JPH0749512B2 - 脂肪族ポリエステル組成物 - Google Patents

脂肪族ポリエステル組成物

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JPH0749512B2
JPH0749512B2 JP5042790A JP5042790A JPH0749512B2 JP H0749512 B2 JPH0749512 B2 JP H0749512B2 JP 5042790 A JP5042790 A JP 5042790A JP 5042790 A JP5042790 A JP 5042790A JP H0749512 B2 JPH0749512 B2 JP H0749512B2
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acid
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真 山口
和夫 土山
信 大須賀
一雄 山形
章博 仁木
寅之助 斉藤
博記 角町
大志郎 岸本
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、特
に、溶融粘度の高い脂肪族ポリエステルが得られる組成
物に関する。
(従来の技術) 熱可塑性エラストマーは常温でゴム弾性を示し、しかも
成形可能なため、各種工業用品に広く用いられている。
特に、p−ターフェニルもしくはp−クォーターフェニ
ル骨格を有するジヒドロキシもしくはモノヒドロキシ化
合物を構成成分とする脂肪族ポリエステルは、機械的物
性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得、本出願人
はこの脂肪族ポリエステルに関する発明を既に出願した
(例えば、特開平1−263476号)。
(発明が解決しようとする課題) このような脂肪族ポリエステルは、通常、溶融重縮合に
より製造されるが、分解を抑える必要から重合温度には
上限があり、また装置の能力に限界もあることから、高
溶融粘度の脂肪族ポリエステルを得ることは容易ではな
い。
樹脂の溶融粘度を増加させる方法として、固相重合法や
アイオノマーをブレンドする方法等が知られている。固
相重合法では、充分な粘度の樹脂を得るためには長時間
の反応が必要となり経済的でない。アイオノマーをブレ
ンドする方法では、ポリエステルとアイオノマーとの相
溶性が悪いため充分な粘度のものを得ることができな
い。
本発明は上記の実情に着目してなされたものであり、そ
の目的とするところは、製造温度を特に上げることなく
溶融粘度の高いものが得られる脂肪族ポリエステル組成
物を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、製造温度を特に上げることなく高粘度の
脂肪族ポリエステルが得られる方法について検討した結
果、ジエポキシ化合物を該脂肪族ポリエステルに所定量
混合することが非常に有効であることを見いだし本発明
に至った。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、一般
式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジカルボン酸;脂肪
族ジオール;および一般式が下式〔II〕で表わされるジ
ヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表わされるモノヒド
ロキシ化合物のうち少なくともいずれか一方を構成成分
とする脂肪族ポリエステルと、ジエポキシ化合物と、を
含有する脂肪族ポリエステル組成物であって、該ジエポ
キシ化合物が、該脂肪族ポリエステル1Kgに対して5〜1
00ミリモルの割合で含有され、そのことにより上記目的
が達成される。
HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
数を示す) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
り、mは0または1以上の整数を示す) 本発明で使用される脂肪族ポリエステルは、熱可塑性エ
ラストマーとしての性質を有し、耐熱性及び機械的物性
に優れ、しかも成形加工性に優れている脂肪族ポリエス
テルである。
上記脂肪族ジカルボン酸において、炭素数が10を越える
ジカルボン酸を用いると、脂肪族ポリエステルから得ら
れる成形体の物性が低下する。上記ジカルボン酸として
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、およびセバチン酸が好適に用いら
れる。
上記脂肪族ジオールとしては、グリコール及びポリアル
キレンオキシドがあげられる。上記グリコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリ
メチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シ
クロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−
ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘ
キサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
上記ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオ
キシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレン
オキシド、ポリヘキサメチレンオキシド等があげられ、
これらは単独で使用されてもよく、二種以上が併用され
てもよい。ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、
小さくなると生成する脂肪族ポリエステルに柔軟性を付
与する能力が低下し、大きくなりすぎると得られた脂肪
族ポリエステルの熱安定性等の物性が低下するので、10
0〜20,000が好ましく、より好ましくは500〜5,000であ
る。
上記式〔II〕で表されるジヒドロキシ化合物は液晶性を
示す低分子化合物であって、アルキレン基R1およびR2
エチレン基又はプロピレン基が好ましく、q及びrは0
