JPH05295243A - エラストマー組成物 - Google Patents

エラストマー組成物

Info

Publication number
JPH05295243A
JPH05295243A JP10492892A JP10492892A JPH05295243A JP H05295243 A JPH05295243 A JP H05295243A JP 10492892 A JP10492892 A JP 10492892A JP 10492892 A JP10492892 A JP 10492892A JP H05295243 A JPH05295243 A JP H05295243A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
vulcanized rubber
weight
acid
iii
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10492892A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryuichi Matsuo
龍一 松尾
Toranosuke Saito
虎之助 斉藤
Hironori Kadomachi
博記 角町
Daishirou Kishimoto
大志郎 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Sanko Co Ltd
Original Assignee
Sanko Chemical Co Ltd
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanko Chemical Co Ltd, Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sanko Chemical Co Ltd
Priority to JP10492892A priority Critical patent/JPH05295243A/ja
Publication of JPH05295243A publication Critical patent/JPH05295243A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性エラストマーの高温での圧縮永久歪
を改善する。 【構成】 下記一般式〔I〕で表される脂肪族ジカルボ
ン酸と、脂肪族ジオールと、および下記一般式〔II〕で
表されるジヒドロキシ化合物と下記一般式〔III〕で表
されるモノヒドロキシ化合物のうちいずれか一方とを構
成成分とするポリエステル94.6〜49.0重量%、
カルボキシル基を有する加硫ゴム微粒子4.8〜49.
9重量%、およびポリカルボジイミド0.2〜3.7重
量%をそれぞれ含有する。 【化1】 (式中、nは0〜10の整数を示す)。 【化2】 (式中、R1およびR2はアルキレン基を示し、pは3ま
たは4であり、qおよびrは0または1以上の整数を示
す)。 【化3】 (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3で
あり、mは0または1以上の整数を示す)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電線被覆、ベルト、自
動車部品、チューブ、シール材料、パッキン等の工業製
品の弾性材料に用いられる熱可塑性エラストマー組成物
に関し、より詳しくは、ポリエステル、カルボキシル基
を有する加硫ゴムおよびポリカルボジイミドからなる熱
可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾
性、低永久歪等のゴム的性質を示し、高温では溶融して
射出成形や押出成形等の通常プラッチックに対して用い
られる成形法により容易に成形できる高分子材料であ
る。熱可塑性エラストマーのこのような性質は、強い分
子間凝集力を有するハードセグメントと柔軟なソフトセ
グメントからなるその特徴ある分子鎖構造に起因してい
る。すなわち、ハードセグメント間の凝集(結晶、水素
結合、ファンデアワールス力)が物理架橋点として働
き、分子鎖の拘束をもたらす。そしてこの拘束は、ハー
ドセグメント間の凝集が切れるまで保持される。従っ
て、それ以上の温度では熱成形が可能となる。このよう
な特徴を有する熱可塑性エラストマーは、プラスチック
(エンジニアリングプラスチック)と加硫ゴムとの間を
うめる新しい高分子材料として近年その需要が大きく伸
びている。
【0003】しかし、分子鎖の拘束が物理的架橋による
ため、一般には熱可塑性エラストマーは、特に高温での
高永久歪の問題が指摘されている。
【0004】熱可塑性エラストマーの高温における永久
歪を小さくする方法のひとつとして、加硫ゴムを配合す
る方法がある。加硫ゴムを配合した熱可塑性エラストマ
ーの成形は多工程に及ぶが、分子鎖の拘束を化学架橋で
行っているため、物性の温度変化が比較的小さく、高温
でも永久歪は小さいものである。
【0005】他方としては、ゴムに他のポリマーを配合
することも提案されている。例えば、特開昭60-31545号
公報には、ゴムに結晶性芳香族ポリエステルセグメント
およびポリラクトンを配合したエラストマー組成物が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記の加硫ゴムを配合
する方法では、理想的にはブレンドされる加硫ゴムの量
(体積)に応じて熱可塑性エラストマーの永久歪は小さ
くなると考えられる。しかし、現実には、熱可塑性エラ
ストマーと加硫ゴムとの相溶性が充分でないため、得ら
れるエラストマーの大幅な物性改良には至っていない。
【0007】さらに、前記のポリエステルエラストマー
を配合する方法では、得られるエラストマー組成物は、
耐熱性、耐候性、耐油性が改善されているが、機械的強
度、特に引張破断伸びの改善が不十分であった。
【0008】本発明は、上記の点を解決しようとするも
ので、その目的は、機械的強度を低下させることなく高
温での永久歪を改善することができるエラストマー組成
物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1のエラスト
マー組成物は、下記一般式〔I〕で表される脂肪族ジカ
ルボン酸、脂肪族ジオール、および下記一般式〔II〕で
表されるジヒドロキ化合物と下記一般式〔III〕で表さ
れるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか一
方を構成成分とするポリエステル94.6〜49.0重
量%、カルボキシル基を有する加硫ゴム微粒子4.8〜
49.9重量%、およびポリカルボジイミド0.2〜
3.7重量%、をそれぞれ含有することを特徴とし、そ
のことにより上記課題が達成される。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、nは0〜10の整数を示す)。
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R1およびR2は独立的にアルキレ
ン基を示し、pは3または4であり、qおよびrは独立
的に0または1以上の整数を示す)。
