JP2024032168A - 試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用品よりも安定に保存可能でより長期の使用期限を確保可能な試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび測定方法を提供する。【解決手段】本発明に係る試料中のクエン酸の定量用試薬キットは、NADHと金属塩を含む第1試薬と、クエン酸リアーゼ、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)、キレート剤を含む第2試薬とを含む。本発明に係る試料中のクエン酸の定量方法は、NADHと金属塩を含む第1の溶液を得る工程、クエン酸リアーゼ、MDH、キレート剤を含む第2の溶液を得る工程、第1の溶液と試料を混合して試料混合液を得る工程、試料混合液の吸光度を測定してNADHの濃度を算出する工程、試料混合液に第2の溶液を添加して酵素反応液を得る工程、酵素反応液の吸光度を測定してNADHの濃度を算出する工程、クエン酸の酵素反応開始前から反応終了までの間のNADHの濃度の算出結果に基づき試料中のクエン酸の量を定量する工程、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび定量方法に関するものである。
生体試料、清涼飲料水や食品中に含まれる検査対象物質の量を測定する分析方法の一つとして、検査対象物質に対して酵素反応を生じさせ、検査対象物質または添加した試薬がその反応系中で変化して生成した化合物の量を測定する方法が知られている。例えば、清涼飲料水や食品等の中に含有されるクエン酸を測定する方法として、(1)測定対象試料に対し、クエン酸を基質とするクエン酸リアーゼを用いた酵素反応により、試料中に含有されるクエン酸からオキサロ酢酸と酢酸とを生じさせ、(2)生じたオキサロ酢酸をリンゴ酸脱水素酵素(MDH)存在下でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)と反応させ、(3)(2)の反応によるNADHの減少量に基づいて、測定対象試料に含まれていたクエン酸の量を算出する、といった手法が採用されている。一例として、非特許文献1には、クエン酸リアーゼを用いた血清クエン酸測定法が開示されている。
安川ら、日本泌尿器化学会誌、1991年、82巻、11号、1748-1753頁
クエン酸は、尿路結石の抑制に関与する物質の一つとして知られている。近年、尿路結石の生涯罹患率は、男性では7人に1人、女性では15人に1人と増加してきており、その再発率も50%以上と高い。このため、尿路結石の再発を効果的に防ぐことができるよう、より日常的に行うことができる尿検査方法が求められている。
尿路結石は、尿中のシュウ酸がカルシウムと反応してシュウ酸カルシウムを形成し、結晶化することで生じる。クエン酸は、尿中で、シュウ酸とカルシウムとの結合を抑制する作用を有する。このため、尿路結石の再発を防ぐために、クエン酸を積極的に摂取することが推奨されている。
尿路結石の現在または過去の罹患者について、尿中のクエン酸排泄量の変化を追跡することができれば、摂取したクエン酸の量が尿路結石の生成を抑制するために十分であるか否かを確認することができる。しかしながら、現在までに、食品等を分析するための試薬キットの市販品はあるものの、日本国内で認可された尿中クエン酸の体外診断用医薬品はない。
クエン酸の量を測定する方法の一つとして、上述した、クエン酸を基質とした酵素反応により変動するNADHの量を測定し、NADHの減少量からもとの試料中のクエン酸の量を算出する方法があり、この方法を用いたクエン酸測定試薬キットが市販されている。体外診断用医薬品は、一般に6ヶ月以上安定に保存できることが求められる。しかしながら、市販されているクエン酸測定試薬キットで液状のものには、冷蔵保存下(10℃以下)でも5日程度しかその品質が維持されないものがあるように、クエン酸リアーゼを長期間安定に保存することは容易でない。クエン酸リアーゼを長期間安定に保存することができれば、クエン酸量に関する検査を頻繁には行わない状況であっても、クエン酸測定試薬の買い換えの回数を減らすことができるため、検査のコストを抑制することにつながる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、従来品と比較してより安定に長期間保存可能であり、より長期の使用期限を確保することができる、試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび定量方法は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、試料中のクエン酸の定量用試薬キットであって、NADHと、金属塩と、を含む、第1試薬と、クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む、第2試薬と、を含む、クエン酸の定量用試薬キットを提供する。