又は1が好ましく、次式〔A〕で表される4,4′′−ジ
ヒドロキシ−p−ターフェニル、次式〔B〕で表される
4,4−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル、次式
〔C〕で表される4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキ
シ)−p−クォーターフェニル等が好適に使用される。
4,4′′−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕の結
晶状態から液晶状態への転移温度は260℃で、4,4−ジ
ヒドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕のそれは33
6℃、そして4,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p
−クォーターフェニル〔C〕のそれは403℃である。
尚、液晶状態とは、化合物が溶融状態であって、また分
子が配向状態を保持している状態をいう。上記各ジヒド
ロキシ化合物〔II〕はそれぞれ単独で使用しても良く、
あるいは併用しても良い。
液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記したように4,
4−ジヒドロキシ−p−ターフェニル〔A〕、4,4−
ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル〔B〕及び4,4
−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフ
ェニル〔C〕はその結晶から液晶状態への転移点が高い
ために、これらのジヒドロキシ化合物〔II〕がポリマー
鎖中に組み込まれた場合、そのポリマーは特異な性質を
示す。
すなわち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結晶性を示し、
しかもその転移点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕の配合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理
的架橋を形成する。その結果、ソフトセグメントに由来
する柔軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラ
ストマーが得られるものと推察される。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物は、パラ
フェニレン骨格を有する剛直性の低分子化合物であり、
その特徴ある分子構造を反映してこれらの化合物の融点
は極めて高い。さらにパラフェニレン骨格は低分子液晶
化合物のメソゲンとして有効であることが知られてお
り、これは該骨格が固体状態のみならず高温状態(溶融
状態)においても、強い凝集力を有していることを示す
ものである。従って、上記のモノヒドロキシ化合物〔II
I〕をポリマー末端に組み込んだ場合、非常に強固で耐
熱性の高い物理的架橋をもたらし、耐熱性に優れた熱可
塑性エラストマーが生成する。
上式〔III〕で示されるモノヒドロキシ化合物において
は、R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく、n
は0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物と
ては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニル、4
−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等があげ
られる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ単
独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても良
い。
上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕、脂肪族ジオールおよび
ジヒドロキシ化合物〔II〕と、モノヒドロキシ化合物
〔III〕のうち少なくともいずれか一方よりなる脂肪族
ポリエステルに、2個の水酸基を有するポリシリコー
ン、ラクトン、および芳香族ヒドロキシカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記ポリシリコーンは、2個の水酸基を有するものであ
り、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリコーンが好
ましく、たとえば、分子の両末端に2個の水酸基を有す
るジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、
ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポリシリコ
ーンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポリエ
ステルに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなる
と、ポリエステルの生成が困難になるので、100〜20,00
0が好ましく、より好ましくは500〜5,000である。
上記ラクトンは、開環して酸及び水酸基と反応し、脂肪
族鎖を付加するものであって、ポリエステルに柔軟性を
付与するものであり、環の中に4個以上の炭素原子を有
するものが好ましく、より好ましくは5員環〜8員環で
あり、例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン等があげられる。
上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリエステルに剛
性や液晶性を付与するものであり、サリチル酸、メタヒ
ドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−クロ
ロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−フェニ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸、4−ヒドロキシ−4′−カルボキシビフェニ