【0014】
【化6】
【0015】(式中、R3はアルキレン基を示し、lは
2または3であり、mは0または1以上の整数を示
す)。
【0016】また本発明の第2のエラストマー組成物
は、エチレングリコールおよび/またはブチレングリコ
ールを主に含むジオール成分とテレフタル酸を主に含む
酸成分を構成成分とする芳香族ポリエステルと、ラクト
ンモノマーおよび/またはポリラクトンとを反応させる
ことにより得られるポリエステル共重合体であって、該
芳香族ポリエステルのジオール成分として、前記一般式
〔II〕で示されるジヒドロキシ化合物と前記一般式〔II
I〕で表されるモノヒドロキシ化合物のうち、少なくと
もいずれか一方を構成成分とし、該ヒドロキシ化合物が
ジオール成分の0.1モル%〜30モル%含有されてい
るポリエステル共重合体94.6〜49.9重量%、カ
ルボキシル基を有する加硫ゴム微粒子4.8〜49.9
重量%、およびポリカルボジイミド0.2〜3.7重量
%、をそれぞれ含有することを特徴とし、そのことによ
り上記課題が達成される。
【0017】次に本発明を詳しく説明する。
【0018】まず、本発明の第1のエラストマー組成物
について説明する。
【0019】本発明で使用される脂肪族ジカルボン酸
は、前記一般式〔I〕で示される化合物で、炭素数が2
〜12である。炭素数が10を超える脂肪族ジカルボン
酸を用いた場合、ポリエステルから得られる熱可塑性エ
ラストマーの物性が低下する。脂肪族ジカルボン酸とし
ては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルダ
ル酸、アジピン酸、スベリル酸、セバチン酸等が好適に
用いられる。
【0020】本発明で使用される脂肪族ジオールとして
は、グリコールおよびポリアルキレンオキシドが挙げら
れる。上記グリコールとしては、例えば、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペ
ンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタン
ジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオー
ル、1,10-デカンジオール、シクロペンタン-1,2-ジオー
ル、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,
3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘ
キサン-1,4-ジメタノール等が挙げられ、これらは単独
で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0021】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレン
オキシト等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。ポリアルキレンオキ
シドの数平均分子量は、100〜20,000が好まし
く、より好ましくは500〜5,000である。数平均
分子量が100未満の場合、生成するポリエステルに柔
軟性を付与する能力が低下し、また数平均分子量が2
0,000を越える場合、生成するポリエステルの熱安
定性等の物性が低下する。
【0022】本発明で使用するジヒドロキシ化合物は、
前記一般式〔II〕で示されるものであり、高融点の低分
子化合物であって、アルキレン基R1およびR2としては
エチレン基またはプロピレン基が好ましく、qおよびr
は0または1が好ましい。上記ジヒドロキシ化合物とし
ては、例えば次式〔IV〕で表される4,4''-ジヒドロキシ
-p-ターフェニル、次式〔V〕で表される4,4'''-ジヒド
ロキシ-p-クォーターフェニルおよび次式〔VI〕で表さ
れる4,4'''-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォーター
フェニル等が好適に使用される。4,4''-ジヒドロキシ-p
-ターフェニル〔IV〕の融点は260℃であり、4,4'''-
ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル〔V〕の融点は33
6℃であり、4,4'''-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-ク
ォーターフェニル〔VI〕の融点は403℃である。
【0023】上記ジヒドロキシ化合物はそれぞれ単独使
用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記
したように4,4''-ジヒドロキシ-p-ターフェニル〔I
V〕、4,4'''-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル〔V〕
および4,4'''-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォータ
ーフェニル〔VI〕等はその結晶から液晶状態への転移点
が高いために、これらのジヒドロキシ化合物〔II〕がポ
リマー鎖中に組み込まれた場合、そのポリマーは特異な
性質を示す。
【0028】すなわち、ジヒドロキシ化合物〔II〕が結
晶性を示し、しかもその転移点が高いので、ジヒドロキ
シ化合物〔II〕の配合量が少量の場合でも強固で耐熱性
の高い物理的架橋を形成する。その結果、ソフトセグメ
ントに由来する柔軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱
可塑性エラストマーが得られるものと推察される。
【0029】本発明で使用するモノヒドロキシ化合物
は、前記一般式〔III〕で示され、パラフェニレン骨格
を有する剛直性の低分子化合物であり、その特徴ある分
子構造を反映してこれらの化合物の融点は極めて高い。
さらにパラフェニレン骨格は低分子液晶化合物のメソゲ
ンとして有効であることが知られており、これは該骨格
が固体状態のみならず高温状態(溶融状態)において
も、強い凝集力を有していることを示すものである。従
って、上記のモノヒドロキシ化合物〔III〕をポリマー
末端に組み込んだ場合、非常に強固で耐熱性の高い物理
的架橋をもたらし、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマ
ーが生成する。
【0030】前記一般式〔III〕で示されるモノヒドロ
キシ化合物においては、R3はエチレン基またはプロピ
レン基が好ましく、mは0または1が好ましい。上記モ
ノヒドロキシ化合物〔III〕としては、例えば、4-ヒド
ロキシ-p-ターフェニル、4-ヒドロキシ-p-クォーターフ
ェニル、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-p-ターフェニル、4
-(2-ヒドロキシエトキシ)-p-クォーターフェニル等があ
げられる。モノヒドロキシ化合物〔III〕は、それぞれ
単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても良
い。
【0031】上記脂肪族ジカルボン酸〔I〕と、脂肪族