前記第1の態様においては、金属塩が、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩であり、第1試薬と第2試薬とを混合した溶液中に、金属塩がキレート剤に対して濃度比で1.0倍~5.0倍量存在することとしてもよい。
前記第1の態様においては、キレート剤がEDTAであり、金属塩がマグネシウム塩であってもよい。
前記第1の態様においては、試料が尿であってもよい。
前記第1の態様においては、第1試薬が、さらに乳酸脱水素酵素(LDH)を含んでいてもよい。
本発明の第2の態様は、試料中のクエン酸の定量方法であって、NADHと、金属塩と、を含む、第1の溶液を得る工程と、クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む第2の溶液を得る工程と、第1の溶液と試料とを混合して試料混合液を得る工程と、試料混合液の吸光度を測定し、試料混合液中のNADHの濃度を算出する工程と、試料混合液に第2の溶液を添加して酵素反応液を得る工程と、酵素反応液の吸光度を測定し、酵素反応液中におけるNADHの濃度を算出する工程と、クエン酸の酵素反応開始前から反応終了までの間のNADHの濃度の算出結果に基づき、試料中のクエン酸の量を定量する工程と、を含む、クエン酸の定量方法を提供する。
前記第2の態様においては、金属塩が、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩であり、酵素反応液中に、金属塩をキレート剤に対して濃度比で1.0倍~5.0倍量存在させてもよい。
前記第2の態様においては、キレート剤がEDTAであり、金属塩がマグネシウム塩であってもよい。
前記第2の態様においては、試料が尿であってもよい。
前記第2の態様においては、第1の溶液が、さらに乳酸脱水素酵素(LDH)を含んでいてもよい。
前記第2の態様においては、試料中のクエン酸の量を定量する工程においては、酵素反応液中のNADHの濃度の算出を、クエン酸の反応開始前から反応終了までのNADHに由来する吸光度の変化量を測定することにより行ってもよい。
本発明のクエン酸定量用試薬キットおよび定量方法においては、使用前はクエン酸リアーゼを含む試薬にキレート剤を共存させることとした。これにより、市販の測定試薬キットと比較して、クエン酸リアーゼをより安定に長期間保存することができ、よって試薬キットの使用期限をより長く確保することができる。
一方で、キレート剤は、クエン酸リアーゼによる酵素反応を阻害し、クエン酸リアーゼを不活化する作用を有する。そこで、本発明のクエン酸定量用試薬キットには、クエン酸とクエン酸リアーゼとの反応溶液中でキレート剤がクエン酸リアーゼを不活化することを抑制するために、適切な量の金属塩を含有させている。本発明のクエン酸定量用試薬キットの使用前は、金属塩が、クエン酸リアーゼとキレート剤とを含有する試薬からは独立した試薬に含まれている。使用時には、まず、NADHと金属塩とを含む溶液を調製し、その溶液に測定対象であるクエン酸を含む試料を添加して、試料混合液を得る。この試料混合液に対し、キレート剤、クエン酸リアーゼ、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)を添加して酵素反応液を作成する。酵素反応液中で金属イオンがキレート剤に結合することで、キレート剤によりクエン酸リアーゼが不活化されることを抑制し、クエン酸リアーゼとクエン酸との酵素反応が化学量論的に適切に進行する。このようにすることで、クエン酸リアーゼの酵素反応を効率よく進行させることができ、クエン酸の定量を正確に行うことができる。
本発明の一態様に係るクエン酸の定量用試薬キットに用いるキレート剤の種類の検討を行った実験結果を示す図である。 本発明の一態様に係るクエン酸の定量用試薬キットに用いるキレート剤の種類の検討を行った実験結果を示す図である。 本発明の一態様に係るクエン酸の定量用試薬キットに用いる金属塩の種類の検討を行った実験結果を示す図である。 本発明の一態様に係るクエン酸の定量用試薬キットに用いる金属塩の種類の検討を行った実験結果を示す図である。 本発明の一態様に係るクエン酸の定量用試薬キットに用いるマグネシウム塩の量の検討を行った実験結果を示す図である。
以下に、本発明に係る試料中のクエン酸の定量用試薬キットおよび定量方法の一実施形態について説明する。対象となる試料としては、尿、食品、清涼飲料水などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係るクエン酸の定量用試薬キットおよび定量方法は、尿中のクエン酸を定量するのに好適である。