ルなどがあげられ、好ましくは、パラヒドロキシ安息香
酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ
−4′−カルボキシビフェニルである。
さらに、上記脂肪族ポリエステルに、ポリエステルの機
械的物性等を向上させるために、ジヒドロキシ化合物
〔II〕以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を構
成成分として含有させてもよい。
上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシ
ン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチル
ヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロ
キノン、フェノキシヒドロキノン、4,4′ジヒドロキシ
ビフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタリンなどがあげられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4′−
ジカルボキシビフェニル、4,4′−ジカルボキシジフェ
ニルエーテル、4,4′−ジカルボキシジフェニルサルフ
ァイド、4,4′−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,
3′−ジカルボキシベンゾフェノン、4,4′−ジカルボキ
シベンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノ
キシ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリン、または
2,6−ジカルボキシナフタリンなどがあげられる。
上記ジヒドロキシ化合物〔II〕と脂肪族ジオールと脂肪
族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルは、ジヒド
ロキシ化合物〔II〕の含有量が、少なくなると耐熱性が
低下し、多くなると弾性率が高くなり柔軟性が低下し、
熱可塑性エラストマーとしては不適当になるので、上記
ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量は、ポリエステルを
構成する全モノマーの中の0.1〜30モル%が好ましく、
より好ましくは0.5〜20モル%であり、さらに好ましく
は1.0〜10モル%である。尚、芳香族以外のジオールと
してポリアルキレンオキシドやポリシリコーンを使用す
る場合、その構成単位を1モノマーとして数える。即
ち、重合度10のポリエチレンオキシドは10モノマーとし
て数える。
また、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジオ
ールと脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステル
は、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量が少なくな
ると耐熱性が低下し、多くなると脂肪族ポリエステルの
分子量が十分に上昇せず、物性的に劣ったものとなるの
で脂肪族ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1〜2
0モル%とするのが好ましい。また上記ジヒドロキシ化
合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕と脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸より成る脂肪族ポリエステ
ルは、ジヒトロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合
物〔III〕とを合せたヒドロキシ化合物の含有量が少な
くなると耐熱性が低下し、多くなると柔軟性の低下およ
び十分な分子量上昇が得られらないため、脂肪族ポリエ
ステルを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%とする
のが好ましい。この際のジヒドロキシ化合物〔II〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔III〕の割合は 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
以上のような構成成分から成る脂肪族ポリエステルは、
以下にあげる一般に知られている任意の重縮合方法を用
いて製造することができる。
ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法。
ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
ジカルボン酸のハロゲン化物とジオール成分をピリジ
ンなどの適当な溶媒中で反応させる方法。
ジオール成分の金属アルコラートをジカルボン酸のハ
ロゲン化物と反応させる方法。
ジオール成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエス
テル交換を利用して反応させる方法。
重縮合する際には、一般にポリエステルを製造する際に
使用されている触媒が使用されてよい。この触媒として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜
鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、
錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホウ素、カドミ
ウム、マンガンなどの金属、その有機金属化合物、有機
酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等があげられる。
特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジアシル第一
錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサイド、ジブ
チル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、錫ジオクタ
ノエート、錫テトラアセテート、トリイソブチルアルミ
ニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウ
ム、および三酸化アンチモンである。これらの触媒は二
種以上併用してもよい。また、重合とともに副生する水
や、アルコール、グリコールなどを効率よく留出させ、
高分子量ポリマーを得るためには、反応系を重合後期に
1mmHg以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般
に150〜350℃である。
また、重合中ジヒドロキシ化合物〔II〕の添加順序を変
えることによって得られるポリエステルの構造を規制す
ることも可能である。例えば、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕をジカルボン酸および他のジオール成分と一括して
仕込んだ場合は、ランダム共重合体が得られ易くなり、
重合後期にジヒドロキシ化合物〔II〕を仕込んだ場合に
ブロック共重合体が得られ易くなる。また、予め合成し
たポリエステルに上記ジヒドロキシ化合物〔II〕あるい
はジヒドロキシ化合物のアセチル化合物を減圧加熱下で
混練し、脱エチレングリコールあるいはエステル交換反
応によって分子鎖にジヒドロキシ化合物〔II〕に基づく
セグメントを導入することも可能である。
本発明に使用されるジエポキシ化合物は、同一分子内に
2個のエポキシ基を有するものであればよく、その構造
は特に制限されない。ジエポキシ化合物の具体例として
は、下記一般式(1)、(2)で示される化合物があげ
られる。
式(1)、式(2)において、Rはアルキレン基、二価
の脂環基、二価の芳香族基または一般式:R4O)tR4
で示されるポリエーテル基(R4は炭素数2〜6のアルキ
レン基またはフェニレン基を示し、tは1〜20の整数を
示す)を示す。
使用されるジエポキシ化合物の添加量は、要求される脂
肪族ポリエステル組成物の溶融粘度の値により異なる
が、脂肪族ポリエステル1Kgに対してジエポキシ化合物
の添加量が5ミリモルより少ないと溶融粘度増大効果は
見られず、また100ミリモルより多いと得られた組成物
にて形成された成形品の力学物性等が低下するので、脂
肪族ポリエステル1Kgに対して5〜100ミリモルの範囲に
限定される。
本発明における増粘効果は、脂肪族ポリエステルの末端
とジエポキシ化合物のエポキシ基との反応等によるもの
と思われる。このジエポキシ化合物と脂肪族ポリエステ
ルとの反応を促進させるために触媒を添加してもよい。
使用される触媒としてはエチレンジアミン、プロピレン
ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタ
ミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、ジシアンジアミド、ピペリジンなどのアミン化合
物、ショウ酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン
酸、無水フタル酸、コハク酸、等の有機酸、炭素原子数
10以上のモノカルボン酸またはジカルボン酸の元素周期
律表I−a族又はII−a族の金属塩、等があげられる。
触媒の好ましい添加量は脂肪族ポリエステル1Kgに対し
て1〜50ミリモルである。触媒量が50ミリモルより多す
ぎると、樹脂の溶融粘度が低下し、コゲ茶色に着色する
傾向がある。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物には、その実用性を
損なわない範囲で、さらに、以下の添加剤が添加されて
もよい。すなわち、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイ
カ、タルク等の無機充填剤、トリフェニルホスファイ
ト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニル
ホスファイト、2−tert−ブチル−α−(3−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス
(p−ノニルフェニル)ホスファイト等の熱安定剤、ヘ
キサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロ
プロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリル
エーテル等の難燃剤、p−tert−ブチルフェニルサリシ
レート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシ
ベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノ
ン等の紫外線吸収剤、ブチルヒドロキシアニソール、ブ
チルヒドロキシトルエン、ジステアリルチオジプロピオ
ネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒンダーフ
ェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、N,N−ビス(ヒ
ドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスル
ホネート、アルキルスルファネート等の帯電防止剤、硫
酸バリウム、アルミナ、酸化珪素などの無機物;ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン
酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩;ベンジルアルコー
ル、ベンゾフェノンなどの有機化合物;高結晶化したポ
リエチレンテレフタレート、ポリトランス−シクロヘキ
サンジメタノールテレフタレート等の結晶化促進剤など
があげられる。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物を製造する方法は特
に限定されず、脂肪族ポリエステル、ジエポキシ化合
物、および必要に応じて、触媒等を混ぜ合せた後、通常