ジオールと、ジヒドロキシ化合物〔II〕およびモノヒド
ロキシ化合物〔III〕のうち少なくともいずれか一方と
からなるポリエステルに、2個以上の水酸基を有するポ
リシリコーン、ラクトン、芳香族ヒドロキシカルボン酸
を構成成分として含有させてもよい。
【0032】上記ポリシリコーンは2個の水酸基を有す
るものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリ
コーンが好ましく、例えば、分子の両末端に2個の水酸
基を有するジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロ
キサン、ジフェニルポリシロキサン等があげられる。ポ
リシリコーンの数平均分子量は、大きくなるとポリエス
テルの生成が困難になるので、20,000以下が好ま
しく、より好ましくは5,000以下である。
【0033】上記ラクトンは、開環して酸および水酸基
と反応して、脂肪族鎖を付加するものであって、ポリエ
ステルに柔軟性を付与するものであり、環の中に4以上
の炭素原子を有するものが好ましく、例えば、ε-カプ
ロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン等
が挙げられる。
【0034】上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリ
エステルに剛性や液晶性を付与するものであり、サリチ
ル酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、
3-クロロ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-ブロモ-4-ヒドロキ
シ安息香酸、3-メトキシ-4-ヒドロキシ安息香酸、3-メ
チル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-フェニル-4-ヒドロキシ
安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、4-ヒドロキシ-
4'-カルボキシビフェニル等が挙げられ、好ましくは、p
-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、4-
ヒドロキシ-4'-カルボキシビフェニルなどである。
【0035】さらに、上記ポリエステルに、ポリエステ
ルの機械的物性等を向上させるために、上記ジヒドロキ
シ化合物以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボン酸を
構成成分として含有させてもよい。
【0036】上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノ
ン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキ
ノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メ
トキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4'-
ジヒドロキシビフェニル、4,4'-ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルサルファイ
ト、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒ
ドロキシベンゾフェノン、4,4'-ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、ビスフェノールA、1,1-ジ(4-ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェ
ノキシ)エタン、1,4-ジヒドロキシナフタリン、2,6-ジ
ヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
【0037】上記芳香族ジカルボン酸としては、イソフ
タル酸、5-スルホイソフタル酸の金属塩、4,4'-ジカル
ボキシビフェニル、4,4'-ジカルボキシジフェニルエー
テル、4,4'-ジカルボキシジフェニルサルファイド、4,
4'-ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3'-ジカルボキ
シベンゾフェノン、4,4'-ジカルボキシベンゾフェノ
ン、1,2-ビス(4-カルボキシフェノキシ)エタン、1,4-ジ
カルボキシナフタリン、または2,6-ジカルボキシナフタ
リンなどがあげられる。
【0038】上記ジヒドロキシ化合物〔II〕、脂肪族ジ
オールおよび脂肪族ジカルボン酸を構成成分とするポリ
エステルは、ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量が少な
くなると耐熱性が低下し、多くなると弾性率が高くなり
柔軟性が低下して熱可塑性エラストマーとしては不適当
になるので、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕の含有量
は、ポリエステルを構成する全モノマー中の0.1〜3
0モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜20モル
%であり、さらに好ましくは1.0〜10モル%であ
る。なお、芳香族以外のジオールとしてポリアルキレン
オキシドやポリシリコーンを使用する場合、その構成単
位を1モノマーとして数える。すなわち、重合度10の
ポリエチレンオキシドは10モノマーとして数える。
【0039】上記モノヒドロキシ化合物〔III〕、脂肪
族ジオールおよび脂肪族カルボン酸を構成成分とするポ
リエステルは、モノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量
が少なくなると耐熱性が低下し、多くなるとポリエステ
ル共重合体の分子量が充分に上昇せず、物性的に劣った
ものとなるので、上記モノヒドロキシ化合物〔III〕の
含有量は、ポリエステルを構成する全モノマー中の0.
1〜20モル%とするのが好ましい。
【0040】さらに、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕、
モノヒドロキシ化合物〔III〕、脂肪族ジオールおよび
脂肪族カルボン酸を構成成分とするポリエステルは、ジ
ヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔II
I〕とを合わせたヒドロキシ化合物の含有量が少なくな
ると耐熱性が低下し、多くなると柔軟性の低下および充
分な分子量上昇が得られないため、上記ジヒドロキシ化
合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕とを合わせ
た含有量は、ポリエステルを構成する全モノマー中の
0.1〜30モル%とするのが好ましい。この際のジヒ
ドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕
の割合は、 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0041】以上のような構成成分からなるポリエステ