本実施形態の試料中のクエン酸の定量用試薬キットは、検査対象物質であるクエン酸を基質とするクエン酸リアーゼ(CL)を用いる。以下の反応式に示すように、クエン酸リアーゼとクエン酸との反応により生じるオキサロ酢酸と、系中に添加されているNADHとをリンゴ酸脱水素酵素(MDH)により反応させ、反応液中に存在するNADHの量の変化を測定することにより、試料中のクエン酸が定量される。下記反応式中の反応が理論値どおりに進行した場合には、2段階目の反応で消費されるNADHのモル数は、系中に存在するクエン酸のモル数と等しい。これにより、反応前後で消費されたNADHのモル量が算出されることで、系中に存在したクエン酸のモル数が算出され、試料中に含まれていたクエン酸が定量される。
発明者らは、クエン酸リアーゼをより長期間安定に保存することができるよう種々検討を行い、クエン酸リアーゼをキレート剤共存下で保管することで、クエン酸リアーゼを含む試薬キットの長期安定保存に成功し、本発明を完成するに至った。
本実施形態に係るクエン酸の定量用試薬キットは、第1試薬および第2試薬を備えている。第1試薬および第2試薬は、使用直前まで、それぞれ独立に保管されている。
第1試薬は、NADHと、金属塩と、を含む。第1試薬は、使用前には、pH7.0から弱アルカリ性の液性を示す溶液に溶解される。本明細書における「弱アルカリ性」とは、pH8.0から9.0である。本明細書における「pH7.0から弱アルカリ性の液性」とは、pH7.0からpH9.0の液性を示す溶液をいう。第1試薬であるNADHと金属塩とを溶解した溶液(第1の溶液)の液性を、例えばpH7.2から8.9とすると、NADHが安定に存在する。別の例として、第1試薬の液性をpH7.5、pH7.8、pH8.0、pH8.2、pH8.4、pH8.6、pH8.8などとすることも可能である。
本実施形態に係る定量用試薬キットに含める金属塩として、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩を用いると好適である。一例として、マグネシウム塩、亜鉛塩、鉄(II)塩等を用いることができるが、これらに限定されない。本実施形態に係る金属塩として、マグネシウム塩を用いるとより好適である。また、陽イオンと対になる陰イオンとしては、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましい。
第2試薬は、クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む。
キレート剤は、クエン酸リアーゼによる酵素反応を阻害し、クエン酸リアーゼを不活化する作用を有する。そこで、本実施形態に係るクエン酸定量用試薬キットは、使用前の段階では、金属塩を、クエン酸リアーゼとキレート剤とを含有する試薬からは独立した試薬に含有させておく。
本実施形態に係るクエン酸の定量用試薬キットに含めるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等を用いることができるが、これらに限定されない。本実施形態に係るクエン酸の定量用試薬キットに含めるキレート剤としてEDTAを用いると好適である。
第2試薬は、溶液であってもよく、粉末状としてもよい。第2試薬は、使用前に、中性の溶液に溶解される。本明細書における「中性」とは、pH6.5から8.0である。このような範囲とすることで、クエン酸リアーゼを安定な状態で保存することができる。第2試薬であるクエン酸リアーゼ、MDH、キレート剤を溶解した溶液(第2の溶液)の液性としては、例えば、pH6.6、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.4、pH7.8などとすることも可能である。
本実施形態において、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩を用いる場合には、すべての酵素と金属塩とキレート剤とが混合された酵素反応液中に、金属塩がキレート剤に対して濃度比で1.0倍以上5.0倍以下の量で存在するように調製される。
例えば、キレート剤としてEDTAを用いる場合には、EDTAに対する金属塩の量を上記範囲とすることで、系中において、EDTAに対して金属イオンが十分にキレートする。これにより、EDTAのクエン酸リアーゼに対するキレート作用が不活化し、EDTAによるクエン酸リアーゼの酵素反応の阻害を確実に抑制することができる。
一例として、キレート剤としてEDTAを用い、金属塩としてマグネシウム塩を選択する場合、後述する実施例で示されたように、マグネシウム塩をEDTAに対して1倍から5倍程度添加することで、系中に存在するEDTAに対してマグネシウムイオンが十分にキレートすることができる。金属塩は、キレート剤に対して1.0倍以上5.0倍以下添加すると好ましいが、1.1倍以上としてもよく、2.0倍以下としてもよい。
