品に採用するには、破断強度およ
び破断伸び等の機械的物性が不十分であった。
本発明は上記従来の欠点を解決するものであって、その
目的とするところは、加水分解しにくく、しかも破断強
度および破断伸び等の機械的物性が従来に比べて優れて
いる、熱可塑性エラストマーとしての性質を有する脂肪
族ポリエステル組成物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、一般式が下式
〔I〕で表わされる脂肪族ジカルボン酸;脂肪族ジオー
ル;および一般式が下式〔II〕で表わされるジヒドロキ
シ化合物と下式〔III〕で表わされるモノヒドロキシ化
合物のうち少なくともいずれか一方を構成成分とする脂
肪族ポリエステルと、カルボジイミド化合物又はモノエ
ポキシ化合物と、を含有する脂肪族ポリエステル組成物
であって、該カルボジイミド化合物又はモノエポキシ化
合物が、該脂肪族ポリエステル100重量部に対して0.05
〜5.00重量部の割合で含有され、そのことにより上記目
的が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
り、mは0または1以上の整数を示す。) 本発明で使用される脂肪族ポリエステルは、熱可塑性エ
ラストマーとしての性質を有し、耐熱性及び機械的物性
に優れ、しかも成形加工性に優れている脂肪族ポリエス
テルである。
上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数が10を超える
ジカルボン酸を用いると、脂肪族ポリエステルから得ら
れる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸として
は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、スベリン酸、およびセバチン酸が好適
に用いられる。
上記脂肪族ジオールとしては、グリコール及びポリアル
キレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジ
オール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキ
サン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン
−1,4−ジメタノール等があげられ、これらは単独で使
用されてもよく、二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては、例えば、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラ
メチレンオキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等があ
げられ、これらは単独で使用されてもよく、二種以上が
併用されてもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均分
子量は、小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに柔
軟性を付与する能力が低下し、大きくなりすぎると得ら
れた脂肪族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下する
ので、100〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜5,
000である。
上記式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性を
示す低分子化合物であって、アルキレン基R1およびR2
エチレン基又はプロピレン基が好ましく、qおよびrは
0又は1が好ましく、4,4″−ジヒドロキシ−p−ター
フェニル、4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェ
ニル、4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ク
ォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニルの結晶状態か
ら液晶状態への転移温度は260℃で、4,4−ジヒドロキ
シ−p−クォーターフェニルのそれは336℃、そして4,4
−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフ
ェニルのそれは403℃である。尚、液晶状態とは、化合
物が溶融状態であって、また分子が配向状態を保持して
いる状態をいう。上記各ジヒドロキシ化合物〔II〕はそ
れぞれ単独で使用しても良く、あるいは併用しても良
い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記したように4,
4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4−ジヒド
ロキシ−p−クォーターフェニル及び4,4−ジ(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等はそ
の結晶から液晶状態への転移点が高いために、これらの
ジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー鎖中に組み込まれ
た場合、そのポリマーは特異な性質を示す。すなわち、
ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し、しかもその
転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔II〕の配合量
が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理的架橋を形成
する。その結果、ソフトセグメントに由来する柔軟性を
損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラストマーが得
られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は、パラ
フェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であり、
その特徴ある分子構造を反映してこれらの化合物の融点
は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子結晶
化合物のメソゲンとして有効であることが知られてお
り、これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶融
状態)においても、強い凝集力を有していることを示す
ものである。従って、上記のモノヒドロキシ化合物〔II
I〕をポリマー未端に組み込んだ場合、非常に強固で耐
熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に優れた熱可
塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物において
は、R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく、n
は0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物と
しては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニル、
4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等があ
げられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ
単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても良
い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジオールおよび
ジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔II
I〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族ポリ
エステルに、2個の水酸基を有するポリシリコーンや、
ラクトンや、芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成成分と
して含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有するものであ
り、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが好
ましく、たとえば、分子の両末端に2個の水酸基を有す
るジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、
ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシリコ
ーンの数平均分子量は、小さくなると生成するポリエス
テルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなるとポ
リエステルの生成が困難になるので、100〜20,000が好
ましく、より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と反応し、脂肪
族鎖を付加するものであって、ポリエステルに柔軟性を
付与するものであり、環の中に4個以上の炭素原子を有
するものが好ましく、より好ましくは5員環〜8員環で
あり、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリエステルに剛
性や液晶性を付与するものであり、サリチル酸、メタヒ
ドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−クロ
ロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニ
ル等があげられ、好ましくは、パラヒドロキシ安息香
酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−イドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルである。
さらに、上記脂肪族ポリエステルに、ポリエステルの機
械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシ
ン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチル
ヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロ
キノン、フェノキシヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキ
シビフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等があげられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4′−
ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェ
ニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルサルフ
ァイド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,
3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボキ
シベンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノ
キシ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリン、または
2,6−ジカルボキシナフタリン等があげられる。
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂肪
族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは、ジヒド
ロキシ化合物〔II〕の含有量が少なくなると耐熱性が低
下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下し、熱
可塑性エラストマーとしては不適当になるので、上記ジ
ヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエステルを構
成する全モノマー中の0.1〜30モル%が好ましく、より
好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好ましくは1.0
〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオールとしてポ
リアルキレンオキシドやポリシリコーンを使用する場
合、その構成単位を1モノマーとして数える。即ち、重
合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーとして数え
る。
また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジオ
ールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステル
は、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なくな
ると耐熱性が低下し、多くなると脂肪族ポリエステルの
分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなるの
で脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1〜2
0モル%とするのが好ましい。
また、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ
化合物〔III〕と脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸
より成る脂肪族ポリエステルは、ジヒトロキシ化合物
〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕とを合せたヒド
ロキシ化合物の含有量が少なくなると耐熱性が低下し、
多くなると柔軟性の低下および十分な分子量上昇が得ら
れないため、脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー
中の0.1〜30モル%とするのが好ましい。この際のジヒ
ドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕
の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
以上のような構成成分から成る脂肪族ポリエステルは、
以下にあげる一般に知られている任意の重縮合方法を用
いて製造することができる。
ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法。
ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
ジカルボン酸のハロゲン化物とジオール成分をピリジ
ン等の適当な溶媒中で反応させる方法。
ジオール成分の金属アルコラートをジカルボン酸のハ
ロゲン化物と反応させる方法。
ジオール成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
重縮合する際には、一般にポリエステルを製造する際に
使用されている触媒が使用されてよい。この触媒として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜
鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、
錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホウ素、カドミ
ウム、マンガン等の金属、その有機金属化合物、有機酸
塩、金属アルコキシド、金属酸化物等があげられる。
特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジアシル第一
錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサイド、ジブ
チル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、錫ジオクタ
ノエート、錫テトラアセテート、トリイソブチルアルミ
ニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウ
ム、および三酸化アンチモンである。これらの触媒は二
種以上併用してもよい。また、重合とともに副生する水
や、アルコール、グリコール等を効率よく留出させ、高
分子量ポリマーを得るためには、反応系を重合後期に1m
mHg以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般に1
50〜350℃である。
また、重合中ジヒドロキシ化合物〔II〕の添加順序を変
えることによって得られるポリエステルの構造を規制す
ることも可能である。例えば、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕をジカルボン酸および他のジオール成分と一括して
仕込んだ場合は、ランダム共重合体が得られ易くなり、
重合後期にジヒドロキシ化合物〔II〕を仕込んだ場合に
ブロック共重合体が得られ易くなる。また、予め合成し
たポリエステルに上記ジヒドロキシ化合物〔II〕あるい
はジヒドロキシ化合物のアセチル化合物を減圧加熱下で
混練し、脱エチレングリコールあるいはエステル交換反
応によって分子鎖にジヒドロキシ化合物〔II〕に基づく
セグメントを導入することも可能である。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、上記脂肪族ポリ
エステルと、カルボジイミド化合物またはモノエポキシ
化合物とを含有する。
脂肪族ポリエステル組成物がカルボジイミド化合物を含
有する場合において、上記カルボジイミド化合物は、同
一分子内に1個以上のカルボジイミド基を有するもので
あればよく、その構造は特に制限されない。
カルボジイミド化合物の具体例としては、ジ−o−トル
イル−カルボジイミド、ジ−(2,4−ジイソプロピル)
フェニル−カルボジイミド、p−フェニレン−ビス−
(2,6−キシリル−カルボジイミド)、p−フェニレン
−ビス−(t−ブチル−カルボジイミド)、p−フェニ
レン−ビス(メシチル−カルボジイミド)、テトラメチ
レン−ビス−(t−ブチル−カルボジイミド)、シクロ
ヘキサン−1,4−ビス−(メチレン−t−ブチル−カル
ボジイミド)、オリゴ−2,4−トルイル−カルボジイミ
ド等があげられる。
カルボジイミド化合物の添加量は、脂肪族ポリエステル
の末端カルボキシル基の数により異なるが、脂肪族ポリ
エステル100重量部に対して0.05〜5.00重量部の範囲で
ある。
このようにカルボジイミド化合物を脂肪族ポリエステル
に対して所定量添加することにより、カルボジイミド化
合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する際に、カル
ボジイミド基が脂肪族ポリエステルのカルボキシル基と
反応することによってその分子量が上がり、および/ま
たはカルボジイミド基が脂肪族ポリエステルの末端カル
ボキシ基を封止することにより、耐加水分解性を向上さ
せるものと思われる。
例えば、一分子内に2個以上のカルボジイミド基を有す
るカルボジイミド化合物を用いた場合には、脂肪族ポリ
エステルの末端カルボキシル基を封止すると共に、各脂
肪族ポリエステルにおける2つの末端カルボキシル基を
つなぐことにより分子量が低下するのを抑制するものと
推測される。また、一分子内に1個のカルボジイミド基
を有するカルボジイミド化合物を用いた場合には、脂肪
族ポリエステルの末端カルボキシル基と反応して封止す
ることによりカルボキシル基による触媒的な分解促進作
用を抑制し、脂肪族ポリエステルの耐加水分解が改良さ
れるものを推測される。カルボジイミド化合物の含有量
が脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.05重量部
を下回ると上記効果が発揮されない。5.00重量部を上回
ると得られる脂肪族ポリエステルの機械的強度が低下す
る。
脂肪族ポリエステル組成物がモノエポキシ化合物を含有
する場合において、モノエポキシ化合物は、同一分子内