ルは、一般に知られている任意の重縮合方法を用いて製
造することができる。例えば、 ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法、 ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分とをエス
テル交換を利用して反応させる方法、 ジカルボン酸のハロゲン化物とジオール成分をピリジ
ンなどの適当な溶媒中で反応させる方法、 ジオール成分の金属アルコラートをジカルボン酸のハ
ロゲン化物と反応させる方法、 ジオール成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエス
テル交換を利用して反応させる方法、等の方法があげら
れる。
【0042】さらに重合中、ジヒドロキシ化合物〔II〕
の添加順序を変えることによって、得られるポリエステ
ルの構造を規制することも可能である。例えば、ジヒド
ロキシ化合物〔II〕をジカルボン酸および他のジオール
成分と一括して仕込んだ場合、ランダム共重合体が得ら
れやすくなり、重合後期にジヒドロキシ化合物〔II〕を
仕込んだ場合はブロック共重合体が得られ易くなる。ま
た予め合成したポリエステルに上記ジヒドロキシ化合物
〔II〕のアセチル化合物を減圧加熱下で混練し、脱エチ
レングリコールあるいはエステル交換反応によって分子
鎖にジヒドロキシ化合物〔II〕に基づくセグメントを導
入することも可能である。
【0043】重縮合する際には、一般にポリエステルを
製造する際に使用されている触媒が使用されてよい。こ
の触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロ
ンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲ
ルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホ
ウ素、カドミウム、マンガンなどの金属、その有機金属
化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等が
あげられる。
【0044】特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジ
アシル第一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサ
イド、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、
錫ジオクタノエート、錫テトラアセテート、トリイソブ
チルアルミニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲ
ルマニウム、および三酸化アンチモンである。これらの
触媒は二種以上併用してもよい。
【0045】また、重合時の熱安定性向上のために、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤等の各
種安定剤が使用されてよい。
【0046】また、重合と共に副生する水や、アルコー
ル、グリコール等を効率よく留出するためには反応系を
1mmHg以下に減圧することが好ましい。反応温度は
一般に150〜350℃である。
【0047】本発明で使用するカルボキシル基を有する
加硫ゴム微粒子とは、加硫もしくは架橋成分の共重合に
よりマトリックスが架橋され、熱可塑性の性質を有しな
いゴムの微粒子にカルボキシル基を導入したものであ
る。カルボキシル基を有していれば、マトリックスはい
かなるゴム成分でも良く、MBS(メチルメタクリレー
ト−ブタジエン−スチレン3元共重合体)系またはアク
リル系が好適に使用される。
【0048】加硫ゴム微粒子の粒径は、小さければ小さ
いほどよく、10μm以下が望ましい。10μmを超え
る場合には、ポリエステルとの相溶性が小さくなり、ま
た高温永久圧縮歪の改善効果が著しく小さくなる。
【0049】カルボキシル基の数は特に制限はないが、
少なすぎるとポリエステルとの相溶性が悪くなり、一方
多すぎるとポリエステルとの反応により結合の数が増
え、マトリックス全体が架橋系になる恐れがある。従っ
て、全モノマー数の0.1〜10%が適当である。
【0050】さらに加硫ゴム微粒子の形態は、いわゆる
コアーシェル型が特に好ましい。
【0051】本発明に用いられるポリカルボジイミド
は、1分子あたり平均2個以上のカルボジイミドを有す
るポリカルボジイミドである。これらのポリカルボジイ
ミドは、脂肪族、脂環族および芳香族のいずれでもよ
い。例えばポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4'
-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニ
レンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイ
ミド)およびポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン
-2,4-カルボジイミド)等が挙げられる。ポリカルボジ
イミドは、2個以上を併用してもよい。
【0052】本発明の第1のエラストマー組成物は、上
記のポリエステル、カルボキシル基を有する加硫ゴム微
粒子およびポリカルボジイミドとを配合、混練して得ら
れる。その含有割合としては、ポリエステルが94.6
〜49.0重量%、カルボキシル基を有する加硫ゴム微
粒子が4.8〜49.9重量%、およびポリカルボジイ
ミドが0.2〜3.7重量%である。加硫ゴム微粒子の
含有量が4.8重量%未満の場合、得られる熱可塑性エ
ラストマーは高温での圧縮永久歪が改善されず、一方、
加硫ゴム微粒子の含有量が49.9重量%を超える場
合、微分散がうまく達成できないため、得られる熱可塑
性エラストマーは高温での圧縮永久歪だけでなく強度的
にも劣ったものとなる。ポリカルボジイミドの含有量が
ポリエステルに対して0.2重量%未満の場合、加硫ゴ
ム微粒子とポリエステルの結合が少なくなり効果が充分
あらわれず、またポリカルボジイミドの含有量が3.7
重量%を越える場合、物性に悪影響を与える。
【0053】上記のポリエステル、カルボキシル基を有
する加硫ゴム微粒子およびポリカルボジイミドとの混練
には、ロール、プラストグラフ、ニーダー、押出機およ
び混練押出機を用いることができる。
【0054】混練中においては、ポリカルボジイミドは
カルボキシル基および水酸基と反応するので、加硫ゴム
微粒子のカルボキシル基、ポリエステルの水酸基および
カルボキシル基との結合によって加硫ゴム微粒子とポリ
エステルとの相溶性を高める相溶化剤としての役割を果
たす。よってポリエステルと加硫ゴム微粒子との相溶性
が著しく向上し、ポリエステル−加硫ゴム微粒子の界面
の接着が強固になるため、大変形下、高温条件下におい
ても両者の界面での剥離が起こり難くなる。さらに、マ
トリックス中のゴム粒子は、上記理由によりあたかもマ
トリツクスに新しく生成した架橋点として振舞うことが
できる。従って、本発明の第1のエラストマー組成物
は、本発明のポリエステル鎖中のハードセグメント(前