市販されているクエン酸の分析用試薬キットには、クエン酸を基質とした酵素反応によって生じるNADHの量の減少に基づいてもとの試料中のクエン酸の量を求めるという同様のメカニズムを採用しているものがある。しかしながら、クエン酸リアーゼを安定に長期間保存することは容易ではない。一例として、クエン酸リアーゼを含有する粉末状試薬を含む市販のキットでは、溶液として溶解させた後、冷蔵保存下では5日程度の使用期間しか確保できないものがあった。
これに対し、本実施形態に係る定量用試薬キットでは、クエン酸リアーゼを含む試薬にキレート剤を共存させて保管する。これにより、既存のクエン酸量測定試薬キットと比較して、クエン酸リアーゼをより安定に長期間にわたって保存することができる。クエン酸リアーゼとキレート剤とを含む第2の試薬を溶解させた中性の溶液は、冷蔵環境下(10℃以下)で1ヶ月間、その定量性能を確保できる。
本実施形態に係るクエン酸の定量方法は、以下のステップS1~S7を含む。
(S1)NADHと、金属塩と、を含む第1の溶液を得る。
(S2)クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む第2の溶液を得る。
(S3)第1の溶液と試料とを混合して、試料混合液を得る。
(S4)試料混合液の吸光度を測定し、試料混合液中のNADHの濃度を算出する。
(S5)試料混合液に第2の溶液を添加して、酵素反応液を得る。
(S6)酵素反応液の吸光度を測定し、反応液中におけるNADHの濃度を算出する。
(S7)クエン酸の反応開始前から反応終了までのNADHの濃度の算出結果に基づいて、試料中のクエン酸の量を定量する。
本実施形態に係るクエン酸定量方法においては、まず、ステップS1でNADHと金属塩とを含む第1の溶液を調製する。これとは別に、ステップS2として、クエン酸リアーゼ、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)、およびキレート剤を含む第2の溶液を調製する。次いで、ステップS3で、測定対象であるクエン酸を含む試料を第1の溶液に添加して、試料混合液を得る。続くステップS4で、ステップS3で得られた試料混合液の340nmにおける吸光度を測定する。得られた測定値から、クエン酸に対する酵素反応開始前に系中に存在するNADHの量が算出される。
続くステップS5において、ステップS4で吸光度を測定した試料混合液に対し、ステップS2で得られた第2の溶液を添加して酵素反応液を作成する。これにより、クエン酸リアーゼによるクエン酸への酵素反応が開始される。ステップS6では、ステップS5で得られた酵素反応液の吸光度を測定することで系中のNADHの濃度を算出する。最後に、ステップS7において、反応開始前から反応終了までの間での、反応液中におけるNADHの濃度の変化の程度を算出する。その算出結果に基づいて、試料中に含まれていたクエン酸の定量を行う。本明細書において、「酵素反応液」とは、クエン酸リアーゼによる酵素反応が進行する条件になった溶液をいう。酵素反応液は、少なくとも、クエン酸リアーゼと、試料中にクエン酸が含まれている場合にはクエン酸と、NADHと、MDHと、を含む。本実施形態に係る定量方法を実施した場合、得られた酵素反応液中には、NADHと、金属塩と、クエン酸リアーゼと、MDHと、キレート剤と、が含まれ、さらに、試料中にクエン酸が含まれている場合にはクエン酸が含まれる。ステップS5からステップS7は、クエン酸リアーゼによる酵素反応に適した温度条件下で行われる。
上述のような手順とすることで、ステップS1で第1の溶液中の金属塩から生じた金属イオンが、ステップS2で得られた第2の溶液中でクエン酸リアーゼと共存していたキレート剤に対してキレートする。これにより、キレート剤のキレート作用が不活化するため、キレート剤によるクエン酸リアーゼの酵素反応の阻害を抑制することができる。よって、クエン酸リアーゼの酵素反応を効率よく進行させることができ、クエン酸の定量を正確に行うことができる。
ステップS7における、クエン酸の反応開始前から反応終了までの間での、酵素反応液中におけるNADHの濃度の算出は、例えば、反応液中のNADH由来の吸光度の変化量を測定および算出することにより行う。
ステップS7における反応開始前から反応終了までの間での、反応液中におけるNADHの濃度の算出は、上述した吸光度の変化量の測定および算出に代えて、反応液中のNADH由来の吸光度の変化速度を測定することでも行うことができる。
本実施形態に係る定量用試薬キットの第1試薬は、さらに乳酸脱水素酵素(LDH)を含んでもよい。LDHは、ピルビン酸とNADHとを反応させて、乳酸とNADとを生じさせる脱水素酵素である。