に1個のエポキシ基を有するものであればよく、その構
造は特に制限されない。モノエポキシ化合物の具体例と
しては、下記一般式(A)〜(C)で示される化合物を
挙げることができる。
(但し、式中nは0〜20、Rは炭素数1〜10のアルキル
基または炭素数6〜20のアリール基を示す。R′は炭素
数2〜10のアルキレン基を示す。) 式(A)〜(C)において、Rは具体的には、メチル、
エチル、プロピル、ブチル、ネオペンチル、ヘキシル、
ノニル等のアルキル基;フェニル、トリル、キシリル、
エチルフェニル、ナフチル等のアリール基があげられ
る。R′としては、具体的にはエチレン、プロピレン、
トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン等のア
ルキレン基があげられる。モノエポキシ化合物の具体例
としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ラウ
リルグリシジルエーテル、フェノキシポリエチレングリ
コールグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエーテ
ル等があげられる。
モノエポキシ化合物の添加量は、脂肪族ポリエステルの
末端カルボキシル基の数により異なるが、脂肪族ポリエ
ステル100重量部に対して0.05〜5.00重量部の範囲であ
る。
このようにモノエポキシ化合物を脂肪族ポリエステルに
対して所定量添加することにより、モノエポキシ化合物
と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する際に、エポキシ
基が脂肪族ポリエステルの末端カルボキシ基を封止する
ことにより、耐加水分解性を向上させるものと思われ
る。
モノエポキシ化合物の含有量が脂肪族ポリエステル100
重量部に対して、0.05重量部を下回ると上記効果が発揮
されない。5.00重量部を上回ると得られる脂肪族ポリエ
ステルの機械的強度が低下する。
モノエポキシ化合物と脂肪族ポリエステルとの反応を促
進させるために触媒を添加してもよい。
使用される触媒としてはエチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタ
ミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、ジシアンジアミド、ピペリジン等のアミン化合物、
ショウ酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無
水フタル酸、コハク酸、等の有機酸、炭素原子数10以上
のモノカルボン酸またはジカルボン酸の元素周期律表I
−a族又はII−a族の金属塩等があげられる。触媒の好
ましい添加量は脂肪族ポリエステル1Kgに対して1〜50
ミリモルである。触媒量が50ミリモルより多すぎると、
樹脂の溶融粘度が低下し、コゲ茶色に着色する傾向があ
る。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物には、その実用性を
損なわない範囲で、さらに、以下の添加剤が添加されて
もよい。
無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化
けい素繊維、アルミナ繊維、アモロファス繊維、シリコ
ン・チタン・炭素系繊維等。
有機繊維:アラミド繊維等。
無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、
タルク等。
熱安定剤:トリフェニルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、2
−tert−ブチル−α−(3−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニ
ル)ホスファイト等。
難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,
3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフ
ェニルアリルエーテル等。
紫外線吸収剤:p−tert−ブチルフェニルサリシレー
ト、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾ
フェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等。
酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒ
ドロキシトルエン、ジステアリルチオジプロピオネー
ト、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤等。
帯電防止剤:N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキル
アミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルフ
ァネート等。
無機物:硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等。
高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウム、ステアリン
酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等。
その他の有機化合物:ベンジルアルコール、ベンゾフ
ェノン等。
結晶化促進剤;高結晶化したポリエチレンテレフタレ
ート、ポリトランス−シクロヘキサンジメタノールテレ
フタレート等。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物を製造する方法は特
に限定されず、脂肪族ポリエステル、カルボジイミド化
合物またはモノエポキシ化合物、および必要に応じて触
媒等を混ぜ合わせた後、通常の公知の方法を用いて溶融
混練される。例えば、押出機、バンバリーミキサー、ロ
ール、ニーダー等による溶融混練方法がある。溶融混練
時の温度は、150〜280℃の範囲が好ましい。
得られた脂肪族ポリエステル組成物から成形品を得るに
は、プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等の
溶融成形方法が採用される。成形品は機械部品、電子部
品、フィルム、パイプ等に用いることができる。
(実施例) 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例で得られた脂肪族ポリエステル組成
物の極限粘度と物性は以下の方法に従って測定した。
極限粘度[η]:ウベローデ粘度管を用い、o−クロ
ロフェノール溶媒中30℃で測定した。
引張破断強度および引張破断伸度:脂肪族ポリエステ
ル組成物を用いてヒートプレスにて、2mm厚の平板を作
製し、JIS K−6301に準拠し、3号形ダンベル試験片を
打ち抜いた。これを用いて、引張速度50mm/min.で試験
を行った。