記一般式〔II〕および〔III〕で表される剛直芳香族部
位)の凝集により達成されている耐熱性の高い物理的架
橋点に加えて、上記ゴム粒子による架橋点が存在するの
で、特に高温における圧縮永久歪が大きく改善される。
【0055】さらに、混練後あるいは成形後に上記熱可
塑性エラストマーを熱処理することによって、カルボジ
イミド基の反応率を大きくすることができる。好ましい
熱処理温度としては、80〜140℃であり、より好ま
しくは100〜120℃である。
【0056】本発明の第1のエラストマー組成物には、
製造時または製造後に実用性を損なわない範囲で以下の
添加剤が添加されてもよい。
【0057】(i)無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボ
ロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、アモロファ
ス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等。
【0058】(ii)有機繊維:アラミド繊維等。
【0059】(iii)無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化
チタン、マイカ、タルク等。
【0060】(iv)難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカ
ン、トリス-(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、
ペンタブロモフェニルアリルエーテル等。
【0061】(v)紫外線吸収剤:p-tert-ブチルフェニル
サリシレート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノ
ン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2'-カルボキシベンゾフ
ェノン、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン等。
【0062】(vi)酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニソ
ール、ブチルヒドロキシトルエン、ジステアリルチオジ
プロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤等。
【0063】(vii)帯電防止剤:N,N-ビス(ヒドロキシ
エチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネー
ト、アルキルスルファネート等。
【0064】(viii)無機物:硫酸バリウム、アルミナ、
酸化珪素等。
【0065】(ix)高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム
等。
【0066】(x)その他の有機化合物:ベンジルアルコ
ール、ベンゾフェノン等。
【0067】次に本発明の第2のエラストマー組成物に
ついて説明する。
【0068】本発明に使用される芳香族ポリエステル
は、エチレングリコールおよび/またはブチレングリコ
ールを主に含むジオール成分とテレフタル酸を主に含む
酸成分を構成成分とするものである。
【0069】ブチレングリコールは1,4-ブタンジオー
ル、1,3-ブタンジオールのいずれでも使用することがで
きる。エチレングリコールおよびブチレングリコール以
外のジオール成分として、前記一般式〔II〕で表わされ
るジヒドロキシ化合物および前記一般式〔III〕で表わ
されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか
一方を含む。
【0070】ジヒドロキシ化合物〔II〕は、高融点の低
分子化合物であり、アルキレン基R1およびR2はエチレ
ン基またはプロピレン基が好ましく、qおよびrは0ま
たは1が好ましい。例えば、第1の発明で記載した化合
物が好適に使用される。また、ジヒドロキシ化合物〔I
I〕はそれぞれ単独で使用しても良く、あるいは併用し
ても良い。
【0071】第1の発明で説明したように、ジヒドロキ
シ化合物〔II〕がポリマー鎖中に組み込まれた場合、そ
のポリマーは特異な性質を示す。すなわち、ジヒドロキ
シ化合物〔II〕が結晶性を示し、しかもその転移点が高
いので、ジヒドロキシ化合物〔II〕の配合量が少量の場
合でも強固で耐熱性の高い物理的架橋を形成する。その
結果、ソフトセグメントに由来する柔軟性を損なうこと
なく耐熱性の高い熱可塑性エラストマーが得られるもの
と推察される。
【0072】前記一般式〔III〕で表されるモノヒドロ
キシ化合物は、パラフェニレン骨格を有する剛直性の低
分子化合物であり、その特徴ある分子構造を反映してこ
れらの化合物の融点は極めて高い。さらにパラフェニレ
ン骨格は低分子液晶化合物のメソゲンとして有効である
ことが知られており、これは該骨格が固体状態のみなら
ず高温状態(溶融状態)においても、強い凝集力を有し
ていることを示すものである。従って、上記のモノヒド
ロキシ化合物〔III〕をポリマー末端に組み込んだ場
合、非常に強固で耐熱性の高い物理的架橋をもたらし、
耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが生成する。
【0073】前記一般式〔III〕で示されるモノヒドロ
キシ化合物においては、R3はエチレン基またはプロピ
レン基が好ましく、nは0または1が好ましい。上記モ
ノヒドロキシ化合物としては、例えば、第1の発明で記
載した化合物が挙げられる。モノヒドロキシ化合物〔II
I〕は、それぞれ単独で使用しても良く、あるいはそれ
らを併用しても良い。
【0074】エチレングリコールとブチレングリコール
のうち少なくともいずれか一方と、ジヒドロキシ化合物
〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕のうち少なくと
もいずれか一方と、テレフタル酸とよりなる芳香族ポリ
エステルに、上記以外の脂肪族グリコール、ポリアルキ
レンオキシド、2個の水酸基を有するポリシリコーン、
前記一般式〔II〕、〔III〕以外の芳香族ジオール成
分、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸、および脂肪族ジカルボン酸を構成
成分として含有させてもよいが、これを含有させる場合
にはジオール成分と酸成分の合計量の10モル%以下が
好ましい。
【0075】上記脂肪族グリコールとしては、例えば、
第1の発明で記載した化合物が挙げられ、これらは単独
で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、第1の発明で記載した化合物が挙げられ、これら
は単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよ
い。ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、小さく
なると生成する芳香族ポリエステルに柔軟性を付与する
能力が低下し、大きくなりすぎると得られた芳香族ポリ
エステルの熱安定性等の物性が低下するので、20,0