検査対象とする試料中にカルボキシラーゼが含まれていた場合、または、オキサロ酢酸の安定性に起因した自然分解等によって、クエン酸から生成したオキサロ酢酸の一部がピルビン酸へと変換される可能性がある。このピルビン酸への変換が生じると、系中でクエン酸から生じたオキサロ酢酸が消費されてしまう。この場合、MDH存在下でクエン酸から生成したオキサロ酢酸との酵素反応で消費されるはずのNADHの量もまた理論値より小さくなってしまう。その結果、NADHの変化量の追跡を介したクエン酸の定量を正確に行うことができなくなる。
そこで本実施形態に係る定量用試薬キットにLDHをさらに含ませておくことで、オキサロ酢酸の分解により生じたピルビン酸が、LDHによりNADHが消費されてNADが生成する。これにより、クエン酸から生成したオキサロ酢酸との酵素反応で消費されるはずのNADH量が理論値より小さくなることを防ぎ、クエン酸の定量をより精度良く行うことができる。
本実施形態に係る定量用試薬キットは、吸光度測定時に使用するキャリブレータやコントロール物質、また試薬の混合に用いる使い捨て可能な器具等を同梱した測定キットとすることもできる。そのようなキットとすることで、例えば尿中のクエン酸の定量にあたって多くの試料を測定したい場合に、器具の洗浄等の手間を少なくして、より簡便に定量を行うことができる。
本実施形態に係る定量用試薬キットは、一例として、以下の成分を含む構成とすることができる。以下の成分の他に、防腐剤、抗生物質等を含有させることも可能である。
(a) 以下の成分を含有する試薬ミックス1
・NADH
・金属塩
(b) 以下の成分を含有する試薬ミックス2
・クエン酸リアーゼ
・リンゴ酸脱水素酵素(MDH)
・キレート剤
(c) 試薬ミックス1の溶解用pH7.0~弱アルカリ性バッファー
(d) 試薬ミックス2の溶解用中性バッファー
本実施形態に係る定量用試薬キットの別の例として、以下の成分を含む構成とすることができる。以下の成分の他に、防腐剤、抗生物質等を含有させることも可能である。
(a) 以下の成分を含有する試薬ミックス1
・NADH
・金属塩
・乳酸脱水素酵素(LDH)
(b) 以下の成分を含有する試薬ミックス2
・クエン酸リアーゼ
・リンゴ酸脱水素酵素(MDH)
・キレート剤
(c) 試薬ミックス1の溶解用pH7.0~弱アルカリ性バッファー
(d) 試薬ミックス2の溶解用中性バッファー
本実施形態に係る定量用試薬キットのさらに別の例として、以下の成分を含む構成とすることができる。以下の成分の他に、防腐剤、抗生物質等を含有させることも可能である。(a) 以下の成分を含有する試薬ミックス溶液1
・NADH
・金属塩
・乳酸脱水素酵素(LDH)
・pH7.0~弱アルカリ性バッファー
(b) 以下の成分を含有する試薬ミックス溶液2
・クエン酸リアーゼ
・リンゴ酸脱水素酵素(MDH)
・キレート剤
・中性バッファー
本実施形態に係る定量方法は、上述した本実施形態に係る定量用試薬キットを用いて行うことも可能である。本実施形態に係る定量用試薬キットには、試料中のクエン酸の量を定量するために必須であるクエン酸リアーゼに加えて、クエン酸リアーゼによるクエン酸の酵素反応の生成物であるオキサロ酢酸をNADHと反応させるMDH等、必要な酵素類が含まれている。これにより、別途試薬を追加することなく簡便に試料中のクエン酸の定量を行うことができる。
本実施形態に係るクエン酸の定量用試薬キットを用いた定量方法においては、試料中のクエン酸の量を定量する工程における系中のNADHの変化の程度の算出を、NADHに由来する吸光度の変化を測定することにより行うこととしてもよい。一例としては、分光光度計を用いて、NADHに由来する340nm付近の吸光度の、クエン酸リアーゼによる反応前からの減少量を測定することを介して、試料中のクエン酸の濃度を算出し、定量することができる。
本実施形態における、反応液中におけるNADHの変化の程度の算出は、上述した変化量の測定および算出に代えて、反応液中のNADHの量の変化速度を測定することでも行うことができる。
実施例1.試薬キットに添加するキレート剤の検討
本実施形態の定量用試薬キットに用いるキレート剤について、比較検討を行った。検体としてクエン酸の生理食塩水溶液を用い、金属塩として塩化マグネシウムが存在する系中に加えるキレート剤として、ニトリロ三酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、EDTA・3Na、EDTA・2Na、EDTA・2Kのいずれかを用い、NADHの吸光度の変化を追跡した。キレート剤を何も添加しない生理食塩水溶液を対照溶液として同様の実験に供した。