引張破断強度保持率および引張破断伸度保持率:上記
で得られたダンベル試験片を80℃、95%RHの恒温恒湿
槽中で2週間保持した。この試験片の引張破断強度およ
び引張破断伸度を測定し、上記で得られた引張破断強
度および引張破断伸度に対する保持率を算出した。
実施例1 (A)4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル
の合成 4−ヒドロキシ−4′−ブロモビフェニル60.0gに、メ
タノール100g、10wt%水酸化ナトリウム水溶液300g及び
5wt%パラジウム/カーボン13gを加え、120℃、5気圧
の条件下で、4時間反応させることより、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニルのジナトリウム塩を
得た。この固形物にN,N−ジメチルホルムアミドを加
え、加熱ろ過して触媒を分離した後、ろ液を希硫酸で酸
析し、メタノールを洗浄して、白色結晶性粉末の4,4
−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル(以下、DHQ
とする)を得た。DHQの液晶転移温度は336℃であった。
(B)ビス(2−ヒドロキシエチル)アジペート(BHE
A)の合成〉 撹拌機、温度計、ガス吹き込み口及び蒸留口を備えた内
容積1のガラス製フラスコに、アジピン酸ジメチル8
7.1g(0.50mol)、エチレングリコール74.4g(1.20mo
l)、触媒として酢酸カルシウム及び三酸化アンチモン
少量を加えた。フラスコ内を窒素で置換した後にフラス
コ内を昇温して180℃で2時間反応させた。反応ととも
に、フラスコからメタノールが留出しはじめ、ビス(2
−ヒドロキシエチル)アジペート(以下、BHEAとする)
が生成した。
(C)脂肪族ポリエステルの合成 上記のフラスコに、DHQをBHEAに対し10モル%のモル比
で配合して加え、フラスコを300℃まで昇温し、この状
態で約1時間反応させた。次に、蒸留口を真空器につな
ぎ、フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で2時間反応さ
せた。反応とともにエチレングリコールが留出し、フラ
スコ内には極めて粘稠な液体が生成した。
得られた脂肪族ポリエステルの極限粘度〔η〕は、1.10
であった。
(D)脂肪族ポリエステル組成物の調製 上記(C)項で得られた脂肪族ポリエステル1000g、オ
リゴ−2,4−トルイル−カルボジイミド10gおよびイルガ
ノックス1010(フェノール系安定剤、チバガイギー社
製)3.0gを混合し、これをブラベンダープラストグラフ
押出機を用いて、230℃にて押し出し、水冷した後切断
してペレット化した。なお、押出機中の滞留時間は4分
であった。
得られたポリエステル組成物の極限粘度は1.10であっ
た。ポリエステル組成物の物性の結果を第1表に示し
た。
実施例2 カルボジイミド化合物としてオリゴ−2,4−トルイル−
カルボジイミド10gのかわりに、ジ−(2,4−ジイソプロ
ピル)フェニル−カルボジイミド10gを用いたこと以外
は、実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエステル組成物
を得た。
得られたポリエステル組成物の極限粘度は1.02であっ
た。ポリエステル組成物の物性の結果を第1表に示し
た。
実施例3 脂肪族ポリエステル1000gとオリゴ−2,4−トルイル−カ
ルボジイミド10gおよびイルガノックス1010(フェノー
ル系安定剤、チバガイギー社製)3.0gのかわりに、脂肪
族ポリエステル1000g、フェノキシポリエチレングリコ
ールグリシジルエーテル(重合度5.5)15g、ステアリン
酸ナトリウム2gおよびイルガノックス1010(フェノール
系安定剤、チバガイギー社製)3.0gを用いたこと以外
は、実施例1と同様の方法でポリエステル組成物を得
た。
得られたポリエステル組成物の物性を表1に示した。
実施例4 脂肪族ポリエステル1000g、フェノキシポリエチレング
リコールグリシジルエーテル(重合度5.5)15g、ステア
リン酸ナトリウム2gおよびイルガノックス1010(フェノ
ール系安定剤、チバガイギー社製)3.0gのかわりに、脂
肪族ポリエステル1000g、フェノキシポリエチレングリ
コールグリシジルエーテル(重合度5.5)30gおよびイル
ガノックス1010(フェノール系安定剤、チバガイギー社
製)3.0gを用いたこと以外は、実施例3と同様の方式で
ポリエステル組成物を得た。
得られたポリエステル組成物の物性を表1に示した。
比較例 オリゴ−2,4−トルイル−カルボジイミドを用いなかっ
たこと以外は、実施例1と同様の方法で脂肪族ポリエス
テル組成物を得た。
得られたポリエステル組成物の極限粘度は1.00であっ
た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示し
た。
(発明の効果) 本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ジカルボ
ン酸と、脂肪族ジオールとから主として構成された脂肪
族ポリエステルに、結晶性が高く、融点の高いジヒドロ
キシ化合物やモノヒドロキシ化合物に基づくセグメント
が導入されているので、耐熱性、機械的物性等に優れた
成形品を提供することができる。しかも、加工時におけ
る長時間の加熱による劣化や長時間高温、多湿下で使用
されることによる劣化を減少することができるから、従
来に比べてさらに苛酷な状況下でも使用可能な熱可塑性
エラストマーを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウメ ヤママンション102 (56)参考文献 特開 昭59−204618(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
    I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
    わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方を構成成分とする脂肪族ポリエステルと、カルボ
    ジイミド化合物又はモノエポキシ化合物と、を含有する
    脂肪族ポリエステル組成物であって、 該カルボジイミド化合物又はモノエポキシ化合物が、該
    脂肪族ポリエステル100重量部に対して0.05〜5.00重量
    部の割合で含有されている脂肪族ポリエステル組成物: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す。) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
    数を示す。) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1以上の整数を示す。)。
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