00以下が好ましく、より好ましくは5,000以下で
ある。
【0077】上記ポリシリコーンは2個の水酸基を有す
るものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリ
コーンが好ましく、例えば、第1の発明で記載した化合
物が挙げられる。ポリシリコーンの数平均分子量は、大
きくなるとポリエステルの生成が困難になるので、2
0,000以下が好ましく、より好ましくは5,000
以下である。
【0078】上記芳香族ジオール、芳香族ジカルボン
酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、第
1の発明で記載した化合物などがあげられる。
【0079】上記脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数
が10以下のジカルボン酸が好ましく、例えば、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、およびセバチン酸などがあげられる。
【0080】上記ジヒドロキシ化合物〔II〕およびモノ
ヒドロキシ化合物〔III〕のうち少なくとも一方のヒド
ロキシ化合物と、エチレングリコールおよびブチレング
リコールのうち少なくともいずれか一方と、テレフタル
酸を主に含む酸とを含有する芳香族ポリエステルは、ジ
ヒドロキシ化合物〔II〕およびモノヒドロキシ化合物
〔III〕の含有量が少なくなると、耐熱性が低下し、多
くなると充分な分子量上昇が得られないだけでなく、融
点が上昇しもはや次の溶融エステル交換段階に供するこ
とができないため、上記ジヒドロキシ化合物〔II〕およ
び/またはモノヒドロキシ化合物〔III〕の含有量は、
芳香族ポリエステルを構成するジオール成分の0.1〜
30モル%であり、より好ましくは0.5〜20モル%
であり、さらに好ましくは1.0〜10モル%である。
なお、芳香族以外のジオールとしてポリアルキレンオキ
シドやポリシリコーンを使用する場合、その構成単位を
1モノマーとして数える。すなわち、重合度10のポリ
エチレンオキシドは10モノマーとして数える。
【0081】ジヒドロキシ化合物〔II〕とモノヒドロキ
シ化合物〔III〕を合わせて使用する場合、ジヒドロキ
シ化合物〔II〕とモノヒドロキシ化合物〔III〕の割合
は、 0<〔III〕/〔II〕+〔III〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0082】以上のような構成成分からなる芳香族ポリ
エステルは、第1の発明で記載したような重縮合方法を
用いて製造することができる。
【0083】重縮合する際には、一般にポリエステルを
製造する際に使用されている触媒が使用されてよい。こ
の触媒としては、第1の発明で記載したものがあげられ
る。これら触媒は2種以上併用しても良い。
【0084】さらに、重合時の熱安定性向上のために、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤等の
各種安定剤が使用されてよい。
【0085】また、重合とともに副生する水や、アルコ
ール、グリコールなどを効率よく留出させ、高分子量ポ
リマーを得るためには、反応系を重合後期に1mmHg
以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般に15
0〜350℃である。
【0086】本発明に使用されるラクトンモノマーは、
開環して酸または水酸基と反応し、脂肪族鎖を付加する
ものであって、環の中に4個以上の炭素原子を有するも
のが好ましく用いられ、より好ましくは5員環〜8員環
である。例えば、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクト
ン、γ-ブチロラクトン、エナントラクトン、カプリロ
ラクトン等があげられる。ラクトンモノマーは2種以上
を併用してもよい。
【0087】本発明に使用されるポリラクトンは、上記
芳香族ポリエステルとエステル交換して脂肪族鎖を付加
するものであって、ポリエステル共重合体に柔軟性を付
与する。環の中に4個以上の炭素原子を有するラクトン
モノマーを開環重合して得られるポリラクトンが好まし
く、より好ましくは5員環〜8員環のラクトンモノマー
より得られるポリラクトンである。例えば、前記のラク
トンモノマー等から重合されるポリラクトンがあげられ
る。2種以上のラクトンモノマーからなるポリラクトン
でも差し支えない。ラクトンモノマーとポリラクトンと
を併用してもよい。
【0088】上記芳香族ポリエステルとラクトン化合物
との組成比は、得られるポリエステル共重合体の弾性特
性の点から、芳香族ポリエステル/ラクトン化合物の重
量比が30/70〜80/20が好ましく、特に好まし
い範囲は30/70〜70/30である。
【0089】芳香族ポリエステルとラクトンモノマーと
の反応には、上記触媒が使用されてもよい。反応温度
は、無溶媒系で反応を行う場合には、通常芳香族ポリエ
ステルとラクトンモノマーとの混合物が均一に溶融する
温度でかつ生成したブロック共重合体の融点以上の温度
とする。
【0090】溶媒系で芳香族ポリエステルとラクトンモ
ノマーとを反応させる場合には、反応温度は適宜温度が
採用できる。一般に180℃〜300℃の範囲が好まし
い。180℃未満では芳香族ポリエステルがラクトンモ
ノマーと容易に均一に溶解し難く、300℃を超えると
分解その他好ましくない副反応が起こる。また、上記の
反応を溶媒系で行う際の溶媒は芳香族ポリエステルおよ
びラクトンモノマーとの共通溶媒であることを要する。
例えばα−メチルナフタレンを使用できる。
【0091】芳香族ポリエステルとポリラクトンとの反
応(エステル交換反応)は無触媒でも進行するが、ポリ
エステルを重合するのに使用する触媒と同様の触媒を使
用してもよい。この際、ヒンダードフェノール系酸化防
止剤、リン系安定剤等の各種安定剤を加えてもよい。反
応温度は、無溶媒系で反応を行う場合には、通常芳香族
ポリエステルとポリラクトンとの混合物が均一に溶融す
る温度でかつ生成したブロック共重合体の融点以上の温
度がよい。一般に180℃〜300℃の範囲が好まし
い。180℃未満では芳香族ポリエステルがポリラクト
ンと容易に均一に溶解し難く、300℃を超えると分解
その他好ましくない副反応が起こる。
【0092】エステル交換反応は、通常ポリエステルを
重合するのに用いる重合装置が好適に用いられる。ま
た、押出式や混練機中で芳香族ポリエステルとポリラク
トンとのエステル交換を行わしめることもできる。
【0093】本発明で使用するカルボキシル基を有する
加硫ゴム微粒子は、第1の発明で使用したカルボキシル
基を有する加硫ゴム微粒子と同様のものを用いることが
できる。
【0094】本発明に用いられるポリカルボジイミド
は、1分子あたり平均2個以上のカルボジイミドを有す
るポリカルボジイミドであり、第1の発明に記載したも
のと同様のものを用いることができる。
【0095】本発明の第2のエラストマー組成物は、上
記のポリエステル共重合体と、カルボキシル基を有する
加硫ゴム微粒子と、ポリカルボジイミドとを配合、混練
して得られる。その含有割合としては、ポリエステル共
重合体が94.6〜49.0重量%、カルボキシル基を