実施例1で用いた試薬キットの構成は以下の通りである。検体としては、クエン酸ナトリウム二水和物(ナカライテスク)の生理食塩水溶液を12mMから5段階で希釈して調製したもの(2.4mM、4.8mM、7.2mM、9.6mM、12mM)と、クエン酸を含まないもの(0mM。以下、「対照検体」という。)を用いた。キレート剤は、NTA、TTHA、HIDA、EDTA・3Na、EDTA・2Na、EDTA・2Kのいずれかを用いた(いずれも同仁化学社製品)。なお、以下の試薬液A、試薬液Bには、目的とする酵素反応を阻害しない範囲で、さらに安定化剤や抗生物質、防腐剤などを添加した場合にも、クエン酸の定量を精度よく行うことができることを確認している。
(試薬液A) 以下の成分を含有する溶液
・NADH(オリエンタル酵母) 0.4mM
・塩化マグネシウム六水和物(和光純薬) 15mM
・LDH(東洋紡) 1U/mL
・Tris・HCl(pH8.6)バッファー 50mM
(試薬液B) 以下の成分を含有する溶液
・クエン酸リアーゼ(ロシュ) 1U/mL
・MDH(東洋紡) 2U/mL
・キレート剤 15mM
・Tris・HCl(pH7.1)バッファー 150mM
調製した直後の試薬液Aおよび試薬液Bと、調製後に1ヶ月冷蔵保存(約4℃)した後の試薬液Aおよび試薬液Bとをそれぞれ用いて、はじめに試薬液Aとクエン酸検体または対照検体とを混合し、5分後に試薬液Bを加え、反応液を得た。クエン酸検体または対照検体、試薬液A、試薬液Bは、体積比が1:40:20となるように混合した。各検体について、試薬液Aと検体との混合直後を0分とし、5分後に試薬液Bを加えることで反応を開始させた。試薬液Aと検体との混合直後(0分)から、検体を含む溶液の吸光度を経時測定した。NADHに由来する吸光度は、汎用自動分析装置(日立ハイテク、日立自動分析装置7180)を用い、約37℃、2ポイントエンド方式で主波長340nm、副波長405nmにて測定を行った。
結果を図1-1および図1-2に示す。各グラフの縦軸は吸光度、横軸は試薬液Aと検体との混合直後を0分とした経過時間(分)を示す。すなわち、各グラフの「0分」、「5分」、「10分」は、それぞれ、試薬液Aと検体との混合直後、試薬液Bを加えて反応を開始させた時点、反応開始から5分後を示している。キレート剤を含まない対照溶液(図1-2の「none」)を用いた実験では、1ヶ月冷蔵保存後の試薬液を用いたところ、反応速度が大幅に低下しており、反応開始から5分経過後も反応が完了しなかった。これに対し、各キレート剤を添加した系では、1ヶ月冷蔵保存後の試薬液を用いても反応が完了していることを示し、キレート剤を添加したことによって試薬の安定性が向上したことを確認できた。
また、調製直後の試薬と1ヶ月冷蔵保存後の試薬との反応の進行具合を比較した。対照検体では、1ヶ月保存後の試薬液を用いると、調製直後の試薬液と比べて反応の進行が明らかに低下した。これに対し、キレート剤を添加した系では、調製直後には反応開始から7分以内には反応が完了し、1ヶ月保存後の試薬液を用いてもいずれも10分以内に反応が完了していた。以上の結果から、キレート剤を反応系に予め添加しておくことで、試薬液の安定性を長期間保つことができることを確認した。
さらに、キレート剤の種類で結果を比較したところ、NTA、TTHA、EDTA・3Na、EDTA・2Na、EDTA・2Kは、試薬液に対して高い安定化効果を有していることが分かった。これらの中で、反応系の溶液に高い溶解度を示したEDTA・3Naを、以降の実験のキレート剤として用いることとした。
試験例2.試薬キットに添加する金属塩の検討
本実施形態の試薬液におけるキレート剤としてEDTA・3Naを選択する場合に、反応系に添加する金属塩の種類について比較検討を行った。EDTAとのキレート形成の観点から、金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化マグネシウム、塩化亜鉛のいずれか(いずれも和光純薬社製品)を用い、実施例1と同様に、NADHに由来する吸光度の変化を追跡した。対照溶液として、金属塩を含有していない試薬液Aを用いて同様の実験に供した。
実施例2で用いた試薬キットの構成は以下の通りである。実験に供するクエン酸検体としては、実施例1と同様に、クエン酸ナトリウム生理食塩水溶液を5段階で希釈して調製した検体(2.4mM、4.8mM、7.2mM、9.6mM、12mM)と、クエン酸を含まない対照検体を用いた。EDTA・3Naの濃度は、各金属塩の濃度と同じ濃度(1.0mMまたは0.1mM)とした。塩化鉄(II)、塩化鉄(III)の濃度が0.1mMと低いのは、反応溶液への溶解度が低いためである。金属塩の添加による効果を確認する実験においては、試薬液Aに金属塩を添加する一方で、試薬液BにEDTA・3Naを加えないサンプル(0mM)を調製して用いた。
(試薬液A) 以下の成分を含有する溶液
・NADH(オリエンタル酵母) 0.4mM
・金属塩
・LDH(東洋紡) 1U/mL