の公知の方法を用いて溶融混練される。例えば、押出
機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどによる
溶融混練方法がある。溶融混練時の温度は、150〜280℃
の範囲が好ましい。
得られた脂肪族ポリエステル組成物から成形品を得るに
は、プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等の
溶融成形方法が採用される。成形品は機械部品、電子部
品、フィルム、パイプ等に用いられる。
(実施例) 以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、以下の実施例で得られた脂肪族ポリエステル組成
物の極限粘度は以下の方法に従って測定した。
極限粘度[η]:ウベローデ粘度管を用い、o−クロロ
フェノール溶媒中30℃で測定した。
脂肪族ポリエステルは以下の方法で調製した。〈4,4
−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルの合成〉 4−ヒドロキシ−4′−ブロモビフェニル60.0gに、メ
タノール100g、10wt%水酸化ナトリウム水溶液300g及び
5wt%パラジウム/カーボン13gを加え、120℃、5気圧
の条件下で、4時間反応させることより、4,4−ジヒ
ドロキシ−p−クォーターフェニルのジナトリウム塩を
得た。この固形物にN,N−ジメチルホルムアミドを加
え、加熱ろ過して触媒を分離した後、ろ液を希硫酸で酸
折し、メタノールを洗浄して、白色結晶性粉末の4,4
−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニル(以下、DHQ
とする)を得た。DHQの液晶転移温度は336℃であった。
〈ビス(2−ヒドロキシエチル)アジペート(BHEA)の
合成〉 撹拌機、温度計、ガス吹き込み口及び蒸溜口を備えた内
容積1のガラス製フラスコに、アジピン酸ジメチル8
7.1g(0.50mol)、エチレングリコール74.4g(1.20mo
l)、触媒として酢酸カルシウム及び三酸化アンチモン
少量を加えた。フラスコ内を窒素で置換した後にフラス
コ内を昇温して180℃で2時間反応させた。反応ととも
に、フラスコからメタノールが留出しはじめ、ビス(2
−ヒドロキシエチル)アジペート(以下、BHEAとする)
が生成した。
〈脂肪族ポリエステルの調製〉 上記のフラスコに、DHQをBHEAに対し10モル%のモル比
まで配合して加え、フラスコを300℃まで昇温し、この
状態で約1時間反応させた。次に、蒸留口を真空器につ
なぎ、フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で2時間反応
させた。反応とともにエチレングリコールが留出し、フ
ラスコ内には極めて粘稠な液体が生成した。
得られた脂肪族ポリエステルの極限粘度〔η〕は、1.10
であった。
実施例1〜4及び比較例1〜2 上記脂肪族ポリエステル1Kgと第1表に示したジエポキ
シ化合物と触媒を第1表に示した量およびイルガノック
ス1010(フェノール系安定剤、チバガイギー社製)5gを
混合し、これをブラベンダープラストグラフ押出機を用
いて、240℃にて押し出し、水冷した後切断してペレッ
ト化した。なお、押出機中の滞留時間は4分であった。
得られたペレットの極限粘度を測定した。結果を第1表
に示した。次に、得られたペレットを窒素置換したオー
ブン中で220℃で5時間熱処理した。処理後のペレット
の極限粘度を測定した。結果を第1表に示した。なお、
第1表に示すように、比較例2では、脂肪族ポリエステ
ルとジエポキシ化合物とを溶融混合した際にゲル化が起
こり、得られたものはo−クロロフェノール中に溶解せ
ず、極限粘度を測定できなかった。
(発明の効果) 本発明によれば、脂肪族ポリエステルの製造時の溶融温
度を特に上げることなく高溶融粘度のポリエステルを得
ることができ、製造時に樹脂が分解したり、劣化するこ
とのない脂肪族ポリエステルが得られると共に、高価な
装置を特に必要としない。
このようにして得られた脂肪族ポリエステル組成物は、
脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとから主として
構成された脂肪族ポリエステルに、結晶性が高く、融点
の高いジヒドロキシ化合物やモノヒドロキシ化合物に基
づくセグメントが導入されているので、耐熱性、機械的
物性、成形加工性等に優れた熱可塑性エラストマーとし
て各種部材に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁木 章博 大阪府三島郡島本町百山2番2号 (72)発明者 斉藤 寅之助 大阪府茨木市山手台5丁目17番21号 (72)発明者 角町 博記 大阪府茨木市南春日丘1丁目11番3号 (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 ウメ ヤママンション102

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が下式〔I〕で表わされる脂肪族ジ
    カルボン酸;脂肪族ジオール;および一般式が下式〔I
    I〕で表わされるジヒドロキシ化合物と下式〔III〕で表
    わされるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方を構成成分とする脂肪族ポリエステルと、ジエポ
    キシ化合物と、を含有する脂肪族ポリエステル組成物で
    あって、 該ジエポキシ化合物が、該脂肪族ポリエステル1Kgに対
    して5〜100ミリモルの割合で含有されている脂肪族ポ
    リエステル組成物: HOOC−(CH2)n−COOH 〔I〕 (式中、nは0〜10の整数を示す) (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは3
    または4であり、q、rは独立的に0または1以上の整
    数を示す) (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3であ
    り、mは0または1以上の整数を示す)。
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