有する加硫ゴム微粒子4.8〜49.9重量%、および
ポリカルボジイミドが0.2〜3.7重量%である。加
硫ゴム微粒子の含有量が4.8重量%未満の場合、得ら
れる熱可塑性エラストマーは高温での圧縮永久歪が改善
されず、一方、加硫ゴム微粒子の含有量が49.9重量
%を超える場合、微分散がうまく達成できないため、得
られる熱可塑性エラストマーは高温での圧縮永久歪だけ
でなく強度的にも劣ったものとなる。ポリカルボジイミ
ドの含有量がポリエステルに対して0.2重量%未満の
場合、加硫ゴム微粒子とポリエステルの結合が少なくな
り効果が充分あらわれず、またポリカルボジイミドの含
有量が3.7重量%を越える場合、物性に悪影響を与え
る。
【0096】上記のポリエステル共重合体、カルボキシ
ル基を有する加硫ゴム微粒子およびポリカルボジイミド
との混練には、ロール、プラストグラフ、押出機、混練
押出機を用いることができる。
【0097】混練中においては、ポリカルボジイミドは
カルボキシル基および水酸基と反応するので、加硫ゴム
微粒子のカルボキシル基、ポリエステル共重合体の水酸
基およびカルボキシル基とを結合させて、加硫ゴム微粒
子とポリエステルとの相溶性を高める相溶化剤としての
役割を果たす。よって、ポリエステル共重合体−加硫ゴ
ム微粒子の界面の接着が強固になるため、大変形下、高
温条件下においても両者の界面での剥離が起こり難くな
る。さらに、マトリックス中のゴム粒子は、上記理由に
よりあたかもマトリツクスに新しく生成した架橋点とし
て振舞うことができる。従って、本発明の組成物により
得られる熱可塑性エラストマーは、本発明のポリエステ
ル共重合体鎖中のハードセグメント(前記一般式〔II〕
および〔III〕で表される剛直芳香族部位)の凝集によ
り達成されている耐熱性の高い物理的架橋点に加えて、
上記ゴム粒子による架橋点が存在するので、特に高温に
おける圧縮永久歪が大きく改善される。
【0098】さらに、混練後あるいは成形後に上記熱可
塑性エラストマーを熱処理することによって、カルボジ
イミド基の反応率を大きくすることができる。好ましい
熱処理温度としては、80〜140℃であり、より好ま
しくは100〜120℃である。
【0099】本発明の第2のエラストマー組成物には、
製造時または製造後に実用性を損なわない範囲で第1の
発明で記載した添加剤が添加されてもよい。
【0100】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。
【0101】(A)ポリエステルの合成 攪拌機、温度計、ガス吹き込み口および蒸留口を備えた
内容積2リットルのガラス製フラスコに、アジピン酸ジ
メチル268.2g、エチレングリコール313.6g
および4,4'''-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル(以
下、DHQとする)60.9gのモノマー混合物、並び
に触媒として酢酸カルシウム0.4gおよび酸化ゲルマ
ニウム0.13gを入れた。フラスコ内を窒素で置換し
た後、180℃に昇温してエステル交換反応を行った。
反応とともにフラスコ内からメタノールが留出した。エ
ステル交換反応が終了するまでに約2時間かかり、その
間中、攪拌を続けた。次いで、このフラスコを300℃
まで昇温し、その状態で30分間攪拌するとエチレン
グリコールが流出して反応混合物が均一になった。この
フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で2時間重縮合
反応させると極めて粘稠な液体が得られた。フラスコを
放冷後、ガラスフラスコを破壊し、生成物を取り出し
た。この樹脂の極限粘度は1.0であった。
【0102】(B)芳香族ポリエステルの合成 攪拌機、温度計、ガス吹き込み口および蒸留口を備えた
内容積1リットルのガラス製フラスコに、テレフタル酸
ジメチル194g(1.0mol)、エチレングリコー
ル138g(2.24mol)、触媒として酢酸カルシ
ウムおよびジn-ブチルスズオキシドを少量加えた。フラ
スコ内を窒素で置換した後にフラスコ内を昇温して18
0℃で3時間反応させた。反応とともに、フラスコ内か
らメタノールが留出しはじめ、ビス(2-ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートが得られた。
【0103】このフラスコに、上記DHQ50.7gを
加え、フラスコを280℃まで昇温し、この温度で約2
時間反応させた。次に、蒸留口を真空器につなぎ、フラ
スコ内を1mmHgに減圧した状態で1時間反応させ
た。反応とともにエチレングリコールが留出し、フラス
コ内には極めて粘稠な液体が生成した。フラスコを放冷
後、ガラスフラスコを破壊し、生成物を取り出した。
【0104】(C)ポリエステル共重合体の合成 攪拌羽根、ガス吹き込み口および蒸留口を備えた内容積
1リットルのガラス製フラスコに、上記(B)で得られた
芳香族ポリエステル200g、ε-カプロラクトン30
0g、触媒としてテトラブチルチタネート1.0g、お
よび熱安定剤として1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン
1.0gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換した後に、
攪拌しながらオイルバス中で250℃に加熱した。反応
系は均一な粘稠な液状となった。
【0105】続いて、窒素気流下で1時間反応させた
後、ガス吹き込み口を真空ポンプにつなぎ、フラスコ内
を1mmHgに減圧した状態でさらに1時間反応させ
た。
【0106】得られたポリマーの融点は220℃、ショ
アD硬度40で、良好なゴム状弾性を有していた。又、
引張破断強度は350Kg/cm2であり、引張破断伸
度は1300%であった。
【0107】(実施例1〜3および比較例1〜5)上記
で得られたポリエステル(A)、市販されている表面に市
販されている表面にカルボキシル基が導入されたMBS
系の加硫ゴム粒子(呉羽化学工業株式会社製KCA−3
503)、およびポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニ
レン-2,4-カルボジイミド)を表1で示す割合で混合
し、プラストグラフを用いて10分間230℃、60r
pmで溶融混練した。得られた混合物をプレス成形して
物性測定用のサンプルとし、室温および70℃での圧縮
永久歪を測定した。試験方法は、JIS K−6301
に従い、所定の歪を与え、22時間保った後の永久歪を
測定した。その結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】表1より、実施例1〜5から得られる熱可
塑性エラストマーは、特に高温において圧縮永久歪が大
きく改善されていることがわかる。
【0110】(実施例4〜6および比較例6〜10)上
記で得られたポリエステル共重合体(C)、上記のMBS
系の加硫ゴム粒子(呉羽化学工業株式会社製 KCA−
3503)、およびポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェ
ニレン-2,4-カルボジイミド)を表2で示す割合で混合
し、プラストグラフを用いて10分間230℃、60r