・Tris・HCl(pH8.6)バッファー 50mM
(試薬液B) 以下の成分を含有する溶液
・クエン酸リアーゼ(ロシュ) 1U/mL
・MDH(東洋紡) 2U/mL
・EDTA・3Na(同仁化学) 0.1mM、1.0mM,または0mM
・Tris・HCl(pH7.1)バッファー 150mM
用時調製した試薬液Aおよび試薬液Bを用いて、はじめに試薬液Aとクエン酸含有検体または対照検体とを混合し、5分後に試薬液Bを加えた。クエン酸検体または対照検体、試薬液A、試薬液Bは、体積比が1:40:20となるように混合した。各検体について、試薬液Aと検体との混合直後を0分とし、5分後に試薬液Bを加えることで反応を開始させた。試薬液Aと検体との混合直後(0分)から、検体を含む溶液の吸光度を経時測定した。NADHに由来する吸光度は、汎用自動分析装置(日立ハイテク、日立自動分析装置7180)を用い、約37℃、2ポイントエンド方式で主波長340nm、副波長405nmにて測定を行った。
結果を図2-1および図2-2に示す。各グラフの縦軸は吸光度、横軸は反応開始からの経過時間(分)を示す。まず、EDTA・3Naを存在させない系中における金属塩の添加による効果の違いを比較した(図2-1および図2-2の金属塩ごとのグラフの上の段、R2:キレート剤が「none」)。塩化カルシウム、塩化コバルトを添加した場合には、金属塩を添加しなかった場合(対照溶液、図2-2のR1:金属塩が「none」)よりも反応速度が低下した。その他の金属塩では、金属塩を添加しなかった場合と反応速度が同程度または反応速度が向上した。
次に、EDTA・3Naを系中に存在させた溶液を用いて、金属塩の種類による影響の違いを比較した。金属塩を添加しない対照溶液では、EDTA存在下ではEDTAが存在しなかった系よりも反応速度が低下したことから、EDTAにより反応が抑制されていることが分かった。これに対し、金属塩を添加した系では、EDTA存在下で反応が促進されたことを確認した。特に、塩化マグネシウム、塩化亜鉛を添加した系では反応が良好に進行した。以上の結果と取り扱いのしやすさの観点から、以降は金属塩として塩化マグネシウムを用いることとした。塩化マグネシウムは、クエン酸リアーゼを活性化させる観点からも好適である。
実施例3.試薬キットに添加するマグネシウム塩の量の検討
添加する金属塩としてマグネシウム塩を選択する場合の、適切な添加量について検討を行った。
実施例3で用いた試薬キットの構成は以下の通りである。実験に供するクエン酸検体としては、実施例1と同様に、クエン酸ナトリウム生理食塩水溶液を5段階で希釈して調製した検体(2.4mM、4.8mM、7.2mM、9.6mM、12mM)と、クエン酸を含まない対照検体を用いた。塩化マグネシウムの濃度は、反応系中でのEDTAの量に対して、0.67倍、1.0倍、1.1倍、2.0倍、5.0倍の量となるように調製して添加した。EDTA1分子に対してマグネシウムイオンが1つキレートすることが知られている。本実施例では、EDTA1分子に対して1分子の塩化マグネシウムを、「EDTAの量に対して1.0倍の塩化マグネシウムの量」が存在している、という。
(試薬液A) 以下の成分を含有する溶液
・NADH(オリエンタル酵母) 0.4mM
・塩化マグネシウム六水和物(和光純薬) 10mM、15mM、16.5mM、30mMまたは75mM
・LDH(東洋紡) 1U/mL
・Tris・HCl(pH8.6)バッファー 50mM
(試薬液B) 以下の成分を含有する溶液
・クエン酸リアーゼ(ロシュ) 1U/mL
・MDH(東洋紡) 2U/mL
・EDTA・3Na(同仁化学) 30mM
・Tris・HCl(pH7.1)バッファー 150mM
用時調製した試薬液Aおよび試薬液Bを用いて、はじめに試薬液Aとクエン酸検体または対照検体とを混合し、5分後に試薬液Bを加えた。クエン酸検体または対照検体、試薬液A、試薬液Bは、体積比が1:40:20となるように混合した。各検体について、試薬液Aと検体との混合直後を0分とし、5分後に試薬液Bを加えることで反応を開始させた。試薬液Aと検体との混合直後(0分)から、検体を含む溶液の吸光度を経時測定した。NADHに由来する吸光度は、汎用自動分析装置(日立ハイテク、日立自動分析装置7180)を用い、約37℃、2ポイントエンド方式で主波長340nm、副波長405nmにて測定を行った。
結果を図3に示す。EDTAに対するマグネシウム量が0.67倍の場合には、反応速度が著しく低下した。これは、反応系中でEDTAの量の方がマグネシウムの量よりも多いことから、反応抑制効果を有するEDTAをマグネシウムが完全にはキレートできなかったためと考えられる。これに対し、EDTAに対するマグネシウム量が1.0倍から5倍の場合には、10分以内に反応が完了していることが分かった。この中でも、EDTAに対して1.1倍量の場合が最も短時間で反応が完了、すなわち最も反応性が良好であった。このことから、反応系中にマグネシウムがEDTAに対してやや過剰に存在する条件が反応に最適であることが示唆された。その一方で、EDTAに対して2.0倍量、5.0倍量のマグネシウムを用いても、反応が大きく促進される傾向は見られなかった。以上から、一方の試薬液中にEDTA・3Naを30mM添加する場合には、他方の試薬液に塩化マグネシウムを16.5mM添加することとした。
実施例1から3の結果から、適切なキレート剤、金属塩の種類およびその量を選択した本実施形態に係る試薬キットを用いることで、試料中のクエン酸濃度の定量を行うことができる。
一方で、キレート剤は、クエン酸リアーゼによる酵素反応を阻害し、クエン酸リアーゼを不活化する作用を有する。そこで、本発明のクエン酸定量用試薬キットには、クエン酸とクエン酸リアーゼとの反応溶液中でキレート剤がクエン酸リアーゼを不活化することを抑制するため、適切な量の金属塩を含有させている。本実施形態に係るクエン酸定量用試薬キットは、その使用前は、クエン酸リアーゼとキレート剤とを含有する試薬からは独立した試薬に金属塩を含有させておく。使用時には、まず、NADHと金属塩とを含む溶液を調製し、その溶液に測定対象であるクエン酸を含む試料を添加して、試料混合液を得る。この試料混合液に対し、キレート剤、クエン酸リアーゼ、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)を添加して酵素反応液を作成する。金属イオンがキレート剤に結合することで、クエン酸リアーゼの反応を阻害するキレート剤のキレート活性が不活化し、クエン酸リアーゼとクエン酸との反応が化学量論的に適切に進行する。このようにすることで、クエン酸リアーゼをより長く安定に保存できるようになるとともに、クエン酸リアーゼの酵素反応を効率よく進行させることができ、クエン酸の定量を正確に行うことができる。

Claims (11)

  1. 試料中のクエン酸の定量用試薬キットであって、
    NADHと、金属塩と、を含む第1試薬と、
    クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む第2試薬と、
    を含む、試料中のクエン酸の定量用試薬キット。
  2. 前記金属塩が、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩であり、
    前記第1試薬と前記第2試薬とが混合された溶液中に、前記金属塩が前記キレート剤に対して濃度比で1.0倍以上5.0倍以下の量で存在する、請求項1に記載の定量用試薬キット。
  3. 前記キレート剤がEDTAであり、
    前記金属塩がマグネシウム塩である、請求項1に記載の定量用試薬キット。
  4. 前記試料が尿である、請求項1に記載の定量用試薬キット。
  5. 前記第1試薬が、さらに乳酸脱水素酵素(LDH)を含む、請求項1に記載の定量用試薬キット。
  6. 試料中のクエン酸の定量方法であって、
    NADHと、金属塩と、を含む、第1の溶液を得る工程と、
    クエン酸リアーゼと、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)と、キレート剤と、を含む第2の溶液を得る工程と、
    前記第1の溶液と試料とを混合して試料混合液を得る工程と、
    前記試料混合液の吸光度を測定し、前記試料混合液中のNADHの濃度を算出する工程と、
    前記試料混合液に前記第2の溶液を添加して酵素反応液を得る工程と、
    前記酵素反応液の吸光度を測定して、前記酵素反応液中におけるNADHの濃度を算出する工程と、
    クエン酸の酵素反応開始前から反応終了までの間のNADHの濃度の算出結果に基づいて、試料中のクエン酸の量を定量する工程と、
    を含む、試料中のクエン酸の定量方法。
  7. 前記金属塩が、2価の陽イオンを生じさせる金属の塩であり、前記酵素反応液中に、前記金属塩を前記キレート剤に対して濃度比で1.0倍以上5.0倍以下の量で存在させる、請求項6に記載の定量方法。
  8. 前記キレート剤がEDTAであり、
    前記金属塩がマグネシウム塩である、請求項6に記載の定量方法。
  9. 前記試料が尿である、請求項6に記載の定量方法。
  10. 前記第1の溶液に、さらに乳酸脱水素酵素(LDH)を含む、請求項6に記載の定量方法。
  11. 試料中のクエン酸の量を定量する工程においては、前記酵素反応液中のNADHの濃度の算出を、クエン酸の反応開始前から反応終了までのNADHに由来する吸光度の変化量を測定することにより行う、請求項6に記載の定量方法。
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