pmで溶融混練した。得られた混合物を実施例1〜3お
よび比較例4〜6と同様にして圧縮永久歪を測定した。
その結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】表2より、実施例4〜6から得られる熱可
塑性エラストマーは、特に高温において圧縮永久歪が大
きく改善されていることがわかる。
【0113】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
エラストマー組成物によれば、熱可塑性エラストマーと
しての性質を保持したまま、高温での圧縮永久歪が大き
く改善された熱可塑性エラストマーを提供することがで
きる。また、得られた熱可塑性エラストマーは、柔軟
性、耐熱性、成形加工性等が優れているため各種部材に
好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔I〕で 表される脂肪族ジカル
    ボン酸と、脂肪族ジオールと、および下記一般式〔II〕
    で表されるジヒドロキシ化合物と下記一般式〔III〕で
    表されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれ
    か一方の化合物とを構成成分とするポリエステル94.
    6〜49.0重量%、 カルボキシル基を有する加硫ゴム微粒子4.8〜49.
    9重量%、およびポリカルボジイミド0.2〜3.7重
    量%、をそれぞれ含有することを特徴とするエラストマ
    ー組成物。 【化1】 (式中、nは0〜10の整数を示す)。 【化2】 (式中、R1およびR2は独立的にアルキレン基を示し、
    pは3または4であり、qおよびrは独立的に0または
    1以上の整数を示す)。 【化3】 (式中、R3はアルキレン基を示し、lは2または3で
    あり、mは0または1以上の整数を示す)。
  2. 【請求項2】エチレングリコールおよび/またはブチレ
    ングリコールを主に含むジオール成分とテレフタル酸を
    主に含む酸成分を構成成分とする芳香族ポリエステル
    と、ラクトンモノマーおよび/またはポリラクトンとを
    反応させることにより得られるポリエステル共重合体で
    あって、 該芳香族ポリエステルのジオール成分として、請求項1
    に記載の一般式〔II〕で示されるジヒドロキシ化合物と
    請求項1に記載の一般式〔III〕で表されるモノヒドロ
    キシ化合物のうち、少なくともいずれか一方を構成成分
    とし、該ヒドロキシ化合物がジオール成分の0.1モル
    %〜30モル%含有されているポリエステル共重合体9
    4.6〜49.0重量%、 カルボキシル基を有する加硫ゴム微粒子4.8〜49.
    9重量%、およびポリカルボジイミド0.2〜3.7重
    量%、をそれぞれ含有することを特徴とするエラストマ
    ー組成物。
JP10492892A 1992-04-23 1992-04-23 エラストマー組成物 Withdrawn JPH05295243A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10492892A JPH05295243A (ja) 1992-04-23 1992-04-23 エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10492892A JPH05295243A (ja) 1992-04-23 1992-04-23 エラストマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05295243A true JPH05295243A (ja) 1993-11-09

Family

ID=14393763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10492892A Withdrawn JPH05295243A (ja) 1992-04-23 1992-04-23 エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05295243A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07195622A (ja) * 1993-11-26 1995-08-01 Elf Atochem Sa 熱可塑性プラスチックに接着した熱可塑性プラスチック/ゴムアロイ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07195622A (ja) * 1993-11-26 1995-08-01 Elf Atochem Sa 熱可塑性プラスチックに接着した熱可塑性プラスチック/ゴムアロイ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH04222822A (ja) ポリエステルカーボネート共重合体
JP2529777B2 (ja) ポリエステル共重合体の製造方法
JPH05295243A (ja) エラストマー組成物
JPH05156143A (ja) エラストマー組成物
JPH06172507A (ja) ポリエステル共重合体及びポリエステル共重合体組成物
JP2617282B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH06917A (ja) 複層管状成形体
JPH06184290A (ja) ポリエステル共重合体の製造方法
JPH0598141A (ja) ポリエステル組成物
JP3160064B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン
JP2532168B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2659452B2 (ja) ポリエステル組成物
JPH06206971A (ja) 熱可塑性ポリウレタンの製造方法
JP3251365B2 (ja) ポリエステルおよびそれを用いた成形体
JP2551667B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JPH05320484A (ja) ポリエステル共重合体組成物
JP3251364B2 (ja) ポリエステルおよびそれを用いた成形体
JPH04366160A (ja) ポリエステル組成物
JP2512615B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
JPH04359923A (ja) ポリエステル共重合体の製造方法
JPH05322045A (ja) 管状成形体およびカバーブーツ
JPH05132610A (ja) ポリエステル共重合体組成物
JPH04342721A (ja) ポリエステル共重合体
JPH06248167A (ja) 高耐油性管状成形体およびカバーブーツ
JPH0749512B2 (ja) 脂肪族ポリエステル組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990706